JP4222857B2 - 冷凍装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクロール圧縮機を冷却するためのリキッドインジェクション回路を備えた冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より冷凍・冷蔵・空調機器においては、冷凍装置の冷凍サイクルを構成する圧縮機の吐出ガス温度が異常に上昇すると、圧縮機の摺動部の焼き付きや巻線の焼損を来すため、リキッドインジェクションによる冷却方式が採用されている。この冷却方式は、受液器内の液冷媒をリキッドインジェクション回路によってスクロール圧縮機のスクロール圧縮要素の中間圧力部に供給し、蒸発させることによって圧縮機の吐出ガス温度を低下させるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、上記スクロール圧縮機は、密閉容器内に回転軸を有する電動要素と、この電動要素で駆動されるスクロール圧縮要素とを備えており、このスクロール圧縮要素は、鏡板に渦巻き状のラップを立設させた揺動スクロールと、この揺動スクロールに向かい合ってかみ合う鏡板に渦巻き状のラップを立設させた固定スクロールとから構成され、揺動スクロールを固定スクロールに対して自転しないよう、公転させながら旋回させることにより、固定スクロールと揺動スクロールとで形成された複数の圧縮空間を外方から内方へ向かって次第に縮小させて圧縮を行うよう構成されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
そして、前記リキッドインジェクション回路は、上記スクロール圧縮要素において中間圧力となる圧縮空間に連通されていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−215413号公報
【特許文献2】
特開平3−246388号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記固定スクロールの鏡板の中央部には、密閉容器内の高圧室と圧縮空間とを連通する吐出孔(吐出ポート)が形成され、前述の如き圧縮作用により所定の圧縮比(高圧/低圧)で圧縮された冷媒をこの吐出孔から高圧室に吐出し、高圧室に連通して設けた吐出配管より冷媒回路内に高圧ガス冷媒を吐出するように構成されている。
【0007】
しかしながら、特に電動要素が低速で運転されているときなどに、スクロール圧縮機が低圧縮比条件で運転されると、固定スクロールと揺動スクロールの間で過圧縮が発生し、それによって入力(圧縮仕事)が増大し、成績係数が悪化して圧縮機の特性が低下すると共に、密閉容器内の電動要素の軸受等に加わる負荷も増大する問題があった。
【0008】
本発明は、係るスクロール圧縮機の低圧縮比条件運転時における過圧縮の発生を防止して上記不都合を解消できる冷凍装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷凍装置では、スクロール圧縮機、凝縮器、受液器、減圧装置及び蒸発器を順次環状に接続すると共に、受液器からスクロール圧縮機のスクロール圧縮要素における中間圧力部に液冷媒を供給するリキッドインジェクション回路を設けており、リキッドインジェクション回路から分岐してスクロール圧縮機の吐出配管に連通されたバイパス回路を備え、スクロール圧縮機のスクロール圧縮要素における圧縮比が規定値より低下した場合、リキッドインジェクション回路及びバイパス回路を介してスクロール圧縮要素における中間圧力部を吐出配管に連通させるので、スクロール圧縮要素における圧縮比が規定値より低下した場合は、スクロール圧縮機の中間圧力となる圧縮空間からリキッドインジェクション回路及びバイパス回路を介してスクロール圧縮機の吐出配管に冷媒を吐出することができるようになる。
【0010】
これにより、スクロール圧縮機の低圧縮比条件運転時において請求項3に示すような固定スクロールと揺動スクロールのラップ間における過圧縮の発生が防止される。従って、スクロール圧縮機の入力(圧縮仕事)増大が防止され、成績係数の悪化による特性低下を解消することができると共に、電動要素の回転軸受等に加わる負荷の増大も防止されるようになるので、スクロール圧縮機の長寿命化を図ることができるようになるものである。
【0011】
また、請求項2の如くバイパス回路に弁装置を設ければ、スクロール圧縮要素の中間圧力部と吐出配管との連通を的確に制御することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づき本発明の一実施形態を詳述する。図1は本発明の冷凍装置40の冷媒回路図である。図1において、SCはスクロール圧縮機(コンプレッサ)、42はオイルセパレータ、43は空冷式の凝縮器(コンデンサ)、44は受液器(レシーバタンク)、45はフィルタドライヤ、46はモイスチャインジケータ、47はストレーナ、48はアキュムレータである。モイスチャインジケータ46は図示しない減圧装置としての膨張弁の入口に接続され、ストレーナ47は図示しない蒸発器の出口に接続される。
【0013】
そして、スクロール圧縮機SC、オイルセパレータ42、凝縮器43、受液器44、フィルタドライヤ45、モイスチャインジケータ46、前記膨張弁、蒸発器、ストレーナ47、アキュムレータ48は冷媒配管により順次環状に接続されて、冷凍装置40の冷凍サイクルを構成している。49は凝縮器43を空冷するための送風機である。
【0014】
前記受液器44からは、後述する如く圧縮機SC内の後述する中間圧力部に連通したリキッドインジェクション回路50が設けられており、このリキッドインジェクション回路50には、ストレーナ51、電動弁52、電磁弁54などが順次介設されている。また、このリキッドインジェクション回路50の電動弁52とストレーナ51との間からはバイパス回路56が分岐し、このバイパス回路56はスクロール圧縮機SCの吐出配管32に接続されている。また、このバイパス回路56には電磁弁(弁装置)57が介設されている。
【0015】
次に、図2はスクロール圧縮機SCの縦断側面図を示している。この図において1は密閉容器で、この密閉容器1内には上側にスクロール圧縮要素2(圧縮要素)が、下側にこのスクロール圧縮要素2を駆動する電動要素3がそれぞれ収納されている。4はフレームで、このフレーム4は中央部において電動要素3の回転軸5を軸支している。
【0016】
スクロール圧縮要素2は、固定スクロール7と揺動スクロール8とで構成されている。固定スクロール7は密閉容器1内を高圧室9と低圧室10とに区画する円板状の鏡板11と、この鏡板11の一方の面周縁に突出された環状壁12と、この環状壁12で囲まれて鏡板11に立設されたインボリュート状またはこれに近似する曲線から成る渦巻き状のラップ13とで構成されている。そして、固定スクロール7は環状壁12及びラップ13の突出方向を下方として設けられている。
【0017】
揺動スクロール8は円板状の鏡板14と、この鏡板14の一方の面に立設されたインボリュート状またはこれに近似する曲線から成る渦巻き状のラップ15と、鏡板14の他方の面の中央に突設されたピン部16とで構成されている。そして、揺動スクロール8はラップ15の突出方向を上方として、このラップ15が固定スクロール7のラップ13に向かい合ってかみ合うようにし、内部に複数の三日月状圧縮空間17が形成されるようにしている。更に、この圧縮空間17は外方から内方へ向かって次第に縮小され、吸入した冷媒を圧縮して行く構成とされている。
【0018】
19は回転軸5の先端に設けられて揺動スクロール8のピン部16内に挿入された駆動部で、この駆動部19の中心は回転軸5の軸心と偏心して設けられている。また、20は固定スクロール7に対して揺動スクロール8が自転しないように円軌道上を公転させるオルダムリングである。
【0019】
一方、固定スクロール7の鏡板11中央部には、圧縮空間17と高圧室9とを連通する吐出ポート18が設けられている。また、吐出ポート18の外方に位置する部分の鏡板11には、同様に圧縮空間17(中央の圧縮空間17より外方に位置する中間圧力部となる圧縮空間)と高圧室9とを連通するリキッドインジェクションポート21、21が、吐出ポート18を挟んで対称の位置にそれぞれ形成されている。そして、各リキッドインジェクションポート21、21に前記リキッドインジェクション回路50が接続されている。
【0020】
前記吐出ポート18は薄板から成る吐出弁22によって高圧室9側から閉塞されている。吐出弁22はガイド24によって鏡板11に保持されており、吐出ポート18の圧力が高圧室9の圧力に達した場合に開き、吐出ポート18と高圧室9とを連通させる。
【0021】
フレーム4の外周部にはスクロール圧縮要素2に冷媒を導く図示しない吸込通路が設けられている。また、31は密閉容器1に取り付けられた吸込配管であり、この吸込配管31はフレーム4の下方で密閉容器1内の低圧室10に連通している。32は密閉容器1の上部に取り付けられた前記吐出配管で、この吐出配管32は密閉容器1内の高圧室9に連通している。
【0022】
図1に戻って、上記吐出配管32はオイルセパレータ42に接続され、吸込配管31はアキュムレータ48に接続される。この図において58は低圧センサであり、前記スクロール圧縮機SCの低圧室10の圧力(低圧)を検出する。また、59は高圧センサであり、前記スクロール圧縮機SCの高圧室9の圧力(高圧)を検出する。そして、61は制御装置であり、前記両センサ58、59の出力に基づいて前記電磁弁57、53や電動弁52を制御する。
【0023】
以上の構成でスクロール圧縮機SCの電動要素3が運転されると、回転軸5を介して揺動スクロール8が駆動される。即ち、揺動スクロール8は、そのピン部16に挿入された駆動部19(回転軸5の軸心に対して偏心している)により駆動され、オルダムリング20で固定スクロール7に対して自転しないように円軌道上を公転しながら旋回させられる。そして、固定スクロール7と揺動スクロール8とはこれらのラップ13、15間に形成された圧縮空間17を外方から内方に向かって次第に縮小させて行く。
【0024】
一方、吸込配管31から密閉容器1内の低圧室10に流入した冷媒は、フレーム4外周の前記吸込通路を通ってスクロール圧縮要素2の圧縮空間17に導かれるので、冷媒は揺動スクロール8の旋回により外方から内方に向かって次第に圧縮されて行く。
【0025】
ここで、スクロール圧縮機SCの通常運転時の圧縮比を例えば3(例えば高圧が18kg/cm2で低圧が6kg/cm2)とすると、高圧室9の圧力は前記18kg/cm2となる。従って、前述の如き固定スクロール7に対する揺動スクロール8の旋回により、両のラップ13、15間の圧縮空間17が外方から内方に向かって次第に圧縮され、鏡板11中央の吐出ポート18の位置でその圧力が高圧室9の圧力に達すると、吐出弁22が開いて圧縮された冷媒ガスは高圧室9に吐出される。高圧室9内に吐出された冷媒ガスは吐出配管32から密閉容器1外に吐出される。
【0026】
スクロール圧縮機SCの吐出配管32に吐出された高温高圧の冷媒ガスは、オイルセパレータ42を経て凝縮器43に入り、この凝縮器43にて空冷され、凝縮液化された後、受液器44に一旦貯溜され、その後前記膨張弁で減圧されてから蒸発器にて蒸発する。このときに生ずる吸熱作用により冷凍装置40は冷却能力を発揮する。このように、スクロール圧縮機SCからは高温の冷媒ガスが吐出されるので、吐出配管32の温度(吐出温度)は急激に上昇する。
【0027】
吐出配管32の温度が上昇すると、図示しない吐出温度センサがそれを感知して制御装置61は電磁弁53を開き、電動弁52の弁開度を拡大する。これによって、受液器44内の液冷媒の一部はリキッドインジェクション回路50に流入し、ストレーナ51、電動弁52で絞られた後、電磁弁53を経てスクロール圧縮機SCのリキッドインジェクションポート21、21から中間圧力となる圧縮空間17内に供給(インジェクション)されてスクロール圧縮機SCの吐出ガス温度を低下させる。また、スクロール圧縮機SCの吐出温度が低下すると、制御装置61は電動弁52の弁開度を縮小する。
【0028】
ここで、例えば電動要素3が低速で運転されるなどにより、前記圧縮比が例えば2(例えば高圧が12kg/cm2で低圧が6kg/cm2)などの規定値より低下し、低圧縮比条件となった場合、密閉容器1内の高圧室9の圧力は前記12kg/cm2となる。この場合も同様に固定スクロール7に対して揺動スクロール8が旋回すると、両スクロール7、8のラップ13、15間の圧縮空間17が外方から内方に向かって次第に圧縮されて行く。
【0029】
この場合、前記リキッドインジェクションポート21、21が形成された位置における圧縮空間17では過圧縮状態となる。制御装置61は低圧センサ58と高圧センサ59の出力に基づき、圧縮比が上記規定値2より低下した場合、電磁弁53及び57を開き、電動弁52を全開とする。これにより、中間圧力部となる圧縮空間17はリキッドインジェクションポート21、21、リキッドインジェクション回路50及びバイパス回路56を介して吐出配管32に連通され、当該リキッドインジェクションポート21、21からリキッドインジェクション回路50及びバイパス回路56を経て吐出配管32に当該圧縮空間17(中間圧力部)から冷媒ガスが吐出されるようになる。
【0030】
このようなリキッドインジェクションポート21、21から冷媒ガスの吐出により、係る低圧縮比条件運転時におけるスクロール圧縮要素2の過圧縮が防止される。これにより、スクロール圧縮機SCの入力(圧縮仕事)増大が防止され、成績係数の低減による特性低下が解消される。また、電動要素3の回転軸5を受けるフレーム4に加わる負荷の増大も防止されるようになるので、スクロール圧縮機SCの構成部品の劣化を抑制し、長寿命化を図ることができるようになる。
【0031】
尚、圧縮比が規定値以上に復帰したら、制御装置61は電磁弁57を閉じ、電磁弁53及び電動弁52の制御を通常状態に復帰させる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、スクロール圧縮機、凝縮器、受液器、減圧装置及び蒸発器を順次環状に接続すると共に、受液器からスクロール圧縮機のスクロール圧縮要素における中間圧力部に液冷媒を供給するリキッドインジェクション回路を設けて成る冷凍装置において、リキッドインジェクション回路から分岐してスクロール圧縮機の吐出配管に連通されたバイパス回路を備え、スクロール圧縮機のスクロール圧縮要素における圧縮比が規定値より低下した場合、リキッドインジェクション回路及びバイパス回路を介してスクロール圧縮要素における中間圧力部を吐出配管に連通させるので、スクロール圧縮要素における圧縮比が規定値より低下した場合は、スクロール圧縮機の中間圧力となる圧縮空間からリキッドインジェクション回路及びバイパス回路を介してスクロール圧縮機の吐出配管に冷媒を吐出することができるようになる。
【0033】
これにより、スクロール圧縮機の低圧縮比条件運転時において請求項3に示すような固定スクロールと揺動スクロールのラップ間における過圧縮の発生が防止される。従って、スクロール圧縮機の入力(圧縮仕事)増大が防止され、成績係数の悪化による特性低下を解消することができると共に、電動要素の回転軸受等に加わる負荷の増大も防止されるようになるので、スクロール圧縮機の長寿命化を図ることができるようになるものである。
【0034】
また、請求項2の如くバイパス回路に弁装置を設ければ、スクロール圧縮要素の中間圧力部と吐出配管との連通を的確に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した冷凍装置の冷媒回路図である。
【図2】図1の冷凍装置のスクロール圧縮機の縦断側面図である。
【符号の説明】
SC スクロール圧縮機
1 密閉容器
3 電動要素
2 スクロール圧縮要素
7 固定スクロール
8 揺動スクロール
9 高圧室
10 低圧室
21 リキッドインジェクションポート
40 冷凍装置
43 凝縮器
44 受液器
50 リキッドインジェクション回路
56 バイパス回路
61 制御装置
Claims (3)
- スクロール圧縮機、凝縮器、受液器、減圧装置及び蒸発器を順次環状に接続すると共に、前記受液器から前記スクロール圧縮機のスクロール圧縮要素における中間圧力部に液冷媒を供給するリキッドインジェクション回路を設けて成る冷凍装置において、
前記リキッドインジェクション回路から分岐して前記スクロール圧縮機の吐出配管に連通されたバイパス回路を備え、前記スクロール圧縮機のスクロール圧縮要素における圧縮比が規定値より低下した場合、前記リキッドインジェクション回路及びバイパス回路を介して前記スクロール圧縮要素における中間圧力部を前記吐出配管に連通させることを特徴とする冷凍装置。 - 前記バイパス回路に弁装置を設けたことを特徴とする請求項1の冷凍装置。
- 前記スクロール圧縮機は、密閉容器内に前記スクロール圧縮要素と該スクロール圧縮要素を駆動する電動要素とを備え、
前記スクロール圧縮要素は、鏡板に渦巻き状のラップを立設させた揺動スクロールと、該揺動スクロールに向かい合ってかみ合う鏡板に渦巻き状のラップを立設させた固定スクロールとから構成され、該固定スクロールと揺動スクロールとで形成された複数の圧縮空間を外方から内方へ向かって次第に縮小させて圧縮を行うよう、前記揺動スクロールを固定スクロールに対して公転しながら旋回させると共に、
前記リキッドインジェクション回路は中間圧力となる前記圧縮空間に連通されていることを特徴とする請求項1又は請求項2の冷凍装置。
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