JP2002254485A - 電動式射出成形機の制御方法 - Google Patents

電動式射出成形機の制御方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクリュ後退運動の始動・停止時にはスクリ
ュ後退速度に比例し加減速時間に反比例した慣性力が作
用するので、強度上弱い部材へ加わる力は慣性力だけ大
きくなり、破損の危険が増大する。さらに、スクリュの
駆動を複数のサーボモータで行うような射出機構におい
ては、サーボモータのトルク制限をした場合にはサーボ
モータ相互間の回転数が同期しなくなり、ボールネジ等
を破損させることがある。 【解決手段】 スクリュの受ける力を検出する検出手段
を設け、該検出手段の検出値が所定値を越したときサー
ボモータの回動を停止させるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】サーボモータにより駆動され
る射出成形機の機構部分を過負荷による損傷から保護す
るための制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】射出成形機の射出装置においては、サー
ボモータの発生するトルクは、スクリュを前進させて高
い射出圧力を発生させるために極めて高く設定してあ
る。しかしながら、スクリュの後退時にそのような高ト
ルクを射出装置に与えると、スクリュのカップリング、
スクリュヘッドあるいはボールナットの取付ボルト等の
強度上弱い部材が破損する恐れがある。そのため、従来
は、スクリュ後退時にはサーボモータへの通電電流を減
少させて、発生するトルクを制限することが実施されて
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、サーボモー
タの発生トルクを制限しても、スクリュ後退運動の始動
・停止時にはスクリュ後退速度に比例し加減速時間に反
比例した慣性力が作用するので、前記強度上弱い部材へ
加わる力は慣性力だけ大きくなり、破損の危険が増大す
る。さらに、スクリュの駆動を複数のサーボモータで行
うような射出機構においては、サーボモータのトルク制
限をした場合にはサーボモータ相互間の回転数が同期し
なくなり、ボールネジ等を破損させることがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、スクリュの受ける力を検出する検出手段を
設け、該検出手段の検出値が所定値を越したときサーボ
モータの回動を停止させるようにしたのである。
【0005】
【発明の実施の形態】図面に基づいて本発明の実施の形
態を詳細に説明する。図1は、本発明を実施する射出装
置の部分断面図とその制御ブロック図である。1は加熱
筒であり、ハウジング4にナット9によって固着されて
いる。加熱筒1にはスクリュ2が回転往復動可能に嵌挿
されており、加熱筒1とスクリュ2は協働して原料樹脂
を可塑化溶融し図示しない金型に溶融樹脂を射出充填し
て成形を行う。スクリュ2の先端に螺着されたスクリュ
ヘッド3は、溶融樹脂の逆流を防止する機能も有する。
溶融樹脂の射出充填時の圧力は200Mpに達する高圧で
あるが、スクリュ2の直径が小さいこともあってスクリ
ュヘッド3の強度上の余裕は十分ではない。
【0006】ハウジング4の加熱筒1の取付方向両側に
はサーボモータ5,5が固着され、その回転子にはボー
ルネジ6,6がハウジング4を遊貫して接続されてい
る。ボールネジ6,6にはボールナット7,7が螺合
し、サーボモータ5,5の回動により前後動される。ボ
ールナット7,7は、ベアリングボックス10にボルト
8によって固着されている。ベアリングボックス10の
中心開口にはベアリング17,18で回動支持された軸
12が内装され、該軸12の加熱筒1側端面にはカップ
リング11を介してスクリュ2の基部が挿入・固定され
ている。この構成によりサーボモータ5,5は、スクリ
ュ2を前後動駆動可能とし、スクリュ2を加熱筒1に挿
入させる方向を前進(射出充填)とし、スクリュ2を加
熱筒1から抜出す方向を後退(サックバック、強制後
退)とする。
【0007】ベアリングボックス10の反加熱筒1側端
面には検出手段としてのロードセル13が固着されてい
る。ロードセル13は二の環状体を薄い可動板で接続し
た形態をしており、可動板表面に配設したブリッジに組
んだ歪ゲージにより内側の環状体が受ける力を電気信号
に変換するものである。検出手段は、ロードセル以外の
検出器であってもよく、例えば、油圧シリンダの密封さ
れた油圧を圧力検出器で測定する方法もある。
【0008】ベアリングボックス10にはフランジ14
を介してサーボモータ19が固着され、その回転子には
軸12が接続されている。サーボモータ19は軸12を
介してスクリュ2を回転させ、原料樹脂を可塑化溶融す
る。
【0009】軸12には、軸12の回転を許容しつつ軸
方向の力を伝達するように構成したスリーブ15が外装
され、スリーブ15の軸方向の力はロードセル13に伝
達されるので、スクリュ2の後退力が検出される。ま
た、スクリュ2の前進力は、軸12、ベアリング17及
びリング16を介してロードセル13に伝達されて検出
される。
【0010】スクリュ前進時のサーボモータ5,5のト
ルクはボールナット7,7で前進力に変換され、ボール
ナット7,7の鍔、ベアリングボックス10、ロードセ
ル13、リング16、ベアリング17、軸12を通じて
スクリュ2に伝達される。一方、スクリュ後退時のサー
ボモータ5,5のトルクはボールナット7,7で後退力
に変換され、ボールナット7,7の鍔、ボルト8、ベア
リングボックス10、ロードセル13、スリーブ15、
軸12、カップリング11を通じてスクリュ2に伝達さ
れる。このように、スクリュ後退時には、スクリュ前進
時とは異なり、ボルト8やカップリング11のように強
度上弱い部材に力が加わる。また、強度上弱い部材は前
記の他、スクリュヘッド3のスクリュへの螺着部分があ
る。
【0011】次に、制御について説明する。制御装置2
0は射出成形機の作動全般に関わり、サーボモータ5,
5,19はもとより、加熱筒1の温度や、図示しない型
締装置のサーボモータ等も制御する。ロードセル13で
受けたスクリュの前進力・後退力の電気信号は制御装置
20に入力される。制御装置20は、それに設定器21
を備え、設定器21に設定した前進及び/又は後退の工
程に応じた力の上限値である許容値と前記電気信号を比
較演算し、電気信号が許容値を越したときにそれに対応
したサーボモータを停止させる。前進力と後退力とでは
ロードセル13の電気信号の極性は逆になるが、制御装
置20は極性を考慮して演算処理してもよいし、絶対値
で演算処理してもよい。また、スクリュ2の受ける力が
零であるときにロードセル13の零点を前進側に故意に
ずらせて前進側の極性でのみ演算処理することもでき
る。
【0012】ロードセル13の検出した電気信号が許容
値を越したとき、サーボモータの回動を停止させるだけ
では、スクリュ2には過大な力が掛かったままであるの
で、サーボモータの回動を停止後、ロードセル13がス
クリュ2の受ける力を検出しなくなるまで、サーボモー
タをその停止前の回転方向とは逆方向に回動させるよう
に制御することが好ましい。
【0013】
【発明の効果】本発明は上記のように制御するので、ス
クリュ2の前後進の慣性力等による過大な力の影響を受
けることがなく、強度上弱い部材の損傷を未然に防止で
きる。また、複数のサーボモータで駆動する場合でも同
期運転を確実に実行できるので、ボールネジ等を損傷さ
せることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する射出装置の部分断面図とその
制御ブロック図である。
【符号の説明】
1 ……… 加熱筒 2 ……… スクリュ 3 ……… スクリュヘッド 4 ……… ハウジング 5,19 ……… サーボモータ 6 ……… ボールネジ 7 ……… ボールナット 8 ……… ボルト 9 ……… ナット 10 …… ベアリングボックス 11 …… カップリング 12 …… 軸 13 …… ロードセル 14 …… フランジ 15 …… スリーブ 16 …… リング 17,18 …… ベアリング 20 …… 制御装置 21 …… 設定器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーボモータの回動を直線往復運動に変
    換して、スクリュを前後動させる電動式射出成形機の制
    御方法において、 スクリュの受ける力を検出する検出手段を設け、該検出
    手段の検出値が所定値を越したときサーボモータの回動
    を停止させることを特徴とする電動式射出成形機の制御
    方法。
  2. 【請求項2】 サーボモータの回動を停止後、検出器が
    スクリュの受ける力を検出しなくなるまで、サーボモー
    タをその停止前の回転方向とは逆方向に回動させること
    を特徴とする請求項1に記載の電動式射出成形機の制御
    方法。
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