JP2002271782A - 陰極線管 - Google Patents

陰極線管

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JP2002271782A
JP2002271782A JP2001068388A JP2001068388A JP2002271782A JP 2002271782 A JP2002271782 A JP 2002271782A JP 2001068388 A JP2001068388 A JP 2001068388A JP 2001068388 A JP2001068388 A JP 2001068388A JP 2002271782 A JP2002271782 A JP 2002271782A
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cathode ray
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Takeshi Sasaki
健 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 AC再生方式で、モノクロ表示に加えて、部
分的に所定形状の蛍光体パターンによるカラー映像表示
を可能にした陰極線管において、所望の蛍光体パターン
のみを良好に発光させることができるようにする。 【解決手段】 アイコン表示エリアにアイコン映像の表
示を行うときに、アイコン用ブランキング信号S3を生
成し、映像信号中の所望の蛍光体パターン以外の他の蛍
光体パターンに対応する信号部分を黒レベルよりも下げ
る。これにより、AC再生方式を採用しながらも、所望
の蛍光体パターン以外の他の蛍光体パターンが薄く光る
という不自然な動作が抑制され、所望の蛍光体パターン
のみを良好に発光させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モノクロ表示方式
の陰極線管に関し、特に、モノクロ表示方式であっても
部分的にアイコン(Icon)状のカラー表示を可能にした
陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、テレビジョン受像機や各種の
モニタ装置などには、陰極線管(CRT;Cathode Ray
Tube)が広く使用されている。陰極線管は、管内(陰極
線管内部)に備えられた電子銃から蛍光面に向けて電子
ビームを放射し、管面にその電子ビームの走査に応じた
走査画面を形成するものである。陰極線管の種類として
は、大別してストレートタイプのものと偏平型のものと
がある。ストレートタイプの陰極線管は、電子ビームの
発射口が蛍光面に対して対向するように電子銃が配置さ
れ、蛍光面の中心に対して電子ビームをほぼ垂直に照射
するような構造となっている。一方、偏平型陰極線管
は、電子銃と蛍光面とを略同一平面上に設け、蛍光面に
対して電子ビームを斜めから照射するような構造となっ
ている。偏平型陰極線管は、ストレートタイプの陰極線
管に比べて薄型化を図れるので、比較的小型の装置、例
えば、ドアホン装置における親機のモニタ部分および携
帯型のTV(テレビジョン)モニタなどに多く利用され
ている。
【0003】陰極線管は、画面全体でカラー表示を行う
ものもあるが、単にモノクロ(単色)のみで映像表示を
行うものについても需要があり開発がなされている。特
に、ドアホン装置には、モノクロ表示方式の偏平型陰極
線管が多く利用されている。モノクロ表示方式の陰極線
管は、蛍光面全体を例えば白色発光蛍光体により形成
し、1つの電子ビームで蛍光面を走査することにより、
モノクロ映像を表示する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、モノクロ表
示方式の陰極線管を利用した装置においても、部分的に
カラーで映像表示を行いたいという要求がある。例えば
ドアホン装置は、火災検知器およびガス漏れ検知器など
の各種センサ装置と組み合わされ、全体でセキュリティ
システムとして機能させることが可能となっている。こ
のようなシステム構成にした場合、使用者に注意を促す
という意味では、親機側において、異常事態の発生を通
常のモノクロ表示とは異なる色(例えば赤色)で表現し
て警告表示を行うことが望ましい。
【0005】従来、モノクロ表示方式の偏平型陰極線管
を用いたドアホン装置においてカラー表示を行うために
は、カラー表示用の装置を別途設ける必要がある。カラ
ー表示用の装置としては、例えば、文字または図形など
のパターンがカラー印刷された透明基板に、裏面から所
定の色(例えば白色または赤)のランプによる光を照射
して、カラー印刷がなされた部分を発光させる構造のも
のがある。このようなカラー表示は、映像の表示状態が
単調であり、特に警告用の表示として利用する場合に
は、警告効果に乏しいという問題がある。また、カラー
表示用の装置を別途設ける必要があるため、装置全体が
大きくなると共に、コストも高くなってしまうという問
題がある。さらに、装置全体のデザインの自由度が制限
されてしまうという問題もある。
【0006】そこで、本願出願人は、特願2000-045114
および特願2000-117594などにおいて、モノクロ表示方
式の陰極線管でも、部分的にカラー表示を行うことを可
能にする発明を提案している。
【0007】以下、図8(A),(B)を参照して、本
願出願人による先の発明について簡単に説明する。図8
(A),(B)では、偏平型陰極線管における映像表示
部分を簡略化して示す。従来のモノクロ表示方式の偏平
型陰極線管110は、図8(A)に示したように、映像
表示領域111の全体が単色の蛍光体(例えば白色発光
蛍光体)112によって形成されている。
【0008】一方、本願出願人の発明による偏平型陰極
線管120は、図8(B)に示したように、単色の蛍光
体122が設けられ、通常のモノクロ映像表示がなされ
る第1の映像表示領域121の他に、カラー表示用の第
2の映像表示領域123を備えている。第2の映像表示
領域123には、第1の映像表示領域121に設けられ
ている蛍光体122とは異なる色で発光する他の蛍光体
124が設けられている。蛍光体124は、あらかじ
め、表示させようとする映像を模した形状にパターン形
成されている。蛍光体124は、表示させようとする映
像に応じて単色(例えば赤色)または複数色で形成す
る。これにより、第2の映像表示領域123を電子ビー
ムで走査すると、その蛍光体パターン部分が発光し、ア
イコン状のカラー映像表示がなされる。このとき、第2
の映像表示領域123に、複数の蛍光体パターン(アイ
コンパターン)124A,124B,124Cを形成す
ることにより、複数のアイコン映像を同時または個別に
表示することができる。
【0009】このように、本願出願人の発明による陰極
線管は、通常表示でのモノクロ映像の他に、アイコン状
の映像をカラー表示するものである。以下では、このア
イコン表示機能付きの陰極線管を単に「アイコンCR
T」と称する。
【0010】ここで、偏平型陰極線管が利用されるテレ
ビドアホン装置の概略を説明する。テレビドアホン装置
は、一般に、室外に設置される子機と、室内に設置さ
れ、通信ケーブルを介して子機との間で音声および映像
による通信が可能な親機とを備えた装置の総称である。
子機には、ビデオカメラが組み込まれ、親機には、子機
のビデオカメラによって撮像された映像を表示するモニ
タが組み込まれている。偏平型陰極線管は、この親機の
モニタ部分に利用されている。子機には、また、撮像対
象である訪問者を照らすための赤外線ランプ(一般に赤
外線LED(発光ダイオード))が組み込まれている。
テレビドアホン装置では、子機に組み込まれているビデ
オカメラによって訪問者が撮像され、その撮像信号が通
信ケーブルを通して親機に転送される。在宅者は、親機
のモニタ部に映し出された映像により、訪問者が来たこ
とを認知するとともに、その訪問者が誰であるのかを認
識することができる。
【0011】テレビドアホン装置では、子機側で撮像を
行う際に、子機に組み込まれた赤外線ランプにより、赤
外光が訪問者に照射される。訪問者を照明するのは、夜
間や周りが暗い状況であっても、訪問者が誰なのかを認
識しやすくするためである。また、照明光として赤外光
を用いるのは、訪問者に光が照射されているのを認識さ
せないよう(眩しくさせないよう)にするため、人の目
に感知されない波長領域の光を利用するのが適当である
からである。
【0012】ところで、一般にテレビドアホン装置に利
用される偏平型陰極線管では、その使用状況から、AC
(交流)再生方式と呼ばれる方法により映像を表示する
場合が多い。一方、一般のテレビやディスプレイでは、
DC(直流)再生方式が多く採用されている。
【0013】次に、なぜ、テレビドアホン装置ではAC
再生方式がよく採用されているのかについて説明する。
【0014】まず、図9(A),(B)を参照してDC
再生方式について説明する。DC再生方式は、コントラ
ストを良くするため、また、黒レベル変動による黒浮き
をなくすための方法で、映像信号をあるレベルでクラン
プし、黒レベルが変動しないようにするものである。一
般に、映像信号は、明るい映像の場合には、図9(A)
に示したように、振幅値VA1が大きく、暗い映像の場合
には、図9(B)に示したように、振幅値VA2が小さく
なっている。DC再生方式では、図9(A),(B)の
ように信号レベルの異なる映像が入力されると、映像信
号にクランプがかかっているため、黒レベルがほぼ一定
の値VBに保たれ、変動することは無い。そして、信号
レベルの大小によってその平均レベルVM1,VM2が変動
する。
【0015】次に、図10(A),(B)を参照してA
C再生方式について説明する。AC再生方式において
も、DC再生方式と同じように、明るい映像では映像信
号の振幅値VA1が大きくなり(図10(A))、暗い映
像では映像信号の振幅値VA2が小さくなる(図10
(B))。しかしながら、AC再生方式では、DC再生
方式とは違って、黒レベルの値ではなく映像信号全体の
平均値がある直流レベルVMに固定される。このため、
黒レベルの値は、映像信号に応じて変動する。特に、暗
い映像では黒レベルの値VB2が明るい映像での値VB1
比べて上昇し、いわゆる黒浮きのような状態となる。
【0016】ところで、テレビドアホン装置のようなシ
ステムに使用されるモニタでは、赤外線ランプで赤外光
を照射しているとはいえ、その光量はそれほど十分とは
いえない。従って、そのモニタにDC再生方式を採用す
ると、暗い映像部分は映像信号の黒レベル近傍にあるた
め、在宅者にとっては、モニタに何が映っているのかを
認識しにくいという問題がある。一方、AC再生方式で
は、映像振幅値が小さい場合、すなわち暗い場面を映し
出す場合には黒レベルが上昇するため、映像全体として
何が映し出されているのかを認識しやすくなる。このこ
とから、テレビドアホン装置のようなシステムに使用さ
れるモニタの回路構成として、AC再生方式が多く採用
されている。
【0017】さて、次に、図11(A),(B)を参照
して、アイコンCRTにAC再生方式を採用することに
ついて考える。ここでは、3つのアイコンパターン12
4A,124B,124Cのうち、中央のアイコンパタ
ーン124Bのみを発光させる場合について考える。こ
の場合、理想的には、図11(B)に示したように、ア
イコンパターン124B以外の領域については、映像信
号を黒レベルまたはそれ以下のレベルにして、他のアイ
コンパターン124A,124Cが発光しないようにな
っていることが望ましい。
【0018】ところが実際には、アイコンCRTに従来
のAC再生方式を採用すると、図11(A)に示した表
示状態となってしまう場合がある。AC再生方式では、
上述したとおり、黒レベルの値が映像信号に応じて変動
する。このため、特に、ビデオカメラによって暗い映像
が撮像されている状態では、黒レベルの値が上昇するこ
とになり、中央のアイコンパターン124Bのみを発光
させようとしても、その他の領域が黒浮きの状態とな
り、他のアイコンパターン124A,124Cが薄く光
り出してしまうおそれがある。このような状態では、本
来在宅者はアイコンパターン124Bのみを認識しなけ
ればならないのに、誤って他のアイコンパターン124
A,124Cを認識してしまうという問題が生じる。
【0019】以上のことをまとめると、従来の技術で
は、アイコンCRTに関し、以下のような問題点があ
る。まず、DC再生方式をアイコンCRTに採用する
と、黒レベルが一定に保たれているため、アイコンを光
らせるときには、映像の明るさに関わらず、光らせたい
アイコン以外のアイコンが非発光状態となり、アイコン
の誤認という問題は無い。しかしながら、その一方で、
特にドアホン装置に適用した場合には、周りが暗い場合
や夜間の訪問者があったときに、訪問者の顔を認識しに
くいという問題がある。
【0020】一方、AC再生方式は、周りが暗い状況や
夜間であっても、訪問者の顔がいわゆる黒浮きするの
で、訪問者の特定には最適な方法である。しかしなが
ら、従来のAC再生方式をそのままアイコンCRTに適
用すると、映像信号の条件により、図11(A)に示し
たように、光らせたくないアイコンが薄く光ってしま
い、在宅者にとっては目障りになるほか、場合によって
は、アイコンの誤認をさせてしまうという問題がある。
【0021】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、AC再生方式で、モノクロ表示に加
えて、部分的に所定形状の蛍光体パターンによるカラー
映像表示を可能にした陰極線管において、所望の蛍光体
パターンのみを良好に発光させることができる陰極線管
を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明による陰極線管
は、AC再生方式により、主たる映像を単色で表示する
陰極線管であって、電子ビームを放射する電子銃と、電
子ビームの走査に応じて単色に発光する蛍光体が設けら
れ、蛍光体の発光により主たる映像の表示が行われる第
1の映像表示部と、蛍光体が設けられた領域とは異なる
領域に、所定形状の蛍光体パターンが複数箇所に設けら
れ、蛍光体パターンの発光により主たる映像の表示とは
異なる色で少なくとも1つの他の映像の表示が行われる
第2の映像表示部とを備えている。本発明による陰極線
管は、また、複数箇所に設けられた蛍光体パターンの
ち、所望の蛍光体パターンを発光させるための表示信号
を生成する第1の信号生成手段と、表示信号における所
望の蛍光体パターン以外の他の蛍光体パターンに対応す
る信号部分を黒レベルよりも下げるための、ブランキン
グ信号を生成する第2の信号生成手段とを備えている。
【0023】なお、本発明において、第1の映像表示部
に設けられる蛍光体は、例えば白色に発光する白色発光
蛍光体である。白色発光蛍光体とは、単独で白色に発光
する蛍光体の他、例えば青色発光蛍光体と黄色発光蛍光
体とを適切な比率で混合し、見掛け上白色に発光するよ
うにした蛍光体のようなものをも含む。また、本発明に
おいて、単色とは、光の波長域が1つというものだけで
はなく、複数の波長域の光が混合されて人間の目に1つ
の色として認識されるものも含む。
【0024】本発明による陰極線管では、第1の映像表
示部において、主たる映像がモノクロ表示されると共
に、第2の映像表示部において、所定形状の蛍光体パタ
ーンの発光により、主たる映像の表示とは異なる色で少
なくとも1つの他の映像の表示が行われる。第2の映像
表示部に他の映像の表示を行うときには、第1の信号生
成手段によって、所望の蛍光体パターンを発光させるた
めの表示信号が生成される。またこのとき、第2の信号
生成手段によって、ブランキング信号が生成され、表示
信号における所望の蛍光体パターン以外の他の蛍光体パ
ターンに対応する信号部分が黒レベルよりも下げられ
る。これにより、所望の蛍光体パターン以外の他の蛍光
体パターンが発光することが抑制され、所望の蛍光体パ
ターンのみが良好に発光する。
【0025】なお、第2の信号生成手段は、例えば、ブ
ランキング信号を、表示信号の極性を反転させて生成す
るよう構成されていることが望ましい。これにより、ブ
ランキング信号の生成が容易とされる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0027】本実施の形態では、本発明の陰極線管をテ
レビドアホン装置1(図1、以下、単にドアホン装置と
もいう。)に適用した場合を例に説明する。テレビドア
ホン装置1は、家屋5の外部(室外)に設置される子機
2と、家屋5の内部(室内)に設置される親機3と、子
機2と親機3とを相互接続する通信ケーブル4とを備え
ている。このドアホン装置1は、安全監視用の周辺機器
20(例えば火災検知器やガス漏れ検知器など)に接続
され、全体としてセキュリティシステムを構成してい
る。周辺機器20は、なんらかの異常(火災など)を検
知した場合には、その旨を通知する検知信号を親機3に
出力するようになっている。
【0028】子機2は、通信ケーブル4を介して、親機
3との間で音声の送受信を行う機能を有すると共に、親
機3に映像の送信を行う機能を有している。この子機2
は、呼び出しボタン12と、ビデオカメラ13と、赤外
線ランプ14とを有している。ビデオカメラ13は、室
外の訪問者7の映像を撮像すると共に、その映像信号を
通信ケーブル4を介して親機3に送信する機能を有して
いる。赤外線ランプ14は、赤外線LEDなどにより構
成されている。赤外線ランプ14は、ビデオカメラ13
によって撮像を行う際に、夜間や周りが暗い状況であっ
ても、訪問者が誰なのかを認識しやすくするために、赤
外光を訪問者に照射するようになっている。呼び出しボ
タン12は、訪問者7によって操作されるものである。
子機2は、訪問者7が呼び出しボタン12を押すと、そ
のボタンが押されたことを示す信号を通信ケーブル4を
介して親機3に送信するようになっている。子機2は、
また、訪問者7によって呼び出しボタン12が押される
と、ビデオカメラ13による撮像を開始するようになっ
ている。
【0029】親機3は、通信ケーブル4を介して、子機
2との間で音声の送受信を行う機能を有すると共に、子
機2からの映像の受信を行う機能を有している。この親
機3は、偏平型陰極線管30(図2)によって構成され
たモニタを有しており、その前面には、映像表示部11
が設けられている。親機3は、また、スピーカ10を有
している。映像表示部11は、映像を表示する部分であ
り、子機2のビデオカメラ13によって撮像された映像
と、カラー化されたアイコン映像とを表示する機能を有
している。親機3は、呼び出しボタン12が押されたこ
とを示す信号を子機2から受信すると、在宅者6に訪問
者7が来たことを通知するために、スピーカ10によっ
て呼び出し音を鳴らすようになっている。またこのと
き、モニタを起動して映像表示部11にビデオカメラ1
3によって撮像された訪問者7の映像を表示するように
なっている。
【0030】図2に示したように、親機3は、略直方体
形状の外観を形成する筐体15を有している。筐体15
の内部には、偏平型陰極線管30が設置されている。な
お、図では、偏平型陰極線管30の一例として、反射型
のものを示している。また、図2に示したY方向は、映
像表示部11における画面の上方向に相当する。
【0031】偏平型陰極線管30は、スクリーンパネル
31、フロントパネル(表示パネル)32およびファン
ネル部33を備えている。スクリーンパネル31、フロ
ントパネル32およびファンネル部33は、例えば透明
なガラス部材によって構成されており、これらのパネル
による三体構造によって偏平型のガラス管体(偏平管)
を構成している。ファンネル部33の後端部には、電子
銃35が配設される細長い形状のネック部33Aが形成
されている。ファンネル部33において、ネック部33
Aに至る外周部分には、電子銃35から放射された電子
ビームEBを偏向制御するための偏向ヨーク36が配置
されている。偏向ヨーク36は、図示しないが、電子ビ
ームEBを水平方向に偏向制御するための水平偏向コイ
ルと、電子ビームEBを垂直方向に偏向制御するための
垂直偏向コイルとを含んでいる。筐体15において、偏
平型陰極線管30のフロントパネル32に対応する部分
には、フロントパネル32を保護するための保護部材1
6が設けられている。保護部材16は、例えば透明な樹
脂によって構成されている。
【0032】電子銃35は、図示しないが、カソード
(熱陰極)を備えた熱陰極構体の前部に複数のグリッド
電極を配列した構成となっている。各電極は、電子銃内
部において、カソードから放射された電子ビームEBの
加速制御等を行う。電子銃35から放射された電子ビー
ムEBは、偏向ヨーク36によって偏向制御され、スク
リーンパネル31に形成された蛍光体層34に照射され
るようになっている。
【0033】フロントパネル32は、平板形状となって
いる。一方、スクリーンパネル31は、垂直方向(上下
方向)に湾曲した形状となっている。スクリーンパネル
31の内壁面側、すなわちフロントパネル32に対向し
た面側は、蛍光面が形成されている。スクリーンパネル
31の内壁面には、図示しないが、例えばアルミニウム
(Al)を蒸着することによって形成された導電性の反
射膜が形成されている。スクリーンパネル31の内壁面
には、さらに、図示しない反射膜を介して蛍光体層34
が形成されている。スクリーンパネル31に形成された
反射膜は、電子ビームEBが蛍光体層34に入射するこ
とによって発生した発光光線R1,R2を、フロントパ
ネル32側に反射する機能を有している。偏平型陰極線
管30では、この反射膜によって反射された光線によっ
て形成される光学的な映像が、フロントパネル32側か
ら観察される。
【0034】蛍光体層34は、電子ビームEBの入射に
応じて発光する蛍光体から構成されている。ここで、通
常の一般的な白黒表示タイプの偏平型陰極線管では、蛍
光体層34はすべて白色発光蛍光体によって構成されて
いる。しかしながら、本陰極線管30においては、蛍光
面が2つの領域を有しており、それぞれの領域に異なる
2種類の蛍光体が設けられている。すなわち、本陰極線
管30は、白色発光蛍光体によって形成された第1の蛍
光体層34Aと、白色発光蛍光体とは異なる色で発光す
る他の蛍光体によって形成された第2の蛍光体層34B
とを有している。
【0035】第1の蛍光体層34Aは、子機2(図1)
のビデオカメラ13によって撮像された映像を白黒で表
示するためのものである。すなわち、本実施の形態にお
いては、ビデオカメラ13によって撮像された映像41
が、図2および図3に示したように、第1の蛍光体層3
4Aを電子ビームEBで走査することにより生じた発光
光線R1によって、主映像表示エリア11Aに白黒表示
されるようになっている。本実施の形態においては、子
機2のビデオカメラ13によって撮像され、主映像表示
エリア11Aに表示される映像41を、「主映像」とも
いう。ただし、主映像表示エリア11Aに表示される映
像は、子機2のビデオカメラ13によって撮像された映
像に限定されるものではなく、その他の映像を主映像と
して表示するようにしても良い。ここで、第1の蛍光体
層34Aを含めた主映像表示エリア11Aが、本発明に
おける「第1の映像表示部」の一具体例に対応する。
【0036】一方、第2の蛍光体層34Bは、主映像表
示エリア11Aに表示される主映像とは異なる他の映像
をカラー表示させるために設けられたものである。この
第2の蛍光体層34Bは、図3の正面図に示したよう
に、あらかじめ、表示させようとする映像と同等の形状
(アイコンを模した形状)にパターン形成されている。
この蛍光体パターン(アイコンパターン)42は、表示
させようとするアイコン映像に応じて単色(例えば赤
色)または複数色で形成されている。これにより、電子
ビームEBで走査すると、走査された蛍光体パターン部
分が発光し、その発光光線R2によってアイコン表示エ
リア11Bにアイコン状のカラー映像表示がなされる。
このとき、アイコン表示エリア11Bに対応する領域
に、図示したように複数のアイコンパターン42A,4
2B,42Cを形成することにより、複数のアイコン映
像を同時または個別に表示することができる。このよう
に、本実施の形態においては、アイコン表示エリア11
Bに、主映像41とは異なる他の映像として、いわゆる
アイコン状のものを表示させるようになっている。ここ
で、第2の蛍光体層34Bを含めたアイコン表示エリア
11Bが、本発明における「第2の映像表示部」の一具
体例に対応する。
【0037】なお、第1の蛍光体層34Aは、主映像表
示エリア11Aに対応する領域すべてに一様に設けられ
ているが、第2の蛍光体層34Bは、アイコン表示エリ
ア11Bに対応する領域すべてに設けられている必要は
なく、基本的には、アイコン映像を表示させたい領域に
のみ部分的に設けられるものである。この場合、アイコ
ン映像を表示させない部分(第2の蛍光体層34Bが設
けられていない部分)は、例えば、黒色物質(黒鉛等)
を積層したいわゆるブラックマトリクスの構造にすると
良い。
【0038】図3では、星形、X字形および丸形のアイ
コンパターン42A,42B,42Cを示しているが、
アイコンパターン42としては、記号、文字および各種
の図柄など、任意の形状のものを形成可能である。この
とき、アイコン表示を非常時における警告用として用い
る場合には、アイコンパターン42を、その警告の内容
に応じた形状に形成することが望ましい。例えば、周辺
機器20(図1)が、火災検知機能を備えたものであれ
ば、アイコンパターン42を、火災が生じたことをひと
目で認識できるようなアイコン形状(炎の形状など)に
して、火災の警告表示を行うことが望ましい。さらに、
形状のみならず、その色についても、警告としての意味
を持たせることが望ましい。例えば、火災が生じたこと
を示すアイコンの場合には、炎を示す色(例えば赤)で
アイコン表示を行うと良い。またさらに、より警告効果
を高めるために、アイコン表示と共に、警告音を発する
ようにしても良い。
【0039】ここで、第1の蛍光体層34Aおよび第2
の蛍光体層34Bの形成方法について簡単に説明する。
第1の蛍光体層34Aおよび第2の蛍光体層34Bは、
蛍光体物質を、例えば熱転写印刷法等の印刷法または電
着法によってスクリーンパネル31の内壁面に積層させ
ることにより形成することができる。第1の蛍光体層3
4Aおよび第2の蛍光体層34Bは、例えば印刷法によ
って双方の蛍光体層を同時に形成するようにしても良い
が、それぞれの蛍光体層を別々の工程で形成しても良
い。例えば、第1の蛍光体層34Aを電着法によって形
成した後、別途、第2の蛍光体層34Bを印刷法によっ
て形成するようにしても良い。特に、第2の蛍光体層3
4Bについては、例えば、あらかじめ任意のアイコンの
形状が印刷された印刷フィルムにおけるアイコンの印刷
部分を、熱転写印刷法でスクリーンパネル31の内壁面
に転写するという方法が簡単である。このような方法を
適用することにより、例えば、ドアホン装置1の使用者
の希望に応じて特別注文で、任意のアイコンの形状を第
2の蛍光体層34Bに形成するということも低コストで
容易に行うことが可能となる。
【0040】次に、図4を参照して、本陰極線管30の
回路系の構成について説明する。本陰極線管30は、そ
の回路系の構成要素として、制御回路51と、ビデオ回
路52と、ブランキング回路60とを備えている。ブラ
ンキング回路60は、水平・垂直ブランキング回路61
と、合成ブランキング回路62とを有している。
【0041】制御回路51は、アイコン映像の表示を指
示するアイコン制御信号S1に応じて、アイコン表示信
号S2をビデオ回路52に出力すると共に、アイコンブ
ランキング信号S3を合成ブランキング回路62に出力
するようになっている。アイコン制御信号S1は、例え
ば周辺機器20(図1)から入力される。アイコン表示
信号S2は、アイコンパターン42を発光させるための
信号であり、後述するように、表示しようとするアイコ
ンパターン42の形状に応じたパルス状の信号である。
アイコン用ブランキング信号S3は、所望としないアイ
コンパターン42が発光しないようにするための信号で
あり、後述するように、アイコン表示信号S2の極性を
反転して生成される。ここで、制御回路51が、本発明
における「第1の信号生成手段」および「第2の信号生
成手段」の一具体例に対応する。また、アイコン表示信
号S2が、本発明における「表示信号」の一具体例に対
応し、アイコン用ブランキング信号S3が、本発明にお
ける「ブランキング信号」の一具体例に対応する。
【0042】水平・垂直ブランキング回路61は、水
平、垂直同期信号S11,S12に基づいて、映像信号
Vinの水平、垂直帰線期間にブランキングを掛けるた
めの水平ブランキング信号S4および垂直ブランキング
信号S5を生成して出力するようになっている。合成ブ
ランキング回路62は、アイコン用ブランキング信号S
3と、水平、垂直ブランキング信号S4,S5とを合成
して合成ブランキング信号S6を生成し、出力するよう
になっている。
【0043】ビデオ回路52は、子機2(図1)のビデ
オカメラ13からの映像信号Vinと、アイコン表示信
号S2と、合成ブランキング信号S6とに基づいて、電
子銃35に印加する映像信号を生成するようになってい
る。
【0044】次に、図5を参照して、本陰極線管30の
さらに具体的な回路構成について説明する。ここでは、
主にビデオ回路52と合成ブランキング回路62とに関
する回路部分の具体例を説明する。この回路は、AC再
生方式の回路構成となっている。この回路は、映像信号
Vinとアイコン表示信号S2とを加算して出力する加
算回路53と、加算回路53からの出力信号を増幅する
ビデオアンプ54とを有している。
【0045】この回路は、また、トランジスタT1と、
抵抗R1〜R3と、ダイオードD1〜D3とを有してい
る。トランジスタT1のエミッタ端子は接地され、コレ
クタ端子は、ビデオアンプ54に接続されている。抵抗
R1〜R3の一端は、トランジスタT1のベース端子に
接続されている。ダイオードD1〜D3は、それぞれ抵
抗R1〜R3の他端に接続されている。トランジスタT
1のベース端子には、ダイオードD1および抵抗R1を
介して、アイコン用ブランキング信号S3が入力される
ようになっている。トランジスタT1のベース端子に
は、また、ダイオードD2および抵抗R2を介して、垂
直ブランキング信号S5が入力され、ダイオードD3お
よび抵抗R3を介して、水平ブランキング信号S4が入
力される。トランジスタT1は、アイコン用ブランキン
グ信号S3および水平、垂直ブランキング信号S4,S
5に応じてオン・オフされ、コレクタ端子から合成ブラ
ンキング信号S6をビデオアンプ54に出力するように
なっている。トランジスタT1は、オン、すなわちその
ベース電極31にハイレベルの信号が加わると、ビデオ
アンプ54の出力をGND(グラウンド)レベルにまで
下げる働きをする。
【0046】この回路は、さらに、ビデオアンプ54か
ら出力された映像信号の直流成分を除去するコンデンサ
C1と、直流成分が除去された後の映像信号に直流バイ
アス成分を加えるためのバイアス抵抗R4およびバイア
ス電源Vccとを有している。ビデオアンプ54の出力端
子は、キャパシタC1を介して電子銃35に接続されて
いる。キャパシタC1と電子銃35との間の信号経路に
は、バイアス抵抗R4の一端が接続されている。バイア
ス抵抗R4の他端は、バイアス電源4に接続されてい
る。AC再生方式の回路では、図10(A),(B)に
示したように、映像信号全体の平均値が一定の直流レベ
ルVMに固定される。図5の回路では、バイアス抵抗R
4およびバイアス電源Vccによって決定される電圧値が
平均レベルVMとなる。
【0047】次に、上記のような構成のドアホン装置1
の動作について説明する。
【0048】まず、図1を参照して、ドアホン装置1の
全体的な動作について説明する。テレビドアホン装置1
では、訪問者7によって子機2の呼び出しボタン12が
押されると、そのボタンが押されたことを示す信号を通
信ケーブル4を介して親機3に送信する。またこのと
き、子機2は、ビデオカメラ13による撮像を開始し、
その撮像信号を通信ケーブル4を介して親機3に転送す
る。子機2は、撮像を行う際に、赤外線ランプ14によ
り、赤外光を訪問者に照射する。赤外光を照射すること
で、夜間や周りが暗い状況であっても、訪問者が誰なの
かを認識しやすくなるように撮像を行うことができる。
【0049】親機3は、呼び出しボタン12が押された
ことを示す信号を子機2から受信すると、スピーカ10
によって呼び出し音を鳴らす。またこのとき、ビデオカ
メラ13によって撮像された訪問者7の映像を、映像表
示部11の主映像表示エリア11A(図3)に主映像4
1として白黒で表示する。在宅者6は、映像表示部11
(の主映像表示エリア11A)に映し出された映像によ
り、訪問者7が来たことを認知するとともに、その訪問
者が誰であるのかを認識することができる。
【0050】親機3は、また、周辺機器20からの監視
信号を常時監視し、必要に応じて監視信号の種類に応じ
たアイコン映像を、映像表示部11のアイコン表示エリ
ア11Bにカラー表示する。
【0051】次に、このアイコン表示エリア11Bにア
イコン映像を表示させるときの制御動作についてより詳
しく説明する。
【0052】図4に示した回路において、制御回路51
は、周辺機器20(図1)などからアイコン映像の表示
を行うよう指示するアイコン制御信号S1が入力される
と、アイコン表示信号S2をビデオ回路52に出力す
る。またこのとき、制御回路51は、アイコンブランキ
ング信号S3を合成ブランキング回路62に出力する。
【0053】水平・垂直ブランキング回路61は、水
平、垂直同期信号S11,S12に基づいて、水平ブラ
ンキング信号S4および垂直ブランキング信号S5を生
成し、合成ブランキング回路62に出力する。合成ブラ
ンキング回路62は、アイコン用ブランキング信号S3
と、水平、垂直ブランキング信号S4,S5とを合成し
て合成ブランキング信号S6を生成し、ビデオ回路52
に出力する。
【0054】ビデオ回路52は、映像信号Vinと、ア
イコン表示信号S2と、合成ブランキング信号S6とに
基づいて、電子銃35に印加する映像信号を生成して出
力する。電子銃35は、印加された映像信号に応じて電
子ビームEBを放射する。電子銃35から放射された電
子ビームEBは、図2に示したように、偏向ヨーク36
によって偏向制御され、スクリーンパネル31の内壁面
を走査する。これにより、走査されたアイコンパターン
42が発光し、その発光光線R2によってアイコン表示
エリア11Bに、アイコンパターン42の形状に応じた
アイコン映像がカラーで表示される。
【0055】次に、図6(A),(B)を参照して、ア
イコン表示信号S2とアイコンブランキング信号S3と
について説明する。図6(A),(B)では、アイコン
表示信号S2とアイコンブランキング信号S3との約1
水平走査期間(1H期間)での信号波形を示す。
【0056】制御回路51は、発光させようとするアイ
コンパターン42が設けられた領域に対応するパルス幅
を有するパルス状の信号をアイコン表示信号S2として
出力する。例えば中央のアイコンパターン42Bのみを
発光させる場合には、図6(A)に示したように、アイ
コンパターン42Bが設けられた領域でのみハイレベル
となるパルス状の信号(パルス幅H1)を出力する。な
お、垂直方向の走査信号は、いずれのアイコンパターン
42を表示させる場合にも、アイコン表示エリア11B
に対応する領域でハイレベルとなる。この場合、図5の
回路では、ビデオアンプ54に、アイコン表示信号S2
として、時間T1〜T2の期間でハイレベルとなり、そ
れ以外の時間T0〜T1および時間T2〜T3の期間で
ローレベルとなる信号が印加される。なお、図6(A)
では、パルス幅H1がアイコンパターン42Bよりも若
干大きくなっているが、アイコン表示エリア11Bにお
いて、アイコンパターン42が設けられている領域以外
の部分が黒色物質で構成されているので、パルス幅H1
を(隣接するアイコンパターン42A,42Cに達しな
い程度に)多少大きくしても、所望の蛍光体パターンの
みを発光させることができる。
【0057】アイコン用ブランキング信号S3は、発光
させようとするアイコンパターン42が発光しないよう
にするための信号であり、発光対象となっているアイコ
ンパターン42以外の領域に対応する映像信号部分にブ
ランキングが掛かるように機能する。ところで、図5の
回路において、トランジスタT1は、オン、すなわちそ
のベース電極31にハイレベルの信号が加わると、ビデ
オアンプ54の出力をGNDレベルにまで下げる動作を
する。すなわち、トランジスタT1のベース電極31に
ハイレベルの信号を加えることで、走査線を黒レベル以
下に沈めることができる。一方、アイコン用ブランキン
グ信号S3は、黒浮きを防止するため、アイコン表示信
号S2がローレベルとなっている期間にブランキングを
掛けるための信号である。従って、このアイコン用ブラ
ンキング信号S3としては、アイコン表示信号S2のハ
イ・ローの極性を反転して生成すれば良い。
【0058】具体的には、図6(B)に示したように、
図6(A)のアイコン表示信号S2の極性を反転させる
ことにより、アイコン用ブランキング信号S3は、時間
T0〜T1および時間T2〜T3の期間でハイレベルと
なる。この期間では、トランジスタT1がオンし、ビデ
オアンプ54の出力がGNDレベルにまで引き下げら
れ、映像信号にはブランキングが掛けられる。また、時
間T1〜T2の期間では、アイコン用ブランキング信号
S3は、ローレベルとなるので、トランジスタT1はオ
フとなり、ビデオアンプ54は通常のアンプとして動作
する。従ってこのとき、時間T1〜T2の期間では、ハ
イレベルのアイコン表示信号S2が増幅されて出力さ
れ、アイコンパターン42Bのみが発光する。
【0059】さて次に、図7(A),(B)を参照し
て、アイコン映像を表示させるときに、アイコン用ブラ
ンキング信号S3を用いなかった場合と、用いた場合と
における最終的な映像信号の状態を比較する。図7
(A),(B)では、アイコン表示信号S2として図6
(A)の信号を印加した状態を示す。図7(A),
(B)において、符号72を付した信号部分は、水平ブ
ランキング信号S4を印加したことによるブランキング
部分であり、符号73A,73Bを付した部分は、アイ
コン用ブランキング信号S3を印加したことによるブラ
ンキング部分である。また、符号71を付した部分は、
アイコン表示信号S2を印加したことによる信号部分で
ある。
【0060】アイコン用ブランキング信号S3を用いな
かった場合(図7(A))には、時間T1〜T2の期間
で白レベルとなり、中央のアイコンパターン42Bが発
光する。それ以外の時間T0〜T1および時間T2〜T
3の期間では、黒レベルである。このとき、AC再生方
式では、黒レベルの値が映像信号全体のレベルに応じて
変動する。このため、特に、子機2のビデオカメラ13
によって暗い映像が撮像されている状態では、黒レベル
の値が上昇することになり、中央のアイコンパターン4
2Bのみを発光させようとしても、その他の領域が黒浮
きの状態となり、他のアイコンパターン42A,42C
が薄く光り出してしまうおそれがある。
【0061】一方、アイコン用ブランキング信号S3を
用いた本陰極線管30の場合(図7(B))には、時間
T1〜T2の期間で白レベルとなるのは、図7(A)の
場合と同様であるが、それ以外の時間T0〜T1および
時間T2〜T3の期間では、アイコン用ブランキング信
号S3の働きにより、その信号レベルが黒レベル以下に
まで引き下げられる。これは、白レベルの深さがV1
け深くなることに相当する。従って、AC再生方式によ
り黒レベルの値が変動したとしても、黒浮きの状態とな
るのを防止でき、他のアイコンパターン42A,42C
が光ることが抑制される。
【0062】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、アイコン表示エリア11Bにアイコン映像の表示を
行うときに、アイコン用ブランキング信号S3を生成
し、映像信号中の所望の蛍光体パターン以外の他の蛍光
体パターンに対応する信号部分を黒レベルよりも下げる
ようにしたので、AC再生方式を採用しながらも、所望
の蛍光体パターン以外の他の蛍光体パターンが薄く光る
という不自然な動作が抑制され、所望の蛍光体パターン
のみを良好に発光させることができる。これにより、ア
イコンの誤認を防止することができる。しかも、通常、
主映像表示エリア11にビデオカメラ13の映像を表示
するときには、AC再生方式の利点をそのまま生かすこ
とができる。すなわち、周りが暗い状況や夜間であって
も、訪問者の顔がいわゆる黒浮きするので、訪問者の特
定をしやすくなる。また、アイコン用ブランキング信号
S3を、アイコン表示信号S2の極性を反転させて生成
するようにしたので、アイコン用ブランキング信号S3
の生成が容易とされ、回路構成を簡単にすることができ
る。
【0063】なお、本発明は、上記実施の形態に限定さ
れず種々の変形実施が可能である。
【0064】例えば上記実施の形態では、反射型の偏平
型陰極線管を例について説明したが、本発明は、透過型
の偏平型陰極線管にも適用することが可能である。透過
型の偏平型陰極線管は、反射型の偏平型陰極線管とは反
対側、すなわち、蛍光体層34が設けられたスクリーン
パネル側からスクリーンパネルを介して映像が表示され
る。透過型の偏平型陰極線管とした場合には、図2に示
した偏平型陰極線管30の構造において、スクリーンパ
ネル31の内壁面に、図示しない反射膜に代えて透明な
導電膜(例えばITO(Indium-Tin Oxide: インジウム
とスズの酸化物混合膜)からなる導電膜)が設けられ、
この透明な導電膜上に蛍光体層34が形成される。ま
た、透過型の偏平型陰極線管とした場合には、フロント
パネル32とは反対側(スクリーンパネル側)から映像
が観測されることになるので、フロントパネル32に代
えて、バックパネルが設けられる。このバックパネルの
内壁面には、蛍光面に対向するようにほぼ全面にわたっ
て、導電性の膜が被着されると共に、この導電性の膜に
アノード電圧が印加される。
【0065】また、本発明は、偏平型の陰極線管のみな
らず、蛍光面の中心に対して電子銃からの電子ビームを
垂直に照射するようないわゆるストレートタイプの陰極
線管にも適用することが可能である。
【0066】さらに、本発明は、ドアホン装置のみなら
ず、主たる映像表示をモノクロで行う表示部を備えた装
置に広く適用することが可能である。例えば、本発明
は、携帯型のTVモニタなどの各種モニタ装置にも適用
することが可能である。
【0067】また、上記実施の形態では、アイコン表示
エリア11Bを、主映像表示エリア11Aに対して下側
に設けた例について説明したが、アイコン表示エリア1
1Bを、他の領域に設けるようにしても良い。すなわ
ち、アイコン表示エリア11Bを、主映像表示エリア1
1Aに対して上側、左側または右側の領域に設けるよう
にしても良い。また、アイコン表示エリア11Bを、2
つ以上の領域に設けるようにしても良い。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし3
のいずれか1項に記載の陰極線管によれば、第2の映像
表示部に他の映像の表示を行うときに、第1の信号生成
手段によって、表示信号を生成すると共に、第2の信号
生成手段によって、ブランキング信号を生成し、表示信
号における所望の蛍光体パターン以外の他の蛍光体パタ
ーンに対応する信号部分を黒レベルよりも下げるように
したので、AC再生方式で、モノクロ表示に加えて、部
分的に所定形状の蛍光体パターンによるカラー映像表示
を可能にした陰極線管において、所望の蛍光体パターン
以外の他の蛍光体パターンが発光することが抑制され、
所望の蛍光体パターンのみを良好に発光させることがで
きる。
【0069】特に、請求項2記載の陰極線管によれば、
請求項1記載の陰極線管において、ブランキング信号
を、表示信号の極性を反転させて生成するようにしたの
で、ブランキング信号の生成が容易とされ、回路構成を
簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る偏平型陰極線管を
備えたドアホン装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】図1に示したドアホン装置における親機の内部
構造の要部を示す断面図である。
【図3】図2に示した偏平型陰極線管を正面(フロント
パネル側)から見た状態を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る偏平型陰極線管の
回路系の構成例を示すブロック図である。
【図5】回路系のより具体的な構成例を示す回路図であ
る。
【図6】アイコン表示信号の波形の例(A)とアイコン
ブランキング信号の波形の例(B)とを示す波形図であ
る。
【図7】アイコン用ブランキング信号を用いなかった場
合(A)と、用いた場合(B)とにおける最終的な映像
信号の状態を示す波形図である。
【図8】陰極線管の表示方式について示す説明図であ
り、(A)は、モノクロ表示のみ可能な従来の偏平型陰
極線管を示し、(B)は、モノクロ表示方式であっても
部分的にカラー表示を可能にした偏平型陰極線管を示し
ている。
【図9】DC再生方式について説明するための図であ
り、(A)は、映像が比較的明るい場合での映像信号の
状態を示し、(B)は、映像が比較的暗い場合での映像
信号の状態を示している。
【図10】AC再生方式について説明するための図であ
り、(A)は、映像が比較的明るい場合での映像信号の
状態を示し、(B)は、映像が比較的暗い場合での映像
信号の状態を示している。
【図11】アイコンCRTでAC再生方式を採用した場
合の問題点について説明するための図であり、(A)
は、従来のAC再生方式を採用した場合のアイコンの表
示状態を示し、(B)は、理想的な表示状態を示してい
る。
【符号の説明】
S1…アイコン制御信号、S2…アイコン表示信号、S
3…アイコン用ブランキング信号、S4…水平ブランキ
ング信号、S5…垂直ブランキング信号、S6…合成ブ
ランキング信号、1…テレビドアホン装置、2…子機、
3…親機、4…通信ケーブル、11…映像表示部、11
A…主映像表示エリア、11B…アイコン表示エリア、
13…ビデオカメラ、14…赤外線ランプ、20…周辺
機器、30…偏平型陰極線管、31…スクリーンパネ
ル、32…フロントパネル、33…ファンネル部、33
A…ネック部、34(34A,34B)…蛍光体層、3
5…電子銃、36…偏向ヨーク、41…主映像、42…
アイコンパターン、51…制御回路、52…ビデオ回
路、53…加算回路、54…ビデオアンプ、60…ブラ
ンキング回路、61…水平・垂直ブランキング回路、6
2…合成ブランキング回路。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 AC再生方式により、主たる映像を単色
    で表示する陰極線管であって、 電子ビームを放射する電子銃と、 電子ビームの走査に応じて単色に発光する蛍光体が設け
    られ、前記蛍光体の発光により主たる映像の表示が行わ
    れる第1の映像表示部と、 前記蛍光体が設けられた領域とは異なる領域に、所定形
    状の蛍光体パターンが複数箇所に設けられ、前記蛍光体
    パターンの発光により前記主たる映像の表示とは異なる
    色で少なくとも1つの他の映像の表示が行われる第2の
    映像表示部と、 前記複数箇所に設けられた蛍光体パターンのち、所望の
    蛍光体パターンを発光させるための表示信号を生成する
    第1の信号生成手段と、 前記表示信号における前記所望の蛍光体パターン以外の
    他の蛍光体パターンに対応する信号部分を黒レベルより
    も下げるための、ブランキング信号を生成する第2の信
    号生成手段とを備えたことを特徴とする陰極線管。
  2. 【請求項2】 前記第2の信号生成手段は、前記ブラン
    キング信号を、前記表示信号の極性を反転させて生成す
    るよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    陰極線管。
  3. 【請求項3】 撮像装置が設けられた子機と前記撮像装
    置により撮像された映像を表示可能な表示部が設けられ
    た親機とを有したドアホン装置において、前記親機に設
    けられた表示部に適用され、 前記第1の映像表示部に、前記撮像装置により撮像され
    た映像を表示するよう構成されていることを特徴とする
    請求項2記載の陰極線管。
JP2001068388A 2001-03-12 2001-03-12 陰極線管 Pending JP2002271782A (ja)

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