JP2002261570A - 水晶振動子用パッケージベースおよびそれを用いた水晶振動子パッケージ構造体の製造方法 - Google Patents

水晶振動子用パッケージベースおよびそれを用いた水晶振動子パッケージ構造体の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水晶振動子と水晶振動子用パッケージベース
の接合に際し、接合部材としてAuSn合金ペーストを
用いた場合、フラックスの洗浄残滓が生じ経時変化が大
きい。また、接合部材にAuバンプを用いて超音波接合
すると残滓は生じないが接合強度が小さい。 【解決手段】 接合部材を接合合金にAuを被覆したも
のとした。被覆したAuで超音波接合して水晶振動子を
仮止めし、その後接合合金を溶融することによって接合
を行う製造方法をとった。これにより、接合後に汚れが
生じず洗浄する必要がなく、しかも接合強度を大きくす
ることができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、時計や移動体通信
機の基準信号源として用いられる表面実装型の水晶振動
子パッケージ構造体の構成部品である水晶振動子用パッ
ケージベースとそれを用いた水晶振動子パッケージ構造
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】時計や移動体通信機の基準信号源として
利用される水晶振動子が広く用いられている。これらの
水晶振動子は図9に示すような水晶振動子パッケージ構
造体として用いられる。図9は従来より用いられている
水晶振動子パッケージ構造体の断面図である。水晶振動
子パッケージ構造体は水晶振動子19、水晶振動子19
を接合している水晶振動子用パッケージベース1、接合
部材9、水晶振動子用パッケージベース1に付き合わせ
て密封空間29を形成するキャップ31、および水晶振
動子用パッケージベース1とキャップ31とを封止する
封止部材33から構成される。密封空間内は水晶振動子
のQ値を高めることと経時変化を減少させる目的で真空
にしてあるか、あるいは窒素などの不活性な気体が封入
されている。
【0003】図10は従来の水晶振動子用パッケージベ
ース1の断面図である。従来の水晶振動子用パッケージ
ベース1は、キャップを付き合わせて密封空間を形成す
るための基体3、密封空間の内と外とを電気的に結ぶた
めの配線5、水晶振動子を固定すると同時に電気的に繋
ぐための内部電極7、および外部回路と接続をとるため
の外部電極11から構成されている。基体3の材料には
アルミナ等のセラミックスあるいはガラスセラミックス
が用いられる。配線5、内部電極7、外部電極11は基
体3の上にW、Mo、AgPd合金などを焼成して形成
され、適宜Ni、Auメッキなどが施されている。
【0004】水晶振動子19と水晶振動子用パッケージ
ベース1とを接合する接合部材9には以前より導電性接
着剤が用いられていたが、水晶振動子19のQ値を向上
させるとともに長期間安定した特性を得るためには硬く
また経時変化の少ない金属を材料として用いた方が望ま
しいため、最近では本出願人が先に特許出願を行って開
示したように接合部材9としてAuSn合金ペーストを
用いる例や、特開2000−232332号報に開示さ
れているようにAuバンプを水晶振動子の電極に形成し
て水晶振動子用パッケージベースと超音波接合すること
が提案されている。
【0005】以下に従来の水晶振動子パッケージ構造体
の製造方法を説明する。始めに接合部材9としてAuS
n合金ペーストを用いた例を説明する。まず、図11に
示す様にAuSn合金ペースト35を水晶振動子用パッ
ケージベース1の内部電極7に塗布し、その上に水晶振
動子19を当接する。AuSn合金ペースト35は29
at.%Snを含有するAuSn合金の球状粒子をフラッ
クス中に分散させペースト状にしたものである。AuS
n合金ペースト35には粘性があるため水晶振動子19
は水晶振動子用パッケージベース1の内部電極上に仮止
めされる。その後、AuSn合金の融点である278℃
以上に加熱して溶融し、水晶振動子19と水晶振動子用
パッケージベース1とを接合する。接合後はフラックス
を除去する目的で洗浄を行い、乾燥後キャップを被せ真
空槽中に入れ真空封止する。
【0006】次に接合部材9としてAuバンプを用いる
例について説明する。まず、水晶振動子19の電極上に
Auバンプを形成する。Auバンプの形成にはボールボ
ンダを用いる。その後、図12に示すように水晶振動子
19を水晶振動子用パッケージベース1に当接し、水晶
振動子19の上部より超音波振動を加える超音波圧子2
3を当て荷重を加えながら超音波によって水晶振動子1
9を水平方向に動かしAuバンプ37と水晶振動子用パ
ッケージベースの内部電極の間を摩擦して超音波接合を
行う。接合はAuバンプが水晶振動子用パッケージベー
スに接触する範囲でのみ生じるので、接合面積は限られ
る。接合後はキャップを被せ真空槽中に入れ真空封止す
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の技術では、AuSn合金のペーストを用いた場
合には接合後の水晶振動子と水晶振動子用パッケージベ
ースとの間隔が狭いため、フラックスを洗浄により除去
することが困難であり、水晶振動子にフラックスの残滓
が残りこれが経時変化の原因になるという課題があっ
た。また、Auバンプによる超音波接合を用いる場合に
は接合面積が小さく接合強度が不足し耐衝撃性が小さい
という課題があった。また、接合強度を増すために超音
波接合の際の荷重を増加させると水晶振動子の欠けやク
ラックを生じるという課題があった。
【0008】上記課題を解決するため、本発明の目的
は、製造が容易であり、経時変化が少なく安定した特性
を得ることができ、また耐衝撃性が良い水晶振動子パッ
ケージ構造体を得ることができる水晶振動子用パッケー
ジベースとそれを用いた水晶振動子パッケージ構造体の
製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による水晶振動子用パッケージベースは、水
晶振動子との接合を行う内部電極に設けた接合部材が、
接合合金にAuを被覆した構成であることを特徴とす
る。
【0010】本発明による水晶振動子パッケージベース
は接合合金がAuとSnとを含有する合金であり、接合
合金をAuで被覆したことを特徴とする。
【0011】本発明による水晶振動子パッケージベース
は接合合金がAuとGeとを含有する合金であり、接合
合金をAuで被覆したことを特徴とする。
【0012】本発明による水晶振動子パッケージベース
は接合合金がAuとSiとを含有する合金であり、接合
合金をAuで被覆したことを特徴とする。
【0013】本発明による水晶振動子パッケージベース
は接合合金がAuとGaとを含有する合金であり、接合
合金をAuで被覆したことを特徴とする。
【0014】本発明による水晶振動子パッケージ構造体
の製造方法は水晶振動子と水晶振動子用パッケージベー
スとの接合に際し、水晶振動子を水晶振動子用パッケー
ジベースの内部電極の上に設けた接合部材へ超音波接合
により仮止めした後、加熱を行い該接合部材を構成する
接合合金を溶融して接合する工程を備えたことを特徴と
する。
【0015】接合合金のままだと表面が酸化するため超
音波接合することが困難だが、本発明のようにAuを被
覆すれば容易に超音波接合して仮止めすることができ
る。本発明ではフラックスを用いないので接合後に洗浄
の必要がなく製造が容易となる。また、フラックス残滓
が生じないので経時変化が小さくなる。接合合金を溶融
して接合を行うと接合面積が広くなるので接合強度が増
加し耐衝撃性が向上する。さらに、超音波接合により仮
止めすることにより熱伝導が均一になり接合の確実性が
得られ接合強度が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明による実施の形態を
図面に基づいて説明する。
【0017】(実施例)図1は本発明による水晶振動子
用パッケージベース1の実施の形態を示す図であり、水
晶振動子用パッケージベース1の断面図である。本実施
例の水晶振動子用パッケージベース1はキャップを被せ
密封空間を作るための基体3、密封空間の内外を電気的
に結ぶ配線5、水晶振動子を接合するための内部電極
7、接合部材9、外部回路との接続に用いられる外部電
極11、および水晶振動子を接合する際に水晶振動子を
支持する目的で使われる枕13から構成されている。
【0018】基体3の材料は絶縁性、気密性、耐熱性を
兼ね備えたものとしてアルミナ等のセラミックス、ガラ
スセラミックスおよび、ガラス等から選択される。配線
5、内部電極7、外部電極11は基体3の上にW、M
o、AgPd合金などを焼成して形成され、適宜Ni,
Auメッキなどが施される。
【0019】接合部材は図2に示すように内部電極7の
上に形成された接合合金15と接合合金15を覆う被覆
層17とよりなる。接合合金15、被覆層17は焼成、
メッキ、蒸着、スパッタリングなどにより形成される。
接合合金15の材料は次のような理由に基づき選択され
る。水晶振動子パッケージ構造体は回路基板に半田によ
って実装されるが、クリーム半田を用いてリフロー炉に
入れられることが多い。リフロー炉では通常220℃〜
240℃に加熱される。最近では環境問題から鉛フリー
の半田が用いられることもあり、鉛フリー半田の融点が
高いので260℃程度の温度に加熱される場合もある。
従って接合合金15はこれより充分に高い融点を持つ必
要がある。一方、あまり温度を高くすると水晶振動子の
配線等にダメージを与えるので製造時の温度はなるべく
低く抑える必要がある。このため接合合金15は、29
at.%Snを含有し278℃の融点を持つAuSn合
金、28at.%Geを含有し361℃の融点を持つAu
Ge合金、18.6at.%Siを含有し363℃の融点
を持つAuSi合金、30at.%Gaを含有し341℃
の融点を持つAuGa合金のいずれかを用いる。これら
の接合合金15はそのままだと酸化層が形成されるこ
と、超音波接合するには展延性に富む材料が望ましいこ
とから表面をAuで被覆して被覆層を設ける。被覆層1
7はその表面がAuで覆わていれば良いが、接合合金1
5との密着性を得るためNi、Cr、Tiなどの中間層
を接合合金15とAuとの間に設けた二層構造とした方
が好ましい。
【0020】以下に本発明の水晶振動子用パッケージベ
ース1を用いた水晶振動子パッケージ構造体の製造方法
を説明する。図3は水晶振動子用パッケージベース1に
水晶振動子19を仮止めする様子を現した図である。図
3の様に水晶振動子用パッケージベース1を真空吸着な
どにより固定し、その上に水晶振動子19を接合部材9
と枕13とを支持として置く。水晶振動子19に設けら
れた電極21はNiを下地としたAu膜である。水晶振
動子19の上から接合部材9の真上に超音波圧子23を
当て荷重を加えながら超音波を印加する。超音波により
水晶振動子19は水平方向に動かされ、水晶振動子19
の電極21のAuと接合部材9の被覆層17のAuとが
摩擦されて一体となり超音波接合が行われ水晶振動子1
9は仮止めされる。この時、ミクロに見ると図4のよう
に被覆層17と水晶振動子19の電極21は部分的にの
み接合された状態であり、接合力は弱い。
【0021】次に真空槽の中へ投入し、真空に引いた
後、接合合金15の融点以上に加熱して接合合金15を
溶融し接合する。この際、水晶振動子19と水晶振動子
用パッケージベース1は仮止めされているので熱伝導が
効率良く生じ接合部の温度が均一になり接合強度の向上
に寄与する。仮止めを行わないと真空中なので水晶振動
子の電極と接合合金との間に温度差が生じるため全く接
合されないか、接合されても部分的に留まってしまうの
で仮止めは不可欠である。加熱の際、水晶振動子19は
溶融された接合合金15の表面張力によって引っ張られ
枕13から離れる。上手く加熱温度を制御すれば、図5
に示すように水晶振動子19が枕13から離れ、しかも
水晶振動子用パッケージベース1の上面より下に位置す
る位置で固定することができる。しかしながら、多数個
を処理する場合、加熱温度の場所による違いにより水晶
振動子19が水晶振動子用パッケージベース1の上面か
ら上に出てしまう場合がある。その場合には図6に示す
ように突起25を有した接合用治具27をあらかじめ水
晶振動子用パッケージベース1の上から被せて加熱すれ
ば、最大でも水晶振動子19は接合用治具の突起25に
突き当たって止まるので水晶振動子用パッケージベース
1の上面より上に出ることはないので良い。最後にキャ
ップを被せ真空槽中に入れ真空封止を行う。
【0022】図7は製造後一定期間経過した後の水晶振
動子パッケージ構造体の共振周波数fと初期の共振周波
数f0との差の絶対値|f−f0|の分布を示した図で
ある。本発明の水晶振動子用パッケージベースを用いた
水晶振動子パッケージ構造体は従来例に比べて経時変化
が少なく、安定している。
【0023】図8は本発明による水晶振動子用パッケー
ジベースを用いた水晶振動子パッケージ構造体の水晶振
動子の接合強度の分布を従来のものと比較した図であ
る。本発明による水晶振動子用パッケージベースを用い
た水晶振動子パッケージ構造体は従来例に比べて接合強
度が大きく、分布の広がりも小さい。
【0024】
【発明の効果】以上に記したように、本発明による水晶
振動子用パッケージベースを用いれば、容易に水晶振動
子を超音波接合して仮止めすることができ、フラックス
を用いないので接合後に洗浄の必要がなく製造が容易と
なるという効果がある。本発明による水晶振動子用パッ
ケージベースを用いて本発明の製造方法により製造され
た水晶振動子パッケージ構造体はフラックス残滓が生じ
ないので経時変化が小さくなるという効果がある。ま
た、水晶振動子の接合強度が向上し、分布も小さくなる
という効果がある。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例を示す図であり、水晶振動
子用パッケージベースの断面図である。
【図2】本発明による実施例を示す図であり、接合部材
の構成を説明するための拡大図である。
【図3】本発明による水晶振動子パッケージ構造体の製
造方法を示す図である。
【図4】本発明による水晶振動子パッケージ構造体の製
造方法を説明する図であり、水晶振動子を超音波接合し
た後の接合部の状態を示した拡大図である。
【図5】本発明による水晶振動子パッケージ構造体の製
造方法を説明する図である。
【図6】本発明による水晶振動子パッケージ構造体の製
造方法を示す図である。
【図7】本発明による水晶振動子用パッケージベースを
用いた水晶振動子パッケージ構造体の共振周波数分布を
示す図である。
【図8】本発明による水晶振動子用パッケージベースを
用いた水晶振動子パッケージ構造体の水晶振動子の接合
強度分布を示す図である。
【図9】従来の水晶振動子パッケージ構造体を示す図で
ある。
【図10】従来の水晶振動子用パッケージベースを示す
図である。
【図11】従来の水晶振動子パッケージ構造体の製造方
法を示す図である。
【図12】従来の水晶振動子パッケージ構造体の製造方
法を示す図である。
【符号の説明】
1 水晶振動子用パッケージベース 3 基体 5 配線 7 内部電極 9 接合部材 11 外部電極 13 枕 15 接合合金 17 被覆層 19 水晶振動子 21 電極 23 超音波圧子 25 突起 27 接合用治具 29 密封空間 31 キャップ 33 封止部材 35 AuSn合金ペースト 37 Auバンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H03H 9/19 H01L 41/22 Z

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水晶振動子を接合して用いられる水晶振
    動子用パッケージベースにおいて、水晶振動子との接合
    を行う内部電極の上に設けた接合部材が、接合合金にA
    uを被覆した構成であることを特徴とする水晶振動子用
    パッケージベース。
  2. 【請求項2】 前記接合合金は、AuとSnとを含有す
    る合金であることを特徴とする請求項1記載の水晶振動
    子用パッケージベース。
  3. 【請求項3】 前記接合合金は、AuとGeとを含有す
    る合金であることを特徴とする請求項1記載の水晶振動
    子用パッケージベース。
  4. 【請求項4】 前記接合合金は、AuとSiとを含有す
    る合金であることを特徴とする請求項1記載の水晶振動
    子用パッケージベース。
  5. 【請求項5】 前記接合合金は、AuとGaとを含有す
    る合金であることを特徴とする請求項1記載の水晶振動
    子用パッケージベース。
  6. 【請求項6】 水晶振動子用パッケージベースを用いた
    水晶振動子パッケージ構造体の製造方法において、水晶
    振動子と水晶振動子用パッケージベースとの接合に際
    し、水晶振動子を水晶振動子用パッケージベースの内部
    電極の上に設けた接合部材へ超音波接合により仮止めす
    る仮止め工程と、加熱を行い該接合部材を構成する接合
    合金を溶融して接合する接合工程を備えたことを特徴と
    する水晶振動子パッケージ構造体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記接合工程では、突起を有した接合用
    治具を前記水晶振動子用パッケージベースの上に被せる
    ことを特徴とする請求項6記載の水晶振動子パッケージ
    構造体の製造方法。
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