JP2001064646A - 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造装置、および製造方法 - Google Patents

希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造装置、および製造方法

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JP2001064646A
JP2001064646A JP24725799A JP24725799A JP2001064646A JP 2001064646 A JP2001064646 A JP 2001064646A JP 24725799 A JP24725799 A JP 24725799A JP 24725799 A JP24725799 A JP 24725799A JP 2001064646 A JP2001064646 A JP 2001064646A
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phosphor
firing
furnace core
group
core tube
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JP24725799A
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English (en)
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Hiroshi Matsumoto
宏志 松本
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉心管の耐久性に優れた希土類賦活アルカリ
土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造装置、および
その製造方法を提供すること。 【解決手段】 蛍光体原料混合物18を焼成炉10によ
って焼成することにより、特定の構造の希土類賦活アル
カリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体を製造する製造
装置であって、焼成炉10内部に、炉心管12、および
炉心管12外部に熱源14が配され、さらに、蛍光体原
料混合物18を収容し得る焼成容器16が炉心管12内
部に出し入れ可能に備えられ、炉心管12が、ハロゲン
ガスまたはハロゲン化合物ガスに対する耐腐食性の高い
金属材料に対する耐腐食性の高い金属材料からなる、こ
とを特徴とする希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲ
ン化物系蛍光体の製造装置、およびその製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線像変換パネ
ル用の蛍光体として有用な希土類賦活アルカリ土類金属
弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製造装置、およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる方法とし
て、輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法が知ら
れている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線
像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもの
で、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた
放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののち
に輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起
光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体
中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光
光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電
気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体
あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するも
のである。読み取りを終えた該パネルは、残存する画像
の消去が行われた後、次の撮影のために備えられる。す
なわち、放射線像変換パネルは繰り返し使用することが
できる。
【0003】上記の放射線像記録再生方法によれば、従
来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放
射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝
線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができると
いう利点がある。さらに、従来の放射線写真法では一回
の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対し
て、この放射線像記録再生方法では放射線像変換パネル
を繰返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも
有利である。
【0004】輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励
起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用
上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光
によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示
す蛍光体が一般的に利用される。従来から放射線像変換
パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例としては、希
土類賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体を挙げ
ることができる。
【0005】希土類賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物
系蛍光体は、一般に、以下の方法により製造される。ま
ず、蛍光体原料を乾燥状態で均一に混合することにより
(乾式法)又は蛍光体原料を均一に混合したスラリー状
態とした後、乾燥することにより(湿式法)、蛍光体原
料混合物の調製を行う。次いで、通常、得られた蛍光体
原料混合物を母体結晶(BaFX等)の融点に近い温度
で、ほぼ大気圧下にある中性又は弱酸化性雰囲気中で数
時間かけて焼成する(焼成工程)。所望により、一旦得
られた焼成物を再焼成してもよい。焼成工程により、蛍
光体の母体結晶が成長すると同時に、母体結晶中に賦活
剤元素(Eu等)が拡散し、さらに輝尽中心の源となる
+等のハロゲン中心も生成される。従って、焼成工程
は、蛍光体の発光特性に影響を及ぼす重要な工程であ
る。なお、焼成後、得られた蛍光体は、必要に応じて洗
浄、分級等の処理が施される。
【0006】焼成工程において用いられる焼成炉(製造
装置)は、一般的に、内部に石英やアルミナ等のセラミ
ックス系の材料からなる炉芯管、および該炉芯管外部に
熱源が配され、さらに、蛍光体原料混合物を収容し得る
焼成容器が前記炉芯管内部に出し入れ可能に備えられて
なる。焼成時には、前記焼成容器に蛍光体原料混合物を
収容し、これを前記炉芯管内部に投入し、前記熱源から
の熱により焼成炉内部を高温にして、前期蛍光体原料混
合物の焼成を行う。
【0007】しかし、セラミックス系の材料からなる炉
芯管においては、蛍光体原料混合物に添加物として加え
られるアルカリ成分(Cs、Na等)のハロゲン化物
が、焼成時に飛散し、前記炉芯管の内壁に付着すること
で劣化し、ある程度の使用により前記炉芯管が割れてし
まうといった、耐久性に関する問題があった。一方金属
は、こうした場合でも割れにくい性質を有するが、一般
的な金属を炉芯管の材料として用いた場合、高温による
焼成時に蛍光体原料混合物から飛散するハロゲンガスに
侵されてしまい、結局耐久性において十分ではなかっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
炉芯管の耐久性に優れた希土類賦活アルカリ土類金属弗
化ハロゲン化物系蛍光体の製造装置、およびその製造方
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成される。すなわち本発明は、 <1> 蛍光体原料混合物を焼成炉によって焼成するこ
とにより、下記組成式(I): (Ba1-a,MII a)FX・bMI・cMIII・dA:xLn 組成式(I) 〔式中、MIIは、Sr、Ca、Mgからなる群より選択
される少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、MI
は、Li、Na、K、Rb、Csからなる群より選択さ
れる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、M
IIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、Cd、L
uからなる群より選択される少なくとも一種の三価金属
の化合物(但し、Al23を除く)を表す。Xは、C
l、Br、Iからなる群より選択される少なくとも一種
のハロゲンを表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYb
からなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素
を表す。Aは、Al23、SiO2、ZrO2からなる群
より選択される少なくとも一種の金属酸化物を表す。
a、b、c、d、およびxはそれぞれ、0≦a≦0.
3、0≦b≦2、0≦c≦2、0≦d≦0.5、0<x
≦0.2を表す。〕で表される希土類賦活アルカリ土類
金属弗化ハロゲン化物系蛍光体を製造し得る製造装置で
あって、前記焼成炉内部に、炉芯管、および該炉芯管外
部に熱源が配され、さらに、前記蛍光体原料混合物を収
容し得る焼成容器が前記炉芯管内部に出し入れ可能に備
えられ、前記炉芯管が、ハロゲンガスまたはハロゲン化
合物ガスに対する耐腐食性の高い金属材料からなる、こ
とを特徴とする希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲ
ン化物系蛍光体の製造装置である。
【0010】<2> 前記ハロゲンガスまたはハロゲン
化合物ガスに対する耐腐食性の高い金属材料が、ニッケ
ル基耐食合金であることを特徴とする<1>に記載の希
土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の
製造装置である。
【0011】<3> ニッケル基耐食合金が、ハステロ
イCであることを特徴とする<2>に記載の希土類賦活
アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造装置
である。
【0012】<4> 前記炉芯管内壁面に、セラミック
ス材料からなるライナーを設けたことを特徴とする<1
>〜<3>のいずれか1に記載の希土類賦活アルカリ土
類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造装置である。
【0013】<5> 蛍光体原料を混合して蛍光体原料
混合物を調製する混合工程と、前記蛍光体原料混合物を
焼成して焼成物とする焼成工程と、焼成後冷却を行う冷
却工程とを有する、下記組成式(I)で表わされる希土
類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製
造方法において、前記焼成工程が、<1>〜<4>のい
ずれか1に記載の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロ
ゲン化物系蛍光体の製造装置を用い、前記焼成容器に前
記蛍光体原料混合物を収容し、これを前記炉芯管内部に
投入し、前記熱源からの熱により焼成炉内部を高温にし
て、前期蛍光体原料混合物の焼成を行う工程である、こ
とを特徴とする希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲ
ン化物系蛍光体の製造方法である。 (Ba1-a,MII a)FX・bMI・cMIII・dA:xLn 組成式(I) 〔式中、MIIは、Sr、Ca、Mgからなる群より選択
される少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、MI
は、Li、Na、K、Rb、Csからなる群より選択さ
れる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、M
IIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、Cd、L
uからなる群より選択される少なくとも一種の三価金属
の化合物(但し、Al23を除く)を表す。Xは、C
l、Br、Iからなる群より選択される少なくとも一種
のハロゲンを表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYb
からなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素
を表す。Aは、Al23、SiO2、ZrO2からなる群
より選択される少なくとも一種の金属酸化物を表す。
a、b、c、d、およびxはそれぞれ、0≦a≦0.
3、0≦b≦2、0≦c≦2、0≦d≦0.5、0<x
≦0.2を表す。〕
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態を挙げ
て詳細に説明する。本発明の希土類賦活アルカリ土類金
属弗化ハロゲン化物系蛍光体(以下、単に「蛍光体」と
いう場合がある。)の製造装置は、具体的には蛍光体原
料混合物を焼成するための焼成炉を有する装置であっ
て、前記焼成炉内部に、炉芯管、および該炉芯管外部に
熱源が配され、さらに、蛍光体原料混合物を収容し得る
焼成容器が前記炉芯管内部に出し入れ可能に備えられて
構成される。
【0015】図1は、本発明の蛍光体の製造装置の一例
を示す模式断面図である。図1に示す蛍光体の製造装置
は、大きく分けて、焼成部分Aと冷却部分Bとから構成
される。本発明に必須の構成は、焼成部分Aに集中して
いるため、まず焼成部分Aについて詳細に説明する。
【0016】図1において、10は焼成炉であって、内
部に炉芯管12が、図面上左右方向に貫通する状態で配
されている。焼成炉10内部であって、炉芯管12の外
部には熱源14が配され、該熱源14によって焼成炉1
0内部が加熱され、炉芯管12内に投入されるボート
(焼成容器)16に収容された蛍光体原料混合物18が
焼成できるように構成されている。
【0017】炉芯管12には、内部にガスを導入および
排気し得るように、ガス導入排気管20がバルブ22を
介して連通し、炉芯管12内部雰囲気を適宜調整できる
ようになっている。炉芯管12の図面上左端の開口部
は、焼成時の炉芯管12内部密閉性を確保しつつ、ボー
ト(焼成容器)16を投入可能なようにサンプル投入口
蓋24により閉止されている。さらにサンプル投入口蓋
24には、サンプル投入口蓋24を開放することなく、
投入したボート(焼成容器)16を図面上右方向へスラ
イドさせ得るサンプル押出し棒26が挿通されている。
【0018】なお、ボート(焼成容器)16は、石英ボ
ート、アルミナルツボ、石英ルツボ、炭化ケイ素容器等
の耐熱性容器で構成されている。また、熱源14として
は、従来公知のあらゆる熱源を使用することができ、例
えば公知の電気ヒーターを採用することができる。
【0019】炉芯管12の図面上右端の開口部は、焼成
部分Aと冷却部分Bとを遮蔽して、焼成時の炉芯管12
および冷却時の冷却室28の内部密閉性を確保しつつ、
焼成後にボート(焼成容器)16を冷却部分Bヘ排出可
能なように仕切り扉30により閉止されている。仕切り
扉30は、矢印yの方向にスライドして、焼成部分Aと
冷却部分Bとの間の遮蔽および開放が可能となってい
る。
【0020】蛍光体原料混合物18を焼成するに際して
は、まず蛍光体原料混合物18をボート(焼成容器)1
6に収容し、サンプル投入口蓋24を開放状態にして炉
芯管12内部に投入する。サンプル投入口蓋24を密閉
状態にして(勿論、仕切り扉30も密閉状態となってい
る)、サンプル押出し棒26を矢印x方向に押し出すこ
とにより蛍光体原料混合物18が収容されたボート(焼
成容器)16をスライドさせ、これを所定の位置に置
く。そして、ガス導入排気管20によりガスを適宜排気
および/または導入し、炉芯管12内部の雰囲気を所定
の状態にしつつ、熱源14から熱を与え、焼成を行う。
このときの焼成条件(雰囲気、温度、時間、焼成温度・
雰囲気の段数等)は、目的に応じて適宜設定すればよ
い。
【0021】焼成後、仕切り扉30を開放状態とし、サ
ンプル押出し棒26により焼成された蛍光体原料混合物
18が収容されたボート(焼成容器)16を矢印z方向
へスライドさせ、冷却部分Bにこれを移動する。
【0022】本発明においては、炉芯管12が、ハロゲ
ンガスまたはハロゲン化合物ガスに対する耐腐食性の高
い金属材料により構成される。このように、ハロゲンガ
スまたはハロゲン化合物ガスに対する耐腐食性の高い金
属材料を炉芯管12の材料として用いることにより、金
属本来の割れにくい性質とともに、高温による焼成時に
蛍光体原料混合物から飛散するハロゲンガスに侵されに
くい性質をも併せ持つ炉芯管12となり、装置全体とし
ての耐久性が各段に向上する。
【0023】本発明において、「ハロゲンガス」として
は、F2、Cl2、Br2、またはI2のガスを挙げること
ができ、また「ハロゲン化合物ガス」としては、ハロゲ
ンの水素化合物ガス(HF、HCl、HBr、またはH
I)の他、CuCl2、FeCl2等を含むハロゲンの酸
化性ガス等を挙げることができる。
【0024】本発明において、前記ハロゲンガスまたは
ハロゲン化合物ガスに対する耐腐食性の高い金属材料と
は、例えば、測定対象となる金属材料のテストピースを
炉芯管に入れ、高温(焼成温度)でハロゲンガスまたは
ハロゲン化合物ガス雰囲気(濃度1%)下で100時間
晒した後、テストピースの腐食度合い(テスト前後のテ
ストピースの腐食深さ)を測定し、腐食がほとんど見ら
れない、あるいは少ない金属材料のことを言う。本発明
においては、上記試験において、腐食深さが最大で20
0μm以下である金属材料が好ましく用いられる。
【0025】前記ハロゲンガスまたはハロゲン化合物ガ
スに対する耐腐食性の高い金属材料としては、具体的に
は、ニッケル基耐食合金、白金、金等が挙げられ、比較
的安価に入手可能な点でニッケル基耐食合金が好まし
い。ニッケル基耐食合金には、例えば、ハステロイA、
ハステロイB、ハステロイC等の種類があるが、なかで
もハロゲンガスまたはハロゲン化合物ガスに対する耐腐
食性が極めて高いハステロイCが最も好ましい。
【0026】前記ハロゲンガスまたはハロゲン化合物ガ
スに対する耐腐食性の高い金属材料は、焼成炉における
炉芯管12以外の部分についても、好ましく用いること
ができる。炉芯管12以外の部分についてかかる金属材
料を用いれば、炉芯管12に用いた場合と同様、耐久性
に優れたものとなる。かかる金属材料を用いることが好
ましい炉芯管12以外の部分としては、例えば、ガス導
入排気管20、バルブ22、および後述の冷却室28内
壁、冷却台32、冷却室用ガス導入排気管34、バルブ
36等を挙げることができる。
【0027】炉芯管12内壁面にはセラミックス材料か
らなるライナーを設けることが好ましい(不図示)。か
かる構成とすれば、焼成時に炉芯管12を構成する金属
材料から発生する可能性のあるコンタミ(不純物)が、
蛍光体材料混合物へ混入することを防止することができ
る。また、炉芯管12内表面がセラミックス材料からな
るライナーで形成されているため、ハロゲンガスによる
劣化が生じにくく、かつ、炉芯管12全体としては割れ
にくい金属材料からなるため、極めて耐久性が向上す
る。
【0028】前記ライナーとして使用できるセラミック
ス材料としては、石英、アルミナ、ジルコニア、炭化ケ
イ素、窒化ケイ素等が挙げられる。前記ライナーは、セ
ラミックス材料を薄膜状に形成して、または、筒状のセ
ラミックス材料を炉芯管に挿入して、得られる。該ライ
ナーの厚みとしては、0.5〜10mm程度とすること
が好ましく、2〜6mm程度とすることがより好まし
い。0.5mm未満ではライナーを設ける効果が十分で
なく、一方、10mmを超えると焼成を繰り返したとき
に該ライナーが割れてしまう場合があるため、それぞれ
好ましくない。
【0029】炉芯管12の形状としては、円筒状、角筒
状等いずれでもよい。炉芯管12の大きさとしては、目
的に応じて適宜設定されるが、断面の直径(円筒状でな
い場合には、断面の面積に相当する円の直径)が、大方
50〜2000mm程度の範囲から選択され、100〜
1200mm程度の範囲が好ましい。また、炉芯管12
としては、蛍光体原料混合物1kgに対し、2〜500
リットルの焼成部分容積を確保することが望まれ、5〜
50リットルの焼成部分容積とすることが好ましい。前
記焼成部分容積が、蛍光体原料混合物1kgに対し、2
リットル未満であると、狭い空間に密に蛍光体原料混合
物を詰め込んだ状態となり、全体的に均一な焼成を行う
ことが困難となる場合があり、500リットルを超える
と、揮発するハロゲン雰囲気が低すぎて、得られる輝尽
性蛍光体の輝尽発光量や消去特性等が劣化することがあ
る。
【0030】炉芯管12の肉厚としては、形状保存性お
よび強度が十分に確保されつつ、熱源14からの熱が伝
達されやすい程度であればよく、使用する材料によって
その値は大きく異なってくる。例えばハステロイCの場
合には2〜20mm程度とすることが好ましく、より好
ましくは3〜10mm程度である。
【0031】冷却部分Bは、冷却室28内に冷却台32
が配置されて構成され、冷却室28には、内部にガスを
導入および排気し得るように、冷却室用ガス導入排気管
34がバルブ36を介して連通し、冷却室28内部雰囲
気を適宜調整できるようになっている。冷却室28の図
面上右端には、開口部が設けられ、冷却時の冷却室28
内部密閉性を確保しつつ、ボート(焼成容器)16を排
出可能なようにサンプル排出口蓋38により閉止されて
いる。
【0032】既述の如く、焼成部分Aにおいて焼成され
た蛍光体(蛍光体原料混合物18の焼成物)が収容され
たボート(焼成容器)16は、矢印z方向へスライドさ
れ、不図示のガイドに支持されて、冷却部分B中の冷却
台32上に載置される。その後、開放状態となっていた
仕切り扉30は、再び密閉状態にされる(勿論、サンプ
ル排出口蓋38も密閉状態となっている)。そして、冷
却室用ガス導入排気管34によりガスを適宜排気および
/または導入し、冷却室28内部の雰囲気を所定の状態
にしつつ、不図示の水冷手段等の冷却手段により冷却台
32が冷却され、ボート(焼成容器)16に収容された
蛍光体原料混合物18も冷却される。このときの冷却条
件(雰囲気、温度、時間、冷却温度・雰囲気の段数等)
は、目的に応じて適宜設定すればよい。また、特に水冷
手段等の冷却手段を設けることなく、放置することによ
り自然に冷却してもよい。
【0033】所定の冷却を終えた蛍光体原料混合物18
が収容されたボート(焼成容器)16は、サンプル排出
口蓋38を開放状態として、取り出され、所望の希土類
賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体が製造
される。以上、図1に示す形態の装置を用いて、本発明
の蛍光体の製造装置を説明したが、本発明はこれに限定
されるものではなく、例えば焼成部分が冷却部分をも兼
ねている構成であっても、勿論問題なく本発明の構成が
適用される。
【0034】次に、本発明により製造される希土類賦活
アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体について、
詳細に説明する。本発明により製造される希土類賦活ア
ルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体は、下記組成
式(I)で表されるものであり、焼成後に下記組成式
(I)で表される組成の蛍光体が製造されるように、蛍
光体原料を混合して蛍光体原料混合物を得、これを本発
明の蛍光体の製造装置により焼成することにより得られ
るものである。
【0035】 (Ba1-a,MII a)FX・bMI・cMIII・dA:xLn 組成式(I) 〔式中、MIIは、Sr、Ca、Mgからなる群より選択
される少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、MI
は、Li、Na、K、Rb、Csからなる群より選択さ
れる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、M
IIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、Cd、L
uからなる群より選択される少なくとも一種の三価金属
の化合物(但し、Al23を除く)を表す。Xは、C
l、Br、Iからなる群より選択される少なくとも一種
のハロゲンを表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYb
からなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素
を表す。Aは、Al23、SiO2、ZrO2からなる群
より選択される少なくとも一種の金属酸化物を表す。
a、b、c、d、およびxはそれぞれ、0≦a≦0.
3、0≦b≦2、0≦c≦2、0≦d≦0.5、0<x
≦0.2を表す。〕
【0036】ここで、前記MIで表されるアルカリ金属
の化合物、MIIIで表される三価金属の化合物は、それ
ぞれハロゲン化物、酸化物、硫化物、炭酸塩等を表す。
【0037】前記蛍光体原料としては、下記原料(1)
〜(5)を挙げることができる。 (1)BaF2、BaCl2、BaBr2、BaI2、Ba
FBr、BaFClおよびBaFIからなる群より選ば
れる少なくとも一種のハロゲン化バリウム。 (2)CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2、Sr
2、SrCl2、SrBr2、SrI2、MgF2、Mg
Cl2、MgBr2及びMgI2からなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ土類金属ハロゲン化物。 (3)CsCl、CsBr、CsI、NaCl、NaB
r、NaI、KCl、KBr、KI、RbCl、RbB
r、RbI、RbF、CsF、NaF、KF、LiF、
LiCl、LiBr及びLiIからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ金属のハロゲン化物。 (4)Al23、SiO2及びZrO2からなる群より選
ばれる少なくとも一種の金属酸化物。 (5)ハロゲン化物、酸化物、硝酸塩、硫酸塩等の希土
類元素化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の
化合物。 所望により、さらにハロゲン化アンモニウム(NH
4X’,但し、X’はF、Cl、Br又はIを表す。)
等をフラックスとして使用してもよい。
【0038】前記蛍光体原料混合物の調製は、前記原料
(1)〜(5)のそれぞれの中から所望の原料を任意に
選択し、前記組成式(I)に相当する組成比となるよう
に化学量論的に秤量、混合して、蛍光体原料混合物を調
製する。
【0039】前記蛍光体原料混合物の調製方法として
は、公知の混合方法の中から適宜選択して行うことがで
き、例えば、下記(i)〜(iv)の方法により、蛍光体
原料混合物を調製してもよい。 (i)前記蛍光体原料(1)〜(5)を秤量し、単に混
合する調製方法。 (ii)前記蛍光体原料(1)〜(4)を秤量、混合し、
この混合物を100℃以上の温度で数時間加熱した後、
得られた熱処理物に前記蛍光体原料(5)を混合する調
製方法。 (iii)前記蛍光体原料(1)〜(5)を混合し、この
混合物を100℃以上の温度で数時間加熱して調製する
調製方法。 (iv)前記蛍光体原料(1)〜(4)を懸濁液の状態で
混合し、この懸濁液を加温下で、好ましくは50〜20
0℃の下で減圧乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等により乾燥
した後、得られた乾燥物に前記蛍光体原料(5)を混合
する調製方法。
【0040】また、前記調製方法(iv)の変法として、
前記蛍光体原料(1)〜(5)を懸濁液の状態で混合
し、この懸濁液を乾燥する調製方法(iv−2)、前記蛍
光体原料(1)及び(5)を含有する懸濁液を、加温、
好ましくは50〜200℃に加温した後又は前記加温下
で減圧乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥等により乾燥した後、
得られた混合物中に前記蛍光体原料(2)〜(4)を添
加混合する調製方法(iv−3)、等も好適に挙げること
ができる。
【0041】また、特開平7−233369号公報及び
特開平10−195431号公報に記載の、粒子形状と
粒子アスペクト比を制御した14面体型の希土類賦活ア
ルカリ土類金属フッ化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製
造方法、即ち、前記蛍光体原料混合物の調製方法(i)
〜(iv−4)に加えて、さらに、蛍光体原料の混合に際
して、剪断力を付与しうる手段を利用した調製方法
(v)、各蛍光体原料の添加、混合のタイミング等の種
々条件を制御しうる手段を利用した調製方法(vi)によ
り調製することもできる。
【0042】前記調製方法(v)及び(vi)での混合に
用いる混合装置としては、公知の混合装置の中から適宜
選択して行うことができ、例えば、各種ミキサー、V型
ブレンダー、ボールミル、ロッドミル等を挙げることが
できる。
【0043】前記組成式(I)で表される蛍光体の製造
の際、輝尽発光量、消去性能等をさらに改良する目的
で、下記のような種々添加成分を添加することもでき
る。例えば、特開昭57−23673号公報に記載の
B、特開昭57−23675号公報に記載のAs、特開
昭59−27980号公報に記載のテトラフルオロホウ
酸化合物、特開昭59−47289号公報に記載のヘキ
サフルオロ化合物、特開昭59−56480号公報に記
載のV,Cr,Mn,Fe,Co,Ni等の遷移金属、
又は特開昭59−75200号公報に記載のBeX”2
(但し、X”は、F、Cl、Br及びIからなる群より
選ばれる少なくとも一種のハロゲン原子を表す)を挙げ
ることができる。
【0044】前記添加成分を添加する場合、該添加成分
は蛍光体原料を秤量、混合する際又は焼成前に添加し、
混合される。
【0045】次に、本発明の蛍光体の製造方法について
説明する。本発明の蛍光体の製造方法は、蛍光体原料を
混合して蛍光体原料混合物を調製する混合工程と、前記
蛍光体原料混合物を焼成して焼成物とする焼成工程と、
焼成後冷却を行う冷却工程とを有する、前記組成式
(I)で表わされる希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハ
ロゲン化物系蛍光体の製造方法において、前記焼成工程
が、前記本発明の蛍光体の製造装置を用い、前記焼成容
器に前記蛍光体原料混合物を収容し、これを前記炉芯管
内部に投入し、前記熱源からの熱により焼成炉内部を高
温にして、前期蛍光体原料混合物の焼成を行う工程であ
ることを特徴とする。
【0046】本発明の蛍光体の製造方法における、蛍光
体原料および蛍光体原料混合物、組成式(I)で表わさ
れる希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍
光体、本発明の蛍光体の製造装置等は、既に述べた通り
である。前記蛍光体原料混合物の焼成温度としては、5
50〜1000℃中における一定温度とすることが好ま
しく、600〜900℃中における一定温度とすること
がより好ましい。前記焼成温度が、550℃未満では、
母体結晶中での賦活剤元素の拡散や輝尽中心の源となる
+の生成が不十分となることがあり、1000℃を超
えると、母体結晶が溶融してしまうことがある。
【0047】前記焼成時の焼成時間としては、蛍光体原
料混合物の充填量、焼成温度又は炉からの取出温度等に
よっても異なるが、一般に、0.5〜6時間が好まし
く、1〜3時間がより好ましい。前記焼成時間が、0.
5時間未満では、母体結晶中での賦活剤元素の拡散や輝
尽中心の源となるF+の生成が不十分となることがあ
り、6時間を超えて焼成を行っても、蛍光体のそれ以上
の特性上の変化は少なく、生産性を低下させることにな
る場合がある。
【0048】前記焼成時における炉芯管内の雰囲気とし
ては、中性又は僅かに酸化性の雰囲気ガスを用いた雰囲
気とすることが好ましい。前記中性の雰囲気ガスとして
は、例えば、He、Ne、Ar、N2等の不活性ガスが
挙げられる。前記僅かに酸化性の雰囲気ガスは、炉の焼
成部分容積1リットルに対し、焼成温度室温下で0.1
〜200ml、好ましくは1〜100mlの酸素を導入
してつくる。残りの部分は、例えば、He、Ne、A
r、N2等の不活性ガスを導入する。前記酸素導入量
が、0.1ml未満であると、輝尽性蛍光体の消去性能
に対する改良効果を十分に得ることができないことがあ
り、200mlを超えると、輝尽発光量が著しく低下す
ることがある。
【0049】中性ガス中への酸素の導入方法としては、
特に限定されるものではなく、公知の導入方法の中から
適宜選択できるが、中でも、一旦、炉芯管内を真空に近
い状態まで排気した後、酸素を所定量導入し、炉内を弱
酸化性雰囲気として焼成を行うことが好ましい。必要な
酸素量を正確に導入できると同時に、他の気体の影響を
最小限に抑えることができる。
【0050】即ち、焼成する蛍光体原料混合物1kg当
りの炉の焼成部分容積及び焼成部分容積1リットルに対
する酸素の導入量を特定することにより、蛍光体原料混
合物の焼成工程で、輝尽性蛍光体の消去性能を改善する
のに必要な量の酸素を導入することができる。また、炉
芯管内の気体を所定量の酸素を含有する気体で置換する
ことにより、炉芯管内の酸素量を段階的又は連続的に変
化させるようにして導入することもできる。
【0051】例えば、下記のような操作により所望量の
酸素を導入することができる。まず、焼成温度に達した
焼成炉に蛍光体原料混合物を入れた後、直ちに数分間真
空排気を行って、炉芯管内の空気を除去する。この場
合、真空度としては、真空状態に近い状態であれば焼成
を行うことができるが、雰囲気中の酸素存在量を正確な
量とする点で、0.1torr以下とすることが好まし
い。
【0052】次に、炉芯管内に所定量の酸素を供給し、
所望の気圧まで充填する。この時の酸素導入量として
は、前述の通り、炉芯管の焼成部分容積1リットルに対
し、0.1〜200mlが好ましく、この酸素の導入量
は、焼成温度での体積で示している。所定量の酸素を正
確に炉芯管内に導入した後、さらに前記中性ガスを炉芯
管内に充填して、炉内の気圧を約760torr(1気
圧)、即ち、大気圧近傍とし、弱酸化性雰囲気とするこ
とができる。
【0053】炉芯管内を弱酸化性雰囲気に調整する際、
酸素の代りに、例えば、空気等の酸素を含む気体又は不
活性ガスを用いて、酸素を導入してもよい。前記空気等
の酸素を含む気体の導入量としては、一般に、酸素を導
入する場合と同量の酸素量とするのに必要な気体量を導
入することが好ましいが、炉芯管の焼成部分容積1Lに
対し0.5〜1000mlがより好ましく、5〜500
mlが最も好ましい。
【0054】炉芯管内への酸素の導入は、必ずしも真空
状態まで排気した後に行う必要はなく、大気圧(1気
圧)の中性ガス又は弱酸化性雰囲気下にある炉芯管内
に、単に微量の酸素を導入してもよいし、空気等の酸素
を含む気体を炉内に導入しながら、炉芯管内の酸素量を
増加させるように導入してもよい。
【0055】また、焼成を二回以上行う場合には、例え
ば、蛍光体原料混合物を一旦焼成した後、その焼成物を
焼成炉から取り出して放冷し、必要に応じて乳鉢、ボー
ルミル、チューブミル、遠心ミル等の公知の粉砕機を用
いて微粉末状に粉砕した後に、その粉砕物を再度焼成炉
に入れて焼成を繰り返し、最後の焼成(最終焼成時)の
焼成条件を前記焼成条件に調整して行うことが好まし
い。
【0056】中でも、蛍光体原料混合物を一旦900〜
1300℃の焼成温度の下で焼成した後(一回目の焼
成)、その焼成物を取り出して前記同様に粉砕し、この
粉砕物を前記焼成温度よりも低い温度で、好ましくは4
00〜1000℃の温度でさらに焼成することがより好
ましい。前記のように焼成を行うことにより、粉末状の
輝尽性蛍光体を得ることができる。
【0057】さらに、焼成工程における、上述のように
蛍光体原料混合物を一定温度下で焼成した後の過程とし
て、後述の冷却工程に移行する前に、徐冷する過程を設
けることも好ましい。前記徐冷は、蛍光体原料混合物を
焼成した直後に行ってもよいが、さらに一定温度に維持
しつつ、雰囲気の除去、置換を行いながら一定時間経過
した後に行うことが好ましい。
【0058】徐冷は、開始から所定の温度に達するまで
緩やかな温度勾配に制御して温度を下げる。特に、徐冷
は、輝尽性蛍光体の発光特性を向上させる点から、0.
2〜5℃/minの降温速度で、前記焼成終了時の温度
より20〜200℃低い温度となるまで行うことが好ま
しい。
【0059】本発明の蛍光体の製造方法においては、前
記焼成工程を経た後、冷却工程に移行する。冷却工程に
おける冷却は、放置により温度低下させる方法でも、冷
却機を用いて温度制御しながら強制的に温度低下させる
方法のいずれであってもよい。但し、冷却時間を短縮
し、十分な特性を有する輝尽性蛍光体を安定に製造しう
る点で、所望の温度に制御して冷却する方法が好まし
い。また、冷却後の輝尽性蛍光体に対し、必要に応じ
て、さらに洗浄工程、乾燥工程、篩分工程等の一般的な
各種工程を設けることもできる。
【0060】以上の如き本発明の製造装置あるいは製造
方法により製造した蛍光体は、十分な輝尽発光量を有す
るとともに、十分な消去性能を有し、高画質な画像を安
定に形成することができる等、蛍光体に本来求められる
各種特性を何ら低下させることがない。そして炉芯管の
耐久性が著しく向上する。
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 (実施例1) <混合工程>BaFBr:Euの14面体型粒子の生
粉、およびBaFI:Euの生粉をそれぞれ合成した
(それぞれの生粉には、Baに対して、Euが5×10
-3モル%、Na、CsおよびCaが1×10-3モル%合
成時に添加済みである)。両生粉をBrとIとの組成比
が85:15となるように混合し、さらに焼成時の焼結
防止のためアルミナ超微粒子を1wt%添加し、ミキサ
ーで十分に混合し、蛍光体原料混合物を得た。
【0061】<製造装置>実施例の製造装置(焼成装
置)として、図1に記載の製造装置を用いた。詳細は、
以下の通りである。なお、後述の耐久試験を行うため
に、炉芯管12は5本用意した。 ・炉芯管12の形状:直径20cmの円筒形、焼成部分
容積70リットル ・炉芯管12の構成:肉厚5mmのハステロイC製、内
壁に膜厚3mmの石英製ライナーを形成 ・ボート(焼成容器)16の構成:半円柱形(上部開
口)の石英製ボート、容量7リットル
【0062】<焼成工程>前記得られた蛍光体原料混合
物3kgをボート(焼成容器)16に入れ、これを炉芯
管12内に投入し、所定の位置にセッティングし、サン
プル投入口蓋24および仕切り扉30を密閉状態とし
た。ガス導入排気管20によりガスを適宜排気および/
または導入して、微量酸素雰囲気に調整し、熱源14か
ら熱を与え、850℃で2時間焼成を行った。
【0063】<冷却工程>焼成後、仕切り扉30を開放
状態とし、上記焼成工程において焼成された蛍光体(蛍
光体原料混合物の焼成物)が収容されたボート(焼成容
器)16は、矢印z方向へスライドされ、冷却台32上
に載置された。その後、開放状態となっていた仕切り扉
30を再び密閉状態とした(このとき、サンプル排出口
蓋38も密閉状態となっている)。そして、冷却室用ガ
ス導入排気管34によりガスを真空排気しつつ、不図示
の水冷手段により冷却台32を冷却し、ボート(焼成容
器)16に収容された蛍光体原料混合物18を100℃
まで冷却し、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン
化物系蛍光体を得た。
【0064】前記の炉芯管12について、5本それぞれ
上記焼成工程および冷却工程の操作を繰り返し行い、3
00回まで焼成(冷却)を繰り返し、耐久試験を行っ
た。その結果、5本いずれの炉芯管についても、内表面
の変質・割れ・ひび等の異常は見られなかった。
【0065】(実施例2)実施例1において、炉芯管1
2内壁にライナーを設けなかった以外は、実施例1と同
様の製造装置を用い、また同様に耐久試験を行った。耐
久試験の結果、5本いずれの炉芯管についても、割れ・
ひび等の異常は見られなかったが、内表面がやや変色し
ていた。ただし、実用上問題のないレベルであった。
【0066】(比較例1)実施例1において、炉芯管1
2を同形状の石英チューブ(ライナーは設けない)とし
たこと以外は、実施例1と同様の製造装置を用い、また
同様に耐久試験を行った。ただし、本比較例において
は、5本いずれの炉芯管についても200回の焼成を行
う前に割れが生じたので、割れが生じるまでの焼成回数
をカウントした。その結果、割れが生じるまでの焼成回
数は、5本平均で70回であった。
【0067】割れが生じた箇所は、炉芯管12の中でも
温度勾配の大きい熱源14に近接した部分であった。ま
た、当該割れが生じた箇所の内壁面には、アルカリ金属
ハロゲン化物(NaI、CsI等)が層状に付着してい
た。これら付着した物質と、炉芯管材料との熱膨張率の
違いによる応力割れが、前記割れの原因であると考えら
れる。
【0068】なお、上記実施例1、2および比較例1で
得られた各希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化
物系蛍光体(焼成回数にかかわらず、無差別にサンプリ
ングしたもの)について、輝尽発光、残光、消去等の各
発光特性、および、粒子サイズについて測定および評価
を行ったが、有意差は見られなかった。また、実施例2
で得られた各希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン
化物系蛍光体については、微量の不純物が確認された
が、以上に示すように性能上の問題にはならない程度の
ものであった。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、炉芯管の耐久性に優れ
た、詳しくは炉芯管の割れがほとんどなく、焼成時に蛍
光体原料混合物から飛散するハロゲンガスに炉芯管が侵
されてしまうことも少ない希土類賦活アルカリ土類金属
弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造装置、およびその製造
方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態である希土類賦活アルカ
リ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造装置の模式
断面図である。
【符号の説明】
10 焼成炉 12 炉芯管 14 熱源 16 ボート(焼成容器) 18 蛍光体原料混合物 20 ガス導入排気管 22 バルブ 24 サンプル投入口蓋 26 棒 28 冷却室 30 仕切り扉 32 冷却台 34 冷却室用ガス導入排気管 36 バルブ 38 サンプル排出口蓋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G076 AA02 AA05 AA06 AA07 AA08 AA18 BA40 BC08 BD02 BD03 CA01 DA30 4H001 CA04 XA03 XA08 XA09 XA11 XA12 XA13 XA14 XA17 XA19 XA20 XA21 XA31 XA35 XA37 XA38 XA39 XA40 XA49 XA53 XA55 XA56 XA64 XA71 XA81 YA05 YA58 YA59 YA60 YA62 YA63 YA64 YA66 YA67 YA68 YA69 YA70

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光体原料混合物を焼成炉によって焼成
    することにより、下記組成式(I): (Ba1-a,MII a)FX・bMI・cMIII・dA:xLn 組成式(I) 〔式中、MIIは、Sr、Ca、Mgからなる群より選択
    される少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、MI
    は、Li、Na、K、Rb、Csからなる群より選択さ
    れる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、M
    IIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、Cd、L
    uからなる群より選択される少なくとも一種の三価金属
    の化合物(但し、Al23を除く)を表す。Xは、C
    l、Br、Iからなる群より選択される少なくとも一種
    のハロゲンを表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、
    Gd、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYb
    からなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素
    を表す。Aは、Al23、SiO2、ZrO2からなる群
    より選択される少なくとも一種の金属酸化物を表す。
    a、b、c、d、およびxはそれぞれ、0≦a≦0.
    3、0≦b≦2、0≦c≦2、0≦d≦0.5、0<x
    ≦0.2を表す。〕で表される希土類賦活アルカリ土類
    金属弗化ハロゲン化物系蛍光体を製造し得る製造装置で
    あって、 前記焼成炉内部に、炉芯管、および該炉芯管外部に熱源
    が配され、 さらに、前記蛍光体原料混合物を収容し得る焼成容器が
    前記炉芯管内部に出し入れ可能に備えられ、 前記炉芯管が、ハロゲンガスまたはハロゲン化合物ガス
    に対する耐腐食性の高い金属材料からなる、ことを特徴
    とする希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系
    蛍光体の製造装置。
  2. 【請求項2】 前記ハロゲンガスまたはハロゲン化合物
    ガスに対する耐腐食性の高い金属材料が、ニッケル基耐
    食合金であることを特徴とする請求項1に記載の希土類
    賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造
    装置。
  3. 【請求項3】 ニッケル基耐食合金が、ハステロイCで
    あることを特徴とする請求項2に記載の希土類賦活アル
    カリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造装置。
  4. 【請求項4】 前記炉芯管内壁面に、セラミックス材料
    からなるライナーを設けたことを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1に記載の希土類賦活アルカリ土類金属弗
    化ハロゲン化物系蛍光体の製造装置。
  5. 【請求項5】 蛍光体原料を混合して蛍光体原料混合物
    を調製する混合工程と、前記蛍光体原料混合物を焼成し
    て焼成物とする焼成工程と、焼成後冷却を行う冷却工程
    とを有する、下記組成式(I)で表わされる希土類賦活
    アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造方法
    において、前記焼成工程が、 請求項1〜4のいずれか1に記載の希土類賦活アルカリ
    土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造装置を用い、 前記焼成容器に前記蛍光体原料混合物を収容し、これを
    前記炉芯管内部に投入し、前記熱源からの熱により焼成
    炉内部を高温にして、前記体原料混合物の焼成を行う工
    程である、ことを特徴とする希土類賦活アルカリ土類金
    属弗化ハロゲン化物系蛍光体の製造方法。 (Ba1-a,MII a)FX・bMI・cMIII・dA:xLn 組成式(I) 〔式中、MIIは、Sr、Ca、Mgからなる群より選択
    される少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、MI
    は、Li、Na、K、Rb、Csからなる群より選択さ
    れる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、M
    IIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、Cd、L
    uからなる群より選択される少なくとも一種の三価金属
    の化合物(但し、Al23を除く)を表す。Xは、C
    l、Br、Iからなる群より選択される少なくとも一種
    のハロゲンを表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、
    Gd、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYb
    からなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素
    を表す。Aは、Al23、SiO2、ZrO2からなる群
    より選択される少なくとも一種の金属酸化物を表す。
    a、b、c、d、およびxはそれぞれ、0≦a≦0.
    3、0≦b≦2、0≦c≦2、0≦d≦0.5、0<x
    ≦0.2を表す。〕
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103237758A (zh) * 2010-12-02 2013-08-07 国立大学法人新泻大学 结晶性物质的制备方法

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