JP2002260819A - スパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ

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JP2002260819A
JP2002260819A JP2001056022A JP2001056022A JP2002260819A JP 2002260819 A JP2002260819 A JP 2002260819A JP 2001056022 A JP2001056022 A JP 2001056022A JP 2001056022 A JP2001056022 A JP 2001056022A JP 2002260819 A JP2002260819 A JP 2002260819A
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spark
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JP2001056022A
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Wataru Matsutani
渉 松谷
Masayuki Segawa
昌幸 瀬川
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ir系合金からなる発火部の耐消耗性を向上
させたスパークプラグを提供する。 【解決手段】 主成分としてのIrと、Irに対して固
溶状態にて含有される添加元素成分を3〜12重量%含
有するIr合金を主体とする貴金属チップによりスパー
クプラグ100の発火部31、32を構成する。さら
に、その発火部31、32は、火花放電ギャップgに面
する端面から深さ0.1mmの位置における断面を偏析
評価領域として、これを1μm四方の濃度評価単位領域
に分割し、各々の単位領域毎に測定した添加元素成分の
平均濃度をCm1(重量%)、偏析評価領域全領域にお
ける添加元素成分の平均濃度をCm2(重量%)とし
て、|Cm1−Cm2|/Cm2の値が0.25以上とな
る濃度評価単位領域を単位偏析領域とする。そして、該
単位偏析領域が200個以上隣接してなるマクロ成分偏
析部の前記断面に占める割合を、4%以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関に使用さ
れるスパークプラグに関し、特にその発火部を構成する
貴金属チップに関する。
【従来の技術】自動車エンジン等の内燃機関の着火用に
使用されるスパークプラグにおいては、エンジンの高出
力化や燃費向上の目的で、燃焼室内の温度も高くなる傾
向にある。また着火性向上のために、スパークプラグの
発火部を燃焼室内部に突き出させるタイプのエンジンも
多く使用されるようになってきている。このような状況
では、スパークプラグの発火部が高温にさらされるの
で、その火花消耗が進みやすくなる。そこで、発火部の
耐火花消耗性向上のために、電極の先端にPtやIr等
を主体とする貴金属チップを溶接したタイプのものが多
数提案されている。
【0002】しかしながら昨今では、さらなる内燃機関
の性能向上に際して、着火性向上のために発火部(チッ
プ)の寸法を小さくする要求があり、ただでさえ発火部
にかかる熱負荷が大きい中、ますますその熱負荷を増加
させる傾向にある。そして、Irを主体とする発火部に
おいては、高速、高負荷運転時において、Irの高温酸
化揮発により消耗が急激に大きくなりやすい問題があ
る。また、このような酸化消耗を防止するために、Ir
よりも高温揮発しにくいPtを含有したIr−Pt合金
も使用されているが、酸化揮発は軽減できるものの、P
tの融点がIrに較べて低いために、Ptの含有量が増
加するに従い、耐火花消耗性が劣化する問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような問題を解
決するために、特開平10−32076号公報及び特許
2877035号公報には、発火部の耐消耗性を向上さ
せるスパークプラグの構成が開示されている。上記公報
においては、発火部の耐消耗性を向上させるための有効
な貴金属成分、あるいは該成分を含有した発火部の形状
を規定している。しかしながら、発火部の貴金属成分の
種類や含有量、あるいは発火部の形状を規定するのみで
は、耐消耗性の改善を図る上での限界が存在する。
【0004】本発明の課題は、貴金属にて発火部を形成
したスパークプラグにおいて、発火部の耐消耗性が向上
するスパークプラグを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するために本発明のスパークプラグは、中心電極
と、その中心電極の外側に設けられた絶縁体と、その絶
縁体の外側に設けられた主体金具と、前記中心電極と対
抗するように配置された接地電極と、それら中心電極と
接地電極との少なくとも一方に固着されて火花放電ギャ
ップを形成する発火部とを備えるスパークプラグであっ
て、前記発火部は、主成分としてのIrと、Irに対し
て固溶状態にて含有される添加元素成分を3〜12質量
%含有するIr合金を主体に構成され、かつ、前記火花
放電ギャップに面する端面から深さ0.1mmの位置に
おける断面において、該断面を1μm四方の濃度評価単
位領域に分割し、各々の該濃度評価単位領域にて測定し
た前記添加元素成分の平均濃度をCm1(質量%)と
し、前記断面の前記添加元素成分の平均濃度をCm2
(質量%)として、|Cm1−Cm2|/Cm2の値が
0.25以上となる濃度評価単位領域を単位偏析領域と
して、該単位偏析領域が200個以上隣接してなるマク
ロ成分偏析部の前記断面に占める割合が、4%以下であ
ることを特徴とする。
【0006】本発明のスパークプラグは、上記のような
Ir合金を主体とする貴金属チップを接地電極及び/又
は中心電極の火花放電ギャップを形成することになる所
定の位置に溶接等により接合することによって発火部を
形成することができる。この場合、本明細書でいう「発
火部」とは、貴金属チップのうち、接地電極及び/又は
中心電極自身を構成する電極母材成分との接合に伴う組
成変動の影響を受けていない部分(例えば、接地電極及
び/又は中心電極との間で溶接により合金化した部分を
除く残余の部分)を指すものとする。なお、本明細書に
おいて「主成分」あるいは「主体に」とは、着目してい
る物質中において、最も含有量(質量%)の高い成分
(相を含む)を意味する。
【0007】本発明者等は、鋭意検討の結果、発火部を
構成する貴金属合金として、上記Ir合金を採用すると
ともに、このIr合金にて構成された発火部の端面近傍
にて、Irに対して固溶状態にて含有される添加元素成
分の偏析を一定レベル以下に軽減することで、上記発火
部の消耗を効果的に抑制できることを見出した。具体的
には、発火部のうちで火花放電ギャップに面する端面か
ら所定距離隔てた断面を多数の微少領域に区切り、その
微小領域における添加元素成分の濃度が断面における添
加元素成分の濃度平均値から特定レベル以上にある場合
に、その特定レベル以上の微小領域が偏って(連なっ
て)位置する領域の断面に占める比率が、ある上限値を
超えないように調整されたIr合金からなる発火部で
は、発火部の消耗が効果的に抑制されることが判明し
た。
【0008】発火部の消耗は、火花放電ギャップに面す
る端面近傍における添加元素成分の偏析の割合に依存す
るため、該端面近傍のマクロ成分偏析部の割合を評価す
ることが重要である。しかしながら、発火部の端面表面
は汚れや酸化物等の変質層の影響を受けやすいため、該
端面から深さ0.1mmの位置における断面を偏析評価
領域として成分偏析評価を行う。次に、その偏析評価領
域(断面)を1μm四方の正方形の濃度評価単位領域に
分割し、その各々の濃度評価単位領域においてIr合金
に含有される添加元素成分の平均濃度Cm1を電子線プ
ローブ微少分析法(EPMA)等の公知の微少分析法に
より測定する。他方、偏析評価領域全領域(断面)にお
ける添加元素成分の平均濃度をCm2(質量%)とし
て、各々の濃度評価単位領域において|Cm1−Cm2|
/Cm2を求める。そして、|Cm1−Cm2|/Cm2≧
0.25となる濃度評価単位領域を単位偏析領域とし、
測定ノイズ等の影響を軽減するため、この単位偏析領域
が200個以上隣接してなる領域を、添加元素成分がマ
クロに偏析しているマクロ成分偏析部として規定する。
【0009】添加元素成分は、主に、Irの酸化揮発を
軽減するために含有されるが、その効果は一定の濃度範
囲において最も有効に発揮され、その濃度範囲外では、
効果が不充分であったり、却って発火部の耐消耗性を低
下させたりする。この場合、合金全体の濃度が範囲内と
なっていても、その分布を微少に調査したとき、濃度範
囲外となる偏析部が多く存在していれば、発火部全体の
耐酸化消耗性は不充分となる。また、Ir合金中の添加
元素成分がIrよりも融点の低い成分の場合、上記のよ
うに濃度範囲外となる偏析部が多く生じていると、発火
部の耐火花消耗性が不足しがちで、偏消耗の発生につな
がる。
【0010】本発明においては、このようなマクロ成分
偏析部の断面(偏析評価領域)に占める割合を偏析率と
定義して、Ir合金にて構成される発火部の火花放電ギ
ャップに面する端面近傍における、該偏析率が4%以下
となるように調整する。これによって、発火部の耐消耗
性を大幅に向上させることができる。なお、このような
マクロ成分偏析部の偏析率は、少なければ少ないほどス
パークプラグの貴金属チップの耐久性が向上するように
なり、より望ましくは、該マクロ成分偏析部が存在して
いないのがよい。ここでマクロ成分偏析部が存在しない
とは、|Cm1−Cm2|/Cm2の値が0.25以上
となる単位偏析領域が200個以上連続して形成されな
いことを示す。
【0011】また、上記のようなマクロ成分偏析部が形
成されていなくても、|Cm1−Cm2|/Cm2の値
が0.25以上となる単位偏析領域が多数存在する場合
がある。本発明者等によれば、上記にて規定したマクロ
成分偏析部に加えて、このような単位偏析領域の形成も
貴金属チップの耐消耗性に少なからず影響を及ぼすこと
がわかった。すなわち、本発明においては、単位偏析領
域の前記断面に占める割合(換言すれば前記断面に対す
る単位偏析領域の累積面積の占める割合)が4%以下で
ある貴金属チップを使用することでより耐消耗性に優れ
たスパークプラグを実現できる。なお、単位偏析領域
は、より望ましくは存在していないのがよい。単位偏析
領域が存在していないとは、全ての濃度評価単位領域に
おいて|Cm1−Cm2|/Cm2の値が0.25を超
えないことを意味する。これにより、貴金属チップにお
いてほとんど偏析が生じていないこととなり、より一層
良好な耐消耗性を実現することができる。
【0012】本発明においては、Ir合金に含有される
添加元素成分はIrに対して固溶する成分であり、Ir
の耐酸化消耗を抑制する効果を有するものが使用され
る。具体的には、Pt、Rh、Ru、Al、及びNiか
ら選ばれる1種又は2種以上とすることができる。これ
らの添加元素成分により高温におけるIrの酸化揮発を
効果的に抑制するが、含有しすぎるとIr合金の融点を
低下させ、発火部の耐火花消耗性を低下させる問題を生
じる。
【0013】そこで、このような添加元素成分は、Ir
合金に対し、合計にて3〜12質量%の範囲で含有され
る。添加元素成分の含有量が3質量%未満であるとIr
の耐酸化消耗抑制効果が十分に得られなくなる。一方、
添加元素成分の含有量が12質量%を超えると、Ir合
金の融点が低下したり、単位偏析領域が存在しやすくな
ったりする問題を生じる。
【0014】次に発火部は、上記Ir合金に対し、Y、
Zr、Si、La、W、Ni及びCrから選ばれる1種
又は2種以上の酸化物、炭化物、窒化物、及びホウ化物
の1種又は2種以上を含有させたものとすることができ
る。これにより発火部の酸化揮発消耗をより効果的に抑
制することができる。また、例えば、元素周期律表の3
A族(いわゆる希土類元素)及び4A族(例えば、T
i、Zr、Hf)に属する金属元素の酸化物、炭化物、
窒化物及びホウ化物(複合化合物を含む)の1種又は2
種以上を0.1〜15質量%の範囲内で含有させること
ができる。これらの化合物の含有量が0.1質量%未満
では、効果が顕著でなく、15質量%を超えると、発火
部構成材料の耐熱衝撃性が低下し、例えば、チップの形
で溶接等により電極に固着する際にクラックや、ひび割
れ等の不具合を生じる場合がある。上記化合物の中で
は、特にY、及び/又はLaが好適に使用
される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施の
形態について図面を用いて説明する。図1は本発明のス
パークプラグの一例を示した縦断面図であり、図2
(a)はスパークプラグ100の火花放電ギャップg周
辺の拡大図である。本発明の一例たる抵抗体入りスパー
クプラグ100は、筒状の主体金具1、先端部21が突
出するようにその主体金具1の内側に嵌め込まれた絶縁
体2、先端に形成された発火部31を突出させた状態で
絶縁体2の内側に設けられた中心電極3、及び主体金具
1に一端が溶接等により結合されるとともに、他端側が
側方に曲げ返されて、その側面が中心電極3の発火部3
1と対向するように配置された接地電極4等を備えてい
る。また、接地電極4には上記発火部31に対向する発
火部32が形成されており、それら発火部31と発火部
32とに挟まれた隙間に火花放電ギャップgが形成され
ている。
【0016】絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化
アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、そ
の内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込む
ための貫通孔6を有している。また主体金具1は、低炭
素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパーク
プラグのハウジングを構成するとともに、その外周面に
は、スパークプラグ100を図示しないエンジンブロッ
クに取付けるためのねじ部7が形成されている。貫通孔
6の一方の端部側に端子電極13が挿入・固定され、同
じく他方の端部側に中心電極3が挿入・固定されてい
る。また、該貫通孔6内において端子電極13と中心電
極3との間に抵抗体15が配置されている。この抵抗体
15の両端部は、導電性ガラスシール層16、17を介
して中心電極3と端子電極13とにそれぞれ電気的に接
続されている。なお、発火部31及び対向する発火部3
2のいずれか一方を省略する構成としてもよい。この場
合には、発火部31と対向する接地電極4、又は中心電
極3と対向する発火部32との間で火花放電ギャップg
が形成されることになる。
【0017】図2(b)に示すように、中心電極3及び
接地電極4の本体部3a及び4aは例えばINCONEL 600
(英国INCO社商標名)等のNi合金で構成されてい
る。なお、本体部3a及び4aはFeを主成分とする合
金にて構成されていてもよい。一方、上記発火部31及
び対向する発火部32は、Irを主成分として、Pt、
Rh、Ru、Al及びNiから選ばれる1種又は2種以
上の添加元素成分を3〜12質量%の範囲にて固溶状態
で含有するIr合金により構成されている。また、上記
Ir合金に対し、Y、Zr、Si、La、W、Ni及び
Crから選ばれる1種又は2種以上の酸化物、炭化物、
窒化物、及びホウ化物の1種又は2種以上(例えば、Y
、Laの少なくとも一方)を含有させるこ
ともできる。
【0018】発火部31、32は同組織の貴金属チップ
を溶接部Wを介して中心電極3及び接地電極4に固着す
ることにより形成する。上記貴金属チップは例えば次の
ようにして製造することができる。すなわち、主成分と
なるIr金属に対して添加元素成分金属を所定の比率で
配合して原料金属を調製し、これを溶解して合金インゴ
ットを形成する。具体的な溶解方法としては、アーク溶
解等が使用される。図3にアーク溶解によるIr合金の
溶解工程を示す。図3(a)に示すように、水冷ハース
62上に原料金属60を配置し、アーク電極63に電圧
を印加して、発生したアークPを原料金属60に当て
る。すると、図3(b)に示すように、原料金属60は
アークPによって溶解し、合金インゴット200(図3
(c))となる。そして、このような溶解を合金インゴ
ット200に対して上下を反転させながら何度か繰り返
し行うことで、得られる貴金属チップ160(図4参
照)にて後述するマクロ成分偏析部の低減が図れ、ひい
ては、後述する|Cm1−Cm2|/Cm2の値が0.
25以上となる単位偏析領域の形成をも抑制することが
可能となる。また、マクロ成分偏析部を可及的になくす
ためには、得られた合金インゴット200を融点直下に
て均質化焼鈍するのがよい。これによりマクロ成分偏析
部が無くなって、より耐消耗性に優れた貴金属チップを
得ることが可能となる。なお、各原料金属60を溶解す
る方法としては、上記のようなアーク溶解法を用いるよ
うにしてもよいし、他の溶解方法、例えばプラズマビー
ム溶解や高周波誘導溶解等の方法により行ってもよい。
また、合金溶液を水冷鋳型等にて鋳造、急冷させてイン
ゴットとすれば、マクロ成分偏析部をさらに少なくする
ことができる。
【0019】また、アーク溶解のように部分的に溶解を
繰り返して合金インゴット200とする場合には、一旦
得られた合金インゴット200に熱間加工を加えたり、
一度破砕を加えたりしてから再溶解すると得られる貴金
属チップにおけるマクロ偏析成分を効果的に解消するこ
とができる。例えば、合金インゴット200を熱間溝ロ
ール等により、ある程度の寸法まで熱間線材化加工を施
し、図4に示すような線材150を圧延形成する。そし
て、形成された線材150をさらに溶解しやすいように
適当な長さに切断し、溶解してから再度線材化する工程
を行う。このような処理を、何度か繰り返し行うこと
で、得られる貴金属チップ160に対してのマクロ成分
偏析部の存在を効果的に抑制することができる。
【0020】線材は最終的に熱間スエージング及び熱間
伸線により、チップ径に対応した線径とし、これを所定
長さに切断した後、表面を研磨することによって、発火
部31又は32に使用される貴金属チップ160を製造
する。
【0021】貴金属チップ160におけるマクロ成分偏
析部の偏析評価単位領域(断面)に対する割合(前述に
おいて定義した偏析率)を求めるには図5に示すような
方法を用いる。まず、貴金属チップ160のうちで火花
放電ギャップgを形成することになる端面側にて、その
端面から深さ1mmの位置の断面が露出するように均一
に表面研磨し、この露出した断面を偏析評価領域160
aとする(図5(a))。
【0022】そして、図5(b)に示すように上記の偏
析評価領域160aを1μm四方の濃度評価単位領域1
70に分割し、この濃度評価単位領域170毎における
添加元素成分の平均濃度Cm1をEPMA等により測定
する。また、すべての濃度評価単位領域170の各Cm
1の値を合計し、領域数にて割ることにより、偏析評価
領域160aの添加元素成分の平均濃度Cm2を求め
る。そして、各濃度評価単位領域170において|Cm
1−Cm2|/Cm2の値を求め、|Cm1−Cm2|/C
m2≧0.25となる濃度評価単位領域を単位偏析領域
175とする(図5(b)においては、色が濃い部分が
単位偏析領域175である)。そして、その単位偏析領
域175が200個以上隣接してなる領域をマクロ成分
偏析部180とし、このマクロ成分偏析部180の偏析
評価領域160a全体に対する割合を求めマクロ成分偏
析部の偏析率とする。単位偏析領域175が他の単位偏
析領域175と隣接していなかったり、隣接していても
隣接している単位偏析領域175の数が200個未満で
ある場合は、その領域をマクロ成分偏析部180とはせ
ず、偏析率の評価からは除外するようにする。これは、
単位偏析領域175が200個以上隣接していない領域
は、添加元素成分の偏析による発火部の消耗に少なから
ず影響は与えるものの、それほど大きな影響を与えない
と考えられるためである。なお、それ以上に偏析の程度
を詳細に評価したい場合は、偏析評価領域(断面)に対
する単位偏析領域個々を累積したときの累積面積の面積
率にて評価するようにしてもよい。
【0023】本発明においては、上記規定の偏析率が4
%以下となるように添加元素成分とIr成分とが均一に
分布している貴金属チップ160を、スパークプラグ1
00の発火部31、32として使用する。このような条
件を満たす貴金属チップ160により構成されている発
火部31、32を有するスパークプラグ100は、高温
にて長時間使用されてもその発火部31、32が酸化揮
発あるいは火花放電の繰り返しによって消耗しにくくな
る。
【0024】なお、添加元素成分の成分濃度を求める方
法としては、EPMA以外の微少分析方法を用いること
も可能である。なお、EPMAにて成分分析を行う場
合、偏析評価領域160aに当てる電子線プローブ径を
1μm以下とするのがよい。プローブ径が1μmを超え
ると、1μm四方の濃度評価単位領域170よりも、プ
ローブが偏析評価領域160aからはみ出してしまい、
濃度評価単位領域における添加元素成分の平均濃度Cm
1を精度よく測定することが不可能となるからである。
なお、偏析評価領域160aの添加元素成分の平均濃度
Cm2は、偏析評価領域全面においてプローブを走査
し、得られた特性X線の偏析評価領域160aにおける
強度分布から求めることも可能である。なお、濃度評価
単位領域170における平均濃度Cm1は、得られたE
PMAの二次元マッピングから1μm四方における平均
濃度をコンピュータ上にて計算することにより容易に求
めることが可能である。
【0025】上記のような貴金属チップ160は、図2
(b)に示すような形態にて接地電極4、あるいは中心
電極3に溶接され、発火部32あるいは31となる。中
心電極3の本体部3aは先端部が縮径されるとともに、
その先端面が平坦に構成され、ここに上記貴金属チップ
を重ね合わせる。そして、その重ね合わせ面の外周縁に
沿ってレーザー溶接により溶接部Wが形成される。また
接地電極4側においても、貴金属チップを所定位置に重
ね合わせ、周方向の溶接部Wを形成することにより、発
火部32とする。なお、接地電極4側が正極性となるよ
うに、電圧印加する場合、接地電極4側の発火部32
は、負極性となる中心電極3側の発火部31よりは、火
花消耗が起こりにくいので、Ir系合金に代えてPt系
合金等で構成するこることができる。この場合、Pt系
合金チップを接地電極4に対し、抵抗溶接により接合す
ることができる。
【0026】以下、上記のように製造された本発明のス
パークプラグ100は、そのねじ部7においてエンジン
ブロックに取り付けられ、燃焼室に供給される混合気の
着火源として使用される。その火花放電ギャップgを形
成する発火部31及び対向する発火部32を構成するI
r系合金は、火花放電ギャップgに面する端面近傍にお
いて成分偏析がほとんど生じていないものが使用されて
いる。これにより、Ir系合金からなる発火部31及び
32の酸化揮発消耗が効果的に抑制されるとともに良好
な耐火花消耗性が得られ、耐久性が優れたスパークプラ
グ100が実現される。
【0027】
【実施例】本発明の効果を調べるために、以下の実験を
行った。 (実施例1)まず、スパークプラグの発火部に使用され
る貴金属チップを以下のように製造した。950gのI
rの原料粉末(平均粒径10μm)と50gのPtの原
料粉末(平均粒径10μm)とを配合するとともに、こ
の原料配合物を直径50mm、長さ22mmの円形状に
加圧成形した。そして、その成形体をアーク溶解炉内に
配置し、溶解物を反転させながら繰り返しアーク溶解を
行って、合金インゴットを得た。次に、この合金に対
し、温度1400℃で熱間鍛造加工を行った後、温度1
300℃にて、溝ロールを用いた熱間圧延加工及び熱間
スエージングを行い、線径2.5mmの線材に加工し
た。そして、該線材を適当な長さに切断し再度アーク溶
解した後、再度熱間圧延加工及び熱間スエージング加工
して、線材化する工程を5回繰り返した後、伸線ダイス
を用いて温度1200℃で熱間伸線加工し、線径0.6
mmのIr合金線材とした。そして、該線材を厚さ0.
8mmに切断し、貴金属チップを作製した(実施例)。
また、比較例として再溶解工程及び再伸線工程は行わず
に作製した貴金属チップを用意した。
【0028】また、これらの貴金属チップの火花放電ギ
ャップに面することになる端面をそれぞれ、番手#12
00のエメリーペーパーにより表面研磨し、その端面か
ら深さ1mmの位置における断面を露出させた。そし
て、この断面を偏析評価領域として、該断面におけるP
tの成分濃度分布を電子プローブ微小分光法(EPM
A)により測定し前述の定義に従って偏析率を求めた。
なお、電子線プローブ径は0.8μmとし、各成分の特
性X線は波長分散型分光法(WDS)により検出した。
図6は、その検出結果を示したものである。色が明るい
部分ほど、Ptの平均濃度が高い領域であることを示し
ている。図6(a)が本発明の実施例に係る検出結果で
あり、図6(b)が比較例に係る検出結果である。
【0029】図6からわかるように、比較例に係る貴金
属チップは添加元素成分の偏析が目立って観測された
が、本発明に係るスパークプラグの貴金属チップは添加
元素成分が均一に分布しており目立った偏析も生じてい
ないことがわかる。さらに、添加元素成分の成分濃度分
布の測定結果から、実施例及び比較例の貴金属チップ
は、いずれも添加元素成分(Pt)の偏析評価領域全面
における平均濃度Cm2は略5質量%であった。しかし
ながら、比較例に係る貴金属チップにおいては、添加元
素成分の平均濃度が略2質量%となるマクロ成分偏析部
が形成されており、このマクロ成分偏析部の前述の定義
による偏析率は4%を超えていた。他方、実施例の貴金
属チップは、特に目立ったマクロ成分偏析部は観察され
ず、偏析率は約0.3%であった。
【0030】これらの貴金属チップを用いて、図1及び
図2(a)に示すスパークプラグ100の発火部31及
び対向する発火部32として形成するとともに(火花放
電ギャップgの幅1.1mm)、各プラグの耐久試験を
下記の条件にて行った。すなわち、排気量2500cc
のガソリンエンジン(6気筒)にそれらスパークプラグ
を取り付け、スロットル全開状態、エンジン回転数60
00rpmにて累積350時間の運転を行った(6万k
m走行に相当)。なお、使用燃料は、無鉛ガソリンであ
り、中心電極の先端温度は950℃であった。そして、
このような条件における耐久試験後のそれぞれの貴金属
チップの消耗の程度を拡大鏡により観察した。
【0031】図7(a)は実施例の貴金属チップを使用
したスパークプラグの、同図(b)は比較例の貴金属チ
ップを使用したスパークプラグの、上記耐久試験後の各
中心電極側の発火部の外観写真を示したものである。す
なわち、実施例のスパークプラグにおいては、発火部の
目立った消耗が起きていないことがわかる。一方、比較
例のスパークプラグにおいては、実施例のスパークプラ
グと比較して発火部の消耗が明らかに進行していること
がわかる。 (実施例2)
【0032】インゴット再溶解及び再線材化の工程を種
々の回数に設定したり、あるいは均質化焼鈍、あるいは
急冷等して、実施例1と同様の組成の貴金属チップを作
製し、各貴金属チップにおいてEPMAによりPtの濃
度分布を求めるとともに、各濃度評価単位領域につい
て、X=(Cm1−Cm2)/Cm2の絶対値(|X|)
の値を求めた。そして、それら濃度評価単位領域のうち
|X|≧0.1となるものを濃度偏差領域として、チッ
プ毎にそれら濃度偏差領域の|X|の値の平均値を算出
するとともに、|X|≧0.25となる濃度評価単位領
域(単位偏析領域)が存在する貴金属チップに対して
は、その単位偏析領域の断面における面積率を算出し、
さらに該単位偏析領域が200個以上隣接してなる領域
(マクロ成分偏析部)の面積率を算出した。そして、こ
れらのチップを用いてスパークプラグを作製し、実施例
1と同様の耐久試験を累積700時間まで行って、火花
放電ギャップの拡大量を測定した。結果を表1に示す。
ギャップ増加量が0.2mm未満であるものを◎、0.
2mm以上0.3mm未満であるものを○、0.3mm
以上0.5mm未満のものを△、0.5mm以上のもの
を×として評価している。
【0033】
【表1】
【0034】これによると、マクロ成分偏析部が形成さ
れていないものは、火花放電ギャップのギャップ増加量
が抑制されていることがわかる。また、マクロ成分偏析
部が形成されている場合であっても、その面積率が4%
以下に保たれていれば、ギャップ拡大を効果的に抑制で
きることがわかる。さらに、単位偏析領域の面積率が4
%以下であるものは、さらに効果的にギャップ拡大を抑
制することができ、特に単位偏析領域が存在しない(単
位偏析領域の面積率が0%)場合は、より一層ギャップ
の拡大を抑制できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一実施例を示す正面
全体断面図。
【図2】図1のスパークプラグの部分断面図及び要部を
示す拡大断面図。
【図3】貴金属チップの原料合金インゴットの製造方法
の一例を拡大して示す模式図。
【図4】貴金属チップの製造工程を示した模式図。
【図5】マクロ成分偏析部の定義を説明する図。
【図6】Ir−Pt合金からなる貴金属チップに対して
行ったEPMA分析によるPt特性X線の強度分布の測
定例を示す二次元マッピング図。
【図7】耐久試験後における発火部の外観を示す写真。
【符号の説明】
100 スパークプラグ 3 中心電極 2 絶縁体 1 主体金具 4 接地電極 g 火花放電ギャップ 31、32 発火部 160 貴金属チップ 170 濃度評価単位領域 180 マクロ成分偏析部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心電極と、その中心電極の外側に設け
    られた絶縁体と、その絶縁体の外側に設けられた主体金
    具と、前記中心電極と対抗するように配置された接地電
    極と、それら中心電極と接地電極との少なくとも一方に
    固着されて火花放電ギャップを形成する発火部とを備え
    るスパークプラグであって、 前記発火部は、主成分としてのIrと、Irに対して固
    溶状態にて含有される添加元素成分を3〜12質量%含
    有するIr合金を主体に構成され、 かつ、前記火花放電ギャップに面する端面から深さ0.
    1mmの位置における断面において、該断面を1μm四
    方の濃度評価単位領域に分割し、各々の該濃度評価単位
    領域にて測定した前記添加元素成分の平均濃度をCm1
    (質量%)とし、前記断面の前記添加元素成分の平均濃
    度をCm2(質量%)として、|Cm1−Cm2|/Cm2
    の値が0.25以上となる濃度評価単位領域を単位偏析
    領域として、該単位偏析領域が200個以上隣接してな
    るマクロ成分偏析部の前記断面に占める割合が、4%以
    下であることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 【請求項2】 前記マクロ成分偏析部が存在していない
    請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 【請求項3】 前記単位偏析領域の前記断面に占める割
    合が4%以下である請求項1又は2に記載のスパークプ
    ラグ。
  4. 【請求項4】 前記単位偏析領域が存在していない請求
    項1ないし3のいずれかに記載のスパークプラグ。
  5. 【請求項5】 前記添加元素成分は、Pt、Rh、R
    u、Al、及びNiから選ばれる1種又は2種以上であ
    る請求項1ないし4のいずれかに記載のスパークプラ
    グ。
  6. 【請求項6】 前記発火部は、Y、Zr、Si、La、
    W、Ni及びCrから選ばれる1種又は2種以上の酸化
    物、炭化物、窒化物、及びホウ化物の1種又は2種以上
    を含有する請求項1ないし5のいずれかに記載のスパー
    クプラグ。
  7. 【請求項7】 前記発火部は、La及びY
    の少なくとも一方が含有されている請求項1ないしは6
    のいずれかに記載のスパークプラグ。
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