JP2002249913A - 生分解性造花、及び造花型加湿用具 - Google Patents
生分解性造花、及び造花型加湿用具Info
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Abstract
の良好な加湿効果を併せ持たせ、土壌への廃棄の簡便性
を兼備させる。 【解決手段】 天然繊維を材質とする紙又は不織布にポ
リ乳酸フィルム又はポリ乳酸不織布を積層して生分解性
積層体を構成し、生分解性積層体を展開形状の花冠部又
は葉部から成る造花状に形成した生分解性造花である。
上記生分解性積層体はポリ乳酸繊維と天然繊維の混合不
織布の単層体に代替することもできる。本発明の造花は
ポリ乳酸で保形した展開形状の花冠部又は葉部により広
い表面積を具備するため、増大した放湿面積により水蒸
気の放散を有効に促進できる。また、生分解性に優れた
ポリ乳酸と天然繊維製の紙又は不織布を材質とするた
め、迅速に土壌中で分解し、そのまま生ゴミとして簡便
に廃棄できる。
Description
付与した生分解性造花、並びに当該造花を用いた造花型
加湿用具に関し、良好な加湿性能を有するとともに、優
れた生分解性により環境に負荷をかけることなく土壌中
に簡便に廃棄できるものを提供する。
しては、下記のものなどがある。 (1)特開平10−140412号公報 人造の花の茎を中空として水の流入路を形成し、当該流
入路を萼を介して花冠部に連結し、茎内への水分の流
入、並びに水分の乾燥若しくは流出を駆動源として開花
と閉花の動的変化を行わせるように構成した造花が開示
されている。
りの上部の作動部に通気性布を接着して連動可能にし、
作動部分の上の通気性布に花冠部を付設して、通気性布
で松ぼっくりを囲繞し、通気性布を茎部の上部で固定す
ることにより、実内の湿気の増減や日光や風により、花
が開いたり萎んだりするように構成した自動乾湿運動造
花が開示されている。
き付け、花弁と中芯を一体化し、その周囲に防水物質、
葉と茎の染料を仕込んだ外部吸水物質を順に巻き付け、
水を容器に注ぐことにより、毛細管現象とクロマトグラ
フィー効果を利用して、花弁の色を変化させる色変わり
造花が開示されている。
水分を利用した造花ではあるが、いずれも花冠の開花と
閉花の動的変化や、花冠部の色調の変化のような視覚的
鑑賞を目的としたものであって、造花に視覚効果以外の
付加価値を持たせることを目的としたものではない。ま
た、従来の造花は耐久性付与の見地から合成樹脂などを
材質として常用しているため、そのまま土壌中に廃棄す
ることはできず、産業廃棄物となってゴミの増大につな
がり、環境保護の見地から好ましくない。しかも、塩化
ビニルのような塩素含有樹脂を材質とするものでは、燃
焼させた場合にダイオキシン類が発生する危険もある。
は、空気が乾燥しがちであり、膚面がかさついたり、膚
の潤いが不足ぎみになり易い。本発明は、造花自体に視
覚効果だけではなく、周辺空間への良好な加湿効果を併
せ持たせるとともに、土壌への廃棄の簡便性を兼備させ
ることを技術的課題とする。
質として天然繊維製の紙又は不織布を選択することによ
り、これらを水に浸した場合の吸水作用による周辺空間
への放湿能力と、これらを材質とする造花に対する保形
性の付与とを鋭意研究した結果、これらの材質にポリ乳
酸フィルム又はポリ乳酸不織布を積層することで、優れ
た放湿能力と良好な保形性の両方を併せて達成できるこ
と、ポリ乳酸の優れた生分解性により造花全体をそのま
ま簡便に廃棄できることを見い出すとともに、ポリ乳酸
繊維と天然繊維の混合不織布の単層体を造花に形成した
場合にも、同様に所期の目的を達成できることを突き止
め、本発明を完成した。
紙又は不織布にポリ乳酸フィルム又はポリ乳酸不織布を
積層して生分解性積層体を構成し、生分解性積層体を展
開形状の花冠部又は葉部から成る造花状に形成したこと
を特徴とする生分解性造花である。
繊維を材質とする紙又は不織布にポリ乳酸フィルム又は
ポリ乳酸不織布を積層して生分解性積層体を構成する代
わりに、ポリ乳酸繊維と天然繊維より製造した不織布か
ら生分解性単層体を構成することを特徴とする生分解性
造花である。
乳酸フィルム又はポリ乳酸不織布の両面に天然繊維を材
質とする紙又は不織布を夫々積層して3層の生分解性積
層体を構成することを特徴とする造花型加湿用具であ
る。
て、天然繊維不織布がコットン不織布であることを特徴
とする生分解性造花である。
の生分解性造花を補水容器の内部空間に臨ませて、補水
容器の内部空間に収容した水を生分解性造花を介して周
辺空間に放湿可能に構成したことを特徴とする造花型加
湿用具である。
剤を水溶性包接皮膜で被覆して芳香性インクを製造し、
当該芳香性インクを生分解性造花の花冠部又は葉部に塗
膜し、生分解性造花に浸透した水分により水溶性包接皮
膜を溶解可能に構成することを特徴とする造花型加湿用
具である。
容器に収容した水に芳香剤を溶解することを特徴とする
造花型加湿用具である。
解性造花の花冠部又は葉部に消臭用吸着剤を塗膜するこ
とを特徴とする造花型加湿用具である。
質とする紙又は不織布とポリ乳酸フィルム又はポリ乳酸
不織布との積層体、或はポリ乳酸繊維と天然繊維の混合
不織布の単層体を、少なくとも展開形状の花冠部又は葉
部を有する造花状に形成した生分解性造花であり、第二
に、当該生分解性造花と補水容器を組み合わせた造花型
加湿用具である。
乳酸、或は、L−乳酸とポリD−乳酸の共重合体であ
り、乳酸から直接に脱水重縮合し、或は、ラクチド、グ
リコリド、ε−カプロラクトンなどを開環重合し、又は
その他の公知の方式で製造することができ、分子量は特
に限定されるものではない。また、本発明のポリ乳酸
は、乳酸とグリコール酸、ヒドロキシ酪酸などの他のオ
キシカルボン酸との共重合体も含む概念である。ポリ乳
酸フィルムは公知の方式でフィルムに製造したものであ
り、ポリ乳酸の不織布は、上記ポリ乳酸の単一繊維及び
/又は長繊維をスパンボンド、サーマルボンド、メルト
ブロー、水流絡合などの公知の方式で不織布に製造した
ものである。ポリ乳酸フィルムの市販品にはエコロージ
ュ(三菱樹脂社製)などがあり、同じくポリ乳酸不織布に
はテラマック(ユニチカ社製)などがある。
体(1)か、積層体(2)を使用する。 (1)ポリ乳酸繊維と天然繊維の混合不織布から成る生分
解性単層体 (2)天然繊維を材質とする紙又は不織布にポリ乳酸フィ
ルム又はポリ乳酸不織布をラミネートした生分解性積層
体 天然繊維を材質とする紙又は不織布にポリ乳酸を積層す
るのは、生分解性積層体に保形性を付与するためであ
る。特に、天然繊維製の不織布は紙に比べて腰が弱いた
め、ポリ乳酸の使用は保形性の付与に重要である。ま
た、保形性を付与する点では、ポリ乳酸フィルムの方が
ポリ乳酸不織布より有効である。上記天然繊維は、コッ
トン、カポック、亜麻、大麻、黄麻、ラミー、マニラ
麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、羊毛、モヘヤ、絹
などの植物性、或は動物性の任意の繊維をいい、生分解
性保持の見地から合成繊維は排除されるが、レーヨン、
アセテートなどの再生繊維を排除するものではない。天
然繊維を材質とする紙は、公知の湿式抄造法によって製
造される。天然繊維の不織布は、ポリ乳酸不織布と同様
に、公知の方式で製造される。
ば、天然繊維の不織布上にポリ乳酸フィルム又は不織布
を載置し、適正な温度と圧力条件で熱プレス処理を行っ
て積層体に成形される。紙とポリ乳酸フィルム又は不織
布を積層する場合も基本的にこれと同様であるが、天然
起源の結合剤を介して両者を貼着しても差し支えない。
上記結合剤としては、各種デキストリン、プルラン、ア
ラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガ
ム、タマリンドガム、ローカストビーンガムなどの天然
ガム類、アルギン酸塩、マンナン、ペクチン、ゼラチン
などの水溶性或はアルコール溶解性の糊料などが好まし
い。
リ乳酸フィルム、天然繊維不織布/ポリ乳酸フィルムの
2層に限らず、本発明3に示すように、紙/ポリ乳酸フ
ィルム/紙、紙/ポリ乳酸フィルム/天然繊維不織布、
天然繊維不織布/ポリ乳酸フィルム/天然繊維不織布の
3層、或はそれ以上の層を有する積層体であっても良
い。この場合、上記ポリ乳酸フィルムをポリ乳酸不織布
に替えても良い。ちなみに、単位面積当たりの放湿性能
を向上する見地からは、後述の試験例に示すように、紙
より不織布の方が有利であり、本発明4に示すように、
天然繊維不織布の中ではコットン不織布が有利である。
従って、生分解性積層体としては、コットン不織布/ポ
リ乳酸フィルム/コットン不織布が好ましい。コットン
不織布の市販品としては、オイコス(日清紡績社製)など
がある。
と天然繊維の混合不織布の単層体から形成される。加湿
用具として使用する場合、水の吸上げ能力を充分に確保
する目的で、ポリ乳酸繊維単独ではなく、ポリ乳酸繊維
に上記天然繊維を混合して不織布を製造するのである。
当該混合不織布の製法は前述した通りである。また、当
該混合不織布にアイロン掛けなどの表面加熱を施すと、
保形性の強化に有利である。また、ポリ乳酸が良好なヒ
ートシール性を具備することから、本発明2の混合不織
布の単層体や、本発明1のポリ乳酸フィルム(又は不織
布)と天然繊維製の紙(又は不織布)との2層体で造花を
形成する場合、単層体又は積層体のポリ乳酸同士の熱融
着により、複雑な造形も可能になるため、造形加工性に
優れる。良好な加湿適性を具備させる見地から、ポリ乳
酸フィルム、天然繊維製の紙又は不織布、混合不織布の
坪量は、夫々10〜50g/m2程度が好ましい。
成する際には、表面積を増大して放湿性能を向上させる
見地から、展開形状の花冠部又は葉部を有することが重
要である。例えば、花冠部を形成する際には、バラやボ
タンなどのような多数の花弁が複雑に集合した大輪のも
のが好ましい。また、造花の形成に際して、生分解性積
層体又は単層体のみにより、茎部を花冠部や葉部と一体
形成して、水を吸い上げる機能を担わせても良いことは
いうまでもない。但し、吸水能力に優れた多孔性又はス
ポンジ性の棒状体で茎部だけを別途形成し、この茎部を
本発明の積層体又は単層体で形成した花冠部や葉部に連
結して造花全体を製造しても良い。以上のように、花冠
部や葉部を広く大きく展開するほど、造花の表面積が増
大して放湿性能の向上に有効に寄与することができる。
を組み合わせた造花型加湿用具であり、この造花の茎部
を補水容器の内部空間に臨ませて、補水容器の内部空間
に収容した水を造花を介して周辺空間に放湿可能に構成
したものである。即ち、補水容器の水分は毛細管現象に
より茎部から花冠部又は葉部に移動し、表面積の大きい
花冠部又は葉部から放湿され、周辺空間を加湿するので
ある。
香性能を兼備した造花型加湿用具である。即ち、上記本
発明6は、芳香剤を水溶性包接皮膜で被覆して芳香性イ
ンクを上記生分解性造花の花冠部又は葉部に塗膜した加
湿用具であり、補水容器から生分解性造花に吸い上げた
水分により水溶性包接皮膜が溶解し、皮膜内の芳香剤が
外気に接触して芳香を周辺空間に放出するようにしたも
のである。尚、芳香性インクを調製する際には、可塑
剤、色素などの各種添加剤を溶剤に混合し、公知の方式
で製造するのは勿論である。塗膜処理は、塗布、含浸、
スプレーによる噴霧などを問わない。上記芳香剤として
は、ジャスミン、ローズ、ラベンダー、ハーブ、レモ
ン、キンモクセイ、フローラルなどが挙げられる。上記
包接皮膜の材質としては、シクロデキストリン、プルラ
ン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースな
どが挙げられる。一方、上記本発明7は、芳香性インク
を生分解性造花の花冠部又は葉部に塗膜する替わりに、
補水容器に収容した水に上記芳香剤を直接的に溶解し
て、補水容器から芳香を放出可能にした加湿用具であ
る。
生分解性造花の花冠部又は葉部に消臭用吸着剤を塗膜し
た造花型加湿用具である。上記消臭用吸着剤としては、
竹抽出液等の植物性消臭抽出物、或は、活性炭、ゼオラ
イト等の多孔性物質などが挙げられ、上記竹抽出液など
は造花に含浸し、多孔性物質などは分散液の形態で塗布
するのが好ましい。
部又は葉部により造花の表面積を増大できるため、造花
の放湿面積を拡大して、水蒸気の放散を有効に促進でき
る。このため、本発明の造花型加湿用具は、造花による
視覚上の審美的効果に加えて、冬場や空調の効いた屋内
空間などを加湿して、空気の乾燥を有効に阻止し、膚面
の潤い不足などを防止して、周辺空間を健康的な湿度状
態に保持できる。また、インフルエンザ・ウイルスは湿
度が高いほど活動が弱まるため、本発明の加湿用具は風
邪の防止にも有効である。この場合、後述の試験例に示
すように、生分解性積層体などに不織布を使用すると、
紙を使用するより放湿効率が向上するため、周辺空間の
加湿効果への寄与が増大する。
分解性に優れたポリ乳酸の繊維と天然繊維から得られた
混合不織布の単層体か、当該ポリ乳酸フィルム又は不織
布と天然繊維製の紙又は不織布との積層体を材質とする
ため、迅速に土壌中で分解し、そのまま生ゴミとして簡
便に廃棄でき、もって環境への負荷を円滑に軽減でき
る。従って、合成樹脂製の従来の造花のように、産業廃
棄物となってゴミの増大につながることはなく、環境保
全に有益である。
性に優れたポリ乳酸を材質とするため、展開形状の花冠
部や葉部を形成する場合、ポリ乳酸同士を熱融着して複
雑な造形も可能になり、造形加工性に優れる。
的効果と加湿効果に加えて、さらにハーブなどの芳香剤
による芳香放散効果があるため、アロマテラピー、精神
の癒しなどに寄与し、心身の健康保持に有効である。ま
た、本発明7では、造花に塗膜した消臭用吸着剤の作用
により、屋内の煙草などの臭い、或は、建材から発生す
るホルムアルデヒドなどの揮発性物質を吸着して、周辺
空間を清浄に保持することができる。
当該生分解性造花を用いた加湿用具による加湿試験例、
造花の生分解性試験例を順次説明する。尚、本発明は下
記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明
の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿
論である。
例1〜2のうち、実施例1は不織布/ポリ乳酸フィルム
/不織布の3層体で造花を形成した例、実施例2は紙/
ポリ乳酸フィルム/紙の例である。 (1)実施例1 膜厚15μmのポリ乳酸フィルム(エコロージュSEP
15;三菱樹脂社製)を中芯として、その表・裏両面に
坪量30g/m2のコットン不織布(オイコス;日清紡績
社製)を夫々熱プレスして積層した後、この3層の生分
解性積層体を用いてバラを模した展開形状の花冠部と茎
部が一体になった生分解性造花を造形加工した。この場
合、花弁と茎部を形成するための上記積層体10枚を用
意し、展開形状に造形した花弁10枚を集合させて花冠
部を形成するとともに、花冠部以外の残部を絞り込んで
茎部と成して造花全体を形成したものであり、造花の合
計の展開表面積は0.3m2であった。
りに坪量23g/m2の麻紙(アバカ紙;大福製紙社製)
を使用して、麻紙/ポリ乳酸フィルム/麻紙の3層の積
層体を製造し、この積層体から実施例1と同様の条件で
生分解性造花を造形した。従って、造花の展開表面積は
実施例1と同様である。
ポリ乳酸フィルム/コットン不織布の3層からなる生分
解性造花を補水容器と組み合わせて造花型加湿用具を構
成し、この加湿用具を使用して加湿試験を行った。 《造花型加湿用具による加湿試験例》 (1)湿度変化による加湿試験例 500mlの水を充填した合成樹脂製の補水容器に実施
例1の生分解性造花の茎部を浸して加湿用具とした。一
方、外気の湿度変化を受ける所定の室内に容積0.85
m3の試験庫を設置し、上記加湿用具をこの試験庫内に
2個配置し、雨天〜晴天の間で室内の湿度条件が70%
〜40%の範囲で変化した際の、試験庫内の湿度の経時
変化を120分経過時点まで測定した。また、500m
lの水を入れた補水容器のみを2個試験庫に配置して、
比較例とした。尚、上記試験庫は試験前には室内と連通
されて同じ湿度状態に保持されているが、試験開始と同
時に室内から遮断して密閉状態に保持した。
が低湿度(45%)の場合にはそれなりに試験庫内の加湿
効果が認められたが、高湿度(60〜70%)になると試
験庫内の湿度は室内と同じか、逆に低下してしまい、加
湿効果はなかった。これに対して、実施例1の造花をセ
ットした加湿用具を用いた場合、室内の湿度が高湿度〜
低湿度のいずれの場合にも、試験庫内は室内より充分に
加湿されており、特に、室内が低湿度であるほど室内の
湿度に対する試験庫内の湿度の増加率が増大し、加湿効
果が顕著であることが判明した。従って、冬場やエアコ
ンなどの稼働で空気が乾燥している部屋では、とりわけ
本発明の加湿用具は有効であることが明らかになった。
尚、実施例1の場合においても、試験開始から20分程
度までは加湿効果が弱い傾向にあるが、これは、補水容
器の水が毛細管現象で花冠部まで吸い上げられるまで
の、いわば放湿の立ち上げに時間を要するためと推定で
きる。この点は、以下の(2)〜(4)の加湿試験例でも同様
である。
する加湿用具の個数を1個〜2個に変化させて、試験庫
内の湿度の経時変化を120分経過時点まで測定した。
また、比較例は、補水容器のみを実施例1と同じ個数だ
け試験庫に配置したものである。尚、当該試験の際の室
内の湿度は60%であった。
容器が1個、2個の場合を問わず、加湿効果がないのに
対して、実施例1の造花を用いた場合には、1個〜2個
共に明確な加湿効果を奏するとともに、加湿用具を2個
用いた方が1個の場合より放湿面積が増大するために加
湿効果が大きかった。しかしながら、加湿用具を1個だ
け用いた場合でも、その加湿による試験庫内の湿度水準
は室内湿度の60%よりはかなり高めの数値を示し、充
分な加湿効果を示すことが判明した。
み合わせて2種類の加湿用具を準備し、上記(1)の加湿
試験例を基本としながら、試験庫に配置する加湿用具の
種類を変化させて、数試験庫内の湿度の経時変化を12
0分経過時点まで測定した。また、比較例は、補水容器
のみを試験庫に配置したものである。尚、試験庫には実
施例1〜2と比較例の各加湿用具を2個づつ配置した。
また、当該試験の際の室内の湿度は45%であった。
(即ち、蒸発量)は下記の通りであった。 実施例1 実施例2 比較例 減少量 10.9g 8.2g 0.5g
は低水準であった。実施例2は略40分経過時点から加
湿効果が増大し、実施例1は略20分経過時点から以
後、迅速且つ顕著な加湿効果を示し、その加湿水準は実
施例2より高かった。但し、120分経過時点では、実
施例1と実施例2での試験庫内の湿度水準はほとんど変
わりなかった。即ち、実施例1は実施例2より加湿効果
が大きく、且つ、放湿速度が速いことが判明し、加湿効
果及び速度の点ではコットン不織布の方が麻紙より有効
であることが明らかになった。これは、コットンと麻紙
の材質の差と、不織布と紙という物理的構造の差の両方
に起因するものと推定される。これらの点は水の上記蒸
発量からも裏付けられる。
での加湿能力を観察したものであるが、本試験例では、
実際の建物の室内での加湿能力(即ち、水蒸気の放散度
合)を観察したものである。即ち、前記(1)の試験例を基
本として、8坪程度の広さの部屋に上記実施例1を用い
た加湿用具を2個配置して、その補水容器の合計水量を
1000mlとしたうえで、24時間経過時点での加湿
用具からの水蒸気の放散量を測定した。尚、当該試験に
際しては、空調を効かせて部屋内の空気を対流させて、
水蒸気の放散を促進した。
化し、室内湿度が45〜60%の範囲で変化した条件の
下で、造花型加湿用具の水の減少量は317mlであっ
た。前記(3)の加湿試験例では、比較例の水の蒸発量は
2時間で0.5g(24時間換算では6ml程度)であっ
たことから、この(3)の試験例が室内の湿度が45%で
ある条件下の試験庫内での試験であることを勘案して
も、本試験結果の317mlという蒸発量に鑑みれば、
本発明の加湿用具を2個用いるだけで、造花から部屋全
体に充分な水蒸気が放散されて、部屋を好適な加湿空間
に保持できることが判明した。
施例1の造花の基本となるコットン不織布/ポリ乳酸フ
ィルム/コットン不織布の3層の積層体(厚さは0.18
mm)を5cm×5cmの矩形の試料として、市販の家庭用コ
ンポスト(生ゴミイーター;松下電工社製)内に載置し
て、生分解性の可否、或はその分解速度を目視観察し
た。その結果、上記積層体の全体は19日程度で生分解
されて完全に消失してしまった。これにより、上記積層
体の迅速な生分解性能が確認され、この積層体を廃棄し
ても環境に無用の負荷を掛ける恐れは全くなく、もっ
て、本発明の造花が良好な環境保全能を具備することが
判明した。
Claims (8)
- 【請求項1】 天然繊維を材質とする紙又は不織布にポ
リ乳酸フィルム又はポリ乳酸不織布を積層して生分解性
積層体を構成し、生分解性積層体を展開形状の花冠部又
は葉部から成る造花状に形成したことを特徴とする生分
解性造花。 - 【請求項2】 天然繊維を材質とする紙又は不織布にポ
リ乳酸フィルム又はポリ乳酸不織布を積層して生分解性
積層体を構成する代わりに、 ポリ乳酸繊維と天然繊維より製造した不織布から生分解
性単層体を構成することを特徴とする請求項1に記載の
生分解性造花。 - 【請求項3】 ポリ乳酸フィルム又はポリ乳酸不織布の
両面に天然繊維を材質とする紙又は不織布を夫々積層し
て3層の生分解性積層体を構成することを特徴とする請
求項1に記載の造花型加湿用具。 - 【請求項4】 天然繊維不織布がコットン不織布である
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の生分解性造
花。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の生
分解性造花を補水容器の内部空間に臨ませて、補水容器
の内部空間に収容した水を生分解性造花を介して周辺空
間に放湿可能に構成したことを特徴とする造花型加湿用
具。 - 【請求項6】 芳香剤を水溶性包接皮膜で被覆して芳香
性インクを製造し、当該芳香性インクを生分解性造花の
花冠部又は葉部に塗膜し、生分解性造花に浸透した水分
により水溶性包接皮膜を溶解可能に構成することを特徴
とする請求項5に記載の造花型加湿用具。 - 【請求項7】 補水容器に収容した水に芳香剤を溶解す
ることを特徴とする請求項5に記載の造花型加湿用具。 - 【請求項8】 生分解性造花の花冠部又は葉部に消臭用
吸着剤を塗膜することを特徴とする請求項5に記載の造
花型加湿用具。
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