JP2002253255A - ランダム挿入削除dna変異法 - Google Patents

ランダム挿入削除dna変異法

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JP2002253255A
JP2002253255A JP2001057478A JP2001057478A JP2002253255A JP 2002253255 A JP2002253255 A JP 2002253255A JP 2001057478 A JP2001057478 A JP 2001057478A JP 2001057478 A JP2001057478 A JP 2001057478A JP 2002253255 A JP2002253255 A JP 2002253255A
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Masahiko Shishido
昌彦 宍戸
Takahiro Yoshizaka
貴弘 芳坂
Yutaka Murakami
裕 村上
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】蛋白質をコードする遺伝子の連続した3塩基
を、ランダムに、かつ変異率がほぼ一定で、特定の配列
を有する他の塩基配列に置換する新規な変異法、そのた
めのアンカー及び変異遺伝子ライブラリー、変異蛋白質
ライブラリーの簡便な製造方法の提供。 【解決手段】DNAを環化して、環状の1本鎖DNAを
作成し、この環状のDNAの任意の1カ所を切断し、得
られた鎖状の1本鎖DNAの両端にアンカーを結合さ
せ、これをPCR法により増幅させ、次に認識配列の外
側でDNAを切断する制限酵素を用いてアンカー中の認
識配列の外側を切断し、片側の末端にアンカー中に調製
しておいた特定の塩基配列が挿入されるようにしてお
き、もう一端は他端に挿入された塩基数と同数の塩基配
列が削除されることを特徴とするDNAの変異方法、そ
のためのアンカー、及びこの方法による変異DNA及び
変異蛋白質のライブラリー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DNAの連続した
3塩基を、ランダムに、かつ変異率がほぼ一定で、特定
の配列を有する他の塩基配列に置換する新規な変異法に
関する。また、本発明はそのためのオリゴヌクレオチド
からなる新規なアンカーに関する。また、本発明は、従
来の変異法の問題点を一挙に解決する新規な変異法であ
り、ランダムに切断されたDNAの切断箇所にアミノ酸
をコードするコドンを指定したコドン単位で変異させる
ことができるものであり、本発明の方法によりランダム
な位置のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された変異蛋白
質のライブラリーを簡便に作成することができる。した
がって、本発明は、本発明の変異法によって製造される
変異した遺伝子ライブラリー、変異した蛋白質ライブラ
リーに関する。さらに、本発明は、アンカー、好ましく
は本発明のアンカーとして、塩基配列のわかっている2
本鎖の領域と標的DNAの末端塩基配列とハイブリダイ
ズするための1本鎖の塩基配列の部分とを有するアンカ
ーを用いて、当該アンカーの標的DNAの末端塩基配列
とハイブリダイズするための1本鎖の塩基配列がランダ
ムな種々の塩基配列を有するアンカー群と1本鎖DNA
とを接触させることからなる末端の塩基配列が未知な1
本鎖DNAにアンカーを連結させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子工学の発展により、多数の蛋白質
の構造が解析されてきた。さらに近年、「進化分子工
学」と呼ばれる手法を用いて有用な蛋白質が見出され、
研究や産業に利用されている。進化分子工学では、まず
天然のDNAにランダムに変異を加えたDNAの集合体
(DNAライブラリー)を作成し、そのDNAを用いて
変異した蛋白質の集合体(蛋白質ライブラリー)を作成
する。この蛋白質ライブラリーから、耐熱性や触媒能が
向上した蛋白質を選択して、それをコードしているDN
Aだけを増幅する。このサイクルを繰り返して、最終的
に最適のアミノ酸配列を持っている蛋白質を探索する。
この変異した蛋白質ライブラリー作成の手段として、ま
ず変異したDNAを作成するのであり、このDNAを変
異させる方法としては、例えば、突然変異法などによる
オリゴヌクレオチドを利用した変異法やカセット変異法
などの部位特異的変異法が古くから知られているが、ラ
ンダムな変異はできなかった。ランダムな変異法として
は、DNA合成酵素による塩基取り込みの誤りを利用す
る方法(エラープローンPCR法)が、最も一般的に使
用されている。
【0003】しかし、エラープローンPCR法では、
(1)変異がDNA上の1塩基ずつしか起こらないた
め、置換されるアミノ酸の種類に偏りが生じていた。
(2)特定の塩基配列をランダムな箇所に導入して、特
定のアミノ酸を蛋白質のランダムな位置に導入すること
ができなかった。(3)1個の蛋白質あたり1箇所の変
異を導入するような条件設定が困難であり、数カ所が同
時に変異した蛋白質ができ得られた性質がどのアミノ酸
の変異であるかを特定することが困難であった。また、
従来の変異法ではヌクレオチド単位で変異させるため、
3個の塩基からなるコドンを全部同時にランダムな位置
に変異させることはできなかった。さらに、非天然アミ
ノ酸を部位特異的に導入することも不可能であった。こ
のように、従来用いられているDNAの変異法は十分な
ものとは言えず、コドン単位でランダムに、かつ1蛋白
質当たり1箇所のみの変異方法の開発が望まれていた。
このような変異法が開発されれば、天然の蛋白質におけ
る各アミノ酸の機能解析も容易に行えるようになる。
【0004】一方、「進化分子工学」においては、非天
然アミノ酸を天然の蛋白質の部位特異的に導入すること
で、新しい機能を持った蛋白質を作成することも志向さ
れている。天然の蛋白質に非天然アミノ酸を導入する方
法として、4塩基コドンCGGTを用いる方法が開発さ
れている。しかし、天然の蛋白質に大きな非天然アミノ
酸を導入すると、活性を失ってしまうことが多く、特定
の部位にひとつひとつ4塩基コドンCGGTを入れてゆ
く方法では、非天然アミノ酸を導入した蛋白質ライブラ
リーを作成することが困難となる。この4塩基コドンC
GGTを、天然のアミノ酸をコードする遺伝子の中に、
1個の蛋白質に対して1箇所づつランダムに導入するこ
とができれば、非天然アミノ酸を導入した蛋白質ライブ
ラリーを容易に作成することができるようになる。この
ようなライブラリーができれば、これをスクリーニング
することにより機能が最適化された変異蛋白質が容易に
得られるようになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の変異
法における問題点を解決するための新規なDNA変異法
の開発を目的としている。本発明は、蛋白質をコードす
る遺伝子の連続した3塩基を、ランダムに、かつ変異率
がほぼ一定で、特定の配列を有する他の塩基配列に置換
する新規な変異法を提供するものである。また、本発明
は、遺伝子の連続した3塩基を、ランダムに、かつ変異
率がほぼ一定で、非天然アミノ酸に対応する4塩基コド
ン、例えばCGGTに置換できる新規な変異法を提供す
る。さらに本発明は、遺伝子のランダムな箇所の連続し
た3塩基が、特定の配列を有する他の塩基配列にランダ
ムに置換された、遺伝子ライブラリー、及び蛋白質ライ
ブラリーの簡便な製造方法を提供する。また、本発明
は、コドン単位でランダムに、変異率がほぼ一定である
変異方法に仕様するためのオリゴヌクレオチドからなる
新規なアンカーを提供する。さらに、本発明は、末端の
塩基配列が未知の1本鎖DNAにアンカーを連結させる
ための方法も提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
従来の変異法の問題点(1)〜(3)を改善するため
に、(1)については、ランダムな位置の塩基配列を、
指定した塩基配列に置き換えることを可能にする、
(2)についてはランダムな位置の塩基配列を、指定し
た塩基配列に置換できることを可能にする、(3)につ
いては、変異率がほぼ一定のDNAを作成することを可
能にすることにより解決するために、鋭意研究した結
果、一方のアンカーが、認識配列の外側でDNAを切断
する制限酵素の認識配列、挿入される塩基配列、及び標
的DNAの末端塩基配列とハイブリダイズし得る1本鎖
の相補的な塩基配列を含有しており、他方のアンカー
が、認識配列の外側でDNAを切断する制限酵素の認識
配列、及び標的DNAの末端塩基配列とハイブリダイズ
し得る1本鎖の相補的な塩基配列を含有しているアンカ
ーを用いることにより、これらの目的を達成できること
を見出した。
【0007】即ち、本発明は、DNAを環化して、環状
の1本鎖DNAを作成し、この環状のDNAの任意の1
カ所を切断し、得られた鎖状の1本鎖DNAの両端にア
ンカーを結合させ、これをPCR法により増幅させ、次
に認識配列の外側でDNAを切断する制限酵素を用いて
アンカー中の認識配列の外側を切断し、片側の末端にア
ンカー中に調製しておいた特定の塩基配列が挿入される
ようにしておき、もう一端は他端に挿入された塩基数と
同数の塩基配列が削除されるようにしておくことを特徴
とするDNAの変異方法に関する。また、本発明は、少
なくとも認識配列の外側でDNAを切断する制限酵素の
認識配列、及び標的DNAの末端塩基配列とハイブリダ
イズし得る1本鎖の相補的な塩基配列を含有してなるオ
リゴヌクレオチドからなる前記変異方法に用いるための
アンカーに関する。
【0008】また、本発明は、従来の変異法の問題点を
一挙に解決する新規な変異法であり、ランダムに切断さ
れたDNAの切断箇所にアミノ酸をコードするコドンを
指定したコドン単位で変異させることができるものであ
り、本発明の方法によりランダムな位置のアミノ酸が他
のアミノ酸に置換された変異蛋白質のライブラリーを簡
便に作成することができる。したがって、本発明は、本
発明の変異法によって製造される変異した遺伝子ライブ
ラリー、変異した蛋白質ライブラリーに関する。さら
に、本発明は、アンカー、好ましくは本発明のアンカー
として、塩基配列のわかっている2本鎖の領域と標的D
NAの末端塩基配列とハイブリダイズするための1本鎖
の塩基配列の部分とを有するアンカーを用いて、当該ア
ンカーの標的DNAの末端塩基配列とハイブリダイズす
るための1本鎖の塩基配列がランダムな種々の塩基配列
を有するアンカー群と1本鎖DNAとを接触させること
からなる末端の塩基配列が未知な1本鎖DNAにアンカ
ーを連結させる方法に関する。
【0009】まず、本発明の変異法について説明する。
本発明の変異法では、DNAのランダムな位置の塩基を
任意の数だけ切り取り、その位置に任意の数の塩基を挿
入することができる。本発明者らは、本発明の変異法を
ランダムコドン変異法(random position codon mutati
on(RPCM))と命名したので、以下、本発明の変異
法をRPCMと略称することがある。図1は、本発明の
変異法の概要を示したものである。図1の上段に変異し
ようとするDNAが示されている。まず、目的DNAを
PCR法により増幅する(ステップI)。このとき、セ
ンス鎖のプライマーの5’末端をリン酸化しておく。次
に増幅したDNAを環化し(ステップII)、T4 DN
A合成酵素を用いてアンチセンス鎖のみを分解する(ス
テップIII)。続いて生成物である環状1本鎖センス鎖
DNAをランダムな1箇所で切断する(ステップIV)。
これにより、ランダムな位置で切断された1本鎖のDN
Aとなる。切断は酵素や物理的な手段によって行うこと
ができるので、特定の位置で切断されるのではなく、い
ろんな位置で切断された1本鎖のDNAの混合物が得ら
れることになる。また、切断は、原則的には1個のDN
Aについて1箇所が切断される条件にすることが好まし
い。
【0010】次に元のDNAの全長の長さを有する1本
鎖DNAを集め、1本鎖のDNAの両端にアンカーDN
Aを連結させる(ステップV)。アンカーの2本鎖部分
の塩基配列はわかっているので、この配列に基づいてP
CRにより増幅する(ステップVI)。そして、認識配列
の外側でDNAを切断する制限酵素を用いてDNAを切
断(ステップVII)することで、片側の末端に特定の配
列を挿入し、もう一方は指定した数の塩基を削除する。
ここで挿入配列と削除塩基数は、ステップVのアンカー
の種類によって任意に決めることができる。最後に、末
端を平滑化したのち再び環化し(ステップVIII)、変異
DNAを得る。図1の灰色部分は新たに挿入された塩基
配列部分を示している。この方法により、ランダムな位
置に指定した塩基配列が置換された(図1の灰色部分)
変異DNAのライブラリーが作成される。この変異DN
Aのライブラリーを用いて、通常の方法により蛋白質を
発現させると、変異蛋白質のライブラリーを得ることが
できる。図1の下段にはこの方法により得られた変異蛋
白質のライブラリーが示されている(灰色部分が置換さ
れた他のアミノ酸を示す。)。
【0011】図2にステップI及びステップIIをより具
体的に例示する。ステップIのPCR法のためにアンチ
センスプライマーW3(図2では、上段右端の斜線部及
び灰色部分を有する四角印で示されている。)、5’−
をリン酸化したセンスプライマーV2(図2では、上段
右から2番目に縦線の四角印で示されている。)、及び
アンチセンスプライマーW2(図2では、上段右から3
番目に斜線の四角印で示されている。)、5’−をリン
酸化したセンスプライマーV3((図2では、上段左端
の縦線部及び黒色部分を有する四角印で示されてい
る。)を用いた。プライマーW2及びV2は標的のDN
Aの末端塩基配列に相補的な配列である。また、プライ
マーW3及びV3は、プライマーW2及びV2の塩基配
列を含有している。標的DNAとして緑色蛍光蛋白質
(GFP)をコードするDNAを用いた場合のプライマ
ーV3及びW3の塩基配列を例示する。
【0012】 V3: 5'P-acctgctgcatcg-ccatgattacgaattcg W3: attcgaaccgtgacc-tggacgacgtagc-5'-OH 下線部は、両者で相補的な塩基配列となっている部分で
ある。上段のV3の相補的配列部分を図2では黒色四角
で示しており、下段の相補的配列部分を図2では灰色四
角で示している。これらのプライマーを用いてPCRに
より図2の(1)及び(2)の2本鎖DNAを製造す
る。PCRの詳細を図2の中段に示している。これを環
化すると、図2の(3’)及び(4’)として示される
2本鎖環状DNAが得られる。この2本鎖環状DNAの
アンチセンス鎖は5’−末端がリン酸化されていないの
で、5’−末端において開裂した環となっている。この
2本鎖環状DNAを、T4 DNA合成酵素を用いてア
ンチセンス鎖のみを分解し(ステップIII)、続いて生
成物である環状1本鎖センス鎖DNAをランダムな1箇
所で切断し(ステップIV)、これにより、ランダムな位
置で切断された1本鎖のDNAが得られる。
【0013】得られた1本鎖のDNAの処理について、
制限酵素の認識配列として制限酵素BciVIの認識配列
(gtatcc)を、挿入される塩基配列として4塩基
のcggtを用いた場合の具体例により、詳細に説明す
る。図3はこの具体例によりステップV〜ステップVII
を説明するためのものである。図3の太線は、ランダム
に切断されたDNAを示す。DNAの5’−末端に5’
−末端用のアンカーを連結させる。図3の5’−末端用
のアンカーのNNNNNNNNNN−OHは、標的DN
Aの末端塩基配列とハイブリダイズし得る1本鎖の相補
的な塩基配列を示している。このアンカーは挿入される
塩基配列cggt、及び,制限酵素BciVIの認識配列
(gtatcc)を含有している。また、DNAの3’
末端用のアンカー(図3の上〜2段目)は3’−NH
−NN・・・Nで示される標的DNAの末端塩基配列と
ハイブリダイズし得る1本鎖の相補的な塩基配列、及び
制限酵素BciVIの認識配列(gtatcc)を含有し
ている。
【0014】両末端にアンカーが連結されたDNAをP
CRにより増幅し(ステップVI)、次いで制限酵素Bc
iVIで切断する。制限酵素BciVIは、認識配列の外側
でDNAを切断する制限酵素であり、認識配列(gta
tcc)の6塩基外側、即ちこの例では挿入される塩基
配列cggtの直前で切断される。切断面は平滑端では
ないので、後でこれを平滑化する。また、3’−末端用
のアンカーは3塩基のダミー配列を有しているから、標
的DNAに3塩基分くい込んで切断されることになる。
この切断面を平滑化すると、元のDNAから3塩基分が
削除されたことになる。3塩基はコドンを形成するもの
である。したがって、この結果元のDNAの5’−末端
側に4塩基が付加され、3’−末端側からコドンの3塩
基分が削除されることになる。つまり、この例では、天
然のアミノ酸のコドンが削除され、当該コドンが存在し
ていた一に非天然アミノ酸のコドンである4塩基が挿入
されることになる。
【0015】次に、配列が未知な1本鎖DNAへのアン
カー連結法について説明する。mRNAを逆転写して得
られるcDNAの3’末端の配列が未知な場合、そのc
DNAをPCR法により増幅するためには、3’末端に
プライマーとなる配列既知のオリゴDNA(アンカー)
を付加する必要がある。これまでは、主に次の2種の方
法が使用されてきた。(1)鋳型なしでDNA鎖を延長
する酵素(ターミナルデオキシリボトランスフェラー
ゼ)を用いて、cDNAの3’末端に単一塩基からなる
オリゴDNA(アンカー)を付加する。この場合は特定
の配列を付加することはできない。(2)RNAリガー
ゼを用いて、一本鎖オリゴDNA(アンカー)を連結す
る。この場合、RNAリガーゼのDNAに対する活性が
低いことが欠点である。
【0016】このような従来法による欠点を解消し、末
端が未知な一本鎖DNAへの効率的かつ、簡便な連結法
を提供することも本発明の目的のひとつである。本発明
は、片方の3’−末端に約10塩基のランダム配列を突
出させた二本鎖オリゴDNA(アンカー)により、この
突出したランダム塩基配列と、配列が未知な一本鎖DN
Aの3’−末端とが相補鎖を形成して、リガーゼによる
連結反応が行われる。この時、アンカー同士の連結反応
を避けるために、3’末端を保護しておく(図4参
照)。また、同様の原理により、アンカーの片方の5’
−端にランダム塩基配列を突出させることで、5’末端
配列が未知の一本鎖DNAへの連結も可能となる。この
時もアンカー同士の連結反応を避けるために、突出させ
た5’−末端をリン酸化しないなどして保護しておく
(図5参照)。
【0017】図4にDNAの3’末端の塩基配列が未知
の場合の1本鎖DNAへのアンカーの連結方法の概要を
示す。まず、アンカーの2本鎖部分(この塩基配列はわ
かっている。図4では太線で示している。)に、標的D
NAの末端塩基配列とハイブリダイズし得る1本鎖の相
補的な塩基配列(図4ではNNNN・・・で示してい
る。)を結合するのであるが、標的DNAの3’−末端
の塩基配列が未知であるためにこの塩基配列を決定する
ことができない。そこで、標的DNAの末端塩基配列と
ハイブリダイズし得る1本鎖の相補的な塩基配列とし
て、ランダムな配列を有する混合物を用意する。ランダ
ムな配列を有するアンカーの混合物を標的DNAと接触
させると、その混合物中のアンカーのうち標的DNAと
相補的な配列を有するアンカーのみがハイブリダイズ
し、次のPCRを適用することができるようになる。
【0018】図5は、DNAの5’末端の塩基配列が未
知の場合の1本鎖DNAへのアンカーの連結方法の概要
を示す。その手法は基本的には前記した3’−末端の場
合と同様である。そして、ここで重要なことは、アンカ
ー同士の連結反応を避けるために、3’−末端用のアン
カーのランダム配列の3’−末端をアミノ化などにより
保護しておき、また、5’−末端用のアンカーのランダ
ム配列の5’−末端をリン酸化しないなどの方法により
保護しておくことである。
【0019】本発明の配列が未知な1本鎖DNAへのア
ンカーの連結法は、これをPCRのために単独で使用す
ることもできるが、アンカーとして本発明の前記した変
異法に使用するアンカーに用いることにより、変異させ
ようとする標的DNAの末端塩基が未知のものであって
も、本発明の変異法を適用することが可能となる。
【0020】次に、変異を導入する蛋白質として緑色蛍
光蛋白質(GFP)を用いた例により本発明をさらに詳
細に説明する。この遺伝子に4塩基変異が導入される
と、そのままではコドンの読み枠がずれ蛍光が消失す
る。そこで作成した遺伝子を大腸菌に導入し、コロニー
の蛍光を観察することにより、変異体の作成を確認する
ことができる。このGFP遺伝子を前記したプライマー
を用いてPCRにより増幅した。増幅されたDNA(図
2の(1)及び(2)のタイプのもの)を、94℃で熱
変性し、74℃で再アニーリングした。この処理により
図2の(1)、(2)、(3)、及び(4)のタイプの
DNAが生成する。ヘテロハイブリッドの(3)及び
(4)は、2本鎖の5’末端側に13塩基が突出してい
る。この相補鎖の突出に基づいて、低温でのアニーリン
グ及びセンス鎖におけるTaqDNAリガーゼ処理によ
り環状2本鎖DNAが生成する。この環状2本鎖DNA
(3’)及び(4’)は、アンチセンス鎖において非結
合部(nick)を含有している。環状2本鎖DNA
(3’)及び(4’)の収率を向上させるために、この
処理を4サイクル行った。その結果を図6に図面に代わ
る写真で示す。図6のレーンMはDNAマーカーであ
り、レーン1は反応前の2本鎖の鎖状DNAであり、レ
ーン2はTaqDNAリガーゼ処理なしで4サイクルを
行った後のものであり、レーン3はTaqDNAリガー
ゼの存在下で4サイクルを行った後のものである。いず
れも、4M尿素中で50℃で30秒加熱し、8M/4%
PAGEで分析した結果である。レーン3の上部に2本
鎖環状DNAのバンドを観察することができた。環状2
本鎖DNAの多量の生成はTaqDNAリガーゼを添加
した場合であった(図6のレーン3参照)。
【0021】環状1本鎖DNAの製造には、T4 DN
A ポリメラーゼを用いた。T4DNA ポリメラーゼ
は、3’から5’方向へのエキソヌクレアーゼ活性を有
することが知られている。このヌクレアーゼ活性を環状
2本鎖DNAのアンチセンス鎖の分解に利用した。結果
を図7及び図8に図面に代わる写真で示す。図7は4%
PAGEでの分析であり、図8は8M尿素4%PAGE
での分析結果である。各々、レーンM1はDNAマーカ
ーであり、レーンM2は1本鎖DNAマーカー(785
mer)であり、レーンM3は2本鎖DNAマーカー
(759bp)である。レーン1は反応前の環状2本鎖
DNAであり、レーン2はdNTPsの不存在下でのT
4 DNA ポリメラーゼでの処理後の反応生成物であ
る。図7の最も上に見えるバンドが環状2本鎖DNAの
ものであり、その下に見えるのが環状1本鎖DNAのも
のであり、中ほどのものが鎖状の2本鎖DNAのバンド
である。図8では、最も上に見えるのが環状1本鎖DN
Aであり、その下に見えるのが鎖状1本鎖DNAのバン
ドである。
【0022】dNTPsの不存在下でのT4 DNA
ポリメラーゼでの処理により環状2本鎖DNAのバンド
は消失し、環状1本鎖DNAのバンドが出現している
(図7レーン2参照)。図8では、レーン1では、環状
の1本鎖DNAが観察されているが、dNTPsの不存
在下でのT4 DNA ポリメラーゼでの処理後(レー
ン2)では鎖状のものが消失し、環状のものだけになっ
ている。このPAGE分析の結果、センス鎖の環状1本
鎖DNAの調製に成功していることがわかった。
【0023】ランダムな位置で切断された1本鎖DNA
のステップ5以降の概要を図9に示す。この例で用いた
5’−アンカーを次式で示す。
【0024】
【化1】
【0025】(式中、Nは任意の塩基を示し、nは塩基
がn個続くことを示し、好ましくはnは7、10、14
である。) この例で用いた3’−アンカーを次式で示す。
【0026】
【化2】
【0027】(式中、Nは任意の塩基を示し、nは塩基
がn個続くことを示し、好ましくはnは7、10、14
である。) また、この実験のために使用したビオチン化配列を次式
【0028】
【化3】
【0029】(式中、Biotinはビオチンを示
す。) で示す。まず、ステップ5では、1本鎖DNAへのアン
カーの連結を行う。次に、これをPAGEにより精製し
てアンカーが連結された1本鎖DNAにする。これをス
テップ6でPCRで増幅して、次いで、ステップ7で制
限酵素BciVIで切断する。切断面をT4 DNA ポ
リメラーゼを用いて平滑化すると、元の1本鎖DNAの
3’末端の3塩基が削除され、5’末端側にあらたに4
塩基が挿入されたDNAがえられることになる。
【0030】次に、ステップ5における、ランダムに切
断された環状1本鎖DNAの5’末端及び3’末端へ
の、アンカーDNAの連結についてモデル実験を行っ
た。配列が未知の1本鎖DNAの3’末端へのリンカー
DNAの連結については、アンカーPCR法、CRTC
(controlled ribonucleotide tailing of cDNA ends)
法、及びSLIC(single strand ligation to ss-cDN
A)法などが知られている。しかし、アンカーPCR法
やCRTC法では、DNAフラグメントの3’末端での
ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ
によるdGTPテイリングが必要である。SLIC法で
はしばしば反応が充分進行しない。そこで、本発明者ら
は、新規な方法を開発した。このモデル反応の概要を図
10に示す。まず、最初の反応はTESTアンカーを用
いた。TESTアンカーは、図10の(a)に示される
ように、TESTCOと5’末端がリン酸化された又は
遊離のOH基であるTESTN7(ランダムなテイル部
分の塩基が7個ある。)からなっている。即ち、TES
TN7は、5’末端に7merのランダム配列からなる
テイルを有するものである。
【0031】このアンカーは、アンカーのテイル部分の
ランダム配列と、TESTNnの1本鎖DNA部分の
5’末端のランダム配列とが、相補的なペアーを形成し
てハイブリダイズする可能性がある。その可能性はきわ
めて低いと思われるが、可能性はある。そこで、まず、
これらの自己連結について実験した。T4 DNA リ
ガーゼの存在下に5’−リン酸化アンカーを図10の
(a)に示すように反応させた。結果を図11の図面に
代わる写真で示す。図11は、20%PAGEによる分
析結果である。レーンM1はT4 DNA リガーゼの
不存在下(−Lig)での1μMの5’−リン酸化TE
STアンカーの場合であり、レーンM2はT4 DNA
リガーゼの存在下(+Lig)での1μMの5’−リ
ン酸化TESTアンカーの場合である。リガーゼの存在
下では、アンカー同士の自己連結が生じていることがわ
かった。
【0032】次に、図10の(b)に示されるように、
5’末端がOH基であるTESTアンカーを、5’末端
がリン酸化された種々の数のヌクレオチドからなるラン
ダム配列の1本鎖DNAと連結させる実験を行った。結
果を図11に図面に代わる写真で示す。レーン1はリガ
ーゼの不存在下(−Lig)での1μMの5’末端がO
H基のTESTアンカーの場合であり、レーン2はリガ
ーゼの存在下(+Lig)での1μMの5’末端がOH
基のTESTアンカーの場合であり、レーン3はリガー
ゼの存在下(+Lig)での1μMの5’末端がOH基
のTESTアンカーと4μMの5’−リン酸化TEST
N7の場合であり、レーン4はリガーゼの存在下(+L
ig)での1μMの5’末端がOH基のTESTアンカ
ーと4μMの5’−リン酸化TESTN5の場合であ
り、レーン5はリガーゼの存在下(+Lig)での1μ
Mの5’末端がOH基のTESTアンカーと4μMの
5’−リン酸化TESTN9の場合であり、レーン6は
リガーゼの存在下(+Lig)での1μMの5’末端が
OH基のTESTアンカーと4μMの5’−リン酸化R
Vの場合である。上段のバンドは連結生成物を示し、下
段はアンカーのバンドを示す。
【0033】5’末端をOH基にしたアンカーは自己連
結しなかった(図11のレーン2参照)。5’末端にラ
ンダムテイルを有する1本鎖DNAが添加された場合に
は、連結が生起した(図11レーン3−5参照)。連結
はTESTN7DNAの場合が最も効果的であった。こ
れは、このもののランダムテイルの長さが、アンカーの
テイルの長さと同じであったからであろう。しかし、連
結の有効性はTESTN9及びTESTN5においても
顕著な低下はみられなかった。TESTN9及びTES
TN5における充分な連結は、部分的なハイブリダイズ
で連結には充分であり、完全なハイブリダイズは必要無
いことを示している。しかしながら、アンカーが5’末
端にランダムテイルを持っていないRVと連結しないと
いう事実は、連結にはハイブリダイズが必要であること
を示している。このモデル実験の結果は、アンカーDN
Aと5’及び3’末端にランダム配列を有する1本鎖D
NAとの連結は、相補鎖を見出す可能性は低いが、各々
充分に効果的に生起することを示している。そして、こ
の方法は、5’RACE及び3’RACEによるクロー
ニング技術にも効果的に応用することができる。
【0034】次に、1本鎖DNAのランダムな位置での
切断(ステップ4)、アンカーの連結(ステップ5)、
及びPCRによる増幅(ステップ6)について述べる。
1本鎖DNAのランダムな位置での切断は、DNase
Iを用いて25℃で行った。結果を図12の図面に代わ
る写真で示す。図12のレーンM1はDNAマーカーで
あり、レーンM2は1本鎖DNAマーカー(759me
r)であり、レーン1は切断反応前の環状1本鎖DNA
であり、レーン2はDNaseIによる切断反応の生成
物であり、レーン3はN7テイルを有するアンカーと鎖
状1本鎖DNAとの連結反応の生成物であり、レーン4
はN10テイルを有するものとの反応生成物であり、レ
ーン5はN14テイルを有するものとの反応生成物であ
る。全ての試料は、4M尿素中で30秒、95℃に加熱
され、8M尿素/4%PAGEで分析された。ランダム
な位置での切断の結果は、未反応の環状1本鎖DNAを
伴うが鎖状の1本鎖DNAの生成が確認された(図12
のレーン2参照)。このバンドは複数箇所で切断された
ものが検出されないことを示しており、このことは切断
が1箇所のみで生起していることを示した。
【0035】アンカーの連結は、5’アンカー及び3’
アンカーのペアーを用いて行われた。ランダムテイルと
して、異なる長さのものを用いた(n=7、10、1
4)。3’テイルの3’末端は自己連結を防止するため
にアミノ基でブロックされた。連結反応の結果を前記図
12のレーン3−5に示す。いずれのアンカーを使用し
た場合も鎖状の1本鎖DNAのバンドが次第に弱くなっ
て来た。これはアンカーとの連結が生起したためであ
る。アンカーが連結した1本鎖DNAを回収し、5’ビ
オチン化3COプライマーを用いてPCRで増幅した。
増幅した結果を図13に図面に代わる写真で示す。図1
3は4%PAGE上での分析結果である。図13の、レ
ーンM1はDNAマーカーであり、レーンM2は1本鎖
DNAマーカー(759mer)であり、レーン1は切
断反応前の環状1本鎖DNAであり、各々レーン1は1
5サイクルのものであり、レーン2は18サイクルであ
り、レーン3は21サイクルのものであり、レーン4は
24サイクルである。図13の左側はN7テイルを有す
るアンカーの場合であり、中央はN10テイルを有する
アンカーの場合であり、右側はN14テイルを有するア
ンカーの場合である。N10テイルを有するアンカー
が、N7やN14テイルのものよりも早く反応した。こ
の結果はN10テイルがもっとも好ましいことを示して
いる。
【0036】次に制限酵素BciVIでの切断(ステップ
7)及び環化(ステップ8)について説明する。PCR
産物をBciVIで切断した。この酵素は、認識配列の外
側を切断する。この例では図3に示される箇所で切断さ
れ、元の1本鎖DNAの5’末端に4塩基を挿入し、
3’末端から3塩基を削除する。生成物を精製して、T
4 DNA ポリメラーゼを用いて切断面を平滑化し
た。次いで、T4 DNA リガーゼで処理して環化さ
せた。
【0037】以上の操作により、ランダムに選択された
連続する3塩基が、4塩基で置換された変異GFP遺伝
子を得た。
【0038】得られた変異GFP遺伝子をPCRで増幅
し、プラスミドpUC18のEcoRI−HindIII
サイトにクローニングした。約50,000のコロニー
が得られ、その約90%が蛍光を示さなかった。蛍光を
失ったのはコドンの変異が生起しているからである。蛍
光を示さないコロニーを採取し、2つのコロニーからプ
ラスミドを精製し、配列を決定した。この変異DNAか
ら、連続した3塩基からなるコドンがgggの3塩基で
置換されていることが見出された。4塩基中の最初の塩
基cが脱落しており、これは、ステップ7における平滑
化にためのT4 DNA ポリメラーゼのエキソヌクレ
アーゼ活性のためであると考えられる。したがって、T
4 DNA ポリメラーゼの使用量を最適化することに
より塩基cの脱落を防止することができると考えられ
る。このように、本発明の方法は、コドンを置換した変
異体を製造する方法として極めて有用であることがわか
った。
【0039】つぎに環状1本鎖DNAの切断がランダム
に行われたか否かを検証した。DNaseIは、1本鎖
DNAをランダムな位置で切断する酵素であることが知
られている。切断のランダムさを図14の(a)に示す
方法で検証した。実験に使用した遺伝子はEcoRIに
よる切断位置を1箇所のみ有するので、これらのDNA
をEcoRIで切断した。もし、ランダムに切断されて
いたならば、EcoRIによる切断で種々の長さのDN
Aフラグメントが生じるはずである(図14(a)参
照)。結果を図14の(b)に図面に代わる写真で示
す。図14の(b)のレーンM1はDNAマーカーであ
り、レーン1及びレーン3はステップ6におけるPCR
産物であり、レーン2及び4はそのPCR産物をEco
RIで切断したものである。レーン1及び2は1μLの
場合であり、レーン3及び4は40μLの場合である。
その結果、EcoRIによる消化で、PCR産物のシン
グルバンドが消失し、多数のバンドが生じていることが
わかった。
【0040】緑色蛍光蛋白質(GFP)を用いた同様な
実験を行った。この遺伝子に4塩基変異が導入される
と、そのままではコドンの読み枠がずれ蛍光が消失す
る。そこで作成した遺伝子を大腸菌に導入し、コロニー
の蛍光を観察した。その結果、約80%のコロニーの蛍
光が消失していることから、効率よく変異が導入できた
ことがわかった。次に蛍光の消失した4個のコロニーか
らプラスミドを抽出し、変異GFP遺伝子の塩基配列を
決定したところ、2/4の効率でCGGT変異が導入さ
れていた。この結果を図15に示す。この新規変異法を
用いることで、非天然アミノ酸を導入した蛋白質ライブ
ラリーを作成するためのDNAライブラリーが作成でき
た。さらに本変異法は、削除する塩基の数、挿入する塩
基の数及び配列を任意に設定できるため、DNA組換え
法における新手法として、様々な分野での応用が期待さ
れる。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明のアンカーとしては、少な
くとも制限酵素の認識配列、挿入される塩基配列、及び
標的DNAの末端塩基配列とハイブリダイズし得る1本
鎖の相補的な塩基配列(テイル)を含有しているもので
あり、これと対をなすアンカーは少なくとも制限酵素の
認識配列、及び標的DNAの末端塩基配列とハイブリダ
イズし得る1本鎖の相補的な塩基配列(テイル)を含有
していればよい。本発明はこのようなアンカーの対(ア
ンカーセット)を提供するものでもある。そして、アン
カーは、さらにPCR用のプライマー領域を含有するも
のであるが、このプライマー領域は他の塩基配列と重複
して使用することができる。制限酵素の認識配列として
は6塩基でも4塩基でもよいが、認識配列の外側でDN
Aを切断することが必要である。認識配列の中で切断さ
れる場合には挿入される塩基が認識配列の中の塩基とな
り、任意の塩基配列を選択することができなくなるから
である。認識配列の中の塩基配列を挿入しようとする場
合には、認識配列の中でDNAを切断する制限酵素を使
用することも可能ではある。
【0042】挿入される塩基配列は、理論的には1塩基
以上であればよいが、コドン単位での変異を望む場合に
は、3塩基または4塩基からなるものが好ましい。天然
のアミノ酸による置換の場合には3塩基を非天然のアミ
ノ酸での置換の場合には4塩基にするのがよい。また、
標的となるDNAには、特に制限波ないが、蛋白質をコ
ードしているDNAが好ましい。これによりアミノ酸が
置換された変異蛋白質のライブリーを作成することがで
きる。
【0043】標的となるDNAの末端にそのDNA中で
唯一の制限酵素切断配列を持っていない場合には、当該
DNAの末端に、当該DNA中には無い塩基配列であっ
て、制限酵素により切断できる塩基配列を付加すること
が好ましい。本発明の方法で得られた変異DNAを用い
て常法によりアミノ酸の一部が他のアミノ酸に置換され
た蛋白質を発現させることができる。この方法により天
然の蛋白質の1個又は一部のアミノ酸が他のアミノ酸又
は非天然のアミノ酸に置換された蛋白質を製造すること
ができる。最初に得られる変異DNAはランダムに置換
されているので、ランダムにアミノ酸が、他のアミノ酸
に置換された蛋白質のらいぶらりーを製造することがで
きる。また、その中の特定のDNAを選択することによ
り、特定の蛋白質を特異的に製造することもできる。
【0044】このように本発明の方法は、特定のコドン
配列を持つアンカーを用いることで、ランダムな位置の
塩基配列を特定のアミノ酸をコードする特定のコドン配
列に置き換えることを可能とする。また、20種のアミ
ノ酸に対応するコドン類を含むアンカー混合物を用いる
ことにより、ランダムな位置の塩基配列を20種のアミ
ノ酸のコドン類に置換ですることができるようになっ
た。さらに、4塩基コドンを挿入することによりランダ
ムな位置のアミノ酸を特定の非天然アミノ酸に置き換え
ることが可能となった。そして、1個の蛋白質あたり正
確に1個の変異を導入できるようになった。本発明の変
異法は、削除する塩基の数、挿入する塩基の数及び配列
を任意に設定できるため、非常に汎用性の高いDNAラ
イブラリーの作成ができる。その応用としては、(a)
指定したコドンとして、20種類のアミノ酸のコドンの
混合物を用いることによる、ランダムな位置のアミノ酸
をランダムなアミノ酸に置換した蛋白質ライブラリーの
作成、(b)指定したコドンとして、非天然アミノ酸に
対応する4塩基コドン類の3塩基コドンを使用すること
による、蛋白質のアラニンスキャン、(d)挿入配列と
して新しい制限酵素認識配列を導入することによる、蛋
白質のハイブリッド化やサーキュラー変異、(e)ラン
ダムな任意の長さの挿入配列を用いることによる、蛋白
質のランダム挿入変異、(f)欠失の長さを制御するこ
とによる、蛋白質のランダム欠失変異、などがあげられ
る。本方法はDNA組換え法における新手法として広い
範囲の研究や産業あるいは創薬の分野で応用できるもの
である。
【0045】
【実施例】次に実施例により本発明をより詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0046】実施例1 (プラスミドpUGFPaの構
築) GFP遺伝子を、プライマーとしてGFPEcoG及び
GFPHinを用いてPfx DNA ポリメラーゼの
存在下、プラスミドpGFPUVからPCRで増幅し
た。PCR生成物をEcoRI及びHindIIIで切断
して、プラスミドpUC18のEcoRI−HindII
Iサイトにクローン化した。
【0047】実施例2 (環状2本鎖DNAの調製(ス
テップII)) プライマーGFFW3(attcgaaccgtgacc-tggacgacgtag
c-5'-OH)及び5’−リン酸化したプライマーGFRV
2、並びにプライマーGFFW2(5'P-acctgctgcatcg-
ccatgattacgaattcg)及び5’−リン酸化したプライマ
ーGFRV3のプライマーの組みを用いて、Pfx D
NA ポリメラーゼ緩衝液中の4UのPfx DNA
ポリメラーゼ、各dNTP300μM、0.3μMのプ
ライマー、及び80ngのpUGFPaを含有する反応
混合液800μL中でパラレルPCRを行った。PCR
の温度サイクルは、(1)94℃で1分間の変性(dena
turation)、(2)94℃で12秒、50℃で30秒、
及び68℃で30秒の20サイクル、(3)68℃で2
分間、であった。生成物をQIAクイックPCR精製キ
ットを用いて精製し、PCR反応混合物400μL毎に
水100μLで溶出した。溶出溶液のDNA濃度は吸光
度で決定した(2本鎖DNAの50μg/mLでA
260=1)。環化を、Taq DNA リガーゼ緩衝
液中の400UTaq DNA リガーゼに各4.2μ
のPCR産物を含有する500μLの反応混合物中で行
った。温度サイクルは、(1)94℃で1分間の変性
(denaturation)、(2)94℃で15秒、70℃で2
分、及び40℃で2分、及び45℃で30分の4サイク
ル、であった。結果を図6に示す。図6は、本発明のス
テップIIの環状2本鎖DNAの生成を確認する結果を示
す図面に代わる写真である。図6のレーンMはDNAマ
ーカーであり、レーン1は反応前の2本鎖の鎖状DNA
であり、レーン2はTaqDNAリガーゼ処理なしで4
サイクルを行った後のものであり、レーン3はTaqD
NAリガーゼの存在下で4サイクルを行った後のもので
ある。いずれも、4M尿素中で50℃で30秒加熱し、
8M/4%PAGEで分析した結果である。
【0048】実施例3 (環状1本鎖DNAの調製(ス
テップIII)) エタノールで沈殿させた後、50mM酢酸カリウム、2
0mMトリス−酢酸(pH7.9)、10mM酢酸マグ
ネシウム、1mMジチオスレイトール(dithiothreito
l)、100μg/mlBSA、及び180UのT4
DNA ポリメラーゼに、前記ライゲーション産物7.
2μgを入れ、反応混合物を120μLにした。この反
応混合物を37℃で2時間インキュベートし、エタノー
ルで沈殿させた。結果を図7及び図8に示す。図7は、
本発明のステップIIIの環状1本鎖DNAの製造の結果
を示す図面に代わる写真である。4%PAGEでの分析
であり、レーンM1はDNAマーカーであり、レーンM
2は1本鎖DNAマーカー(785mer)であり、レ
ーンM3は2本鎖DNAマーカー(759bp)であ
る。レーン1は反応前の環状2本鎖DNAであり、レー
ン2はdNTPsの不存在下でのT4 DNA ポリメ
ラーゼでの処理後の反応生成物である。図8は、8M尿
素4%PAGEでの分析結果である。
【0049】実施例4 (1本鎖環状DNAのランダム
な切断(ステップIV)) 1本鎖環状DNAのランダムな切断は、50mMトリス
−塩酸(pH7.9)、20mM塩化マグネシウム、1
00μg/mlBSA、及び0.012UのDNase
Iに、前記の1本鎖環状DNA0.24μgを入れた反
応混合物80μL中で行った。反応混合物を25℃で3
分間インキュベートし、エタノールで沈殿させた。結果
を図12に示す。図12は、本発明の変異法のステップ
IVにおける、1本鎖DNAのランダムな位置での切断の
結果を示す図面に代わる写真である。図12のレーンM
1はDNAマーカーであり、レーンM2は1本鎖DNA
マーカー(759mer)であり、レーン1は切断反応
前の環状1本鎖DNAであり、レーン2はDNaseI
による切断反応の生成物であり、レーン3はN7テイル
を有するアンカーと鎖状1本鎖DNAとの連結反応の生
成物であり、レーン4はN10テイルを有するものとの
反応生成物であり、レーン5はN14テイルを有するも
のとの反応生成物である。全ての試料は、4M尿素中で
30秒、95℃に加熱され、8M尿素/4%PAGEで
分析された。
【0050】実施例5 (アンカーの1本鎖部分(テイ
ル)の長さの最適化) ランダムに切断された1本鎖DNA(30ng)を、1
0mM塩化マグネシウム、10mMジチオスレイトール
(dithiothreitol)、1mMATP、25μg/mlB
SA、10%PEG8000、及び150mMNaCl
を含有する50mMトリス−塩酸(pH7.5)に溶解
させた。この溶液を95℃で15秒、50℃で10秒イ
ンキュベートした。その後、1本鎖部分(テイル)が7
塩基、10塩基、及び14塩基の長さを有する各種の
5’−アンカー及び3’−アンカーを各々の最終濃度が
1μMになるように添加した。この溶液を30℃で10
秒、インキュベートして、400UのT4 DNAリガ
ーゼを加えた。温度サイクルは、10℃で30及び30
℃で30秒を毎時12サイクルの速度で10時間行っ
た。エタノールで沈殿させた後、ライゲーション産物を
4%アクリルアミド/8M尿素ゲルで精製した。次い
で、Pfx DNA ポリメラーゼ緩衝液中の0.1U
のPfx DNA ポリメラーゼ、各dNTP300μ
M、0.3μMのPCR3CO、及び3ngのライゲー
ション産物を含有する20μLの反応混合物中で、PC
Rを行った。PCRの温度サイクルは、(1)94℃で
1分間の変性(denaturation)、(2)94℃で12
秒、55℃で30秒、及び68℃で30秒の、15、1
8、 21、又は24サイクル、であった。各サイ
クルで、4μLアリコート反応混合物中から除いた。生
成物を4%PAGEで分析した。
【0051】実施例6 (連続する3塩基をcggt4
塩基への置換(ステップV−VII)) Pfx DNA ポリメラーゼ緩衝液中の0.5UのP
fx DNA ポリメラーゼ、各dNTP300μM、
0.3μMのPCR3CO、及び10ngのライゲーシ
ョン産物を含有する100μLの反応混合物中で、PC
Rを行った。PCRの温度サイクルは、(1)94℃で
1分間の変性(denaturation)、(2)94℃で12
秒、55℃で30秒、及び68℃で30秒の、23サイ
クル、(3)さらに、68℃で2分、であった。生成物
をQIAクイックPCR精製キットを用いて精製し、P
CR反応混合物100μL毎に水50μLで溶出した。
結果を図13に示す。図13は、本発明の変異法のステ
ップVIにおける、PCRで増幅した結果を示す図面に代
わる写真である。4%PAGE上での分析結果であり、
レーンM1はDNAマーカーであり、レーンM2は1本
鎖DNAマーカー(759mer)であり、レーン1は
切断反応前の環状1本鎖DNAであり、各々レーン1は
15サイクルのものであり、レーン2は18サイクルで
あり、レーン3は21サイクルのものであり、レーン4
は24サイクルである。図13の左側はN7テイルを有
するアンカーの場合であり、中央はN10テイルを有す
るアンカーの場合であり、右側はN14テイルを有する
アンカーの場合である。次に、1.2μgのPCR産物
を、40μLの反応混合物中の30UのBciVIで、3
7℃で2時間インキュベートした。エタノール沈殿の
後、1ngのストレプトアビジンを含む4%PAGE上
で精製し、25μLの反応混合物中の15UのT4 D
NA ポリメラーゼで12℃で15分インキュベートし
た。エタノール沈殿の後、50mMトリス−塩酸(pH
7.5)、10mM塩化マグネシウム、10mMジチオ
スレイトール(dithiothreitol)、1mMATP、及び
400UのT4 DNAリガーゼを含む25μg/ml
BSAを含有する反応混合物20μL中で環化を行っ
た。反応混合物を30度で10時間インキュベートし、
エタノールで沈殿させた。次いで、Pfx DNA ポ
リメラーゼ緩衝液中の0.5UのPfx DNAポリメ
ラーゼ、各dNTP300μM、0.3μMのGFRV
3、0.3μMのGFFW3、及び前記のライゲーショ
ン産物を含有する反応混合物100μL中で、PCRを
行った。PCRの温度サイクルは、(1)94℃で2分
間の変性(denaturation)、(2)94℃で12秒、6
5℃で30秒、及び68℃で30秒の、13サイクル、
(3)さらに、68℃で2分、であった。PCR産物
を、EcoRI及びHindIIIで切断して、その産物
を1.5%アガロースゲル電気泳動で精製し、プラスミ
ドpUC18のEcoRI−HindIIIサイトにクロ
ーン化した。大腸菌DH10Bを、ライゲーション混合
物を含有する10%グリセロール中のエレクトロポーレ
ーションにより形質転換した。
【0052】実施例7 (1本鎖DNAにアンカーDN
Aを連結するモデル実験例) 1μMのTESTリンカー、4μMの5’−リン酸化T
ESTN5、TESTN7、TESTN9、又はRV、
50mMトリス−塩酸(pH7.5)、10mM塩化マ
グネシウム、10mMジチオスレイトール(dithiothre
itol)、1mMATP、25μg/mlBSA、10%
PEG8000、及び100UのT4DNAリガーゼを
含む150mMNaClを含有する5μLの反応混合物
中で反応を行った。対照の反応を、1μMのTESTリ
ンカー及び5’−リン酸化TESTN7を含有する5μ
Lの反応混合物中で行った。反応混合物を16度で6時
間インキュベートした。反応後の溶液を20%PAGE
で分析した。結果を図11に示す。図11は、アンカー
と1本鎖DNAとの連結法についてのモデル反応の結果
を示す図面に代わる写真である。レーン1はリガーゼの
不存在下(−Lig)での1μMの5’末端がOH基の
TESTアンカーの場合であり、レーン2はリガーゼの
存在下(+Lig)での1μMの5’末端がOH基のT
ESTアンカーの場合であり、レーン3はリガーゼの存
在下(+Lig)での1μMの5’末端がOH基のTE
STアンカーと4μMの5’−リン酸化TESTN7の
場合であり、レーン4はリガーゼの存在下(+Lig)
での1μMの5’末端がOH基のTESTアンカーと4
μMの5’−リン酸化TESTN5の場合であり、レー
ン5はリガーゼの存在下(+Lig)での1μMの5’
末端がOH基のTESTアンカーと4μMの5’−リン
酸化TESTN9の場合であり、レーン6はリガーゼの
存在下(+Lig)での1μMの5’末端がOH基のT
ESTアンカーと4μMの5’−リン酸化RVの場合で
ある。上段のバンドは連結生成物を示し、下段はアンカ
ーのバンドを示す。
【0053】実施例8 (ランダムに切断したDNAの
コンフォメーション) Pfx DNA ポリメラーゼ緩衝液中の1UのPfx
DNA ポリメラーゼ、各dNTP300μM、0.
3μMのPCR3CO、及び40ngのステップ5の最
初のPCR産物のゲル精製物を含有する反応混合物20
0μL中で、PCRを行った。第2回目のPCRの温度
サイクルは、第1回目のPCRと同じであった。エタノ
ールで沈殿した後、生成物を20μLの10mMトリス
−塩酸(pH8.0)に溶解させた。20UのEcoR
Iを含むEcoRI緩衝液中に第2回目のPCR産物5
μLを含有する50μLの反応混合物中で、EcoRI
による切断を行った。反応混合物を37℃で1時間イン
キュベートし、エタノールで沈殿させた。生成物を6%
PAGEで分析した。結果を図14に示す。図14は、
環状1本鎖DNAの切断がランダムに行われたか否かを
検証する方法の概要示す(図14の(a))、またを図
14の(b)は切断のランダムさを検証した結果を示す
図面に代わる写真である。図14の(b)のレーンM1
はDNAマーカーであり、レーン1及びレーン3はステ
ップ6におけるPCR産物であり、レーン2及び4はそ
のPCR産物をEcoRIで切断したものである。レー
ン1及び2は1μLの場合であり、レーン3及び4は4
0μLの場合である。
【0054】
【発明の効果】このように本発明の方法は、特定のコド
ン配列を持つアンカーを用いることで、ランダムな位置
の塩基配列を特定のアミノ酸をコードする特定のコドン
配列に置き換えることを可能とする。また、20種のア
ミノ酸に対応するコドン類を含むアンカー混合物を用い
ることにより、ランダムな位置の塩基配列を20種のア
ミノ酸のコドン類に置換ですることができるようになっ
た。さらに、4塩基コドンを挿入することによりランダ
ムな位置のアミノ酸を特定の非天然アミノ酸に置き換え
ることが可能となった。そして、1個の蛋白質あたり正
確に1個の変異を導入できるようになった。本発明の変
異法は、削除する塩基の数、挿入する塩基の数及び配列
を任意に設定できるため、非常に汎用性の高いDNAラ
イブラリーの作成ができる。その応用としては、(a)
指定したコドンとして、20種類のアミノ酸のコドンの
混合物を用いることによる、ランダムな位置のアミノ酸
をランダムなアミノ酸に置換した蛋白質ライブラリーの
作成、(b)指定したコドンとして、非天然アミノ酸に
対応する4塩基コドン類の3塩基コドンを使用すること
による、蛋白質のアラニンスキャン、(d)挿入配列と
して新しい制限酵素認識配列を導入することによる、蛋
白質のハイブリッド化やサーキュラー変異、(e)ラン
ダムな任意の長さの挿入配列を用いることによる、蛋白
質のランダム挿入変異、(f)欠失の長さを制御するこ
とによる、蛋白質のランダム欠失変異、などがあげられ
る。本方法はDNA組換え法における新手法として広い
範囲の研究や産業あるいは創薬の分野で応用できるもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の変異法の概要を示したもので
ある。ステップIからステップVIIIまでの概略を模式的
に示したものである。
【図2】図2は、本発明の変異法のステップI及びステ
ップIIをより具体的に例示したものである。
【図3】図3は、本発明の変異法のステップV〜ステッ
プVIIをより具体的に説明するためのものである。図3
の太線は、ランダムに切断されたDNAを示す。
【図4】図4は、DNAの3’末端の塩基配列が未知の
場合の1本鎖DNAへのアンカーの連結方法の概要を示
す。
【図5】図5は、DNAの5’末端の塩基配列が未知の
場合の1本鎖DNAへのアンカーの連結方法の概要を示
す。
【図6】図6は、本発明のステップIIの環状2本鎖DN
Aの生成を確認する結果を示す図面に代わる写真であ
る。図6のレーンMはDNAマーカーであり、レーン1
は反応前の2本鎖の鎖状DNAであり、レーン2はTa
qDNAリガーゼ処理なしで4サイクルを行った後のも
のであり、レーン3はTaqDNAリガーゼの存在下で
4サイクルを行った後のものである。いずれも、4M尿
素中で50℃で30秒加熱し、8M/4%PAGEで分
析した結果である。
【図7】図7は、本発明のステップIIIの環状1本鎖D
NAの製造の結果を示す図面に代わる写真である。4%
PAGEでの分析であり、レーンM1はDNAマーカー
であり、レーンM2は1本鎖DNAマーカー(785m
er)であり、レーンM3は2本鎖DNAマーカー(7
59bp)である。レーン1は反応前の環状2本鎖DN
Aであり、レーン2はdNTPsの不存在下でのT4
DNA ポリメラーゼでの処理後の反応生成物である。
【図8】図8は、本発明のステップIIIの環状1本鎖D
NAの製造の結果を示す図面に代わる写真である。8M
尿素4%PAGEでの分析結果であり、レーンM1はD
NAマーカーであり、レーンM2は1本鎖DNAマーカ
ー(785mer)であり、レーンM3は2本鎖DNA
マーカー(759bp)である。レーン1は反応前の環
状2本鎖DNAであり、レーン2はdNTPsの不存在
下でのT4 DNA ポリメラーゼでの処理後の反応生
成物である。
【図9】図9は、本発明の変異法のステップV以降のラ
ンダムな位置で切断された1本鎖DNAの処理の概要を
より具体的に示す。
【図10】図10は、アンカーと1本鎖DNAとの連結
法についてのモデル反応の概要を示す。図10の(a)
は、TESTCOと5’末端がリン酸化された又は遊離
のOH基であるTESTN7からなっている。図10の
(b)は、5’末端がOH基であるTESTアンカー
を、5’末端がリン酸化された種々の数のヌクレオチド
からなるランダム配列の1本鎖DNAとの連結の概要を
示す。
【図11】図11は、アンカーと1本鎖DNAとの連結
法についてのモデル反応の結果を示す図面に代わる写真
である。レーン1はリガーゼの不存在下(−Lig)で
の1μMの5’末端がOH基のTESTアンカーの場合
であり、レーン2はリガーゼの存在下(+Lig)での
1μMの5’末端がOH基のTESTアンカーの場合で
あり、レーン3はリガーゼの存在下(+Lig)での1
μMの5’末端がOH基のTESTアンカーと4μMの
5’−リン酸化TESTN7の場合であり、レーン4は
リガーゼの存在下(+Lig)での1μMの5’末端が
OH基のTESTアンカーと4μMの5’−リン酸化T
ESTN5の場合であり、レーン5はリガーゼの存在下
(+Lig)での1μMの5’末端がOH基のTEST
アンカーと4μMの5’−リン酸化TESTN9の場合
であり、レーン6はリガーゼの存在下(+Lig)での
1μMの5’末端がOH基のTESTアンカーと4μM
の5’−リン酸化RVの場合である。上段のバンドは連
結生成物を示し、下段はアンカーのバンドを示す。
【図12】図12は、本発明の変異法のステップIVにお
ける、1本鎖DNAのランダムな位置での切断の結果を
示す図面に代わる写真である。図12のレーンM1はD
NAマーカーであり、レーンM2は1本鎖DNAマーカ
ー(759mer)であり、レーン1は切断反応前の環
状1本鎖DNAであり、レーン2はDNaseIによる
切断反応の生成物であり、レーン3はN7テイルを有す
るアンカーと鎖状1本鎖DNAとの連結反応の生成物で
あり、レーン4はN10テイルを有するものとの反応生
成物であり、レーン5はN14テイルを有するものとの
反応生成物である。全ての試料は、4M尿素中で30
秒、95℃に加熱され、8M尿素/4%PAGEで分析
された。
【図13】図13は、本発明の変異法のステップVIにお
ける、PCRで増幅した結果を示す図面に代わる写真で
ある。4%PAGE上での分析結果であり、レーンM1
はDNAマーカーであり、レーンM2は1本鎖DNAマ
ーカー(759mer)であり、レーン1は切断反応前
の環状1本鎖DNAであり、各々レーン1は15サイク
ルのものであり、レーン2は18サイクルであり、レー
ン3は21サイクルのものであり、レーン4は24サイ
クルである。図13の左側はN7テイルを有するアンカ
ーの場合であり、中央はN10テイルを有するアンカー
の場合であり、右側はN14テイルを有するアンカーの
場合である。
【図14】図14は、環状1本鎖DNAの切断がランダ
ムに行われたか否かを検証する方法の概要示す(図14
の(a))、またを図14の(b)は切断のランダムさ
を検証した結果を示す図面に代わる写真である。図14
の(b)のレーンM1はDNAマーカーであり、レーン
1及びレーン3はステップ6におけるPCR産物であ
り、レーン2及び4はそのPCR産物をEcoRIで切
断したものである。レーン1及び2は1μLの場合であ
り、レーン3及び4は40μLの場合である。
【図15】図15は、本発明の変異法により変異GFP
遺伝子の塩基配列を決定した結果を示すものである。
【手続補正書】
【提出日】平成13年3月28日(2001.3.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】追加
【補正内容】
【発明の名称】 ランダム挿入削除DNA変異法 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年7月2日(2001.7.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
従来の変異法の問題点(1)〜(3)を改善するため
に、(1)については、各アミノ酸に対応する3塩基コ
ドンをほぼ同じ確率でDNA中に導入できるので置換さ
れるアミノ酸の種類に偏りが生じない。(2)について
はランダムな位置の塩基配列を、指定した塩基配列に置
換できることを可能にする、(3)については、変異率
がほぼ一定のDNAを作成することを可能にすることに
より解決するために、鋭意研究した結果、一方のアンカ
ーが、認識配列の外側でDNAを切断する制限酵素の認
識配列、挿入される塩基配列、及び標的DNAの末端塩
基配列とハイブリダイズし得る1本鎖の相補的な塩基配
列を含有しており、他方のアンカーが、認識配列の外側
でDNAを切断する制限酵素の認識配列、及び標的DN
Aの末端塩基配列とハイブリダイズし得る1本鎖の相補
的な塩基配列を含有しているアンカーを用いることによ
り、これらの目的を達成できることを見出した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】まず、本発明の変異法について説明する。
本発明の変異法では、DNAのランダムな位置の塩基を
任意の数だけ切り取り、その位置に任意の数の塩基を挿
入することができる。本発明者らは、本発明の変異法を
ランダム挿入削除変異法(random insertion deletion
mutation(RIDM))と命名したので、以下、本発明
の変異法をRIDMと略称することがある。図1は、本
発明の変異法の概要を示したものである。図1の上段に
変異しようとするDNAが示されている。まず、目的D
NAをPCR法により増幅する(ステップI)。このと
き、センス鎖のプライマーの5’末端をリン酸化してお
く。次に増幅したDNAを環化し(ステップII)、T4
DNA合成酵素を用いてアンチセンス鎖のみを分解す
る(ステップIII)。続いて生成物である環状1本鎖セ
ンス鎖DNAをランダムな1箇所で切断する(ステップ
IV)。これにより、ランダムな位置で切断された1本鎖
のDNAとなる。切断は酵素や物理的な手段によって行
うことができるので、特定の位置で切断されるのではな
く、いろんな位置で切断された1本鎖のDNAの混合物
が得られることになる。また、切断は、原則的には1個
のDNAについて1箇所が切断される条件にすることが
好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】次に元のDNAの全長の長さを有する1本
鎖DNAを集め、1本鎖のDNAの両端にアンカーDN
Aを連結させる(ステップV)。アンカーの2本鎖部分
の塩基配列はわかっているので、この配列に基づいてP
CRにより増幅する(ステップVI)。そして、認識配列
の外側でDNAを切断する制限酵素を用いてDNAを切
断(ステップVII)することで、片側の末端に特定の配
列を挿入し、もう一方は指定した数の塩基を削除する。
ここで挿入配列と削除塩基数は、ステップVのアンカー
の種類によって任意に決めることができる。最後に、末
端を平滑化したのち再び環化し(ステップVIII)、変異
DNAを得る。図1の灰色部分は新たに挿入された塩基
配列部分を示している。この方法により、ランダムな位
置に指定した塩基配列が置換された(図1の灰色部分)
変異DNAのライブラリーが作成される。この変異DN
Aのライブラリーを用いて、通常の方法により蛋白質を
発現させると、変異蛋白質のライブラリーを得ることが
できる。 (削除)
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】両末端にアンカーが連結されたDNAをP
CRにより増幅し(ステップVI)、次いで制限酵素Bc
iVIで切断する。制限酵素BciVIは、認識配列の外側
でDNAを切断する制限酵素であり、認識配列(gta
tcc)の6塩基外側、即ちこの例では挿入される塩基
配列cggtの直前で切断される。切断面は平滑端では
ないので、後でこれを平滑化する。また、3’−末端用
のアンカーは3塩基のダミー配列を有しているから、標
的DNAに3塩基分くい込んで切断されることになる。
この切断面を平滑化すると、元のDNAから3塩基分が
削除されたことになる。3塩基はコドンを形成するもの
である。したがって、この結果元のDNAの5’−末端
側に4塩基が付加され、3’−末端側からコドンの3塩
基分が削除されることになる。つまり、この例では、天
然のアミノ酸のコドンが削除され、当該コドンが存在し
ていた位置に非天然アミノ酸のコドンである4塩基が挿
入されることになる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】
【化1】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】(式中、Nは任意の塩基を示し、nは塩基
がn個続くことを示し、nとしては7〜14が可能であ
るが、好ましくはn=10である。) この例で用いた3’−アンカーを次式で示す。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】5’末端をOH基にしたアンカーは自己連
結しなかった(図11のレーン2参照)。5’末端にラ
ンダムテイルを有する1本鎖DNAが添加された場合に
は、連結が生起した(図11レーン3−5参照)。連結
はTESTN7DNAの場合が最も効果的であった。こ
れは、このもののランダムテイルの長さが、アンカーの
テイルの長さと同じであったからであろう。しかし、連
結の有効性はTESTN9及びTESTN5においても
顕著な低下はみられなかった。TESTN9及びTES
TN5における充分な連結は、部分的なハイブリダイズ
で連結には充分であり、完全なハイブリダイズは必要無
いことを示している。しかしながら、アンカーが5’末
端にランダムテイルを持っていないRVと連結しないと
いう事実は、連結にはハイブリダイズが必要であること
を示している。このモデル実験の結果は、アンカーDN
Aと5’及び3’末端にランダム配列を有する1本鎖D
NAとの連結は、相補鎖を見出す可能性は低いものの、
各々充分に効果的に生起することを示している。そし
て、この方法は今まで比較的困難であった。5’RAC
Eによるクローニング技術にも効果的に応用することが
できる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】5’末端をOH基にしたアンカーは自己連
結しなかった(図11のレーン2参照)。5’末端にラ
ンダムテイルを有する1本鎖DNAが添加された場合に
は、連結が生起した(図11レーン3−5参照)。連結
はTESTN7DNAの場合が最も効果的であった。こ
れは、このもののランダムテイルの長さが、アンカーの
テイルの長さと同じであったからであろう。しかし、連
結の有効性はTESTN9及びTESTN5においても
顕著な低下はみられなかった。TESTN9及びTES
TN5における充分な連結は、部分的なハイブリダイズ
で連結には充分であり、完全なハイブリダイズは必要無
いことを示している。しかしながら、アンカーが5’末
端にランダムテイルを持っていないRVと連結しないと
いう事実は、連結にはハイブリダイズが必要であること
を示している。このモデル実験の結果は、アンカーDN
Aと5’及び3’末端にランダム配列を有する1本鎖D
NAとの連結は、相補鎖を見出す可能性は低いものの、
各々充分に効果的に生起することを示している。そし
て、この方法は今まで比較的困難であった。5’RAC
Eによるクローニング技術にも効果的に応用することが
できる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】本発明のアンカーとしては、少なくとも制
限酵素の認識配列、挿入される塩基配列、及び標的DN
Aの末端塩基配列とハイブリダイズし得る1本鎖の相補
的な塩基配列(テイル)を含有しているものであり、こ
れと対をなすアンカーは少なくとも制限酵素の認識配
列、及び標的DNAの末端塩基配列とハイブリダイズし
得る1本鎖の相補的な塩基配列(テイル)を含有してい
ればよい。本発明はこのようなアンカーの対(アンカー
セット)を提供するものでもある。そして、アンカー
は、さらにPCR用のプライマー領域を含有するもので
あるが、このプライマー領域は他の塩基配列と重複して
使用することができる。制限酵素は6塩基の認識配列を
持ち、認識配列の外側でDNAを切断することが必要で
ある。認識配列の中で切断される場合には挿入される塩
基が認識配列の中の塩基となり、任意の塩基配列を選択
することができなくなるからである。認識配列の中の塩
基配列を挿入しようとする場合には、認識配列の中でD
NAを切断する制限酵素を使用することも可能ではあ
る。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】挿入される塩基配列は、理論的には1塩基
以上であればよいが、コドン単位での変異を望む場合に
は、3塩基または4塩基からなるものが好ましい。天然
のアミノ酸による置換の場合には3塩基を非天然のアミ
ノ酸での置換の場合には4塩基にするのがよい。また、
標的となるDNAには、特に制限ないが、蛋白質をコ
ードしているDNAが好ましい。これによりアミノ酸が
置換された変異蛋白質のライブリーを作成することがで
きる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】標的となるDNAの末端にそのDNA中で
唯一の制限酵素切断配列を持っていない場合には、当該
DNAの末端に、当該DNA中には無い塩基配列であっ
て、制限酵素により切断できる塩基配列を付加すること
が好ましい。本発明の方法で得られた変異DNAを用い
て常法によりアミノ酸の一部が他のアミノ酸に置換され
た蛋白質を発現させることができる。この方法により天
然の蛋白質の1個又は一部のアミノ酸が他のアミノ酸又
は非天然のアミノ酸に置換された蛋白質を製造すること
ができる。最初に得られる変異DNAはランダムに置換
されているので、ランダムにアミノ酸が、他のアミノ酸
に置換された蛋白質のライブラリーを製造することがで
きる。また、その中の特定のDNAを選択することによ
り、特定の蛋白質を特異的に製造することもできる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】このように本発明の方法は、特定のコドン
配列を持つアンカーを用いることで、ランダムな位置の
塩基配列を特定のアミノ酸をコードする特定のコドン配
列に置き換えることを可能とする。また、20種のアミ
ノ酸に対応するコドン類を含むアンカー混合物を用いる
ことにより、ランダムな位置の塩基配列を20種のアミ
ノ酸のコドン類に置換ですることができるようになっ
た。さらに、4塩基コドンを挿入することによりランダ
ムな位置のアミノ酸を特定の非天然アミノ酸に置き換え
ることが可能となった。そして、1個の蛋白質あたり正
確に1個の変異を導入できるようになった。本発明の変
異法は、削除する塩基の数、挿入する塩基の数及び配列
を任意に設定できるため、非常に汎用性の高いDNAラ
イブラリーの作成ができる。その応用としては、(a)
指定したコドンとして、20種類のアミノ酸のコドンの
混合物を用いることによる、ランダムな位置のアミノ酸
をランダムなアミノ酸に置換した蛋白質ライブラリーの
作成、(b)指定したコドンとして、非天然アミノ酸に
対応する4塩基コドン類を使用することによる非天然ア
ミノ酸をランダムな位置に導入した蛋白質ライブラリー
の作成、(c)アラニンを指定する3塩基コドンを使用
することによる、蛋白質のアラニンスキャン、(d)挿
入配列として新しい制限酵素認識配列を導入することに
よる、蛋白質のハイブリッド化やサーキュラー変異、
(e)ランダムな任意の長さの挿入配列を用いることに
よる、蛋白質のランダム挿入変異、(f)欠失の長さを
制御することによる、蛋白質のランダム欠失変異、など
があげられる。本方法はDNA組換え法における新手法
として広い範囲の研究や産業あるいは創薬の分野で応用
できるものである。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】実施例8 (DNA切断位置のランダム性
の検証) Pfx DNA ポリメラーゼ緩衝液中の1UのPfx
DNA ポリメラーゼ、各dNTP300μM、0.
3μMのPCR3CO、及び40ngのステップ5の最
初のPCR産物のゲル精製物を含有する反応混合物20
0μL中で、PCRを行った。第2回目のPCRの温度
サイクルは、第1回目のPCRと同じであった。エタノ
ールで沈殿した後、生成物を20μLの10mMトリス
−塩酸(pH8.0)に溶解させた。20UのEcoR
Iを含むEcoRI緩衝液中に第2回目のPCR産物5
μLを含有する50μLの反応混合物中で、EcoRI
による切断を行った。反応混合物を37℃で1時間イン
キュベートし、エタノールで沈殿させた。生成物を6%
PAGEで分析した。結果を図14に示す。図14は、
環状1本鎖DNAの切断がランダムに行われたか否かを
検証する方法の概要示す(図14の(a))、またを図
14の(b)は切断のランダムさを検証した結果を示す
図面に代わる写真である。図14の(b)のレーンM1
はDNAマーカーであり、レーン1及びレーン3はステ
ップ6におけるPCR産物であり、レーン2及び4はそ
のPCR産物をEcoRIで切断したものである。レー
ン1及び2は1μLの場合であり、レーン3及び4は4
0μLの場合である。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】
【発明の効果】このように本発明の方法は、特定のコド
ン配列を持つアンカーを用いることで、ランダムな位置
の塩基配列を特定のアミノ酸をコードする特定のコドン
配列に置き換えることを可能とする。また、20種のア
ミノ酸に対応するコドン類を含むアンカー混合物を用い
ることにより、ランダムな位置の塩基配列を20種のア
ミノ酸のコドン類に置換ですることができるようになっ
た。さらに、4塩基コドンを挿入することによりランダ
ムな位置のアミノ酸を特定の非天然アミノ酸に置き換え
ることが可能となった。そして、1個の蛋白質あたり正
確に1個の変異を導入できるようになった。本発明の変
異法は、削除する塩基の数、挿入する塩基の数及び配列
を任意に設定できるため、非常に汎用性の高いDNAラ
イブラリーの作成ができる。その応用としては、(a)
指定したコドンとして、20種類のアミノ酸のコドンの
混合物を用いることによる、ランダムな位置のアミノ酸
をランダムなアミノ酸に置換した蛋白質ライブラリーの
作成、(b)指定したコドンとして、非天然アミノ酸に
対応する4塩基コドンを導入することによる非天然アミ
ノ酸含有蛋白質ライブラリーの作成、(c)アラニンに
対応する3塩基コドンを使用することによる、蛋白質の
アラニンスキャン、(d)挿入配列として新しい制限酵
素認識配列を導入することによる、蛋白質のハイブリッ
ド化やサーキュラー変異、(e)ランダムな任意の長さ
の挿入配列を用いることによる、蛋白質のランダム挿入
変異、(f)欠失の長さを制御することによる、蛋白質
のランダム欠失変異、などがあげられる。本方法はDN
A組換え法における新手法として広い範囲の研究や産業
あるいは創薬の分野で応用できるものである。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】図14は、環状1本鎖DNAの切断がランダ
ムに行われたか否かを検証する方法の概要示す(図14
の(a))、またを図14の(b)は切断のランダムさ
を検証した結果を示す図面に代わる写真である。
(削除)
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】削除
【手続補正18】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正19】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正20】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】
【手続補正21】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正内容】
【図15】
フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 BA80 CA01 HA01 4B063 QA01 QA13 QA18 QQ42 QR55 QS34 4B064 AG01 CA19 CC24 DA13

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 DNAを環化して、環状の1本鎖DNA
    を作成し、この環状のDNAの任意の1カ所を切断し、
    得られた鎖状の1本鎖DNAの両端にアンカーを結合さ
    せ、これをPCR法により増幅させ、次に認識配列の外
    側でDNAを切断する制限酵素を用いてアンカー中の認
    識配列の外側を切断し、片側の末端にアンカー中に調製
    しておいた特定の塩基配列が挿入されるようにしてお
    き、もう一端は他端に挿入された塩基数と同数の塩基配
    列が削除されるようにしておくことを特徴とするDNA
    の変異方法。
  2. 【請求項2】 一方のアンカーが、制限酵素の認識配
    列、挿入される塩基配列、及び標的DNAの末端塩基配
    列とハイブリダイズし得る1本鎖の相補的な塩基配列を
    含有している請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 他方のアンカーが、制限酵素の認識配
    列、及び標的DNAの末端塩基配列とハイブリダイズし
    得る1本鎖の相補的な塩基配列を含有している請求項1
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 アンカーが、さらにPCR用のプライマ
    ー領域を含有してなる請求項2又は3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 PCR用のプライマー領域が、他の塩基
    配列と重複して使用される請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 アンカーの標的DNAの末端塩基配列と
    ハイブリダイズし得る1本鎖の相補的な塩基配列が、ラ
    ンダム配列である請求項2〜5のいずれかに記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 挿入される塩基配列が、3塩基または4
    塩基からなるものである請求項1〜6のいずれかに記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 4塩基の配列が、非天然アミノ酸に対応
    するCGGTである請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 認識配列の外側でDNAを切断する制限
    酵素が、6塩基からなる配列を認識する酵素である請求
    項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 認識配列の外側でDNAを切断する制
    限酵素が、BciVIである請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 環状の1本鎖DNAが、センス鎖であ
    る請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 DNAが、蛋白質をコードしているD
    NAである請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 【請求項13】 DNAが、当該DNAの末端に、当該
    DNA中に無い塩基配列であって、制限酵素により切断
    できる塩基配列を付加されたものである請求項1〜12
    のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 請求項12又は13に記載の方法によ
    り得られた変異させたDNAを用いて、アミノ酸の一部
    が他のアミノ酸に置換された蛋白質を発現させることを
    特徴とする変異した蛋白質の製造方法。
  15. 【請求項15】 アミノ酸が、非天然のアミノ酸に置換
    されたものである請求項15に記載の方法。
  16. 【請求項16】 請求項14又は15に記載の方法によ
    り、アミノ酸の一部が他のアミノ酸に置換された変異し
    た蛋白質の蛋白質ライブラリーを製造する方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の方法で得ることが
    できる、アミノ酸の一部が他のアミノ酸に置換された変
    異した蛋白質ライブラリー。
  18. 【請求項18】 少なくとも認識配列の外側でDNAを
    切断する制限酵素の認識配列、及び標的DNAの末端塩
    基配列とハイブリダイズし得る1本鎖の相補的な塩基配
    列を含有してなるオリゴヌクレオチドからなるアンカ
    ー。
  19. 【請求項19】 アンカーが、さらに挿入される塩基配
    列を含有している請求項18に記載のアンカー。
  20. 【請求項20】 一方のアンカーが、制限酵素の認識配
    列、挿入される塩基配列、及び標的DNAの末端塩基配
    列とハイブリダイズし得る1本鎖の相補的な塩基配列を
    含有するアンカーであり、他方のアンカーが、制限酵素
    の認識配列、及び標的DNAの末端塩基配列とハイブリ
    ダイズし得る1本鎖の相補的な塩基配列を含有するアン
    カーである2種のアンカーからなるアンカーセット。
  21. 【請求項21】 アンカーが、さらにPCR用のプライ
    マー領域を含有してなる請求項18〜20のいずれかに
    記載のアンカー。
  22. 【請求項22】 PCR用のプライマー領域が、他の塩
    基配列と重複して使用される請求項21に記載のアンカ
    ー。
  23. 【請求項23】 アンカーの標的DNAの末端塩基配列
    とハイブリダイズし得る1本鎖の相補的な塩基配列が、
    ランダム配列である請求項18〜22のいずれかに記載
    のアンカー。
  24. 【請求項24】 挿入される塩基配列が、3塩基または
    4塩基からなるものである請求項18〜23のいずれか
    に記載のアンカー。
  25. 【請求項25】 4塩基の配列が、非天然アミノ酸に対
    応するCGGTである請求項24に記載のアンカー。
  26. 【請求項26】 認識配列の外側でDNAを切断する制
    限酵素が、6塩基からなる配列を認識する酵素である請
    求項18〜25のいずれかに記載のアンカー。
  27. 【請求項27】 認識配列の外側でDNAを切断する制
    限酵素が、BciVIである請求項26に記載のアンカ
    ー。
  28. 【請求項28】 末端の塩基配列が未知な1本鎖DNA
    にアンカーを連結させる方法であって、塩基配列のわか
    っている2本鎖の領域と標的DNAの末端塩基配列とハ
    イブリダイズするための1本鎖の塩基配列の部分とを有
    するアンカーを用いて、当該アンカーの標的DNAの末
    端塩基配列とハイブリダイズするための1本鎖の塩基配
    列がランダムな種々の塩基配列を有するアンカー群と1
    本鎖DNAとを接触させることからなる末端の塩基配列
    が未知な1本鎖DNAにアンカーを連結させる方法。
  29. 【請求項29】 アンカーの標的DNAの末端塩基配列
    とハイブリダイズするための1本鎖の塩基配列部分の
    3’末端及び/又は5’末端が保護されているアンカー
    である請求項28に記載の方法。
  30. 【請求項30】 3’末端の保護がアミノ化であり、
    5’末端の保護がリン酸化しない状態のままである請求
    項29に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002068634A3 (de) * 2001-02-28 2003-10-30 Volker Sieber Verfahren zur herstellung von genbibliotheken
JP2008527987A (ja) * 2005-01-20 2008-07-31 ユニバーシティ カレッジ カーディフ コンサルタンツ リミテッド ポリペプチド突然変異導入法

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