JP2002259620A - 意味情報ネットワークを用いたくじ運用方法およびシステムと送信端末および受信端末 - Google Patents

意味情報ネットワークを用いたくじ運用方法およびシステムと送信端末および受信端末

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JP2002259620A
JP2002259620A JP2001054974A JP2001054974A JP2002259620A JP 2002259620 A JP2002259620 A JP 2002259620A JP 2001054974 A JP2001054974 A JP 2001054974A JP 2001054974 A JP2001054974 A JP 2001054974A JP 2002259620 A JP2002259620 A JP 2002259620A
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lottery
event
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JP2001054974A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Shibata
弘 柴田
Takanari Hoshiai
隆成 星合
Takamichi Sakai
隆道 酒井
Keiichi Koyanagi
恵一 小柳
Jun Maeda
潤 前田
Keiji Kanasugi
恵次 金杉
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Fujitsu Ltd
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 くじ購入者が発行を受けたくじを他人に譲渡
することが仲介者を必要とせずに可能とし、さらに誰が
どの番号のくじを購入したかというくじ購入者のプライ
バシを保護する。 【解決手段】 くじ購入者1、2は、乱数等により発生
させたくじ購入者宛先名を含んだくじ購入要求を、発信
者を特定できない通信手段によりくじ主催者に送信し、
そのくじ購入者宛先名を条件としたフィルタを設定す
る。くじ主催者は、くじ購入要求に応じてくじを発行
し、くじ購入者宛先名を条件としたイベントを意味情報
ネットワーク10に送信する。くじ主催者からのイベン
トを受信したくじ購入者は、くじ番号を条件とするフィ
ルタを設定し、くじ主催者は当選番号を条件とする当選
通知をイベントとして意味情報ネットワーク10に送信
するので、当選通知は、当選番号に一致する番号をフィ
ルタの条件として設定した端末41にのみ受信される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワーク上に
分散するコンテンツの中からエンドユーザの興味に合致
するコンテンツを特定する、あるいは、コンテンツプロ
バイダがコンテンツを配布すべき最適なコンシューマを
特定する意味情報ネットワークを用いたくじ運用方法お
よび運営システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、くじの購入を希望するくじ購入者
は、くじの販売を行っている窓口に訪れて直接くじを購
入し、くじの抽選が行われた後は新聞、電話、ホームペ
ージ等により当選番号を知り自己が購入したくじが当選
しているかどうかを確認するということを行っていた。
このような従来の方法では、くじ購入者は窓口までわざ
わざ出向く必要があるとともに、抽選日を意識して当選
番号の確認を行うという手間が必要になる。そのため、
インターネット等のネットワークを用いてくじ運用サー
ビスの提供を行うくじ運用システムを実現することがで
きればくじ購入者にとって便利である。
【0003】図37は、このようなくじ運用サービスを
提供する従来のくじ運用システムの仕組みを示してい
る。この従来のくじ運用システムでは、くじ主催者の端
末300、くじ購入者1、2の端末101、102がイ
ンターネット500等の通信網を介して接続されてい
る。
【0004】この従来のくじ運用サービスは、くじの購
入を希望するくじ購入者が、くじの販売を行っているく
じ主催者からくじを購入し、くじの抽選が行われ当選し
たくじが決定した場合には、その当選したくじを購入し
たくじ購入者に対して、購入したくじが当選した旨を通
知することにより実現される。
【0005】この従来のくじ運用方法を図37を参照し
て説明する。図37中の括弧内の番号は、情報が伝送さ
れる順番または実行される処理の順番を示すものであ
る。
【0006】(1)くじ購入者1、2は、端末101、
102のくじ購入者用アプリケーションを用いて、くじ
主催者の端末300に対して、くじの購入を希望する旨
のくじ購入要求メッセージを送信する。
【0007】(2)くじの購入の際にくじ購入者からく
じ主催者への支払いが必要な場合には、くじ購入者は、
購入を希望するくじに対応した料金の支払いを行う。
【0008】(3)くじ主催者は、端末300のくじ主
催用アプリケーションを用いて、くじ購入者からのくじ
購入要求に応じて、くじ番号を含むくじ発行メッセージ
をくじ購入者1、2の端末101、102へそれぞれ返
信する。この際に、くじ主催者はくじ購入者1、2が購
入したくじ番号を記憶しておく。
【0009】(4)そして、くじ主催者の端末300で
は、くじの抽選が行われ当選したくじが決定した場合に
は、その当選したくじを購入したくじ購入者に対して当
選通知が行われる。
【0010】(5)そして、当選通知を受信したくじ購
入者は、くじ主催者に対してくじの当選を申し出る。
【0011】(6)くじ購入者からの申し出を受けたく
じ主催者は、当選番号等を確認した後に、くじ購入者に
賞金を支払うか又は商品の発送を行う。
【0012】図37に示したような従来のくじ運用シス
テムでは、くじ主催者はくじ発行時に記録したくじ購入
者に当選通知を送るようにしているため、くじ購入者が
購入したくじを他人に譲渡することが困難である。ま
た、誰がどの番号のくじを購入したかというくじ購入者
のプライバシがくじ主催者に知られてしまう。
【0013】このような従来のくじ運用システムにおけ
る、購入したくじを他人に譲渡することができないとい
う問題を解決するための、従来の他のくじ運用システム
を図38に示す。この従来のくじ運用システムでは、く
じ主催者の端末310、仲介者のサーバ200、くじ購
入者の端末111、112がインターネット500等の
通信網を介して接続されている。
【0014】この従来のくじ運用システムにより実行さ
れるくじ運用方法を図38を参照して説明する。図38
中の括弧内の番号は、情報が伝送される順番または実行
される処理の順番を示すものである。
【0015】(1)くじ購入者1、2は、端末111、
112のくじ購入者用アプリケーションを用いて、くじ
主催者の端末310に対して、くじの購入を希望する旨
のくじ購入要求メッセージを送信する。
【0016】(2)くじの購入の際にくじ購入者からく
じ主催者への支払いが必要な場合には、くじ購入者は、
購入を希望するくじに対応した料金の支払いを行う。
【0017】(3)くじ主催者は、端末310のくじ主
催用アプリケーションを用いて、くじ購入者からのくじ
購入要求に応じて、くじ番号を含むくじ発行メッセージ
をくじ購入者1、2の端末111、112へそれぞれ返
信する。この際に、くじ主催者はくじ購入者1、2が購
入したくじ番号を記憶しておく必要はない。
【0018】(4)くじ主催者からのくじ発行メッセー
ジを受信したくじ購入者1、2は、端末111、121
のくじ購入者用アプリケーションを用いて、くじ仲介者
のサーバ200に対して発行を受けたくじの番号を登録
する。くじ仲介者のサーバ200では、このくじ番号を
くじ購入者と対応させて記憶しておく。
【0019】(5)そして、くじ主催者の端末300で
は、くじの抽選が行われ当選したくじが決定した場合に
は、その当選したくじの番号を仲介者のサーバ200に
通知する。
【0020】(6)くじ仲介者のサーバ200では、く
じ主催者から受け取った当選番号に一致するくじ番号を
登録したくじ購入者に対して、当選メッセージを送信す
る。
【0021】(7)そして、仲介者のサーバから当選メ
ッセージを受信したくじ購入者は、くじ主催者に対して
くじの当選を申し出る。
【0022】(8)くじ購入者からの申し出を受けたく
じ主催者は、当選番号等を確認した後に、賞金又は商品
を受領する。
【0023】(9)くじ主催者は、仲介者に対して仲介
料を支払う。場合によっては、くじ購入者も仲介者に対
して仲介料を支払う。
【0024】図38に示した従来のくじ運用システムで
は、くじ購入者が一旦購入したくじを他人に譲渡した場
合でも、その他人が再度仲介者のサーバ200へ登録変
更を行うことにより、その他人は当選通知を受け取るこ
とができる。また、くじ主催者は誰がどの番号のくじを
購入したかという情報を記憶しておく必要がないため、
くじ購入者のプライバシがくじ主催者に知られてしまう
ことはない。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】図37に示した従来の
くじ運用システムでは、以下のような問題点を有してい
る。 (1)誰がどの番号のくじを購入したかというくじ購入
者のプライバシがくじ主催者に知られてしまう。 (2)くじ主催者はくじ発行時に記録したくじ購入者に
当選通知を送るようにしているため、くじ購入者が購入
したくじを他人に譲渡することが困難である。
【0026】図38に示した従来のくじ運用システムで
は、くじ購入者に対して当選通知を行うために仲介者が
介在することが必要となることから以下のような問題点
を有している。 (1)誰がどの番号のくじを購入したかというくじ購入
者のプライバシが仲介者に知られてしまう。また、場合
によってはくじ購入者のプライバシがくじ主催者にも知
られてしまう。 (2)仲介料が発生する、または、仲介者による広告の
付与等が発生する。 (3)くじ運用サービスを利用するくじ主催者、くじ購
入者の増加に伴い仲介者の運営するサーバにおける負荷
が集中し、くじ購入者への当選通知等の処理のリアルタ
イム性が低下するとともに高価な大型サーバ機が必要と
なることにもなる。
【0027】本発明は上述したような従来の技術が有す
る問題点に鑑みてなされたものであって、くじ購入者が
発行を受けたくじを他人に譲渡することが仲介者を必要
とせずに可能とし、さらに誰がどの番号のくじを購入し
たかというくじ購入者のプライバシの安全性を向上する
ことができるくじ運用方法およびシステムを実現するこ
とを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のくじ運用方法は、データをイベントとして
送信する送信端末と、イベントとして送信された前記デ
ータを選択的に受信するために、イベントのタイプと取
得条件とからなるフィルタが設定される受信端末とから
構成される意味情報ネットワークを用いて、くじの購入
を希望するくじ購入者が、くじの販売を行っているくじ
主催者からくじを購入し、くじの抽選が行われ当選した
くじが決定した場合には、その当選したくじを購入した
くじ購入者に対して、購入したくじが当選した旨を通知
する、意味情報ネットワークを用いたくじ運用方法であ
って、前記くじ購入者の端末が、くじの購入者を特定す
ることができないようなくじ購入者宛先名を生成し、該
くじ購入者宛先名をイベントの取得条件としたフィルタ
を前記意味情報ネットワークに設定するステップと、前
記くじ購入者の端末が、購入するくじの枚数である購入
希望枚数と購入を希望するくじの種類からなるくじ購入
条件と、前記くじ購入者宛先名の情報とを含んだくじ購
入要求メッセージを、発信者を特定することができない
通信手段により、前記くじ主催者の端末に送信するステ
ップと、前記くじ購入要求メッセージを受信したくじ主
催者の端末が、受信したくじ購入要求メッセージに含ま
れている購入希望枚数に応じた枚数のくじを発行し、発
行したくじ番号および当該くじがくじ主催者が発行した
正規のくじであることを証明するための情報である主催
者発行証明を含んだくじ発行情報を、受信したくじ購入
要求メッセージに含まれていたくじ購入者宛先名を条件
としたイベントとして前記意味情報ネットワークに対し
て送信するステップと、くじ購入者宛先名を取得条件と
するフィルタを設定している前記くじ購入者の端末が、
イベントとして送信された前記くじ発行情報を前記意味
情報ネットワークから受信し、受信したイベントに含ま
れるくじ番号および該くじの種類を特定するための情報
をフィルタとして前記意味情報ネットワークに設定する
ステップと、前記くじ主催者の端末が、くじの抽選が行
われ当選したくじ番号が決定されると、該当選番号およ
びくじの種類を特定するための情報を条件とした当選通
知情報をイベントとして前記意味情報ネットワークに送
信するステップと、くじ番号および該くじの種類を特定
するための情報をフィルタとして設定しているくじ購入
者の端末が、イベントとして送信された前記当選通知情
報を前記意味情報ネットワークから受信するステップ
と、前記当選通知情報をイベントとして受信した前記く
じ購入者の端末が、前記くじ主催者の端末に購入したく
じが当選した旨を申し出るステップとを有する。
【0029】本発明によれば、くじ購入者は、くじ購入
要求メッセージを、くじの購入者を特定することができ
ないようなくじ購入者宛先名を使用して、発信者を特定
することができない通信手段によりくじ主催者の端末に
送信するようにしてくじの購入を要求し、くじ購入者宛
先名をイベントの取得条件としたフィルタを意味情報ネ
ットワークに設定することによりくじ主催者に誰がどの
番号のくじを購入したかというプライバシを公開するこ
となくくじを購入することができる。また、くじ購入者
は、購入したくじ番号をイベントの取得条件としたフィ
ルタを意味情報ネットワークに設定することにより、く
じ主催者からの当選通知を仲介者を必要とすることなく
受信することができる。さらに、購入したくじを他人に
譲渡した場合であっても、その他人は購入したくじのく
じ番号をイベントの取得条件としたフィルタを意味情報
ネットワークに設定することによりくじ主催者からの当
選通知を受信することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明を説明する前に、本発明の
前提となる、発信する情報のメッセージ性を高めた分散
型ネットワークシステムについて説明する。
【0031】分散型指向のネットワークシステムとして
は、ナップスターを用いるものが知られ、さらに、分散
性を高めたネットワークシステムとしては、Gnute
llaを用いるものが知られている。
【0032】まず、ナップスターを用いるネットワーク
システムについて説明する。ナップスター利用者は、各
ナップスター利用者が公開するファイルの情報を格納し
たナップスター社のサーバに検索要求を送信し、ナップ
スター社のサーバは検索したファイルを所有するナップ
スター利用者に関するIPアドレス等の情報を返信す
る。実際のファイルのやり取りはナップスター社のサー
バを介することなく、IPアドレスを入手した利用者が
直接目的とするファイルを所有するナップスター利用者
にアクセスすることにより行われる。
【0033】Gnutellaを用いるネットワークシ
ステムの場合には、Gnutella利用者の端末は、
接続している相手端末の状態を定期的に確認し、メッセ
ージやファイルの検索要求を中継し合うことが行われ
る。検索結果は検索要求を行った相手に戻され、その後
のファイル転送はナップスターと同様に利用者間で直接
行われる。これにより、サーバを用いることなくネット
ワークが構築されることとなる。
【0034】これらの各ネットワークシステムのうち、
ナップスターを用いるものにおいては、本発明が問題点
とする仲介者に相当するサーバを必要とするため、本発
明の目的を達成するものではない。
【0035】Gnutellaを用いるネットワークシ
ステムにおいては、サーバを用いることなくメッセージ
やファイルの検索要求が行われるものの、発信する情報
が単なるファイルの検索要求であり、この応答を確認し
た利用者によるファイルの転送が利用者間で行われるも
のであるため、オークションや逆オークション等の1対
複数でのやり取りが必要となる形態にはそぐわない。
【0036】発信する情報のメッセージ性を高めた分散
型ネットワークシステムとして以下に説明する意味情報
ネットワークシステムがあり、本発明は、このような意
味情報ネットワークシステムを用いることを前提とす
る。
【0037】まず、意味情報ネットワーク(Semantic I
nformation-Oriented Network、以下、SIONと称す
る)について概要を説明する。SIONは、意味情報に
基づいて、イベントを目的地まで配送することが可能な
ネットワークである。図1に、SIONの概念モデルを
示す。図1において、各端末2は、意味情報(Semantic
Information:SI)をSION1に対して登録する。
一方、イベントを送信する端末2は、図2に示す意味情
報(Semantic information)とデータ(Data)から構成
されるイベントをSION1に送出する。ここでいう、
意味情報とは、イベントに含まれるデータの特性を記述
したものであり、データのメタ情報として位置づけられ
る。例えば、意味情報は、 ・データを“東京在住者”に配送する。 ・データを“クラシックに興味のある人”に配送する。 ・データを“1Mbps以上の通信環境を有する人”に
配送する。 ・データを“目白通りを通行中の人”に配送する。 ・データを“キーワード(例えば旅行)に合致するコン
テンツを有するコンテンツプロバイダ”に配送する。 等の表現が用いられる。
【0038】SIONは、上述したような意味情報に基
づいて、データを配送すべき対象(端末、人、ソフトウ
エアなど)を動的に決定し、特定された対象者に対し
て、データの配送および通知を行うことが可能な自律分
散型のメタネットワークである。このSIONを用いる
ことにより、ブローカを介することなく、情報提供者が
提供するに相応しいユーザに対してのみ、自身の情報を
直接提案することが可能になる。このような、ブローカ
非介在型(非ブローカモデル)でpeer-to-peerの情報提
案が可能なビジネスモデルを、ここでは、御用聞きモデ
ル(または、御用聞き型情報提案モデル、非ブローカモ
デル)と呼ぶ。同様に、検索サービス(ブローカ)を介
することなく、ユーザが希望する情報を直接探索可能
な、リアルタイム情報検索も可能である。なお、御用聞
き型情報提案サービスとして、以下のサービス等に適用
することが可能である。 (1)製造会社:自社製品に興味を持ってくれそうなお
客様を中心に製品案内を送りたい。 (2)広告主:お客様ごとにパーソナライズされた広告
を送りたい。 (3)物々交換:ユーザ間の合意に基づいて、製品を売
買したり、交換したい。
【0039】なお、イベントのデータ部にどのような情
報を設定するかは、サービス依存である。例えば情報の
実体、情報へのリファレンス(URL、分散オブジェク
ト識別子等)、プロキシ(Jiniプロキシ等)、モバ
イルエージェントなど様々な利用形態が可能である。
【0040】次に、SIONの詳細について説明する。
【0041】<SIONアーキテクチャ>まず、SIO
Nのネットワークアーキテクチャについて説明する。図
3にSIONのネットワークモデルを示す。ここで、説
明の便宜上、端末2を、イベント送信者の送信端末21
とイベント受信者の受信端末22とに区別して表記す
る。イベント受信者は、受信端末22を用いて自身が受
信することを希望するイベントの意味情報(受信するイ
ベントのタイプと取得条件)をメタデータとしてSIO
N1に登録する。これをフィルタ(Filter)と呼ぶ。一
方、イベント送信者は、送信端末21を用いてSION
1にイベントを送出することにより、SIONに刺激
(Incentive)を与える。このイベントは、図2に示す
ようにイベントの特性を記述した意味情報とデータから
構成される。意味情報の定義を図4に示す。意味情報
は、イベントのメタデータであり、かつ、意味情報タイ
プ(イベントタイプ)のインスタンスである。
【0042】SION1は、イベント受信者が登録した
フィルタに対して、イベント送信者が送出したイベント
を照合(フィルターリング)させるための自律分散型の
照合ネットワークである。照合の結果、イベントが通過
した(イベントに反応した)フィルタは発火(Ignitio
n)し、対応するイベント受信者の受信端末22が自律
起動する。この仕組みにより、不特定多数の端末2の中
から、対象となる端末2をスケーラブルかつリアルタイ
ムに探索・発見することが可能になる。
【0043】次に、イベントタイプについて説明する。
図5に、イベントのテンプレートであるイベントタイプ
の定義例を示す。図5に示すように、イベントタイプ
は、イベントタイプ名(Event type name)と条件名
(図5においては、”Service”や”CPU power”が相当
する)、およびそれぞれの条件名に対するデータ型(St
ringやLongが相当する)と条件式(==や>=が相当す
る)が定義されたものである。イベントタイプ名は、イ
ベントタイプを一意に識別するための名称である。
【0044】なお、イベントタイプの親タイプを継承可
能である。
【0045】図6に示すように、イベントタイプのデー
タ構造に従って、イベントを作成する。イベントは、イ
ベントタイプ名、条件名と条件値の組み合せ、および、
データ部から構成される。イベントの中で定義された条
件名、条件式、条件値が、イベントタイプと一致しない
場合は、エラーになる。但し、イベントの中で使用され
る条件名は、イベントタイプのサブセットでも良い。
【0046】図7にフィルタの定義例を示す。フィルタ
は、受け付けるイベントタイプ名(Event type nam
e)、属性名(図7においては、”CPU power”や”Ag
e”が相当する)と属性値(図7においては、200や
25が相当する)のペアーから成る。受け付けるイベン
トタイプ名で定義されたイベントタイプに属するイベン
トのみが、フィルタリングの対象となる。ここには、複
数のイベントタイプ名を定義することができ、さらに、
ワイルドカード(*.*)を指定することにより、全て
のイベントを対象とすることも可能である。なお、フィ
ルタで定義された属性名が、受け付けるイベントタイプ
名で定義されたイベントタイプの条件名の中に存在しな
い場合には、エラーとなる。但し、イベントタイプのサ
ブセットでも良い。
【0047】次に、SION1の構成を説明する。図8
は、SION1の構成を示す図である。図8に示すよう
にSION1は、意味情報スイッチ(Semantic Informa
tion-Switch、図面ではSI−SWと図示する)、意味
情報ルータ(Semantic Information -Router、図面では
SI−Rと図示する)、意味情報ゲートウェイ(Semant
ic Information-Gateway、図面ではSI−GWと図示す
る)から構成される。
【0048】意味情報スイッチ(SI−SW)は、フィ
ルタとして登録された意味情報と、イベントに付与され
た意味情報を照合し、その結果、発火したイベント受信
者の端末2を起動するスイッチング機構を提供する。意
味情報スイッチ(SI−SW)と各端末2はスター型で
結合される。
【0049】意味情報ルータ(SI−R)は、意味情報
スイッチ間のイベント経路選択を行うとともに、端末2
から意味情報スイッチに対して送出されたイベントを他
の意味情報スイッチに転送する役割を担う。これは、意
味情報に基づく動的なイべントルーティングにより達成
される。
【0050】意味情報ゲートウェイ(SI−GW)は、
イベントプレース(Event place)間でのイベントの転
送を行う。ここで、イベントプレースは、共通の意味情
報空間を保証する最小単位(オントロジードメイン)で
ある。イベントプレース内では、イベントタイプの名
称、概念、語彙、意味、関連などのオントロジー体系の
一意性が保証され、共通のオントロジーに基づいて意味
情報が記述されることになる。基本的には、イベント送
信者の端末2から送出したイベントは、イベントプレー
ス内のみで流通するが、意味情報ゲートウェイ(SI−
GW)を介することにより、異なるオントロジー体系を
有するイベントプレース間でのイベントの相互流通が可
能になる。このとき、意味情報ゲートウェイ(SI−G
W)はイベントのオントロジー変換を行った後、異なる
イベントプレースヘイベントを転送する。
【0051】<動作メカニズムとインタフェース仕様>
SION1の実現方法の一例として、分散オブジェクト
技術を用いた実装方法を示す。ここで、SI−SWsS
I−R、SI−GWは、それぞれ、イベントプレースオ
ブジェクト(EPO)、シェアードリンクオブジェクト
(SLO)、フェデレーションエージェント(FA)と
呼ばれる分散オブジェクトとして実装される。図9を用
いて、SION1の動作メカニズムと制御インタフェー
スを詳述する。また、SION−MT(Managem
ent Tool)やSIONインタフェーサを用いる
ことにより、SION1のネットワークインタフェース
を使用することができる。また、MTを用いて、EPO
の撤収・増減設、物理リンク情報の動的変更、POマイ
グレーション(POのバインド先EPOの動的変更)、
発火率の収集、人気の高い惰報や流行している情報の統
計情報収集などを簡単に行うことができる。
【0052】・イべントプレースファクトリの起動&初
期化(図9(1)) まず、SION運営者は、任意のホスト上にイベントプ
レースファクトリ(EPF)を起動し、続いて、EPF
の初期化を行う。この時、EPFに対して、イべントプ
レース(EP)を生成可能なホスト名、およびEPの実
行ファイルの格納先を与える。これらを、EP生成情報
と呼ぶ。
【0053】・イべントプレースの生成要求(図9
(2)) 次に、EP運営者は、EPFに対して、EPの生成を要
求する。このとき、EP名、およびEP属性を与える。
ここで、EP属性とは、生成されたEPが、御用聞きモ
デルもしくは問い合せモデルのどちらの目的で使用され
るかを表したものであり、イべントの流れの方向性を表
すものである。
【0054】・イべントプレースの生成(図9(3)) 次に、EP生成要求を受け取ったEPFは、EPを生成
する。具体的には、このとき、EPの管理を司るイべン
トプレースマネージメントオブジェクト(EPMO)が
生成される。すなわち、EPへの処理要求は、EPMO
への処理要求と同義である。EPFは、生成要求元に生
成したEP(すなわち、EPMO)の識別子を返却す
る。なお、EPMOは、図9の(1)において指定され
た、EPを生成可能なホストの中から、動的に決定され
たホストに対して生成される。EPMOの起動先ホスト
の決定方法として、サイクリックに起動先を決定する、
トラヒックに応じて決定する、起動先ホストを明示的に
指定する、等の方法を選択できる。
【0055】・イべントプレースの初期化要求(図9
(4))次に、EP運営者は、EPの初期化をEPMO
に依頼する。このとき、シングルイべントプレースオブ
ジェクトもしくは、マルチプルイべントプレースオブジ
ェクトの指定を行う。マルチプルイべントプレースオブ
ジェクトを指定した場合には、イべントプレースオブジ
ェクト(EPO)の物理リンク情報(トポロジ)も併せ
て与える必要がある。ここで、EPOの物理リンク情報
は、任意のEPOが他のどのEPOの存在を知っている
かを表現したものである。
【0056】例えば、図10に示すように、EPO2・
32は、EPO1・31、EPO3・33、EPO4・
34の存在を知っているが、EPO3・33はEPO2
・32の存在しか知らないことを表現している。このよ
うに、マルチプルEPOは、EP内でのイべント照合処
理の負荷分散によるスケラビリティ向上を目的としたも
のである。
【0057】EPMOは、図9の(1)において指定さ
れた、EPを生成可能なホストリストの中から、EPO
を生成するホストを動的に決定し、そこにEPOを生成
する。このとき、各EPOには、それぞれ一つのフィル
タファクトリ(FF)と統計情報収集オブジェクト(S
O)が常に付随して生成され、これらが、SI−SWに
相当する。さらに、物理リンク数に応じて、シェアード
リンクオブジェクト(SLO)が各EPOに付随して生
成される。例えば、EPO2・32に対しては3個のS
LOが生成され(図中のSLO2、1、SLO2、3、SL
O2、4に対応する)、これらが、SI−Rに相当する。
EPOの起動先の決定方法は、EPMOのそれと同様で
あるが、イべントタイプ毎に使用するEPOを固定化す
ることも可能である。なお、EPMOは、EP内にイべ
ントタイプファクトリ(ETF)を生成する。EP内で
は一元的なイベントタイプの名前空間がETFにより保
証される。
【0058】・イべントプレースに対するイべント送信
のためのセッション確立要求(図9(5)) 次に、EPにセッションの確立を要求する。EPMO
は、セッション要求毎にプロキシオブジェクト(PO)
を生成する。要求元へは、POの識別子であるセッショ
ン識別子を返却する。
【0059】なお、EPMOは、POの生成時に、PO
に対して、どのEPOを使用する(どのEPOとバイン
ドする)かを指示する。この指示は、マルチプルEPO
において必要となるが、バインドするEPOの決定方法
は、EPMOのそれと同様である。EPへのセッション
確立要求時に、イべント送信のためのセッションである
か、イべント受信のためのセッションであるかを指定す
る必要がある。本例においては、イべント送信のための
セッションを指定する。
【0060】・イべントタイプの登録(図9(6)) 次に、POに対して、イべントタイプの登録を要求す
る。このとき、POは、ETFにイべントタイプオブジ
ェクト(ETO)の生成を要求する。さらに生成された
ETOにイべントタイプを格納する。一方、EPに、イ
べントタイプ登録を要求することができる。このとき、
EPMOは、ETFにETOの生成を要求し、生成され
たETOにイべントタイプを格納する。一般的に、イべ
ント送信者がイべントタイプを登録する場合は、PO経
由で行う。一方、EP運営者は、EPに、イべントタイ
プ登録を行う。なお、同じ名前のイベントタイプを登録
するとエラーになる。
【0061】・イべントプレースに対するイべント受信
のためのセッション確立要求(図9(7)) 次に、EPに対してイベント受信のためのセッションの
確立を要求する。このとき、セッション確立の要求者
(イべント受信オブジェクト)は、イべントの通知先で
あるイべント受信オブジェクトの識別子、および、イべ
ントの通知方法(発火型、ルックイン型)をパラメータ
として与える。
【0062】続いて、EPMOは、セッション要求毎に
POを生成する。要求元へは、セッション識別子を返却
する。なお、EPMOは、POの生成時に、POに対し
て、使用するEPOを指示する。この指示は、マルチプ
ルEPOにおいて必要となるが、バインドするEPOの
決定方法は、EPMOのそれと同様である。
【0063】・フィルタオブジェクトの生成要求(図9
(8)) 次に、POに対して、フィルタオブジェクト(FO)の
生成を依頼する。このとき、POは、FFにFOの生成
を要求する。このとき、POとバインドされたEPOに
付随したFFが使用される。なお、FOの生成要求元に
は、生成されたFOの識別子がPO経由で返却される。
【0064】・フィルタ値の設定(図9(9)) 次に、FO識別子をパラメータとして、FOへのフィル
タ値の設定を、POへ依頼する。なお、フィルタオブジ
ェクトの中に格納されているイべントタイプ名(すなわ
ち、フィルターリングの対象とするイべントタイプ名)
をキーに、FOのデータ構造(フィルタ値)が正しいか
どうかのチェックをETOに依頼することが選択的に可
能である。正しくない場合は、エラーとなる。但し、ワ
イルドカードが指定された場合には、このチェック処理
を一切行わない。
【0065】・フィルタ登録(図9(10)) 次に、FOにフィルタ値を設定した後、Fのフィルタ識
別子をパラメータとして、POに対しフィルタの登録を
依頼する。このとき、登録要求元にフィルタ識別子が返
却される。これを契機に、イべントの受信が可能にな
る。なお、一つのPOを介して、複数のフィルタ登録が
可能であるが(これには、一つのPOを介して異なる複
数のFOをフィルタとして登録する、もしくは、同一の
FOを複数回、フィルタとして登録する場合が考えられ
るが)、一つのPOに対して登録されたすべてのフィル
タは、“ORの関係”を持つ。
【0066】・イべント送信(図9(A)) 次に、イベント送信者は、POに対して、イべントを送
信する。このとき、POは、イべントの中に格納されて
いるイべントタイプ名をキーに、イべントのデータ構造
が正しいかどうかのチェックをETOに依頼することが
選択的に可能である。このチェック処理を選択したと
き、正しい場合は、次の処理(図9(B))へ、正しく
ない場合は、エラーとなる。
【0067】・イベントの照合依頼(図9(B)) 次に、POはイベントをEPOに転送する。このとき、
EPOがスレッドを生成する。なお、スレッドはイベン
ト毎に生成され、各スレッドはイベントの多重処理を行
う。
【0068】・フィルタとの照合(図9(C)) 次に、スレッド(EPO)は、イベントとフィルタを照
合することにより、フィルターリング処理を行う。これ
には、完全一致、部分一致、重みづけ一致などがあり、
フィルタ値の設定時に指定することができる。
【0069】・プロキシオブジェクトの起動(図9
(D)) 次に、フィルタとの照合の結果、イベントがフィルタを
通過すると、対応するPOが起動されこのイベントを受
け取る。このとき、POは、受信したイベントのタイ
プ、値、イベントID等をSOに登録することが選択的
に可能である。これらの情報から、SOはイベントの発
火率(イベントタイプ毎、イベント毎)や、EP内で流
行している評判の高いイベントを測定することが可能に
なる。
【0070】・イベント受信オブジェクトの起動(図9
(E)) 次に、POは、イベント受信オブジェクトを起動すると
ともに、イベント受信オブジェクトに対してこのイベン
トを渡す。これが、発火型(割り込み型)のイベント通
知に対応する。
【0071】・ルックイン型のイベント通知(図9
(F)) 一方、POがイベント受信オブジェクトを起動するので
はなく、イベント受信オブジェクト自身が、イベント受
信オブジェクトに対応するPOにスプールされているイ
ベントを、取り出すことも可能である。これがルックイ
ン型のイベント通知に対応する。イベント受信オブジェ
クトの起動契機は、サービス形態に依存して種々存在す
るが、典型的な例として、エンドユーザがイベント受信
オブジェクトにコンテンツの提案要求を行った場合が考
えられる。
【0072】<フィルタの管理方法>次に、各EPOに
おけるフィルタの管理方法を説明する。
【0073】まず、イベント受信のためのセッションを
確立する。このとき、セッション要求毎に一つのPOが
生成され、このPOは任意の一つのEPOにバインドさ
れる。このEPOには、それぞれ、一つのFFが付随し
ている。これにより、POが使用するEPOが一意に決
定され、以降の処理はすべて、PO(イベント受信用セ
ッション)を介して行われる。
【0074】次に、FOを生成し、FOに対してフィル
タ値(受信するイベントのタイプとその取得条件)を設
定する。続いて、FO識別子をパラメータとして、フィ
ルタの登録を行う。このとき、各フィルタには、FO識
別子が格納される。各EPOは、POを介して登録され
たフィルタを以下に示す規則に基づいて管理する。
【0075】まず、フィルタに格納されているFO識別
子を用いて、FOに設定されている“受信するイベント
のタイプ”を参照する。続いて、受信するイベントのタ
イプ毎にフィルタを分類し、イベントタイプ毎に分類さ
れたフィルタを、さらにPO毎に細分類し、管理する。
【0076】この管理規則について図11を参照して、
PO1を介して、フィルタを登録する場合について説明
する。ここでは、フィルタ登録時に指定するFOの中
に、受信するイベントのタイプとして、“イベントタイ
プX”が設定されているものとする。このとき、EPO
に登録されるフィルタは、図11のフィルタ1が相当
し、同様に、PO2を介して登録されたフィルタにはフ
ィルタ2が相当する。また、各POにおいて、複数のフ
ィルタを登録することが可能であるが、登録されたフィ
ルタは“OR関係”を有するものとする。
【0077】まず、イベントタイプXのイベントがEP
Oに到着したとき、フィルタ1との照合が行われる。そ
の結果、フィルタ1が発火するとPO1が起動される。
次に、フィルタ2との照合が行われ、その結果、フィル
タ2が発火するとPO2が起動される。このとき、フィ
ルタ2とフィルタ3は“OR関係”を有するため、フィ
ルタ3との照合は行われない。このようなフィルタ管理
方法を用いることにより、一つのイベントに対する各E
POでの照合処理回数を、基本的にPO数(受信用セッ
ション数)以下にすることができる。
【0078】<イベントルーティング方法>次に、イベ
ントルーティング方法について説明する。
【0079】EPO(SI−SW)は、イベントの送受
信者(端末などのエンティティ)をセッションを介して
スター型で収容する。さらに、EPO(SI−SW)
は、イベント受信者(イベント受信オブジェクト)が登
録したフィルタと、イベント送信者が送出したイベント
を照合し、その結果、発火したフィルタに対応するイベ
ント受信者のみにイベントを通知する(合致するイベン
ト受信者にのみイベントを配送する)照合スイッチであ
る。
【0080】そのため、イベントの送信者数(イベント
数)やイベントの受信者数(フィルタ数)が増加する
と、それに比例してEPOの処理能力が飽和する。そこ
で、SIONアーキテクチャでは、スケラビリティの高
いEPを実現する手段として、マルチプルEPOを提供
する。マルチプルEPOとは、EPO数に比して、EP
のトータル処理能力をスケーラブルに向上させることを
目的とし、具体的には、以下の2つの観点からEPの高
いスケラビリティを達成する。
【0081】第一点は、負荷分散と自律分散である。こ
れは、複数のEPOに、イベントの送受信者を分散させ
ることにより、イベントのフィルターリング処理の負荷
分散を行い、処理の集中に伴うボトルネック要因を作ら
ないようにするものである。。さらに、各EPOが他の
EPOの影響を受けることなく、自律的に動作可能な機
構による分散協調を達成する。
【0082】第二点は、ネットワークトラヒックの削減
とフィルターリング処理の最適化である。これは、EP
O間で不要なイベントを転送しないことによる通信量の
最小化と、それに伴う無駄なフィルタリング処理の削減
を行うものである。
【0083】図10において、EPO3・33に対し、
受信するイベントのタイプとして、イベントタイプXの
フィルタが登録される場合を考える。ここで、イベント
タイプXのイベントがEPO4に対して送出されたと
き、EPO2経由でこのイベントをEPO3に転送する
必要がある。このとき、イベントタイプXのフィルタが
登録されていないEPO1に対して、当該イベントが転
送されてはならない。このようなEPO間のイベントの
ルーティング制御を行うものが、シェアードリンクオブ
ジェクト(SLO)であり、前述したSI−Rに相当す
る。
【0084】以下にSI−Rについて詳細を説明する。
【0085】まず、EPの初期化時に、物理リンク情報
(EPOのトポロジ)に基づいて、SLOが各EPOに
付随して生成される。例えば、図9において、EPO2
に対して3個のSLOが生成される。これらは、図中の
SLO2、1、SLO2、3、SLO2、4に対応する。この
SLOi、jは、EPOjからEPOjへのイベント転送を
行うシェアードリンク(SLi、j)を確立する。すなわ
ち、図9および図12に示すように、SLOi、jは、E
POjに対してイベント受信のセッションを確立し、一
方、EPOiに対してイベント送信のセッションを確立
することにより、イベント転送のための論理リンクであ
るシェアードリンクSLi、jを確立する(シェアードリ
ンクとは、EPの初期化時における、SLOによるセッ
ションの確立を意味し、フィルタ登録処理を含まな
い)。
【0086】EPの初期化後に、イベント受信者は、E
Pへのセッションを確立し、セッションを介してフィル
タを登録することが可能になる。このとき、確立済みの
シェアードリンクに従って、イベントパスが設定され
る。例えば、図12において、イベント受信者(Event
Receiver)3がPO3を介して、“イベントタイプXの
イベント受信を行うフィルタを、EPO3へ登録した場
合において、PO3は、EPO3ヘイベントタイプXの
フィルタを登録するとともに、その旨をSLO3、j(こ
こでは、SLO3、2)に通知する。SLO3、2はSL
3、2を用いて、EPO2に対してイベントタイプXのフ
ィルタを登録する。これは、前述したように、SLO
3、2に対して割り当てられた受信用セッションのPOを
介して行われる。同様に、このPOは、その旨を、SL
O2、3を除くその他のSLO2、jに対して通知する。S
LO2、j(j≠3)は、SL2、jを用いて、EPOヘフ
ィルタを登録する。順次同様に、すべてのEPOにイベ
ントXに対するパスが設定されるまで、繰り返される。
【0087】このように、イベントタイプXに対して確
立された一連のパスを、イベントパスと呼ぶ。これは、
PO3を介したフィルタ登録がトリガとなって、すべて
のEPOへ、イベントタイプ毎のイベントパス設定要求
が順次、自律的に波及していくものである。すなわち、
個々のEPOは隣接するEPOのみを認識すれば良い。
そのため、イベントパスの集中管理やブロードキャスト
によるイベントパスの設定・管理方法に比べて、簡単か
つ一元的な自律ロジックでイベントパスを確立すること
が可能になる。
【0088】この時点でのEPO1におけるフィルタの
登録状況を図13に示す。イベント受信者3がPO3を
介してフィルタを登録した結果、フィルタ1がEPO1
に登録されることになる。イベントパスの設定とは、シ
ェアードリンク情報に基づいて、一連のEPOにイベン
ト転送のためのフィルタを登録することを指す。また、
SLOが登録するフィルタには、受信するイベントタイ
プ名が設定されるのみであり、取得条件は設定されず、
イベントタイプ名のみのフィルターリングを行う。
【0089】この状況において、イベント受信者2がP
O2を介して、イベントタイプXのフィルタを、EPO
2へ登録したとき、前述と同様に新たなイベントパスの
設定がすべてのEPOへ波及し、その結果として、フィ
ルタ2がEPO1へ登録されることになり、イベントパ
ス設定の要求毎にフィルタが登録されることになる。
【0090】このとき、EPO1にイベントタイプXの
イベントが送出されると、フィルタ1が発火し、SLO
2、1が起動される。SLO2、1が、このイベントをEP
O2へ送出することにより、SLO3、2が起動される。
さらに、SLO3、2を介して、当該イベントがEPO3
へも転送されることになる。また、SL2、3とSL3、2
間でのイベントの無限転送を防止するために、イベント
は、制御情報の一つとして、通過したEPOの識別子
を、最新順に最大2つ保持する。
【0091】なお、前述したように、フィルタ1とフィ
ルタ2は、OR関係を有するため、フィルタ1が発火し
た場合にはフィルタ2との照合は行われない。そのた
め、フィルタ1が存在するにも関わらず、新たにフィル
タ2を登録したことに伴う、フィルターリング処理の冗
長オーバヘッドを全く生じないようにすることができ
る。これは、イベントパスを設定したときに、既設のイ
ベントパスを含めた全イベントパスの再構築を全く必要
としないことを意味し、簡単かつ一元的なイベントパス
の自律的な設定が可能になる。
【0092】また、EPO1内に、イベント受信者が確
立したセッションおよびそれを介したフィルタ登録があ
る場合には(POnのフィルタ3に対応)、SLO対応
のフィルタリング処理がすべて完了した後に、POn対
応のフィルターリング処理が行われる。すなわち、他の
EPOへのイベント転送処理を優先して行い、その後、
自EPOでの照合処理が開始される。
【0093】以上説明した、イベントルーチング方法の
更なる効果として、フィルタ登録解除時に、イベントパ
スの再構築が必要ない点が挙げられる。例えば、イベン
ト受信者3がPO3を介して、登録したフィルタの登録
解除を行った場合、登録の場合と同様に、解除要求が順
次、自律的に波及する。その結果、EPO1において、
フィルタ1の登録のみが解除されることになるが、フィ
ルタ2は存命する(これ以降は、フィルタ2がフィルタ
1の代わりにイベントを転送する)ため、イベントパス
の再構築なしに、すべての既設イベントパスの一貫性が
保証される。
【0094】このような自律分散型のルーティング制御
方法を用いることによって、EPOの相互接続と分散協
調を容易に実現することが可能になる。これに伴い、小
規模なネットワークから大規模なネットワークヘの移
行、ローカルなネットワークからグローバルなネットワ
ークヘの移行等をスムーズに行うことができる。また、
ボトムアップアプローチによるグローバルネットワーク
化を、共通のロジックで容易に達成することができる。
【0095】図14ないし図17はリング型結合を持つ
物理リンクにおけるSI−Rについて説明するために図
である。
【0096】例えば、図15に示すように、リング型結
合を持つ物理リンクにおいて、EPO2は、EPO1、
EPO3の存在を知っていることを表現している。この
ように、マルチプルEPOは、EP内でのイべント照合
処理の負荷分散によるスケラビリティ向上を目的とした
ものである。
【0097】EPMOは、図14の(1)において指定
された、EPを生成可能なホストリストの中から、EP
Oを生成するホストを動的に決定し、そこにEPOを生
成する。このとき、各EPOには、それぞれ一つのフィ
ルタファクトリ(FF)と統計情報収集オブジェクト
(SO)が常に付随して生成され、これらが、SI−S
Wに相当する。さらに、物理リンクに応じて、シェアー
ドリンクオブジェクト(SLO)が各EPOに付随して
一つ生成される。たとえば、EPO2に対しては、図中
のSLO2、3が生成される。これが、SI−Rに相当
する。EPOの起動先の決定方法は、EPMOのそれと
同様であるが、イベントタイプ毎に使用するEPOを固
定化することも可能である。なお、EPMOは、EP内
にイベントタイプファクトリ(ETF)を生成する。E
P内では一元的なイベントタイプの名前空間がETFに
より保証される。
【0098】以下にSI−Rについて詳細を説明する。
【0099】まず、EPの初期化時に、物理リンク情報
(EPOのトポロジ)に基づいて、SLOが各EPOに
付随して生成される。たとえば、図14において、EP
O2に対してSLO2、3が生成される。このSLOi、j
は、EPOjからEPOiへのイベント転送を行うシェア
ードリンク(SLi、j)を確立する。すなわち、図14
および図16に示すように、SLOi、jは、EPOjに
対してイベント受信のセッションを確立し、一方、EP
Oiに対してイベント送信のセッションを確立すること
により、イベント転送のための論理リンクであるシェア
ードリンクSLi、jを確立する(シェアードリンクと
は、EPの初期化時における、SLOによるセッション
の確立を意味し、フィルタ登録処理を含まない)。これ
によって、片方向のリング状のシェアードリンクSL
i、jが確立される。
【0100】EPの初期化後に、イベント受信者は、E
Pへのセッションを確立し、セッションを介してフィル
タを登録することが可能になる。このとき、確立済みの
シェアードリンクに従って、イベントパスが設定され
る。例えば、図16において、イベント受信者(Event
Receiver)3がPO3を介して、イベントタイプXのイ
ベント受信を行うフィルタを、EPO3へ登録した場合
を考える。このとき、PO3は、EPO3ヘイベントタ
イプXのフィルタを登録するとともに、その旨をSLO
3、1に通知する。このとき、SLO3、1には、フィルタ
登録の要求発生元がEPO3である旨がパラメータとし
て与えられる。SLO3、1はSL3、1を用いて、EPO
1に対してイベントタイプXのフィルタを登録する。こ
れは、前述したように、SLO3、1に対して割り当てら
れた受信用セッションのPOを介して行われる。同様
に、このPOは、その旨を、SLO1、2に対して通知す
る。SLO1、2は、SL1、2を用いて、EPO2ヘフィ
ルタを登録する。順次同様に、すべてのEPOにイベン
トXに対するパスが設定されるまで、繰り返される。な
お、この処理は、フィルタ登録の要求発生元(ここで
は、EPO3)の直前まで繰り返される。すなわち、S
LO2、3は、EPO3にフィルタを登録しない。
【0101】この時点でのEPO1におけるフィルタの
登録状況を図17に示す。イベント受信者3がPO3を
介してフィルタを登録した結果、フィルタ1がEPO1
に登録されることになる。イベントパスの設定とは、シ
ェアードリンク情報に基づいて、一連のEPOにイベン
ト転送のためのフィルタを登録することを指す。なお、
SLOが登録するフィルタには、受信するイベントタイ
プ名が設定されるのみであり、取得条件は設定されず、
イベントタイプ名のみのフィルターリングを行う。
【0102】この状況において、イベント受信者2がP
O2を介して、イベントタイプXのフィルタを、EPO
2へ登録したとき、前述と同様に新たなイベントパスの
設定がすべてのEPOへ波及し、その結果として、フィ
ルタ2がEPO1へ登録されることになり、イベントパ
ス設定の要求毎にフィルタが登録されることになる。
【0103】このとき、EPO1にイベントタイプXの
イベントが送出されると、フィルタ1が発火し、SLO
3、1が起動される。SLO3、1が、当該イベントをEP
O3へ送出することにより、SLO2、3が起動される。
さらに、SLO2、3を介して、当該イベントがEPO2
へも転送されることになる。なお、イベントの無限巡回
を防止するために、イベントは、制御情報の一つとし
て、イベントが生起したEPOの識別子を保持し、イベ
ントの生起元EPO(SLO)に当該イベントが巡回し
て戻って来たときに、当該イベントを破棄する。
【0104】次に、前述したイベントルーティング方法
とは異なるイベントルーティング方法を説明する。この
ルーティング方法は、シェアードリンク(論理リンク)
を確立するまでの手順は、前述した方法と同様である。
このイベントルーティング方法が前述した方法と異なる
のは、イベントパスを確立しない点であり、SLOi、j
がシェアードリンクSLi、jを確立する時に同時に、唯
一のフィルタを登録するようにするものである。このと
き、登録されるフィルタには、受信するイベントのタイ
プとしてワイルドカードを指定する。これによって、す
べてのイベントを転送の対象とし、イベントタイプ毎の
イベントパスを確立しないようにする。
【0105】このように意味情報にワイルドカードを指
定することによって、リング状のシェアードリンクSL
i、j内をイベントが巡回するため、全てのEPOに対し
てイベントを配送することが可能となる。
【0106】<フェデレーション方法>次に、図18を
参照してフェデレーション方法について説明する。フェ
デレーションエージェント(FA)とは、イベントプレ
ース間のフェデレーションを確立するエージェントであ
り、前述したSI−GWに相当する。例えば、イベント
プレース(Event Place)Aがイベントプレース(Event
Place)Bに対してフェデレーションを確立する場合を
考える。まず、イベントプレースAに属するFAが、イ
ベントプレースBに対して、フィルタを登録する。この
とき、イベントプレースBに属するイベント送信者がイ
ベントを送出し、その結果、このフィルタが発火する
と、FAが自律起動する。これは、FAをイベントプレ
ースBに属する一つのイベント受信者として見なすこと
ができる。次に、FAは取得したイベントを、自身が属
するイベントプレースAに対して再送出する。これは、
FAを、イベントプレースAに属する一つのイベント送
信者として見なすことができる。
【0107】このように両者の役割を併せ持つFAを用
いて、イベントプレース間のフェデレーションを容易に
実現できる。すなわち、単一イべントプレースと同じ制
御論理で、イベントプレース間のフェデレーションを実
現することが可能である。この機構を用いて、SION
1の基本構成単位であるイベントプレースを相互接続す
ることにより、グローバルな照合ネットワークをボトム
アップアプローチで構築することが可能となり、イベン
トプレース間に跨るイベントの共有を実現することがで
きる。なお、イベントプレースAとイベントプレースB
がそれぞれ異なるオントロジーを持つ場合、イベントプ
レースAに属するFAは、イベントプレースBから取得
したイベントを、イベントプレースAのオントロジーに
変換した後、イベントプレースAに送出する。
【0108】異なるオントロジー体系に跨ってイベント
転送を行う場合には、オントロジー変換が必要になる。
この変換を行う従来技術として、標準オントロジーを規
定し、他のイベントプレースにイベントを転送する場合
には、一旦、標準オントロジーに準拠した形式に変換し
た後に、イベントの転送を行う方法や、イベントプレー
スの組み合わせの数だけオントロジー変換テーブルを事
前に用意しておくなどの方法がある。
【0109】しかしながら、イベントプレースの動的な
フェデレーション(フェデレーションの動的な開始、開
始解除)に対応するためには、従来の方法は柔軟性に欠
ける。そこで、本発明では、図18に示すように、FA
が隣接するイベントプレースのオントロジー情報との差
分(変換情報)のみを、オントロジー変換テーブルに保
持するようにしている。すなわち、これは、各FAが変
換情報をそれぞれ分散して保有し、全体でオントロジー
体系の一貫性を保証する方法である。これは、イベント
プレース間の動的なフェデレーションに容易に対応する
ことが可能になるが、その反面、イベントがイベントプ
レースを跨る毎に、オントロジー変換処理が発生するた
め、従来方法に比べて、変換処理オーバヘッドが増大す
るという特徴を有している。
【0110】<コミュニティと進化型ネットワーク>次
に、SION1のキラーサービスの一つであるコミュニ
ティサービスについて説明する。コミュニティサービス
におけるエンティティは、自身のポリシに基づいて、学
習・進化・退化・消滅等を繰り返すことにより、その活
動様式を動的に決定することが可能な自律分散型の動作
主体である。コミュニティは、このようなエンティティ
に対して効率的なコミュニケーションの場を提供するも
のである。すなわち、コミュニティ内のエンティティ
は、自身とコミュニケートすべきエンティティや、自身
の振る舞いに影響を与えるエンティティを動的に探索・
発見・特定し、特定されたエンティティとインタラクシ
ョンを行うことが可能である。
【0111】このコミュニティは、特に以下の特徴を持
つエンティティを取り扱うことができる。
【0112】(1)極小粒度で、膨大な数のエンティテ
ィがコミュニティに存在する(不特定多数のエンティテ
ィ)。
【0113】(2)エンティティの属性がリアルタイム
に変化する。典型的なエンティティの属性として、位置
情報、時刻等がある。
【0114】(3)コミュニティ内のエンティティの振
る舞いに規則性がなく、行動予測が困難である。
【0115】(4)コミュニティヘの参加、コミュニテ
ィからの退去、消滅、複製等が頻繁かつ不規則に発生す
る。
【0116】(5)コミュニティ内のエンティティは、
ポリシ、属性、シナリオ等に基づいて相互にリアルタイ
ムに出会う必要がある。
【0117】このような特性を持つエンティティをサー
バやメディエータ(ブローカ)で管理し、相互にリアル
タイムに探索・発見することは性能上、容易でない。S
ION1のEPは、このような特徴を持つコミュニティ
の実行環境として位置づけられる。すなわち、コミュニ
ティはEPのメタ実行環境であり、EPを直接用いるこ
とに比して、抽象度の高いコミュニケーションの場を提
供するものである。コミュニティの実行環境にEPを用
いることにより、コミュニティ内のすべてのエンティテ
ィは、ブローカを介することなく、コミュニケーション
すべきエンティティを直接発見することができる。これ
は、コミュニティ内のエンティティのコミュニケーショ
ンは、EP内のイベントの送受信として実装されるため
である。
【0118】図19にコミュニティの概念モデルを示
す。ユーザエージェント(UA)、情報・サービス提供
エージェント(ISA)がコミュニティ内のエンティテ
ィに相当する。UAはユーザの代理人として自律的に振
る舞うエージェントであり、ユーザの嗜好、動作環境、
位置情報、状況、傾向などに応じて、自身の振る舞いを
動的に決定し、インタラクションすべきISAや他のU
Aを探索し、それらとインタラクションする。ISAは
情報提供者やサービス提供者の代理人として自律的に振
る舞うエージェントであり、提供者の意図に基づいて、
インタラクションすべきUAや他のISAを探索する。
すなわち、自身の情報を提供するのに相応しいユーザを
探索して特定する。
【0119】一方、コミュニティエージェント(Com
A)は、コミュニティの運営を司るエージェントであ
る。EP運営者は、運営ポリシに基づいて、SION−
MTを介したSIONの制御・運営を行う。従って、C
omAは、EP運営者をエージェント化したものと見な
すことができる。基本的に、コミュニティの運営ポリシ
はComAによって規定される。例えば、UA、ISA
などのエンティティに対するコミュニティヘの参加、退
去、消滅、複製などの認可、コミュニティ内に流通させ
る情報の把握と統制(相応しくないイベントの削除な
ど)、コミュニティ内の統計情報(トレンド情報、評判
の高い情報など)の管理などを自身の運営ポリシに基づ
いて司る。
【0120】また、コミュニティの高いスケーラビリテ
ィやリライアビリティの保証を達成するため、負荷状況
や障害状況に応じて、EPおよびEPOの増減設、撤
収、マイグレーション等のSION制御を実行する。す
なわち、SION1とComAを組み合わせることによ
り、SION1は自律分散型ネットワークから、学習、
成長、進化が可能な進化型ネットワークヘと発展する。
このように、ComAはコミュニティ内のエンティティ
の振る舞いを統制するとともに、SION1を自己組織
化するための役割を担う。さらに、コミュニティ間のコ
ラボレーションにより、コミュニティ間での情報の共有
が可能である。例えば、コミュニティAにおいて流通し
ている情報の中で、人気が高いトップ10のみを、コミ
ュニティBに流通させることができる。以下に処理の流
れを示す。
【0121】まず、コミュニティBのComAが、イベ
ントプレースBのFAに対して、“コミュニティAにお
いて流通している情報の中で、人気が高いトップ10の
みを、コミュニティBに流通させる”旨を指示する。
【0122】次にFAは、イベントプレースAに対し
て、トップ10のイベントタイプを問い合わせる。これ
を受けて、イベントプレースAは、配下の統計情報収集
オブジェクト(SO)に問い合わせ、その結果を、FA
に返却する。
【0123】次に、FAは取得したイベントタイプを基
に、オントロジー変換テーブルを作成するとともに、イ
ベントプレースAに対しフィルタを設定する。以降、F
Aは、イベントプレースAから、当該イベントを受信可
能になる。
【0124】次にFAは、イベントプレースAから取得
したイベントを、オントロジー変換テーブルに基づいて
オントロジー変換し、それをイベントプレースBへと送
出する。
【0125】以上説明したような形態によれば、以下の
2点の効果を得ることができる。
【0126】第1に、分散オブジェクト環境上にSIO
Nのネットワーク環境を容易に構築できる。
【0127】第2に、サービスアプリケーションをエン
ティティとしてコミュニティに参加させることにより、
簡単にイベントを送出したり、必要なイベントをピック
アップすることが可能になり、相互にコミュニケション
を図ることが可能になる。
【0128】以上説明したように、SIONでは、以下
の効果を得ることができる。
【0129】FAを介したイベントプレース間のフェデ
レーション機構により、他のイベントプレースのみで流
通していたイベントを、自イベントプレース内に取り込
むことができる。逆に、他のイベントプレースにイベン
トを送出することにより、自イベントプレース内で流通
しているイベントをアドバタイズできる。このように、
異なるイベントプレース間で、イベントの共有が可能に
なるとともに、オントロジーを考慮したイベントプレー
ス間の相互運用により、ボトムアップアプローチによる
グローバルな自律分散型の照合ネットワークを構築する
ことが可能になる。
【0130】マルチプルEPOの機構により、フィルタ
リング処理を複数のEPOに負荷分散させることが可能
になるとともに、自律的に動作するEPO間のイベント
ルーチング機構により、ネットワークトラヒックを最小
限に抑えることが可能になる。これにより、結果的にE
Pのトータルスループットをスケーラブルに向上させる
ことが可能となる。
【0131】ブローカを介することなく、自身に相応し
いエンティティを直接探索・発見することが可能とな
る。例えば、情報提供者は、ユーザの存在を知ることな
く、自身が提供する情報に相応しいユーザを特定するこ
とができる。同様に、ユーザは情報提供者の存在を知る
ことなく、自身の嗜好に相応しい情報提供者を探索・発
見することができる。すなわち、ユーザと情報提供者は
互いに等価的である。これにより、特定のブローカに頼
ることなく、自身のポリシに従って、リアルタイムに情
報を発信することが可能になる。また、探索対象となる
エンティティの数が膨大な場合やエンティティが探索対
象ドメインに頻繁に出入りする場合において、非ブロー
カモデルに基づく探索技術が特に有効となる。
【0132】SIONにおいては、意味情報の終端点が
ネットワークとなる。一方、端末間でpeer-to-peer接続
を行う方法においては、意味情報の終端点が端末になる
ため、端末の中身を外部に公開することになる。従っ
て、SIONは後者の方法と比べて、高いセキュリティ
とプライバシ保護を実現することが可能である。
【0133】次に、上記のような内容を備える意味情報
ネットワークシステムを用いた本発明の実施形態につい
て説明する。
【0134】図20は、本発明の一実施形態のくじ運用
システムにより提供されるくじ運用サービスを説明する
ためのシステム図である。このくじ運用サービスは、く
じの購入を希望するくじ購入者が、くじの販売を行って
いるくじ主催者からくじを購入し、くじの抽選が行われ
当選したくじが決定した場合には、その当選したくじを
購入したくじ購入者に対して、購入したくじが当選した
旨を通知することにより実現される。また、本実施形態
では、図20における意味情報ネットワーク10を、上
述したイベントプレースを用いて実現しているが、意味
情報ネットワーク10の実現方法はこの限りではない。
【0135】本実施形態のくじ運用システムでは、くじ
主催者の端末30と、くじ購入者の端末41、42とが
意味情報ネットワーク10を介して接続されている。
【0136】くじ主催者の端末30は、くじ発行情報と
当選通知をイベントとして意味情報ネットワーク10に
送信する送信端末として機能する。また、くじ購入者の
端末41、42はイベントとして送信されたくじ発行情
報と当選通知を選択的に受信するために、イベントのタ
イプと取得条件とからなるフィルタが設定される受信端
末として機能する。
【0137】各くじ主催者、くじ購入者1、2はそれぞ
れ使用するPC等の端末30、41、42に、CORB
A準拠のORB等のミドルウェアと、上述したイベント
プレースファクトリ生成機構をインストールして自身の
端末においてイベントプレースを生成するか、あるい
は、他のネットワークノード上にあるイベントプレース
へアクセスしてセッションを確立し、意味情報ネットワ
ーク10に接続されていることを前提とする。また、意
味情報ネットワーク10には、一例として、図21のよ
うなイベントタイプが登録されているとする。
【0138】この登録されているイベントタイプは、イ
ベントタイプ名として「くじ発行」が定義され、イベン
トプロパティ名として「くじ購入者宛先名」が定義され
ている。また、このイベントプロパティには、イベント
プロパティ値として「string型」が定義されている。
【0139】次に、本実施形態のくじ運用方法について
図面を参照して詳細に説明する。図20中の括弧内の番
号は、情報が伝送される順番または実行される処理の順
番を示すものであり、以下、この番号順に本実施形態の
動作について説明する。また、図22は、本実施形態に
おける処理の順番を説明するためのシーケンスチャート
である。
【0140】(1)くじ購入者1、2は、端末41、4
2のくじ購入者用アプリケーションプログラムを用い
て、図23、24に示すようなアプリケーション画面か
らくじ購入要求条件を入力する。くじ購入要求条件と
は、具体的には、購入希望枚数と、購入を希望するくじ
の種類とを指定する条件である。例として、くじ購入者
1は、図23に示すように、5枚のくじを購入するとい
う購入要求条件を入力し、くじ購入者2は、図24に示
すように、3枚のくじを購入するという購入要求条件を
入力したものとする。本実施形態では、くじの種類は1
種類しかない場合を用いて説明しているため、図23、
図24ではくじの種類を特定するための条件はくじ購入
要求条件には含まれていない。
【0141】このようにくじ購入要求条件を入力された
購入者用アプリケーションは、乱数等を用いてくじ購入
者宛先名を生成し、イベント受信のためのセッションを
確立し、フィルタオブジェクトの生成を行って、この購
入者宛先名をフィルタ値として設定する。本実施形態で
は、くじ購入者宛先名を乱数を用いて生成しているの
は、くじ主催者がくじ購入者を特定することができない
ようにするためである。従って、くじ購入者を特定する
ことができないようなものであれば、くじ購入者宛先名
は乱数以外を用いて生成するようにしてもよい。
【0142】図25はくじ購入者1の端末41のくじ購
入者用アプリケーションにより設定されるフィルタ値の
一例を示したものであり、図26はくじ購入者2の端末
42のくじ購入者用アプリケーションにより設定される
フィルタ値の一例を示したものである。
【0143】(2)次に、くじ購入者用アプリケーショ
ンは、くじ購入要求条件と、くじ購入者宛先名を含むく
じ購入要求メッセージを、発信者を特定することができ
ない通信手段によりくじ主催者に送付する。ここで、発
信者を特定することができない通信手段としては、例え
ば、くじ主催者がフィルタを意味情報ネットワーク10
に設定し、くじ購入者がくじ購入要求メッセージをイベ
ントとして送信するようにしてもよい。また、発信者を
特定することができない他の通信手段としては、例え
ば、インターネットを介して提供されるwebページ上
での入力、番号非通知によるFAX等の発信者を特定す
ることができない手段であればどのような手段であって
もよい。図27は、くじ購入者1からくじ主催者に対し
て送信されるくじ購入要求メッセージの例を示すもので
あり、図28は、くじ購入者2からくじ主催者に対して
送信されるくじ購入要求メッセージの例を示すものであ
る。
【0144】(3)また、くじ購入者1、2は、乱数等
を用いて発行されたくじ購入者宛先名で、くじ主催者の
口座に振り込みを行う等の方法によりくじの代金を支払
う。
【0145】(4)くじ購入者1、2からのくじ購入要
求メッセージを受信したくじ主催者は、端末30のくじ
主催者用アプリケーションプログラムを用いて、受信し
たくじ購入要求メッセージに含まれている購入希望枚数
に応じた枚数のくじを発行する。そして、くじ主催者の
端末30は、発行したくじ番号および主催者発行証明を
含んだ発行情報を、くじ購入要求メッセージに含まれて
いたくじ購入者宛先名を条件としたイベントとして意味
情報ネットワーク10に対して送信する。
【0146】くじ主催者の端末30が、くじ購入者1か
らのくじ購入要求メッセージに基づいて生成したイベン
トを図29に示し、くじ購入者2からのくじ購入要求メ
ッセージに基づいて生成したイベントを図30に示す。
【0147】ここで、くじ主催者から送信されるイベン
トに含まれている主催者発行証明は、くじ主催者が発行
した正規のくじであることを証明するための情報であ
り、くじ主催者がくじ番号等からディジタル署名技術等
を用いて発行したくじ毎に生成するものである。この主
催者発行証明は、くじ購入者から当選の申し出があった
場合に、そのくじが正規に発行されたものかどうかをく
じ主催者が確認するために用いられる。
【0148】(5)そして、意味情報ネットワーク10
では、くじ購入者により設定されたフィルタとくじ主催
者により送信されたイベントとの照合が行われ、フィル
タ値に示される条件(くじ購入要求者宛先名)に合致し
たイベントが、当該フィルタを設定したくじ購入者用ア
プリケーションプログラムに転送される。くじ主催者用
アプリケーションが使用したイベントプレースと、くじ
購入者用アプリケーションが使用したイベントプレース
間は、イベントプレースのフェデレーション機能によ
り、情報の相互流通が可能であるため、くじ主催者によ
り送信されたイベントはいくつかのイベントプレースを
経由して、目的のくじ購入者用アプリケーションが使用
しているイベントプレースへ最終的に転送される。
【0149】くじ購入者用アプリケーションは、受信し
たイベントに含まれるくじ番号と、このくじ番号に対応
する主催者発行証明を記憶する。くじ番号および主催者
発行証明が暗号化されている場合には復号してから記憶
する。
【0150】ここで、意味情報ネットワーク10には、
図21に示したイベントタイプとは別に、図31に示す
ようなイベントタイプがすでに登録されているものとす
る。この登録されているイベントタイプは、イベントタ
イプ名として「当選通知」が定義され、イベントプロパ
ティ名として「くじ名」、「当選番号」が定義されてい
る。また、このイベントプロパティには、イベントプロ
パティ値として「string型」がそれぞれ定義されてい
る。
【0151】そして、くじ購入者用アプリケーション
は、フィルタオブジェクトを生成し、受信したイベント
に含まれるくじ番号を「当選番号」のイベントプロパテ
ィ値として設定し、くじの種類が複数ある場合にはくじ
の種類を特定するための情報を「くじ名」のイベントプ
ロパティ値として設定することによりフィルタを生成す
る。図32に、くじ購入者1が購入した1枚目のくじに
対応して設定するフィルタのフィルタ値の一例を示す。
【0152】(6)くじ主催者は、抽選等によりくじの
当選番号が決まると、端末30のくじ主催者用アプリケ
ーションプログラム等により、当選通知情報として、図
33に示すような当選番号およびくじの種類を特定する
ための情報を条件とするイベントを生成して意味情報ネ
ットワーク10に送信する。
【0153】(7)意味情報ネットワーク10では、く
じ購入者1、2が設定したフィルタと当選通知情報のイ
ベントとの照合が行われ、フィルタ値に示される条件
(くじ番号、くじの種類を特定するための情報)に合致
したイベントが、当該フィルタを設定したくじ購入者用
アプリケーションプログラムに転送される。図20で
は、くじ購入者1は図32に示すフィルタにより図33
のイベントを受信する。なお、条件の照合は、フィルタ
に設定された文字列が、イベントの含む文字列の一部と
一致することによっても成功するものとする。くじ購入
者1の端末41におけるくじ購入者用アプリケーション
は、当選通知を図34のように表示し、くじ購入者1に
当選を知らせる。
【0154】図20では、くじ購入者2が購入したくじ
は当選しなかったため、くじ主催者の端末30からの当
選通知はくじ購入者2の端末42には受信されない。こ
の場合には、購入者2の端末42には、図35に示すよ
うな表示がなされる。
【0155】当選通知を受信したくじ購入者1は、くじ
主催者の端末30に、当選したくじ番号や記憶しておい
た主催者発行証明等を含む図36に示すような当選申出
メッセージを送信する。
【0156】(8)くじ購入者1からの当選申出メッセ
ージを受信したくじ主催者は、当選番号、主催者発行証
明等を用いて当選内容の確認を行った後に、賞金の支払
いや賞品の贈呈を行う。
【0157】以上に述べた本実施形態におけるくじ運用
方法では、くじ主催者がくじ発行時にくじ購入者につい
て知りうるのはくじ購入者が乱数等を用いて決めたくじ
購入者宛先名のみである。そのため、くじ主催者は、誰
がどの番号のくじを購入したかというくじ購入者のプラ
イバシを知ることはできない。また本実施形態のくじ運
用システムでは、仲介者は存在しないため、仲介者に誰
がどの番号のくじを購入したかという事項を知られるこ
ともない。また、仲介者が存在しないことにより仲介者
のサーバにおいて負荷が集中する等の弊害が発生しな
い。
【0158】さらに、当選通知の際には、くじ主催者は
当選番号をイベントとして意味情報ネットワーク10に
送信するのみでよいため、くじの当選者が誰であるか知
ることはなく、またくじ購入者が購入したくじを他者に
譲り渡した場合にも、くじを譲り受けた者がフィルタを
設定すれば、当選通知は譲り受けた者に届く。
【0159】また、くじ購入者宛先名は乱数等で決定す
るため、複数のくじ購入者間で偶然同一の値になってし
まう可能性があるが、十分に大きい桁数の宛先名を用い
ればそうしたことはほとんど生じないため、実用上問題
にはならない。
【0160】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、下記の
ような効果を有する。 (1)誰がどの番号のくじを購入したかというくじ購入
者のプライバシが主催者に知られることもなく、また、
仲介者の存在が不要のためくじ購入者のプライバシが仲
介者に知られることもないので、くじ購入者のプライバ
シの保護が図れる。 (2)くじ主催者は当選通知を行うために、単に当選番
号を含む情報を意味情報ネットワークにイベントとして
送信するだけでよいため、くじ購入者が発行を受けたく
じを他人に譲り渡すことが仲介者を必要とせず可能とな
る (3)また、仲介者の存在が不要なことにより、仲介料
の発生を不要とし、負荷が仲介者の運営するサーバに集
中することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図で
ある。
【図2】イベントの構成を示す説明図である。
【図3】意味情報ネットワークのモデルを示す図であ
る。
【図4】意味情報の定義を示す説明図である。
【図5】イベントタイプの定義例を示す説明図である。
【図6】イベントの一例を示す説明図である。
【図7】フィルタの定義例を示す説明図である。
【図8】意味情報ネットワークの構成を示す図である。
【図9】意味情報ネットワークの動作メカニズムと制御
インタフェースを示す説明図である。
【図10】物理リンクを示す説明図である。
【図11】フィルタの管理方法を示す説明図である。
【図12】イベントルーティング方法を示す説明図であ
る。
【図13】フィルタの登録状況を示す説明図である。
【図14】意味情報ネットワークの動作メカニズムと制
御インタフェースを示す説明図である。
【図15】物理リンクを示す説明図である。
【図16】イベントルーティング方法を示す説明図であ
る。
【図17】フィルタの登録状況を示す説明図である。
【図18】フェデレーション方法を示す説明図である。
【図19】コミュニティモデル示す説明図である。
【図20】本発明の一実施形態のくじ運用システムを示
す図である。
【図21】図20に示される意味情報ネットワーク10
に登録されているイベントタイプを示す図である。
【図22】図20に示すくじ運用システムの動作を示す
シーケンスチャートである。
【図23】くじ購入者1が、くじ購入要求条件を設定す
る際に、端末41に表示されるくじ購入者用アプリケー
ションの画面の一例を示す図である。
【図24】くじ購入者2が、くじ購入要求条件を設定す
る際に、端末42に表示されるくじ購入者用アプリケー
ションの画面の一例を示す図である。
【図25】くじ購入者1の端末41のくじ購入者用アプ
リケーションにより設定されるフィルタ条件の一例を示
す図である。
【図26】くじ購入者2の端末42のくじ購入者用アプ
リケーションにより設定されるフィルタ値の一例を示す
図である。
【図27】くじ購入者1からくじ主催者に対して送信さ
れるくじ購入要求メッセージの例を示す図である。
【図28】くじ購入者2からくじ主催者に対して送信さ
れるくじ購入要求メッセージの例を示す図である。
【図29】くじ主催者の端末30が、くじ購入者1から
のくじ購入要求メッセージに基づいて生成したイベント
を示す図である。
【図30】くじ主催者の端末30が、くじ購入者2から
のくじ購入要求メッセージに基づいて生成したイベント
を示す図である。
【図31】図20に示される意味情報ネットワーク10
に登録されている別のイベントタイプを示す図である。
【図32】くじ購入者1が購入した1枚目のくじに対応
して設定するフィルタのフィルタ値の一例を示す。
【図33】端末30のくじ主催者用アプリケーションプ
ログラム等により、当選通知情報として意味情報ネット
ワーク10に送信されるイベントの一例を示す図であ
る。
【図34】購入したくじが当選したくじ購入者1の端末
41に表示される当選通知の一例を示す図である。
【図35】購入したくじ番号が当選しなかったくじ購入
者2の端末42に表示される通知の一例を示す図であ
る。
【図36】当選通知を受信したくじ購入者1が、くじ主
催者の端末30に送信する当選申出メッセージの一例を
示す図である。
【図37】従来のくじ運用システムの一例を説明するた
めの図である。
【図38】従来のくじ運用システムの他の例を説明する
ための図である。
【符号の説明】
1 意味情報ネットワーク(SION) 2 端末 10 意味情報ネットワーク 21 送信端末 22 受信端末 30 くじ主催者の端末 41、42 くじ購入者の端末 101、102 くじ購入者の端末 111、112 くじ購入者の端末 200 仲介者のサーバ 300 くじ主催者の端末 310 くじ主催者の端末 500 インターネット SI−SW 意味情報スイッチ SI−R 意味情報ルータ SI−GW 意味情報ゲートウェイ EPO イベントプレースオブジェクト SLO シェアードリンクオブジェクト FA フェデレーションエージェント
フロントページの続き (72)発明者 星合 隆成 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 酒井 隆道 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 小柳 恵一 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 前田 潤 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 金杉 恵次 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 データをイベントとして送信する送信端
    末と、イベントとして送信された前記データを選択的に
    受信するために、イベントのタイプと取得条件とからな
    るフィルタが設定される受信端末とから構成される意味
    情報ネットワークを用いて、くじの購入を希望するくじ
    購入者が、くじの販売を行っているくじ主催者からくじ
    を購入し、くじの抽選が行われ当選したくじが決定した
    場合には、その当選したくじを購入したくじ購入者に対
    して、購入したくじが当選した旨を通知する、意味情報
    ネットワークを用いたくじ運用方法であって、前記くじ
    購入者の端末が、くじの購入者を特定することができな
    いようなくじ購入者宛先名を生成し、該くじ購入者宛先
    名をイベントの取得条件としたフィルタを前記意味情報
    ネットワークに設定するステップと、 前記くじ購入者の端末が、購入するくじの枚数である購
    入希望枚数と購入を希望するくじの種類からなるくじ購
    入条件と、前記くじ購入者宛先名の情報とを含んだくじ
    購入要求メッセージを、発信者を特定することができな
    い通信手段により、前記くじ主催者の端末に送信するス
    テップと、 前記くじ購入要求メッセージを受信したくじ主催者の端
    末が、受信したくじ購入要求メッセージに含まれている
    購入希望枚数に応じた枚数のくじを発行し、発行したく
    じ番号および当該くじがくじ主催者が発行した正規のく
    じであることを証明するための情報である主催者発行証
    明を含んだくじ発行情報を、受信したくじ購入要求メッ
    セージに含まれていたくじ購入者宛先名を条件としたイ
    ベントとして前記意味情報ネットワークに対して送信す
    るステップと、 くじ購入者宛先名を取得条件とするフィルタを設定して
    いる前記くじ購入者の端末が、イベントとして送信され
    た前記くじ発行情報を前記意味情報ネットワークから受
    信し、受信したイベントに含まれるくじ番号および該く
    じの種類を特定するための情報をフィルタとして前記意
    味情報ネットワークに設定するステップと、 前記くじ主催者の端末が、くじの抽選が行われ当選した
    くじ番号が決定されると、該当選番号およびくじの種類
    を特定するための情報を条件とした当選通知情報をイベ
    ントとして前記意味情報ネットワークに送信するステッ
    プと、 くじ番号および該くじの種類を特定するための情報をフ
    ィルタとして設定しているくじ購入者の端末が、イベン
    トとして送信された前記当選通知情報を前記意味情報ネ
    ットワークから受信するステップと、 前記当選通知情報をイベントとして受信した前記くじ購
    入者の端末が、前記くじ主催者の端末に購入したくじが
    当選した旨を申し出るステップとを有する、意味情報ネ
    ットワークを用いたくじ運用方法。
  2. 【請求項2】 データをイベントとして送信する送信端
    末と、イベントとして送信された前記データを選択的に
    受信するために、イベントのタイプと取得条件とからな
    るフィルタが設定される受信端末とから構成される意味
    情報ネットワークを用いて、くじの購入を希望するくじ
    購入者が、くじの販売を行っているくじ主催者からくじ
    を購入し、くじの抽選が行われ当選したくじが決定した
    場合には、その当選したくじを購入したくじ購入者に対
    して、購入したくじが当選した旨を通知する、意味情報
    ネットワークを用いたくじ運用方法であって、 前記くじ主催者の端末が、購入するくじの枚数である購
    入希望枚数と購入を希望するくじの種類からなるくじ購
    入条件と、前記くじ購入者の端末により生成された、く
    じの購入者を特定することができないようなくじ購入者
    宛先名の情報とを含んだくじ購入要求メッセージを、発
    信者を特定することができない通信手段により、前記く
    じ主催者の端末から受信するステップと、 前記くじ購入要求メッセージを受信したくじ主催者の端
    末が、受信したくじ購入要求メッセージに含まれている
    購入希望枚数に応じた枚数のくじを発行し、発行したく
    じ番号および当該くじがくじ主催者が発行した正規のく
    じであることを証明するための情報である主催者発行証
    明を含んだくじ発行情報を、受信したくじ購入要求メッ
    セージに含まれていたくじ購入者宛先名を条件としたイ
    ベントとして前記意味情報ネットワークに対して送信す
    るステップと、 前記くじ主催者の端末が、くじの抽選が行われ当選した
    くじ番号が決定されると、該当選番号およびくじの種類
    を特定するための情報を条件とした当選通知情報をイベ
    ントとして前記意味情報ネットワークに送信するステッ
    プとを有する、意味情報ネットワークを用いたくじ運用
    方法。
  3. 【請求項3】 データをイベントとして送信する送信端
    末と、イベントとして送信された前記データを選択的に
    受信するために、イベントのタイプと取得条件とからな
    るフィルタが設定される受信端末とから構成される意味
    情報ネットワークを用いて、くじの購入を希望するくじ
    購入者が、くじの販売を行っているくじ主催者からくじ
    を購入し、くじの抽選が行われ当選したくじが決定した
    場合には、その当選したくじを購入したくじ購入者に対
    して、購入したくじが当選した旨を通知する、意味情報
    ネットワークを用いたくじ運用方法であって、 前記くじ購入者の端末が、くじの購入者を特定すること
    ができないようなくじ購入者宛先名を生成し、該くじ購
    入者宛先名をイベントの取得条件としたフィルタを前記
    意味情報ネットワークに設定するステップと、 前記くじ購入者の端末が、購入するくじの枚数である購
    入希望枚数と購入を希望するくじの種類からなるくじ購
    入条件と、前記くじ購入者宛先名の情報とを含んだくじ
    購入要求メッセージを、発信者を特定することができな
    い通信手段により、前記くじ主催者の端末に送信するス
    テップと、 くじ購入者宛先名を取得条件とするフィルタを設定して
    いる前記くじ購入者の端末が、前記くじ購入要求メッセ
    ージを受信したくじ主催者の端末によりイベントとして
    送信され、受信したくじ購入要求メッセージに含まれて
    いたくじ購入者宛先名を条件とした、受信したくじ購入
    要求メッセージに含まれている購入希望枚数に応じた枚
    数だけ発行されたくじの番号および当該くじがくじ主催
    者が発行した正規のくじであることを証明するための情
    報である主催者発行証明を含んだくじ発行情報を前記意
    味情報ネットワークから受信し、受信したイベントに含
    まれるくじ番号および該くじの種類を特定するための情
    報をフィルタとして前記意味情報ネットワークに設定す
    るステップと、 くじ番号および該くじの種類を特定するための情報をフ
    ィルタとして設定しているくじ購入者の端末が、くじの
    抽選が行われ当選したくじ番号が決定された後に前記く
    じ主催者の端末によりイベントとして送信された該当選
    番号およびくじの種類を特定するための情報を条件とし
    た当選通知情報を、前記当選通知情報を前記意味情報ネ
    ットワークから受信するステップと、 前記当選通知情報をイベントとして受信した前記くじ購
    入者の端末が、前記くじ主催者の端末に購入したくじが
    当選した旨を申し出るステップとを有する、意味情報ネ
    ットワークを用いたくじ運用方法。
  4. 【請求項4】 データをイベントとして送信する送信端
    末と、イベントとして送信された前記データを選択的に
    受信するために、イベントのタイプと取得条件とからな
    るフィルタが設定される受信端末とから構成される意味
    情報ネットワークを用いて、くじの購入を希望するくじ
    購入者が、くじの販売を行っているくじ主催者からくじ
    を購入し、くじの抽選が行われ当選したくじが決定した
    場合には、その当選したくじを購入したくじ購入者に対
    して、購入したくじが当選した旨を通知する、意味情報
    ネットワークを用いたくじ運用システムであって、 くじの購入者を特定することができないようなくじ購入
    者宛先名を生成し、該くじ購入者宛先名をイベントの取
    得条件としたフィルタを前記意味情報ネットワークに設
    定し、購入するくじの枚数である購入希望枚数と購入を
    希望するくじの種類からなるくじ購入条件と、前記くじ
    購入者宛先名の情報とを含んだくじ購入要求メッセージ
    を、発信者を特定することができない通信手段により前
    記くじ主催者の端末に送信し、前記くじ購入要求メッセ
    ージを受信したくじ主催者の端末により発行されたくじ
    の番号および当該くじがくじ主催者が発行した正規のく
    じであることを証明するための情報である主催者発行証
    明を含んだくじ発行情報を前記意味情報ネットワークか
    ら受信し、受信したイベントに含まれるくじ番号および
    該くじの種類を特定するための情報をフィルタとして前
    記意味情報ネットワークに設定し、くじの抽選が行われ
    当選したくじ番号が決定された後に前記くじ主催者の端
    末によりイベントとして送信された該当選番号およびく
    じの種類を特定するための情報を条件とした当選通知情
    報を、前記当選通知情報を前記意味情報ネットワークか
    ら受信し、前記くじ主催者の端末に購入したくじが当選
    した旨を申し出るくじ購入者の端末と、 前記くじ購入要求メッセージを、発信者を特定すること
    ができない通信手段により、前記くじ購入者の端末から
    受信し、受信した該くじ購入要求メッセージに含まれて
    いる購入希望枚数に応じた枚数のくじを発行し、発行し
    たくじ番号および当該くじがくじ主催者が発行した正規
    のくじであることを証明するための情報である主催者発
    行証明を含んだくじ発行情報を、受信したくじ購入要求
    メッセージに含まれていたくじ購入者宛先名を条件とし
    たイベントとして前記意味情報ネットワークに対して送
    信し、くじの抽選が行われ当選したくじ番号が決定され
    ると、該当選番号およびくじの種類を特定するための情
    報を条件とした当選通知情報をイベントとして前記意味
    情報ネットワークに送信するくじ主催者の端末と、から
    構成されるくじ運用システム。
  5. 【請求項5】 データをイベントとして送信し、イベン
    トとして送信された前記データを選択的に受信するため
    に、イベントのタイプと取得条件とからなるフィルタが
    設定されている複数の端末とから構成される意味情報ネ
    ットワークに対して、データをイベントとして送信する
    送信端末であって、 購入するくじの枚数である購入希
    望枚数と購入を希望するくじの種類からなるくじ購入条
    件と、くじの購入者を特定することができないようなく
    じ購入者宛先名の情報とを含んだくじ購入要求メッセー
    ジを、発信者を特定することができない通信手段によ
    り、前記くじ購入者の端末から受信し、受信した該くじ
    購入要求メッセージに含まれている購入希望枚数に応じ
    た枚数のくじを発行し、発行したくじ番号および当該く
    じがくじ主催者が発行した正規のくじであることを証明
    するための情報である主催者発行証明を含んだくじ発行
    情報を、受信したくじ購入要求メッセージに含まれてい
    たくじ購入者宛先名を条件としたイベントとして前記意
    味情報ネットワークに対して送信し、くじの抽選が行わ
    れ当選したくじ番号が決定されると、該当選番号および
    くじの種類を特定するための情報を条件とした当選通知
    情報をイベントとして前記意味情報ネットワークに送信
    するくじ主催者の送信端末。
  6. 【請求項6】 送信端末からイベントとして送信された
    データを、意味情報ネットワークを介して選択的に受信
    するためにイベントのタイプと取得条件とからなるフィ
    ルタが設定されている受信端末であって、くじの購入者
    を特定することができないようなくじ購入者宛先名を生
    成し、該くじ購入者宛先名をイベントの取得条件とした
    フィルタを前記意味情報ネットワークに設定し、購入す
    るくじの枚数である購入希望枚数と購入を希望するくじ
    の種類からなるくじ購入条件と、前記くじ購入者宛先名
    の情報とを含んだくじ購入要求メッセージを、発信者を
    特定することができない通信手段により前記くじ主催者
    の端末に送信し、前記くじ購入要求メッセージを受信し
    たくじ主催者の端末により発行されたくじの番号および
    当該くじがくじ主催者が発行した正規のくじであること
    を証明するための情報である主催者発行証明を含んだく
    じ発行情報を前記意味情報ネットワークから受信し、受
    信したイベントに含まれるくじ番号および該くじの種類
    を特定するための情報をフィルタとして前記意味情報ネ
    ットワークに設定し、くじの抽選が行われ当選したくじ
    番号が決定された後に前記くじ主催者の端末によりイベ
    ントとして送信された該当選番号およびくじの種類を特
    定するための情報を条件とした当選通知情報を、前記当
    選通知情報を前記意味情報ネットワークから受信し、前
    記くじ主催者の端末に購入したくじが当選した旨を申し
    出るくじ購入者の受信端末。
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