JP2002265941A - 輝尽性蛍光体の製造方法 - Google Patents

輝尽性蛍光体の製造方法

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JP2002265941A
JP2002265941A JP2001069292A JP2001069292A JP2002265941A JP 2002265941 A JP2002265941 A JP 2002265941A JP 2001069292 A JP2001069292 A JP 2001069292A JP 2001069292 A JP2001069292 A JP 2001069292A JP 2002265941 A JP2002265941 A JP 2002265941A
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firing
cooling
stimulable phosphor
gas
replacement gas
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JP2001069292A
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Hiroshi Matsumoto
宏志 松本
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空排気設備が不要で、設備コストを低減す
ることができる輝尽性蛍光体の製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも、輝尽性蛍光体原料を混合し
て、輝尽性蛍光体原料混合物を調製する混合工程と、焼
成空間に存在する被置換ガスGa’を置換ガスGaに置
換し、前記置換ガスGa雰囲気で前記輝尽性蛍光体原料
混合物を焼成して焼成物を調製する焼成工程と、前記焼
成物を冷却する冷却工程と、を有する輝尽性蛍光体の製
造方法であって、前記焼成工程において、前記焼成空間
に前記置換ガスGaをフローして、前記焼成空間に存在
する前記被置換ガスGa’を前記置換ガスGaに置換す
るフロー処理が施されることを特徴とする輝尽性蛍光体
の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる方法とし
て、輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法が知ら
れている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線
像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもの
で、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた
放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののち
に輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起
光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体
中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光
光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電
気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体
あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するも
のである。読み取りを終えた該パネルは、残存する画像
の消去が行われた後、次の撮影のために備えられる。す
なわち、放射線像変換パネルは繰り返し使用することが
できる。
【0003】上記の放射線像記録再生方法によれば、従
来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放
射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝
線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができると
いう利点がある。さらに、従来の放射線写真法では一回
の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対し
て、この放射線像記録再生方法では放射線像変換パネル
を繰返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも
有利である。
【0004】輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励
起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用
上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光
によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示
す蛍光体が一般的に利用される。
【0005】輝尽性蛍光体は、一般に、以下の方法によ
り製造される。まず、輝尽性蛍光体原料を乾燥状態で均
一に混合することにより(乾式法)または輝尽性蛍光体
原料を均一に混合したスラリー状態とした後、乾燥する
ことにより(湿式法)、輝尽性蛍光体原料混合物の調製
を行う(混合工程)。次いで、通常、得られた輝尽性蛍
光体原料混合物を母体結晶(BaFX等)の融点に近い
温度で、ほぼ大気圧下にある中性雰囲気または弱還元性
雰囲気中で数時間かけて焼成する(焼成工程)。所望に
より、一旦得られた焼成物を再焼成してもよい。焼成工
程を経ることにより、輝尽性蛍光体の母体結晶が成長す
ると同時に、母体結晶中に賦活剤元素(Eu等)が拡散
し、さらに輝尽中心の源となるF+中心も生成する。従
って、焼成工程は、輝尽性蛍光体の発光特性に影響を及
ぼす重要な工程である。焼成後、放冷、空冷等を行う冷
却工程を経て輝尽性蛍光体が製造される。なお、該輝尽
性蛍光体に、必要に応じて洗浄、分級等の処理が施され
ることもある。
【0006】従来、上記焼成工程では、焼成に先立っ
て、あるいは焼成の途中で、焼成雰囲気を所望の雰囲気
に変えるため、一旦、真空排気処理を行ってから当該雰
囲気とするためのガスを導入していた。しかし、このよ
うな真空排気処理を行うことは、大掛かりな真空排気装
置が必要となり、設置空間を要するばかりか、製造コス
トが高くなるといった問題がある。
【0007】また、特開平8−231952号公報に記
載のように、焼成工程を経た後、焼成雰囲気から微量酸
素雰囲気として焼鈍する場合も、一旦、真空排気処理を
行ってから、焼鈍のための雰囲気としている。従って、
この場合も、大掛かりな真空排気装置が必要となり、製
造コストが高くなるといった問題がある。
【0008】焼成効率を向上させて焼成量を増やす目的
で焼成炉容積(焼成空間)を大きくした場合、真空排気
を行って必要なガスを導入し、焼成雰囲気を所望の雰囲
気に置換する方法では、真空排気時に必要な真空度を得
るのに時間がかかるといった問題がある。また、真空排
気能力の高い真空排気設備が必要となり、投資コストが
増える。さらに、ハロゲン成分を含むガス等のように、
焼成時に焼成物から排出されるガスが強い腐食性を有す
る場合、真空排気設備のメンテナンスにもコストがかか
ってしまう。
【0009】一方、冷却工程において、固有の冷却室を
有する製造装置を使用する場合も、焼成雰囲気から冷却
のための雰囲気に切り替えることが望ましく、この場合
も同様に真空排気装置が必要となり、製造コストが高く
なるといった問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上から、本発明の目
的は、真空排気設備が不要で、設備コストを低減するこ
とができる輝尽性蛍光体の製造方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題は、以下に示す
本発明により解決される。すなわち、本発明は、 <1> 少なくとも、輝尽性蛍光体原料を混合して、輝
尽性蛍光体原料混合物を調製する混合工程と、焼成空間
に存在する被置換ガスGa’を置換ガスGaに置換し、
前記置換ガスGa雰囲気で前記輝尽性蛍光体原料混合物
を焼成して焼成物を調製する焼成工程と、前記焼成物を
冷却する冷却工程と、を有する輝尽性蛍光体の製造方法
であって、前記焼成工程において、前記焼成空間に前記
置換ガスGaをフローして、前記焼成空間に存在する前
記被置換ガスGa’を前記置換ガスGaに置換するフロ
ー処理が施されることを特徴とする輝尽性蛍光体の製造
方法である。
【0012】<2> 少なくとも、輝尽性蛍光体原料を
混合して、輝尽性蛍光体原料混合物を調製する混合工程
と、前記輝尽性蛍光体原料混合物を焼成して焼成物を調
製する焼成工程と、冷却空間に存在する被置換ガスG
b’を置換ガスGbに置換し、前記置換ガスGb雰囲気
で前記焼成物を冷却する冷却工程と、を有する輝尽性蛍
光体の製造方法であって、前記冷却工程において、前記
冷却空間に前記置換ガスGbをフローして、前記冷却空
間に存在する前記被置換ガスGb’を前記置換ガスGb
に置換するフロー処理が施されることを特徴とする輝尽
性蛍光体の製造方法である。
【0013】<3> 少なくとも、輝尽性蛍光体原料を
混合して、輝尽性蛍光体原料混合物を調製する混合工程
と、焼成空間に存在する被置換ガスGa’を置換ガスG
aに置換し、前記置換ガスGa雰囲気で前記輝尽性蛍光
体原料混合物を焼成して焼成物を調製する焼成工程と、
冷却空間に存在する被置換ガスGb’を置換ガスGbに
置換し、前記置換ガスGb雰囲気で前記焼成物を冷却す
る冷却工程と、を有する輝尽性蛍光体の製造方法であっ
て、前記焼成工程において、前記焼成空間に前記置換ガ
スGaをフローして、前記焼成空間に存在する前記被置
換ガスGa’を前記置換ガスGaに置換するフロー処理
が施され、前記冷却工程において、前記冷却空間に前記
置換ガスGbをフローして、前記冷却空間に存在する前
記被置換ガスGb’を前記置換ガスGbに置換するフロ
ー処理が施されることを特徴とする輝尽性蛍光体の製造
方法である。
【0014】<4> 前記焼成工程における前記置換ガ
スGaを、フロー量:2×Vaリットル(Va:焼成空
間の容積)以上とし、フロー流速:0.01×Va〜1
0×Vaリットル/分とすることを特徴とする<1>ま
たは<3>に記載の輝尽性蛍光体の製造方法である。
【0015】<5> 前記冷却工程における前記置換ガ
スGbを、フロー量:2×Vbリットル(Vb:冷却空
間の容積)以上とし、フロー流速:0.01×Vb〜1
0×Vbリットル/分とすることを特徴とする<2>ま
たは<3>に記載の輝尽性蛍光体の製造方法である。
【0016】<6> 製造される輝尽性蛍光体が、下記
基本組成式(I)で表されることを特徴とする<1>〜
<5>のいずれかに記載の輝尽性蛍光体の製造方法であ
る。 (Ba1-a,MII a)FX:zLn・・・(I) (MIIは、SrおよびCaのうち少なくとも一種のアル
カリ土類金属を表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、E
u、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYbか
らなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表
す。Xは、Cl、Br、Iからなる群より選ばれる少な
くとも一種のハロゲン元素を表す。aは0≦a<1の数
値を表し、zは0<z≦0.2の数値を表す。)
【0017】
【発明の実施の形態】<<輝尽性蛍光体の製造方法>> <第一の製造方法>本発明の輝尽性蛍光体の第一の製造
方法は、少なくとも、輝尽性蛍光体原料を混合して、輝
尽性蛍光体原料混合物を調製する混合工程と、焼成空間
に存在する被置換ガスGa’を置換ガスGaに置換し、
前記置換ガスGa雰囲気で前記輝尽性蛍光体原料混合物
を焼成して焼成物を調製する焼成工程と、前記焼成物を
冷却する冷却工程と、からなり、前記焼成工程におい
て、前記焼成空間に前記置換ガスGaをフローして、前
記焼成空間に存在する前記被置換ガスGa’を前記置換
ガスGaに置換するフロー処理が施される。以下、各工
程について説明する。
【0018】(混合工程)混合工程とは、輝尽性蛍光体
原料を混合して、輝尽性蛍光体原料混合物を調製する工
程である。輝尽性蛍光体原料としては、下記原料(1)
〜(5)が挙げられる。 (1)BaF2、BaCl2、BaBr2、BaI2、Ba
FBr、BaFIおよびBaFClからなる群より選ば
れる少なくとも一種のハロゲン化バリウム。 (2)CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2、Sr
2、SrCl2、SrBr2、SrI2、MgF2、Mg
Cl2、MgBr2およびMgI2からなる群より選ばれ
る少なくとも一種のアルカリ土類金属ハロゲン化物。 (3)CsCl、CsBr、CsI、NaCl、NaB
r、NaI、KCl、KBr、KI、RbCl、RbB
r、RbI、RbF、CsF、NaF、KF、LiF、
LiCl、LiBrおよびLiIからなる群より選ばれ
る少なくとも一種のアルカリ金属のハロゲン化物。 (4)Al23、SiO2およびZrO2からなる群より
選ばれる少なくとも一種の金属酸化物。 (5)ハロゲン化物、酸化物、硝酸塩、硫酸塩等の希土
類元素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の
化合物。 所望により、さらにハロゲン化アンモニウム(NH
4X’,但し、X’はF、Cl、BrまたはIを表
す。)等をフラックスとして使用してもよい。
【0019】輝尽性蛍光体原料混合物は、前記原料
(1)〜(5)のそれぞれの中から所望の原料を選択
し、所望の相対比となるように化学量論的に秤量、混合
して、輝尽性蛍光体原料混合物を調製するのが好まし
い。具体的には、後述する基本組成式(I)に相当する
相対比となるように化学量論的に秤量、混合して、輝尽
性蛍光体原料混合物を調製するのが好ましい。
【0020】前記輝尽性蛍光体原料混合物の調製方法と
しては、公知の混合方法の中から適宜選択して行うこと
ができる。例えば、特開平7−233369号公報およ
び特開平10−195431号公報に記載の、粒子形状
と粒子アスペクト比を制御した14面体型の希土類賦活
アルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の
製造における調製方法が挙げられ、さらに、輝尽性蛍光
体原料の混合に際して、剪断力を付与し得る手段を利用
した調製方法(i)、各輝尽性蛍光体原料の添加、混合
のタイミング等の種々条件を制御しうる手段を利用した
調製方法(ii)により調製することもできる。
【0021】調製方法(i)および(ii)での混合に
用いる混合装置としては、公知の混合装置の中から適宜
選択して行うことができ、例えば、各種ミキサー、V型
ブレンダー、ボールミル、ロッドミル等を挙げることが
できる。
【0022】(焼成工程)焼成工程とは、焼成空間に存
在する被置換ガスGa’を置換ガスGaに置換し、前記
置換ガスGa雰囲気で前記輝尽性蛍光体原料混合物を焼
成して焼成物を調製する工程である。
【0023】従来、焼成雰囲気を変えるには、焼成空間
に存在する被置換ガスGa’(フロー処理を行う前に焼
成空間に存在する空気等のガス)を真空ポンプ等の真空
排気装置により一旦排気し、その後、置換ガスGaを導
入して行っていた。しかし、このような方法では、真空
排気装置が必須となり、焼成空間が大きくなると、前記
真空排気装置が大掛かりなものとなってしまい、大きな
コストがかかってしまうという問題があった
【0024】そこで、本発明では、フロー処理を行うこ
とで、真空排気装置を必要とすることなく焼成空間の雰
囲気を所望の雰囲気に変えることができることを見出し
た。焼成工程におけるフロー処理とは、置換ガスGaを
フロー(供給)して、焼成空間に存在する被置換ガスG
a’を置換ガスGaに置換して、最終的に置換ガスGa
雰囲気となるまで、焼成空間に置換ガスGaをフローす
る処理を意味する。
【0025】ここで、焼成空間とは、具体的には、輝尽
性蛍光体原料混合物を焼成する炉(焼成炉)の内部空間
をいう。かかる焼成空間の容積Vaは、10〜1000
0リットルであることが好ましく、50〜5000リッ
トルであることがより好ましい。
【0026】置換ガスのフロー量は、2×Vaリットル
以上とするのが好ましく、3×Va〜10×Vaリット
ルとすることがより好ましい。フロー量が2×Vaリッ
トル未満だと、被置換ガスGa’を置換ガスGaで完全
に置換することができない場合がある。フロー流速は、
0.01×Va〜10×Vaリットル/分とすることが
好ましく、0.03×Va〜3×Vaリットル/分とす
ることがより好ましい。0.01×Vaリットル/分未
満だと、フロー処理に時間がかかる過ぎることがあり、
10×Vaリットル/分を超えると、蛍光体原料混合物
が炉内に飛散することがある。
【0027】置換ガスGaとしては、設定する焼成雰囲
気が、中性雰囲気、弱還元性雰囲気および酸化性雰囲気
のいずれであるかにより適宜選択する。前記中性雰囲気
とするための置換ガスGaとしては、窒素ガス、アルゴ
ンガス等を使用することができる。前記弱還元性雰囲気
とするための置換ガスGaとしては、0.001〜5%
の水素ガスを含有する窒素ガス、0.001〜5%の一
酸化炭素ガスを含有する二酸化炭素ガス等を使用するこ
とができる。弱還元性雰囲気とすることで、輝尽性蛍光
体原料の希土類元素として三価のユーロピウム化合物が
含まれる場合には、焼成段階で三価のユーロピウムが、
二価のユーロピウムに還元される。前記酸化性雰囲気と
するための置換ガスGaとしては、0.001〜5%の
酸素ガスを含有する窒素ガス等を使用することができ
る。
【0028】前記輝尽性蛍光体原料混合物を焼成するに
は、輝尽性蛍光体原料混合物を焼成容器に充填した後、
焼成炉の炉芯に入れて、フロー処理を行って被置換ガス
Ga’を置換ガスGaに置換して焼成炉内を置換ガスG
a雰囲気として、所定の温度まで昇温して焼成を行う。
前記焼成容器の材質および形状は、特に制限されない
が、材質は石英ガラスが好ましく、形状はボート型が好
ましい。ここでいうボート型とは、上面が開口している
形状であり、底面の形状は、円形、楕円形、長方形等、
いずれであってもよい。
【0029】焼成は、一定温度の下で行うが、このとき
の焼成温度としては、400〜1000℃が好ましく、
600〜900℃がより好ましい。前記焼成温度が、4
00℃未満では、母体結晶中での賦活剤元素の拡散や輝
尽中心の源となるF+の生成が不十分となることがあ
り、1000℃を超えると、母体結晶が溶融してしまう
ことがある。
【0030】焼成時間としては、処理する輝尽性蛍光体
原料混合物の量、焼成温度、炉からの取出温度等によっ
ても異なるが、一般に、0.5〜10時間が好ましく、
1〜4時間がより好ましい。焼成時間が、0.5時間未
満では、母体結晶中での賦活剤元素の拡散や輝尽中心の
源となるF+の生成が不十分となることがあり、10時
間を超えて焼成を行っても、輝尽性蛍光体のそれ以上の
特性上の変化は少なく、生産性を低下させることがあ
る。
【0031】(冷却工程)冷却工程とは、焼成工程を経
た焼成物を冷却する工程である。冷却工程では、焼成温
度から前記焼成物が100℃付近になるまで冷却され
る。前記冷却工程における冷却方法としては、特に限定
されるものではなく、公知の冷却方法より適宜選択する
ことができ、例えば、放冷、急冷等により冷却すること
ができる。
【0032】(その他の工程)その他の工程として、前
記冷却工程の後に、洗浄工程、乾燥工程、篩分工程等の
一般的な各種工程を設けることができる。
【0033】また、前記焼成工程と冷却工程との間に、
一定温度に維持しながら前記焼成工程における雰囲気を
除去し、前記雰囲気と異なる雰囲気に置換して、徐冷処
理を行う徐冷工程を設けることもできる。前記徐冷処理
は、一定温度での焼成を終了する直前に行ってもよい
が、さらに一定温度に維持しつつ、雰囲気の除去、置換
を行いながら所定時間経過した後に行うことが好まし
い。前記所定時間としては、0〜240分が好ましく、
30〜180分がより好ましい。前記所定時間が、18
0分を超えると、得られた輝尽性蛍光体の発光特性が劣
化することがある。
【0034】前記徐冷処理では、徐冷開始温度から所定
の温度まで緩やかな温度勾配に制御して温度を下げる。
この場合の降温速度としては、0.2〜5℃/分が好ま
しく、0.5〜3℃/分がより好ましい。前記降温速度
が、0.2℃/分未満であると、発光特性が劣化するこ
とがあり、5℃/分を超えると、十分に消去特性を改良
し得ないことがある。
【0035】また、徐冷処理は、徐冷開始温度より50
〜300℃低い温度となるまで行うことが好ましく、1
00〜250℃低い温度となるまで行うことがより好ま
しい。前記徐冷開始時と終了時の温度差が、50℃未満
であると、十分に消去特性を改良し得ないことがあり、
300℃を超えると、発光特性が劣化することがある。
【0036】さらに、雰囲気置換後、徐冷開始温度から
所定の温度まで下げる徐冷時間としては、30〜180
分が好ましく、60〜150分がより好ましい。前記徐
冷時間が、30分未満であると、十分に消去特性を改良
し得ないことがあり、180分を超えると、発光特性が
劣化することがある。以上のような各工程を経て、輝尽
性蛍光体が製造される。
【0037】<第二の製造方法>本発明の輝尽性蛍光体
の第二の製造方法は、少なくとも、輝尽性蛍光体原料を
混合して、輝尽性蛍光体原料混合物を調製する混合工程
と、前記輝尽性蛍光体原料混合物を焼成して焼成物を調
製する焼成工程と、冷却空間に存在する被置換ガスG
b’を置換ガスGbに置換し、前記置換ガスGb雰囲気
で前記焼成物を冷却する冷却工程と、を有する輝尽性蛍
光体の製造方法であって、前記冷却工程において、前記
冷却空間に前記置換ガスGbをフローして、前記冷却空
間に存在する前記被置換ガスGb’を前記置換ガスGb
に置換するフロー処理が施される。以下、各工程につい
て説明する。
【0038】(混合工程)混合工程とは、輝尽性蛍光体
原料を混合して、輝尽性蛍光体原料混合物を調製する工
程であり、第一の製造方法と同様なので説明は省略す
る。
【0039】(焼成工程)焼成工程とは、混合工程を経
た輝尽性蛍光体原料混合物を焼成して焼成物を調製する
工程であり、第一の製造方法において、焼成空間に存在
する被置換ガスGa’を置換ガスGaに置換し、前記置
換ガスGa雰囲気とするフロー処理を行わないこと以外
は、第一の製造方法における焼成工程と同様である。
【0040】(冷却工程)冷却工程とは、冷却空間に存
在する被置換ガスGb’を置換ガスGbに置換し、前記
置換ガスGb雰囲気で前記焼成物を冷却する工程であ
る。冷却工程では、焼成温度から前記焼成物が100℃
付近になるまで冷却される。前記冷却工程における冷却
方法としては、第一の製造方法と同様に、公知の冷却方
法より適宜選択することができ、例えば、放冷、急冷等
により冷却することができる。
【0041】従来、冷却雰囲気を変えるためには、冷却
空間に存在する被置換ガスGb’(フロー処理を行う前
に冷却空間に存在する空気等のガス)を真空ポンプ等の
真空排気装置により一旦排気し、その後、置換ガスGb
を導入して行っていた。しかし、このような方法では、
真空排気装置が必須となり、冷却空間が大きくなると、
前記真空排気装置が大掛かりなものとなってしまい、大
きなコストがかかってしまうという問題があった。
【0042】そこで、本発明では、フロー処理を行うこ
とで、真空排気装置を必要とすることなく冷却空間の雰
囲気を所望の雰囲気に変えることができることを見出し
た。冷却工程におけるフロー処理とは、置換ガスGbを
フロー(供給)して、焼成空間に存在する被置換ガスG
b’を置換ガスGbに置換して、最終的に置換ガスGb
雰囲気となるまで、焼成空間に置換ガスGbをフローす
る処理を意味する。
【0043】ここで、冷却空間とは、具体的には、焼成
工程を経た焼成物を冷却する冷却室の内部空間をいう。
かかる冷却空間の容積Vbは、10〜10000リット
ルであることが好ましく、50〜5000リットルであ
ることがより好ましい。
【0044】置換ガスのフロー量は、2×Vbリットル
以上とするのが好ましく、3×Vb〜10×Vbリット
ルとすることがより好ましい。フロー量が2×Vaリッ
トル未満だと、被置換ガスGb’を置換ガスGbで十分
に置換することができない場合がある。フロー流速は、
0.01×Vb〜10×Vbリットル/分とすることが
好ましく、0.03×Vb〜3×Vbリットル/分とす
ることがより好ましい。0.01×Vbリットル/分未
満だと、フロー処理に時間がかかる過ぎることがあり、
10×Vbリットル/分を超えると、蛍光体焼成物が冷
却室内に飛散することがある。
【0045】冷却工程におけるフロー処理は、焼成物を
冷却空間に移動させた後に行ってもよいが、冷却空間に
移動させる前に、予め行っていてもよい。また、焼成物
を冷却空間に移動させた後、冷却しつつフロー処理を行
ってもよい。さらに、冷却しつつフロー処理を行い、置
換ガスGb雰囲気としてからフロー処理を止めて、冷却
のみを行ってもよい。
【0046】置換ガスGbとしては、設定する冷却雰囲
気が、中性雰囲気、弱還元性雰囲気および酸化性雰囲気
のいずれであるかにより適宜選択する。中性雰囲気、弱
還元性雰囲気および酸化性雰囲気のいずれかの雰囲気と
するための置換ガスGbとしては、第一の製造方法の焼
成工程における置換ガスGaと同様のものを使用するこ
とができる。フロー処理を行って被置換ガスGb’を置
換ガスGbに置換して冷却室内を置換ガスGb雰囲気と
して、所定の温度まで冷却を行う。
【0047】(その他の工程)第一の製造方法と同様
に、その他の工程として、前記冷却工程の後に、洗浄工
程、乾燥工程、篩分工程等の一般的な各種工程を設けて
もよい。また、同様に、徐冷工程を設けてもよい。以上
のような各工程を経て、輝尽性蛍光体が製造される。
【0048】<第三の製造方法>少なくとも、輝尽性蛍
光体原料を混合して、輝尽性蛍光体原料混合物を調製す
る混合工程と、前記輝尽性蛍光体原料混合物を焼成して
焼成物を調製する焼成工程と、冷却空間に存在する被置
換ガスGb’を置換ガスGbに置換し、前記置換ガスG
b雰囲気で前記焼成物を冷却する冷却工程と、を有する
輝尽性蛍光体の製造方法であって、前記冷却工程におい
て、前記冷却空間に前記置換ガスGbをフローして、前
記冷却空間に存在する前記被置換ガスGb’を前記置換
ガスGbに置換するフロー処理が施される。以下、各工
程について説明する。
【0049】(混合工程)混合工程とは、輝尽性蛍光体
原料を混合して、輝尽性蛍光体原料混合物を調製する工
程であり、第一の製造方法と同様なので説明は省略す
る。
【0050】(焼成工程)焼成工程とは、混合工程を経
た輝尽性蛍光体原料混合物を焼成して焼成物を調製する
工程であり、第一の製造方法における焼成工程と同様で
ある。
【0051】(冷却工程)冷却工程とは、冷却空間に存
在する被置換ガスGb’を置換ガスGbに置換し、前記
置換ガスGb雰囲気で前記焼成物を冷却する工程であ
り、第二の製造方法における焼成工程と同様である。
【0052】(その他の工程)第一の製造方法と同様
に、その他の工程として、前記冷却工程の後に、洗浄工
程、乾燥工程、篩分工程等の一般的な各種工程を設けて
もよい。また、同様に、徐冷工程を設けてもよい。以上
のような各工程を経て、輝尽性蛍光体が製造される。
【0053】<<輝尽性蛍光体>>本発明の製造方法で
製造される輝尽性蛍光体は、下記基本組成式(I)で表
される輝尽性蛍光体であることが好ましい。以下、下記
基本組成式(I)で表される輝尽性蛍光体を例に本発明
の製造方法で製造される輝尽性蛍光体について説明す
る。
【0054】 (Ba1-a,MII a)FX:zLn・・・(I) (MIIは、SrおよびCaのうち少なくとも一種のアル
カリ土類金属を表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、E
u、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYbか
らなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表
す。Xは、Cl、Br、Iからなる群より選ばれる少な
くとも一種のハロゲン元素を表す。aは0≦a<1の数
値を表し、zは0<z≦0.2の数値を表す。)
【0055】基本組成式(I)中のaは、0≦a≦0.
5の数値であることが好ましい。Lnとしては、Euま
たはCeの希土類元素であることが好ましい。また、基
本組成式(I)はその組成物が化学量論的にモル比が
F:X=1:1であることを示しているのではなく、
(Ba1-a,MII a)FXで表わされるPbFCI型結晶
構造の化合物であることを示している。一般に、BaF
X結晶においてX-イオンの空格子点であるF+(X-
中心が多く生成された状態が600〜700nmの光に
対する輝尽効率を高める上で好ましい。このときFはX
よりもやや過剰にあることが多い。
【0056】なお、基本組成式(I)では省略されてい
るが、必要に応じて、混合工程において種々の添加物を
加えて、下記基本組成式(II)で表される輝尽性蛍光
体としてもよい。 (Ba1-a,MII a)FX・wNI・xNII・yNIII・bA:zLn ・・・(II)
【0057】基本組成式(II)中、MII、Ln、Xお
よびa、zは、それぞれ基本組成式(I)の場合と同様
である。NIはLi、Na、K、RbおよびCsからな
る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物
を表し、NIIはMgおよびBeからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ土類金属化合物を表す。N
IIIはAl、Ga、In、Tl、Sc、Y、La、Gd
およびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三
価金属化合物を表す。前記三価金属化合物としては特開
昭59‐75200号公報に記載のようなハロゲン化物
を用いることが好ましいが、それらに限定されるもので
はない。また、AはAl23、SiO2、ZrO2等の金
属酸化物を表わす。BaFX粒子同士の焼結を防止する
上では一次粒子の体積平均粒径が0.1μm以下の超微
粒子で(Ba1-a,MII a)FXとの反応性が低いものが
好ましく、特にAl23が好ましい。さらに、b、w、
xおよびyは、それぞれ、(Ba1-a,MII a)FXのモ
ル数を1としたときの仕込添加量(モル量)であり、0
≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦
0.3の各範囲内の数値をそれぞれ表す。これらの数値
は焼成やその後の洗浄処理によって減量する添加物に関
しては最終的な組成物に含まれる元素比を表わしている
わけではない。また、最終的な組成物において添加され
たままの化合物として残留するものもあれば、BaFX
と反応する、あるいは取り込まれてしまうものもある。
【0058】その他、必要に応じて、特開昭55−12
145号公報に記載のZnおよびCd化合物;特開昭5
5−160078号公報に記載のTiO2、BeO、M
gO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Y23、La
23、In23、GeO2、SnO2、Nb25、Ta2
5、ThO2等の金属酸化物;特開昭56−11677
7号公報に記載のZrおよびSc化合物;特開昭57−
23673号公報に記載のB化合物;特開昭57−23
675号公報に記載のAsおよびSi化合物;特開昭5
9−27980号公報に記載のテトラフルオロホウ酸化
合物;特開昭59−47289号公報に記載のヘキサフ
ルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフ
ルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価の塩からなる
ヘキサフルオロ化合物;特開昭59−56480号公報
に記載のV、Cr、Mn、Fe、Co、およびNi等の
遷移金属化合物;等を混合工程において添加してもよ
い。
【0059】本発明の製造方法により製造されるもの
は、上述の添加物を含む輝尽性蛍光体に限られるもので
はなく、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物
系輝尽性蛍光体とみなされる組成を基本的に含むもので
あればいかなる物であってもよい。
【0060】<<製造装置>>以下、本発明の輝尽性蛍
光体の製造方法(特に、焼成工程および冷却工程)に好
ましく用いられる製造装置について説明する。前記製造
装置は、具体的には輝尽性蛍光体原料混合物を焼成する
ための焼成炉を有する装置であって、前記焼成炉内部
に、炉心管、および該炉心管外部に熱源が配され、さら
に、輝尽性蛍光体原料混合物を収容し得る焼成容器が前
記炉心管内部に出し入れ可能に備えられて構成されてい
るものが好ましい。
【0061】図1は、製造装置の一例を示す模式断面図
である。図1に示す輝尽性蛍光体の製造装置は、大きく
分けて、焼成部分A(すなわち、焼成空間)と冷却部分
B(すなわち、冷却空間)とから構成される。図1にお
いて、10は焼成炉であって、内部に炉心管12が、図
面上左右方向に焼成炉10を貫通する状態で配されてい
る。焼成炉10内部であって、炉心管12の外部には熱
源14が配され、熱源14によって焼成炉10内部が加
熱され、炉心管12内に投入される焼成容器16に収容
された輝尽性蛍光体原料混合物18が焼成できるように
構成されている。
【0062】炉心管12には、内部に置換ガスGaをフ
ローし得るように、ガス導入管20が弁22を介して連
通している。また、被置換ガスGa’を炉外に排気し得
るように、ガス排気管20’が弁22’を介して連通し
ている。
【0063】炉心管12の図面上、左端の開口部は、焼
成時の炉心管12内部密閉性を確保しつつ、焼成容器1
6を投入可能なようにサンプル投入口蓋24により閉止
されている。さらにサンプル投入口蓋24には、サンプ
ル投入口蓋24を開放することなく、投入した焼成容器
16を図面上、右方向へスライドさせ得るサンプル押出
し棒26が挿通されている。
【0064】尚、焼成容器16は、石英ボート、アルミ
ナルツボ、石英ルツボ、炭化ケイ素容器等の耐熱性容器
で構成されている。また、熱源14としては、従来公知
のあらゆる熱源を使用することができ、例えば公知の電
気ヒーターを採用することができる。
【0065】炉心管12の図面上右端の開口部は、焼成
部分Aと冷却部分Bとを遮蔽して、焼成時の炉心管12
および冷却時の冷却室28の内部密閉性を確保しつつ、
焼成後に焼成容器16を冷却部分Bヘ排出可能なように
仕切り扉30により閉止されている。仕切り扉30は、
図面上、上下方向(矢印yの方向)にスライドして、焼
成部分Aと冷却部分Bとの間の遮蔽および開放が可能と
なっている。
【0066】輝尽性蛍光体原料混合物18を焼成するに
際しては、まず、輝尽性蛍光体原料混合物18を焼成容
器16に収容し、サンプル投入口蓋24を開放状態にし
て炉心管12内部に投入する。サンプル投入口蓋24を
密閉状態にして(勿論、仕切り扉30も密閉状態となっ
ている)、サンプル押出し棒26を矢印x方向に押し出
すことにより輝尽性蛍光体原料混合物18が収容された
焼成容器16をスライドさせ、これを所定の位置に置
く。
【0067】弁22を開きガス導入管20により置換ガ
スGaを導入してフロー処理を行う。このとき、弁2
2’を開いておくことで、被置換ガスGa’が排気管2
0’を通して排気される。所定のフロー量およびフロー
流速で、焼成部分Aに存在する被置換ガスGa’を置換
ガスGaに置換し、置換ガスGa雰囲気としたところで
弁22および22’を閉めてフロー処理を終了する。既
述のフロー量を流した段階で置換ガスGa雰囲気に置換
されているとみなす。その後、熱源14から熱を与え、
焼成を行う。このときの焼成条件(焼成時間、焼成温度
等)は、目的に応じて適宜設定すればよい。
【0068】焼成後、仕切り扉30を開放状態とし、サ
ンプル押出し棒26により焼成された輝尽性蛍光体原料
混合物18が収容された焼成容器16を矢印z方向へス
ライドさせ、冷却部分Bにこれを移動させる。
【0069】冷却部分Bは、冷却室28内に冷却台32
が配置されて構成され、冷却室28には、内部に置換ガ
スGbを導入し得るように、冷却室用のガス導入管34
が弁36を介して連通している。また、被置換ガスG
b’を炉外に排気し得るように、冷却室用のガス排気管
34’が弁36’を介して連通している。冷却室28の
図面上、右端には、開口部が設けられ、冷却時の冷却室
28内部密閉性を確保しつつ、焼成容器16を排出可能
なようにサンプル排出口蓋38により閉止されている。
【0070】既述の如く、焼成部分Aにおいて焼成され
た輝尽性蛍光体(輝尽性蛍光体原料混合物18の焼成
物)が収容された焼成容器16は、矢印z方向へスライ
ドされ、不図示のガイドに支持されて、冷却部分B中の
冷却台32上に載置される。その後、開放状態となって
いた仕切り扉30は、再び密閉状態にされる(勿論、サ
ンプル排出口蓋38も密閉状態となっている)。
【0071】弁36を開きガス導入管34により置換ガ
スGbを導入してフロー処理を行う。このとき、弁3
6’を開いておくことで、被置換ガスGb’が排気管3
4’を通して排気される。所定のフロー量およびフロー
流速で、冷却部分Bに存在する被置換ガスGb’を置換
ガスGbに置換し、置換ガスGb雰囲気としたところで
弁22および22’を閉めてフロー処理を終了する。既
述のフロー量を流した段階で置換ガスGb雰囲気に置換
されているとみなす。なお、当該フロー処理は、上述の
ように焼成容器16を焼成部分Aに移動させた後に行っ
てもよいが、焼成部分Aに移動させる前に、予め行って
いてもよい。また、焼成部分Aに移動させる前後でフロ
ー処理を行ってもよい。
【0072】冷却室28内部の雰囲気を置換ガスGb雰
囲気とした状態で、不図示の水冷手段等の冷却手段によ
り冷却台32が冷却され、焼成容器16に収容された輝
尽性蛍光体原料混合物18も冷却される。このときの冷
却条件(雰囲気、温度、時間、冷却温度・雰囲気の段数
等)は、目的に応じて適宜設定すればよい。また、特に
水冷手段等の冷却手段を設けることなく、放置すること
により自然に冷却してもよい。
【0073】所定の冷却を終えた輝尽性蛍光体(輝尽性
蛍光体原料混合物18の焼成物)が収容された焼成容器
16は、サンプル排出口蓋38を開放状態として、取り
出される。以上、図1に示す形態の装置を用いて、本発
明の輝尽性蛍光体の製造方法に用いられる製造装置を説
明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例
えば焼成部分が冷却部分をも兼ねている構成であっても
よい。この場合には、前記焼成空間の容積Vaと前記冷
却空間の容積Vbとは同じである。また、説明の便宜
上、図1に示す装置としては、焼成工程および冷却工程
においてフロー処理を行う本発明の第三の製造方法に適
したものを挙げたが、焼成工程でのみフロー処理を行え
ば、本発明の第一の製造方法に適したものとなり、冷却
工程でのみフロー処理を行えば、本発明の第二の製造方
法に適したものとなる。
【0074】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例に何ら限定をされるものではない。
【0075】(実施例1) −混合工程− BaFBr:Eu(Eu賦活量:5×10-3モル)原料
粒子およびBaFI:Eu(Eu賦活量:5×10-3
ル、添加物として、K、Cs、Caをそれぞれ、1×1
-3モル含有)原料粒子を、BrとIとの組成比(モル
比)が85:15となるように、さらに焼成時の焼結防
止のため、アルミナ微粒子を1質量%添加し、ミキサー
で十分に混合し、輝尽性蛍光体原料混合物を調製した。
【0076】−焼成工程− 混合工程を経た輝尽性蛍光体原料混合物3kgを、石英
製ボートに入れ、図1に示す焼成炉(焼成部分A:石英
チューブ炉、冷却部分B:ステンレス製チャンバー)を
使用し、焼成した。焼成部分A(焼成空間)および冷却
部分B(冷却空間)の容積は、それぞれ70リットルお
よび500リットルであった。
【0077】焼成は、まず、850℃にした炉芯管12
に原料ボート(焼成容器16)を入れサンプル投入口蓋
24を閉め、弁22および22’を開き、ガス導入管2
0からN2ガスを3リットル/分の流速でフローしなが
ら90分間、続いて、O2ガスを0.1%含むN2ガスに
切り換え、3リットル/分の流速でフローしながら90
分間フロー処理を行った。その後、弁22および22’
を閉めてガスフローを止め、設定温度を650℃とし
て、炉内が減圧とならないようにするためにN2ガスを
100ml/分の割合でバブリングさせ、90分間焼成
した。
【0078】−冷却工程− 冷却部分Bは、予め、N2ガスを30リットル/分の流
速で90分間フローするフロー処理を行い、N2ガスに
置換しておいた。焼成後、焼成部分Aと冷却部分Bとの
間の扉30を開け、焼成物を焼成部分Aから冷却部分B
へすばやく移動させ、扉30を閉めた。扉30を開けて
いた時間は30秒間であった。その状態で5分経過後
(焼成物の温度は400℃であった)、弁22および2
2’を開いて、N2ガスを300リットル/分の流速で
5分間、さらに30リットル/分の流速で1時間フロー
しながら、約100℃まで冷却後、焼成物を冷却部分B
から取り出し、輝尽性蛍光体(BaF(Br
8.50.15):Eu)を製造した。
【0079】(比較例1)実施例1と同様の輝尽性蛍光
体原料混合物を使用し、ガス導入管20および34がそ
れぞれ、真空排気装置と所望の雰囲気にするためのガス
ボンベとに連通し、排気管20’および36’が設けら
れていない他は、図1と同様の製造装置を使用して、輝
尽性蛍光体を製造した。
【0080】−焼成工程− まず、炉芯管12に原料ボー卜を入れ、サンプル投入口
蓋24を閉め、弁22を閉じた状態で、図示しない真空
ポンプにより真空排気を30分間行った後、弁22を開
いて、ガス導入管22からN2ガスを導入して大気圧と
した状態で60分間、さらに真空排気を30分間行った
後、O2ガスを、大気圧、焼成温度(850℃)におい
て、1.8リットルとなる量を導入し、続いてN2ガス
を導入し大気圧とした状態で60分間、さらに、設定温
度を650℃に切り換え、炉内が減圧とならないように
するために、N2ガスを100ml/分の流速でバブリ
ングさせ90分間焼成した。
【0081】−冷却工程− 冷却部分Bを予め微量酸素雰囲気(真空排気後、O2
ス65ml(大気圧、室温(25℃)にて)を導入し、
その後、大気圧になるまでN2ガスを導入した)とし
て、焼成後、焼成部分Aと冷却部分Bの間の扉30を開
け、焼成物を焼成部分Aから冷却部分Bへすばやく移動
させ、扉30を閉めた。扉30を開けていた時間は30
秒であった。弁36を開き、図示しない真空ポンプによ
りガス導入管34を通じて、真空排気し、さらに、ガス
導入管34からN2ガスを導入して窒素置換した。その
状態で5分間経過後(焼成物の温度は400℃であっ
た)、真空ポンプで10分間排気し、さらにN2ガスを
30リットル/分の流速でフローしながら1時間、約1
00℃まで冷却後、焼成物を冷却部分Bから取り出し、
輝尽性蛍光体(BaF(Br8.50.15):Eu)を製
造した。
【0082】実施例1では、従来の輝尽性蛍光体の製造
方法である比較例1で必要とされた真空排気設備を使用
しないで、比較例1と同一の輝尽性蛍光体を製造するこ
とができた。
【0083】
【発明の効果】以上から、本発明の製造方法によれば、
焼成空間または冷却空間の容積を大きくしても真空排気
能力の高い真空排気設備が不要で、設備コストを低減す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の輝尽性蛍光体の製造方法に用いられ
る製造装置の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
10・・・焼成炉 12・・・炉心管 14・・・熱源 16・・・焼成容器 18・・・輝尽性蛍光体原料混合物 20・・・ガス導入管 20’・・・排気管 22,22’・・・弁 24・・・サンプル投入口蓋 26・・・棒 28・・・冷却室 30・・・扉 32・・・冷却台 34・・・ガス導入管 34’・・・排気管 36,36’・・・弁 38・・・サンプル排出口蓋

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、輝尽性蛍光体原料を混合し
    て、輝尽性蛍光体原料混合物を調製する混合工程と、焼
    成空間に存在する被置換ガスGa’を置換ガスGaに置
    換し、前記置換ガスGa雰囲気で前記輝尽性蛍光体原料
    混合物を焼成して焼成物を調製する焼成工程と、前記焼
    成物を冷却する冷却工程と、を有する輝尽性蛍光体の製
    造方法であって、 前記焼成工程において、前記焼成空間に前記置換ガスG
    aをフローして、前記焼成空間に存在する前記被置換ガ
    スGa’を前記置換ガスGaに置換するフロー処理が施
    されることを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも、輝尽性蛍光体原料を混合し
    て、輝尽性蛍光体原料混合物を調製する混合工程と、前
    記輝尽性蛍光体原料混合物を焼成して焼成物を調製する
    焼成工程と、冷却空間に存在する被置換ガスGb’を置
    換ガスGbに置換し、前記置換ガスGb雰囲気で前記焼
    成物を冷却する冷却工程と、を有する輝尽性蛍光体の製
    造方法であって、 前記冷却工程において、前記冷却空間に前記置換ガスG
    bをフローして、前記冷却空間に存在する前記被置換ガ
    スGb’を前記置換ガスGbに置換するフロー処理が施
    されることを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも、輝尽性蛍光体原料を混合し
    て、輝尽性蛍光体原料混合物を調製する混合工程と、焼
    成空間に存在する被置換ガスGa’を置換ガスGaに置
    換し、前記置換ガスGa雰囲気で前記輝尽性蛍光体原料
    混合物を焼成して焼成物を調製する焼成工程と、冷却空
    間に存在する被置換ガスGb’を置換ガスGbに置換
    し、前記置換ガスGb雰囲気で前記焼成物を冷却する冷
    却工程と、を有する輝尽性蛍光体の製造方法であって、 前記焼成工程において、前記焼成空間に前記置換ガスG
    aをフローして、前記焼成空間に存在する前記被置換ガ
    スGa’を前記置換ガスGaに置換するフロー処理が施
    され、 前記冷却工程において、前記冷却空間に前記置換ガスG
    bをフローして、前記冷却空間に存在する前記被置換ガ
    スGb’を前記置換ガスGbに置換するフロー処理が施
    されることを特徴とする輝尽性蛍光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記焼成工程における前記置換ガスGa
    を、フロー量:2×Vaリットル(Va:焼成空間の容
    積)以上とし、フロー流速:0.01×Va〜10×V
    aリットル/分とすることを特徴とする請求項1または
    3に記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記冷却工程における前記置換ガスGb
    を、フロー量:2×Vbリットル(Vb:冷却空間の容
    積)以上とし、フロー流速:0.01×Vb〜10×V
    bリットル/分とすることを特徴とする請求項2または
    3に記載の輝尽性蛍光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 製造される輝尽性蛍光体が、下記基本組
    成式(I)で表されることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載の輝尽性蛍光体の製造方法。 (Ba1-a,MII a)FX:zLn・・・(I) (MIIは、SrおよびCaのうち少なくとも一種のアル
    カリ土類金属を表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、E
    u、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYbか
    らなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表
    す。Xは、Cl、Br、Iからなる群より選ばれる少な
    くとも一種のハロゲン元素を表す。aは0≦a<1の数
    値を表し、zは0<z≦0.2の数値を表す。)
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CN116814252A (zh) * 2023-08-28 2023-09-29 北京大学 X射线存储发光材料、制备方法和应用

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