JP2002264890A - 個人用救命ボート - Google Patents

個人用救命ボート

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用者の安全性を一層向上させる。 【解決手段】 本体部11と、本体部11に付設する底
部13とを組み合わせる。本体部11、底部13は、携
帯可能なサイズに一体に折り畳み、使用の際にエアを注
入して膨らませ、使用者を収容する底付きの収容空間S
を形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、遭難時におい
て、使用者の安全性を一層向上させることができる個人
用救命ボートに関する。
【0002】
【従来の技術】船舶や航空機には、救命ボートや救命胴
衣が積載されている。
【0003】従来の救命ボートは、一般にゴムボートで
あり、小さく折り畳まれて船舶に積載されている。そこ
で、救命ボートは、非常時、すなわち遭難時において海
上に落下させることにより、瞬時に膨らんで所定のボー
ト形に変形する。また、使用者は、船舶から海に飛び込
み、救命ボートに乗り込む。
【0004】一方、救命胴衣は、使用者が装着し、内蔵
のボンベからのエアにより瞬時に膨らみ、使用者に適切
な浮力を付与することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術による
ときは、救命ボートは、船舶から脱出する使用者が海に
一旦飛び込んで乗り込まなければならず、脱出する際に
危険を伴うという問題があった。また、救命胴衣は、使
用者を海上に浮かせるだけであるから、使用者の生命を
長時間に亘り安全に維持することが困難である。
【0006】そこで、この発明の目的は、かかる従来技
術の問題に鑑み、折畳み可能な本体部と、本体部に付設
する底部とを備えることによって、使用者の安全性を一
層向上させることができる個人用救命ボートを提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めのこの発明の構成は、本体部と、本体部に付設する底
部とを備えてなり、本体部、底部は、携帯可能なサイズ
に一体に折り畳み、使用の際にエアを注入して膨らま
せ、使用者を収容する底付きの収容空間を形成すること
をその要旨とする。
【0008】なお、本体部には、蓋部を付設することが
でき、外向きに膨らむスタビライザ部を付設することが
できる。
【0009】また、少なくとも本体部は、内部を複数の
ブロックに区切ることができ、各ブロックは、弁体を介
して下流側のブロックに連通させることができる。
【0010】さらに、本体部には、内向きに膨らむ緩衝
部を付設してもよい。
【0011】なお、本体部には、胴衣を付設してもよ
い。
【0012】
【作用】かかる発明の構成によるときは、本体部、底部
は、携帯可能なサイズに一体に折り畳むことにより、使
用者が容易に携帯することができる。また、本体部、底
部は、エアを注入して膨らませることにより、使用者を
収容する底付きの収容空間を形成し、収容空間内の使用
者の安全性を速やかに確保することができる。すなわ
ち、使用者は、折り畳んだ状態の本体部、底部を携帯し
て水中に飛び込み、本体部、底部を所定形状に膨らませ
ることにより、底付きの収容空間に安全に収容される。
【0013】なお、本体部は、使用者を囲むようにして
上下左右に伸長しながら膨らみ、左右の端部を密着させ
て収容空間を形成する。また、本体部、底部は、丈夫な
気密性のエアバッグ用または救命ボート用の生地などを
使用して形成することが好ましい。
【0014】本体部に付設する蓋部は、本体部とともに
膨らみ、収容空間の上部を閉じ、収容空間に海水などが
不用意に流入することを防止する。なお、蓋部は、開閉
可能に形成するものとする。
【0015】本体部にスタビライザ部を付設するとき
は、本体部は、スタビライザ部を介して水中の姿勢を安
定に保ち、不用意に傾いたり、横転したりするおそれが
ない。なお、スタビライザ部は、本体部の外側に鍔状に
付設するのがよい。
【0016】本体部は、内部を複数のブロックに区切る
ことにより、エアを注入して膨らませる際に、各部位の
膨らみ順序を適切に規定することができる上、局部的な
破損が全体に波及することを有効に防止することができ
る。なお、底部、蓋部、スタビライザ部も、それぞれ必
要に応じて複数のブロックに区切って形成することが好
ましい。
【0017】各ブロックは、弁体を介して、エアの注入
経路の下流側のブロックに連通させることにより、内圧
が所定エア圧に達すると、弁体を介して下流側のブロッ
クにエアを供給し、たとえば本体部、底部、蓋部、スタ
ビライザ部をこの順序に膨らませ、本体部、底部、蓋
部、スタビライザ部のそれぞれにおいて、各部位の膨ら
み順序を厳密に規定することができる。なお、弁体は、
上流側のブロックのエア圧が設定値より大きくなるとき
だけ開いて下流側のブロックにエアを供給するリリーフ
バルブ形のものを使用すればよい。
【0018】本体部に付設する緩衝部は、本体部が海上
に着水するときなどにおいて、収容空間内の使用者に過
大な衝撃が加わることを有効に防止する。
【0019】本体部に胴衣を付設すれば、使用者は、胴
衣を装着することにより、本体部、底部を含む各構成部
材を背負うようにして携帯し、全体をライフジャケット
として使用することができる上、本体部の収容空間内に
おいて、胴衣をシートベルトとして使用し、身体を適位
置に正しく固定することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を以って発明の実施の
形態を説明する。
【0021】個人用救命ボートは、本体部11と、本体
部11に付設する蓋部12、底部13とを備えてなる
(図1、図2)。ただし、図1、図2において、個人用
救命ボートは、エアを注入して所定形状に膨らませた状
態が図示されており、図1の本体部11は、外側に拡げ
て図示されている。また、図2(B)は、同図(A)の
X−X線矢視相当断面図である。
【0022】本体部11は、左右の両端を密着させて円
筒状に膨らみ、内側に収容空間Sを形成している。な
お、本体部11の外側面は、内側面より周方向に長く形
成されており、したがって、本体部11は、円筒状に膨
らませることができる。本体部11の下部は、下向きに
先細に形成されており、下端に内向きの係合リブ11a
が形成されている。また、本体部11の上端には、内向
きの係合リブ11bが形成されており、本体部11の左
右両端には、それぞれ上下に連続する雌雄の係合部11
c、11dが形成されている。本体部11の中間部外側
には、スタビライザ部14が付設され、スタビライザ部
14は、外向きに鍔状に膨らむことができる。また、本
体部11の内面には、縦長の突部11eが膨らみ、突部
11eの上方には、胴衣15が付設されている。
【0023】底部13は、下向きのドーム状に膨らみ、
底部13の上部外周には、本体部11の係合リブ11a
に係合する溝部13aが形成されている。なお、底部1
3の外面は、本体部11の下部に滑らかに連続してい
る。蓋部12は、本体部11の上部に適合する円板状に
膨らみ、本体部11の係合リブ11bに適合する溝部1
2aが外周に形成されている。
【0024】かかる個人用救命ボートは、次のようにし
て使用する。
【0025】本体部11、蓋部12、底部13、スタビ
ライザ部14は、未使用時において、携帯可能なサイズ
に一体に折り畳むことができる(図3)。なお、本体部
11を含む各構成部材は、膨らむに従って剥離する感圧
接着剤や面ファスナなどの他、水溶性の袋やネットなど
を利用して折畳み状態を保つものとし、ホルダG1 を介
し、高圧エアを封入したボンベGを取外し可能に付属さ
せている。ただし、ボンベGは、逆止弁形の注入口Bb
を介して本体部11に接続されている。そこで、使用者
Pは、胴衣15を装着することにより、個人用救命ボー
トを背負うようにして携帯することができる。
【0026】個人用救命ボートを使用するとき、使用者
Pは、ボンベGを手動操作して、または注入口Bb を自
動的に開口させて本体部11にエアを注入する(図
4)。すなわち、個人用救命ボートは、エアが注入され
ると、たとえば本体部11が最初に上下に拡がり(同図
(A))、つづいて、使用者Pを囲み込むようにして本
体部11が左右に膨らんで収容空間Sを形成する(同図
(B)〜(D))。なお、左右の係合部11c、11d
は、本体部11が完全に膨らむと、後者が前者に入り込
み(同図(E))、その後、両者が膨らんで係合し、本
体部11の両端を水密に閉じることができる(図2
(B))。スタビライザ部14は、本体部11ととも
に、外向きに膨らむ(図4(F)の実線、二点鎖線)。
【0027】一方、底部13、蓋部12は、本体部11
がほぼ完全に膨らむと膨らみ始める。ただし、底部1
3、蓋部12は、それぞれの上面側、下面側が先きに膨
らんで収容空間Sの上下を閉じ(図4(F)の実線)、
その後、下面側、上面側が膨らんで完成する(同図
(F)の二点鎖線、図2(A))。底部13、蓋部12
は、それぞれ本体部11の係合リブ11a、11bを溝
部13a、12aに係合させて固定され、殊に底部13
は、本体部11に密着して収容空間Sを水密に閉じるこ
とができる。ただし、蓋部12、底部13は、本体部1
1と同時に、または本体部11より後に膨らんでもよ
く、蓋部12は、底部13より後に膨らんでもよい。
【0028】そこで、個人用救命ボートは、使用者Pを
収容空間Sに速やかに収容して海上Wに浮き、海上Wに
おける使用者Pの安全性を確保することができる。この
とき、本体部11、底部13は、収容空間Sを水密に閉
じて水の侵入を防ぐ。また、蓋部12は、必要に応じ
て、収容空間S内の使用者Pが内側から押し上げて、ま
たは外部から上方に開くことができる。
【0029】
【他の実施の形態】本体部11の内部は、内面材B1 、
外面材B2 の間に設ける縦横の隔壁B3 、B3 、B4 、
B4 …を介し、厚さ方向に複層に形成するとともに、各
層ごとに複数のブロックB、B…に区切ることができる
(図5)。なお、ブロックB、B…は、本体部11の内
側の層より外側の層が細かく形成されている。各ブロッ
クBは、エアの注入経路の下流側に隣接する他のブロッ
クBに対し、リリーフバルブ形の弁体Ba を介して連通
しており、内面材B1 上には、ボンベGを連結する逆止
弁形の注入口Bb が設けられている。
【0030】本体部11は、注入口Bb を介してボンベ
Gからのエアが注入されると、最内側の層のブロック
B、B…から順に膨らみ、各弁体Ba は、上流側のブロ
ックBのエア圧が設定値に達したときにのみ開き、下流
側のブロックBにエアを供給することができる。また、
各弁体Ba は、任意のブロックBが破損しても、上流側
のブロックBのエア圧が設定値より低くなると自動的に
閉じ、局部的な破損の影響が他のブロックB、B…に波
及することを防止する。なお、底部13、蓋部12、ス
タビライザ部14は、それぞれ必要に応じ、本体部11
と同様に複層に形成してもよく、各層を複数のブロック
B、B…に区切ってもよい。
【0031】本体部11には、内向きに膨らむ緩衝部1
6を付設してもよい(図6)。緩衝部16は、本体部1
1が膨らむと同時に、または図示しない衝撃センサが過
大な衝撃を感知することにより瞬時に膨らみ(同図の実
線)、その後、小さく萎むことにより(同図の二点鎖
線)、使用者Pを過大な衝撃から保護することができ
る。
【0032】本体部11内には、排水用のポンプ17を
設置してもよい(図7)。ただし、同図(B)は、同図
(A)の要部拡大説明図である。ポンプ17は、ボンベ
Gからのエア圧により作動する。ポンプ17には、吸水
パイプ17a、排水パイプ17bが接続されており、排
水パイプ17bには、蓋部12を貫通する排出ノズル1
7cが接続されている。排出ノズル17cの先端部に
は、排出口17c1 、17c1 が形成され、逆止弁17
dが内蔵されている。
【0033】ボンベGからの余分のエアによりポンプ1
7を作動させると、吸水パイプ17a、排水パイプ17
b、排出ノズル17cを介して収容空間S内の水W1 を
外部に排出することができる。なお、逆止弁17dは、
排出ノズル17cが水中に没しても、排出口17c1 、
17c1 を介して水が逆流することを防止する(同図
(B)の実線)。ただし、ポンプ17は、エア圧に代え
て、手動操作により作動させてもよい。
【0034】本体部11の係合部11c、11dは、本
体部11の内側において、互いに係合可能なフック状に
形成してもよい(図8)。係合部11cは、本体部11
の一端において、収容空間S側に折り返すように形成さ
れ、係合部11dは、係合部11cを収容空間S側から
囲むように形成されている。なお、フック状の係合部1
1c、11dは、本体部11の外側において、互いに係
合させてもよい。
【0035】底部13には、通路13c1 、13c1 …
を介して外部に連通する中空部13cを形成してもよい
(図9)。中空部13cは、通路13c1 、13c1 …
を介して浸水し、底部13の浮力を低下させて本体部1
1の傾きや倒れなどを防止することができる。
【0036】個人用救命ボートには、磁性材料からなる
吊上げ部材18、18…を付設してもよい(図10)。
なお、図10は、本体部11の上面に吊上げ部材18、
18…を付設した例を図示している。吊上げ部材18、
18…を介して救命用の電磁石EMに吸着させ、全体を
水中から容易に引き揚げて内部の使用者Pを救出するこ
とができる。
【0037】なお、個人用救命ボートには、発信器を搭
載し、現在位置を外部に通報して捜索活動を容易にする
ことができる。また、ボンベGのエアは、本体部11、
底部13、蓋部12、スタビライザ部14が完全に膨ら
んだ後、本体部11、底部13、蓋部12のいずれかか
ら収容空間S内に微量ずつ放出させ、またはボンベGか
ら収容空間S内に直接微量ずつ放出させることにより、
使用者Pの呼吸用に利用することができる。
【0038】この発明は、海上の遭難事故の際に使用す
ることができる他、陸上の遭難事故の際にも、テントな
どの代わりとして使用することができる。ただし、この
ときは、スタビライザ部14を省略し、図2のような上
向き姿勢にして使用するに代えて、横向きにして使用す
ることが好ましい。また、本体部11の外形形状は、円
筒状に代えて、卵形や、断面三角形、四角形、六角形な
どの多角形筒状に形成してもよい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、本体部と、本体部に付設する底部とを組み合わせる
ことによって、本体部、底部は、携帯可能なサイズに一
体に折り畳むことができ、使用の際にエアを注入して膨
らませ、使用者を収容する底付きの収容空間を形成する
ことができるから、使用者の安全性を一層向上させるこ
とができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全体構成斜視説明図
【図2】 使用状態説明図(1)
【図3】 使用状態説明図(2)
【図4】 動作説明図
【図5】 他の実施の形態を示す要部拡大縦断面図
【図6】 他の実施の形態を示す要部説明図(1)
【図7】 他の実施の形態を示す要部説明図(2)
【図8】 他の実施の形態を示す要部説明図(3)
【図9】 他の実施の形態を示す要部説明図(4)
【図10】 他の実施の形態を示す要部説明図(5)
【符号の説明】
P…使用者 S…収容空間 B…ブロック Ba …弁体 11…本体部 12…蓋部 13…底部 14…スタビライザ部 15…胴衣 16…緩衝部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本体部と、該本体部に付設する底部とを
    備えてなり、前記本体部、底部は、携帯可能なサイズに
    一体に折り畳み、使用の際にエアを注入して膨らませ、
    使用者を収容する底付きの収容空間を形成することを特
    徴とする個人用救命ボート。
  2. 【請求項2】 前記本体部には、蓋部を付設することを
    特徴とする請求項1記載の個人用救命ボート。
  3. 【請求項3】 前記本体部には、外向きに膨らむスタビ
    ライザ部を付設することを特徴とする請求項1または請
    求項2記載の個人用救命ボート。
  4. 【請求項4】 少なくとも前記本体部は、内部を複数の
    ブロックに区切ることを特徴とする請求項1ないし請求
    項3のいずれか記載の個人用救命ボート。
  5. 【請求項5】 前記各ブロックは、弁体を介して下流側
    のブロックに連通させることを特徴とする請求項4記載
    の個人用救命ボート。
  6. 【請求項6】 前記本体部には、内向きに膨らむ緩衝部
    を付設することを特徴とする請求項1ないし請求項5の
    いずれか記載の個人用救命ボート。
  7. 【請求項7】 前記本体部には、胴衣を付設することを
    特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか記載の個
    人用救命ボート。
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