JP2002266047A - ダクタイル鋳鉄管及びその製造方法 - Google Patents

ダクタイル鋳鉄管及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002266047A
JP2002266047A JP2001063236A JP2001063236A JP2002266047A JP 2002266047 A JP2002266047 A JP 2002266047A JP 2001063236 A JP2001063236 A JP 2001063236A JP 2001063236 A JP2001063236 A JP 2001063236A JP 2002266047 A JP2002266047 A JP 2002266047A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cast iron
hot metal
content
ductile cast
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001063236A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3672832B2 (ja
Inventor
Masahiro Kawakami
正弘 川上
Masaru Ishikawa
勝 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Chutetsukan KK
Original Assignee
Nippon Chutetsukan KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Chutetsukan KK filed Critical Nippon Chutetsukan KK
Priority to JP2001063236A priority Critical patent/JP3672832B2/ja
Publication of JP2002266047A publication Critical patent/JP2002266047A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3672832B2 publication Critical patent/JP3672832B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 不純物成分であるP、Cu、Cr等の含有量
が少なく、伸びや衝撃値等の機械的性質に優れたダクタ
イル鋳鉄管及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明によるダクタイル鋳鉄管は、脱硫
処理及び脱燐処理が施された高炉溶銑を遠心鋳造設備に
て鋳造して得られたダクタイル鋳鉄管であって、P含有
量が0.02mass%以下、Cu含有量が0.03mass%
以下、Cr含有量が0.03mass%以下であることを特
徴とし、又、本発明によるダクタイル鋳鉄管の製造方法
は、高炉から出銑された溶銑に対して脱硫処理及び脱燐
処理を施し、次いで、この溶銑に黒鉛球状化剤を添加
し、その後、この溶銑を遠心鋳造設備にて鋳造して鋳鉄
管とすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不純物成分である
P、Cu、Cr等の含有量が少なく、伸びや衝撃値等の
機械的性質に優れたダクタイル鋳鉄管及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダクタイル鋳鉄管は、鋼材と同等の引張
強度を有し、その伸び及び靱性は普通鋳鉄の十数倍に達
し、更に、普通鋳鉄と同等の優れた耐食性を有してお
り、そのため、これらの特性が要求される地中埋設管等
のより厳しい環境下での各種配管材として広く利用され
ている。
【0003】従来、ダクタイル鋳鉄管は、鉄スクラップ
を主たる鉄源原料としてキュポラあるいは電気炉により
溶解された元湯に金属Mgを黒鉛球状化剤として添加
し、質量%でC:3〜4%、Si:1〜3%、Mn:
0.2〜0.5%、Mg:0.02〜0.06%、P:
0.02〜0.06%、S:0.01%以下を含有し、
残部が不可避不純物及びFeからなるダクタイル鋳鉄溶
湯を溶製し、これを遠心鋳造設備にて鋳造することによ
って製造されている。この場合に、黒鉛球状化剤である
金属Mg、Si、希土類元素等の添加歩留まりを向上さ
せるため、元湯は黒鉛球状化剤が添加される前に必要に
応じて脱硫処理が施されている。
【0004】ダクタイル鋳鉄管の機械的性質の1つであ
る高い伸び値は、基地をフェライト組織に制御すること
によって得られるので、鋳造後の冷却過程で生成したセ
メンタイトをフェライトに分解するため、通常、ダクタ
イル鋳鉄管は鋳造後に焼鈍炉内で850〜930℃程度
の温度で1時間以上保持され、フェライト化焼鈍処理と
呼ばれる焼鈍処理が施されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、鉄スクラッ
プを主たる鉄源原料としてキュポラあるいは電気炉によ
り溶解されたダクタイル鋳鉄溶湯には、鉄スクラップを
起源としてCu、Ni、Cr、Mo等の成分が不可避不
純物として混入する。これらの成分の内で、Cu及びM
oはフェライト化を抑制する元素であり、基地のフェラ
イト化を妨げて伸びを低下させる。又、Crは白銑化促
進元素であるため、Cr含有量を低減させることにより
セメンタイトの生成を抑制すること、即ちフェライト化
を促進させることができる。
【0006】不可避不純物成分ではないが、Mnはフェ
ライト化を抑制する元素であり、基地をフェライト組織
とするためにはMn含有量は低いほど好ましく、基地が
フェライト組織であるダクタイル鋳鉄管では、安定して
高い伸び値を確保するためにMn含有量は0.3mass%
程度以下が良いとされている。しかし、鉄スクラップの
中にはMn含有量が1mass%を越える鉄スクラップもあ
り、このような鉄スクラップが大量に混入した場合には
伸び値が低下する。
【0007】このような問題を防止するため、ダクタイ
ル鋳鉄溶湯の溶製の際には使用する鉄スクラップを厳選
しているが、鉄スクラップを使用する限りCu、Ni、
Cr、Mn等の混入は避けられず、又、鉄スクラップの
厳選により、製造コストの上昇を余儀なくされる。更
に、Pは機械試験値の衝撃値を左右する元素として知ら
れており、低減すればするほど好ましいが、ダクタイル
鋳鉄溶湯中のP含有量は鉄スクラップのP含有量に左右
され、それ以上に低減させることはできない。
【0008】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、不純物成分であるP、Cu、
Cr等の含有量が少なく、更にMn含有量も低位に制御
可能であり、伸び及び衝撃値等の機械的性質に優れたダ
クタイル鋳鉄管及びその製造方法を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によるダクタイル
鋳鉄管は、脱硫処理及び脱燐処理が施された高炉溶銑を
遠心鋳造設備にて鋳造して得られたダクタイル鋳鉄管で
あって、P含有量が0.02mass%以下、Cu含有量が
0.03mass%以下、Cr含有量が0.03mass%以下
であることを特徴とする。
【0010】又、本発明によるダクタイル鋳鉄管の製造
方法は、高炉から出銑された溶銑に対して脱硫処理及び
脱燐処理を施し、次いで、この溶銑にMg、Si、希土
類元素のうちの何れか1種以上を含有する黒鉛球状化剤
を添加し、その後、この溶銑を遠心鋳造設備にて鋳造し
て鋳鉄管とすることを特徴とし、更に、鋳造後の鋳鉄管
を焼鈍処理すること、及び、溶銑中のP含有量が0.0
2mass%以下となるまで脱燐処理することが好適であ
る。
【0011】高炉では純度の高い鉄鉱石をコークスにて
還元して溶銑を製造するので、製造される溶銑中のC
u、Cr、Ni、Moの含有量は安定して少ない。但
し、この溶銑中には、Pがおよそ0.1mass%、Sがお
よそ0.03mass%、Tiがおよそ0.1mass%程度含
まれており、この溶銑をそのまま用いてダクタイル鋳鉄
管を製造した場合には、例えば、P含有量の増大による
衝撃値の低下や、黒鉛球状化の阻害元素であるTiによ
り黒鉛の球状化が阻害され、高品質のダクタイル鋳鉄管
を得ることができない。又、高いS含有量により黒鉛球
状化剤である金属Mgや希土類元素等の添加歩留まりが
低下する。
【0012】そこで、本発明では高炉から出銑された溶
銑に対して脱硫処理並びに脱燐処理を施し、これらの処
理が施された溶銑を用いてダクタイル鋳鉄管を製造す
る。脱硫処理及び脱燐処理により溶銑中のS含有量及び
P含有量を容易に低下させることができる。更に、脱燐
処理は、溶銑に気体酸素やミルスケール等の酸素源を酸
化剤として供給して行う酸化精錬であるので、この酸化
精錬によって酸素との親和力の高いTiは容易に除去さ
れ、Ti含有量の低い溶銑とすることができる。又、同
様にMnも酸化されて除去される。
【0013】本発明による鋳鉄管は、このような脱硫処
理及び脱燐処理が施された高炉溶銑を用いて製造される
ので、P含有量が0.02mass%以下、Cu含有量が
0.03mass%以下、Cr含有量が0.03mass%以下
であるダクタイル鋳鉄管を得ることができる。又、Mn
含有量も低位に制御することができる。
【0014】フェライト化を抑制する元素であるCuの
含有量と、白銑化促進元素であるCrの含有量とを、上
記の範囲まで低減することにより、ダクタイル鋳鉄管の
基地はフェライト化が促進され、機械試験値の伸びを向
上させることができる。又、P含有量を上記の範囲まで
低減することにより、シャルピー衝撃値を向上させるこ
とができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明では、高炉から出銑された溶
銑に脱硫処理並びに脱燐処理を施し、その後、この溶銑
を用いて鋳鉄管を製造する。この脱硫処理と脱燐処理と
の順序はどちらを先に実施しても構わず、個々の製鉄所
における設備の配置等から効率的な順序で実施すれば良
い。又、脱硫処理及び脱燐処理を実施する際の処理容器
は、トーピードカー及び溶銑鍋等の溶銑搬送容器や転炉
型容器等の処理専用容器の何れであっても構わず、これ
も個々の製鉄所における設備条件に応じて決めれば良
い。
【0016】脱硫処理は、生石灰(CaO)、カルシウ
ムカーバイド、ソーダ灰等を脱硫剤とし、この脱硫剤を
溶銑中に吹き込んで脱硫する方法や、脱硫剤と溶銑とを
撹拌混合して脱硫する方法等により行うことができる。
特に、溶銑鍋等の取鍋型の容器に溶銑を収容し、耐火物
製の回転翼(インペラーと呼ぶ)を溶銑中で回転させ、
CaO系の脱硫剤と溶銑とを撹拌させて脱硫する機械的
撹拌法により脱硫することが好ましい。この方法によれ
ば、安価なCaO系脱硫剤を使用しても、効率良く低濃
度まで脱硫することができる。
【0017】このような脱硫処理により、溶銑のS含有
量を0.01mass%以下まで容易に低減させることがで
きる。脱硫処理前の溶銑のS含有量と添加する脱硫剤の
量と処理時間とを適宜組み合わせることにより、安定し
て0.004〜0.006mass%に制御することができ
る。
【0018】脱燐処理は、生石灰やソーダ灰等を脱燐用
フラックスとし、ミルスケール等の固体酸素源と酸素等
の気体酸素源とを溶銑に供給して脱燐する方法により行
うことができる。特に、粉状の生石灰を溶銑中に吹き込
みながら、塊状の生石灰、ミルスケール、及び蛍石を溶
銑湯面に上置きし、上吹きランスから酸素を吹き付けて
脱燐することが好ましい。この方法によれば、安価なC
aO系脱燐用フラックスを使用しても、効率良く低濃度
まで脱燐することができる。
【0019】本発明では、このような脱燐処理により溶
銑のP含有量を0.02mass%以下望ましくは0.01
mass%以下まで低減させる。脱燐処理前の溶銑のP含有
量と添加する脱燐用フラックスの量と供給する酸素源の
量と処理時間とを適宜組み合わせることにより、安定し
て0.02mass%以下若しくは0.01mass%以下まで
低減させることができる。尚、脱燐処理の前に、高炉鋳
床や溶銑搬送容器等において脱珪処理を実施しても良
い。脱珪処理とは、溶銑に酸素やミルスケール等の酸素
源を供給して、主に溶銑中のSiをある程度まで除去す
ることを目的とした処理である。
【0020】このようにして脱硫処理及び脱燐処理が施
された溶銑を、容量が例えば30トン程度の保持炉に装
入し、ダクタイル鋳鉄管用の元湯とする。保持炉とは、
遠心鋳造設備により鋳造される前の溶湯を一旦収容する
容器であり、内壁が耐火物で構成され、低周波誘導等に
より収容物を加熱することが可能な炉である。
【0021】高炉から出銑される溶銑を収容する溶銑搬
送容器は容量が100トン以上と大型であり、通常、こ
の溶銑搬送容器内で脱硫処理及び脱燐処理が施される。
この溶銑搬送容器から直接保持炉に溶銑を装入しても良
いが、ハンドリング等の容易さを考慮すれば、溶銑搬送
容器から所定量の溶銑、例えば30トン程度の溶銑を小
型の容器に分湯し、分湯した溶銑を保持炉に装入するこ
とが好ましい。但し、小型の容器で脱硫処理及び脱燐処
理が実施できる場合や、保持炉の容量が大きく、溶銑搬
送容器から直接装入しても問題ない場合には、この必要
はない。
【0022】次いで、保持炉から所定量の元湯を取鍋に
出湯する。ところで、上記の脱燐処理時に溶銑中のSi
は酸化除去され、脱燐処理後の溶銑のSi含有量はほぼ
零となる。又、脱燐処理中に溶銑中のMnも酸化除去さ
れ、高炉出銑時のMn含有量の1/2以下まで低減す
る。従って、出湯された元湯のSi含有量はほぼ零であ
り、Mn含有量も出銑時の1/2以下まで低減してい
る。
【0023】ダクタイル鋳鉄管では黒鉛を球状化する必
要があり、Siは極めて優れた黒鉛球状化元素であるた
め、鋳造前にFe−Si合金等を用いてSiを接種す
る。Siの接種は、出湯後の取鍋内で行っても、又、遠
心鋳造設備の注湯取鍋(「三角取鍋」と呼ぶ)や注湯樋
の何れで行っても良い。更に、Fe−Si合金等を添加
することによる元湯の温度低下を防止するために、Fe
−Si合金等の必要量の一部分若しくは全量を保持炉に
装入する前の溶銑中に添加しても良い。
【0024】又、Mnはフェライト化を抑制する元素、
換言すれば、パーライト化を促進する元素であり、Mn
が低減することによりフェライト化が促進され、機械試
験値の伸びは向上するが、一方、Mn含有量が低下し過
ぎることにより引張強度の低下を来す場合がある。この
ような場合には、基地の組織強化の観点からMnを添加
する。MnはFe−Mn合金やSi−Mn合金等で添加
することができ、添加時期は保持炉への装入前でも保持
炉から出湯された後でもどちらでも良いが、元湯の温度
管理の観点からは保持炉への装入前が好ましい。
【0025】歩留まり向上のためには、三角取鍋や注入
樋に残留する溶湯屑や鋳鉄管の管端切断屑等のリターン
屑を再溶解してリサイクル使用する必要がある。このリ
ターン屑を添加する時期は保持炉への装入前でも保持炉
から出湯された後でもどちらでも良いが、元湯の温度管
理の観点からは保持炉への装入前が好ましい。
【0026】そして、保持炉から出湯された元湯に対し
て黒鉛球状化剤を添加し、ダクタイル鋳鉄溶湯を溶製す
る。黒鉛球状化剤としては金属Mg、Si若しくはCe
ミッシュメタル等の希土類元素又はこれらを含有した合
金を用いることとする。黒鉛球状化剤の添加量は、金属
MgとCeミッシュメタルとを併用する場合、金属Mg
はMg純分として元湯1トン当たり0.3〜1.0kg
程度、Ceミッシュメタルは元湯1トン当たり0.05
〜0.15kg程度とすれば十分である。黒鉛球状化剤
の添加方法は特に限定する必要はなく、溶湯中に金属M
g等を押し込んで添加する、所謂圧力添加法等を用いれ
ば良い。
【0027】このようにして溶製したダクタイル鋳鉄溶
湯を遠心鋳造設備にて鋳造し、ダクタイル鋳鉄管を製造
する。遠心鋳造設備では、特に、鋳造される鋳鉄管の品
質向上のために特段の対策を実施する必要はない。鋳造
後の300〜500℃程度の鋳鉄管を連続焼鈍炉に装入
し、900〜950℃まで昇温して焼鈍処理を実施す
る。
【0028】ダクタイル鋳鉄管をこのようにして製造す
ることで、P、Cu、Cr等の不純物元素が少ないダク
タイル鋳鉄管を効率良く且つ安定して製造することがで
きる。又、Mn含有量も低濃度レベルで任意に制御する
ことができる。
【0029】そして、フェライト化を抑制するCuと白
銑化促進元素であるCrとを共に0.03mass%以下ま
で低減することにより、ダクタイル鋳鉄管の基地はフェ
ライト化が促進され、機械試験値の伸びを向上させるこ
とができる。更に、Mn含有量を低濃度に制御した場合
には、Cu及びCrが少なくなることと相まって、フラ
イト化が一層促進され、焼鈍時間を短くすることや焼鈍
そのものを省略すること等が可能となる。更に又、Cu
及びCrが少なくなることから、黒鉛の球状化が促進さ
れ、黒鉛球状化剤の使用量を少なくすることができる。
又、P含有量を0.02mass%以下まで低減することに
より、シャルピー衝撃値を向上させることができる。
【0030】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。高炉から
出銑された溶銑を250トン容量の溶銑鍋に受けた後、
この溶銑を脱硫処理設備に搬送して脱硫処理を実施し
た。脱硫処理は、CaO系の脱硫剤を用いてインペラー
で撹拌する機械的撹拌法により行い、脱硫処理後の溶銑
のS含有量を0.005mass%まで低減した。脱硫処理
後、生成したスラグを溶銑鍋から排出させた。
【0031】次いで、この溶銑を脱燐処理設備に搬送し
て脱燐処理を実施した。脱燐処理は、生石灰、ミルスケ
ール、及び蛍石を溶銑湯面に上置きし、窒素を搬送用ガ
スとして粉状の生石灰を溶銑中に吹き込み、且つ、上吹
きランスから酸素を吹き付けながら実施した。脱燐処理
後の溶銑のP含有量は0.010mass%であった。脱燐
処理後、復燐防止のために生成したスラグを溶銑鍋から
排出させた。
【0032】脱燐処理後、溶銑鍋から40トン容量の小
型取鍋に30トンの溶銑を分湯し、この溶銑をダクタイ
ル鋳鉄用の元湯とした。溶銑鍋から小型取鍋に分湯する
際に、小型取鍋内にFe−Si合金をSi純分で溶銑ト
ン当たり10kg、Fe−Mn合金をMn純分で2kg
入れ置きすると共に、ダクタイル鋳鉄管の製造工程で発
生したリターン屑を入れ置きして、その上に溶銑を注入
してFe−Si合金、Fe−Mn合金、及びリターン屑
を溶解させた。そして、この小型取鍋を鋳鉄管製造工場
に搬送し、低周波誘導加熱装置を備えた40トン容量の
保持炉にこの元湯を装入した。
【0033】保持炉から3トン容量の取鍋に元湯を出湯
し、この取鍋内の元湯にFe−Si合金を添加し、更
に、金属Mg及びCeミッシュメタルを添加してダクタ
イル鋳鉄溶湯を溶製した。表1に高炉出銑時からダクタ
イル鋳鉄溶湯に溶製されるまでの溶湯の化学成分組成の
変遷を示す。
【0034】
【表1】
【0035】このダクタイル鋳鉄溶湯を金型遠心鋳造装
置にて鋳造し、口径100mm、管厚7.5mmのダクタイ
ル鋳鉄管を製造した。鋳込温度は1230〜1380℃
である。鋳造後、900〜950℃に設定してある連続
焼鈍炉にダクタイル鋳鉄管を装入して焼鈍処理を施し
た。焼鈍処理後、ダクタイル鋳鉄管の端部から試験片を
採取して、引張試験及びシャルピー衝撃試験(常温)を
実施した。表2に、ダクタイル鋳鉄管の化学成分組成、
引張試験結果、及びシャルピー衝撃試験結果を示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2中の実施例1は上記の説明により製造
したダクタイル鋳鉄管であり、実施例2は高炉出銑時期
が異なる溶銑を用いた例であり、実施例2ではFe−M
n合金を添加していないが、その他の製造方法は実施例
1と同一である。又、従来例1及び従来例2は、鉄スク
ラップと銑鉄とを主たる鉄源原料としてキュポラにて溶
解した元湯から製造された鋳鉄管である。
【0038】表2から明らかなように、本発明の実施例
では従来例に比べてPの含有量が低く、且つ、Cu、C
r等の鉄スクラップに起因する不純物成分の含有量が低
いことが分かる。そして、本発明の実施例では伸びが1
8%以上で、又、シャルピー衝撃値が90J/cm2
上であり、靭性に優れていることが分かった。従来例
1,2もダクタイル鋳鉄管として十分な品質を確保して
いるが、本発明によりダクタイル鋳鉄管の品質が一層向
上することが判明した。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればダ
クタイル鋳鉄管のP、Cu、Cr等の不純物成分の含有
量を従来のダクタイル鋳鉄管では達成不可能な範囲まで
低減することが可能となると共に、Mn含有量も低位に
制御することが可能となる。その結果、伸び及びシャル
ピー衝撃値等の機械試験値を向上させることが達成さ
れ、工業上有益な効果がもたらされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21C 7/064 C21C 7/064 A Z C21D 5/00 C21D 5/00 T C22C 37/06 C22C 37/06 Z Fターム(参考) 4K013 BA03 BA05 CA04 CA12 CC09 CF01 CF13 DA03 DA09 DA13 EA03 EA09 EA12 EA24 EA32 4K014 AA02 AA03 AB03 AB12 AB16 AC03 AC11 AC17 AD23 BA01 BB01 BC11 BC12 BD08 BE02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱硫処理及び脱燐処理が施された高炉溶
    銑を遠心鋳造設備にて鋳造して得られたダクタイル鋳鉄
    管であって、P含有量が0.02mass%以下、Cu含有
    量が0.03mass%以下、Cr含有量が0.03mass%
    以下であることを特徴とするダクタイル鋳鉄管。
  2. 【請求項2】 高炉から出銑された溶銑に対して脱硫処
    理及び脱燐処理を施し、次いで、この溶銑にMg、S
    i、希土類元素のうちの何れか1種以上を含有する黒鉛
    球状化剤を添加し、その後、この溶銑を遠心鋳造設備に
    て鋳造して鋳鉄管とすることを特徴とするダクタイル鋳
    鉄管の製造方法。
  3. 【請求項3】 更に、鋳造後の鋳鉄管を焼鈍処理するこ
    とを特徴とする請求項2に記載のダクタイル鋳鉄管の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 溶銑中のP含有量が0.02mass%以下
    となるまで脱燐処理することを特徴とする請求項2又は
    請求項3に記載のダクタイル鋳鉄管の製造方法。
JP2001063236A 2001-03-07 2001-03-07 ダクタイル鋳鉄管及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3672832B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001063236A JP3672832B2 (ja) 2001-03-07 2001-03-07 ダクタイル鋳鉄管及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001063236A JP3672832B2 (ja) 2001-03-07 2001-03-07 ダクタイル鋳鉄管及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002266047A true JP2002266047A (ja) 2002-09-18
JP3672832B2 JP3672832B2 (ja) 2005-07-20

Family

ID=18922261

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001063236A Expired - Fee Related JP3672832B2 (ja) 2001-03-07 2001-03-07 ダクタイル鋳鉄管及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3672832B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010189706A (ja) * 2009-02-18 2010-09-02 Kurimoto Ltd 球状黒鉛鋳鉄管およびその製造方法
JP2011516265A (ja) * 2008-03-10 2011-05-26 王宇新 ダクタイル鋳鉄溶湯の鋳込み過程における球状化阻害及び鋳込温度低下を防止する処理方法及び専用鋳込装置
JP2011190516A (ja) * 2010-03-16 2011-09-29 Kurimoto Ltd 球状黒鉛鋳鉄管およびその製造方法
CN103215490A (zh) * 2013-05-17 2013-07-24 莱州新忠耀机械有限公司 一种薄壁a型石墨铸件的制备方法
JP2013173969A (ja) * 2012-02-24 2013-09-05 Riken Corp 高剛性球状黒鉛鋳鉄
CN104480381A (zh) * 2015-01-23 2015-04-01 四川省川建管道有限公司 一种水冷金属型离心球墨铸铁管的工业制备方法
CN104480268A (zh) * 2014-11-17 2015-04-01 芜湖金龙模具锻造有限责任公司 一种汽车转向节的热处理方法
CN105039839A (zh) * 2015-08-20 2015-11-11 合肥市田源精铸有限公司 一种用于曲轴的球墨铸铁的制备方法
CN109338025A (zh) * 2018-10-24 2019-02-15 杭州幽若科技有限公司 一种环保的废钢生产球墨铸铁井盖流水线工艺

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105414513A (zh) * 2015-11-04 2016-03-23 辛胜利 一种焊管机组成型辊辊体加工方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011516265A (ja) * 2008-03-10 2011-05-26 王宇新 ダクタイル鋳鉄溶湯の鋳込み過程における球状化阻害及び鋳込温度低下を防止する処理方法及び専用鋳込装置
US8419821B2 (en) 2008-03-10 2013-04-16 Yuxin Wang Method for treating spheroidal graphite iron and pouring device thereof
KR101263418B1 (ko) 2008-03-10 2013-05-10 우신 왕 액상 구상 흑연 주철이 주조 과정에 구상화 열화가 발생하고 주조 온도를 떨어뜨리는 것을 피하는 처리 방법 및 전용 주조 설비
US8767793B2 (en) 2008-03-10 2014-07-01 Yuxin Wang Method for treating spheroidal graphite iron and pouring device thereof
JP2010189706A (ja) * 2009-02-18 2010-09-02 Kurimoto Ltd 球状黒鉛鋳鉄管およびその製造方法
JP2011190516A (ja) * 2010-03-16 2011-09-29 Kurimoto Ltd 球状黒鉛鋳鉄管およびその製造方法
JP2013173969A (ja) * 2012-02-24 2013-09-05 Riken Corp 高剛性球状黒鉛鋳鉄
CN103215490A (zh) * 2013-05-17 2013-07-24 莱州新忠耀机械有限公司 一种薄壁a型石墨铸件的制备方法
CN104480268A (zh) * 2014-11-17 2015-04-01 芜湖金龙模具锻造有限责任公司 一种汽车转向节的热处理方法
CN104480381A (zh) * 2015-01-23 2015-04-01 四川省川建管道有限公司 一种水冷金属型离心球墨铸铁管的工业制备方法
CN105039839A (zh) * 2015-08-20 2015-11-11 合肥市田源精铸有限公司 一种用于曲轴的球墨铸铁的制备方法
CN109338025A (zh) * 2018-10-24 2019-02-15 杭州幽若科技有限公司 一种环保的废钢生产球墨铸铁井盖流水线工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP3672832B2 (ja) 2005-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN109252008A (zh) 一种低碳低氮超低硫钢的生产方法
JP5954551B2 (ja) 転炉製鋼法
JP6743915B2 (ja) 溶鋼の脱硫処理方法及び脱硫剤
CN108330245A (zh) 一种不锈钢的高纯净冶炼方法
CN102071287A (zh) 耐高温高压合金钢的冶炼方法
TWI685577B (zh) 高錳鋼的冶煉方法
CN113802045A (zh) 一种超低碳低铝钢的精炼工艺
RU2608865C2 (ru) Способ десульфурации стали
JP2006233264A (ja) 高クロム溶鋼の溶製方法
JPH07216434A (ja) 極低炭素極低硫黄鋼の製造方法
JP3672832B2 (ja) ダクタイル鋳鉄管及びその製造方法
JP2016151027A (ja) 溶鋼の製造方法
CN114214481A (zh) 一种降低钢中氮含量的方法
US4097269A (en) Process of desulfurizing liquid melts
JP4765374B2 (ja) 含クロム溶銑の脱硫処理方法
JP3460595B2 (ja) 極低硫鋼の溶製方法
CN113897532A (zh) 一种高硫低锰钒钛铁水制备q235b铸坯的方法
JPH09235611A (ja) 清浄性の高い極低硫純鉄の製造方法
JPH06207212A (ja) S含有量の極めて少ない高清浄度極低炭素鋼の製造方法
JP4957018B2 (ja) 溶鋼の精錬方法
JP2004277830A (ja) 転炉製鋼方法
JP2003049216A (ja) 溶鋼製造方法
JP7255639B2 (ja) 溶鋼の脱硫方法および脱硫フラックス
JP4183524B2 (ja) 高清浄度鋼の製造方法
JP4214894B2 (ja) 溶銑の予備処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040927

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041102

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050419

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050420

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3672832

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080428

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees