JP2002258083A - 光導波路型グレーティングおよび前記光導波路型グレーティングを備えた光フィルタを用いた波長多重光伝送システム - Google Patents

光導波路型グレーティングおよび前記光導波路型グレーティングを備えた光フィルタを用いた波長多重光伝送システム

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JP2002258083A
JP2002258083A JP2001392574A JP2001392574A JP2002258083A JP 2002258083 A JP2002258083 A JP 2002258083A JP 2001392574 A JP2001392574 A JP 2001392574A JP 2001392574 A JP2001392574 A JP 2001392574A JP 2002258083 A JP2002258083 A JP 2002258083A
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wavelength
grating
optical waveguide
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Inventor
Kiichi Yoshiara
喜市 吉新
Masakazu Takabayashi
正和 高林
Hajime Takeya
元 竹谷
Katsuhiro Imada
勝大 今田
Hidefusa Uchikawa
英興 内川
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光誘起による屈折率変化を利用して石英系光
導波路に作製したグレーティングの温度依存性を改善す
る光導波路型グレーティングおよびその製法ならびにこ
のグレーティングを用いた光フィルタならびにこの光フ
ィルタを用いた波長多重光伝送システムを提供する。 【解決手段】 原料としてSiのアルコキシド、たとえ
ばTEOSを主に用いて、CVD法により、コアおよび
クラッドを形成し、そののち、位相マスクを介して、エ
キシマレーザを照射し、グレーティング13をコアに形
成し、クロムまたは白金の薄膜ヒータ(ヒータ電極14
a、入出力電極14b、電流リード14c)を光導波路
上に作製し、薄膜ヒータへの電流制御でグレーティング
のブラッグ中心波長の微調整を行い、高密度波長多重さ
れた光信号に対応した光フィルタを作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信分野、とく
に波長分割多重光伝送、ソリトン光伝送および周波数分
割多重光伝送において重要な部品である波長合分波フィ
ルタ、ADM(Add & Drop Multiplexing)フィルタお
よびソリトン光制御フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】複数の情報を単一の光ファイバで効率良
く伝送する技術として、波長分割多重光伝送技術があ
る。波長分割多重光伝送技術は、光領域における新しい
多重光伝送方式であり、複数の信号をそれぞれ波長の異
なる光信号に割り当て(分割)、それらを多重化して1
本の光ファイバにより双方向に伝送するものである。前
記波長分割多重光伝送技術において、送信側では、波長
の異なる光源からの光信号を光合分波器により合波さ
せ、受信側では光合分波器により各々の波長の光信号に
分波し、これを受光素子により電気信号に変換する。
【0003】波長分割多重光伝送技術には、 (1)大容量情報の伝送が可能 (2)デジタル情報およびアナログ信号間など異種信号
の同時伝送が可能、 (3)単一ファイバでの双方向伝送が可能 等の利点があり、将来の大容量通信技術として期待され
ている。この波長分割多重光伝送技術方式に関しては、
平山博他編、光通信要覧(1984年)、科学新聞社、
p.636や神谷武志著、超高速光スイッチング技術
(1993年)、培風館、p.190等に記載されてい
る。
【0004】波長分割多重光伝送技術におけるキーデバ
イスは、光波長合分波フィルタであり、誘電体多層膜の
ような波長選択性を有する素子や回折格子のような波長
分散性を有する素子が検討された。しかし、誘電体多層
膜や回折格子は、波長遮断性が悪く、高密度に多数の波
長を多重することは難しい。
【0005】たとえば、前記光通信要覧(p.573−
583)によれば、誘電体多層膜を使用した光フィルタ
の特性は、挿入損失については2〜5dB、波長間隔に
ついては30〜100nm、クロストーク減衰量につい
ては20〜40dBである。したがって、実用的な半導
体レーザの波長範囲である1480nmから1580n
mにおいては、2〜3波程度の波長多重しかできない。
また、誘電体多層膜は、膜の熱膨張および膜屈折率の温
度変化に起因する温度依存性を有する。そのため、誘電
体多層膜を使用した光フィルタでは、中心波長が0.0
3nm/℃程度、温度によりシフトする。この温度によ
るシフト(温度係数)は、広帯域フィルタのばあい、問
題にならないが、帯域幅が数nmの狭帯域フィルタで
は、50℃の温度変化で1.5nm程度の波長がシフト
するため深刻な問題である。
【0006】回折格子を使用した光フィルタの特性は、
挿入損失については2〜4dB、波長間隔については2
0〜30nm、クロストーク減衰量については20〜2
5dB程度であり、1550nm帯では2〜4波程度の
波長多重しかできない。また、前記光フィルタは材料の
熱膨張によって、回折格子のピッチが変化することによ
り生じる中心波長の温度依存性と、回折角度の変化によ
り生じる光強度の温度依存性を有する。光フィルタの中
心波長の温度依存性は0.03nm/℃であり、光強度
の温度依存性は温度係数が0.数%/℃程度であり、高
密度波長多重光通信での使用は難しい。
【0007】以上の理由から、1550nm帯で8〜1
6波の波長を多重する高密度波長分割多重においては、
狭帯域で波長間隔が狭く、クロストーク減衰量が大き
く、かつ、温度依存性の少ない光フィルタの開発を必要
としている。
【0008】近年、光ファイバにエキシマレーザ光を照
射するとコアの屈折率が大きくなる光誘起屈折率変化現
象が発見され、これを利用して光ファイバに屈折率変調
型のブラッググレーティングを形成した狭帯域反射フィ
ルタ、分散補償フィルタ、光フィルタ、応力および温度
センサ等多くの応用が検討されている。
【0009】前記ブラッググレーティングを光フィルタ
ーに形成した一例として、マイケルソン干渉計をを固定
したファイバ型狭帯域透過フィルタが、オプトロニクス
(OPTRONICS)、(1995年)、p.135−14
1に記載されている。図18は、従来のファイバ型狭帯
域透過フィルターの一例を示す説明図である。図18に
おいて、112はファイバカプラである3dBカプラ、
113はグレーティング、114aは入力ポート、11
4bは出力ポート、127は単一モード光ファイバを示
す。
【0010】前記ファイバ型狭帯域透過フィルターは、
入力ポート114aから入力された光信号のうち、グレ
ーティング113のブラッグ波長と同一の波長の光信号
のみを出力ポート114bから出力する。前記ファイバ
カプラを使用したフィルタは、ファイバやマイケルソン
干渉計の固定法や余長ファイバの取り回し方法等、問題
点が多く、波長多重数の多いばあい(実用)にはあまり
適していない。
【0011】一方、石英系光導波路を使用した光フィル
タが、オプトロニクス(OPTRONICS)、(1995
年)、p.135−141において報告されている。図
19にマッハツエンダー干渉計の2個の3dBカプラ間
に等価なグレーティングを形成し波長選択性をもった従
来例の石英系光導波路型光フィルタ(マッハツエンダー
干渉型光フィルタ)を示す。図19において、101は
シリコン基板、110は石英系光導波路、112a、1
12bは3dBカプラ、113はグレーティング、11
7aは第1のポート、117bは第2のポート、117
cは第3のポート、117dは第4のポート、118は
カプラ、120はマッハツエンダー干渉型光フィルタ、
130は入力端子、131は出力端子を示す。
【0012】石英系光導波路型光フィルタは、シリコン
基板101上に形成される、光が閉じこめられる屈折率
の高いコアと、該コアを取り囲む屈折率が低いクラッド
とで構成される。図19に示される石英系光導波路型光
フィルタの第1のポート117aには、入力端子130
から入力された、波長多重された光信号が入力される。
前記光信号のうち、グレーティング113のブラッグ波
長と同一の波長の光信号のみが第2のポート117bか
ら出力される。第1のポート117aから入力された光
信号のうち、グレーティング113のブラッグ波長と異
なる波長の光信号は、第4のポート117dから出力さ
れる。なお、3dBカプラ112aおよび/または3d
Bカプラ112bの分岐比が理想的に50対50であれ
ば、第3のポート117cからの光出力はない。しか
し、3dBカプラの112aおよび/または3dBカプ
ラ112bの分岐比が50対50から、ずれているばあ
い、第4のポート117dの信号光のリーク光として第
3のポート117cから光信号が出力される。石英系光
導波路は、半導体技術を利用して作製するため、小型・
集積化が可能で、量産品や波長多重数の多い複雑な光フ
ィルタの製造に適している。
【0013】従来例1 つぎに、従来の誘電体多層膜フィルタについて説明す
る。
【0014】2つの異なる波長を分波する働きの光フィ
ルタは、図20に示す誘電体多層膜フィルタが従来から
広く用いられてきた。図20において、135a、13
5b、135cは端子、139は光送信機(TX)、1
40は光受信器(RX)、145a、145b、145
cはレンズ、146は誘導体多層膜に示す。
【0015】図20において、端子135aから入射す
る波長多重された光信号(図中、「WDM」と示され
る)は、レンズ145aでコリメートされて誘電体多層
膜146に到達する。この誘電体多層膜146は、たと
えば波長λ1の光信号(図中、「λ1」を示される)を反
射し、それ以外の波長の光信号を透過するように設計さ
れる。反射した波長λ1の光信号は、レンズ145bで
集光されて端子135bに出射する。ここに光受信器1
40を接続する。一方、光送信器139は端子135c
に接続され、光送信器139から端子135cに波長λ
5の光信号(図中、「λ5」と示される)が入射し、レン
ズ145c、誘電体多層膜146およびレンズ145a
を透過して端子135aに出力される。これにより、2
つの異なる波長を分波する光フィルタとして機能する。
【0016】従来例2 つぎに、光ファイバに形成された従来のグレーティング
について説明する。
【0017】通常のシングルモードの光ファイバーに特
定ピッチの凹凸をもつ位相マスクを介し、エキシマレー
ザ(波長248nm)を照射すると、位相マスクのピッ
チに応じたブラッグ中心波長を有するグレーティングが
ファイバのコアに形成される。これは、光誘起によりコ
アの屈折率が変化したものであるとして、カナダのケー
オーヒル(K. O. Hill)により発見され、強い光エネル
ギーにより作製されたカラーセンタでエキシマレーザが
照射された部分の屈折率が大きくなる現象である。
【0018】図21に、従来の代表的なグレーティング
作製を示す断面説明図を示す。図21において、159
は位相マスク、160a、160cは光ファイバのクラ
ッド、160bは光ファイバのコア、161はエキシマ
レーザ光を示す。なお、コア160bには局部的にはグ
レーティングが作成されている。また、図21(b)
は、図21(a)に示される領域Bの拡大断面説明図で
あり、図21(c)は、図21(a)に示される領域C
の拡大断面説明図である。グレーティング作製は、石英
ガラス製の位相マスクをファイバ上に置き、位相マスク
を介してエキシマレーザ光を照射する。位相マスクは、
表面にレリーフ状の回折格子が形成され、レリーフの溝
を光導波路に対して直角方向になるように光導波路膜上
に置く。エキシマレーザは、位相マスクで回折して、光
導波路上に−1次、0次、+1次の回折パターンを形成
し、この回折パターンが形成された光導波路コアの屈折
率が高い方へ変化する。
【0019】エキシマレーザ光の照射条件は、2、20
0mJ/cm2/pulseのエネルギー密度で、周波
数60Hz、照射時間30分である。エキシマレーザ光
は、位相マスクの位相格子で回折し、光導波路コアに−
1次、0次、+1次の回折を生じる。この回折が生じた
部分の屈折率が変化する。グレーティングのブラッグ中
心波長は、(1)式で表される。 λB=2nP (1) ここで、λBはブラッグ中心波長、nは伝搬モードに対
する実効屈折率、Pはグレーティングピッチを表す。ま
た、グレーティングの反射率は、(2)式で表される。 RB=tanh(πLΔn/λB) (2) ここで、RBはグレーティングの反射率、Lはグレーテ
ィング長、Δnは屈折率の変調幅を表す。
【0020】図22に、本従来例のグレーティングの反
射特性を示す。横軸は波長(nm)、縦軸は反射率
(%)を示す。グレーティング長10mmのとき、えら
れたグレーティングの反射特性は、ブラッグ中心波長が
1530.8nmであり、反射率8%(図中、「反射率
8%」と示される)であった。
【0021】光ファイバ内に形成されたブラッグ波長を
有するグレーティングは、急峻な立ち上がり、立ち下が
りを有した波長遮断特性に優れた特性をもつが非常に大
きな温度依存性をもつ。前記グレーティングは、温度係
数で表わすと0.01nm/℃の温度依存性をもち、光
ファイバの温度が50℃変化すると約0.5nm程度、
長波長側へブラッグ中心波長がシフトする。この温度依
存性の原因は、ファイバのクラッドおよびコア中に含ま
れるSiO2の熱膨張により、コアのグレーティングピ
ッチが変化することである。高密度波長多重では、多重
する波長毎の中心波長間隔は数nmであり、0.5nm
の波長変動が生じると使用できない。したがって、この
ままの温度依存性では、多重化密度の低い光信号にしか
使用できない。
【0022】従来例3 つぎに、従来の温度依存性を改善する方法について説明
する。
【0023】従来例2の温度依存性を改善する方法とし
て、従来例2に示されるグレーティングを有する光ファ
イバを温度調節可能なオーブン中に入れて、常に光ファ
イバの温度を一定にする方法がある。この方法を取れ
ば、温度依存性は関係なくなり、グレーティングのブラ
ッグ中心波長のシフトは生じない。しかし、オーブン内
のファンによるファイバの揺動や、デバイス自体の大型
化、大消費電力など他のマイナス面が大きく、あまり実
用的ではない。
【0024】従来例4 つぎに、従来の光導波路の製法について説明する。
【0025】本従来例においては、光導波路を作製する
際に、火炎堆積法を用いる。図23に、火炎堆積法によ
り光導波路を作製する際に用いられる成膜装置の模式図
を示す。図23において、101は基板、102はキャ
リアガス導入口、103は回転テーブル、105は原料
容器、106は流量調節器、107は酸水素バーナー、
108は酸素および水素ガス導入口を示す。火炎堆積法
は、アルゴンガスをキャリアガスとしてSiCl4、B
Cl3、PCl3、GeCl4などの出発原料を酸水素バ
ーナー107へ輸送し、火炎中にて加水分解して微粉末
状のB、Pを含むSiO2を作製し、これら微粉末を基
板101へ吹き付けて堆積させ、基盤上に薄膜を形成す
る方法である。
【0026】一般的に光導波路を構成する薄膜の厚み方
向に対して平行な方向の屈折率分布は、ガラスの組成制
御によって形成される。すなわち、火炎堆積のはじめは
B、Pを含むSiO2のみを吹き付け、下クラッドを形
成し、その後所望の屈折率がえられるようGeをドープ
してコア膜を形成する。ただし、微粒子膜堆積後、10
00から1200℃の温度で透明化のための熱処理を行
う必要がある。透明化処理後、スパッタ法や蒸着法によ
り、コア膜上に金属クロム膜を形成し、写真製版法によ
り、所望の光導波路パターンを金属クロム膜で作製す
る。その後、RIE(反応性イオンエッチング)法によ
りコア膜をエッチングして、金属クロム膜で覆われてい
ないコア膜を取り除きコアを形成する。その後、火炎堆
積法により再びB、Pを含みGeを含まないSiO2
微粒子を堆積し、高温熱処理して上クラッドを形成して
光導波路を作製する。
【0027】作製した各部の屈折率は、クラッド(上ク
ラッドおよび下クラッド)が1.4585、コアが1.
4685であり、コアとクラッドの屈折率差は0.75
%であった。光導波路を作製する際のコアの断面のサイ
ズは、この屈折率差に関係し、0.75%のばあいで
は、6μm×6μmの正方形がシングルモード光の伝搬
するコアの断面のサイズであった。
【0028】光導波路の断面を図24に示す。図24に
おいて、101は基板、109は下クラッド、110a
はコア、112は上クラッドを示す。上クラッド112
の表面のうち、ちょうどコア110aを形成した直上の
表面が盛り上がった構造をしている。
【0029】本従来例において示されるプロセスで作製
した石英系光導波路の基本特性は、論文(NTT R&
D、40[2](1991年)、p.199)によると
伝搬損失0.1dB/cm、比屈折率差0.75%、許
容曲げ半径5mmとなっている。この構成の石英系光導
波路は、光通信で使用される石英の光ファイバと同じ石
英系材料で形成され、コアの大きさも光ファイバと近い
ため、光導波路自体の損失や、光導波路と光ファイバと
の接続損失などを極めて小さくできる利点をもってい
る。
【0030】本従来例において示されるプロセスで作製
したGeを含むコアに従来例2と同様に強い紫外光(エ
キシマレーザ、KrF(波長248nm))を照射する
と、レーザ光が当たった部分の屈折率が上昇する。上昇
後のコアの屈折率は、1.4692であった。たとえば
グレーティング長が5mmのとき、えられたグレーティ
ングの反射特性は、ブラッグ波長が1531.8nm、
反射率が20%であった。
【0031】また、グレーティングを作製するために位
相マスクを光導波路基板上に設置する際、コア直上に凸
部があるため、位相マスクは光導波路の表面の凸部に接
触する。そのため、光導波路の表面の凸部が均一に分布
していれば良いが、一方に偏って分布したばあい、位相
マスクが光導波路の表面に対して傾く。この位相マスク
の傾きは、作製したグレーティングピッチの誤差とな
り、グレーティングの反射特性の劣化につながる。
【0032】光導波路のコアに形成される光導波路型グ
レーティングは、基本的には光ファイバと同じ組成であ
り、したがって光ファイバと同じ0.01nm/℃程度
の温度依存性を有する。
【0033】従来例5 つぎに、高圧重水系処理を施した従来の光導波路につい
て説明する。
【0034】従来例4の火炎堆積法により、Geを添加
したコアをもつ光導波路を作製する。光導波路は、従来
例4とまったく同じ方法で作製し、伝搬損失等の特性も
同じである。その後、グレーティングを形成する前に、
室温の140気圧の高圧重水素ガス(D2)中で1週間
程度処理を行い、処理後直ちに、エキシマレーザ(波長
248nm)を位相マスクを介して照射した。高圧重水
素処理の目的は、重水素分子を光導波路のコア中に拡散
させることにより、エキシマレーザのエネルギーで重水
素分子を分解させ、コア中のGe、Si原子と新たなG
e−D結合、Ge−OD結合、Si−OD結合やSi−
D結合などを作らせ、コアの屈折率を変化させることで
ある。
【0035】この高圧重水素処理により、光誘起による
コアの屈折率変化は、無処理に比べて10倍以上大きく
なり、グレーティングの反射率も99.9%となった。
OD基の生成は、OH基のばあいと吸収波長帯が異なる
ため、光通信で使用する1.5μm帯での光導波路の伝
搬損失はあまり変化しない。しかし、それでも100気
圧以上の気圧で数日〜数週間行うという長い高圧重水素
処理を必要とするため、製造コストが高く、安全上も好
ましくない。また、デバイスサイズが大きくなったばあ
い、高圧重水素処理を行う耐圧容器の調達も難しい。な
お、温度依存性は、高圧重水素処理を行ってもコアの熱
膨張係数は変化しないため、ファイバと同じ0.01n
m/℃程度である。
【0036】従来例6 従来例6では、従来の波長多重光伝送システムについて
説明する。海底系システムでは、1方向からきた光ケー
ブル中の光信号を2方向に分岐する光分岐回路が必要と
されてきた。これまでの光分岐回路は、行き先別に2芯
線の光ケーブルをもつものが用いられてきたが、これで
は、上がり回線と下り回線を含めて4芯線が必要とな
り、光ケーブルの重量化、高コスト化を招いてきた。こ
れに対し、WDM技術を使用すれば芯線数を半分にでき
ることが、大山昇、他「光海底ケーブル通信」(199
1年)、KEP、pp.141−151で述べられてい
る。
【0037】図25はWDM技術を用いた光分岐回路を
示す説明図である。ここで、300は光分岐回路、30
1a、301b、301cは波長を分離する光フィル
タ、302a、302b、302cは、波長を合波する
光フィルタである。
【0038】たとえば、ケーブルA(図中、「ケーブル
A(送)303a」と示される)から入射した波長λ1
(図中、「λ1」と示される)の光信号と波長λ2(図
中、「λ2」と示される)の光信号は、光フィルタ30
1aで分離され、波長λ1の光信号は光フィルタ302
cを経由してケーブルC(図中、「ケーブルC(受)3
04a」と示される)へ、波長λ2の光信号は、光フィ
ルタ302bを経由してケーブルB(図中、「ケーブル
B(受)304b」と示される)へと進む。一方、ケー
ブルB(図中、「ケーブルB(送)303b」と示され
る)から入射した波長λ1の光信号と波長λ2の光信号
は、光フィルタ301bで分離され、波長λ1の光信号
は光フィルタ302aを経由してケーブルA(図中、
「ケーブルA(受)304a」と示される)へ、波長λ
2の光信号は、光フィルタ302cを経由してケーブル
Cへと進む。このように、2つの異なる波長を使用すれ
ば、2方向へ光ケーブル中の光信号を分岐することが可
能となる。この光分岐回路で重要な働きをする光フィル
タは、図20に示す誘電体多層膜フィルタが従来から広
く用いられてきた。
【0039】従来例7 つぎに、従来のリング型ネットワークについて説明す
る。
【0040】従来のリング型ネットワークとして、たと
えばエレクトロンレターズ(Electron Letters)、31
[6](1995年)、エムジェイカウキ(M. J. Chaw
ki)、ブイソーリ(V. Tholey)、「所望のファイバグ
レーティング分岐挿入多重を用いたWDMによる単方向
性リング型ネットワークにおける波長再利用機構(Wavel
ength reuse scheme in a WDM unidirectional ring ne
twork using a properfiber grating add/drop multipl
exer)」p.476−477に掲載されたWDMによる
分岐挿入多重(Add/Drop Multiplexer(ADM))ネットワ
ークがある。ADMとは、自局宛の光信号を分岐(Dro
p)するとともに、自局から多局へ宛てた光信号を挿入
(Add)する多重分岐装置である。リング状の光ファイ
バで接続された1つのネットワークが光クロスコネクト
装置を介して、他のネットワークへ接続される。
【0041】たとえば、第1の局には、固有の波長λ1
が割り当てられる。第1の局に到達したWDM光信号の
内、光フィルタにより波長λ1の光信号のみが分岐され
第1の局の光受信器で受信される。一方、第1の局の光
送信器から発信される光信号も波長λ1の光信号を使用
できる。そのため、波長により、どの局宛ての光信号で
あるかを識別できる。このリング型ネットワークにおい
ても、重要な働きをするのが光フィルタである。
【0042】図26に、提案されている光フィルタを示
す。図26において、220a、220bは光ファイバ
内のグレーティング(以下、「ファイバグレーティン
グ」ともいう)、222a、222bは2×2の3dB
カプラ、203は光送信器、204は光受信器を示す。
さらに、221a、221bは屈折率調整部、223
a、223bは3dBカプラ222aの前段の端子、2
23c、223dは3dBカプラ222aの後段の端
子、224a、224bは3dBカプラ222bの前段
の端子、224c、224dは3dBカプラ222bの
後段の端子である。ここでは、ファイバグレーティング
220aと220bのブラッグ波長(反射波の波長)を
λ5に設定する。ファイバグレーティングは、それ単体
では、単なる波長選択性の反射器としてしか機能しない
が、前段に3dBカプラ222aを接続すれば、端子2
23aから入射したWDM光信号のうち、波長λ5の光
信号のみがファイバグレーティングで反射され、3dB
カプラの端子223bから取りだすことができる。
【0043】また端子223aから入射した光信号は、
2分されて端子223c、223dに出力され、それぞ
れ、ファイバグレーティング220a、220bによっ
て反射され、3dBカプラ222aに戻ってくる。端子
223aから端子223aへ戻るばあいは、準じ、端子
223a、端子223c、ファイバグレーティング22
0a(反射)、端子223cおよび端子223aの第1
のルートを辿った光信号と、順次、端子223a、端子
223d、ファイバグレーティング220b(反射)、
端子223d、端子223aの第2のルートを辿った光
とが合成されて端子223aから出力される。
【0044】一般的に、3dBカプラでは、通過光と結
合光とのあいだでπ/2の位相差が生じる。位相差を通
過光で0、結合光でπ/2と考えると、第1のルートの
端子223aから端子223cへの光信号と端子223
cから端子223aへの光信号は通過光であり、第2の
ルートの端子223aから端子223d(π/2)への
光信号と端子223dから端子223a(π/2)への
光信号は結合光であり、第1のルートの光信号と第2の
ルートの光信号のトータルの位相差はπ/2+π/2
(=π)となる。そのため、第1のルートの光信号と第
2のルートの光信号とは逆相になり、互いに干渉で打ち
消される。
【0045】端子223aから端子223bに戻るばあ
いは、順次、端子223a、端子223c、ファイバグ
レーティング220a(反射)、端子223cおよび端
子223bの第1のルートを辿った光信号と、順次、端
子223a、端子223d、ファイバグレーティング2
20b(反射)、端子223dおよび端子223bの第
2のルートを辿った光信号とが合成されて端子223b
から出力される。第1のルートの端子223aから端子
223cへの光信号は通過光であり端子223cから端
子223aへの光信号は結合光(π/2)であり、第2
のルートの端子223aから端子223dへの光信号は
結合光であり、端子223dから端子223b(π/
2)への光信号は通過光であり、第1のルートの光信号
および第2のルートの光信号共に位相差がπ/2とな
り、同相の結果、互いに干渉で強め合い、端子223b
から出力する。
【0046】波長λ5以外の波長の光信号は、3dBカ
プラ220bに到達する。端子223aから端子224
cに出射するばあいは、順次、端子223a、端子22
3c、ファイバグレーティング220b(透過)、端子
224aおよび端子224cの第1のルートを辿る光信
号と、順次、端子223a、端子223d、ファイバグ
レーティング220b(透過)、端子224bおよび端
子224cの第2のルートを辿る光信号とが合成されて
端子224cから出力される。第1のルートの端子22
3aから端子223cと端子224aから端子224c
への光信号は通過光であり、第2のルートの端子223
aから端子223dへの光信号と端子224bから端子
224cへの光信号は結合光であり、第1のルートの光
信号と第2のルートの光信号とのトータルの位相差はπ
/2+π/2(=π)となる。そのため、第1のルート
の光信号と第2のルートの光信号とは逆相になり、互い
に干渉で打ち消される。
【0047】端子223aから端子224dに出力する
ばあいは、順次、端子223a、端子223c、ファイ
バグレーティング220a(通過)、端子224aおよ
び端子224dの第1のルートを辿った光信号と端子2
23a、端子223d、ファイバグレーティング220
b(通過)、端子224bおよび端子224dの第2の
ルートを辿った光信号が合成されて端子224dから出
力される。第1のルートの端子223aから端子223
cへの光信号は通過光であり、端子224aから端子2
24dへの光信号は結合光(π/2)、第2のルートの
端子223aから端子223dへの光信号は結合光であ
り、端子224bから端子224d(π/2)への光信
号は通過光であり、第1のルートの光信号および第2の
ルートの光信号共に、端子223aから入力された光信
号に対して位相差はπ/2となり、同相の結果、互いに
干渉で強め合い、端子224dから出力する。
【0048】挿入すべき波長λ5の光信号(図中、
「λ5」と示される)は、端子224cに接続した光送
信器203から送信され端子224dに出力される。こ
の動作は、端子223aから入射した波長λ5の光信号
が端子223bに出力されたのと同じである。
【0049】また、屈折率調整部221aは3dBカプ
ラ222aから各ファイバグレーティング220a、2
20bまでの光路長を同じにするように屈折率を調整す
るものである。同様に、屈折率調整部221bは3dB
カプラ222bから各ファイバグレーティング220
a、220bまでの光路長を同じにするように屈折率を
調整するものである。屈折率調整部は、一般的なファイ
バグレーティングを作製する方法と同様に紫外光を照射
して屈折率を変化させる。この技術については、特開平
4−298702号公報に述べられている。
【0050】
【発明が解決しようとする課題】従来のファイバグレー
ティングを有するフィルタ(以下、「ファイバグレーテ
ィングフィルタ」とも言う)および光導波路内に形成さ
れたグレーティングを有する光フィルタ(以下、「光導
波路グレーティングフィルタ」とも言う)は、B、Pお
よGeを添加したSiO2を主体とする石英系材料で構
成された。そのため、6×10-6程度の熱膨張係数を有
する。この熱膨張係数により、コアに形成されたグレー
ティングのグレーティングピッチも変化し、グレーティ
ングのブラッグ波長も0.1nm/℃程度の温度依存性
をもつ結果となる。
【0051】また、ファイバグレーティングフィルタお
よび光導波路グレーティングフィルタのブラッグ波長
は、コアに作製された屈折率変調型のグレーティングの
グレーティングピッチにより決定される。しかし、製造
プロセス時の温度、ハンドリングなどにより、グレーテ
ィングピッチに擾乱が起こると、ブラッグ波長が設計値
からはずれ、ファイバグレーティングフィルタおよび光
導波路グレーティングフィルタが不良品となる。とく
に、位相マスクを表面に凹凸のある光導波路上に接触さ
せて置く際には、凹凸により位相マスクが傾き、コアの
グレーティングピッチが変化しやすい問題点がある。
【0052】従来例1、6で説明したように、波長多重
光伝送システムに使用する光フィルタとしては、誘電体
多層膜フィルタがあるが、通過損失が大きく、多くの光
学部品を使用するため、組立および調整が困難で量産化
に向いていない欠点がある。また、誘電体多層膜フィル
タは、多くの光学部品を使用するため温度依存性が大き
く、0.1〜1nm/℃程度の中心波長の大きな温度係
数をもつ問題点がある。さらに、誘電体多層膜フィルタ
は光信号が、一旦、光ファイバから空間に出てレンズや
誘電体多層膜を通過後、再び光ファイバに結合する構造
であるため、光軸ずれが生じやすい。一度、光軸ずれが
発生すると幹線系である光ケーブルの断線という重大な
事故につながる可能性がある。
【0053】別な問題点として、従来例7に示す構造の
ファイバグレーティングを有する光フィルタでは、互い
に波長が異なる光信号の分岐挿入を同時に行うことはで
きない。図26の光フィルタで、ファイバグレーティン
グ220a、220b間の反射率を100%にすること
も困難である。なお、反射率が98%であれば、光送信
器203から出た波長λ5の光信号のうち、反射されず
に透過した2%が光受信器204へ漏れ、クロストーク
が発生し受信特性を劣化させてしまう。
【0054】リング型のネットワークでは、回線需要の
変動に伴い、分岐挿入波長を任意の波長に切り替える必
要が生じる。しかし、図26の光フィルタでは任意の波
長への切り替えができないという問題点があった。
【0055】本発明は上記のような問題点を解決するた
めになされたもので、温度依存性が少なく、波長遮断特
性に優れ、加工性、集積化に適した光導波路型グレーテ
ィングおよびその製法を提供することを目的とする。ま
た、波長多重された光信号から所望の波長の光信号を選
択的に取りだせるような光フィルタおよびこれを用いた
波長多重光伝送システムをうることを目的とする
【0056】
【課題を解決するための手段】本発明の光導波路型グレ
ーティングは、コアおよびクラッドからなり、SiO 2
を主成分とし、Ge、B、PおよびSnの各酸化物の少
なくとも1つの酸化物を含む光導波路に形成される光導
波路型グレーティングであって、前記コアおよびクラッ
ドの少なくとも1つに、ZrおよびTiの各酸化物の少
なくとも1つの酸化物が添加されてなるため、SiO2
を主成分としたガラスの熱膨張を抑制できる。したがっ
て、光導波路のコアの熱膨張係数が小さくなるため、コ
アに形成されたグレーティングピッチの長さの変動が小
さくなり、(1)式で表せられるブラッグ波長の温度依
存性を小さくできる。
【0057】前記光導波路が、SiO2を主成分とし、
かつ、ZrおよびTiの各酸化物の少なくとも1つの酸
化物を含む基板上に設けられてなるため、SiO2を主
成分としたガラスの熱膨張を抑制できる。したがって、
光導波路のコアの熱膨張係数が小さくなるため、コアに
形成されたグレーティングピッチの長さの変動が小さく
なり、(1)式で表せられるブラッグ波長の温度依存性
を小さくできる。
【0058】前記光導波路の表面が平滑にされたのち、
前記光導波路型グレーティングが形成され、前記光導波
路上に該光導波路の温度を制御できる装置が少なくとも
1つ取り付けられてなるため、光導波路表面の凹凸によ
る位相マスクの位置ズレや、光導波路との接触不良によ
るピッチ長の変動を抑えることができる。
【0059】前記光導波路が直線光導波路および曲線光
導波路のいずれか一方であり、前記光導波路上に該光導
波路の温度を制御できる装置が少なくとも1つ取り付け
られてなるため、ブラッグ反射特性を制御し、サイドバ
ンド反射ピークなどを抑制することができる。
【0060】参考例の光導波路型グレーティングは、光
導波路に形成される光導波路型グレーティングであっ
て、前記光導波路上に該光導波路の温度を制御できる装
置が少なくとも1つ取り付けられるため、光導波路の温
度を変えることによりコアに形成されたグレーティング
ピッチの長さを制御して任意のブラッグ波長をうること
ができる。
【0061】前記光導波路が、SiO2を主成分とし、
かつ、Ge、Ti、B、P、SnおよびZrの各酸化物
の少なくとも1つの酸化物を含んでなるため、光導波路
の温度を変えることによりコアに形成されたグレーティ
ングピッチの長さを制御して任意のブラッグ波長をうる
ことができる。
【0062】前記光導波路の表面が平滑にされたのち、
前記光導波路型グレーティングが形成されてなるため、
光導波路表面の凹凸による位相マスクの位置ズレや光導
波路との接触不良によるピッチ長の変動を抑えることが
できる。
【0063】前記光導波路型グレーティングにおいて温
度制御装置を設けるのが好ましい。
【0064】また、本発明の波長多重光伝送システム
は、前記光導波路型グレーティングを備えた光フィルタ
を複数個、カプラを介して接続したことを特徴とする。
【0065】参考例の光フィルタは、複数の光導波路か
らなる光フィルタであって、前記複数の光導波路に請求
項1記載の光導波路型グレーティングが形成されてお
り、前記光導波路が直線光導波路および曲線光導波路の
いずれか一方であり、前記複数の光導波路のいずれか1
つの光導波路上に窓のある金属膜が形成されたのち、前
記1つの光導波路に光照射により光導波路型グレーティ
ングが形成され、さらに、前記複数の光導波路の他の光
導波路それぞれに対して、前記金属膜の形成および前記
光導波路型グレーティングの形成が行われることによ
り、互いにグレーティングピッチの異なる光導波路型グ
レーティングが前記複数の光導波路それぞれに形成さ
れ、前記複数の光導波路それぞれに、光導波路の温度を
制御できる装置が少なくとも1つ取り付けられてなるた
め、複数のブラッグ反射特性を制御し、高密度に波長多
重した光信号の合分波が可能で、サイドバンド反射ピー
クなどの抑制もできる。
【0066】参考例の光フィルタは、複数の光導波路か
らなる光フィルタであって、前記複数の光導波路に参考
例記載の光導波路型グレーティングが形成されており、
前記光導波路が直線光導波路および曲線光導波路のいず
れか一方であり、前記複数の光導波路のいずれか1つの
光導波路上に窓のある金属膜が形成されたのち、前記1
つの光導波路に光照射により光導波路型グレーティング
が形成され、さらに、前記複数の光導波路の他の光導波
路それぞれに対して、前記金属膜の形成および前記光導
波路型グレーティングの形成が行われることにより、互
いにグレーティングピッチの異なる光導波路型グレーテ
ィングが前記複数の光導波路それぞれに形成されるた
め、複数のブラッグ反射特性を制御し、高密度に波長多
重した光信号の合分波が可能で、サイドバンド反射ピー
クなどの抑制もできる。
【0067】参考例の光フィルタは、第1の方向性結合
器と、第2の方向性結合器と、前記第1の方向性結合器
および前記第2の方向性結合器間を接続する複数の光導
波路とからなり、前記複数の光導波路が、直線光導波路
および曲線光導波路のいずれか一方であり、さらに前記
複数の光導波路に、所望のグレーティングピッチを有す
る光導波路型グレーティングが形成されてなる光フィル
タにおいて、該光フィルタが、前記第1の方向性結合器
に接続された第1の端子および第2の端子と、前記第2
の方向性結合器に接続された第3の端子および第4の端
子とを有し、前記第1の端子に波長λ1の光信号および
波長λ1以外の光信号が入力され、前記第2の端子から
前記第1の端子に入力された波長λ1の光信号が出力さ
れ、前記第3の端子に波長λ1の光信号が入力され、前
記第4の端子から前記第1の端子に入力された波長λ1
以外の光信号と、前記第3の端子に入力された波長λ1
の光信号とが合波された光信号が出力され、前記複数の
光導波路の少なくとも1つには、光導波路の温度を制御
できる装置が少なくとも1つ形成されているため、グレ
ーティングピッチを温度制御し、それぞれの光フィルタ
のブラッグ反射波長、透過損失波長の制御を行うことに
より、数十波の波長多重を行ったばあいの波長誤差を制
御できる。
【0068】参考例の波長多重光伝送システムは、参考
例記載の光フィルタと、送信用の光信号を入力する光送
信器と、前記光フィルタから出力された光信号を受信す
る光受信器と、前記光フィルタから出力された光信号の
波長を測定する装置とからなる波長多重光伝送システム
であって、前記第3の端子に前記光送信器が接続され、
前記第2の端子に前記光受信器および前記波長を測定す
る装置が接続され、該波長を測定する装置が前記温度を
制御できる装置に接続されてなるため、出力される光信
号の強度を変化させることができ、また、サイドバンド
反射ピークなどの抑制もできる。
【0069】参考例の波長多重光伝送システムは、第1
の光フィルタと第2の光フィルタと第3の光フィルタと
が接続されてなる波長多重光伝送システムであって、前
記第1の光フィルタ、第2の光フィルタおよび第3の光
フィルタそれぞれが、請求項11記載の光フィルタであ
り、前記第1の光フィルタの第3の端子と前記第2の光
フィルタの第4の端子とが接続され、前記第2の光フィ
ルタの第3の端子と前記第3の光フィルタの第4の端子
とが接続され、前記第3の光フィルタの第3の端子と前
記第1の光フィルタの第4の端子とが接続されてなるた
め、グレーティングピッチを温度制御し、それぞれの光
フィルタのブラッグ反射波長、透過損失波長の制御を行
うことにより、数十波の波長多重を行ったばあいの波長
誤差を制御できる。
【0070】参考例の波長多重光伝送システムは、第1
の光フィルタと第2の光フィルタと第3の光フィルタと
が接続されてなる波長多重光伝送システムであって、前
記第1の光フィルタ、第2の光フィルタおよび第3の光
フィルタそれぞれが、請求項9記載の光フィルタであ
り、2つの光導波路を有してなり、第1の端子、第2の
端子、第3の端子および第4の端子を有してなり、第1
の光フィルタの第3の端子と第2の光フィルタの第4の
端子とが接続され、第2の光フィルタの第3の端子と第
3の光フィルタの第4の端子とが接続され、第3の光フ
ィルタの第3の端子と第1の光フィルタの第4の端子と
が接続されてなるため、グレーティングピッチを温度制
御でき、それぞれの光フィルタのブラッグ反射波長、透
過損失波長の制御を行うことができ、したがって、数十
波の波長多重を行ったばあいの波長誤差を制御できる。
【0071】参考例の波長多重光伝送システムは、第1
の光フィルタと第2の光フィルタとが接続されてなる波
長多重光伝送システムであって、前記第1の光フィルタ
および第2の光フィルタそれぞれが、請求項9記載の光
フィルタであり、2つの光導波路を有してなり、第1の
端子、第2の端子、第3の端子および第4の端子を有し
てなり、前記第1の光フィルタの第1の端子に、波長λ
1の光信号および波長λ1以外の光信号が入力され、前記
第1の光フィルタの第2の端子から前記第1の光フィル
タの第1の端子に入力された波長λ1の光信号が出力さ
れ、前記第1の光フィルタの第4の端子から前記第1の
光フィルタの第1の端子に入力された波長λ1以外の光
信号が出力され、前記第2の光フィルタの第1の端子
に、前記第1の光フィルタの第4の端子から出力された
波長λ1以外の光信号が入力され、前記第2の光フィル
タの第3の端子に、波長λ1の光信号が入力され、前記
第2の光フィルタの第4の端子から、前記第2の光フィ
ルタの第1の端子に入力された波長λ1以外の光信号
と、前記第2の光フィルタの第4の端子に入力された波
長λ1の光信号とが出力され、前記第1の光フィルタの
第2の端子に光受信器が接続され、前記第2の光フィル
タの第3の端子に光送信器が接続され、前記第1の光フ
ィルタおよび前記第2の光フィルタの各第4の端子から
出力された光信号の波長にもとづき、前記第1の光フィ
ルタおよび前記第2の光フィルタの各光導波路の温度を
制御する装置が制御されるため、光フィルタのブラッグ
波長と透過損失波長を設計波長に維持し続けることがで
きる。
【0072】参考例の波長多重光伝送システムは、第1
の光フィルタと第2の光フィルタと第3の光フィルタと
が接続されてなる波長多重光伝送システムであって、前
記第1の光フィルタ、第2の光フィルタおよび第3の光
フィルタそれぞれが、請求項10記載の光フィルタであ
り、2つの光導波路を有してなり、第1の端子、第2の
端子、第3の端子および第4の端子を有してなり、第1
の光フィルタの第3の端子と第2の光フィルタの第4の
端子とが接続され、第2の光フィルタの第3の端子と第
3の光フィルタの第4の端子とが接続され、第3の光フ
ィルタの第3の端子と第1の光フィルタの第4の端子と
が接続されてなるため、グレーティングピッチを温度制
御し、それぞれの光フィルタのブラッグ反射波長、透過
損失波長の制御を行うことにより、数十波の波長多重を
行ったばあいの波長誤差を制御できる。
【0073】参考例の波長多重光伝送システムは、第1
の光フィルタと第2の光フィルタとが接続されてなる波
長多重光伝送システムであって、前記第1の光フィルタ
および第2の光フィルタそれぞれが、請求項10記載の
光フィルタであり、2つの光導波路を有してなり、第1
の端子、第2の端子、第3の端子および第4の端子を有
してなり、前記第1の光フィルタの第1の端子に、波長
λ1の光信号および波長λ1以外の光信号が入力され、前
記第1の光フィルタの第2の端子から前記第1の光フィ
ルタの第1の端子に入力された波長λ1の光信号が出力
され、前記第1の光フィルタの第4の端子から前記第1
の光フィルタの第1の端子に入力された波長λ1以外の
光信号が出力され、前記第2の光フィルタの第1の端子
に、前記第1の光フィルタの第4の端子から出力された
波長λ1以外の光信号が入力され、前記第2の光フィル
タの第3の端子に、波長λ1の光信号が入力され、前記
第2の光フィルタの第4の端子から、前記第2の光フィ
ルタの第1の端子に入力された波長λ1以外の光信号
と、前記第2の光フィルタの第4の端子に入力された波
長λ1の光信号とが出力され、前記第1の光フィルタの
第2の端子に光受信器が接続され、前記第2の光フィル
タの第3の端子に光送信器が接続され、前記第1の光フ
ィルタおよび前記第2の光フィルタの各第4の端子から
出力された光信号の波長にもとづき、前記第1の光フィ
ルタおよび前記第2の光フィルタの各光導波路の温度を
制御する装置が制御されるため、光フィルタのブラッグ
波長と透過損失波長を設計波長に維持し続けることがで
きる。
【0074】参考例の波長多重光伝送システムは、第1
の光フィルタと第2の光フィルタとが接続されてなる波
長多重光伝送システムであって、前記第1の光フィルタ
および第2の光フィルタそれぞれが、請求項11記載の
光フィルタであり、前記第1の光フィルタの第4の端子
に前記第2の光フィルタの第1の端子が接続され、前記
第1の光フィルタの第2の端子に光受信器が接続され、
前記第2の光フィルタの第3の端子に光送信器が接続さ
れ、前記第1の光フィルタおよび前記第2の光フィルタ
の各第4の端子から出力された光信号の波長にもとづ
き、前記温度を制御する装置が制御されるため、光フィ
ルタのブラッグ波長と透過損失波長を設計波長に維持し
続ける事ができる。
【0075】参考例の波長多重光伝送システムは、複数
の光フィルタが接続されてなる波長多重光伝送システム
であって、複数の光フィルタそれぞれが、所定の波長λ
の光信号と波長λ以外の光信号とが入力される第1の端
子と、前記前記第1の端子に入力された波長λの光信号
が出力される第2の端子と、波長λの光信号が入力され
る第3の端子と、前記第1の端子に入力された波長λ以
外の光信号および前記第1の端子に入力された波長λの
光信号が合波された光信号が出力される第4の端子とを
有し、前記波長λの値が複数の光フィルタそれぞれに固
有の値であり、前記複数の光フィルタのうちの1つの光
フィルタの第1の端子と、前記1つの光フィルタの前段
の光フィルタの第4の端子とが接続され、前記1つの光
フィルタの第4の端子と、前記1つの光フィルタの後段
の光フィルタの第1の端子とが接続されることにより、
複数の光フィルタが直列に接続されており、前記第1の
端子および第4の端子が、複数のファイバ、多芯のファ
イバアレイおよび光導波路のうちのいずれかを介して接
続されており、前記複数の光フィルタそれぞれが、光導
波路を有してなり、該光導波路の温度を制御できる装置
を少なくとも1つ有してなるため、出力される光信号の
強度を変化させることができ、また、サイドバンド反射
ピークなどの抑制もできる。
【0076】参考例の光導波路型グレーティングの製法
は、コアおよびクラッドからなり、SiO2を主成分と
し、Ge、B、PおよびSnの各酸化物の少なくとも1
つの酸化物を含む光導波路に形成される光導波路型グレ
ーティングの製法であって、前記コアおよびクラッドの
少なくとも1つに、ZrおよびTiの各酸化物の少なく
とも1つの酸化物を添加するため、SiO2を主成分と
したガラスの熱膨張を抑制できる。したがって、光導波
路コアの熱膨張係数が小さくなるため、コアに形成され
たグレーティングピッチの長さの変動が小さくなり、
(1)式で表せられるブラッグ波長の温度依存性を小さ
くできる。
【0077】前記光導波路が、SiO2を主成分とし、
かつ、ZrおよびTiの各酸化物の少なくとも1つの酸
化物を含む基板上に設けられるため、SiO2を主成分
としたガラスの熱膨張を抑制できる。したがって、光導
波路コアの熱膨張係数が小さくなるため、コアに形成さ
れたグレーティングピッチの長さの変動が小さくなり、
(1)式で表せられるブラッグ波長の温度依存性を小さ
くできる。
【0078】前記光導波路の表面が平滑にされたのち、
前記光導波路型グレーティングが形成され、前記光導波
路上に該光導波路の温度を制御できる装置が少なくとも
1つ取り付けられるため、光導波路表面の凹凸による位
相マスクの位置ズレや光導波路との接触不良によるピッ
チ長の変動を抑えることができる。
【0079】前記光導波路が直線光導波路および曲線光
導波路のいずれか一方であり、光導波路上に該光導波路
の温度を制御できる装置が少なくとも1つ取り付けられ
るため、熱膨張によりグレーティングの各場所のピッチ
長を所望の長さに調整し、ブラッグ反射特性を制御し、
サイドバンド反射ピークなどを抑制することができる。
【0080】参考例の光導波路型グレーティングの製法
は、光導波路に形成される光導波路型グレーティングの
製法であって、前記光導波路上に該光導波路の温度を制
御できる装置が少なくとも1つ取り付けられるため、光
導波路の温度を変えることによりコアに形成されたグレ
ーティングピッチの長さを制御して任意のブラッグ波長
をうることができる。
【0081】前記光導波路が、SiO2を主成分とし、
かつ、Ge、Ti、B、P、SnおよびZrの各酸化物
の少なくとも1つの酸化物を含むため、光導波路の温度
を変えることによりコアに形成されたグレーティングピ
ッチの長さを制御して任意のブラッグ波長をうることが
できる。
【0082】前記光導波路の表面が平滑にされたのち、
前記光導波路型グレーティングが形成されるため、光導
波路表面の凹凸による位相マスクの位置ズレや光導波路
との接触不良によるピッチ長の変動を抑えることができ
る。
【0083】前記光導波路が直線光導波路および曲線光
導波路のいずれか一方であるため、熱膨張によりグレー
ティングの各場所のピッチ長を所望の長さに調整し、ブ
ラッグ反射特性を制御し、サイドバンド反射ピークなど
を抑制することができる。
【0084】
【発明の実施の形態】図面を参照しつつ、本発明の光導
波路型グレーティングおよび前記グレーティングを備え
た光フィルタを用いた波長多重光伝送システムの実施の
形態について説明する。
【0085】実施の形態1.本発明の光導波路型グレー
ティングの実施の形態1について説明する。前記光導波
路型グレーティングを有する光導波路を形成するために
は、まずはじめにオゾン酸化を用いたCVD法によっ
て、厚さ1mm程度のシリコン基板上に石英系光導波路
膜を形成する。図3は、本発明の光導波路型グレーティ
ングを製造するために用いられる成膜装置の一例を示す
構造説明図である。図3において、1は基板、2はキャ
リアガス導入口、3は反応管、4は排気口、5は原料容
器、6は流量調節器、7はオゾナイザー、8は酸素ガス
導入口を示す。図3に示される成膜装置は、4個の原料
容器5を備えており、4種類のCVD原料蒸気を同時に
基板上に供給できる。
【0086】使用した4種類のCVD原料は、テトラエ
チルオルトシリケート(tetraethylorthosilicate(S
i(OC254))、ボロントリイソプロポキシド(b
orontri-isopropoxide(B(i-OC373))、ゲル
マニウムテトラエトキシド(germanium tetra-ethoxide
(Ge(OC254))およびチタニウムテトライソ
プロポキシド(titanium tetra-isopropoxide(Ti
(i-OC374))である。キャリアガスは、高純度
Arガスとし、各原料容器5ごとに流量調節器6が付属
しており、それぞれの蒸気の流量を独立に制御できる。
したがって、4種類のアルコキシド原料を任意の割合で
反応管3内の基板1上へ供給することが可能である。
【0087】反応管3へは、酸素ガス導入口8およびオ
ゾナイザー7を介して8重量%のオゾンを含む酸素ガス
を導入するとともに、基板1の温度を800℃として、
原料の分解および反応を促進させ、前記原料の酸化物か
らなる膜を反応管3内に設置した基板1に成膜する。基
板1は、3インチ径のシリコン基板を使用した。真空度
は50torr、成膜速度はおよそ10μm/時間とし
た。
【0088】つぎに、本発明の光導波路型グレーティン
グの製法による光導波路の作製のプロセスを示す。図4
(a)〜(e)は、本発明の光導波路型グレーティング
の製法による光導波路の作製のプロセスを示す工程断面
説明図である。図4において、1は基板、9は下クラッ
ド、10はコア膜、10aはコア、11は光導波路パタ
ーン、12は上クラッドを示す。光導波路作製は、まず
基板1としてのシリコン基板上にSi(OC254
B(i−OC373およびTi(i−OC374の蒸
気のみを供給し、図4(a)に示すように下クラッド9
としての石英膜を形成した。該石英膜は、Si(OC2
54、B(i−OC373およびTi(i−OC3
74の各原料容器の温度を、70℃、30℃と60℃に
それぞれ保持し、マスフローコントローラにより、0.
75l/min、0.15l/minと0.1l/minにそれぞれの原
料のキャリアガス流量を調整して成膜した。成膜時間は
約2時間で、膜厚は20μm程度とした。
【0089】また、Ti添加の効果を見るために、Ti
(i-OC374の流量を変化させてTi添加量の異な
る石英膜を複数の基板1上に作製した(図4には、1つ
の基板のみ示されている)。このときにえられた下クラ
ッド9の屈折率は、1.4582から1.4782までで
あった。
【0090】つぎに、Si(OC254、B(i−O
373、Ge(OC254およびTi(i−OC3
74のアルコキシドを同時に基板1上に供給して、光
導波路のコアとなる高屈折率のコア膜10を6μmの厚
さに形成した。この石英膜からなるコア膜10は、Si
(OC254、B(i−OC373、Ge(OC
254およびTi(i−OC374の原料容器の温度
を、70℃、60℃、30℃と60℃にそれぞれ保持
し、マスフローコントローラにより、0.65l/min、
0.15l/min、0.15l/minと0.1l/minにそれぞれの
原料のキャリアガス流量を調整して成膜した。また、T
i添加の効果を見るために、下クラッド9と同様に、T
i(i−OC374の流量を変化させてTi添加量の
異なるコア膜10を複数の基板1上に作製した(図4に
は、1つの基板のみ示されている)。ただし、コア膜形
成では、Ge酸化物の含有量が約10%となるように、
Geを含むアルコキシド蒸気の流量調整を行い、膜厚6
μmまで成膜を行った。この状態が、図4(b)に示さ
れている。なお、Ti(i−OC374の流量を変化
させることによって、コア膜10の屈折率は、1.46
88から1.4925まで変化した。コア膜10上に写
真製版法により光導波路幅6μmの光導波路パターン1
1を金属クロムにより作製し、RIE(リアクティブイ
オンエッチング)でエッチングして、基板1の表面に対
して垂直な方向から見たときに直線形状を有するコア1
0aを作製した。(図4(c)、(d)参照)。
【0091】さらに、前記光導波路パターン11を除去
したのち、上クラッド12として、約20μmの厚みの
石英膜を、Si(OC254、B(OC373とTi
(i−OC374の原料蒸気を基板1上に供給して形
成した。(図4(e)参照)このときのCVD成膜条件
は、下クラッド9と同じであった。
【0092】このようにして作製した下クラッド9およ
び上クラッド12からなるクラッドの熱膨張係数とTi
添加量の関係を図1に示す。図1において、縦軸は熱膨
張係数、横軸はTi添加量(mol%)を示す。クラッ
ドの熱膨張係数は、Ti添加量が0mol%のばあい、
約5×10-6であるが、8mol%の添加により、ほぼ
0となり、15mol%の添加により、約−4×10-6
と最小になったのち、単調に増加した。図1において、
熱膨張係数が0より小さい領域を負の熱膨張係数領域A
として示す。また、Tiを石英膜へ添加することによ
り、石英膜の屈折率も大きくなった。
【0093】つぎに、本実施の形態で作製した直線光導
波路に光導波路型グレーティング(以下、単に「グレー
ティング」とも言う)を作製し、本実施の形態のグレー
ティングの温度依存性を調べた。該グレーティングの温
度依存性を調べるために、Ti添加なしの試料と、熱膨
張係数がほぼ0になるTi添加量8mol%の試料と、
熱膨張係数が約−4×10-6と最小になるTi添加量1
5mol%の試料とからなる3種類の直線光導波路試料
を使用した。
【0094】グレーティングの作製では、前述の従来例
2のファイバグレーティングの作製と同じように、強い
紫外光(エキシマレーザ、KrF(波長248nm))
を位相マスクを介して光導波路のコアに照射して行なわ
れる。該照射により、光導波路のコアに光誘起による屈
折率変調型グレーティングを作製した。紫外光の照射条
件は、200mJ/cm2/pulseのエネルギー密
度で、周波数60Hz、照射時間は60分とした。図2
に、作製した3種類のグレーティングのと温度依存性を
示す。図2において、縦軸はブラッグ中心波長(nm)
を示し、横軸は温度(℃)を示す。Ti添加なし(従来
の光導波路型グレーティング)のばあい、光導波路型グ
レーティングの温度依存性を表わす温度係数は、0.0
1nm/℃(図中、「Ti添加なし、温度係数0.01
nm/℃」と示される)である。また、Ti添加量が8
mol%のばあい、温度係数は0.002nm/℃(図
中、「Ti添加量8mol%、温度係数約0.002n
m/℃」と示される)である。さらに、Ti添加量が1
5mol%のばあい、温度係数は約0nm/℃(図中、
「Ti添加量15mol%、温度係数約0nm/℃」と
示される)である。
【0095】なお、本実施の形態ではSiのアルコキシ
ドとしてTEOS(テトラエチルオルトシリケート)を
使用したが、Siを含むアルコキシドであれば同様の効
果がえられる。たとえば、シリコンテトラメトキシド
(silicon tetra-methoxide(Si(OCH34))、シ
リコンテトラプロポキシド(silicon tetra-propoxide
(Si(OC374))、シリコンテトラブトキシド
(silicon tetra-butoxide(Si(OC494))等
およびこれらのアルコキシドのアルコキシル基を別のア
ルコキシル基や水素原子で置換したアルコキシド等を使
用しても良い。
【0096】また、Geのアルコキシド、Tiのアルコ
キシドとBのアルコキシドとしても、それぞれGe、T
i、Bを含むアルコキシドであれば同様の効果がえられ
る。
【0097】たとえば、本実施の形態で使用した以外の
Geのアルコキシド例として、ゲルマニウムテトラエト
キシド(germanium tetra-ethoxyde(Ge(OC25
4))、ゲルマニウムテトライソプロポキシド(germani
um tetra-isopropoxide(Ge(i−OC374))や
ゲルマニウムテトラブトキシド(germanium tetra-buto
xide(Ge(OC494))等、これらの異性体およ
びこれらのアルコキシドのアルコキシル基を別のアルコ
キシル基や水素原子で置換したアルコキシド等を使用し
てもよい。
【0098】本実施の形態で使用した以外のTiのアル
コキシド例としては、チタニウムテトラエトキシド(ti
tanium tetra-ethoxide(Ti(OC254))、チタ
ニウムテトラメトキシド(titanium tetra-methoxide
(Ti(OCH34))、チタニウムテトラブトキシド
(titanium tetra-butoxide(Ti(OC494))、
チタニウムテトラターシャリブトキシド(titanium tet
ra-tertiarybutoxide(Ti(t-OC494))等、こ
れらの異性体およびこれらのアルコキシドのアルコキシ
ル基を別のアルコキシル基や水素原子で置換したアルコ
キシド等を使用しても良い。
【0099】また、本実施の形態で使用した以外のBの
アルコキシド例としては、ボロントリメトキシド(boro
n tri-methoxide(B(OCH33))、ボロントリエ
トキシド(boron tri-ethoxide(B(OC
253))、ボロントリターシャリブトキシド(boron
tri-tertiarybutoxide(B(t-OC493))等、こ
れらの異性体およびこれらのアルコキシドのアルコキシ
ル基を別のアルコキシル基や水素原子で置換したアルコ
キシド等を使用しても良い。
【0100】実施の形態2.つぎに、本発明の光導波路
型グレーティングの実施の形態2について説明する。
【0101】実施の形態1と同様にして、厚さ1mm程度
のシリコン基板上にオゾン酸化を用いたCVD法により
石英系光導波路膜を形成する。使用した4種類のCVD
原料は、テトラエチルオルトシリケート(tetraethyl o
rthosilicate(Si(OC254))、トリメチルホ
スファイト(trimethyl phosphite(P(OC
33))を、ゲルマニウムテトラエトキシド(german
ium tetra-ethoxide(Ge(OC254))およびジ
ルコニウムテトラエトキシド(zirconium tetra-ethoxi
de(Zr(OC254))である。キャリアガスは、
高純度Arガスとし、各原料容器ごとに流量調節器が付
属しており、それぞれの蒸気の流量を独立に制御でき
る。したがって、4種類のアルコキシド原料を任意の割
合で反応管内の基板上へ供給することが可能である。
【0102】反応管へは、8重量%のオゾンを含む酸素
ガスを導入するとともに、基板の温度を800℃とし
て、原料の分解および反応を促進させ、前記原料の酸化
物からなる膜を反応管内に設置した基板上に成膜する。
基板は、3インチ径のシリコン基板を使用し、真空度
は、50torr、成膜速度は、およそ10μm/時間
とした。
【0103】つぎに、実施の形態1と同様にして光導波
路を作製した。光導波路作製は、まずシリコン基板上に
Si(OC254、P(OCH33とZr(OC
254の蒸気のみを供給し、下クラッドとしての石英
膜を形成した。
【0104】この石英膜の膜厚は20μm程度、屈折率
は1.4585である。このようにして作製した下クラ
ッドの熱膨張係数とZr添加量の関係を図5に示す。図
5において、縦軸は熱膨張係数を示し、横軸はZr添加
量(mol%)を示す。Ti添加のばあいと同様に、Z
rの添加により熱膨張係数は低くなり、8mol%で1
×10-6程度になり、その後増加した。
【0105】つぎに、Si(OC254、P(OC
33、Ge(OC254とZr(OC254のアル
コキシドを同時に基板上に供給して、光導波路のコアと
なる高屈折率のコア膜を6μmの厚さに形成した。本実
施の形態のコア形成では、コア膜中のGe酸化物の含有
量が約10%となるように、Geのアルコキシドの蒸気
の流量調整を行った。コア膜の屈折率は、1.4682
である。
【0106】前記コア膜上に写真製版法により直線光導
波路パターンを作製し、さらに、エッチングしてコアを
作成する。つぎに、前記直線光導波路パターンを除去
し、上クラッドとして、約20μmの厚みの石英膜を、
Si(OC254、P(OCH33とZr(OC
254の原料蒸気を基板上に供給して形成した。
【0107】つぎに、本実施の形態で作製した直線光導
波路にグレーティングを作製し、本実施の形態のグレー
ティングの温度依存性を調べた。該グレーティングの温
度依存性を調べるために、Zr添加なしの試料と、熱膨
張係数が約1×10-6と最小になるZr添加量8mol
%の試料とからなる2種類の直線光導波路試料を使用し
た。
【0108】グレーティングの作製では、前記実施の形
態1のグレーティングの作製と同じように、強い紫外光
(エキシマレーザ、KrF(波長248nm))を位相
マスクを介して光導波路のコアに照射して行なわれる。
該照射により、光導波路のコアに光誘起による屈折率変
調型グレーティングを作製した。紫外光の照射条件は、
200mJ/cm2/pulseのエネルギー密度で、
周波数60Hz、照射時間は60分とした。
【0109】図6に、作製した3種類のグレーティング
の温度依存性を示す。図6において、縦軸はブラッグ中
心波長(nm)を示し、横軸は温度(℃)を示す。Zr
添加なし(従来の光導波路型グレーティング)のばあ
い、グレーティングの温度依存性を表わす温度係数は
0.01nm/℃(図中、「Zr添加なし、温度係数
0.01nm/℃」と示される)である。また、Zr添
加量が8mol%のばあい、温度係数は0.002nm
/℃(図中、「Zr添加量8mol%、温度係数0.0
02nm/℃」と示される)である。
【0110】なお、本実施の形態ではSiのアルコキシ
ドとしてTEOSを使用したが、Siを含むアルコキシ
ドであれば同様の効果がえられる。たとえば、シリコン
テトラメトキシド(silicon tetra-methoxide(Si
(OCH34))、シリコンテトラプロポキシド(sili
con tetra-propoxide(Si(OC374))、シリコ
ンテトラブトキシド(silicon tetra-butoxide(Si
(OC494))等およびこれらのアルコキシドのア
ルコキシル基を別のアルコキシル基や水素原子で置換し
たアルコキシド等を使用しても良い。
【0111】また、Geのアルコキシド、Zrのアルコ
キシドとPのアルコキシドとしては、それぞれGe、Z
r、Bを含むアルコキシドであれば同様の効果がえられ
る。
【0112】たとえば、本実施の形態で使用した以外の
Geのアルコキシド例として、ゲルマニウムテトラエト
キシド(germanium tetra-ethoxyde(Ge(OC25
4))、ゲルマニウムテトライソプロポキシド(germani
um tetra-isopropoxide(Ge(i−OC374))や
ゲルマニウムテトラブトキシド(germanium tetra-buto
xide(Ge(OC494)等、これらの異性体および
これらのアルコキシドのアルコキシル基を別のアルコキ
シル基や水素原子で置換したアルコキシド等を使用して
もよい。
【0113】さらに、本実施の形態で使用した以外のZ
rのアルコキシド例としては、ジルコニウムテトライソ
プロポキシド(zirconium tetra-isopropoxide(Zr
(i-OC374)、ジルコニウムテトラターシャリブ
トキシド(zirconium tetra-tertiarybutoxide(Zr
(t-OC494))、ジルコニウムテトラメトキシド
(zirconium tetra-methoxide(Zr(OCH34
等、これらの異性体およびこれらのアルコキシドのアル
コキシル基を別のアルコキシル基や水素原子で置換した
アルコキシド等を使用しても良い。
【0114】また、本実施の形態で使用した以外のPの
アルコキシド例としては、ホスフォラストリメトキシド
(P(OCH33)、ホスフォラストリエトキシド(P
(OC253)、ホスフォラストリプロポキシド(P
(OC373)、ホスフォリルトリメトキシド(PO
(OCH33)、ホスフォリルトリエトキシド(PO
(OC253)等、これらの異性体およびこれらのア
ルコキシドのアルコキシル基を別のアルコキシル基や水
素原子で置換したアルコキシド等を使用しても良い。
【0115】本実施の形態では、クラッドを作成する際
にSi(OC254、P(OCH33、およびZr
(OC254を使用し、コアを作製する際にSi(O
25 4、P(OCH33、Zr(OC254および
Ge(OC254を使用したが、これだけに成分を限
定するものではない。たとえば、クラッドは、Si、
B、Pを含む石英光導波路膜にZr、Tiの少なくとも
1方が添加されていればよく、同様の効果がえられる。
また、コア膜は、Si、B、P、Geを含む石英光導波
路膜にZr、Tiの少なくとも1方が添加されていれば
よく、同様の効果がえられる。
【0116】実施の形態3.つぎに、本発明の光導波路
型グレーティングの実施の形態3について説明する。
【0117】本実施の形態では、従来例4の火炎堆積法
によりTiを添加したコア用石英光導波路膜(コア膜)
を作製した。基板は、厚さ1mmであり、TiO2を0m
ol%、7mol%、14mol%添加した3種類の石
英基板を使用した。この基板上に、アルゴンガスをキャ
リアガスとしてSiCl4、BCl3、PCl3、TiC
4、GeCl4などの出発原料を酸水素バーナーへ輸送
し、火炎中にて加水分解して微粉末状のB、P、Tiお
よびGeを含むSiO2を作製し、これら微粉末を基板
へ吹き付けて堆積させた。その組成の元素の比は、S
i:B:P:Ti:Ge=71:4:8:7:10と
し、微粉末膜堆積後、1000℃から1200℃の温度
で透明化のための熱処理を行い、コアとなる厚さ6μm
のコア膜を作製した。透明化処理後、スパッタ法によ
り、コア膜上に金属クロム膜を形成し、写真製版法によ
り、断面の一辺の長さが6μmの直線光導波路パターン
を金属クロム膜で作製した。その後、RIE(反応性イ
オンエッチング)法によりコア膜をエッチングして、金
属クロム膜で覆われていないコア膜を取り除いた。
【0118】つぎに、前記直線光導波路パターンを除去
したのち、再びB、P、Tiを含みGeを含まないSi
2組成で、火炎堆積法により微粒子を基板上に堆積
し、高温熱処理して厚さ20μmの上クラッドを形成し
て光導波路を作製した。このときの上クラッドの組成の
元素の比は、Si:B:P:Ti=79:4:10:7
とした。作製した各部の屈折率は、上クラッドが1.4
685、コアが1.4785であり、コアと上クラッド
との屈折率差は、約0.8%であった。
【0119】前記3種類の石英基板のうちTiを7mo
l%添加した基板上にコア膜を作製したばあい、前記基
板の熱膨張係数は、温度が−20〜200℃のとき、ほ
ぼ0である。また、Tiを添加していない基板のばあ
い、該基板の熱膨張係数は、温度が−20〜200℃の
とき、約5×10-6である。さらに、Tiを14mol
%添加した基板のばあい、前記基板の熱膨張係数は、温
度が−20〜200℃のとき、約−4×10-6である。
【0120】つぎに、本実施の形態で作製した直線光導
波路にグレーティングを作製し、本実施の形態のグレー
ティングの温度依存性を調べた。グレーティングの作製
では、前述の従来例2のファイバグレーティングの作製
と同じように、強い紫外光(エキシマレーザ、KrF
(波長248nm))を位相マスクを介して光導波路の
コアに照射し、光誘起によって光導波路のコアに屈折率
変調型グレーティングを作製した。紫外光の照射条件
は、200mJ/cm2/pulseのエネルギー密度
で、周波数60Hz、照射時間は60分とした。図7
に、3種類の基板上に形成した各グレーティングの温度
依存性を示す。図7において、縦軸はブラック中心波長
(nm)を示し、横軸は温度(℃)を示す。Tiを添加
しない基板(従来の基板)を用いたばあい、光導波路型
グレーティングフィルタの温度依存性を表わす温度係数
は、0.01nm/℃(図中、「Ti添加なし、温度係
数0.01nm/℃」と示される)である。また、Ti
を7mol%添加した基板を用いたばあい、温度係数は
0.003nm/℃(図中、「Ti添加量7mol%、
温度係数0.003nm/℃」と示される)である。さ
らに、Tiを14mol%添加した基板を用いたばあ
い、温度係数は0.001nm/℃(図中、「Ti添加
量14mol%、温度係数0.001nm/℃」と示さ
れる)である。
【0121】したがって、火炎堆積法により作製したT
i添加光導波路は、グレーティングの温度依存性の低減
が可能であり、さらにTiを添加した石英基板を使用す
れば一層の温度依存性の低減が可能であった。
【0122】また、本実施の形態では、出発原料とし
て、SiCl4、BCl3、PCl3、TiCl4およびG
eCl4を使用したが、Si、B、P、Ti、Geを含
む原料であればとくにこれらにかぎるものではない。ま
た、実施の形態2と同様にTiの代わりにZrを使用し
ても同様の効果がえられる。
【0123】参考例1 つぎに、光導波路型グレーティングの参考例1について
説明する。
【0124】参考例1の石英系光導波路膜の製法を用い
て、断面の一辺の長さが6μmの直線光導波路を形成
し、室温で150気圧の高圧水素処理を14日間行い、
その後直ちに、強い紫外光(エキシマレーザ、KrF
(波長248nm))を照射し、光誘起により光導波路
のコアの屈折率を変化させた。紫外光照射条件は、20
0mJ/cm2/pulseのエネルギー密度で、周波
数60Hz、照射時間は60分とした。レーザ照射後の
コアの屈折率変化を測定すると0.0018であり、T
iを添加した光導波路のコアでも無添加のばあいと同様
に屈折率変化がえられた。
【0125】なお、本参考例のグレーティングの損失
は、0.3dBから0.8dBであった。
【0126】参考例2 つぎに、光導波路型グレーティングの参考例2について
説明する。
【0127】従来例4に示される石英系光導波路膜の製
法と同じ、火炎堆積法により、厚さ6μmのコア膜を形
成し、コアのマスクを金属Cr膜で作製し、RIE法に
より、コア膜をエッチングして、幅6μmのコアを形成
した。さらに、前記マスクを除去したのち上クラッドで
ある厚さ約20μmの石英膜を形成し、直線光導波路を
作製した。
【0128】つぎに、石英ガラス製の位相マスクを直線
光導波路上に接触させて置き、この位相マスクを介して
エキシマレーザ光を直線光導波路に照射した。エキシマ
レーザ光の照射条件は、400mJ/cm2/puls
eのエネルギー密度で、周波数60Hz、照射時間1時
間とした。位相マスクとしては、1078nmのグレー
ティングピッチを有するマスクを使用した。
【0129】図8に、本参考例の光導波路型グレーティ
ングのグレーティング反射波長特性の一例を示す。図8
において、縦軸は反射率(%)を示し、横軸は入射光の
波長(nm)を示す。図8に示されるように、えられた
グレーティング反射波長特性は、ブラッグ中心波長が1
567nm、反射率が99.9%、帯域が1.8nmで
あった。
【0130】つぎに、直線光導波路上に金属クロム膜を
約5000Å程度スパッタ形成し、写真製版法により、
幅50μm、長さ5mmの薄膜ヒータをグレーティング
上に形成した。図9に、本参考例のグレーティングおよ
び基板上に薄膜ヒータを取り付けた図を示す。図9にお
いて、13はグレーティング、14aはヒータ電極、1
4bは入出力電極、14cは電流リードを示す。なお、
グレーティング13の上に形成されている上クラッドは
図示されていない。前記薄膜ヒータは、ヒータ電極14
a、入出力電極14bおよび電流リード14cからな
る。ヒータ電極の電流入出力部分は、矩形状のヒータ電
極の両端から基板端部まで引き回した入出力電極からな
り、該入出力電極に電流リードを銀ペーストで接続し
た。
【0131】ヒータ電極14aに50mAの電流を通電
すると、直線光導波路の温度が約20℃上昇し、熱光学
効果により、コアの屈折率が上がると同時にコアの熱膨
張によりグレーティングピッチも大きくなる。前記コア
の熱光学係数は、0.00001/℃で、熱膨張係数は、
約5×10-6である。
【0132】図10に印加電流とブラッグ中心波長の関
係を示す。図10において、縦軸はブラッグ中心波長
(nm)を示す、横軸は印加電流(mA)を示す。グレ
ーティングのブラッグ中心波長は、ヒータ電極に50m
Aの電流を通電することによって生じる20℃の温度変
化により、1567.0nmから1567.5nmまで
変化した。薄膜ヒータへの電流量を変えることによっ
て、グレーティングのブラッグ中心波長を制御すること
ができた。薄膜ヒータの温度可変範囲は、薄膜ヒータの
膜厚により決まる。図10に示されるように、膜厚50
00Åの薄膜ヒータは150mAの通電により断線(図
中、「×」で示される)したが、膜厚を厚くすることに
より、大きな電流を流すことができる。たとえば、膜厚
20000Åの薄膜ヒータでは500mAまで通電可能
であり、光導波路においても約100℃の温度変化が可
能であり、波長可変範囲も2nmから3nmであった。
【0133】実施の形態4.つぎに、本発明の光導波路
型グレーティングの実施の形態4について説明する。
【0134】本発明の実施の形態4に示される石英系光
導波路膜の製法を用いて、Tiを0mol%、7mol
%または15mol%添加した厚さ6μmのコア膜を形
成し、コアのマスクを金属Cr膜で作製し、RIE法に
より、コア膜をエッチングして、幅6μmのコアを形成
し、上クラッドである厚さ約20μmの石英膜を形成
し、直線光導波路を作製した。
【0135】つぎに、石英ガラス製の位相マスクを光導
波路膜上に接触させて置き、この位相マスクを介してエ
キシマレーザ光を直線光導波路に照射した。エキシマレ
ーザ光の照射条件は、400mJ/cm2/pulse
のエネルギー密度で、周波数60Hz、照射時間1時間
とした。位相マスクのグレーティングピッチは、107
8nmである。えられたグレーティングの反射特性は、
実施の形態5と同じであった。つぎに、参考例2と同様
に、直線光導波路上に金属クロム膜を約5000Å程度
スパッタ形成し、写真製版法により、幅50μm、長さ
5mmのヒータを含んでなる薄膜ヒータをグレーティン
グ上に形成した。
【0136】ヒータ電極に50mAの電流を通電する
と、直線光導波路の温度が約20℃上昇し、熱光学効果
により、コアの屈折率が上がると同時にコアの熱膨張に
よりグレーティングピッチも大きくなる。コアの熱光学
係数は0.00001/℃であり、熱膨張係数は、Ti
を添加しないばあい、約5×10-6であり、8mol%
添加したばあい、ほぼ0となり、15mol%添加した
ばあい、約−4×10-6であった。
【0137】図11にブラッグ中心波長と印加電流の関
係を示す。図11において、縦軸はブラック中心波長
(nm)を示す、横軸は印加電流(mA)を示す。図1
1に示されるように、ヒータ電極に50mAの電流を印
加して生じさせた20℃の温度変化により、Tiを添加
していないばあい(図中、「Ti添加なし」と示され
る)、ブラック中心波長が1567.0nmから156
7.5nmに変化した。また、Ti添加量が7mol%
のばあい(図中、「Ti添加量7mol%」と示され
る)、1567.0nmから1567.3nmに変化し
た。さらに、Ti添加量が15mol%のばあい(図
中、「Ti添加量15mol%」と示される)、156
7.0nmから1567.2nmに変化した。すなわ
ち、本実施の形態でも、薄膜ヒータへの電流量を変える
ことによって、グレーティングのブラッグ波長を制御す
ることができた。本実施の形態のばあい、波長可変幅が
大きいのは、Tiを添加しない直線光導波路のグレーテ
ィングであり、100℃の温度変化で1567.0nm
から1569.0nmまで変化させることができた。T
iを添加した直線光導波路のグレーティングは、温度に
対するブラッグ波長の変化が小さいため、ブラッグ中心
波長の精密制御が可能となり、0.01nm単位での波
長制御が可能であった。
【0138】一般的に、ソリトンパルス光は、5000
km程度の長距離を伝送すると、分散による波形歪みが
発生する。本実施の形態の薄膜ヒータ付き直線光導波路
のグレーティングは、狭帯域で0.01nm単位での波
長制御を行うことにより、このような歪んだソリトンパ
ルス光の波長分散を成形し元の波長幅を持つソリトンパ
ルス光を作製できた。
【0139】実施の形態5.つぎに、本発明の光導波路
型グレーティングの実施の形態5について説明する。
【0140】実施の形態1の石英系光導波路膜の作製法
と同様に、厚さ6μmのコア膜を形成し、つぎに、コア
のマスクを金属Cr膜で作製し、RIE法により、コア
を作製し、CVD法により上クラッドを形成した。
【0141】図12に、このようにして作製した光導波
路の断面を示す。図12において、1はシリコン基板で
ある基板、9は下クラッド、10aはコア、12は上ク
ラッドを示す。ここまでは、従来例4と同様に作製し
て、コア10aの厚さが6μmあるため、上クラッド1
2の表面はコア10aの直上部分である凸部12aだけ
盛り上がった形状になっていた。つぎに、上クラッド1
2の表面を3000番程度の研磨材を使用して研磨し、
表面の凸部12aを無くし、上クラッド12の表面が平
滑な光導波路を作製した。
【0142】つぎに、石英ガラス製の位相マスクを上ク
ラッド上に接触させて置き、この位相マスクを介してエ
キシマレーザ光をコアに照射し、光導波路型グレーティ
ングを作製した。エキシマレーザ光の照射条件は、40
0mJ/cm2/pulseのエネルギー密度で、周波
数60Hz、照射時間1時間とした。位相マスクのグレ
ーティングピッチは、1078nmである。従来例4の
ばあい、レーザ照射中の位相マスクのズレ、振動による
不要なグレーティングがコアに書き込まれ、本来あるべ
きでないピークが発生することがあった。一方、本実施
の形態では、位相マスクが上クラッドに完全に密着し、
不要なピークは発生しなかった。
【0143】参考例3 つぎに、光導波路型グレーティングの参考例3について
説明する。
【0144】実施の形態1と同様に、厚さ1mm程度のシ
リコン基板にオゾン酸化を用いたCVD法により石英系
光導波路膜を形成する。使用した原料は、テトラエチル
オルトシリケート(tetraethyl orthosilicate(Si
(OC254))、ボロントリイソプロポキシド(bor
on tri-isopropoxide(B(i-OC373))、トリ
メチルホスファイト(trimethyl phosphite(P(OC
33))、ゲルマニウムテトラエトキシド(germaniu
m tetra-ethoxide(Ge(OC254))であった。
キャリアガスは、高純度Arガスとし、各原料容器ごと
に流量調節器が付属しており、それぞれの蒸気の流量を
独立に制御できる。
【0145】反応管へ、8重量%のオゾンを含む酸素ガ
スを導入するとともに、基板の温度を800℃として、
原料の分解および反応を促進させ、反応管内に設置した
基板に成膜する。基板は、3インチ径のシリコン基板を
使用した。真空度は、50torr、成膜速度は、およ
そ10μm/時間とした。光導波路作製は、まずシリコ
ン基板上にSi(OC254、B(i-OC373
よびP(OCH33の蒸気のみを供給し、下クラッド用
の石英膜を形成した。この石英膜は、Si(OC25
4、B(i-OC373およびP(OCH33の原料容
器の温度を、70℃、30℃と30℃にそれぞれ保持
し、マスフローコントローラにより、0.75リットル
/min、0.05リットル/minと0.1リットル
/minにそれぞれの原料のキャリアガス流量を調整し
た。成膜時間は約2時間で、膜厚は20μm程度とし
た。このときえられた下クラッドの屈折率は、1.45
85程度であった。
【0146】つぎに、Si(OC254、Ge(OC2
54およびP(OCH33のアルコキシドを同時に基
板上に供給して、光導波路のコアとなる高屈折率のコア
膜を6μmの厚さに形成した。この石英膜は、コアを構
成するもので、Si(OC254、P(OCH33
よびGe(OC254の原料容器の温度を、70℃、
30℃と60℃にそれぞれ保持し、マスフローコントロ
ーラにより、0.75リットル/min、0.1リット
ル/minと0.15リットル/minにそれぞれの原
料のキャリアガス流量を調整した。ただし、コア形成で
は、Ge酸化物の含有量が約10%となるように、Ge
アルコキシド蒸気の流量調整を行った。コア膜の屈折率
は、1.4690であった。
【0147】コア膜上に写真製版法により光導波路幅6
μmの光導波路パターンを金属クロムにより作製し、R
IE(リアクティブイオンエッチング)でエッチングし
てコアを作製した。
【0148】さらに、前記光導波路パターンを除去した
のち、上クラッドである厚さ約20μmの石英膜を、S
i(OC254、B(OC373とP(OCH33
原料蒸気を基板上に供給して形成し、直線光導波路を作
製した。このときのCVD成膜条件は、下クラッドと同
じであった。
【0149】つぎに、石英ガラス製の位相マスクを上ク
ラッド上に接触させて置き、この位相マスクを介してエ
キシマレーザ光をコアに照射した。エキシマレーザ光の
照射条件は、400mJ/cm2/pulseのエネル
ギー密度で、周波数60Hz、照射時間1時間である。
位相マスクのグレーティングピッチは、1078nmで
ある。参考例3における直線光導波路のグレーティング
透過波長特性も、参考例2(図8)と同様であった。
【0150】つぎに、参考例2と同様に、直線光導波路
上に金属クロム膜を約10000Å程度スパッタ形成し
た。写真製版法により、幅50μm、長さ1mmのヒー
タ電極を含んでなる薄膜ヒータを図13に示すようにグ
レーティング上に5個形成した。図13は、参考例の光
導波路型グレーティングおよび基板上に形成されたヒー
タ電極を示す説明図である。図13において、13はグ
レーティング、14aはヒータ電極、14bは入出力電
極を示す。なお、入出力電極14bに接続されている電
流リードは図示されていない。また、図13には、5個
の薄膜ヒータのうち、1番目の薄膜ヒータ、2番目の薄
膜ヒータおよび5番目の薄膜のみが示されている。それ
ぞれの薄膜ヒータは、独立した電流リードにより、独立
して温度を制御できた。
【0151】直線光導波路に形成された光導波路型グレ
ーティングにおいて、端から1番目の薄膜ヒータに25
mAを通電し、2番目の薄膜ヒータには50mA、3番
目の薄膜ヒータには75mA、4番目の薄膜ヒータには
100mA、5番目の薄膜ヒータには125mAの電流
を流した。薄膜ヒータへの電流印加により、直線光導波
路の温度が上昇し、熱光学効果によるコアの屈折率上昇
とグレーティングピッチの変化が発生した。全長約5m
mの光導波路型グレーティングにおいて、1番目から順
に5番目の薄膜ヒータ部分まで、グレーティングのブラ
ッグ波長は長波長へシフトし、見かけ上チャープドグレ
ーティングが作製できた。本実施の形態のグレーティン
グは、各薄膜ヒータ直下のグレーティングピッチを、
0.2nm程度づつ大きくしたチャープドグレーティン
グに相当し、サイドバンドピークを抑制することがで
き、きれいな台形状の波長特性をもつ光フィルタを作製
することができた。
【0152】なお、本参考例ではSiのアルコキシドと
してTEOSを使用したが、Siを含むアルコキシドで
あれば同様の効果がえられる。たとえば、シリコンテト
ラメトキシド(silicon tetra-methoxide(Si(OC
34))、シリコンテトラプロポキシド(silicon te
tra-propoxide(Si(OC374))、シリコンテト
ラブトキシド(silicon tetra-butoxide(Si(OC4
94))等およびこれらのアルコキシドのアルコキシ
ル基を別のアルコキシル基や水素原子で置換したアルコ
キシド等を使用しても良い。
【0153】また、Geのアルコキシド、Bのアルコキ
シドとPのアルコキシドも、それぞれGe、B、Pを含
むアルコキシドであれば同様の効果がえられる。
【0154】参考例4 つぎに、本発明の光フィルタの一参考例について説明す
る。
【0155】参考例1の石英系光導波路膜の製法と同じ
ように、CVD法により、厚さ6μmのコア膜を形成
し、コアのマスクを金属Cr膜で作製し、RIE法によ
り、コア膜をエッチングして、幅6μmのコアを形成
し、上クラッドである厚さ約20μmの石英膜を形成
し、直線光導波路を作製した。使用した原料は、テトラ
エチルオルトシリケート(tetraethyl orthosilicate
(Si(OC254))、ボロントリイソプロポキシ
ド(boron tri-isopropoxide(B(i-OC
373))、ゲルマニウムテトラエトキシド(germani
um tetra-ethoxide(Ge(OC254))とし、Ti
は添加しなかった。
【0156】直線光導波路は、同一基板上に2mm間隔
に5本並行に作製し、室温で150気圧の高圧水素処理
を14日間行った。つぎに、スパッタ法により、厚さ約
10000Åの金属クロム膜を上クラッド上に形成し、
写真製版法により、幅20μm、長さ5mmの窓を1番
目の直線光導波路上に形成した。1078nmピッチの
位相マスクを上クラッド表面から数mm離して置き、こ
の位相マスクを介してエキシマレーザ光を直線光導波路
に照射した。エキシマレーザ光の照射条件は、400m
J/cm2/pulseのエネルギー密度で、周波数6
0Hz、照射時間1時間とした。金属クロムがカバーし
ている直線光導波路に対しては、エキシマレーザ光がク
ロム膜で反射するため、グレーティングは形成されず
に、窓が形成されている1番目の直線光導波路にのみグ
レーティングが形成された。
【0157】つぎに、クロム膜を酸洗いし、除去した
後、再び、スパッタ法により、厚さ約10000Åの金
属クロム膜を上クラッド上に形成し、写真製版法によ
り、幅20μm、長さ5mmの窓を2番目の直線光導波
路上に形成した。1075nmピッチの位相マスクを上
クラッド表面から数mm離して置き、この位相マスクを
介してエキシマレーザ光を直線光導波路に照射した。エ
キシマレーザ光の照射条件は、400mJ/cm2/p
ulseのエネルギー密度で、周波数60Hz、照射時
間1時間とした。このばあいも、金属クロムは保護膜と
して作用し、金属クロムがカバーしている直線光導波路
に対しては、グレーティングは形成されないまま残り、
窓が形成されている2番目の直線光導波路にのみ光導波
路型グレーティングが形成された。
【0158】以下、同様に5番目の直線光導波路まで、
位相マスクのピッチを3nmづつ変化させて、5種類の
異なるグレーティングを同一基板上に作製した。1番目
のグレーティングのブラッグ中心波長は、1567.0
nm、2番目のグレーティングのブラッグ中心波長は、
1562.6nm、3番目のグレーティングのブラッグ
中心波長は、1558.2nm、4番目のグレーティン
グのブラッグ中心波長は、1553.9nm、5番目の
グレーティングのブラッグ中心波長は、1549.5n
mであり、帯域はそれぞれ約2.0nmであり、反射率
は99.9%である。5種類のグレーティングの両端を
研磨し、片端にFCコネクタを接続したシングルモード
光ファイバを、5種類のグレーティングの両端面にそれ
ぞれ接続した。
【0159】波長1567.0nm、1562.6n
m、1558.2nm、1553.9nm、1549.
5nmで帯域1.5nmのレーザをカプラにて波長多重
し、その波長多重信号を1×5のスプリッタで5つに等
分し、1番目の直線光導波路グレーティングの一端部に
入力し、1番目のグレーティングの他の端部と2番目の
グレーティングの一端部を接続し、2番目のグレーティ
ングの他の端部と3番目のグレーティングの一端部を接
続し、3番目のグレーティングの他の端部と4番目のグ
レーティングの一端部を接続し、4番目のグレーティン
グの他の端部からレーザを出力した。4番目のグレーテ
ィングの他の端部から出力した光信号は、波長154
9.5nmで帯域1.5nmのレーザ光であり、5波長
多重光信号から5番目のグレーティングのブラッグ中心
波長と同一の波長の光信号を分波することができた。
【0160】同様に、波長1567.0nm、156
2.6nm、1558.2nm、1553.9nm、1
549.5nmで帯域1.5nmのレーザをカプラにて
波長多重し、その波長多重信号を1×5のスプリッタで
5つに等分し、1番目のグレーティングの一端部に入力
し、1番目のグレーティングの他の端部と2番目のグレ
ーティングの一端部を接続し、2番目のグレーティング
の他の端部と3番目のグレーティングの一端部を接続
し、3番目のグレーティングの他の端部と5番目のグレ
ーティングの一端部を接続し、5番目のグレーティング
の他の端部からレーザを出力した。5番目のグレーティ
ングの他の端部から出力した光信号は、波長1553.
9nmで帯域1.5nmのレーザ光であり、5波長多重
光信号から4番目のグレーティングのブラッグ中心波長
と同一の波長の光信号を分波することができた。
【0161】以下、同様に接続することにより、5波長
多重光信号から、特定の波長の光信号を分波することが
できた。
【0162】本参考例では、5個の直線光導波路につい
てピッチの異なるグレーティングを作製し、5波長多重
光信号の分波について説明したが、直線光導波路の数に
ついては5個に限るものではなくそれ以下でも以上でも
構わない。また、光導波路は直線でも曲線でも同様の効
果があり、火炎堆積法によって作製された石英系光導波
路でも同様の効果があった。
【0163】参考例5 つぎに、光フィルタの他の参考例について説明する。
【0164】参考例4と同様の方法により、5個の直線
光導波路を作製し、ピッチの異なるグレーティングを各
直線光導波路に作製した。相マスクのピッチサイズは、
1078nm、1075nm、1072nm、1069
nm、1066nmの5種類のマスクを使用した。5種
類のグレーティング上に、参考例2と同様にして、厚さ
約15000Å程度の金属クロム膜をスパッタ形成し、
写真製版法により、幅50μm、長さ1mmのヒータ電
極を含んでなる薄膜ヒータを図13に示すようにグレー
ティング上に5個形成する。なお、それぞれの薄膜ヒー
タは、独立した電流リードにより、独立に温度を制御し
た。
【0165】5種類の異なるピッチのグレーティングを
有する直線光導波路を形成した基板を20mm×40m
m程度の大きさのペルチエ素子にマウントし、温度制御
を行い、基板の温度を一定にした。個々のグレーティン
グは、0.01nm/℃の温度依存性があるが、ペルチ
エ素子により、基板の温度は25度に保持した。1番目
のグレーティングのブラッグ中心波長は、1567.0
nm、2番目のグレーティングのブラッグ中心波長は、
1562.6nm、3番目のグレーティングのブラッグ
中心波長は、1558.2nm、4番目のグレーティン
グのブラッグ中心波長は、1553.9nm、5番目の
グレーティングのブラッグ中心波長は、1549.5n
mであり、帯域はそれぞれ約2.0nmであり、反射率
は99.9%である。
【0166】それぞれのグレーティングにおいて、薄膜
ヒータに電流を通電すると、流す電流値にしたがって光
導波路グレーティングの温度が上昇した。薄膜ヒータの
電流値を50mAとすると、薄膜ヒータ直下のコアの温
度が約20度上昇し、グレーティングのブラッグ中心波
長は、0.2nm程度長波長側にシフトした。基板は、
ペルチエ素子で温度25度に保持されているが、薄膜ヒ
ータにより、コアを局所的に50度まで温度を変化させ
ることが可能であった。
【0167】参考例4と同様に、1番目、2番目、3番
目、4番目のグレーティングを接続し、それぞれ薄膜ヒ
ータにより温度を上げると0.5nm程度長波長側にシ
フトした。薄膜ヒータに50mAの電流を流しつつ、波
長1567.2nm、1562.8nm、1558.4
nm、1554.1nm、1549.7nmで帯域1.
5nmのレーザをカプラにて波長多重し、その波長多重
光信号を1×5のスプリッタで5つに等分し、1番目の
グレーティングの一端部に入力し、1番目のグレーティ
ングの他の端部と2番目のグレーティングの一端部を接
続し、2番目のグレーティングの他の端部と3番目のグ
レーティングの一端部を接続し、3番目のグレーティン
グの他の端部と4番目のグレーティングの一端部を接続
し、4番目のグレーティングの他の端部からレーザを出
力した。4番目のグレーティングの他の端部から出力し
た光信号は、波長1549.7nmで帯域1.5nmの
レーザ光であった。
【0168】他の波長の4つの光信号は、それぞれの波
長ピッチに応じたグレーティングで反射した。なお、透
過光は、40dBの利得低下があった。
【0169】しかし、しばらくすると光源の波長変動に
より光信号の波長が変化し、波長多重していた5つの波
長の光信号が0.数nm程度長波長側もしくは短波長側
に変動した。この種の波長変動が生じると、本来40d
B以上の透過阻止量をもっていた各グレーティングの阻
止帯域から光源波長がはずれるため、透過阻止量が15
dB程度に劣化した。
【0170】そこで、光源の波長変動量を測定し、それ
ぞれのグレーティングにある薄膜ヒータの電流値をそれ
ぞれの波長変動量に応じて変化させ、グレーティングの
ブラッグ波長を波長変動して光源波長に設定した。たと
えば、波長変動量が0.1nm、−0.2nm、0.2
nm、0.1nm、−0.1nmであったばあい、1番
目の薄膜ヒータに30mAを通電し、2番目の薄膜ヒー
タには0mA、3番目の薄膜ヒータには42mA、4番
目の薄膜ヒータには31mA、5番目の薄膜ヒータには
11mAの電流を流した。これにより、各直線光導波路
のグレーティングのブラッグ波長を光源波長の変動に合
わせて可変することができた。グレーティングのブラッ
グ波長と光源波長とを正確に一致できたことにより、再
び40dB以上の透過阻止量がえられた。信号光と他の
波長多重光において25dB以上の利得差があればノイ
ズ雑音として問題にならないレベルであり、高密度波長
多重光伝送システム用として、充分使用できた。
【0171】本参考例では、薄膜ヒータを使用して光導
波路コアの温度を変化させたが、これにこだわる必要は
なく光導波路の温度を局所的に変化させられればどんな
装置でも同様の効果がえられる。
【0172】 参考例6 本参考例では、プラズマCVD装置を使用して石英膜を
成膜し、さらにグレーティングと薄膜ヒータを作製した
光フィルタの他の参考例について説明する。
【0173】このプラズマCVD装置では、実施の形態
1のCVD装置と同様に4個の原料容器を備えており、
4種類のCVD原料蒸気を同時に基板上に供給できる。
各原料は、温度制御可能な密閉容器に充填され、原料蒸
気の流量調整が正確にできる流量調節器により、それぞ
れの蒸気の流量を独立に制御でき、4種類のアルコキシ
ド原料を任意の割合で反応管内の基板上へ供給すること
が可能である。使用した原料は、TEOS(テトラエチ
ルオルトシリケート(tetraethyl orthosilicate(Si
(OC254)))、TPB(ボロントリイソプロポ
キシド(boron tri-isopropoxide(B(i−OC
373)))、TEG(ゲルマニウムテトラエトキシ
ド(germanium tetra-ethoxide(Ge(OC
254)))、TPP(ホスフォラストリイソプロポ
キシド(phosphorus tri-isopropoxide(P(i−OC 3
73)))であった。
【0174】各原料は、それぞれの蒸気圧を考えて、T
EOSは75℃、TPBは45℃、TEGは65℃、T
PPは60℃に加温した。原料蒸気の流量は、クラッド
を形成するばあいは、TEOSを5cc/分、TPBを
1cc/分とし、コア膜を形成するばあいは、TEOS
を5cc/分、TPBを0.3cc/分、TEGを0.
5cc/分、TPPを0.5cc/分とした。
【0175】反応管へは、酸素ガスを導入して、高周波
プラズマを発生させるとともに、基板の温度を500℃
として、原料の分解および反応を促進させて、設置した
基板に成膜する。基板は、3インチ径のシリコン基板を
使用した。真空度は、0.3torr、高周波出力は3
50W、酸素ガスの流量は、200cc/分、成膜速度
は8μm/時間とし、膜厚はコア膜で6μm、クラッド
で20μmとした。
【0176】作製したクラッドの屈折率は1.4590
であり、Geをドープしたコア膜の屈折率は1.469
1であり、クラッドとコア膜との屈折率差は約0.7%
であった。
【0177】つぎに、コアのマスクを金属Cr膜で作製
し、RIE法により、コア膜をエッチングしてコアを形
成し、図14に示すような、光フィルタたるマッハツエ
ンダ型光導波路を作製した。前記マッハツエンダ型光導
波路の光導波路幅は6μmである。図14は、本発明の
光フィルタの他の参考例であるマッハツエンダ型光導波
路を示す模式図である。図14において、1は基板、1
9はクラッド、10aはコア、13はグレーディング、
14aはヒータ電極、14bは入出力電極、14cは電
流リード、15は光導波路、16は3dBカプラ、17
aは第1の端子、17bは第2の端子、17cは第3の
端子、17dは第4の端子を示す。このマッハツエンダ
型光導波路15の2個の3dBカプラ16間の直線光導
波路に長さ5mmのグレーティング13を実施の形態2
のグレーティング作製と同様に、強い紫外光(エキシマ
レーザ、KrF(波長248nm))を照射し、コアに
光誘起による屈折率変調グレーティングを作製した。
【0178】直線光導波路上に金属クロム膜を約500
0Å程度スパッタ形成し、写真製版法により、幅50μ
m、長さ6mmのヒータ電極14aを含んでなる薄膜ヒ
ータをグレーティング13上に形成した。入出力電極1
4bは、矩形状のヒータ電極14aの両端から基板1の
端部まで引き回して形成され、電流リード14cが銀ペ
ーストで接続される。ヒータ電極14aに50mAの電
流を通電すると、直線光導波路の温度が約20℃上昇
し、熱光学効果により、コアの屈折率が上がると同時に
熱膨張によりグレーティングピッチも大きくなる。
【0179】作製した光フィルタの波長特性は、エルビ
ウムドープ型ファイバアンプの広帯域光源を使用して測
定した。この光フィルタは、第1の端子17aから、波
長多重した光信号(図中、「波長λ1+λ2」と示され
る)を入射すると、グレーティング13で反射しない波
長λ3の光信号(図中、「波長λ3」と示されるが第4
の端子17dから出力され、グレーティング13で反射
する波長λ2の光信号(図中、「波長λ2」と示される)
が第2の端子14bから出力する。また、グレーティン
グ13で反射する波長λ2の光信号を第3の端子17c
から入射すると、第4の端子17dから第1の端子17
aの光信号と多重されて出力される。このような光フィ
ルタは、波長多重通信における光信号の合分波器やAD
M(AddDrop Multiplexer)として使用される。
【0180】この光フィルタの25℃での透過特性は、
中心波長1567nm、帯域1.8nm、透過損失25
dBであり、反射特性は、中心波長1567nm、帯域
2nm、反射率25dBであった。したがって、中心波
長1567.0nmで帯域1.5nmのレーザ光と、中
心波長1563.0nmで帯域1.5nmのレーザ光と
をカプラで合波して波長多重光を作製し、本参考例の第
1の端子17aに入射した。マッハツエンダ型光導波路
15のグレーティング13で中心波長1567.0nm
で帯域1.5nmのレーザ光が反射され、第2の端子1
7bから出力され、中心波長1563.0nmで帯域
1.5nmのレーザ光は第4の端子17dから出力され
た。また、中心波長1567.0nmで帯域1.5nm
のレーザ光を第3の端子17cに入射すると第4の端子
17dから、この中心波長1567.0nmで帯域1.
5nmのレーザ光と、中心波長1563.0nmで帯域
1.5nmのレーザ光とが合波されて出力した。このと
き、第2の端子17bから出力された中心波長156
7.0nmで帯域1.5nmの光信号と、第4の端子1
7dから合波されて出力した中心波長1567.0nm
で帯域1.5nmの光信号とは全く別の光信号である。
【0181】なお、光源波長には、僅かな波長変動があ
り、中心波長1567.0nmで帯域1.5nmであった
レーザ光が0.3nm程度長波長側にシフトした。この
種の波長変動が生じると、光源波長が本来30dB以上
の透過阻止量を持っていた各グレーティング13の阻止
帯域からずれるため、透過阻止量が15dB程度に劣化
した。
【0182】そこで、光源の波長変動量を測定し、グレ
ーティング13にある薄膜ヒータの電流値を波長変動量
に応じて変化させ、マッハツエンダ型光導波路のグレー
ティングのブラッグ波長を波長変動して光源波長に設定
した。たとえば、波長変動量が0.1nmであったばあ
い、マッハツエンダ型光導波路の薄膜ヒータにそれぞれ
30mAを通電した。前記薄膜ヒータでの波長制御を正
確に一致させないと、第2の端子17bから出力される
光信号の波長が広がり強度も劣化した。
【0183】そこで、第2の端子17bの出力光の強度
をモニターしつつ、前記薄膜ヒータへの電流印加量を制
御した。マッハツエンダ型光導波路のグレーティングの
ブラッグ波長と光源波長を正確に一致できたことによ
り、再び30dB以上の透過阻止量がえられた。信号光
と他の波長多重光において25dB以上の利得差があれ
ばノイズ雑音として問題にならないレベルであり、高密
度波長多重伝送システム用として、充分使用できた。
【0184】本参考例では、薄膜ヒータを使用してコア
の温度を変化させたが、これにこだわる必要はなくコア
の温度を局所的に変化させられればどんな装置でも同様
の効果がえられる。
【0185】実施の形態6.本実施の形態では、一方向
から入射した波長多重光を2方向に分岐する光分岐回路
(波長多重光伝送システム)を波長選択性反射器と方向
性結合器を用いて実現した一実施の形態について説明す
る。
【0186】波長選択性反射器と方向性結合器は、本実
施の形態1から4および参考例1から2と同様の技術を
使用して作製した。光分岐回路の一実施の形態を図15
に示す。図15において、31は光分岐回路、20a、
20b、20cは光フィルタ、21は方向性結合器とし
ての3dBカプラ、22a、22b、22cは波長選択
性反射器としての本発明の光導波路型グレーティング、
23は屈折率調整部、24a、24b、24cは薄膜ヒ
ータを示す。また、25aは、光フィルタ20a、20
b、20cの第1の端子である、3dBカプラ21の前
段の端子であり、25bは、光フィルタ20a、20
b、20cの第2の端子である、3dBカプラ21の前
段の端子であり、26aは、光フィルタ20a、20
b、20cの第3の端子である、3dBカプラ21の後
段の端子であり、26bは、光フィルタ20a、20
b、20cの第4の端子である、3dBカプラ21の後
段の端子である。3つの光フィルタ20a、20b、2
0cの片方の3dBカプラ21が隣の光フィルタの3d
Bカプラと接続され、それぞれの光フィルタはペルチエ
素子30にマウントされ温度を25℃に保持した。
【0187】光フィルタ20aの端子26aと光フィル
タ20bの端子26bとが、光フィルタ20bの端子2
6aと光フィルタ20cの端子26bが、さらに、光フ
ィルタ20cの端子26aと光フィルタ20aの端子2
6bとが接続される。また、3つの光フィルタ20a、
20b、20cの3dBカプラ21の前段の端子25
a、25bは、図15に示すように、光分岐回路31へ
の入出力ファイバ27a、27b、28a、28b、2
9a、29bにそれぞれ接続される。光フィルタ20
a、20b、20cの光導波路型グレーティング22
a、22b、22cのブラッグ中心波長は、すべてλ1
である。ファイバ27aから入力された波長λ1は、光
フィルタ20aの端子25aから入射し、光導波路型グ
レーティング22aで反射され端子25bを経てファイ
バ29bから出力される。すなわち、ファイバ27aか
ら、ファイバ29bへの経路設定は、入力される光信号
の波長λにより自動的にきまる。光フィルタ20aの端
子25aから入射した波長λ1以外の波長の光信号は、
光導波路型グレーティング22aを透過して端子26b
に出力される。ついで、光フィルタ20cの端子26a
に入射するが、また、光導波路型グレーティング22c
を透過して端子25bを経てファイバ28bに出力す
る。すなわち、波長λ1以外の波長の光信号の経路は、
ファイバ27aからファイバ28bに設定される。
【0188】同様に、ファイバ28aから入力された波
長λ1の光信号は光フィルタ20bで反射してファイバ
27bに出力され、ファイバ28aから入力された波長
λ1以外の波長の光信号はファイバ29bに出力され
る。さらに、ファイバ29aから入力された波長λ1
光信号は光フィルタ20cで反射してファイバ28bに
出力し、ファイバ29aから入力された波長λ1以外の
波長の光信号はファイバ27bに出力される。
【0189】ファイバ27aから入力された波長λ1
光信号のうち、光導波路型グレーティング22aで反射
しきれずに通過するわずかな成分は、すべて光フィルタ
20cに向かう。そこで、その大部分は、反射され光フ
ィルタ20bに向かう。さらに、大部分が反射され再び
光フィルタ20aに向かう。実際は、光導波路損失によ
り、消失しクロストークにはならない。
【0190】一方、ファイバ27aから入力された波長
λ1以外の波長の光信号のうち、端子26aに出力され
る光信号がわずかにあるが、これは、光フィルタ20b
の端子25bへと向かう。前記端子26aに出力される
光信号の進行方向は光ファイバ28aの進行方向とは逆
になるため、他の信号のクロストークにはならない。し
たがって、クロストークの小さい光フィルタが構成でき
た。
【0191】一般的に、光源波長には、僅かな波長変動
があり、0.数nm程度の波長変動が発生する。この種
の波長変動が生じると、本来30dB以上の透過阻止量
をもっていた各グレーティングの阻止帯域から光源波長
がずれるため、透過阻止量が15dB程度に劣化した。
そこで、光源の波長変動量を測定し、光導波路グレーテ
ィングにある薄膜ヒータの電流値を波長変動量に応じて
変化させ、マッハツエンダ型光導波路のコアの温度を変
化させ、グレーティングのブラッグ波長を波長変動した
光源波長に設定した。
【0192】たとえば、波長変動量が0.1nmであっ
たばあい、各光フィルタの2つの薄膜ヒータに、それぞ
れ16mAを通電した。前記2つの薄膜ヒータでの波長
制御を正確に一致させないと、グレーティングで反射さ
れ出力される光信号の波長が広がり強度も劣化した。そ
こで、光フィルタからの出力光の強度をモニターしつ
つ、前記2つの薄膜ヒータへの電流印加量を制御するこ
とにより、光源の波長変動に対応することができ、30
dB以上の透過阻止量がえられた。その結果、クロスト
ークが小さい高い密度波長多重光伝送システムが構築で
きた。
【0193】本実施の形態では、薄膜ヒータを使用して
コアの温度を変化させたが、これにこだわる必要はなく
光導波路の温度を局所的に変化させられればどんな装置
でも同様の効果がえられる。
【0194】なお、本実施の形態では、1つの光フィル
タから分岐した光信号の波長λ1と他の光フィルタに挿
入した光信号の波長λ1は、同一であるが、各光フィル
タに別な波長を挿入しても同様の効果がえられた。かか
るばあい、前記他の光フィルタのブラッグ波長は波長λ
1以外のある波長である。
【0195】参考例7 つぎに、波長多重光伝送システムの他の参考例としての
光分岐回路について説明する。
【0196】本参考例の光分岐回路は、分岐波長と挿入
波長が同じばあい、2つの本発明の光導波路型グレーテ
ィングを3dBカプラを介して縦列接続することによっ
て、クロストークの発生を少なくするものである。本参
考例の光分岐回路を図16に示す。
【0197】図16において、39は光送信器(T
X)、40は光受信器(RX)、21a、21b、21
c、21dは3dBカプラ、22a、22bは、同一の
ブラッグ波長λ2を有する本発明の光導波路型グレーテ
ィングでたとえば実施の形態1に記載のものである。さ
らに、23a1、23a2、23b1、23b2は屈折率調整
部、24a、24bは薄膜ヒータである。第1の光フィ
ルタは、3dBカプラ21a、21bと、光導波路型グ
レーティング22aと、屈折率調整部23a1、23a2
と、薄膜ヒータ24aとからなり、第2の光フィルタ
は、3dBカプラ21c、21dと、光導波路型グレー
ティング22bと、屈折率調整部23b1、23b2
と、薄膜ヒータ24bとからなる。また、32は、第1
の光フィルタの第1の端子である光伝送路入力端子であ
り、33は、第1の光フィルタの第2の端子である分岐
端子であり、25aは、第2の光フィルタの第2の端子
である3dBカプラ21cの前段の端子であり、25b
は、第2の光フィルタの第1の端子である3dBカプラ
21cの前段の端子であり、26aは、第1の光フィル
タの第3の端子である3dBカプラ21bの後段の端子
であり、26bは、第1の光フィルタの第4の端子であ
る3dBカプラ21bの後段の端子であり、34は第2
の光フィルタの第4の端子である光伝送路出力端子であ
り、35は、第2の光フィルタの第3の端子である挿入
端子である。
【0198】光導波路型グレーディング22aのブラッ
グ中心波長がλ2のばあい、光伝送路入力端子32から
入射したWDM光のうち、波長λ2の光信号だけが光導
波路型グレーティング22aで反射され、3dBカプラ
21aの分岐端子33から取りだすことができる。この
とき、3dBカプラ21aから一方の光導波路型グレー
ティング22aまでの光路長と、3dBカプラ21aか
ら他方の光導波路型グレーティング22aまでの光波長
とが同じになるように屈折率調整部23a1を設けた。波
長λ2以外の波長の光信号は、光導波路型グレーティン
グ22aを透過し、3dBカプラ21bに到達するが、
ここで、一方の光導波路型グレーティング22aを透過
した光信号と他方の光導波路型グレーティング22aを
透過した光信号との位相差が逆相になるように屈折率調
整部23a2を設ける。その結果、波長λ2以外の波長の
光信号は、すべて端子26bから出力される。出力した
波長λ2以外の波長の光信号は、端子25bから3dB
カプラ21cを通して2つに分岐する。屈折率調整部2
3b1と23b2により、3dBカプラ21cと21dの光
路長が等しくなるように調整してあるので、全ての光は
光伝送路出力端子34へ透過する。
【0199】一方、挿入光は、挿入端子37に接続した
光送信器39から送信することで端子34に出力され
る。動作は、光伝送路入力端子32から入力した波長λ
2の光信号が分岐端子33に出力したのと同じである。
ここで、光導波路型グレーティング22bの反射率が1
00%でないため、透過した僅かな光は3dBカプラに
到達するがほとんどの光は端子25aから出力される。
【0200】一般的に、光源波長には、僅かな波長変動
があり、0.数nm程度の波長変動が発生する。この種
の波長変動が生じると、本来30dB以上の透過阻止量
をもっていた各グレーティングの阻止帯域から光源波長
がずれるため、透過阻止量が15dB程度に劣化した。
そこで、光源の波長変動量を測定し、光導波路型グレー
ティングにある薄膜ヒータの電流値を波長変動量に応じ
て変化させ、マッハツエンダ型光導波路のグレーティン
グのブラッグ波長を波長変動した光源波長に設定した。
たとえば、波長変動量が0.1nmであったばあい、光
フィルタの2つの薄膜ヒータにそれぞれ、16mAを通
電した。光フィルタの2つの薄膜ヒータでの波長制御を
正確に一致させないと、グレーティングで反射され出力
される光信号の波長が広がり強度も劣化した。そこで、
出力光の強度をモニターしつつ、光フィルタの2つの薄
膜ヒータへの電流印加量を制御することにより、光源の
波長変動に対応し、30dB以上の透過阻止量がえら
れ、クロストークが小さい高い密度波長多重光伝送シス
テムが構築できた。
【0201】以上のように、2つの光導波路型グレーテ
ィングを3dBカプラを介して縦列接続することで、光
分岐回路を構成するので挿入光と分岐光のクロストーク
を低減できた。なお、本参考例では、光フィルタから分
岐した光信号(WDM光に含まれる光信号)の波長λ2
と挿入した光信号(挿入光に含まれる光信号)の波長λ
2は、同一であるが、別な波長を挿入しても同様の効果
がえられた。かかるばあい、第2の光フィルタのブラッ
ク波長はλ2以外のある波長である。
【0202】参考例8 本参考例では、図17に示すように、幅10mm、長さ
30mmのシリコン基板にグレーティングピッチの異な
る第1の光フィルタと第2の光フィルタを作り込んだ集
積化光フィルタについて説明する。図17は、波長多重
光伝送システムの他の参考例である集積化光フィルタを
示す模式図である。図17において、50aは第1の光
フィルタ、50bは第2の光フィルタ、51はシリコン
基板、52aは第1の光フィルタ50aのグレーティン
グ、52bは第2の光フィルタ50bのグレーティング
を示す。また、53aは、第1の光フィルタ50aの第
1の端子に接続された光ファイバの端子、54aは、第
1の光フィルタ50aの第2の端子に接続された光ファ
イバの端子、55aは、第1の光フィルタ50aの第3
の端子に接続された光ファイバの端子、56aは、第1
の光フィルタ50aの第4の端子に接続された光ファイ
バの端子を示す。さらに、53bは、第2の光フィルタ
50bの第1の端子に接続された光ファイバの端子、5
4bは、第2の光フィルタ50bの第2の端子に接続さ
れた光ファイバの端子、55bは、第2の光フィルタ5
0bの第3の端子に接続された光ファイバの端子、56
bは、第2の光フィルタ50bの第4の端子に接続され
た光ファイバの端子を示す。
【0203】第1の光フィルタ50aおよび第2の光フ
ィルタ50bは、光導波路幅を6μm、光導波路間隔を
250μm、コアとクラッドの屈折率差と0.7%とし
た。さらに、第1の光フィルタ50aの直線部分に窓を
もつ金属マスクをシリコン基板51上に置き、光照射し
て第1の位相マスクにより光導波路に第1の位相マスク
のピッチに応じた回折パターンをつくり、所望のグレー
ティング周期を有する第1の光フィルタ50aを作製し
た。つぎに、第2の光フィルタ50bの直線部分に窓を
もつように金属マスクをシリコン基板51上に置き、光
照射して第2の位相マスクにより光導波路に第2の位相
マスクのピッチに応じた回折パターンをつくり、所望の
グレーティング周期を有する第2の光フィルタ50bを
作製した。ついでこれらの光フィルタに光ファイバを接
続した。
【0204】第1の光フィルタ50aと第2の光フィル
タ50bのブラッグ中心波長は、それぞれ、1510.
3nmと1520.1nmである。狭帯域のDFBレー
ザを使用して、これらの波長の光信号を波長多重し、端
子53aから入射すると、第1の光フィルタ50aで
は、中心波長1510.3nm、1.5nmの帯域で反
射して、端子54aからこの波長に対応したレーザ光が
出力された。これ以外の波長の光は、端子56aから出
力された。同様に、端子53bから波長多重された光信
号を入射すると、第2の光フィルタ50bでは、中心波
長1510.3nm、1.5nmの帯域で反射して、端
子54bからこの波長に対応したレーザ光が出力され
た。これ以外の波長の光は、端子56bから出力され
た。つぎに、端子56aと端子53bを接続すると、端
子54aから中心波長1510.3nmの光信号が、端
子54bから中心波長1520.1nmの光信号が出力
し、それ以外の波長光が端子56bから出力した。
【0205】以下、同様に、光フィルタの個数を増やし
て端子を接続すれば、多数の光フィルタの波長に対応し
た波長分岐ができる。
【0206】また、端子55aから中心波長1510.
3nm、帯域1.0nmのDFBレーザ光を入力したと
ころ、端子53aから入射した光信号と合波された光信
号が端子56aから出力される。端子55bから中心波
長1520.1nm、帯域1.0nmのDFBレーザ光
を入力したところ、端子55bから入射した光信号と合
波された光信号が端子56bから出力される。
【0207】なお、本参考例では、第1の光フィルタか
ら分岐した光信号の波長λ1と第2の光フィルタに挿入
した光信号の波長λ1は、同一であるが、第2の光フィ
ルタに第1の光フィルタに入射した光信号の波長と別な
波長の光信号を挿入しても同様の効果がえられた。かか
るばあい、第2の光フィルタのブラック波長は波長λ 1
以外のある波長である。
【0208】本参考例では、各光フィルタ間をファイバ
で接続したが、これを光導波路で接続しても同様の効果
がある。このばあい、ファイバの接続に比べ接続部での
損失が小さくできる。しかし、接続用の光導波路の曲線
の曲率を小さくできないので、寸法はファイバ接続に比
べ同等か少し大きくなる。
【0209】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、石英系
光導波路のコア膜作製において、TiまたはZrを石英
系光導波路に添加することにより、温度依存性の小さい
波長遮断特性に優れたグレーティングおよび該グレーテ
ィングを用いた光フィルタを作製できた。
【0210】また、光導波路表面を研磨することによ
り、グレーティングピッチの製造上の歩留まりを低減で
き、加工性、集積化に適したグレーティング、その製法
および前記グレーティングを用いた光フィルタがえられ
る。
【0211】また、波長多重された光信号から所望の波
長を選択的に取りだせるような光フィルタおよびこれを
用いた波長多重光伝送システムがえられた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光導波路型グレーティングの実施の
形態1における熱膨張係数とTiの添加量の関係を示す
グラフである。
【図2】 本発明の光導波路型グレーティングの実施の
形態1における温度依存性を示すグラフである。
【図3】 本発明の光導波路型グレーティングを製造す
るための成膜装置の一例を示す構成説明図である。
【図4】 本発明の光導波路型グレーティングの製法に
よる光導波路の作製プロセスを示す工程説明図である。
【図5】 本発明の光導波路型グレーティングの実施の
形態2にかかわる下クラッドの熱膨張係数とZr添加量
の関係を示すグラフである。
【図6】 本発明の光導波路型グレーティングの実施の
形態2における温度依存性を示すグラフである。
【図7】 本発明の光導波路型グレーティングの実施の
形態3における温度依存性を示すグラフである。
【図8】 光導波路型グレーティングの参考例における
グレーティング反射波長特性を示すグラフである。
【図9】 光導波路型グレーティングの参考例2を示す
模式図である。
【図10】 光導波路型グレーティングの参考例2にお
ける印加電流とブラッグ中心波長の関係を示すグラフで
ある。
【図11】 本発明の光導波路型グレーティングの実施
の形態4における印加電流とブラッグ中心波長の関係を
示すグラフである。
【図12】 本発明の光導波路型グレーティングの実施
の形態5における光導波路を示す断面説明図である。
【図13】 光導波路型グレーティングの参考例3を示
す模式図である。
【図14】 光フィルタの参考例であるマッハツエンダ
型光導波路を示す模式図である。
【図15】 本発明の波長多重光伝送システムの一実施
の形態である光分岐回路を示す模式図である。
【図16】 波長多重光伝送システムの参考例である光
分岐回路を示す模式図である。
【図17】 波長多重光伝送システムの他の参考例であ
る集積化光フィルタを示す模式図である。
【図18】 従来のファイバ型狭帯域透過フィルタを示
す説明図である。
【図19】 従来の光導波路型光フィルタを示す構成図
である。
【図20】 従来の誘電体多層膜フィルタを示す構成図
である。
【図21】 従来のグレーティングの作製方法を示す断
面説明図である。
【図22】 従来のグレーティングの反射特性を示すグ
ラフである。
【図23】 従来の火炎堆積法による成膜装置を示す模
式図である。
【図24】 従来の石英系光導波路の断面構造を示す説
明図である。
【図25】 従来のWDM技術を用いた光分岐回路を示
す説明図である。
【図26】 従来の光フィルタを示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板、2 キャリアガス導入口、3 反応管、4
排気口、5 原料容器、6流量調節器、7 オゾナイザ
ー、8 酸素ガス導入口、9 下クラッド、10a コ
ア、11 光導波路パターン、12 上クラッド、13
グレーティング、14a ヒータ電極、20a、20
b、20c 光フィルタ、22a、22b、22c 光
導波路型グレーティング、31 光分岐回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹谷 元 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 今田 勝大 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 内川 英興 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 2H047 KA04 KB04 LA19 PA05 QA04 QA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアおよびクラッドからなり、SiO2
    を主成分とし、Ge、B、PおよびSnの各酸化物の少
    なくとも1つの酸化物を含む光導波路に形成される光導
    波路型グレーティングであって、前記コアおよびクラッ
    ドの少なくとも1つに、ZrおよびTiの各酸化物の少
    なくとも1つの酸化物が添加されてなることを特徴とす
    る光導波路型グレーティング。
  2. 【請求項2】 前記光導波路が、SiO2を主成分と
    し、かつ、ZrおよびTiの各酸化物の少なくとも1つ
    の酸化物を含む基板上に設けられてなる請求項1記載の
    光導波路型グレーティング。
  3. 【請求項3】 前記光導波路の表面が平滑にされたの
    ち、前記光導波路型グレーティングが形成され、前記光
    導波路上に該光導波路の温度を制御できる装置が少なく
    とも1つ取り付けられてなる請求項1または2記載の光
    導波路型グレーティング。
  4. 【請求項4】 請求項1において温度制御装置を設けた
    ことを特徴とする光導波路型グレーティング。
  5. 【請求項5】 請求項1または4に記載の光導波路型グ
    レーティングを備えた光フィルタを複数個、カプラを介
    して接続したことを特徴とする波長多重光伝送システ
    ム。
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