JP2002257798A - 中実軸部材の探傷方法及び探傷装置 - Google Patents

中実軸部材の探傷方法及び探傷装置

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JP2002257798A
JP2002257798A JP2001053950A JP2001053950A JP2002257798A JP 2002257798 A JP2002257798 A JP 2002257798A JP 2001053950 A JP2001053950 A JP 2001053950A JP 2001053950 A JP2001053950 A JP 2001053950A JP 2002257798 A JP2002257798 A JP 2002257798A
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Masaki Yamano
正樹 山野
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2291/00Indexing codes associated with group G01N29/00
    • G01N2291/04Wave modes and trajectories
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    • G01N2291/00Indexing codes associated with group G01N29/00
    • G01N2291/26Scanned objects
    • G01N2291/269Various geometry objects
    • G01N2291/2696Wheels, Gears, Bearings

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸端から遠方に超音波ビームを集束させると
共に、軸周面走査時の走査ピッチを小さくすることによ
り、中実軸部材に存在するきずを精度良く検出し得る超
音波探傷方法を提供する。 【解決手段】 中実軸部材の超音波探傷方法であって、
平面上に併設された複数の超音波振動子から構成される
アレイ探触子を前記中実軸部材の端面に接触させるステ
ップと、前記アレイ探触子を構成する超音波振動子のう
ち、2以上の所定数の超音波振動子からなる振動子群
に、予め設定された狙い位置に超音波ビームを送受信で
きるように送受信遅延を与えて探傷するステップと、前
記振動子群を順次切り替えて走査することにより、前記
中軸軸部材の周方向の探傷位置を変化させて、前記狙い
位置での全周検査をするステップとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中実軸部材に存在
するきずを超音波探傷する方法及び装置に関し、特に、
鉄道中実車軸などの軸部材を自動探傷し、外周面に発生
する割れきず及び内在きずを精度良く検出するのに好適
な中実軸部材の超音波探傷方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、JR在来線、0系及び100
系新幹線並びに民間鉄道の車両には、中実車軸が使用さ
れている(200系以降の新幹線では、質量軽減のため
車軸中心部を直径60mm程度でくり抜いた中ぐり車軸
が採用されている)。斯かる車軸は、鉄道車両の安全性
を支える重要な走行装置の一部品であるが、フェイルセ
ーフ構造とはなっていないため、走行中に折損するよう
なことになれば重大な事故に結びつく恐れがある。
【0003】そこで、所定の走行距離毎に必ず超音波探
傷が行われ、安全性を確保している。中実車軸の超音波
検査方法としては、例えば「超音波試験技術−理論と実
際−」(クラウトクレーマー著 日本能率協会)(19
80年2月25日発行)の第326頁〜332頁に記載
されているように、車軸端面又は軸周面に配置した超音
波探触子から車軸内部に超音波を入射し、きずによって
反射した超音波を前記探触子で受信する方法が採用され
ている。
【0004】ここで、軸周面上には車輪、駆動ギア、ブ
レーキディスク等が圧入又は焼きばめで取り付けられて
いる。また、車輪間の軸表面は著しく腐食している場合
が多いため、車軸端面から探傷する方法が有効である。
つまり、焼きばめられた車輪等を車軸から取り外すこと
なく探傷可能であると共に、腐食した軸表面を研磨する
手間が掛からず効率的に探傷することができるためであ
る。
【0005】車軸端面からの探傷は、通常、図8に示す
ような複数(4個)の超音波探触子100からなる探触
子群を、車軸端面の中心に存在するセンターポンチ孔に
センターポンチ200を挿入することにより、車軸端面
に接触させた後、前記探触子群をセンターポンチ200
周りに所定の速度で回転させながら行われている。各探
触子100は、所定の屈折角度(図9に示す例では、1
5度、13度、10度及び4度の4種類)を有してお
り、各探触子100が円周方向に回転することで、4つ
の狙い位置(図9(b)にA〜Dで示す)における全周
検査(円周走査)を実現している。
【0006】ここで、軸周面からの探傷を不要にすると
共に、軸端面からの探傷におけるきず検出能を向上させ
るための方法として、端面探傷に用いる超音波探触子に
よって送受信する超音波ビームを集束させる方法が考え
られる。図10に示すように、伝搬距離が長くても、原
理的には、狙い位置(図中、Bで示す)で超音波ビーム
を絞ることにより、当該位置でのきず検出能は向上する
ことになる。
【0007】しかし、車軸端面(φ90〜110mm程
度)の中心に存在するセンターポンチ孔(図9(a)に
符号300で示す)(φ30〜40mm程度)によっ
て、使用する探触子径が所定の大きさ以下に制限を受け
る(通常φ20〜30mm程度)ため、ビーム集束も十
分には行えないのが実情である。
【0008】また、探触子を円周方向に回転させるため
の機構が必要であった。さらに、端面からの探傷におい
ても所定の狙い位置に超音波ビームが照射できるように
屈折角度を設定する必要があるが、形状や寸法において
数多くのバリエーションを有する車軸を検査するために
は、車軸の形状や寸法に応じた探触子群を準備してお
き、被検査車軸に合わせてそれらを取り替える必要があ
るため、多くの探触子群の準備コストや取り替え手間を
要するという問題があった。
【0009】この問題に関しては、例えば、特開平11
−23540号公報に記載されているように、軸端全周
をカバーできるように複数の探触子セグメントを配列し
た探触子構造体を軸端面に密着させ、探傷を行うセグメ
ントを順次切り替えて円周走査を実現する方法が知られ
ている。斯かる公報に記載の発明は、各セグメントから
送受信される超音波ビームの伝搬方向及び焦点距離を電
子位相制御により調整可能とされておリ、これにより前
述した課題を克服しようとしている。
【0010】しかしながら、前記公報記載の発明は、複
数の探触子セグメントに分割し、各セグメント毎に探傷
を行うことに起因して、以下のような問題が残存してい
る。すなわち、(1)セグメント毎に探傷を行い、電子
的にセグメントを切り替えて円周走査をするため、例え
ば、全周を10分割する(10個のセグメント)のであ
れば、円周走査ピッチが36度となるが如く、円周走査
のピッチが粗くなるという問題がある。また、(2)逆
に走査ピッチを小さくしようとすると各セグメントの寸
法を小さくする必要がある。例えば、10度ピッチに探
傷するためには、36個のセグメントを必要とし、直径
100mm程度の軸端部を36分割すればセグメント1
個あたりの寸法は円周方向に9mm弱程度となる。斯か
る場合、超音波を送受信するセグメント1個あたりの面
積が小さくなるので、超音波ビームが拡散し易くなり、
軸端部から離れた位置に超音波ビームを集束させること
が困難になるという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、斯かる従来
技術の問題点を解決するべくなされたもので、軸端から
遠方に超音波ビームを集束させると共に、軸周面走査時
の走査ピッチを小さくすることにより、中実軸部材に存
在するきずを精度良く検出し得る超音波探傷方法及び探
傷装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、斯かる従来技
術の課題を、平面上に超音波振動子を複数併設したアレ
イ探触子を用い、該アレイ探触子を構成する各振動子の
送受信を適切に制御することで解決しようとするもので
あり、以下の知見に基づき完成されたものである。つま
り、(1)有効探触子幅及び探触子高さを増大させるこ
とにより、中実軸部材(特に車軸)端面から500mm
以遠の距離まで超音波ビームを集束させることを実現
し、端面からのきず検出能を向上させることができる。
また、(2)超音波探傷におけるビーム集束及び屈折角
度の偏向を、アレイ探触子を構成する各超音波振動子に
与える送受信遅延時間によって制御すれば、1つのアレ
イ探触子によって複数類の中実軸部材(車軸)断面を探
傷可能であり、探触子回転機構が不要になると共に、部
材(車軸)に応じて探触子群を取り替える必要のない超
音波探傷方法及び探傷装置を提供することができる。
【0013】より具体的に説明すると、以下のようにな
る。すなわち、軸端面の全周をカバーし得る複数の超音
波振動子から構成されるアレイ探触子(探触子構造体)
を軸端面に接触させ、中実軸部材(車軸)のきずを検出
する際に、(1)アレイ探触子を構成する超音波振動子
のうち、2以上の所定数の超音波振動子からなる振動子
群を形成する。これにより、個々には小さな振動子であ
っても、これらを集めて振動子群とすることで、1振動
子群の有効探触子幅及び探触子高さを大きくし、遠方で
集束させることができる。また、(2)予め設定された
狙い位置(端面からの距離及び角度)に超音波ビームを
送受信できるように、1振動子群を構成する各超音波振
動子に送受信遅延を与え、中実軸部材(車軸)を探傷す
る。さらに、(3)1振動子群を構成する振動子を順次
ずらし、狙い位置での全周検査を行なう。例えば、最初
の検査で超音波振動子#1〜#10までを1振動子群と
して選択すると、次は超音波振動子#2〜#11を1振
動子群を構成する振動子として選ぶ。これにより、周方
向の走査ピッチは、振動子群の寸法で決まるのではな
く、個々の振動子の寸法で決まることになるため、小さ
な走査ピッチを得ることができる。
【0014】本発明は、以上の知見に基づき完成された
ものであり、中実軸部材の超音波探傷方法であって、複
数の超音波振動子から構成されるアレイ探触子を前記中
実軸部材の端面に接触させるステップと、前記アレイ探
触子を構成する超音波振動子のうち、2以上の所定数の
超音波振動子からなる振動子群に、予め設定された狙い
位置に超音波ビームを送受信できるように送受信遅延を
与えて探傷するステップと、前記振動子群を順次切り替
えて走査することにより、前記中軸軸部材の周方向の探
傷位置を変化させて、前記狙い位置での全周検査をする
ステップとを備えることを特徴とする中実軸部材の超音
波探傷方法を提供するものである。
【0015】好ましくは、前記アレイ探触子は、複数の
扇形超音波振動子から構成される円環状アレイ探触子と
される。
【0016】また、本発明は、中実軸部材の超音波探傷
装置であって、複数の超音波振動子から構成されるアレ
イ探触子と、前記超音波振動子に送受信遅延を与える送
受信遅延素子と、予め設定された狙い位置に応じた送受
信遅延時間を前記送受信遅延素子に与える狙い位置制御
器と、前記アレイ探触子を構成する複数の超音波振動子
のうち、超音波の送受信に寄与する2以上の所定数の超
音波振動子からなる振動子群を選択、切り替えすること
により、前記中実軸部材の前記狙い位置での周方向走査
を実現する周方向走査器と、前記選択された各振動子群
を構成する各超音波振動子で得られた受信信号を所定の
受信遅延を施した後に加算する加算器と、前記加算され
た受信信号の強度に基づき前記中実軸部材のきずを評価
するきず評価器とを備えることを特徴とする中実軸部材
の探傷装置を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ、本
発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明に
係る超音波探傷装置の一実施形態を示す概略構成図であ
る。図1に示すように、本実施形態に係る超音波探傷装
置1は、アレイ探触子10と、送信用遅延素子群20
と、受信用遅延素子群30と、狙い位置制御器40と、
円周走査制御器50と、加算器60と、きず評価器70
と、パルサー群80と、レシーバー群90とを備えてい
る。
【0018】本実施形態のアレイ探触子10は、内径3
0mm、外径90mmの円環状に複数の扇形超音波振動
子100(本実施形態では#1〜#32の32個)が並
設されて構成されている。送信用遅延素子群20は、パ
ルサー群80を介して接続された各超音波振動子100
に送信遅延を与え、受信用遅延素子群30は、各超音波
振動子100に接続されたレシーバー群90へ入力され
た受信信号に受信遅延を与えるものである。狙い位置制
御器40は、予め設定された狙い位置に応じた送受信遅
延時間をそれぞれ送信用遅延素子群20及び受信用遅延
素子群30に与える。円周走査制御器50は、アレイ探
触子10を構成する複数の超音波振動子100のうち、
超音波の送受信に寄与する2以上の所定数の超音波振動
子100からなる振動子群を選択、切り替えすることに
より、中実軸部材の前記狙い位置での円周方向走査を実
現するものである。加算器60は、前記選択された各振
動子群を構成する各超音波振動子100で得られた受信
信号を所定の受信遅延を施した後に加算する。きず評価
器70は、前記加算された受信信号の強度に基づき中実
軸部材のきずを評価するものである。
【0019】以下、図2に示すフローチャート、並びに
図6及び図7を適宜参照しつつ、前記構成を有する超音
波探傷装置1における処理フローについて説明する。
【0020】超音波探傷装置1の使用に際しては、まず
アレイ探触子10を被探傷車軸の端面に接触させる(図
2のS1及びS2)。
【0021】次に、1つの振動子群(グループ)を構成
する振動子100の数を設定する(図2のS3)。ここ
では、例えば、図6に示すように、32個の振動子10
0(#1〜#32)のうち、11個の振動子100が1
グループとされ、斯かる1つのグループを構成する振動
子100を用いて1回の探傷が行われる。これにより、
各振動子100の面積は小さくても、つまり、周方向の
走査ピッチが細かくても、1回の探傷に使用する振動子
群の面積は大きくできることになる。
【0022】次に、狙い位置制御器40により、探傷す
るべき軸方向の位置を決定し(例えば、端面から軸方向
に距離Aの位置)、1グループを構成する振動子100
のそれぞれに、前記決定した軸方向位置と各振動子10
0のグループ内での配置位置とに対応する送受信遅延時
間を設定する(図2のS4)。
【0023】次に、円周走査制御器50により、送受信
に最初に寄与する振動子群(第1グループ)を選択し
(図2のS5)、斯かる第1グループを構成する各振動
子100に前記設定した送受信遅延を与えて、所定位置
(軸方向距離A、周方向角度X)の探傷を行い(図2の
S6)、その位置におけるきずの有無を判定する(図2
のS7)。本実施形態では、図7に示すように、#1〜
#11の振動子を第1グループとし、これにより最初の
探傷が行われることになる。
【0024】ここで、図2のS6における超音波ビーム
の送信の際には、前記選択した振動子群を構成する各振
動子100に対して、送信用遅延素子群20によって所
定の遅延時間が与えられ、その後、パルサー群80によ
り送信電圧が印加されることにより、車軸内部に超音波
ビームが送信される。このように、選択した振動子群を
構成する各振動子100に与える遅延時間設定を調整す
ることにより、任意の位置に超音波ビームを集束させる
ことが可能である。
【0025】一方、図2のS6におけるきずエコー等の
受信の際には、前記選択した振動子群を構成する各振動
子100に受信された信号が、レシーバー群90に入力
された後、受信用遅延素子群30(例えば、各受信用遅
延素子としてアナログ遅延線を使用することができる)
において送信側と同様の遅延時間がそれぞれ与えられ、
加算器60において加算される。
【0026】図2のS7においては、加算器60におい
て加算された受信信号が、増幅器による所定の増幅後
に、きず評価器70で予め決められたしきい値と比較さ
れ、きずの有無が評価される。
【0027】以上のようにして、所定位置(軸方向距離
A、周方向角度X)での探傷が完了する。
【0028】次に、当該軸方向距離Aにおける探傷が全
周分完了したか否かを判定する(図2のS8)。ここで
は、まだ全周分完了していないので、次に図7に示す#
2〜#12の振動子を第2グループとし(S5)、斯か
る第2グループを構成する各振動子に、前記設定した送
受信遅延を与え、周方向に約11度(=360÷32)
ずれた位置(軸方向距離A、周方向角度X+11度)の
探傷を行い(図2のS6)、きずの有無を判定する(図
2のS7)。
【0029】同様にして、当該軸方向距離Aにおける探
傷が全周分完了したか否かを判定し(図2のS8)、ま
だ完了していないので、図7に示す#3〜#13の振動
子を第3グループとして、斯かる第3グループを構成す
る各振動子に、前記設定した送受信遅延を与え、周方向
に更に約11度ずれた位置(軸方向距離A、周方向角度
X+22度)の探傷を行い(図2のS6)、きずの有無
を判定する(図2のS7)。同様にして、順次全周分
(すなわち32回)を繰り返す(図2のS5〜S8)。
これにより、軸方向距離Aについての全周の探傷が完了
する。
【0030】以上のようにして、超音波ビーム形成に寄
与する選択する振動子群(11個の振動子からなるグル
ープ)を所定間隔で順次切り替え走査することにより、
超音波ビームを円周方向へ回転走査することが可能とな
り、アレイ探触子10を固定したままで車軸全周の探傷
が可能になる。
【0031】次に、探傷するべき狙い位置(軸方向位
置)の全てにおいて探傷が完了したか否かを判定する
(図2のS9)。探傷するべき軸方向位置が複数ある場
合、まだ完了していないので、次に探傷するべき軸方向
の位置を決定し(例えば、端面からの軸方向距離B)、
1グループを構成する振動子100のそれぞれに、前記
決定した軸方向位置と各振動子100のグループ内での
配置位置とに対応する送受信遅延時間を設定し直す(図
2のS4)。以降、軸方向距離Bの位置について全周分
の探傷が完了するまで、前述したのと同様の動作が繰り
返され(図2のS5〜S8)、さらに、探傷するべき軸
方向位置での全ての探傷が完了するまで繰り返された後
(図2のS4〜S9)、完了すれば、測定結果を出力し
て(図2のS10)、動作は終了する。
【0032】なお、本実施形態では、探傷するべき軸方
向位置が変わっても、1グループを構成する振動子10
0の数を同数としたが、軸方向の距離に応じて1グルー
プを構成する振動子100の数を変更しても良い。すな
わち、図2に示すフローチャートにおいて、S9の判定
で「NO」の場合、S4ではなく、S3に戻すような処
理を行うことも可能である。斯かる場合、軸方向の距離
が大きくなる程、1つのグループを構成する振動子10
0の数を多くして、超音波ビームの送受信に寄与する領
域の面積が大きくなるようにすれば、ビームを集束させ
易くなる点で好ましい。
【0033】また、同じ構造の車軸を複数本探傷するな
ど、1グループを構成する振動子100の数をその都度
変更する必要がない場合には、図2に示すフローチャー
トにおけるS1の前に予め振動子数を設定しておき、S
2の次にS3の処理を行わずにS4を行うような処理フ
ローとすれば、設定の手間が軽減し、使い勝手の良い探
傷装置とすることができる。
【0034】なお、アレイ探触子10を構成する超音波
振動子100の全数及び1グループの振動子数は、被探
傷材に求められるきず検出の精度等に応じて適宜定める
ことが可能である。例えば、振動子100の全数を多く
すれば、周方向の走査ピッチを細かくできるので、きず
検出精度は向上すると考えられる。しかしながら、振動
子100の全数に応じて、必要となるパルサー、レシー
バー、遅延素子の数も増えるため、装置構成が複雑とな
り、コストも掛かることになる。従って、予め実験を行
い、十分な検出精度が得られ且つ過剰にならない程度の
数とすることが肝要である。特に、鉄道車軸のきずを検
出する場合であって、本実施形態のような複数の扇形状
の振動子100で円環状のアレイ探触子10を構成する
場合、振動子100の全数は、25〜50程度であれ
ば、十分な検出精度での探傷を期待することができる。
【0035】また、振動子100の全数が同一の場合、
1グループを構成する振動子数が多いほど、超音波の送
受信に寄与する振動子群の面積(有効面積)は大きくな
る。振動子100と探傷位置との軸方向距離に応じて、
適切な振動子数、すなわち適切な有効面積は異なること
が予想されるため、予め実験等により適切な振動子数を
算出しておくことが肝要である。
【0036】以上に説明したように、本実施形態に係る
超音波探傷装置1は、選択する振動子群を順次電子的に
切り替えることで円周方向への回転走査を実現する装置
構成であるため、従来必要であった探触子ヘッド部の回
転機構が不要となり、装置全体が簡素化されると共に、
可動部の入念なメンテナンスが不必要である。また、同
一のアレイ探触子によって、任意の軸方向距離における
探傷が可能なため、形状や寸法においてバリエーション
の豊富な車軸においても、車軸に応じた探触子群を準備
する必要がない。さらに、車軸端面から遠方の地点であ
っても十分な精度でのきず検出能を確保できるという効
果を有する。
【0037】なお、本実施形態のアレイ探触子10は、
円環状に振動子10が並設されたものとしており、配置
・構成の簡易性や制御の容易性の観点からは好ましい
が、本発明はこれに限るものではなく、例えば、図5に
示すように、格子状に微小長方形振動子101を併設し
たアレイ探触子としても良い。つまり、所定の遅延時間
を与えることで予め決められた狙い位置に超音波ビーム
を送信し、受信することができるアレイ探触子であっ
て、選択する振動子群を順次切り替えることにより探傷
位置の周方向走査が可能な探触子であれば、任意の形状
・配置のものを使用することが可能である。
【0038】
【実施例】以下、実施例を説明することにより、本発明
の効果をより一層明らかにする。図3に、本実施例にお
けるアレイ探触子を用いて超音波ビームを集束させた際
のビームプロファイルを測定した結果を示す。なお、本
実施例では、前述した実施形態と同様のアレイ探触子を
使用したが、1グループを16個の振動子で構成するこ
とにした。また、比較例として、従来より通常用いられ
ている5MHz、φ20mm探触子(集束なし)のビー
ムプロファイルを併記した。
【0039】図3に示すように、本実施例のアレイ探触
子でも、端面からの距離500mm以遠の位置に超音波
ビームを集束させることは困難であることが判明した。
しかしながら、従来の探触子に比較すれば、端面から5
00mm以遠においても、ビーム径を1/3程度に縮小
できていることが分かる。これは、図1に示す32個の
振動子群からなる円環状アレイ探触子を用いて、16個
の振動子を1つのグループとすることにより、超音波ビ
ームの送受信に寄与する領域の大きさを拡大できたため
であると考えられる。すなわち、見掛け上、φ60〜8
0mm程度の大きさを有する通常探触子と同等のビーム
集束能力を有することになったためである。
【0040】また、図4に、本実施例のアレイ探触子及
び比較例の探触子を用いて、深さ1mm(長さ20m
m)のノッチ状人工きずを探傷した際の探傷信号SN比
を示す。本実施例のアレイ探触子によれば、端面からの
距離500mm、700mm及び1000mmの位置で
のきず信号のSN比が、比較例に比べて、飛躍的に増大
していることが分かる。なお、SN比が3程度以上であ
れば、十分な精度できずの検出が可能であり、本発明に
よれば、端面から1000mm離れた位置のきずも十分
な精度で検出可能であるといえる。
【0041】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係る中
実軸部材の探傷方法及び探傷装置によれば、中実軸部材
の端面に接触させたアレイ探触子を用いて、予め定めら
れた狙い位置に超音波ビームを集束させながらきず検出
を行うと共に、選択する振動子群を順次切り替えること
で円周走査を実現することができる。このため、唯一の
アレイ探触子を用いて中実軸部材の全断面のきず検査を
精度良く行うことが可能であるという優れた効果を奏す
るものである。従って、特に、鉄道中実車軸などの軸部
材を自動探傷し、外周面に発生する割れきず及び内在き
ずを精度良く検出するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る超音波探傷装置の一実
施形態を示す概略構成図である。
【図2】 図2は、本発明に係る超音波探傷装置におけ
る処理フローを示すフローチャートである。
【図3】 図3は、本発明の一実施例に係るアレイ探触
子を用いて超音波ビームを集束させた際のビームプロフ
ァイルを測定した結果を示す。
【図4】 図4は、本発明の一実施例に係るアレイ探触
子を用いて、深さ1mm(長さ20mm)のノッチ状人
工きずを探傷した際の探傷信号SN比を示す。
【図5】 図5は、本発明の他の実施形態に係るアレイ
探触子を示す概略構成図である。
【図6】 図6は、本発明に係るアレイ探触子における
振動子群の選択例を示す説明図である。
【図7】 図7は、本発明に係るアレイ探触子における
振動子群の切り替え例を示す説明図である。
【図8】 図8は、従来の探触子を概略的に示す斜視図
である。
【図9】 図9は、従来の車軸端面からの探傷方法を示
す説明図であり、(a)は車軸の軸方向位置について、
(b)は円周走査についての説明図である。
【図10】 図10は、きず検出能を向上させるための
方法として超音波ビームの集束を説明する説明図であ
る。
【符号の説明】
1 ・・・超音波探傷装置 10 ・・・アレイ探触子 20 ・・・送信用遅延素子群 30 ・・・受信用遅延素子群 40 ・・・狙い位置制御器 50 ・・・円周走査制御器 60 ・・・加算器 70 ・・・きず評価器 80 ・・・パルサー群 90 ・・・レシーバー群 100・・・超音波振動子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中実軸部材の超音波探傷方法であって、 複数の超音波振動子から構成されるアレイ探触子を前記
    中実軸部材の端面に接触させるステップと、 前記アレイ探触子を構成する超音波振動子のうち、2以
    上の所定数の超音波振動子からなる振動子群に、予め設
    定された狙い位置に超音波ビームを送受信できるように
    送受信遅延を与えて探傷するステップと、 前記振動子群を順次切り替えて走査することにより、前
    記中軸軸部材の周方向の探傷位置を変化させて、前記狙
    い位置での全周検査をするステップとを備えることを特
    徴とする中実軸部材の超音波探傷方法。
  2. 【請求項2】 前記アレイ探触子は、複数の扇形超音波
    振動子から構成される円環状アレイ探触子であることを
    特徴とする請求項1に記載の中実軸部材の超音波探傷方
    法。
  3. 【請求項3】 中実軸部材の超音波探傷装置であって、 複数の超音波振動子から構成されるアレイ探触子と、 前記超音波振動子に送受信遅延を与える送受信遅延素子
    と、 予め設定された狙い位置に応じた送受信遅延時間を前記
    送受信遅延素子に与える狙い位置制御器と、 前記アレイ探触子を構成する複数の超音波振動子のう
    ち、超音波の送受信に寄与する2以上の所定数の超音波
    振動子からなる振動子群を選択、切り替えすることによ
    り、前記中実軸部材の前記狙い位置での周方向走査を実
    現する周方向走査器と、 前記選択された各振動子群を構成する各超音波振動子で
    得られた受信信号を所定の受信遅延を施した後に加算す
    る加算器とを備えることを特徴とする中実軸部材の探傷
    装置。
  4. 【請求項4】前記加算された受信信号の強度に基づき前
    記中実軸部材のきずを評価するきず評価器を更に備える
    ことを特徴とする請求項3に記載の中実軸部材の探傷装
    置。
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