JP2002253230A - モノクローナル抗体、ハイブリドーマおよびその用途 - Google Patents

モノクローナル抗体、ハイブリドーマおよびその用途

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JP2002253230A JP2001059444A JP2001059444A JP2002253230A JP 2002253230 A JP2002253230 A JP 2002253230A JP 2001059444 A JP2001059444 A JP 2001059444A JP 2001059444 A JP2001059444 A JP 2001059444A JP 2002253230 A JP2002253230 A JP 2002253230A
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Hiroshi Narita
宏史 成田
Yoichi Kinekawa
洋一 杵川
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Daiichi Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱変性状態をも識別してオボムコイドを定
量し、卵アレルゲンの同定と正確な定量を可能とするこ
とを課題とする。 【解決手段】 オボムコイドを認識するモノクローナル
抗体で、未変性オボムコイドと反応するが熱変性オボム
コイドとは反応しないモノクローナル抗体、熱変性オボ
ムコイドと反応するが未変性オボムコイドとは反応しな
いモノクローナル抗体、及び未変性オボムコイドと熱変
性オボムコイドに反応するモノクローナル抗体、および
これらを産生するハイブリドーマ群を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鶏卵白オボムコイ
ドの熱変性状態を識別可能なモノクローナル抗体群とそ
れらを産生するハイブリドーマ群、およびそれらの製造
方法と用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在では三人に一人、すなわち一家に一
人は何らかのアレルギー疾患を持つと言われている。な
かでも食物アレルギーは、食品が生命の維持・成長を大
きく左右する乳幼児を中心に高い頻度で発症すること、
一旦感作が成立するとアレルギーマーチと言われるよう
に気管支喘息などへの移行が起こることから、一層深刻
な問題となっている。アレルゲンを含む主たる食品とし
て、卵、牛乳、大豆、米、小麦などが挙げられるが、乳
幼児で最も頻度が高いのは卵アレルギーである(厚生省
食物アレルギー対策検討委員会平成11年度報告書)。卵
アレルゲンとしてはオボアルブミン、オボトランスフェ
リン、オボムコイドが挙げられる。中でもオボムコイド
はその熱安定性や消化酵素に対する耐性から最も強力な
アレルゲンと考えられている。アレルギー治療の基本は
アレルゲンを摂取しないことである。従って、アレルゲ
ンの同定と正確な定量、その除去が重要な課題となって
いる。
【0003】オボムコイドの同定、定量に関してはすで
にポリクローナル抗体を用いた方法(Int. Archs. Alle
rgy appl. Immun., 75, 8-15, 1984)あるいはモノクロ
ーナル抗体を用いた方法(J. Nutr. Sci. Vitaminol. 4
5, 491-500, 1999)が公知である。これらはいずれもオ
ボムコイドを未変性単一状態と見なしている。しかしな
がら、現実に我々が食するのはほとんどの場合加熱処理
されたタンパク質(オボムコイド)であり、アレルゲン
性を問題にする以上、食物中におけるアレルゲンの存在
状態を考慮した方法を採らなければならないが、このよ
うな方法は、まだ開発されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、未変性オボ
ムコイド、熱変性オボムコイド、両者共に認識するモノ
クローナル抗体を作製し、これらを用いて、加熱変性状
態を識別してオボムコイドを定量する方法を確立するこ
とを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】低アレルゲン化あるいは
アレルギー診断試薬の調製を目的とした脱オボムコイド
法には、一般タンパク質の精製同様、クロマトグラフィ
ーにより取り除く方法、加熱法(J. Allergy Clin.Immu
nol., 100, 171-176, 1997)、エチルアルコール法(Bi
osci.Biotechnol.Biochem, 64, 2005-2007, 2000)が知
られているが操作が煩雑である、製品の物性に影響を与
える、オボムコイドの完全な除去が困難であるなどの欠
点があるが、モノクローナル抗体結合担体を用いればこ
れらの問題点を克服したオボムコイド除去法の開発が可
能であることを見い出し、本発明は完成された。
【0006】すなわち、本発明は、オボムコイドを認識
するモノクローナル抗体であって、未変性オボムコイド
と反応するが熱変性オボムコイドとは反応しないモノク
ローナル抗体(OM1H1A,OM10D3F)、熱変
性オボムコイドと反応するが未変性オボムコイドとは反
応しないモノクローナル抗体(OM6H11D)、未変
性オボムコイドと熱変性オボムコイドに反応するモノク
ローナル抗体(OM7D3F,OM8C3C)、および
これらを産生するハイブリドーマ群を提供する。
【0007】かかる本発明によれば、オボムコイドの熱
変性状態を識別しうる抗体および該抗体を用いた簡便か
つ高感度なオボムコイド免疫測定法並びにオボムコイド
の除去法が提供できる。
【0008】本発明のオボムコイドの熱変性状態を識別
可能モノクローナル抗体は、以下に示すようにすでに確
立されている方法により得ることができる。即ち、未変
性、熱変性オボムコイドの10-100μgを完全フロイント
アジュバントなどとの懸濁液としてマウスあるいはラッ
トに腹腔内投与する。不完全フロイントアジュバントを
用いて2〜4週間ごとに1〜数回追加免疫を行った後、
最終免疫の3〜4日後に脾臓を摘出し、その脾臓細胞と
ミエローマ(骨髄腫)細胞を融合させ、ハイブリドーマ
を得る。ミエローマ細胞として、マウスではSP−2、
NS−1、P3−U1、ラットではY3.Ag1.2.3 など
が使用される。ハイブリドーマは、前記の細胞融合処理
後の細胞を通常のハイブリドーマ選択培地(HAT培地:
ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む
培地)で培養することによって得られる。
【0009】脾臓細胞はHAT 培地中では増殖不可能であ
り、ミエローマ細胞はヒポキサンチン- グアニン- ホス
ホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)欠損株で
あるためアミノプテリンを含むHAT培地中では生育で
きない。従って、脾臓細胞からのHGPRT遺伝子を導
入され、HAT培地中で生育できた細胞がハイブリドー
マである。目的とする抗体を産生するハイブリドーマを
酵素免疫測定法(ELISA)により選択後、限界希釈
により単一クローン化を行い、増殖および抗体産生能に
おいて安定した株を確立する。
【0010】このようにして得られた本発明のモノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマは、通常の培地で継代培
養でき、液体窒素中で容易に長期保存が可能である。な
お、抗体の精製は、硫酸アンモニウムなどによる塩析、
ジエチル・アミノ・エチル・セルロースなどを用いるイ
オン交換カラムクロマトグラフィー、ゲル濾過、アフィ
ニティー・クロマトグラフィーなどの一般的なタンパク
質の単離・精製方法を用いて行われる。
【0011】本発明のオボムコイドに結合する抗体を用
いたオボムコイドの測定には、例えば「酵素免疫測定
法」(第2版、石川英治他著、医学書院、1982年)
などに記載されている公知の方法を用いることができ
る。ここでは酵素免疫測定法(ELISA)に基づくサ
ンドイッチ法について簡単に説明する。なお、蛍光免疫
測定法、化学発光免疫測定法、放射線免疫測定法もEL
ISAと同様な原理によるものである。
【0012】サンドイッチELISA法は、抗原を特異
性の異なる2 種の抗体に挟み込む方法で、一次抗体(固
相化抗体)と抗原(標準または検体)とを反応させたの
ち、これに酵素標識した二次抗体を結合させる。従って
酵素活性は二つの特異抗体に挟まれた抗原量を反映する
ことになる。検体中の抗原量は、既知濃度の標準遊離抗
原を用いて作成した検量線から算出することができる。
【0013】抗体を標識する酵素としては、ペルオキシ
ダーゼ、β- ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファタ
ーゼ、グルコースオキシダーゼなどがあり、これらの酵
素を「エンザイムイムノアッセイ」(生化学実験法1
1、石川栄治監訳、東京化学同人、1989年)「超高
感度酵素免疫測定法」(石川栄治著、学会出版センタ
ー、1993年)等に記載されている方法で抗体に標識
することができる。また感度をあげるためにAvidin Bio
tinylated enzyme Complex(ABC)法、Peroxidase-Anti-
Peroxidase(PAP)法なども使用される。一方、固相の支
持体としては、シリコン、ナイロン、プラスチック、ビ
ーズ、マイクロプレートもしくは試験管などが使用され
る。
【0014】一方、オボムコイド除去に用いられる該モ
ノクローナル抗体結合担体の作製およびこれを用いたオ
ボムコイドの除去に関しては「Antibodies」(Harlow &
Lane編集、Cold Spring Harbor Laboratory,198
8)などに記載されている公知の方法を用いることがで
きる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。実施例1 オボムコイドに結合するモノクローナル抗体の作製 (1) 抗原の調製 新鮮鶏卵より調製した水溶性卵白50mlを0.1M酢酸緩衝液
(pH3.8 )50mlと混合した。得られた卵白希釈液を0.1M
酢酸緩衝液(pH3.8)に対して透析後、6000×g、15分、
4 ℃にて遠心し、上清を回収後0.02%NaN3を入れ、4℃
で保存し卵白液(タンパク質量は40mg/ml )とした。
【0016】200ml の0.1 M酢酸緩衝液(pH3.8 )で平
衡化した40mlのカルボキシメチル基親水性ビニルポリマ
ーゲル濾過カラム(CMトヨパール650M,東ソー社製)に
(1) で得られた卵白液5ml と0.1M酢酸緩衝液(pH3.8)20
mlをよく混合した液をアプライした。0.1M酢酸緩衝液
(pH3.8 )でカラムを洗浄後、0.1M酢酸緩衝液(pH4.3
)200ml でオボムコイドを溶出した。回収したオボム
コイドは16mgであり、リン酸緩衝液(150mM 塩化ナトリ
ウムを含むリン酸濃度10mMの緩衝液、pH7.4 、以下PBS
と略す)に透析後未変性オボムコイドとして以下の実験
に供した。また、熱変性オボムコイドは1mg/ml のオボ
ムコイド PBS溶液を100 ℃で1時間加熱処理する事によ
り作製した。
【0017】(2) 免疫脾臓細胞の調製 6-8 週令の雌BALB/cマウスの腹腔内に抗原として未変性
あるいは熱変性したオボムコイド100 μg と完全フロイ
ントアジュバント(Freund's complete adjuvant、Di
fco 社製)とのエマルジョン(1容:1容)を投与し
た。2 週間後、上述抗原50μg と不完全フロイントアジ
ュバント(Freund's imcomplete adjuvant、Difco 社
製)とのエマルジョン(1容:1容)を腹腔内に投与
し、さらに2 週間後抗原50μg を含むPBS を腹腔内に投
与した。その3 日後にマウスを屠殺し、脾臓を摘出して
これをほぐし、基本培地(GIBCO 社製のL-グルタミン0.
3g/l、25mMヘペス含有 RPMI-1640培地にピルビン酸ナト
リウム0.11g/l、炭酸水素ナトリウム2g/l、結晶ペニシ
リンGカリウム1 万単位/l、ストレプトマイシン10mg/l
を加えた培地)に懸濁した後、脾臓細胞を遠心分離で回
収した。
【0018】(3) 細胞融合とHAT 選択 (2) で調製した脾臓細胞と10%ウシ胎仔血清を添加した
基本培地(以下、血清添加培地と記す)で培養した対数
増殖期のマウスミエローマ細胞NS-1を5 :1 の比率にな
るように混合し、基本培地で2 回洗浄した。遠心分離に
より細胞を回収し、細胞ペレットに平均分子量1500の50
%ポリエチレングリコール溶液(ベーリンガーマンハイ
ム山之内製薬)1mlを1分間かけて添加し、その後11
分間静置した。さらに20mlの基本培地を10分間かけて添
加し、細胞液を希釈した後、遠心分離により細胞を回収
した。この細胞を40mlのHAT 培地(4 ×10-7M アミノプ
テリン、1.6 ×10-5M チミジン、および1 ×10-4M ヒポ
キサンチンを含む血清添加培地)に懸濁し、96穴プレー
ト4枚に分注し、湿度100 %、炭酸ガス5 %、37℃で培
養を開始した。培養開始の翌日、HAT 培地を各ウェルに
100 μl 添加し、以後2 ないし3 日ごとに半量の培地を
新たなHAT 培地と交換し、培養を続けた。その結果、ほ
とんどすべてのウェルでハイブリドーマの増殖が認めら
れた。
【0019】(4) 抗体産生ハイブリドーマの取得 未変性あるいは熱変性したオボムコイドに結合する抗体
を産生するハイブリドーマのスクリーニングはELISA に
より行った。2 μg/mlのオボムコイドを50μl ずつELIS
A 用96穴プレートに加え、37℃で1 時間吸着させた後、
プレートをPBS で3 回洗浄した。各ウェルに1 %牛血清
アルブミンを含むPBS 溶液(以下BSA-PBSと記す)を200
μl 添加し、37℃で1 時間吸着させ、タンパク質の非
特異的吸着がおこらないように各ウェルを完全にブロッ
クし、さらにプレートをトリス- 塩酸緩衝液(150mM 塩
化ナトリウムを含む10mMトリス- 塩酸緩衝液pH7.4 ,以
下TBS と略す)で3回洗浄した。各ウェルに前記(3) で
得られたハイブリドーマの培養上清50μl を添加し、37
℃で1時間抗原抗体反応を行った。このプレートをTBS
で1回、0.05%ツイーン20(Bio-Rad 社製、ELISA gra
de)含有TBS (以下、Tween20-TBS と記す)で5回、さ
らにTBS で1回洗浄し、未反応の抗体を除去した。
【0020】次に、各ウェルにTween20-TBS で1000倍に
希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗マウス免疫グ
ロブリンG 抗血清(カッペル社)を50μl 添加し、37℃
で1 時間反応させ、PBS で1回、Tween20-TBS で5 回、
TBS で1回洗浄し、ついで各ウェルに基質であるp-ニト
ロフェニルリン酸を1mg/ml含むジエタノールアミン緩衝
液(10%ジエタノールアミン、0.5mM MgCl2 、 pH9.8)
を100 μl 添加し、室温で1時間から数時間反応させ、
マイクロプレートリーダー(Model 3550,Bio-Rad 社
製)を用いて反応液の405nm における吸光度を測定し、
固相抗原と結合した抗体を検出した。その結果未変性オ
ボムコイドで陽性な5ウェルと熱変性オボムコイドで陽
性な1ウェルが見つかった。
【0021】(5) ハイブリドーマのクローニング 抗体産生陽性ウェル6 個中の細胞を、限界希釈法により
クローニングを行った。増殖培地として血清添加培地に
増殖因子としてオライジェン(IGEN社製のB細胞増殖因
子を含む溶液)を10%になるように添加したものを用い
た。なお抗体産生細胞のスクリーニングは上記(4) と同
様のELISA を行い、陽性クローンを再度クローニングす
ることにより、未変性オボムコイド固相に結合するモノ
クローナル抗体を産生する5 種の細胞株1H1A, 2H12D, 7
D3F, 8C3C, 10D3Fと熱変性オボムコイド固相に結合する
モノクローナル抗体産生株 6H11Dを樹立した。
【0022】(6) モノクローナル抗体の免疫グロブリン
のサブクラスの決定 モノクローナル抗体産生細胞株が培養上清液中に分泌す
るモノクローナル抗体について、その免疫グロブリンの
サブクラスを、マウスモノクローナル抗体アイソタイピ
ングキット(アマーシャムファルマシアバイオテク社
製)を用いて調べた。モノクローナル抗体はすべてIgG1
であり、軽鎖はκであった。
【0023】(7) マウスモノクローナル抗体の精製 BALB/cマウスに腹水癌を誘導するために0.5ml のプリス
タンを腹腔内投与し、投与3 〜10日後に前記(5) で得ら
れた1 ×107 個のモノクローナル抗体産生細胞を腹腔内
に移植した。約2 週間後に腹水を採取し、50%飽和硫酸
アンモニウム塩析により粗モノクローナル抗体を得た。
この粗抗体はさらにプロテインA セファロース(アマー
シャム・ファルマシア・バイオテク社製)を用いて純化
し、PBS に対して透析後、4 ℃で保存した。腹水1mlあ
たり約5mgの精製抗体(モノクローナル抗体OM1H1A, OM
2H12D, OM7D3F, OM8C3C, OM10D3F, OM6H11D )を得た。
【0024】実施例2 オボムコイドに結合するモノクローナル抗体の特性決定 実施例1で得られたモノクローナル抗体のオボムコイド
に対する結合特性の解析のために競合ELISA を行った。
競合ELISA は、ELISA における特異抗体と固相化抗原と
の結合が遊離抗原を共存させることにより、容量依存的
に阻害される事を利用したもので、その阻害の程度によ
って抗体の抗原への結合親和性を明らかにすることがで
きる。
【0025】実施例1の(4) 同様、未変性オボムコイド
を固相化、ブロッキングした各ウェルに前記(7) で得ら
れたモノクローナル抗体(OM1H1A, OM2H12D, OM7D3F, O
M8C3C,OM10D3F, OM6H11D ) 200ng/ml を50μl と未変
性あるいは熱変性オボムコイド0, 0.01, 0.1, 1, 10, 1
00, 1000μg/mlを50μlずつ添加し、37℃で1時間抗原
抗体反応を行った。このプレートはその後実施例1の
(4)同様の処理され、アルカリホスファターゼ反応に
供された。その結果を図1〜3に示す。また、変性オボ
ムコイドを固相化したプレートを用いて、モノクローナ
ル抗体 OM6H11Dに対しても同様の競合ELISA を行った。
その結果を図4に示す。
【0026】モノクローナル抗体OM1H1Aは未変性オボム
コイドで強く阻害されたことから未変性オボムコイドを
特異的に認識している事が判明した(図1)。モノクロ
ーナル抗体 OM10D3FもOM1H1Aと同様の性質を示した。モ
ノクローナル抗体 OM2H12Dは遊離の変性、未変性どちら
でも阻害されず、固相化に伴う疎水変性オボムコイドを
特異的に認識していると思われた(図2)。モノクロー
ナル抗体 OM7D3F は変性、未変性オボムコイドによりほ
ぼ同程度阻害された事から熱変性を起こさない部位を認
識することが判明した(図3)。モノクローナル抗体 O
M8C3C もOM7D3Fと同様の性質を示した。一方、モノクロ
ーナル抗体 OM6H11DはOM1H1AやOM10D3F とは逆で、変性
オボムコイドで強く阻害されたことから変性オボムコイ
ドを特異的に認識している事が判明した(図4)。ま
た、図1〜4に表される阻害曲線を検量線として用いる
ことにより、未変性、熱変性、総オボムコイドの定量が
それぞれ可能である。
【0027】実施例3 サンドイッチELISA による熱変性状態の異なるオボムコ
イドの高感度定量 実施例2で、オボムコイドの熱変性状態を識別可能なモ
ノクローナル抗体群を用いた競合ELISA によって、熱変
性、未変性及び総オボムコイドの定量が可能であること
が明らかとなった。しかしながら、競合ELISA は共存物
質の影響を受けやすく、感度も低いため、アビジン- ビ
オチン系を用いたサンドイッチELISA による高感度化を
計った。
【0028】モノクローナル抗体OM7D3Fのビオチン化 モノクローナル抗体OM7D3FをPBS で十分透析後、その2m
g に対し、1mg/mlの Sulfo-NHS-LC-ビオチン(商品名:
PIERCE社製) 水溶液を74μl 攪拌しながら少量ずつ加
え、室温で30分放置した。これをPBS で十分透析し、ビ
オチン化モノクローナル抗体 OM7D3F とした。
【0029】(2)サンドイッチELISA モノクローナル抗体 OM10D3F、OM6H11D 、OM7D3Fの5 μ
g/ml PBS溶液50μl をそれぞれELISA プレートに固相化
したのち、実施例1の(4)同様ブロッキングした。各
ウェルに未変性あるいは熱変性オボムコイド0, 0.03,
0.1, 0.3, 1, 3,10, 30, 100, 300, 1000, 3000, 10000
ng/ml Tween 20-TBS溶液を50μlずつ添加し、37℃で
1時間放置した。洗浄後、各ウェルに2 μg/mlのビオチ
ン化モノクローナル抗体OM7D3F tween 20-TBS 溶液を50
μl ずつ添加し、37℃で1 時間放置した。Tween 20-TBS
洗浄後、さらに25 ng/mlのアルカリホスファターゼ標識
ストレプトアビジン(Oncogene Science社)Tween 20-T
BS溶液を50μl ずつ添加し、37℃で1 時間放置した。こ
のプレートはその後実施例1の(4) 同様に、アルカリホ
スファターゼ反応に供された。その結果を図5〜7に示
す。
【0030】図5に示されるように、モノクローナル抗
体OM10D3F とビオチン化OM7D3Fの組み合わせにより 3-3
00 ng/mlの範囲で未変性オボムコイドのみが、図6に示
されるようにモノクローナル抗体 OM6H11Dとビオチン化
OM7D3Fの組み合わせにより3-100 ng/ml の範囲で熱変性
オボムコイドのみがそれぞれほぼ特異的に定量可能であ
る。一方、モノクローナル抗体OM7D3Fとビオチン化OM7D
3Fの組み合わせでは、30-1000 ng/ml の範囲で未変性オ
ボムコイドと熱変性オボムコイドを同じ感度で定量可能
である(図7)。つまり、この系を用いれば総オボムコ
イドの定量が可能である。なお、モノクローナル抗体OM
7D3Fはオボムコイドの糖鎖認識抗体である事が判明して
いる。このことが、通常同じモノクローナル抗体同士の
サンドイッチELISA は成立しないにもかかわらずモノク
ローナル抗体OM7D3Fでは成立すること、モノクローナル
抗体OM7D3Fが加熱、非加熱オボムコイドを同等に認識す
る事を可能にしている。
【0031】実施例4 オボムコイドの加熱変性過程の追跡(図8) 実施例3で確認された3 種のサンドイッチELISA の応用
例としてオボムコイドの加熱変性過程の追跡実験を行っ
た。100 μg/mlのオボムコイドを100 μl ずつフタ付チ
ューブ4 本に分注し、これを沸騰水の中で0 、10、20、
30分加熱後氷水で急冷した。各チューブ中の試料を適当
に希釈して未知試料とし、実施例3 の3 種のELISA を行
い、未変性オボムコイドは図5の白丸を、熱変性オボム
コイドは図6の黒丸を、また総オボムコイドは図7の白
丸を検量線として定量した。
【0032】実施例5 オボムコイドに特異的に結合するモノクローナル抗体を
用いた脱オボムコイドタンパク質の作製 タンパク質の固定化に用いる担体としては種々市販され
ているが、本実施例ではアフィゲル10(BIO-RAD 社)を
用いた例を挙げる。また、脱オボムコイド化には、原料
として市販のオボアルブミン(Sigma 社OVA Grade VI)
を用いた例を挙げる。
【0033】(1) モノクローナル抗体の樹脂への固定化 結合緩衝液(0.15M 塩化ナトリウムを含む0.1M炭酸水素
ナトリウム緩衝液, pH8.5 )に対して十分透析された3.
8mg/mlのモノクローナル抗体OM7D3F3mlを冷水で洗浄し
たアフィゲル10の50%縣濁液4ml に加え、室温で2時
間、4℃で一夜転倒混和する。4℃、500rpm、5分間の
遠心により結合緩衝液で3回洗浄後、樹脂と等量の1Mエ
タノールアミン−塩酸緩衝液Buffer、pH8.0 を加えて室
温で1 時間放置した。得られた樹脂をPBS で洗浄した。
【0034】(2) モノクローナル抗体カラムを用いたオ
ボムコイドの除去 上記のように作製したモノクローナル抗体OM7D3Fの固定
化樹脂を小カラムに詰め、PBS で平衡化しておく。この
カラムにPBS に透析済みの2mg/mlのオボアルブミン(Si
gma 社OVA Grade VI)1mlを流し、1mlずつ分取した。
用いた試料と回収試料中のオボムコイド含量を図5に示
した検量線を用いて定量した結果、前者ではオボアルブ
ミンに対して0.44%のオボムコイドが混入していたが、
後者ではオボムコイドは全く検知できなかった。また、
ウエスタン解析によってもこのように調製したオボアル
ブミンがオボムコイドを含まないことが証明されてい
る。さらに、市販の抗オボアルブミン抗体のいくつかは
オボムコイドにも反応したが、このように調製されたオ
ボアルブミンを用いて作製したラット抗オボアルブミン
抗血清はオボムコイドには反応しなかった。
【0035】
【発明の効果】本発明では、主要食物アレルゲンである
オボムコイドをその熱変性状態を考慮して微量高感度に
定量可能となり、アレルギー診断、食品・生体中のオボ
ムコイドの評価、食品タンパク質の消化・吸収・体内移
行過程の解析など、その成果は臨床及び食品産業のよう
な応用領域のみならず、医学・薬学・農学などの基礎領
域に対しても非常に重要な貢献をもたらす。更に、該モ
ノクローナル抗体は低アレルゲン化を目的とした脱オボ
ムコイドタンパク質の調製法にも応用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はモノクローナル抗体OM1H1Aの競合ELISA
解析
【図2】図2はモノクローナル抗体OM2H12D の競合ELIS
A 解析
【図3】図3はモノクローナル抗体OM7D3Fの競合ELISA
解析
【図4】図4はモノクローナル抗体OM6H11D の競合ELIS
A 解析
【図5】図5はモノクローナル抗体OM10D3F とビオチン
化OM7D3Fによる未変性オボムコイドの定量系
【図6】図6はモノクローナル抗体 OM6H11Dとビオチン
化OM7D3Fによる熱変性オボムコイド定量系
【図7】図7はモノクローナル抗体OM7D3Fとビオチン化
OM7D3Fによる熱変性状態の影響を受けないオボムコイド
の定量系
【図8】図8オボムコイドの加熱変性過程の追跡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/53 C12N 15/00 C 33/577 5/00 B Fターム(参考) 4B024 AA05 AA11 BA53 GA03 HA15 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA10 DA13 4B065 AA92X AB05 AC14 BA08 CA25 CA41 CA46 4H045 AA11 AA20 AA30 CA40 DA76 EA50 EA61 FA72 GA26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オボムコイドを認識するモノクローナル抗
    体であって、未変性オボムコイドと反応するが熱変性オ
    ボムコイドとは反応しないモノクローナル抗体、熱変性
    オボムコイドと反応するが未変性オボムコイドとは反応
    しないモノクローナル抗体、未変性オボムコイドと熱変
    性オボムコイドに反応するモノクローナル抗体、および
    これらを産生するハイブリドーマ群。
  2. 【請求項2】未変性および熱変性オボムコイドに対する
    抗体を産生しうるマウスまたはラット脾臓細胞とマウス
    またはラットミエローマ細胞を融合させてハイブリドー
    マとし、このハイブリドーマを培養することにより請求
    項1のモノクローナル抗体群を製造する方法。
  3. 【請求項3】請求項2の方法を用いて製造したオボムコ
    イドを認識するモノクローナル抗体であって、(a) 未変
    性オボムコイドと反応するが熱変性オボムコイドとは反
    応しないモノクローナル抗体、(b) 熱変性オボムコイド
    と反応するが未変性オボムコイドとは反応しないモノク
    ローナル抗体、(c) 未変性オボムコイドと熱変性オボム
    コイドに反応するモノクローナル抗体、を用いるオボム
    コイドの免疫学的定量方法。
  4. 【請求項4】請求項2の方法を用いて製造したオボムコ
    イドを認識するモノクローナル抗体であって、(a) 未変
    性オボムコイドと反応するが熱変性オボムコイドとは反
    応しないモノクローナル抗体、(b) 熱変性オボムコイド
    と反応するが未変性オボムコイドとは反応しないモノク
    ローナル抗体、(c) 未変性オボムコイドと熱変性オボム
    コイドに反応するモノクローナル抗体、を用いるオボム
    コイドを除去した卵白タンパク質の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102650640A (zh) * 2012-04-24 2012-08-29 中国人民解放军第四军医大学 流感疫苗中的过敏原卵类粘蛋白或卵运铁蛋白定量检测

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