JP2002267206A - 空気浄化空調方法及び空気浄化空調装置 - Google Patents

空気浄化空調方法及び空気浄化空調装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外気の湿度が低い加湿期に、外気中の可溶性
汚染ガスに対する空調機による除去作用を高める。 【解決手段】 外気を処理空気として吸入するハウジン
グ1内に冷却コイル2、加熱コイル3、エアワッシャ
4、湿度検出手段を備え、処理空気の温度制御をすると
共に、エアワッシャ4において気液接触により空気中の
可溶性汚染ガスを吸収させるようにした空気浄化空調手
段において、エアワッシャ4によって被空調室の設定絶
対湿度より多く加湿し、エアワッシャ4の下流に設けた
除湿・再熱両用コイル12で、被空調室の絶対湿度に到
達するまで空気を冷却して除湿する。外気中の可溶性汚
染ガスは、エアワッシャ4での加湿時と除湿・再熱両用
コイル12での除湿時に吸収除去される。予熱コイル1
0で得られた冷熱は、除湿・再熱両用コイル12で除湿
する際に利用されるため投入エネルギが削減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱を発生する機器
を設置したクリーンルームに外気を導入するために、外
気からSO2 のごとき可溶性汚染ガスを除去して浄化す
ると共に、空気を調温調湿する手段に関し、消費エネル
ギを節約しながら外気の湿度が低い秋から春までの加湿
期に、特に空気浄化機能を高めることができる空調手段
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、外気を浄化空調する手段として
は、図5(a)に示すものが知られている。同図におい
て、外気を取り入れるハウジング1内には、冷却コイル
2、加熱コイル3、エアワッシャ4、露点計(湿度計)
5が順次配置され、ここで所定の絶対湿度に加湿処理さ
れた空気は、送風機、ケミカルフィルタとHEPAフィ
ルタを備えるフィルタを経て被処理空気室(クリーンル
ーム)に供給される。前記エアワッシャ4は、噴霧装置
4a,親水性エリミネータ4b,吸収水槽4cからな
り、吸収水wをポンプで循環させノズルから噴霧させる
ことにより可溶性汚染ガスを吸収すると共に空気の湿度
を増加させ、吸収水w中の汚染ガスの濃度が高まれば新
鮮な吸収水(例えば純水)で希釈する。なお、図中a〜
dを付した部分の空気の状態は、加湿器におけるこの装
置の処理による空気の状態を示す図5(b)に状態点a
〜dとして示されている。
【0003】処理空気の湿度は、エアワッシャ4の下流
に設置した露点計5からの信号によって、温水用の2方
電動弁3aを調節して加熱コイル3に供給する温水の量
を変化させて制御する。例えば、処理空気が設定絶対湿
度に達していないないときは、露点計5では低い値が測
定されるから、その信号により温水量調節バルブ3aの
開度を大きくし、空気温度をあげて絶対湿度を上昇させ
ている。
【0004】図5(b)は前記手段の空気線図で、加湿
期の低温低湿の外気aは、被処理空気室内で温度23
℃、絶対湿度7.8g/kg(DA)の点dを目標に調
整され、クリーンルーム内の空気と混合して点eの状態
になる。符号b,c,dは、そこに至るまでの処理操作
につれての空気の状態の推移を示している。
【0005】外気は、まずエアワッシャ4の上流で加熱
コイル3によってbまで加熱されてエアワッシャ4で加
湿され(温度は低下)エアワッシャ4の下流で所定の絶
対湿度7.8g/kgになる。このとき加湿量の制御
は、露点計5の露点により、加熱量制御バルブ3aを介
して加熱コイル3に供給する温水の量を調節することに
より行なう。例えば、設定絶対湿度に達していないとき
は、露点計5で低い値が測定され、その信号によって加
熱量制御バルブ3aの開度が大きくなり、外気加熱温度
bが上昇する。処理空気温度が上昇すると加湿量は増加
し、絶対湿度は設定値のcまで上昇し、温度は送風機1
2、フィルタ7と空気の摩擦熱、送風機モータの発熱に
よってdまで上がり、クリーンルームに送られて室内の
空気と混合して点eの状態になる。
【0006】この従来装置にあって、処理空気中の可溶
性汚染ガスは、エアワッシャ4で吸収水にある程度は吸
収されるが、一層の性能の向上が求められていた。本出
願人は、特開2000-279741 号において、気液接触をさせ
て可溶性ガスを1次除去した後、冷却コイルで2次除去
をする発明を出願した。しかし、もともと外気が乾燥し
ている冬季には、冷却して可溶性ガスを凝縮して捕集し
ようとすると、所望の室内湿度が得られなかった。更に
省エネルギ性についても改善の余地があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、外気から除
湿をしない加湿期にあっても、省エネ運転を実現しなが
ら可溶性汚染ガスを十分に除去できる空調手段を得るこ
とを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の空気浄化空調方法の一つは、外気を処理空気として吸
入するハウジング内に冷却コイル、加熱コイル、エアワ
ッシャ、湿度検出手段を備え、処理空気の温度制御をす
ると共に、エアワッシャにおいて気液接触により空気中
の可溶性汚染ガスを吸収させるようにした空気浄化空調
方法において、エアワッシャによって被空調室の設定絶
対湿度より多く加湿し、エアワッシャの下流に設けた除
湿コイルで、被空調室の設定絶対湿度に到達するまで空
気を冷却して除湿することを特徴とする。また他の空気
浄化空調方法は、外気を処理空気として吸入するハウジ
ング内に冷却コイル、加熱コイル、エアワッシャ、湿度
検出手段を備え、処理空気の温度制御をすると共に、エ
アワッシャにおいて気液接触により空気中の可溶性汚染
ガスを吸収させるようにし、エアワッシャの下流に設け
た除湿コイルで空気を冷却して除湿する空気浄化空調方
法において、ハウジング内の外気入口に外気の冷熱を吸
収できる予熱コイルを設け、この予熱コイルで吸収した
冷熱を除湿コイルでの冷却に利用することを特徴とす
る。
【0009】また、このための空気浄化空調装置は、外
気を吸入するハウジング内に冷却コイル、加熱コイル、
エアワッシャあ、露点計等を備え、外気の温度制御をす
ると共に、エアワッシャから吸収水を噴霧して空気中の
可溶性汚染ガスを吸収させるようにした空気浄化空調装
置において、ハウジング内の外気入口に外気の冷熱を吸
収できる予熱コイルを設け、エアワッシャ上流に処理空
気の加熱温度を被処理空気室の温度より上げてエアワッ
シャによる加湿量を増加可能とする加熱コイルを設け、
エアワッシャの下流に、加湿期に余分に加湿された空気
の冷却除湿が可能で、除湿期に空気の再熱が可能の除湿
・再熱両用コイルを設け、加湿期に予熱コイルで吸収し
た冷熱を、循環水を介して除湿・再熱両用コイルの冷却
に利用することを特徴とする。
【0010】前記の方法及び装置において、加湿量増加
分の除湿によって可溶性汚染ガスの除去量が増大され
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1(a)は第1の実施の形態を
示し、同図において、ハウジング1中には、図5に示す
ものと同様に、冷却コイル2、加熱コイル3、エアワッ
シャ4、露点計5が被処理空気の通過する順に設置さ
れ、ハウジング1外に送風機6、フィルタ7が設置され
ている。エアワッシャ4は、立設管とノズルからなる噴
霧装置4aと、吸収水を慣性衝突させて捕捉する通気性
の捕捉部4bと、水槽4c、循環ポンプ等から成ってい
る。この他に充填材や親水性エリミネータに吸収水を流
下させる構成を例示できる。そして、これに加えて、ハ
ウジング1中で冷却コイル2の上流側に予熱コイル10
が設置され、エアワッシャ4の下流側に除湿・再熱両用
コイル12が設置されている。露点計5は、調温調湿さ
れた空気を計るため、除湿・再熱両用コイル12より下
流に設置され、空調される室に至る前の処理済み空気の
経路中に設置されればよく、ハウジング中に限らない。
温度センサは、エアワッシャでの気液接触により変動し
た温度を計るため、エアワッシャと除湿・再熱両用コイ
ルの間に設置される。
【0012】そして、予熱コイル10と除湿・再熱両用
コイル12は、水通路13、14で接続され、水通路1
3には、インバータ制御ポンプ15と熱交換器16が介
設され、熱交換器16は、冷水管17を通る冷水で冷却
可能になっている。冷水管17は、例えば空調される室
の循環空気を冷却するための配管から分岐させることが
できる。より具体的にはクリーンルームを冷却する顕熱
交換器(登録商標「ドライコイル」)の系統の冷水の一
部を利用できる。
【0013】外気が低温で乾燥する加湿期には、予熱コ
イル10で外気から得た冷熱を除湿・再熱両用コイル1
2に伝えて除湿作用をさせ(除湿コイルとして作用さ
せ)、除湿によって得た熱を予熱コイル10に伝えて外
気を予熱する。なお、このとき冷水管17の往水の弁を
閉止し、熱交換器16での熱交換は行なわない。図1
(b)は、図1(a)の装置が加湿期に使用される場合
に、位置a〜fの空気の状態を示す空気線図で、外気a
は、エアワッシャ4の下流の除湿・再熱両用コイル12
で冷却除湿のために使用された循環水の戻り水でbまで
加温され、更に加熱コイル3で23℃を大きく越えた温
度cまで加温される。そしてエアワッシャ4により等エ
ンタルピ線に沿ってd点まで加湿量Aの加湿をされ、次
に除湿・再熱両用コイル12において、予熱コイル10
から供給される冷熱で飽和線に沿って点eまで除湿量B
分の除湿作用を受け、送風機6でクリーンルームへ送ら
れる間に、送風機6、フィルタ7で摩擦熱などの熱を受
けてfの状態になる。この除湿量Bの除湿によって、コ
イル表面には水膜が形成され、エアワッシャで取り切れ
なかった可溶性ガスを吸収除去する。可溶性汚染ガスを
含んだ吸収水wは、単独で排水されるか又はと共に水槽
4cに流入混合したのち排出される。なお、除湿・再熱
両用コイル12から水槽4cにかけてハウジング底板を
下り勾配に形成するとよい。
【0014】前記の装置において、除湿・再熱両用コイ
ル12へ送る水の温度は、給気絶対湿度条件によって異
なるが、例えば7.8g/kg(DA)の条件では、露
点温度が約10.5℃であることから、7℃程度である
ことが望ましい。
【0015】予熱コイル10からの冷熱で足りない場合
は、冷水管17の往管に付設した弁を開き、冷凍機から
の冷水を冷水管17から熱交換器16に送って必要温度
まで下げる。処理空気に対する加湿量の調整は、エアワ
ッシャ4下流の温度又は露点温度により、加熱コイル3
への温水供給量を制御する2方電動弁3aの開度を制御
することによって行ない、除湿・再熱両用コイル12で
の除湿量は、露点計5の露点温度によりポンプ15を制
御して水量を調節することにより行なう。このように処
理されて状態eとなった空気は、前記の通り僅かに昇温
してfとなってクリーンルームに給気される。なお露点
計は高価であるので温度計を用い、計測された温度から
絶対湿度を逆算してもよいし、湿度計を用い相対湿度の
計測値からフィードバック制御をしてもよい。
【0016】この装置を用いてSO2 ガスの除去性能を
実測した実験結果を図2、3に示す。図2は、エアワッ
シャ4下流の除湿・再熱両用コイル12での除湿量とS
O2ガス除去率の関係を示し、これによれば、除湿量が
0では除去性能は0であるが、除湿量が9g/kg(D
A)で65%を越える除去率が得られ、除湿量の増加と
共に除去性能が確実に上昇していることが実証された。
【0017】図3は、エアワッシャ4と除湿・再熱両用
コイル12の両方でのSO2 ガスの総合除去率を、除湿
量をパラメータとして示したものである。除湿量が0の
ときの除去性能は約75%で、これが加湿期のエアワッ
シャ4単独での除去性能を示している。除湿量の増加に
伴って総合除去性能は上昇し、除湿量8g/kg(D
A)では90%を越える高い性能が確認された。
【0018】以上のように、加湿期に外気に余分の加湿
をして除湿を行なうことで、可溶性汚染ガスの除去性能
は、容易に10%程度改善できることが証明された。ま
た過度の湿分を除湿して空調室や供給ダクトでの結露を
防止できる。
【0019】また、この装置では、春から秋までの比較
的高温高湿の除湿期には、高温の外気を、エアワッシャ
4の下流で処理空気を再熱するための熱源として利用し
ている。すなわち、予熱コイル10によって高温外気を
予冷し、予冷によって温度が上昇した水を除湿・再熱両
用コイル12に供給することで、冷却コイル2で冷却さ
れた空気を再熱することができ、この再熱によって結露
を防止し、温度分布を改善することができる。なお、除
湿・再熱両用コイル12に代えて除湿専用のコイルとす
ることもできる。
【0020】図4は第2の実施の形態を示し、第1の実
施の形態に比べて、1)冷却コイル2を、エアワッシャ
4の下流側に設置したこと、2)送風機6を最上流部に
設置したこと、3)加湿期に過剰な加湿水分を除湿する
ための循環水量制御に際し、ポンプ制御に替えて、除湿
・再熱両用コイル12に送る冷水の通路13に、バイパ
ス配管13aと3方電動弁13bを設置し、電動弁13
bを開閉調整して冷水量の制御をすること、などが相違
するが、その他の構成は一致し、除湿浄化作用は一致す
る。特にこの実施形態の利点は、夏期において除湿可能
な除湿量が増え、可溶性ガスの除去性能が高まることで
ある。
【0021】
【発明の効果】以上のとおり、本発明は、加湿期に置け
る加湿量を、必要加湿量よりも多くして、過剰な加湿水
分を除湿することにより可溶性汚染ガスを除去するとい
う手段を空調装置に導入したことにより、加湿期におい
ても除湿によるガスの除去効果が得られるから、エアワ
ッシャと合わせた総合ガス除去性能を向上させることが
できる。同時に、加湿期の低温の取り入れ外気から得ら
れる冷熱を除湿に利用することにより、処理に必要な投
入エネルギ量を大幅に削減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の配置図及び空気
線図
【図2】 除湿量と除湿コイルでのガス除去率の関係を
示すグラフ
【図3】 除湿量と浄化空調機のガス除去率の関係を示
すグラフ
【図4】 第2の実施の形態の配置図
【図5】 従来装置の配置図及び空気線図
【符号の説明】
2 冷却コイル 3 加熱コイル 4 エアワッシャ 5 露点計 6 送風機 7 送風機 10 予熱コイル 12 除湿・再熱両用コ
イル 13、14 水通路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外気を処理空気として吸入するハウジン
    グ内に冷却コイル、加熱コイル、エアワッシャ、湿度検
    出手段を備え、処理空気の温度制御をすると共に、エア
    ワッシャにおいて気液接触により空気中の可溶性汚染ガ
    スを吸収させるようにした空気浄化空調方法において、
    エアワッシャによって被空調室の設定絶対湿度より多く
    加湿し、エアワッシャの下流に設けた除湿コイルで、被
    空調室の設定絶対湿度に到達するまで空気を冷却して除
    湿することを特徴とする空気浄化空調方法。
  2. 【請求項2】 外気を処理空気として吸入するハウジン
    グ内に冷却コイル、加熱コイル、エアワッシャ、湿度検
    出手段を備え、処理空気の温度制御をすると共に、エア
    ワッシャにおいて気液接触により空気中の可溶性汚染ガ
    スを吸収させるようにし、エアワッシャの下流に設けた
    除湿コイルで空気を冷却して除湿する空気浄化空調方法
    において、ハウジング内の外気入口に外気の冷熱を吸収
    できる予熱コイルを設け、この予熱コイルで吸収した冷
    熱を除湿コイルでの冷却に利用することを特徴とする空
    気浄化空調方法。
  3. 【請求項3】 外気を吸入するハウジング内に冷却コイ
    ル、加熱コイル、エアワッシャ、湿度検出手段を備え、
    外気の温度制御をすると共に、エアワッシャから吸収水
    を噴霧して空気中の可溶性汚染ガスを吸収させるように
    した空気浄化空調装置において、ハウジング内の外気入
    口に外気の冷熱を吸収できる予熱コイルを設け、エアワ
    ッシャ上流に処理空気の加熱温度を制御してエアワッシ
    ャによる加湿量を増加可能とする加熱コイルを設け、エ
    アワッシャの下流に、加湿期に余分に加湿された空気の
    冷却除湿が可能で、除湿期に空気の再熱が可能な除湿・
    再熱両用コイルを設け、加湿期に予熱コイルで吸収した
    冷熱を、循環水を介して除湿・再熱両用コイルの冷却に
    利用することを特徴とする空気浄化空調装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、加熱コイルの加熱量
    を、エアワッシャの下流に設けた温度計の温度又は湿度
    計の湿度若しくは露点計の露点により制御することを特
    徴とする空気浄化空調装置。
  5. 【請求項5】 請求項3において、除湿コイルを冷却す
    る循環水に、熱交換器を介して冷水による冷却を付加す
    ることを特徴とする空気浄化空調装置。
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