JP2002250287A - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

Info

Publication number
JP2002250287A
JP2002250287A JP2001045608A JP2001045608A JP2002250287A JP 2002250287 A JP2002250287 A JP 2002250287A JP 2001045608 A JP2001045608 A JP 2001045608A JP 2001045608 A JP2001045608 A JP 2001045608A JP 2002250287 A JP2002250287 A JP 2002250287A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
discharge port
working
scroll
closed space
scroll compressor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001045608A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Misawa
秀雄 三澤
Masumi Shimizu
眞澄 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Seiki Co Ltd filed Critical Aisin Seiki Co Ltd
Priority to JP2001045608A priority Critical patent/JP2002250287A/ja
Publication of JP2002250287A publication Critical patent/JP2002250287A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクロール圧縮機において、ガスの過圧縮を
防止し得て低圧縮比のガスを吐出することができるとと
もに、圧力損失の少ない効率の良いスクロール圧縮機を
提供すること。 【解決手段】 最小密閉空間となる前の作動密閉空間で
ある第2作動密閉空間62及び第3作動密閉空間63と
連通する第1中間吐出口51、56及び第2中間吐出口
52及び57を設ける。最小密閉空間となる前の作動密
閉空間内の比較的低圧縮比の流体が、中間吐出口51、
56、52、57を通って吐出される。この場合、中間
吐出口から流体が直接吐出され、従来技術のようにバイ
パス通路を通ることがないので、圧力損失を起こすこと
なく、断熱効率を低下させることもない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、スクロー
ル圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スクロール圧縮機の容積比(最大圧縮室
の容積と最小圧縮室の容積との比)は、一般空調用に使
用するスクロール圧縮機で2.7程度(2.5〜3.0
程度)の物が多い。このような容積比2.7程度のスク
ロール圧縮機の圧縮冷媒としてフロンを使用する場合、
圧縮比は約3程度になる。フロンないしは代替フロンは
室内冷房等の一般空調に使用することはできるが、20
K以下の極低温冷媒としては、その温度で固化してしま
うので使用できない。このような極低温での冷媒として
は、一般的にヘリウムガスが使用される。しかしなが
ら、ヘリウムガスの比熱比γは1.66とフロンよりも
高いため、容積比が2.7の場合に圧縮比が5程度とな
り、過圧縮となって動力が無駄になってしまう。
【0003】ところで、極低温用のパルス管冷凍機で
は、冷媒ガス(ヘリウムガス)の圧縮比が2.0〜2.
4で高出力が得られるが、2.5を越えた圧縮比では動
力の増加に伴う出力の増加が望めず、冷凍機の成績係数
(C.O.P)が悪くなってしまうことがある。従っ
て、容積比2.7の通常のスクロール圧縮機をパルス管
冷凍機に用い、冷媒ガスにヘリウムを使用した場合、動
力の無駄が大きく、高効率を得ることができない。
【0004】スクロール圧縮機において、圧縮比を低下
させるために、特公平5−50599号公報に記載され
たものが提案されている。これについて、図8、図9を
用いて説明する。
【0005】図8は、従来のスクロール圧縮機における
固定側ラップと旋回側ラップとの噛み合いを示す断面図
である。図において、固定側ラップ81が形成されてい
る固定スクロールの鏡板部82には、溝形式の2個の通
路83、84が固定スクロールの中心に対して対称に設
けられている。図9は、これらの通路の断面図を示す。
図9からわかるように、これら通路83、84には、そ
れぞれ過圧縮防止用開閉弁としてのプランジャ85が嵌
め込まれている。また、符号86は旋回側ラップ、符号
87は旋回側スクロールの鏡板部である。このような構
成において、固定スクロールに対して旋回スクロールを
旋回スクロールの中心を中心にして、時計方向に見かけ
上自転しないように回転させる。このようにして両ラッ
プ間に形成された作動密閉空間の容積を順次縮少してい
き、圧縮空間内のガスを圧縮してゆくが、過圧縮防止の
ためにプランジャ85を開けると、作動密閉空間の容積
が最小密閉空間容積となる前に、作動密閉空間が通路8
3、84と連通する。このため最小密閉空間となる前の
作動密閉空間内のガスがこの通路83、84を通って吐
出口に導かれ、該吐出口から吐出される。従って、最小
密閉空間容積となる前の比較的低圧縮比のガスを吐出口
から取出すことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載の手段によれば、過圧縮防止のためにプランジ
ャ85を開けて、通路83、84を圧縮空間に連通して
この圧縮空間内のガスを吐出口に導く場合、プランジャ
が流路抵抗となり、圧力損失が発生する。この圧力損失
によって、圧縮機の断熱効率が低下するといった問題が
ある。
【0007】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、ガスの過圧縮を防止し得て低圧縮比の
ガスを吐出することができるとともに、圧力損失の少な
い効率の良いスクロール圧縮機を提供することを技術的
課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るためになされた請求項1に記載の発明は、固定スクロ
ールと旋回スクロールとにより作動密閉空間を形成し、
旋回スクロールの旋回により前記作動密閉空間の容積を
順次縮少し、前記作動密閉空間の容積が所定容積に縮少
された時点で前記作動密閉空間と吐出口とを連通させて
該吐出口から高圧の流体を吐出するスクロール圧縮機で
あって、前記吐出口は、前記作動密閉空間が最小密閉空
間となる前の作動密閉空間と連通する中間吐出口を有す
ることを特徴とするスクロール圧縮機とすることであ
る。
【0009】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
において、前記中間吐出口は、第1中間吐出口と第2中
間吐出口とを備え、前記第1中間吐出口と前記第2中間
吐出口は、前記固定スクロールの固定側鏡板の中心又は
前記旋回スクロールの旋回側鏡板の中心を中心として、
圧力バランスが取れる程度に略点対称の位置関係を有し
て配置されてなることを特徴としている。
【0010】また、請求項3の発明は、請求項2の発明
において、前記第1中間吐出口及び前記第2中間吐出口
は、前記固定スクロールの固定側鏡板に形成されている
ことを特徴としている。
【0011】また、請求項4の発明は、請求項2の発明
において、前記第1中間吐出口及び前記第2中間吐出口
は、前記旋回スクロールの旋回側鏡板に形成されている
ことを特徴としている。
【0012】また、請求項5の発明は、請求項1〜4の
発明において、前記吐出口は、前記作動密閉空間が最小
密閉空間となったときにその最小密閉空間と連通する中
央吐出口を有することを特徴としている。
【0013】本発明によれば、最小密閉空間となる前の
作動密閉空間と連通する中間吐出口を有するので、最小
密閉空間となる前の作動密閉空間内の比較的低圧縮比の
流体が、中間吐出口を通って吐出される。この場合、中
間吐出口から流体が直接吐出され、従来技術のようにバ
イパス通路を通ることがないので、圧力損失を起こすこ
となく、断熱効率を低下させることもない。
【0014】上記「最小密閉空間」とは、容積比が規定
の容積比に達した時点での作動密閉空間のことを示す。
従って、規定の容積比が2.7であれば、その容積比に
なった時点での作動密閉空間を、最小密閉空間とする。
尚、一般的なスクロール圧縮機は、作動密閉空間が上記
定義に基づく最小密閉空間となった時点で、その空間と
吐出口とが連通する。
【0015】また、請求項2の発明のように、中間吐出
口を、第1中間吐出口と第2中間吐出口との少なくとも
2つの吐出口で構成し、両吐出口を、鏡板の中心を中心
として略点対称位置に配置した場合、圧力バランスが採
れ、圧力バランスの不均衡により旋回スクロールが傾く
ことを防止することができる。
【0016】上記「略点対称」とは、厳密に点対称でな
くても良いことを含む表現である。圧力バランスが採
れ、旋回スクロールが傾かない程度であれば、多少点対
称位置からずれた位置に形成されていても本発明の効果
を奏するので、このような位置関係をも含むことを示し
た表現である。尚、好ましい位置関係は、固定スクロー
ル(固定側鏡板)の中心Ofと、旋回スクロール(旋回
側鏡板)の中心Omとを端とする線分の中心を中心とし
て点対称とするような位置関係であり、さらに好ましく
は、上記線分の中心を中心として点対称であり、かつ、
上記線分を含む直線上にそれぞれ中心を有するように両
吐出口を形成する場合である。
【0017】上記中間吐出口は、固定スクロール側(固
定側鏡板)に形成しても良いし、旋回スクロール側(旋
回側鏡板)に形成しても良い。さらには、固定スクロー
ル側(固定側鏡板)及び旋回スクロール側(旋回側鏡
板)の両方に形成しても良い。
【0018】また、本発明のスクロール圧縮機には、作
動密閉空間が最小密閉空間となったときにその最小密閉
空間と連通する中央吐出口が形成されていても良い。市
販されている通常のスクロール圧縮機には、上記中央吐
出口、つまり作動密閉空間が最小密閉空間となった時点
でその空間と連通する吐出口を有しているので、このよ
うなスクロール圧縮機を後加工して本発明の中間吐出口
を形成することにより、安価でかつ簡単な作業により、
本発明のスクロール圧縮機を構成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態により
具体的に説明する。
【0020】(第1実施形態例)図1は、本発明の第1
実施形態例におけるスクロール圧縮機の縦方向の部分断
面概略図である。図において、スクロール圧縮機101
は、固定スクロール10及び旋回スクロール20を具備
する。
【0021】固定スクロール10は、底板を構成する円
板状の固定側鏡板11を備える。この固定側鏡板11の
周縁からは、側周壁12が図示下方に向けて立設されて
いる。側周壁12の先端は該固定側鏡板11の径方向に
対して外方に向って延びてフランジ部12aを形成して
いる。また、固定側鏡板11の表面11aからは、渦巻
き状に形成された固定側ラップ13が側周壁12に囲ま
れて立設されている。
【0022】旋回スクロール20は、円板状の旋回側鏡
板21を備える。この旋回側鏡板21の表面21aに
は、渦巻き状に形成された旋回側ラップ23が立設され
ている。固定スクロール10と旋回スクロール20と
は、固定側鏡板11の表面11aと旋回側鏡板21の表
面21aとが対面するように配置されて、旋回側ラップ
23と固定側ラップ13とが噛み合わされた状態とされ
ている。図2は、固定側ラップ13と旋回側ラップ23
とが噛み合わされた部分の横断面図である。図に示すよ
うに、固定スクロール10の固定側ラップ13と旋回ス
クロール20の旋回側ラップ23とにより、スクロール
圧縮機101内に複数の作動密閉空間が形成される。
【0023】旋回側鏡板21の裏面21bの略中心部分
には、筒状に形成されたガイド筒部21cが形成されて
いる。このガイド筒部21c内には、クランク軸31が
嵌め込められている。クランク軸31は、図示せぬモー
タの出力軸に連結されており、このモータが駆動する
と、クランク軸31が偏芯回転し、この偏芯回転がガイ
ド筒部21cより旋回側鏡板21に伝達され、旋回スク
ロール20が固定スクロール10に対して自転しないよ
うに回転する。
【0024】また、旋回スクロール20を内部に包含す
るように、ハウジング40が配されている。このハウジ
ング40は、図示せぬ端部が有底状に形成され、図示す
る方の端面部40aが固定スクロール10のフランジ部
12aに突き合わされて、ボルト42で固定スクロール
10に締結されている。従って、本例では、スクロール
圧縮機の外殻は、ハウジング40及び固定スクロール1
0の外側壁で構成されていることになる。
【0025】また、ハウジング40の内壁端面には、段
差41が形成されている。この段差41は、軸方向に沿
った側壁を構成する段差側壁41aと、周方向に沿った
段差周平面を構成する支持面41bとより構成され、こ
の段差形成部分に旋回側鏡板20の周縁部が配置され
て、旋回スクロール20の動きがガイドされる。
【0026】固定側鏡板11には、圧縮された高圧ガス
を外部に吐出するための吐出口が形成されている。この
吐出口は、本例では、固定側鏡板11の略中央部に円筒
形状に形成された中央吐出口50と、この中央吐出口5
0の両側に形成された第1中間吐出口51及び第2中間
吐出口52とよりなる。
【0027】図2に示すように、第1中間吐出口51と
第2中間吐出口52は、固定側鏡板11の中心Ofを中
心として、略点対称となるような位置関係に配置されて
いる。具体的には、図に示すように、固定側鏡板11の
中心Ofと、旋回側鏡板21の旋回中心Omとを両端と
する線分Of−Omの中心を中心として点対称であり、
かつ、第1中間吐出口51の中心と第2中間吐出口52
の中心とが、上記線分Of−Omを含む直線L上に形成
されるような位置関係に配置されている。尚、図からわ
かるように、中央吐出口50は、OfやOmとは若干ず
れた位置に配設されている。
【0028】また、中央吐出口50、第1中間吐出口5
1、第2中間吐出口52は、該吐出口を通過するガスの
抵抗にならないような大きさ、形状、深さで形成され、
かつ、図に示すように、吐出口50、51、52はそれ
ぞれ連通している。
【0029】上記構成において、図示せぬモータを駆動
させると、図示せぬ出力軸が回転し、該出力軸に連結さ
れたクランク軸31が偏芯回転する。これにより、該ク
ランク軸31にガイド筒部21cで連結された旋回スク
ロール20が、固定スクロール10に対して自転しない
ように回転する。この回転に伴い、固定側ラップ13と
可動側ラップ23で画成された作動密閉空間が徐々に小
さくなり、圧縮されるとともに、中心側に移動する。そ
して、作動密閉空間の容積が所定容積に縮少された時点
で吐出口に連通され、高圧のヘリウムガスが吐出口から
吐出される。
【0030】図2に示すように、本例のスクロール圧縮
機101では、固定側ラップ13と旋回側ラップ23と
で、複数の作動密閉空間が画成される。図では、最大密
閉空間60、第1作動密閉空間61、第2作動密閉空間
62、第3作動密閉空間63、最小密閉空間70、の5
つの作動密閉空間が形成される例が示されている。最大
密閉空間60のすぐ内側には第2作動空間62が形成さ
れ、第1作動空間61のすぐ内側には第3作動空間63
が形成され、最も中心側には最小密閉空間70が形成さ
れている。また、第2作動空間62と第3作動空間63
とは、最小密閉空間70を挟んで180°対称的に配置
されている。
【0031】これらの作動密閉空間は、固定スクロール
10に対する旋回スクロール20の回転に伴って順次、
最大密閉空間70→第1作動密閉空間61→第2作動密
閉空間62→第3作動密閉空間63→最小密閉空間70
へと移行する。移行する先の空間容積は、移行する前の
空間容積よりも小さく設定されているので、上記の移行
によって内部の作動ガスは順次圧縮されて高圧となる。
【0032】最小密閉空間70は、旋回スクロール20
の旋回位置により固定側鏡板11の最も中央に形成され
た中央吐出口50に連通するタイミングがある。第3作
動空間63は、旋回スクロール20の旋回位置により第
1中間吐出口51に連通するタイミングがある。さら
に、第2作動密閉空間62は、旋回スクロール20の旋
回位置により第2中間吐出口52に連通するタイミング
がある。
【0033】上述のように、最小密閉空間となる前の空
間である第2作動密閉空間62は第2中間吐出口52に
連通するタイミングがある。従って、そのタイミングと
なった場合、第2作動密閉空間62内の作動ガスは第2
中間吐出口52から吐出される。
【0034】第2作動密閉空間62と第2中間吐出口5
2とが連通しているタイミングが終わった後でもなお第
2作動密閉空間62に残っている作動ガスは、そのまま
第3作動密閉空間63に移行する。上述のように、最小
密閉空間となる前の空間である第3作動密閉空間63
は、第1中間吐出口51に連通するタイミングがある。
従って、そのタイミングとなった場合、第3作動密閉空
間63内の作動ガスは第1中間吐出口51から吐出され
る。
【0035】第3作動密閉空間63と第1中間吐出口5
1とが連通しているタイミングが終わった後でもなお第
3作動密閉空間63に残っている作動ガスは、そのまま
最小密閉空間70に移行する。上述のように最小密閉空
間70は、中央吐出口50に連通するタイミングがあ
る。従って、そのタイミングとなった場合、最小密閉空
間70内の作動ガスは中央吐出口50から吐出される。
【0036】上記説明のように、第1中間吐出口51、第
2中間吐出口52、中央吐出口50から作動ガスが吐出
されるが、これらの吐出口51、52、50は連通され
ている。この場合において、第1中間吐出口51及び第
2中間吐出口52から吐出される作動ガスは、それぞ
れ、第3作動密閉空間63及び第2作動密閉空間62内
の作動ガスであり、これらの空間63、62は、最小密
閉空間70となる前の比較的圧縮比の低い空間である。
従って、総合的に見て、低圧縮比の作動ガスが吐出され
る。さらに、本例のスクロール圧縮機では、従来の図8
に示すスクロール圧縮機のようにプランジャ85の開閉
により通路83、84を開く構成ではないので、プラン
ジャ85の流路抵抗に起因する圧力損失など生じること
はなく、断熱効率を低下させることもない。
【0037】図3は、作動密閉空間の容積と圧力の関係
を示すグラフ、図4は、スクロール圧縮機の全断熱効率
を示すグラフである。図3に示すグラフにおいて、最小
密閉空間での圧力をP1、そのときの容積をV1、最小
密閉空間になる前の所定の圧力をP2、そのときの容積
をV2、吸込み時の圧力、つまり最大密閉空間の圧力を
Ps、そのときの容積をVsとする。この場合、必要と
される圧力がP2である場合、通常のスクロール圧縮機
では、作動ガスのP−V線図は、a→b→c→d→e→
fの軌跡を辿り、その結果、b、c、dで囲まれた三角
形の部分が無駄な圧縮仕事となる。これに対し、本例の
スクロール圧縮機では、最小密閉空間となる前の途中の
空間(本例では第2作動密閉空間62及び第3作動密閉
空間63)で作動ガスを吐出させるので、吐出される作
動ガスの圧力をP1よりも低い、例えば図3においてP
2とすることができる。このようにした場合、作動ガス
のP−V線図は、a→b→d→e→fの軌跡を辿り、無
駄な圧縮仕事をなくすことができる。従って、図4に示
すように、通常のスクロール圧縮機においては、比較的
圧縮比の高い部分で断熱効率のピークを迎え、圧縮比の
低い部分では断熱効率が下がるのに対し、本例のスクロ
ール圧縮機では、比較的圧縮比の低い部分で断熱効率の
ピークを迎えることができる。
【0038】(第2実施形態例)図5は、本発明の第2
実施形態例にかかるスクロール圧縮機の縦部分断面図、
図6は、固定側ラップと旋回側ラップとが噛み合わされ
た部分の横断面図である。本例のスクロール圧縮機10
2においては、吐出口を旋回スクロール20の鏡板21
側に設けた場合の例である。
【0039】旋回側鏡板21には、圧縮された高圧ガス
を外部に吐出するための吐出口が形成されている。この
吐出口は、本例では、旋回側鏡板21の略中央部に円筒
形状に形成された中央吐出口55と、この中央吐出口5
5の両側に形成された第1中間吐出口56及び第2中間
吐出口57とよりなる。これらの吐出口55、56、5
7の形成位置関係は、第1実施形態例で示した固定側鏡
板に設けた各吐出口の場合と同じである。
【0040】また、クランク軸31には、その軸方向に
沿って連絡路31aが形成されている。この連絡路31
aの端部は、図に示すように、各吐出口55、56、5
7に面している。
【0041】その他の構成は、上記第1実施形態例と同
様であるので、同一部分については同一符号で示し、そ
の具体的説明を省略する。
【0042】最小密閉空間70は、旋回スクロール20
の旋回位置により中央吐出口55に連通するタイミング
がある。第3作動空間63は、旋回スクロール20の旋
回位置により第1中間吐出口56に連通するタイミング
がある。さらに、第2作動密閉空間62は、旋回スクロ
ール20の旋回位置により第2中間吐出口57に連通す
るタイミングがある。
【0043】第2作動密閉空間62が第2中間吐出口5
7に連通するタイミングとなった場合、第2作動密閉空
間62内の作動ガスは第2中間吐出口57から吐出され
る。第2作動密閉空間62と第2中間吐出口52とが連
通しているタイミングが終わった後でもなお第2作動密
閉空間62に残っている作動ガスは、そのまま第3作動
密閉空間63に移行する。そして、第3作動密閉空間6
3が第1中間吐出口51に連通するタイミングとなった
場合、第3作動密閉空間63内の作動ガスは第1中間吐
出口56から吐出される。第3作動密閉空間63と第1
中間吐出口56とが連通しているタイミングが終わった
後でもなお第3作動密閉空間63に残っている作動ガス
は、そのまま最小密閉空間70に移行する。そして、最
小密閉空間70が中央吐出口55に連通するタイミング
となった場合、最小密閉空間70内の作動ガスは中央吐
出口55から吐出される。
【0044】このように、中央吐出口55、第1中間吐
出口56、第2中間吐出口57から作動ガスが吐出され
るが、これら全ての吐出口55、56、57は連通され
ており、作動ガスが一つに合流されて、クランク軸31
に形成された連通路31aを通って吐出される。この場
合において、第1中間吐出口56及び第2中間吐出口5
7から吐出される作動ガスは、それぞれ、第3作動密閉
空間63及び第2作動密閉空間62内の作動ガスであ
り、これらの空間63、62は、最小密閉空間70とな
る前の比較的圧縮比の低い空間である。従って、総合的
に見て、低圧縮比の作動ガスが吐出される。さらに、本
例のスクロール圧縮機では、従来の図8に示すスクロー
ル圧縮機のようにプランジャ85の開閉により通路8
3、84を開く構成ではないので、プランジャ85の流
路抵抗に起因する圧力損失など生じることはなく、断熱
効率を低下させることもない。
【0045】(第3実施形態例)図7は、本発明の第3
実施形態例にかかるスクロール圧縮機の縦部分断面図で
ある。本例のスクロール圧縮機103においては、吐出
口を固定スクロール10の鏡板11及び旋回スクロール
20の鏡板21の両方に設けた場合の例である。この場
合、図に示すように、固定側鏡板11に設けた吐出口5
0、51、52と、旋回側鏡板21に設けた吐出口5
5、56、57とを合流させる合流通路58が必要とな
る。その他の構成及び作用効果は、上記第1及び第2実
施形態例に記載のものと同様であるので、同一部分につ
いては同一符号で示し、その説明を省略する。
【0046】以上のように、第1実施形態例〜第3実施
形態例によれば、最小密閉空間となる前の作動密閉空間
である第2作動密閉空間62及び第3作動密閉空間63
と連通する第1中間吐出口51、56及び第2中間吐出
口52及び57を有するので、最小密閉空間となる前の
作動密閉空間内の比較的低圧縮比の流体が、中間吐出口
51、56、52、57を通って吐出される。この場
合、中間吐出口から流体が直接吐出され、従来技術のよ
うにバイパス通路を通ることがないので、圧力損失を起
こすことなく、断熱効率を低下させることもない。
【0047】また、中間吐出口を、第1中間吐出口51
(56)と第2中間吐出口52(57)との少なくとも
2つの吐出口で構成し、両吐出口を、鏡板の中心を中心
として略点対称位置に配置したので、圧力バランスが採
れ、圧力バランスの不均衡により旋回スクロールが傾く
ことを防止することができる。
【0048】また、本発明のスクロール圧縮機には、作
動密閉空間が最小密閉空間となったときにその最小密閉
空間と連通する中央吐出口50、55が形成されてい
る。このため、市販されている通常のスクロール圧縮機
を後加工して本発明の中間吐出口を形成することによ
り、安価でかつ簡単な作業により、本発明のスクロール
圧縮機を構成することができる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スクロール圧縮機において、ガスの過圧縮を防止し得て
低圧縮比のガスを吐出することができるとともに、圧力
損失の少ない効率の良いスクロール圧縮機を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態例におけるスクロール圧
縮機の縦断面部分概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態例におけるスクロール圧
縮機の固定側ラップと旋回側ラップとが噛み合わされた
部分の横断面図である。
【図3】スクロール圧縮機における作動密閉空間の容積
と圧力の関係を示すグラフである。
【図4】従来のスクロール圧縮機と本発明のスクロール
圧縮機における、各圧力での断熱効率の違いを示すグラ
フである。
【図5】本発明の第2実施形態例におけるスクロール圧
縮機の縦断面部分概略図である。
【図6】本発明の第2実施形態例におけるスクロール圧
縮機の固定側ラップと旋回側ラップとが噛み合わされた
部分の横断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態例におけるスクロール圧
縮機の縦断面部分概略図である。
【図8】従来のスクロール圧縮機の固定側ラップと旋回
側ラップとが噛み合わされた部分の断面図である。
【図9】従来のスクロール圧縮機における、通路及びプ
ランジャを示す図である。
【符号の説明】
10・・・固定スクロール 11・・・固定側鏡板、 12・・・側周壁、 12a・・・フランジ部 13・・・固定側ラップ 20・・・旋回スクロール 21・・・旋回側鏡板 23・・・旋回側ラップ 31・・・クランク軸、 31a・・・連通路 50、55・・・中央吐出口 51、56・・・第1中間吐出口 52、57・・・第2中間吐出口 60・・・最大密閉空間 61・・・第1作動密閉空間 62・・・第2作動密閉空間 63・・・第3作動密閉空間 70・・・最小密閉空間 101、102、103・・・スクロール圧縮機

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定スクロールと旋回スクロールとによ
    り作動密閉空間を形成し、旋回スクロールの旋回により
    前記作動密閉空間の容積を順次縮少し、前記作動密閉空
    間の容積が所定容積に縮少された時点で前記作動密閉空
    間と吐出口とを連通させて該吐出口から高圧の流体を吐
    出するスクロール圧縮機であって、 前記吐出口は、前記作動密閉空間が最小密閉空間となる
    前の作動密閉空間と連通する中間吐出口を有することを
    特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記中間吐出口は、第1中間吐出口と第2中間吐出口と
    を備え、前記第1中間吐出口と前記第2中間吐出口は、
    前記固定スクロールの固定側鏡板の中心又は前記旋回ス
    クロールの旋回側鏡板の中心を中心として、圧力バラン
    スが取れる程度に略点対称の位置関係を有して配置され
    てなることを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記第1中間吐出口及び前記第2中間吐出口は、前記固
    定スクロールの固定側鏡板に形成されていることを特徴
    とするスクロール圧縮機。
  4. 【請求項4】 請求項2において、 前記第1中間吐出口及び前記第2中間吐出口は、前記旋
    回スクロールの旋回側鏡板に形成されていることを特徴
    とするスクロール圧縮機。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4において、 前記吐出口は、前記作動密閉空間が最小密閉空間となっ
    たときにその最小密閉空間と連通する中央吐出口を有す
    ることを特徴とするスクロール圧縮機。
JP2001045608A 2001-02-21 2001-02-21 スクロール圧縮機 Pending JP2002250287A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001045608A JP2002250287A (ja) 2001-02-21 2001-02-21 スクロール圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001045608A JP2002250287A (ja) 2001-02-21 2001-02-21 スクロール圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002250287A true JP2002250287A (ja) 2002-09-06

Family

ID=18907373

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001045608A Pending JP2002250287A (ja) 2001-02-21 2001-02-21 スクロール圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002250287A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160082351A (ko) * 2014-12-04 2016-07-08 광동 메이지 컴프레셔 컴퍼니 리미티드 저배압 회전식 압축기

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160082351A (ko) * 2014-12-04 2016-07-08 광동 메이지 컴프레셔 컴퍼니 리미티드 저배압 회전식 압축기
KR101710350B1 (ko) 2014-12-04 2017-02-27 광동 메이지 컴프레셔 컴퍼니 리미티드 저배압 회전식 압축기
KR101751901B1 (ko) 2014-12-04 2017-07-11 광동 메이지 컴프레셔 컴퍼니 리미티드 저배압 회전식 압축기

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8435014B2 (en) Hermetically sealed scroll compressor
KR101368394B1 (ko) 스크롤 압축기
US5469716A (en) Scroll compressor with liquid injection
US20190078567A1 (en) Scroll compressor with bypass portions
JPH10141270A (ja) 2段気体圧縮機
JPH09170574A (ja) スクロール気体圧縮機
JP5338314B2 (ja) 圧縮機および冷凍装置
JP2001323881A (ja) 圧縮機
JP2006307699A (ja) 圧縮機
US20230417461A1 (en) Compressor device and refrigeration apparatus
JP2003227485A (ja) 複数シリンダ圧縮機
JP2501182B2 (ja) 冷凍装置
US11231035B2 (en) Scroll compressor
US20190242384A1 (en) Motor operated compressor
JP2002250287A (ja) スクロール圧縮機
JP2622960B2 (ja) スクロール圧縮機の液冷媒噴射装置
JP2674277B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2004084568A (ja) 多段圧縮式ロータリコンプレッサ及びその排除容積比設定方法
JPH11241693A (ja) 圧縮機
JPS6337279B2 (ja)
JP4222857B2 (ja) 冷凍装置
JP2005180298A (ja) スクロール圧縮機
US20060073058A1 (en) Orbiting vane compressor with side-inlet structure
JP5321055B2 (ja) 冷凍装置
KR102060470B1 (ko) 2단 압축기