JP2002252226A - 半導体素子用の絶縁膜及びその絶縁膜成膜方法 - Google Patents

半導体素子用の絶縁膜及びその絶縁膜成膜方法

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JP2002252226A
JP2002252226A JP2001378861A JP2001378861A JP2002252226A JP 2002252226 A JP2002252226 A JP 2002252226A JP 2001378861 A JP2001378861 A JP 2001378861A JP 2001378861 A JP2001378861 A JP 2001378861A JP 2002252226 A JP2002252226 A JP 2002252226A
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JP
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insulating film
pressure
aggregate
film
substrate
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JP2001378861A
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English (en)
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Mika Mukojima
美香 向島
Takashi Nire
孝 楡
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Komatsu Ltd
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Komatsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 約2.0以下の比誘電率を有する半導体素子
用の絶縁膜及びその絶縁膜成膜方法を提供すること。 【解決手段】 半導体素子用の絶縁膜100は、基板6
0上に凝集体110が堆積され、更に緻密膜120が生
成された多層構造で形成されている。絶縁膜100の成
膜に際しては、約1KPaの圧力においてレーザアブレ
ーションを実施することにより凝集体110を作製す
る。次に、約1KPaの圧力から約10Paの圧力に遷
移させ、この約10Paの圧力の下で、圧力以外のパラ
メータ(例えばレーザエネルギー密度)を調整して、レ
ーザアブレーションを実施することにより緻密膜120
を作製する。凝集体110及び緻密膜120から構成さ
れる多層構造の各層の厚さ、及び各層の厚さの比は、タ
ーゲット70へのレーザ光の照射回数を調整することに
より調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子用の絶
縁膜及びその絶縁膜成膜方法に関し、特に低誘電率を有
する半導体素子用の絶縁膜及びその絶縁膜成膜方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体メモリたとえばLSIに
は、例えば0.13μmあるいは0.15μmの設計ル
ールに従って設計され実現されているものがある。
【0003】このようなLSIの動作においては、配線
の抵抗(抵抗成分)と配線間の容量(容量成分)との積
に比例する信号遅延が問題となる。このため、配線によ
る時定数τ∝(C・R)(C=静電容量、R=抵抗値)
を低減する必要がある。
【0004】たとえば、配線抵抗に関してはAlCu配
線からCu配線に変更して、抵抗値を低減するようにし
ている。一方、配線間容量に関しては、その配線間容量
に関係する比誘電率を小さくするようにした層間絶縁膜
を成膜して、静電容量を低減するようにしている。
【0005】半導体素子用の層間絶縁膜の成膜方法とし
ては、特開平11−186258号公報に記載されたも
のが知られている。
【0006】この公報に記載されたものでは、プラズマ
CVDチャンバ及びプラズマエッチングチャンバを備え
たマルチモジュールシステムを有するCVD装置によっ
て、気密性高品位シリコン酸化膜(SiO2)と、多孔
質シリコン酸化膜と、気密性高品位シリコン酸化膜(S
iO2)とから構成された3層構造であって比誘電率
(公報では誘電率と称しているが、比誘電率の誤りであ
ると思われる)が2.5〜3.5の層間絶縁膜を成膜し
ている。また高密度プラズマCVDおよびプラズマエッ
チングのプロセス条件を変更することにより連続成膜を
可能としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、半導
体メモリたとえばLSIにおいては、上述した0.13
μmあるいは0.15μmの設計ルールに基づいた微細
加工よりも更に微細化するために、0.07μmの設計
ルールが考えられている。この0.07μmの設計ルー
ルの世代では、層間絶縁膜の比誘電率は1.5まで低減
させる必要があると言われている。
【0008】しかしながら、上述した従来の公報に記載
された方法では、比誘電率が2.5〜3.5の層間絶縁
膜を成膜することはできるものの、次世代の設計ルール
0.07μmで必要とされる比誘電率1.5を達成する
ことはできない。
【0009】そこで、本発明は、約2.0以下の比誘電
率を有する半導体素子用の絶縁膜及びその絶縁膜成膜方
法を提供することを第1の解決課題とする。
【0010】また、上記公報に記載のものは、CVD
(化学的気相成長)により層間絶縁膜を成膜するように
しているので、絶縁膜の厚さを所望の値とすべく例えば
反応ガスの供給を停止したとしても、その時点において
チャンバ内で化学反応をしている場合には、その化学反
応したことにより膜は堆積されるので、膜厚の制御およ
び各層の厚さの比の制御を精度良く行うこはできない。
【0011】そこで、本発明は、半導体素子用の層間絶
縁膜としての低誘電率の絶縁膜を成膜するに際し、該絶
縁膜についての膜厚の制御および各層の厚さの比の制御
を精度良く行うことのできる半導体素子用の絶縁膜成膜
方法を提供することを第2の解決課題とする。
【0012】さらに、上記公報に記載のものは、プラズ
マCVDチャンバ及びプラズマエッチングチャンバを備
えたマルチモジュールシステムにより3層構造の層間絶
縁膜を成膜するようにしているので、チャンバを複数必
要とし、しかも、被処理半導体基板を各チャンバ間を搬
送させて処理するための装置が必要となり、装置全体が
複雑になってしまう。
【0013】そこで、本発明は、1つのチャンバ内で半
導体素子用の層間絶縁膜としての低誘電率の絶縁膜を成
膜することのできる半導体素子用の絶縁膜成膜方法を提
供することを第3の解決課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段、作用および効果】上記第
1の解決課題を達成するため、第1の発明は、基板上に
成膜される半導体素子用の絶縁膜において、前記基板の
成膜する面に対し垂直方向に凝集体と緻密膜とを有する
多層構造で形成されていることを特徴とする。
【0015】第1の発明に係る半導体素子用の絶縁膜1
00は、図1に示すように、基板60の成膜する面に対
し垂直方向に、凝集体110が堆積され、更に緻密膜1
20が生成された多層構造で形成されている。
【0016】この第1の発明によれば、緻密膜と空隙率
の高い凝集体とを有する多層構造の絶縁膜は低誘電率
(比誘電率の小さい)ものとなるので、低誘電率の半導
体素子用の絶縁膜(層間絶縁膜)を提供することができ
る。
【0017】次に、第2の発明は、第1の発明におい
て、前記多層構造は、凝集体と微粒子集合体と緻密膜と
を有して形成されていることを特徴とする。
【0018】第2の発明に係る半導体素子用の絶縁膜2
00は、図2に示すように、基板60の成膜する面に対
し垂直方向に、凝集体210が堆積され、次に微粒子集
合体220が堆積され、さらに緻密膜230が生成され
た多層構造で形成されている。
【0019】この第2の発明によれば、上記第1の発明
と同様の作用効果を得ることができる。また、第2の発
明では、凝集体と緻密膜との間に微粒子集合体が介在し
ているので、上記第1の発明の場合と比較して、凝集体
と緻密膜との間の密着強度を向上させることができる。
【0020】次に、第3の発明は、第1の発明におい
て、前記多層構造は、第1の緻密膜と凝集体と第2の緻
密膜とを有して形成されていることを特徴とする。
【0021】第3の発明に係る半導体素子用の絶縁膜3
00は、図3に示すように、基板60の成膜する面に対
し垂直方向に、緻密膜310(上記第1の緻密膜)が生
成され、次に凝集体320が堆積され、さらに緻密膜3
30(上記第2の緻密膜)が生成された多層構造で形成
されている。
【0022】この第3の発明によれば、上記第1の発明
と同様の作用効果を得ることができる。
【0023】次に、第4の発明は、第1の発明におい
て、前記多層構造は、第1の緻密膜と第1の微粒子集合
体と凝集体と第2の微粒子集合体と第2の緻密膜とを有
して形成されていることを特徴とする。
【0024】第4の発明に係る半導体素子用の絶縁膜4
00は、図4に示すように、基板60の成膜する面に対
し垂直方向に、緻密膜410(上記第1の緻密膜)が生
成され、次に微粒子集合体420(上記第1の微粒子集
合体)が堆積され、次いで凝集体430が堆積され、続
いて微粒子集合体440(上記第2の微粒子集合体)が
堆積され、さらに緻密膜450(上記第2の緻密膜)が
生成された多層構造で形成されている。
【0025】この第4の発明によれば、上記第1の発明
と同様の作用効果を得ることができる。また、第4の発
明では、凝集体と緻密膜との間に微粒子集合体が介在し
ているので、上記第3の発明の場合と比較して、第1の
緻密膜と凝集体との間、及び該凝集体と第2の緻密膜と
の間の密着強度を向上させることができる。
【0026】次に、第5の発明は、第1乃至第4の発明
うちの何れかの発明において、前記多層構造の凝集体
は、柱状の凝集体から構成されていることを特徴とす
る。
【0027】第5の発明に係る半導体素子用の絶縁膜5
00は、例えば図5に示すように、基板60の成膜する
面に対し垂直方向に、柱状の凝集体510が堆積され、
次に緻密膜520が生成された多層構造で形成されてい
る。
【0028】この第5の発明によれば、上記第1乃至第
4の発明のうちの何れかの発明と同様の作用効果を得る
ことができる。なお、第5の発明では、柱状の凝集体を
有している絶縁膜であることから、上記第1乃至第4の
発明の場合と比較して、より一層空隙率の高い半導体素
子用の絶縁膜すなわち、より一層低誘電率(比誘電率の
低い)の半導体素子用の絶縁膜を提供することができ
る。
【0029】次に、第6の発明は、第1乃至第5の発明
のうちの何れかの発明において、前記凝集体の内部が微
粒子から構成されていることを特徴とする。
【0030】この第6の発明によれば、凝集体の内部が
微粒子で構成されているのであるから、上記第1乃至第
5の発明の場合と比較して、より一層空隙率の高い半導
体素子用の絶縁膜すなわち、より一層低誘電率(比誘電
率の低い)の半導体素子用の絶縁膜を提供することがで
きる。
【0031】次に、第7の発明は、第1乃至第6の発明
のうちの何れかの発明において、前記多層構造において
は、1つの緻密膜が最上位に形成されていることを特徴
とする。
【0032】この第7の発明によれば、多層構造の絶縁
膜の上位層は緻密膜で形成されているので、密着性が良
く、しかも機械的強度も化学的強度も強い半導体素子用
の絶縁膜を提供することができる。
【0033】また、上記第1乃至第3の解決課題を達成
するため、第8の発明に係る半導体素子用の絶縁膜成膜
方法は、ターゲットと基板とをチャンバ内に配置し、該
チャンバ内の気体の圧力を所定の値に変化させて当該気
体中で前記ターゲットに対するレーザアブレーションに
より、前記基板上に絶縁膜を成膜することを特徴とす
る。
【0034】第8の発明によれば、1つの半導体素子用
の絶縁膜を成膜するに際し、レーザアブレーション時
に、雰囲気ガスの圧力を変化させるだけで、低誘電率
(比誘電率の小さい)を可能にする多層構造を連続的に
作製することができる。
【0035】次に、第9の発明に係る半導体素子用の絶
縁膜成膜方法は、チャンバ内にターゲットと基板とを所
定の距離を経て配置する配置工程と、前記チャンバ内に
所定の気体を注入する注入工程と、前記注入工程により
前記気体が注入された状態の前記チャンバ内の気体の圧
力を連続的に遷移させる圧力遷移工程と、前記圧力遷移
工程により前記チャンバ内の圧力が連続的に遷移する過
程でレーザアブレーション法により、前記気体が注入さ
れた状態のチャンバの外部より前記ターゲットに向けて
レーザ光を照射して、前記基板上に絶縁膜を成膜する成
膜工程とを含むことを特徴とする。
【0036】第9の発明は、第8の発明を他の観点によ
る方法の発明として捉えたものである。
【0037】次に、第10の発明に係る半導体素子用の
絶縁膜成膜方法は、第8又は第9の発明において、前記
絶縁膜は、請求項1乃至7のうちの何れかの請求項記載
の半導体素子用の絶縁膜であることを特徴とする。
【0038】第10の発明に係る半導体素子用の絶縁膜
成膜方法では、チャンバ内の雰囲気ガスの圧力を連続的
に適宜な圧力値に変化させながら当該雰囲気ガス中で前
記ターゲットに対するレーザアブレーションを実施する
ことにより、上記第1乃至第7の発明に係る半導体素子
用の絶縁膜を成膜する。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。
【0040】本実施形態では、ターゲットと基板とをチ
ャンバ内に配置し、該チャンバ内の雰囲気ガスの圧力を
連続的に変化させながら当該雰囲気ガス中で前記ターゲ
ットに対するレーザアブレーションにより、前記基板上
に多層構造で形成される絶縁膜を成膜するようにしてい
る。
【0041】このレーザアブレーションとは、ターゲッ
トにレーザ(レーザ光)を照射することによりターゲッ
トにおける照射部分の表面を高温および溶融状態にし、
その表面を蒸発気化させてクラスター化させることによ
り、このクラスターを基板に付着させることにより薄膜
を形成することである。
【0042】図7は、本発明に係る半導体素子用の絶縁
膜成膜方法を実現するための装置10の構成図を示して
いる。
【0043】図7に示すように、装置10は、大別し
て、真空チャンバ20、真空ポンプ30、ボンベ40、
レーザ装置50、基板60、ターゲット70、圧力セン
サ80及びコントローラ90を有して構成されている。
【0044】真空チャンバ20内に、ヒータ付き基板ホ
ルダ61に保持されている基板60と、ターンテーブル
71に載置されているターゲット70とを、所定の距離
を経て対向するように配置している。また、真空チャン
バ20は、真空ポンプ30と配管21を介して接続され
ていると共に、ボンベ40と配管22を介して接続され
ている。さらに、真空チャンバ20には、レーザ装置5
0から出射されたレーザ光をターゲット70の所定の位
置に集光させる集光レンズ23が取り付けられている。
【0045】なお、基板60とターゲット70との間の
距離(以下、ターゲット−基板間距離という)およびタ
ーゲット70へのレーザ装置50からのレーザ光の照射
角度は、基板60に均一な絶縁膜が成膜できるような値
に設定されている。
【0046】真空ポンプ30は、図示しないバルブを開
状態にして真空チャンバ20内の雰囲気ガスの圧力を調
整する。
【0047】ボンベ40からは、図示しないバルブを開
状態にすることで、真空チャンバ20へ酸素が供給され
るようになっている。真空チャンバ20へは、酸素のみ
を供給するようにしても良いし、酸素と窒素の混合ガス
など酸素を含む気体を供給するようにしても良い。
【0048】さらに、上記酸素を含む気体とは、酸素原
子を含む気体であれば良く、例えば、上記酸素(O
2)、亜酸化窒素(N2O)、オゾン(O3)などの中か
ら少なくとも一種類を含む気体であれば良い。また、以
降の記述において、「酸素」には「酸素原子」も含まれ
るものとする。
【0049】レーザ装置50としては、たとえばKrF
エキシマレーザやArFエキシマレーザなどのエキシマ
レーザ装置、固体レーザ装置などを用いれば良い。
【0050】ヒータ付き基板ホルダ61は、移動ステー
ジ62に取り付けられた状態で、基板60を保持する。
ヒータ付き基板ホルダ61の内部には基板60を加熱す
るヒータ(図示せず)が備えられている。このヒータ
は、低温で堆積された膜をアニールすることによって良
質の薄膜を形成するポストアニールや、堆積時に基板自
身を所定の温度の範囲内に保持して良質な薄膜の形成が
行えるように構成されている。
【0051】移動ステージ62は、X軸方向、Y軸方向
及びZ軸方向(垂直方向)に移動可能になっている。移
動ステージ62をX軸及びY軸方向に移動することによ
り、基板60の所望の範囲に絶縁膜を成膜させることが
できる。また移動ステージ62をZ軸方向に移動するこ
とにより、基板60とターゲット70との距離を調整す
ることができる。
【0052】ターンテーブル71は図示しないモータで
回転させることが可能になっており、このターンテーブ
ル71を回転させることで、ターゲット70の同一部分
のみがレーザ照射されて局所的にクレータが生じること
がないように、レーザ照射の均一化を図ることができ
る。
【0053】圧力センサ80は、真空チャンバ20内の
雰囲気ガスの圧力を検出し、この検出した圧力値をコン
トローラ90に出力する。
【0054】コントローラ90は、成膜条件に応じて、
真空ポンプ30、レーザ装置50、ヒータ付き基板ホル
ダ61、移動ステージ62及びターンテーブル71を制
御する。例えば、圧力センサ80からの圧力値に基づい
て、真空ポンプ30に対して所望の圧力にすべく指令を
出力する。
【0055】なお、本実施形態では、ターゲット70は
シリコン(Si)を有する材料で構成されている。
【0056】ここで、半導体素子用の絶縁膜の成膜条件
としてのパラメータとしては、(1)雰囲気ガス(種類と
圧力)(2)レーザのエネルギー強度(エネルギー密
度)、(3)レーザ繰り返し周波数、(4)基板の温度(ヒー
タ温度)、(5)ターゲット−基板間距離、(6)レーザ照射
角度、(7)レーザのショット数などがある。
【0057】これらのパラメータのうち、上記(6)のパ
ラメータは、基板に均一な絶縁膜が成膜できるようにす
るための条件であり、1つの基板に対する絶縁膜の成膜
に際しては一度設定した値は変更されることはない。
【0058】一方、上記(1)〜(5)、(7)のパラメータ
は、絶縁膜の空隙率つまり比誘電率を所望の値に調整す
るための条件であり、1つの基板に対する絶縁膜の成膜
に際し、適切な値に調整される。
【0059】次に、装置10による半導体素子用の絶縁
膜成膜方法の例について図7を参照して説明する。
【0060】(1)配置工程 最初に、真空チャンバ20内に基板60とターゲット7
0とを所定の距離を経て設置する。このとき、基板60
およびターゲット70の配置、及びレーザ照射角度は基
板60に均一な絶縁膜が成膜できるように配置する。な
お、ヒータ付き基板ホルダ61内のヒータを上記成膜条
件に応じて適時加熱する。
【0061】(2)注入工程 次に、真空ポンプ30はコントローラ90の指示に従っ
て真空チャンバ20内を真空にする。またボンベ40の
図示しないバルブを開けて真空ポンプ20内に、気体
(例えば酸素)を例えば数torr〜数100torr
の圧力範囲内で導入する。
【0062】(3)圧力遷移工程 真空ポンプ30は、圧力センサ80からの圧力値および
予め設定される成膜条件を示す情報に基づいて決定した
コントローラ90からの指示に従って、注入工程により
気体(雰囲気ガス)が注入された状態の真空チャンバ2
0内の雰囲気ガスの圧力を連続的に遷移させる。
【0063】この圧力の遷移状態には、緻密膜を形成さ
せることができる程度の圧力(これを第1の圧力とす
る)の状態、凝集体を形成させることができる程度の圧
力(これを第2の圧力とする)の状態、前記第1の圧力
と前記第2の圧力との間の圧力(これを第3の圧力とす
る)の状態が含まれている。
【0064】また、圧力の遷移過程としては、第1の圧
力から第2の圧力へ又は第2の圧力から第1の圧力へ、
素早く遷移させる場合と徐々に遷移させる場合とがあ
る。
【0065】(4)成膜工程 真空チャンバ20内の圧力が、圧力遷移工程により遷移
された各遷移状態での圧力になった状態において、レー
ザ装置50からターゲット70へのレーザ照射によるレ
ーザアブレーションが実施されて、詳細は後述するが各
遷移状態での圧力に応じた構造の絶縁膜が生成される。
【0066】すなわち、上記各遷移状態での圧力におい
て、レーザアブレーション法により、真空チャンバ20
の外部に配置されているレーザ装置50からターゲット
70に向けてレーザ光Lを照射して、基板60上に絶縁
膜を成膜する。
【0067】勿論、半導体素子用の絶縁膜は、真空チャ
ンバ20内の雰囲気ガスの圧力以外にも、上記成膜条件
としてのパラメータ(2)〜(5)、(7)の値を調整
することで、絶縁膜の構造が異なってくるので、必要に
応じて上記成膜条件としてのパラメータ(2)〜
(5)、(7)の値を調整して、レーザアブレーション
を実施することになる。
【0068】ここで、パラメータ(2)=レーザのエネ
ルギー強度(エネルギー密度)の値あるいはパラメータ
(3)=レーザ繰り返し周波数の値あるいはパラメータ
(7)=レーザのショット数の値を調整する場合には、
コントローラ90は、レーザ装置50に対して、所望の
エネルギー強度あるいは所望のレーザ繰り返し周波数あ
るいはレーザのショット数又はそれらの変化量を示すデ
ータと共にエネルギー強度あるいは周波数あるいはショ
ット数を調整すべき旨の指令を出力する。
【0069】また、パラメータ(4)=基板の温度(ヒ
ータ温度)の値を調整する場合には、コントローラ90
は、ヒータ付き基板ホルダ61のヒータに対して、所望
の温度又は温度変化量を示すデータと共に温度調整すべ
き旨の指令を出力する。
【0070】さらに、パラメータ(5)=ターゲット−
基板間距離の値を調整する場合には、コントローラ90
は、移動ステージ62に対して、Z軸方向(垂直方向)
への移動量を示すデータと共に移動すべき旨の指令を出
力する。
【0071】ところで、上述した第1の圧力、第2の圧
力および第3の圧力の各圧力に遷移した遷移状態におい
て、レーザアブレーションを実施した場合には、これら
各遷移状態での圧力においては、異なった構造の絶縁膜
が生成されることが知られている。
【0072】そこで、次に雰囲気ガスの圧力の相違によ
る絶縁膜について、図8を参照して説明する。
【0073】アブレーション時、真空チャンバ20内の
雰囲気ガスの圧力が低く(上記第1の圧力)、平均自由
行程がターゲット−基板間距離より十分長ければ、原子
分子が他の原子分子とぶつからず直接基板に到達して、
図8(a)に示すように、基板60に到達した原子分子
610は基板60上をマイグレーションして、基板60
上に緻密な膜(以下、緻密膜という)が生成される。
【0074】また、アブレーション時、真空チャンバ2
0内の雰囲気ガスの圧力が上記第1の圧力より高くなる
と(上記第3の圧力)、図8(b)に示すように、原子
分子が凝集して微粒子状(つまり微粒子集合体)620
になって基板60に到達して、基板60上に微粒子(つ
まり微粒子集合体)620が堆積される。
【0075】さらに、アブレーション時、真空チャンバ
20内の雰囲気ガスの圧力が更に高く(上記第2の圧
力)、平均自由行程がターゲット−基板間距離より十分
短くなれば、図8(c)に示すように、微粒子が雰囲気
ガス分子と衝突して運動エネルギーを失い、微粒子同士
が会合して凝集体(aggregates)630が生成され、基
板60上に堆積される。なお、雰囲気ガスの圧力が高い
ほど凝集体630のサイズは大きくなる。
【0076】具体的には、上記各圧力の下で、シリコン
(Si)をターゲットにして、酸素を含む雰囲気ガス中
でレーザアブレーションにより成膜するとSiO2膜が
得られる。すなわち、空隙とシリコン(Si)及び酸素
とを含むクラスターが基板60上に付着することで、基
板60上に空隙とシリコン(Si)及び酸素とを含む膜
たとえばSiO2膜が成膜される。
【0077】なお以下、本実施形態においては、凝集体
630を形成させることができる程度の圧力(上記第2
の圧力に対応)たとえば約1KPa(単位:キロパスカ
ル)の状態を圧力遷移状態1といい、微粒子集合体62
0を形成させることができる程度の圧力(上記第3の圧
力に対応)の状態を圧力遷移状態2といい、緻密膜(原
子分子610のみによる緻密な膜)を形成させることが
できる程度の圧力(上記第1の圧力に対応)たとえば約
10Pa(単位:パスカル)の状態を圧力遷移状態3と
いう。
【0078】次に、上述したような半導体素子用の絶縁
膜成膜方法により成膜される各種の絶縁膜について説明
する。
【0079】図1乃至図6は、本発明の実施形態に係る
半導体素子用の絶縁膜の断面模式図を示している。
【0080】ここでは、半導体素子用の各種絶縁膜とと
もに、それらの絶縁膜の具体的な成膜方法を説明する。
また、酸素を含む雰囲気ガス中で、シリコン(Si)を
ターゲットとしたレーザアブレーションを実施すること
により、半導体素子用の絶縁膜としてSiO2膜を成膜
する場合を想定する。
【0081】図1において、半導体素子用の絶縁膜10
0は、基板60の成膜する面に対し垂直方向に、凝集体
110が堆積され、更に緻密膜120が生成された多層
構造で形成されている。
【0082】この場合の絶縁膜の成膜方法としては、最
初に、真空チャンバ20内の雰囲気ガスの圧力が圧力遷
移状態1での圧力(例えば1KPa)においてレーザア
ブレーションを実施することにより凝集体110を作製
する。次に、圧力遷移状態1での圧力から圧力遷移状態
3での圧力(例えば10Pa)に遷移させ、この圧力遷
移状態3での圧力の下で、上記成膜条件としてのパラメ
ータ(2)〜(5)、(7)の値を調整して、レーザア
ブレーションを実施することにより緻密膜120を作製
する。
【0083】なお、凝集体110及び緻密膜120から
構成される多層構造の各層の厚さ、及び各層の厚さの比
は、例えばレーザ装置50からターゲット70へのレー
ザ光の照射回数を調整することにより調整する。
【0084】このようにして成膜される絶縁膜100
は、凝集体110の上面を緻密膜120で覆う多層構造
になっている。換言すれば、凝集体110から緻密膜1
20に不連続に変化するものとなっている。
【0085】このような半導体素子用の絶縁膜100に
おいては、特に凝集体110に空隙が形成されているの
で、誘電率(比誘電率)を低下させることができる。
【0086】図2において、半導体素子用の絶縁膜20
0は、基板60の成膜する面に対し垂直方向に、凝集体
210が堆積され、次に微粒子集合体220が堆積さ
れ、さらに緻密膜230が生成された多層構造で形成さ
れている。
【0087】この場合の絶縁膜の成膜方法としては、最
初に、真空チャンバ20内の雰囲気ガスの圧力が圧力遷
移状態1での圧力(例えば1KPa)においてレーザア
ブレーションを実施することにより凝集体210を作製
する。
【0088】次に、圧力遷移状態1での圧力を徐々に圧
力遷移状態3での圧力(例えば10Pa)まで遷移させ
る。この場合は、圧力遷移状態1から圧力遷移状態3に
徐々遷移するので、この遷移過程においては、圧力遷移
状態2が存在することになる。この圧力遷移状態2での
圧力においてレーザアブレーションを実施することによ
り微粒子集合体220が凝集体210に堆積される。
【0089】そして、圧力遷移状態2から圧力遷移状態
3に遷移した場合に、この圧力遷移状態3での圧力(例
えば10Pa)の下で、上記成膜条件としてのパラメー
タ(2)〜(5)、(7)の値を調整して、レーザアブ
レーションを実施することにより緻密膜230を作製す
る。
【0090】なお、凝集体210、微粒子集合体220
及び緻密膜230から構成される多層構造の各層の厚
さ、及び各層の厚さの比は、例えばレーザ装置50から
ターゲット70へのレーザ光の照射回数を調整すること
により調整する。
【0091】このようにして成膜される絶縁膜200
は、凝集体210の上部が徐々に緻密膜230に変化
し、これら両者間に微粒子集合体220が介在している
多層構造になっている。換言すれば、凝集体210から
緻密膜230に連続的に変化するものとなっている。
【0092】このような半導体素子用の絶縁膜200に
おいては、凝集体と緻密膜との間に微粒子集合体が介在
して、両層が連続的に繋がっているので、上記絶縁膜1
00の場合と比較して、誘電率(比誘電率)は高くなる
ものの、凝集体と緻密膜間の密着強度は大きくなってい
る。
【0093】図3において、半導体素子用の絶縁膜30
0は、基板60の成膜する面に対し垂直方向に、緻密膜
310が生成され、次に凝集体320が堆積され、さら
に緻密膜330が生成された多層構造で形成されてい
る。
【0094】この場合の絶縁膜の成膜方法としては、最
初に、真空チャンバ20内の雰囲気ガスの圧力が圧力遷
移状態3での圧力(例えば10Pa)においてレーザア
ブレーションを実施することにより緻密膜310を生成
する。
【0095】次に、圧力遷移状態3での圧力から圧力遷
移状態1での圧力(例えば1KPa)に遷移させ、この
圧力遷移状態1での圧力の下で、上記成膜条件としての
パラメータ(2)〜(5)、(7)の値を調整して、レ
ーザアブレーションを実施することにより凝集体320
を作製する。
【0096】続いて、圧力遷移状態1での圧力から圧力
遷移状態3での圧力(例えば10Pa)に遷移させ、こ
の圧力遷移状態3での圧力の下で、上記成膜条件として
のパラメータ(2)〜(5)、(7)の値を調整して、
レーザアブレーションを実施することにより緻密膜33
0を作製する。
【0097】なお、緻密膜310、凝集体320及び緻
密膜330から構成される多層構造の各層の厚さ、及び
各層の厚さの比は、例えばレーザ装置50からターゲッ
ト70へのレーザ光の照射回数を調整することにより調
整する。
【0098】このようにして成膜される絶縁膜300
は、凝集体320における上面と下面を緻密膜310、
330で覆う多層構造になっている。換言すれば、凝集
体320から緻密膜310、330に不連続に変化する
ものとなっている。
【0099】このような半導体素子用の絶縁膜300に
おいては、特に凝集体320に空隙が形成されているの
で、誘電率(比誘電率)を低下させることができる。
【0100】図4において、半導体素子用の絶縁膜40
0は、基板60の成膜する面に対し垂直方向に、緻密膜
410が生成され、次に微粒子集合体420が堆積さ
れ、次いで凝集体430が堆積され、続いて微粒子集合
体440が堆積され、さらに緻密膜450が生成された
多層構造で形成されている。
【0101】この場合の絶縁膜の成膜方法としては、最
初に、真空チャンバ20内の雰囲気ガスの圧力が圧力遷
移状態3での圧力(例えば10Pa)においてレーザア
ブレーションを実施することにより緻密膜410を生成
する。
【0102】次に、圧力遷移状態3での圧力を徐々に圧
力遷移状態1での圧力(例えば1KPa)まで遷移させ
る。この場合は、圧力遷移状態3から圧力遷移状態1に
徐々に遷移するので、この遷移過程においては、圧力遷
移状態2が存在することになる。この圧力遷移状態2で
の圧力においてレーザアブレーションを実施することに
より微粒子集合体420が緻密膜410に堆積される。
【0103】そして、圧力遷移状態2から圧力遷移状態
1に遷移した場合に、この圧力遷移状態1での圧力(例
えば1KPa)の下で、上記成膜条件としてのパラメー
タ(2)〜(5)、(7)の値を調整して、レーザアブ
レーションを実施することにより凝集体430を作製す
る。
【0104】さらに、圧力遷移状態1での圧力(例えば
1KPa)を徐々に圧力遷移状態3での圧力(例えば1
0Pa)まで遷移させる。この場合は、圧力遷移状態1
から圧力遷移状態3に徐々に遷移するので、この遷移過
程においては、上記同様に圧力遷移状態2が存在するこ
とになる。この圧力遷移状態2での圧力においてレーザ
アブレーションを実施することにより微粒子集合体44
0が凝集体430に堆積される。
【0105】そして、圧力遷移状態2から圧力遷移状態
3に遷移した場合に、この圧力遷移状態3での圧力(例
えば10Pa)の下で、上記成膜条件としてのパラメー
タ(2)〜(5)、(7)の値を調整して、レーザアブ
レーションを実施することにより緻密膜450を作製す
る。
【0106】なお、緻密膜410、微粒子集合体42
0、凝集体430、微粒子集合体440および緻密膜4
50から構成される多層構造の各層の厚さ、及び各層の
厚さの比は、例えばレーザ装置50からターゲット70
へのレーザ光の照射回数を調整することにより調整す
る。
【0107】このようにして成膜される絶縁膜400
は、凝集体430における上部と下部が徐々に緻密膜4
10、450に変化し、これら上部及び下部での両者間
に微粒子集合体420、440が介在している多層構造
になっている。換言すれば、凝集体320から緻密膜3
10、330に連続的に変化するものとなっている。
【0108】このような半導体素子用の絶縁膜400に
おいては、凝集体と緻密膜との間に微粒子集合体を挟
み、両層が連続的に繋がっているので、上記絶縁膜30
0の場合と比較して、誘電率(比誘電率)は高くなるも
のの、凝集体と緻密膜間の密着強度は大きくなってい
る。
【0109】図5において、半導体素子用の絶縁膜50
0は、基板60の成膜する面に対し垂直方向に、柱状の
凝集体510が堆積され、次に緻密膜520が生成され
た多層構造で形成されている。
【0110】この場合の絶縁膜の成膜方法としては、最
初に、真空チャンバ20内の雰囲気ガスの圧力が柱状の
凝集体510を形成させることができる程度の圧力にお
いて、上記成膜条件としてのパラメータ(2)〜
(5)、(7)の値を調整して、レーザアブレーション
を実施することにより柱状の凝集体510を作製する。
【0111】次に、柱状の凝集体510を形成させるこ
とができる程度の圧力から圧力遷移状態3での圧力に遷
移させ、この圧力遷移状態3での圧力(例えば10P
a)の下で、上記成膜条件としてのパラメータ(2)〜
(5)、(7)の値を調整して、レーザアブレーション
を実施することにより緻密膜520を作製する。
【0112】なお、柱状の凝集体510及び緻密膜52
0から構成される多層構造の各層の厚さ、及び各層の厚
さの比は、例えばレーザ装置50からターゲット70へ
のレーザ光の照射回数を調整することにより調整する。
【0113】このような半導体素子用の絶縁膜500に
おいては、特に柱状の凝集体510は、例えば上記絶縁
膜100における凝集体110と比較して空隙率が高く
なるため、上記絶縁膜100の場合と比較して誘電率
(比誘電率)を大幅に低下させることができる。
【0114】なお、図5に示す半導体素子用の絶縁膜5
00は、図1に示した半導体素子用の絶縁膜100にお
いて凝集体110が柱状の凝集体に変更した多層構造の
ものに相当するものである。従って、図2乃至図4示し
た半導体素子用の絶縁膜においては、当該絶縁膜におけ
る凝集体を、上述した柱状の凝集体510を作製する工
程を施すことにより柱状の凝集体に変更した多層構造の
もにすることができる。
【0115】このようにして上記絶縁膜200、30
0、400において凝集体に代替して柱状の凝集体を作
製したものの絶縁膜を成膜した場合には、これら各絶縁
膜200、300、400の場合と比較して、各々空隙
率が高くなるため誘電率(比誘電率)を大幅に低下させ
ることができる。
【0116】ところで、柱状の凝集体としては、図5に
示したような柱状の凝集体500の他に、図6に示すよ
うな柱状の凝集体も作製することができる。
【0117】すなわち、図6において、半導体素子用の
絶縁膜700は、基板60の成膜する面に対し垂直方向
に、緻密膜710が生成され、次に微粒子集合体720
が堆積され、次いで柱状凝集体730が堆積され、続い
て微粒子集合体740が堆積され、さらに緻密膜750
が生成された多層構造で形成されている。
【0118】この場合の絶縁膜の成膜方法としては、柱
状の凝集体を持つ絶縁膜を作るときに、徐々に圧力など
のパラメータを変化させる。このようにして図6に示し
たような多層構造の絶縁膜700を作ることによって、
空隙率を高めると共に強度も高めることができ、更に安
定な緻密膜を成膜することができる。
【0119】内部が微粒子で構成された凝集体を有する
多層構造の絶縁膜においては、上記各絶縁膜100〜5
00における各凝集体(内部が微粒子で構成されていな
い凝集体)と比較して、空隙率を高くすることができ、
よって上記各絶縁膜100〜500の場合と比較して、
より一層、誘電率(比誘電率)を大幅に低下させること
ができる。
【0120】上述した半導体素子用の絶縁膜は、その構
造によって誘電率(あるいは比誘電率)、絶縁膜表面の
平坦性、多層構造における各層(構造)間の密着密度が
異なるため、半導体素子用の絶縁膜の成膜に際しては、
必要に応じて適当な構造を選択することになる。
【0121】なお、上述した実施形態では、酸素を含む
雰囲気ガス中で、シリコン(Si)をターゲットとした
レーザアブレーションを実施することにより、半導体素
子用の絶縁膜としてSiO2(二酸化シリコン)膜を成
膜する場合を想定したが、本発明はこれに限定されるこ
となく、次のようにしても良い。
【0122】すなわち、レーザアブレーションはターゲ
ットや雰囲気ガスを選ばないため、他のターゲットや他
の雰囲気ガスの下でレーザアブレーションを実施する。
これによって、SiOF(フッ素添加シリコン酸化
物)、SiOC(炭素添加シリコン酸化物)、CF(フ
ロロカーボン)、有機系などの低誘電膜を作製すること
もできる。
【0123】以上説明したように本実施形態によれば、
緻密膜と空隙率の高い凝集体とから構成される多層構造
の半導体素子用の絶縁膜を成膜するようにしているの
で、以下のような作用効果を期待することができる。
【0124】(1)20%以上の空隙率を有する凝集体
を作製することで、比誘電率の小さい(つまり低誘電率
の)半導体素子用の層間絶縁膜としての絶縁膜を成膜
し、提供することができる。成膜時に圧力などのパラメ
ータを制御することによって、例えば内部が詰まった球
状の微粒子集合体同士が最密構造をとる構造をつくると
(全ての微粒子集合体は同じ半径を持つものとする)、
約26%の空隙率を持つことになる。更に疎な構造を作
ることによって更に空隙率を高めることができる。
【0125】特に、凝集体を柱状の凝集体あるいは内部
が微粒子から構成される凝集体とすることで、上記の場
合と比較して、より一層空隙率が高くなり、よって、よ
り一層比誘電率の低い半導体素子用の絶縁膜を成膜し、
提供することができる。
【0126】すなわち、0.07μmの設計ルールを適
用すると思われる次世代半導体プロセスに必要な比誘電
率が1.5である半導体素子用の絶縁膜(層間絶縁膜)
を成膜し、提供することができる。
【0127】(2)また、多層構造の絶縁膜の上位層は
緻密膜で形成するようにしているので、密着性が良く、
しかも機械的強度も化学的強度も強い膜が得られる。
【0128】(3)また、1つの半導体素子用の絶縁膜
を成膜するに際し、レーザアブレーション成膜(PL
D)時に、雰囲気ガスの圧力等の条件を変化させるだけ
で、低誘電率(比誘電率の小さい)を可能にする多層構
造を連続的に作製することができる。
【0129】この場合、多層構造を構成する各層たとえ
ば緻密膜、凝集体および微粒子集合体の各層の厚さおよ
び各層の厚さの比は、例えばレーザ装置50からターゲ
ット70へのレーザ光の照射回数を調整することによ
り、正確に調整することができる。
【0130】(4)さらに、ワンチャンバ(1つの真空
チャンバ20)を用いて、半導体素子用の層間絶縁膜と
しての低誘電率の絶縁膜を成膜することができる。この
ため、半導体素子用の層間絶縁膜を成膜するための装置
は簡便なものとなる。
【0131】これに対して、上述した従来の装置(上述
した公報に記載の装置)では、3層構造の層間絶縁膜を
成膜する際には、プラズマCVDチャンバ及びプラズマ
エッチングチャンバを備えたマルチモジュールシステム
を用いる必要があり、しかも、被処理半導体基板を各チ
ャンバ間を搬送させて処理するための装置が必要とな
り、装置全体が複雑になってしまう。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る半導体素子用の絶縁膜の断
面模式図である。
【図2】図2は本発明に係る他の半導体素子用の絶縁膜
の断面模式図である。
【図3】図3は本発明に係る他の半導体素子用の絶縁膜
の断面模式図である。
【図4】図4は本発明に係る他の半導体素子用の絶縁膜
の断面模式図である。
【図5】図5は本発明に係る他の半導体素子用の絶縁膜
の断面模式図である。
【図6】図6は本発明に係る他の半導体素子用の絶縁膜
の断面模式図である。
【図7】図7は本発明に係る半導体素子用の絶縁膜成膜
方法を実現するための装置の構成を示す構成図である。
【図8】図8はチャンバ内の雰囲気ガスの圧力の相違に
よるレーザアブレーション時の絶縁膜の成膜を説明する
ための図である。
【符号の説明】
10 装置、20 真空チャンバ、30 真空ポンプ、
40 ボンベ、 50 レーザ装置、60 基板、61 ヒータ付き基板
ホルダ、 62 移動ステージ、70 ターゲット、71 ターン
テーブル、 80 圧力センサ、90 コントローラ、 100、200、300、400、500、700 半
導体素子用の絶縁膜、 110、210、320、430 凝集体、 120、230、310、330、410、450 緻
密膜 520、710、750 緻密膜、 220、420、440、720、740 微粒子集合
体、、 510、730 柱状凝集体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K029 BA46 BB02 BD01 CA02 DB20 5F033 RR01 RR04 RR11 RR21 RR29 SS10 TT01 TT02 TT03 XX24 5F058 BA10 BA20 BD02 BD04 BF17 BF29 BF37 BF80 BJ02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に成膜される半導体素子用の絶縁膜
    において、 前記基板の成膜する面に対し垂直方向に凝集体と緻密膜
    とを有する多層構造で形成されていることを特徴とする
    半導体素子用の絶縁膜。
  2. 【請求項2】前記多層構造は、 凝集体と微粒子集合体と緻密膜とを有して形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の半導体素子用の絶縁
    膜。
  3. 【請求項3】前記多層構造は、 第1の緻密膜と凝集体と第2の緻密膜とを有して形成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の半導体素子用
    の絶縁膜。
  4. 【請求項4】前記多層構造は、 第1の緻密膜と第1の微粒子集合体と凝集体と第2の微
    粒子集合体と第2の緻密膜とを有して形成されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の半導体素子用の絶縁膜。
  5. 【請求項5】前記多層構造の凝集体は、 柱状の凝集体から構成されていることを特徴とする請求
    項1乃至4のうちの何れかの請求項記載の半導体素子用
    の絶縁膜。
  6. 【請求項6】前記凝集体の内部が微粒子から構成されて
    いることを特徴とする請求項1乃至5のうちの何れかの
    請求項記載の半導体素子用の絶縁膜。
  7. 【請求項7】前記多層構造においては、1つの緻密膜が
    最上位に形成されていることを特徴とする請求項1乃至
    6のうちの何れかの請求項記載の半導体素子用の絶縁
    膜。
  8. 【請求項8】ターゲットと基板とをチャンバ内に配置
    し、該チャンバ内の気体の圧力を所定の値に変化させて
    当該気体中で前記ターゲットに対するレーザアブレーシ
    ョンにより、前記基板上に絶縁膜を成膜することを特徴
    とする半導体素子用の絶縁膜成膜方法。
  9. 【請求項9】チャンバ内にターゲットと基板とを所定の
    距離を経て配置する配置工程と、 前記チャンバ内に所定の気体を注入する注入工程と、 前記注入工程により前記気体が注入された状態の前記チ
    ャンバ内の気体の圧力を連続的に遷移させる圧力遷移工
    程と、 前記圧力遷移工程により前記チャンバ内の圧力が連続的
    に遷移する過程でレーザアブレーション法により、前記
    気体が注入された状態のチャンバの外部より前記ターゲ
    ットに向けてレーザ光を照射して、前記基板上に絶縁膜
    を成膜する成膜工程とを含むことを特徴とする半導体素
    子用の絶縁膜成膜方法。
  10. 【請求項10】前記絶縁膜は、請求項1乃至7のうちの
    何れかの請求項記載の半導体素子用の絶縁膜であること
    を特徴とする請求項8又は9記載の半導体素子用の絶縁
    膜成膜方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006500769A (ja) * 2002-09-20 2006-01-05 ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド 低k材料用の中間層接着促進剤

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