JP2002254670A - キャリッジ、およびインクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクカートリッジが誤装着されにくく、か
つ複雑な装着操作や構造も必要としないインクジェット
記録装置のキャリッジを提供すること。 【解決手段】 キャリッジ１１のカートリッジホルダ１
３は回動して開閉する蓋部１５ａを備え、インクカート
リッジを装着時には、まず前記蓋部１５ａを開放した状
態で蓋部１５ａの基部に設けた係合部１９にインクカー
トリッジを係止させて初期装着位置にインクカートリッ
ジを装着し、次いで蓋部１５ａを閉じることによって本
装着位置に移行させてインクカートリッジを装着する機
構を備え、インクカートリッジが係合部１９に係止され
ない非正常な初期装着がされたときは、本装着状態への
移行を阻止する誤装着防止手段としてリブ５１を備えて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インクカートリッ
ジを着脱可能に搭載したキャリッジ、および該キャリジ
を備えたインクジェット記録装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録装置におけるインク
供給機構として、インクを充填したインクカートリッジ
をキャリッジに装着して、このインクカートリッジから
記録ヘッドへインクを供給する方式が実用化されてい
る。このカートリッジ方式のインク供給機構では、イン
クの交換や補充はインクカートリッジごとキャリッジに
装着し、あるいは取り外すことにより行われる。印刷時
にはキャリッジをキャリッジガイド軸に沿って主操作方
向に高速で往復移動させるため、キャリッジ内に搭載す
るインクカートリッジはカートリッジホルダ内に正常な
状態でしっかりと固定しておく必要がある。

【０００３】しかし、インクカートリッジの交換時に、
インクカートリッジがキャリッジのカートリッジホルダ
に正常な状態で装着されない場合には、インクの供給が
正常に行われず、印刷に支障をきたしたり、カートリッ
ジホルダを始めとする周辺構造に負荷を与え、最悪の場
合には破損させるなどの事故を招くおそれがある。した
がって、キャリッジのカートリッジホルダは、インクカ
ートリッジの誤装着が起こり難い構造であることが望ま
しいが、その一方でインクカートリッジの交換を行うの
は一般ユーザーであるため、何人にも容易に装填できる
構造にする必要があり、両方の要請を同時に満足するこ
とは必ずしも容易ではない。つまり、インクカートリッ
ジの誤装着防止に重点をおくと、例えば、インクカート
リッジをカートリッジホルダに高い精度で嵌め込むなど
構造的な厳密さが必要となったり、煩雑な装着操作を伴
ったりすることになるため、一般ユーザーには甚だ不便
なものとなる。逆に、ユーザーの利便性を優先すると、
比較的単純な構造で、かつ簡易な操作でインクカートリ
ッジを装填できるようにしなければならないため、誤装
着を起こす余地が生じてしまう。

【０００４】このため、現在では図７から図９に断面構
造を示すようなキャリッジ１１１が考案されている。こ
のキャリッジ１１１のインクカートリッジ格納部は、蓋
部１５ａを有するカートリッジホルダ１３によって形成
されている。蓋部１５ａは、支点２７により回動して開
閉動作を行い、蓋部１５ａの根元（基部）には、インク
カートリッジ６１ａの装着、取り外しの際にインクカー
トリッジ６１ａと係合する係合部としてのフック１９が
設けられている。このフック１９は、インクカートリッ
ジ６１ａを装着する際に正常な初期装着位置を規定する
位置決め機能を担う役割も兼ねている。カートリッジホ
ルダ１３は、カラーインクカートリッジ格納部と黒色イ
ンクカートリッジ格納部とに二分割されており、それぞ
れに大きさの異なるインクカートリッジが格納できるよ
うになっている。図１２は、キャリッジ１１１に使用で
きるインクカートリッジ６１ａを示す図面であり、図１
２（ａ）はカラーインクカートリッジ６１ａを、同
（ｂ）は黒色インクカートリッジ６１ｂを、それぞれ示
している。カラーインクカートリッジ６１ａには、掛止
部６３が正面の壁面上部に一対設けられており、また黒
色インクカートリッジ６１ｂには、正面の壁面上部に一
つの掛止部６５が横方向に幅広に形成されている。この
掛止部６３、６５は、いずれもキャリッジ１１１のフッ
ク部１９と係合できる構造になっている。

【０００５】図７は、正常な装着動作におけるカラーイ
ンクカートリッジ６１ａの初期装着状態を示す図面であ
り、蓋部１５ａは開放状態にあり、フック１９は上を向
いた状態で固定されている。フック１９と対向する位置
にあるカートリッジホルダ１３の壁は、底面から垂直に
立ち上がる垂直部３３と、その上に拡開するように傾斜
を持って形成された斜面部３５により構成されており、
インクカートリッジ６１が正常に初期装着された場合に
は、斜面部３５が掛止部６３とは反対側のインクカート
リッジ６１ａ背面の外壁面と当接して支持するように位
置決めされる。

【０００６】図７に示す正常な初期装着位置から、蓋部
１５ａを閉じていくと、蓋部１５ａの回動に伴ってフッ
ク１９も回動していく。フック１９の変位に同調して、
フック１９と係合している掛止部６３は下降していき、
掛止部６３とは反対側のインクカートリッジ６１の壁面
付近を中心にインクカートリッジ６１全体が回動しつ
つ、下降してカートリッジホルダ１３内に挿入されてい
く（図８）。この動作に伴い、カートリッジホルダ１３
の底部に突出して設けられたインク供給針３９が自動的
にインクカートリッジ６１ａの嵌合部６７に挿入されて
いく。

【０００７】蓋部１５ａが約９０度回動して閉じた状態
で、インクカートリッジ６１ａは図９に示すように本装
着位置に移行して装着が完了する。本装着状態では、蓋
部１５ａ頭部の弾性変形部２３の突起２１が、カートリ
ッジホルダ１３に設けられた鉤部３７に係合して蓋部１
５ａを閉状態に固定するとともに、蓋部１５ａの裏側に
設けられた板バネ２５がカートリッジホルダ１３内のイ
ンクカートリッジ６１ａを下方に押しつけ、装着を完全
なものとする。このとき、フック１９は横を向いた状態
となっており、インクカートリッジ６１との係合は解消
されている。

【０００８】インクカートリッジ６１ａをカートリッジ
ホルダ１３から取り出す場合には、蓋部１５ａを開ける
ことによって、フック１９がインクカートリッジ６１ａ
の掛止部６３と係合し、装着時とは逆の順序で、本装着
位置からインクカートリッジ６１ａを回動させながら持
ち上げ（図８）、蓋部１５ａが完全に開いた状態で初期
装着位置に戻る（図７）。

【０００９】このように、フック１９により初期装着位
置が規定され、初期装着が正常に行われれば、蓋部１５
ａを閉じる操作だけで自動的に本装着状態へ移行するよ
うに設計されているため、インクカートリッジ装着操作
の簡便性と装着位置の正確性との両立が図られている。

【００１０】ところが、初期装着が正常に行われず、例
えば図１０のように誤った位置に初期装着された場合で
も、インクカートリッジ６１ａの外寸法よりもカートリ
ッジホルダ１３の寸法に若干の余裕が設けられているた
め、インクカートリッジ６１をカートリッジホルダ１３
内に強引に挿入することが可能な場合があり、そのまま
挿入されて本装着状態に移行してしまうことがある（図
１１）。この状態で、ユーザーが蓋部１５を閉めようと
すると、フック１９、支点２７や、インク供給針３９な
どが負荷を受けて破損するなどの問題が残っていた。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、イン
クカートリッジが誤装着されにくく、かつ複雑な装着操
作や構造も必要としないインクジェット記録装置のキャ
リッジを提供することである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項１に記載のインクジェット記録装置のキャリ
ッジの発明は、キャリッジ内のカートリッジホルダに装
着されたインクカートリッジから記録ヘッドへインクを
供給する方式のインクジェット記録装置のキャリッジで
あって、前記カートリッジホルダは回動して開閉する前
記蓋部を備え、インクカートリッジを装着する際には、
まず、前記蓋部を開放した状態で該蓋部の基部に設けた
係合部にインクカートリッジの掛止部を係止させて初期
装着位置にインクカートリッジを装着し、次いで、前記
蓋部を閉じることによって本装着位置に移行させてイン
クカートリッジを装着するとともに、インクカートリッ
ジを取り出す時には、前記蓋部を開けることによって前
記係合部がインクカートリッジの掛止部と係合し、自動
的に本装着位置より持ち上げて初期装着位置に移行させ
る装脱着機構を備え、インクカートリッジの掛止部が前
記係合部に係止されない非正常な位置に初期装着された
ときは、その後の本装着状態への移行を阻止する誤装着
防止手段を備えたことを特徴とする。このインクジェッ
ト記録装置のキャリッジの発明によれば、キャリッジの
蓋部の係合部にインクカートリッジの掛止部を係止させ
るだけの単純な操作で初期装着位置にセットすると、あ
とは蓋部の開閉動作によって自動的に正常な本装着が行
われる機構であるために、インクカートリッジの確実な
装着が可能であり、装脱着操作も非常に単純であるた
め、本来的にインクカートリッジ装着時のトラブルが発
生しにくいことに加えて、万一、誤った初期装着位置に
装着された場合でも、その後の本装着状態への移行を阻
止する誤装着防止手段を備えているため、カートリッジ
ホルダへのインクカートリッジの誤装着が、より確実に
防止される。これによって、カートリッジホルダの破損
や印刷不良など、誤装着により生じるトラブルの発生を
未然に防ぐことが可能になる。

【００１３】請求項２に記載のインクジェット記録装置
のキャリッジの発明は、前記カートリッジホルダは、前
記係合部と対向する壁面に上部が拡開した形状の斜面部
を有し、初期装着位置においてインクカートリッジは前
記係合部と前記斜面部とにより位置決めされ、前記蓋部
を開閉させることによって、前記斜面部側を支点にイン
クカートリッジを回動させ、かつ上下方向に変位させて
初期装着位置と本装着位置との切り換えを行うものであ
ることを特徴とする。この特徴によれば、係合部と対向
する壁面に設けられた拡開した斜面部を利用して位置決
めを行うとともに、斜面部側を支点にしてインクカート
リッジを回動かつ上下に変位させて初期装着位置と本装
着位置との切り換えを行う機構であるため、複雑な機械
構造を必要とせずにインクカートリッジの正確な装着、
取り外しを行うことができる。

【００１４】請求項３に記載のインクジェット記録装置
のキャリッジの発明は、請求項２において、誤装着防止
手段が、インクカートリッジの掛止部が前記係合部に係
止されない非正常な初期装着状態において、前記インキ
カートリッジと当接して前記カートリッジホルダ内への
挿入を妨げるように形成された突起部であることを特徴
とする。この特徴によれば、誤装着防止手段を、非正常
な初期装着状態においてインキカートリッジと当接して
カートリッジホルダ内への挿入を妨げる突起部としたた
め、構造簡単にして確実に誤装着の防止が図られる。

【００１５】請求項４に記載のインクジェット記録装置
のキャリッジの発明は、請求項３において、前記突起部
は、インクカートリッジの掛止部が前記係合部の下方に
位置する非正常な初期装着状態においてインクカートリ
ッジの前面と向き合う位置に、インクカートリッジを水
平方向に回動させても前記カートリッジホルダ内へ挿入
できないように、かつ正常な初期装着位置から本装着位
置へのインクカートリッジの移行は妨げないように形成
されたことを特徴とする。この特徴によれば、突起部
は、インクカートリッジの掛止部が前記係合部の下方に
位置する非正常な初期装着状態において、インクカート
リッジを水平方向に回動させても前記カートリッジホル
ダ内へ挿入できないように、すなわち、例えば所定の間
隔で複数のリブを並列に配備したり、リブに一定の幅を
持たせたり等して設けたため、インクカートリッジを水
平に左右に回動しても押し込むことができなくなり、誤
装着が確実に防止される。また、突起部は、インクカー
トリッジの掛止部が係合部の下方に位置する非正常な初
期装着状態においてインクカートリッジの前面と向き合
う位置に設けられているが、正常な初期装着状態から本
装着への移行は妨げないように、例えばリブの高さを調
整して設けているので、正常な装着、脱着操作に影響を
与えることはない。

【００１６】また、請求項５に記載のインクジェット記
録装置のキャリッジの発明は、請求項３において、前記
突起部は、正常な初期装着位置から本装着位置へのイン
クカートリッジの移行を妨げないように、前記カートリ
ッジホルダの斜面部の幅方向の一部に集中して設けられ
たことを特徴とする。この特徴によれば、突起部は、正
常な初期装着位置から本装着位置へのインクカートリッ
ジの移行を妨げないように、前記カートリッジホルダの
斜面部の幅方向の一部に集中して（例えば幅の狭いリブ
を斜面部の中央に形成する等）して設けたので、正常な
初期装着位置からの前記カートリッジホルダの斜面部を
利用した本装着位置への移行においては突起部による負
荷は小さなものとなるので、インクカートリッジの正常
な装脱着動作は妨げない。

【００１７】また、請求項６に記載のインクジェット記
録装置のキャリッジの発明は、請求項３において、前記
突起部は、正常な初期装着位置から本装着位置へのイン
クカートリッジの移行に際し、インクカートリッジの回
動支点を上方に変位させるように、カートリッジホルダ
の斜面部の幅方向の一部に集中して設けられたことを特
徴とする。この特徴によれば、前記突起部は、正常な初
期装着位置から本装着位置へのインクカートリッジの移
行に際し、インクカートリッジの回動支点を上方に変位
させるように設けられているので、正常な初期装着位置
からのカートリッジホルダの斜面部を利用した本装着位
置への移行においては突起部による負荷は小さなものと
なるので、インクカートリッジの正常な装脱着動作は妨
げない。

【００１８】請求項７に記載のインクジェット記録装置
の発明は、請求項１から６のいずれか１項に記載のキャ
リッジを備えたことを特徴とする。この特徴によれば、
インクジェット記録装置において、上記請求項１から６
のいずれかと同様の作用効果が期待できる。

【００１９】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の一実施形態を示
すものであり、キャリッジ１１を装備したインクジェッ
トプリンタ１０１の概略を示す図面である。キャリッジ
１１は、駆動モータに接続されたタイミングベルト９１
により、キャリッジガイド軸９３に沿って主走査方向に
往復移動しながら、記録ヘッド１７より記録媒体Ｐへイ
ンクを吐出して画像形成を行う。キャリッジ１１に設け
られ、インクカートリッジを装着するカートリッジホル
ダ１３は、大きさの異なるカラーインクカートリッジ格
納部と黒色インクカートリッジ格納部とに二分割されて
いる。

【００２０】図２および図３は、本発明キャリッジ１１
の構造を示す斜視図である。また、図４は、キャリッジ
１１のカラーインクカートリッジ格納部側におけるカー
トリッジホルダ１３の断面構造を説明する図面であり、
図５は、黒色インクカートリッジ格納部側におけるカー
トリッジホルダ１３の断面構造を説明する図面である。

【００２１】このキャリッジ１１のインクカートリッジ
格納部は、蓋部１５ａ、１５ｂを有するカートリッジホ
ルダ１３によって形成され、蓋部１５ａ、１５ｂは、支
点２７において回動して開閉動作を行う。蓋部１５ａの
根元（基部）には、カラーインクカートリッジ６１ａの
装着、取り外しの際にカラーインクカートリッジ６１ａ
の掛止部６３と係合するフック１９が、該掛止部６３に
対応する幅で２個設けられている。同様に、蓋部１５ｂ
の根元（基部）には、黒色インクカートリッジ６１ｂの
装着、取り外しの際に黒色インクカートリッジ６１ｂと
係合するフック１９が、所定の幅で２個設けられてい
る。

【００２２】蓋部の１５ａ、１５ｂの裏側には、板ばね
２５が配備され、蓋部１５ａ、１５ｂが閉じた状態にお
いてインクカートリッジ６１ａ、６１ｂを押圧してカー
トリッジホルダ１３内にしっかりと固定する役割を果た
している。

【００２３】蓋部１５ａ、１５ｂに対向する側のカート
リッジホルダ１３の壁は、底面から垂直に立ち上がる垂
直部３３と、その上に拡開するように傾斜を持って形成
された斜面部３５により構成されている。垂直部３３
は、本装着時に余分な間隙なくインクカートリッジ６１
を保持できるように、インクカートリッジ６１の外寸法
に近い内部空間を規定する。一方、斜面部３５は拡開し
た傾斜面により、インクカートリッジ６１の初期装着位
置において、インクカートリッジ６１の背面（掛止部６
３が設けられてある前面とは反対側）の壁面を支持し、
初期装着位置を規定する。

【００２４】本実施形態では、誤装着防止手段として、
カラーインクカートリッジ格納部側には、図示しないヘ
ッドケーブルを覆うヘッドケーブルカバー３１の略上半
分をなす傾斜面３２にリブ５１を２個設けている。ここ
では、２個のリブ５１は合成樹脂等の材質によりヘッド
ケーブルカバー３１と一体加工され、後述するように、
非正常な初期装着状態において、カラーインクカートリ
ッジ６１ａを水平方向左右に回動させてもカートリッジ
ホルダ１３内へ挿入できないように所定の間隔で設けら
れており、また、リブ５１の高さは正常な装脱着操作に
影響を与えない高さに設定されている。

【００２５】また、黒色インクカートリッジ格納部側に
は、誤装着防止手段として、カートリッジホルダ１３の
斜面部３５に、斜面部３５よりもカートリッジホルダ１
３内に突出し、かつ垂直部３３の延長線（図５中、破線
で示す）よりも突出しない高さのリブ５３を１つ設けて
いる。ここでは、リブ５３は合成樹脂等の材質によりカ
ートリッジホルダ１３と一体加工され、黒色インクカー
トリッジ格納部の幅方法の一部に集中して幅狭（例え
ば、幅１．５ｍｍ程度）に設けられている。このよう
に、リブ５３の高さと幅を規定することによって、後述
するように正常な初期装着位置からのカートリッジホル
ダ１３の斜面部３５を利用した本装着位置への移行動
作、あるいは、本装着位置からの初期装着位置への移行
動作において、リブ５３による負荷は小さなものとなる
ので、インクカートリッジ６１ｂの正常な装脱着動作が
妨げられることがない。

【００２６】次に、本発明における誤装着防止手段の作
用について説明する。まず、カラーインクカートリッジ
格納部側のヘッドケーブルカバー３１に設けた二つのリ
ブ５１、５１は、図１０に示すような状態で初期装着さ
れようとした場合に、カラーインクカートリッジ６１ａ
の二つの掛止部６３、６３間の外壁面に当接するように
配置されており、このリブ５１、５１が妨げとなって誤
った初期装着位置からの本装着状態への移行を防止す
る。すなわち、リブ５１、５１がない状態では、斜面部
３５の拡開を利用してカラーインクカートリッジ６１ａ
の後側角部（掛止部６３、６３とは対角位置にある角
部）をカートリッジホルダ１３内に押し込むことが可能
であったが、リブ５１、５１を設けたことにより、イン
クカートリッジ６１ａの後側の角部の挿入を阻止し、誤
装着を防止する。

【００２７】また、本実施形態では、カラーインクカー
トリッジ６１ａは、黒色インクカートリッジ６１ｂに比
べて幅広に形成されている。リブ５１が一つ、あるい
は、リブ５１間の幅が狭い場合には、インクカートリッ
ジ６１を水平方向左右に回動させることによって、図１
０のような非正常な初期装着状態からでも誤装着するこ
とが可能になるので、リブ５１、５１の間隔は、インク
カートリッジ６１を傾けても誤装着できない程度に設定
することが必要である。同様の作用効果は、リブ５１が
一つの場合には、その幅を広く形成することによっても
達成される。なお、リブ５１、５１の高さは、正常な初
期装着位置から本装着位置に移行する過程ではインクカ
ートリッジ６１ａと接触しないように設けられているた
め、正常な装脱着動作の障害にはならない。

【００２８】黒色インクカートリッジ格納部側のカート
リッジホルダ１３の斜面部３５に設けたリブ５３は、図
１０に示すような状態で初期装着されようとした場合
に、インクカートリッジ６１ｂの後側角部（掛止部６５
とは対角位置にある角部）と当接して、その挿入を直接
阻止することにより誤装着を防止する。一方、正常な初
期装着状態から装着が行われる場合には、斜面部３５に
設けたリブ５３によってインクカートリッジ６１ｂの回
動支点が上方に移動する結果、蓋部１５ｂを少し傾斜さ
せた段階でインクカートリッジ６１ｂの背面が垂直部３
３と平行な角度になり、そのまま下方へ挿入することが
可能となる。また、取り外す際には、蓋部１５ｂを少し
開けた段階で、カートリッジホルダ１３内のインクカー
トリッジ６１が平行に浮き上がり、次いでリブ５３付近
を支点にして回動し、初期装着状態に戻る。すなわち、
前記したようにリブ５３は幅狭く斜面部３５の幅方向に
集中して形成されているため、黒色インクカートリッジ
６１ｂはリブ５３と摺動しつつ上下に平行移動すること
が可能になり、図６に示すように、カラーインクカート
リッジ６１ｂの場合よりも高い回動支点で装着、取り外
しが行われることになる。リブ５３の幅を広くとりすぎ
ると、インクカートリッジ６１ｂの上下の平行移動がス
ムーズに行われず、正常な装脱着動作が妨げられてしま
うので、リブ５３の幅はインクカートリッジ格納部の幅
に応じて装脱着時の負荷が大きくなり過ぎない程度の幅
に設定することが必要である。

【００２９】なお、本発明においては阻止手段としての
リブ５１、５３の大きさ、個数、配置などは、カートリ
ッジホルダ１３やインクカートリッジ６１ａ、６１ｂの
大きさに応じて適宜設定することができることは言うま
でもない。

【００３０】

【発明の効果】本発明によれば、キャリッジの蓋部の係
合部にインクカートリッジの掛止部を係止させるだけの
単純な操作でインクカートリッジ装着が可能であり、本
来的にインクカートリッジ装着時のトラブルが発生しに
くいことに加えて、万一、誤った初期装着位置に装着さ
れた場合でも、その後の本装着状態への移行を阻止する
誤装着防止手段により、カートリッジホルダへのインク
カートリッジの誤装着がより確実に防止され、カートリ
ッジホルダの破損や印刷不良など、誤装着により生じる
トラブルの発生を未然に防ぐことが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明インクジェット記録装置の一実施形態の
概略図。

【図２】カートリッジホルダの前面の要部斜視図。

【図３】キャリッジ背後からの斜視図。

【図４】カラーインクカートリッジ装着部側のキャリッ
ジの断面構造を説明する図面。

【図５】黒色インクカートリッジ装着部側のキャリッジ
の断面構造を説明する図面。

【図６】黒色インクカートリッジ装着時の回動動作を説
明する図面。

【図７】インクカートリッジ装着時の正常な初期装着状
態を説明する図面。

【図８】インクカートリッジ装着時の動作を説明する図
面。

【図９】インクカートリッジ装着時の正常な本装着状態
を説明する図面。

【図１０】インクカートリッジ装着時の非正常な初期装
着状態を説明する図面。

【図１１】インクカートリッジの誤装着状態を説明する
図面。

【図１２】インクカートリッジの概略斜視図であり、
（ａ）はカラーインク用、（ｂ）は黒色インク用のカー
トリッジである。

【符号の説明】

１１ キャリッジ １３ カートリッジホルダ １５、１５ａ、１５ｂ 蓋部 １７ 記録ヘッド １９ フック ２１ 突起 ２３ 弾性変形部 ２５ 板バネ ２７ 支点 ３１ ヘッドケーブルカバー ３２ 傾斜面 ３３ 垂直部 ３５ 斜面部 ３７ 鈎部 ３９ インク供給針 ５１ リブ ５３ リブ ６１ インクカートリッジ ６１ａ カラーインクカートリッジ ６１ｂ 黒色インクカートリッジ ６３ 掛止部 ６５ 掛止部 ９１ タイミングベルト ９３ キャリッジガイド軸 １０１ インクジェット記録装置

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャリッジ内のカートリッジホルダに装
   着されたインクカートリッジから記録ヘッドへインクを
   供給する方式のインクジェット記録装置のキャリッジで
   あって、 前記カートリッジホルダは回動して開閉する蓋部を備
   え、インクカートリッジを装着する際には、まず、前記
   蓋部を開放した状態で該蓋部の基部に設けた係合部にイ
   ンクカートリッジの掛止部を係止させて初期装着位置に
   インクカートリッジを装着し、次いで、前記蓋部を閉じ
   ることによって本装着位置に移行させてインクカートリ
   ッジを装着するとともに、 インクカートリッジを取り出す時には、前記蓋部を開け
   ることによって前記係合部がインクカートリッジの掛止
   部と係合し、自動的にインクカートリッジを本装着位置
   より持ち上げて初期装着位置に移行させる装脱着機構を
   備え、 インクカートリッジの掛止部が前記係合部に係止されな
   い非正常な位置に初期装着されたときは、その後の本装
   着状態への移行を阻止する誤装着防止手段を備えたこと
   を特徴とする、インクジェット記録装置のキャリッジ。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記カートリッジホ
   ルダは、前記係合部と対向する壁面に上部が拡開した形
   状の斜面部を有し、初期装着位置においてインクカート
   リッジは前記係合部と前記斜面部とにより位置決めさ
   れ、 前記蓋部を開閉させることによって、前記斜面部側を支
   点にインクカートリッジを回動させ、かつ上下方向に変
   位させて初期装着位置と本装着位置との切り換えを行う
   ものであることを特徴とする、インクジェット記録装置
   のキャリッジ。
3. 【請求項３】 請求項２において、誤装着防止手段が、
   インクカートリッジの掛止部が前記係合部に係止されな
   い非正常な初期装着状態において、前記インキカートリ
   ッジと当接して前記カートリッジホルダ内への挿入を妨
   げるように形成された突起部であることを特徴とする、
   インクジェット記録装置のキャリッジ。
4. 【請求項４】 請求項３において、前記突起部は、イン
   クカートリッジの掛止部が前記係合部の下方に位置する
   非正常な初期装着状態においてインクカートリッジの前
   面と向き合う位置に、インクカートリッジを水平方向に
   回動させても前記カートリッジホルダ内へ挿入できない
   ように、かつ正常な初期装着位置から本装着位置へのイ
   ンクカートリッジの移行は妨げないように形成されたこ
   とを特徴とする、インクジェット記録装置のキャリッ
   ジ。
5. 【請求項５】 請求項３において、前記突起部は、正常
   な初期装着位置から本装着位置へのインクカートリッジ
   の移行を妨げないように、前記カートリッジホルダの斜
   面部の幅方向の一部に集中して設けられたことを特徴と
   する、インクジェット記録装置のキャリッジ。
6. 【請求項６】 請求項３において、前記突起部は、正常
   な初期装着位置から本装着位置へのインクカートリッジ
   の移行に際し、インクカートリッジの回動支点を上方に
   変位させるように、前記カートリッジホルダの斜面部の
   幅方向の一部に集中して設けられたことを特徴とする、
   インクジェット記録装置のキャリッジ。
7. 【請求項７】 請求項１から６のいずれか１項に記載の
   キャリッジを備えたインクジェット記録装置。