JP2002249585A - 含フッ素重合体の改質法およびその制御方法 - Google Patents

含フッ素重合体の改質法およびその制御方法

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JP2002249585A JP2001159432A JP2001159432A JP2002249585A JP 2002249585 A JP2002249585 A JP 2002249585A JP 2001159432 A JP2001159432 A JP 2001159432A JP 2001159432 A JP2001159432 A JP 2001159432A JP 2002249585 A JP2002249585 A JP 2002249585A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 迅速にかつ効率的に不安定基を有する溶融加
工可能な含フッ素重合体の不安定基を安定化でき、しか
も分子量の調整も同時に行なうことができる含フッ素重
合体の改質方法を提供する。 【解決手段】 不安定基を有する溶融加工可能な含フッ
素重合体を酸素を含むガスの存在下に溶融混練する工程
(A)、および酸素を含むガスで処理された含フッ素重
合体を酸素および水の存在下に溶融混練する工程(B)
からなる含フッ素重合体の改質法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不安定基を有する溶
融加工可能な含フッ素重合体を安定化すると共に分子量
を均一化する改質法に関する。さらに詳しくは、不安定
末端基および/または主鎖に存在する不安定結合を利用
して分子量を調整し、さらに短時間で効率よく安定化す
る含フッ素重合体の改質法に関する。また、その改質法
に好適な自動制御方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】溶融加工可能な含フッ素重合体は、たと
えばテトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオ
ロプロピレン(HFP)との共重合体(FEP)やTF
Eとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAV
E)との共重合体(PFA)、TFEとエチレンとの共
重合体(ETFE)など数多く知られている。こうした
溶融加工可能な含フッ素重合体のなかには、溶融加工に
より製造した成形品中に気泡や空隙が生ずるものがあ
る。これは、含フッ素重合体が有する不安定な末端基が
熱により分解して生ずる揮発性物質に起因すると考えら
れている(米国特許第3,085,083号明細書)。
【0003】溶融加工可能な含フッ素重合体に存在する
不安定末端基は重合法や重合開始剤、連鎖移動剤などの
種類に依存する。たとえば、乳化重合法によく使用され
る過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムな
ど)を重合開始剤とする場合カルボン酸末端基が生ず
る。このカルボン酸末端基は溶融条件にもよるが、溶融
混練によりビニル末端基(−CF=CF2)や酸フルオ
ライド末端基(−COF)に変化する。これらの末端基
は熱的に不安定であり、揮発性物質を生じて最終製品に
気泡や空隙を生ずる原因となる。
【0004】米国特許第3,085,083号明細書で
はこうした不安定末端基を水と熱の存在下で処理するこ
とにより安定な−CF2H基に変換しており、特公昭4
6−23245号公報記載の方法では、フッ素ガスなど
のフッ素化剤と反応させて−CF3という安定な末端基
に変換している。
【0005】また含フッ素重合体の主鎖中には繰返し単
位の結合の仕方によっては不安定な結合が生ずることが
ある。たとえばTFE−HFP系の共重合体であるFE
Pの場合、HFP同士の結合は不安定であり溶融混練時
に加わる機械力(剪断力)により切断され、不安定なビ
ニル末端基を生ずるといわれている(米国特許第4,6
75,380号明細書)。
【0006】米国特許第4,675,380号明細書で
は溶融混練時に二軸スクリュー型押出機により大きな剪
断力を加えてHFP−HFP結合を切断して不安定末端
基としている。しかしこの方法では、二軸スクリュー型
押出機という短時間で大きな剪断力を加えることができ
る混練機を使用するため、主鎖の不安定結合を切断して
不安定ビニル末端とするに止まり、生じた不安定末端基
の処理を二軸押出機内で行なうことは予定していない。
かえって、酸素が存在するとビニル末端基が酸フルオラ
イド末端基に変化するため、含フッ素重合体および押出
機内から実質的に酸素が存在しない雰囲気下で処理して
ビニル末端基のまま取り出し、安定化処理を二軸押出機
外で行なっている。また、二軸押出機内での溶融混練時
に発生する揮発性物質などを押出機外に排気するために
押出機内を減圧(絶対圧力で0.1MPa未満)にして
いるが、それでもビニル末端基の解重合により生ずる炭
素に起因する着色が生じている。
【0007】かかる二軸スクリュー型押出機の欠点を解
消するためWO98/09784号パンフレット記載の
方法では、有効容積率(容器内有効空間/容器内空間)
が0.3よりも大きい、いわゆる表面更新型混練機を使
用し、式:K=Pv/μ/n 2(式中、Pvは単位体積
あたりの所用動力(W/m3)、μは重合体の372℃
における溶融粘度(Pa・s)、nは回転数(rps)
である)で表わされる動力係数Kが8000未満という
マイルドな混練条件でかつほぼ大気圧下に滞留時間10
分間以上という長い時間をかけることによって不安定基
の安定化処理を行なっている。
【0008】しかし、表面更新型混練機を使用する長時
間の溶融混練では、着色の問題は解決されているが、処
理効率の低下が避けられないだけでなく、ビニル末端基
の解重合も進行して樹脂の劣化が生じやすい。また、処
理装置が大型になり、さらに処理樹脂の切換え時におけ
る残留物の置換に時間がかかるという問題も生じてい
る。
【0009】さらにWO00/26260号パンフレッ
トでは、二軸押出混練機に酸素を含むガスと水とを積極
的に供給することにより、不安定基が短時間に安定化で
きることが記載されている。しかし、酸素を含むガスと
水の供給順序や得られる重合体の分子量については何ら
触れていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記の種々の安
定化方法では、溶融混練条件が過酷なため、重合体が劣
化し、分子量の低下を招いている。
【0011】本発明の目的は、溶融加工可能な含フッ素
重合体の不安定基を短時間に効率よく安定化すると共に
分子量の低下を防止し、さらに分子量を均一化して加工
性を上げ、気泡や着色のない成形物を容易に製造できる
含フッ素重合体の改質法、およびその改質法に特に好適
な制御方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、不安
定基を有する溶融加工可能な含フッ素重合体を酸素を含
むガス、たとえば空気の存在下に溶融混練する工程
(A)、および酸素を含むガスで処理された含フッ素重
合体を酸素および水の存在下に溶融混練する工程(B)
からなる含フッ素重合体の改質法に関する。
【0013】これらの工程(A)および(B)は別々に
実施してもよいが、好ましくは1つの混練機内で連続し
て行なう。
【0014】混練機内で連続して行なう場合、含フッ素
重合体の押出方向の上流において酸素を含むガスを供給
し、その下流において水を供給することが好ましい。ま
た、工程Aで供給された酸素を含むガスは除去されず工
程Bに持ち込まれる。これは工程Bにおいても着色原因
になり得る物質が発生するので、こうした物質を酸化す
るために酸素の存在が必要であるからである。なお、工
程Bにおいて工程Aで供給した酸素を含むガスを補填す
る目的で積極的に酸素を含むガスを供給してもよい。同
様の理由から、工程Aと工程Bとを別々に行なう場合、
工程Bでも積極的に酸素を含むガスを供給する。
【0015】それらの工程(A)および(B)における
処理温度は270〜450℃が適当である。工程(A)
および/または工程(B)を加圧状態とする場合は、そ
の絶対圧力を0.2MPa以上、好ましくは0.3MP
a以上とする。
【0016】含フッ素重合体の不安定基は重合鎖の末端
に存在していてもよく、また主鎖の不安定な結合部であ
ってもよい。
【0017】工程(A)および/または工程(B)にお
いて、カルボン酸型の不安定末端基の安定化を促進する
アルカリ金属、アルカリ土類金属もしくはアンモニウム
塩を含む化合物、アルコール類、アミン類もしくはその
塩またはアンモニアを存在させることが好ましい。これ
らの添加剤は予め重合体中に混入させていてもよいし、
各工程で添加してもよい。
【0018】溶融混練に用いる混練機は、スクリュー型
押出機のような比較的大きなセン断力を与える混練機で
あればよく、多軸型の混練機、特に二軸スクリュー型押
出機が好ましい。
【0019】本発明の改質法は不安定基を有する溶融加
工可能な含フッ素重合体であれば適用できるが、特にテ
トラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロ
ピレン(HFP)およびパーフルオロ(アルキルビニル
エーテル)(PAVE)よりなる群から選ばれた少なく
とも2種のモノマーからなる共重合体の不安定基の安定
化処理に有効である。
【0020】かかる含フッ素重合体には、たとえばパー
フルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)0.5
〜13重量%、該PMVE以外のPAVE0.05〜3
重量%およびTFE残部からなる共重合体、またはTF
E−HFP系共重合体、特に乳化重合法により製造され
た不安定基を含むTFE−HFP系共重合体などがあげ
られる。
【0021】また、工程(A)および(B)における処
理により発生した各種のガス状物を混練機外に排出する
ために、工程(B)の下流に絶対圧力が0.1MPa以
下の脱気処理工程(C)を設けてもよい。
【0022】本発明はまた、酸素を含むガスと水とを用
いて不安定基を有する含フッ素重合体を混練機により溶
融混練して安定化する際に、混練機の出口部分の重合体
のメルトフローレート(MFR)を常時測定し、得られ
るメルトフローレート値に基づいて、(1)混練機のス
クリュー回転数、(2)酸素を含むガス供給量、(3)
水の供給量、または(4)混練機の内部温度の少なくと
も1つを自動制御して出口部分の重合体のメルトフロー
レートを目的とするメルトフローレート範囲内に維持す
るメルトフローレートの制御方法にも関する。
【0023】この出口部分の重合体のメルトフローレー
トの測定をオンライン溶融粘度測定装置により行ない、
自動制御をオンライン自動制御で行なうことにより、常
に一定のメルトフローレートを有する安定化処理された
含フッ素重合体をさらに容易に提供できる。
【0024】その制御は、たとえば前記出口部分の重合
体のメルトフローレート値が増大した場合は、(1)混
練機のスクリュー回転数を下げる、(2)酸素を含むガ
ス供給量を増やす、(3)水の供給量を増やす、または
(4)混練機の内部温度を下げるという制御の少なくと
も1つを自動的に行なえばよいし、前記出口部分の重合
体のメルトフローレート値が低下した場合は、(1)混
練機のスクリュー回転数を上げる、(2)酸素を含むガ
ス供給量を減らす、(3)水の供給量を減らす、または
(4)混練機の内部温度を上げるという制御の少なくと
も1つを自動的に行なえばよい。
【0025】
【発明の実施の形態】まず、本発明が改質しようとする
不安定基を有する溶融加工可能な含フッ素重合体につい
て説明する。
【0026】溶融加工可能な含フッ素重合体としては、
前記のようにTFE、HFP、PAVEといったモノマ
ーを2種以上共重合して得られる共重合体などが知られ
ている。具体的な共重合体としては、たとえばTFE−
HFP共重合体(FEP)、TFE−HFP−PAVE
共重合体などのFEP系重合体;TFE−PAVE共重
合体(PFA)、TFE−PMVE−PAVE(PMV
E以外)共重合体などのPFA系重合体などがあげられ
る。
【0027】PAVEとしては、式: CF2=CFO(CF2mF (式中、mは1〜6の整数である)で表わされるビニル
エーテル(なお、mが1の場合がPMVEである)、お
よび式: CF2=CF(O−CF2CF(CF3))nOC37 (式中、nは1〜4の整数である)で表わされるビニル
エーテルがあげられる。
【0028】これらの溶融加工可能な含フッ素重合体は
多かれ少なかれ不安定基を有している。特に不安定基の
安定化が望まれている含フッ素重合体の代表例として
は、FEP系重合体、それも不安定基の原因となる過硫
酸塩を開始剤として使用する乳化重合法で製造したもの
があげられ、そのほか重合体の末端がフッ素原子または
水素原子で飽和されてない重合法で製造された含フッ素
重合体なども、安定化処理が強く要請されている重合体
である。なかには、使用する重合法や開始剤の種類によ
って、または連鎖移動剤としてメタンなどのアルカン類
などを使用することによって不安定基の少ない重合体が
得られ、従来は用途によっては安定化処理が不要とされ
ているものもあるが、それらの重合体も本発明の改質処
理により、より一層安定なものとなる。
【0029】含フッ素重合体の不安定基を安定化するだ
けの処理としては、前記WO00/26260号パンフ
レットに記載されているように、酸素を含むガスと水と
を積極的に添加することで充分である。その不安定基の
安定化の機構はWO00/26260号パンフレットに
詳しく記載されている。
【0030】本発明は単に不安定基を安定化するだけで
はなく、分子量をも調整し、できるだけ均一な分子量の
重合体とすることを目的としている。そのため、本発明
ではまず含フッ素重合体を酸素を含むガス、たとえば空
気の存在下に溶融混練する(工程(A))。この酸素含
有ガスは原料の含フッ素重合体に存在する酸素や周囲に
元々存在する大気中の酸素程度の量では不充分であり、
積極的に注入するものである。また、重要な点は、この
酸素含有ガスでの処理工程(A)では水を共存させない
点である。
【0031】処理工程(A)では、推定であるが、つぎ
のような反応が生じていると考えられる。
【0032】まず溶融混練により、大きすぎる分子量の
重合体は熱と混練時のせん断力によって切断され分子量
の低下が起こる一方で、酸素が存在することで重合体末
端同士がカップリングを生起して分子量が増加するとい
う反応が起こる。このとき、混練能力が強すぎると平均
分子量は低下する傾向にあり、混練能力が弱いと平均分
子量は増大する傾向にある。
【0033】この工程(A)は、たとえば適度なせん断
力を与えられるスクリュー型押出機(混練機)、特に二
軸スクリュー型押出機などを利用することが好ましい。
【0034】また酸素(O2)の存在量は反応時の温度、
処理工程(A)での処理時間、押出機の型式、不安定末
端基の種類と量などによって異なるが、不安定基(たと
えば−CF=CF2)と少なくとも同モル量、拡散ロスや
反応に寄与せず排気される量を考えると過剰量、たとえ
ば10倍モル量以上、特に50倍〜500倍モル量とす
るのが好ましい。
【0035】酸素を含むガスは、酸素ガスを窒素ガスや
アルゴンガスなどの不活性ガスで適切な濃度(たとえば
10〜30容量%)に希釈して供給してもよいが、空気
をそのまま用いることが経済面から好ましい。
【0036】酸素は工程(A)および(B)に常に存在
すればよく、工程(A)に含フッ素重合体を投入する前
に含ませておいてもよく、工程(A)で供給してもよ
い。もちろん両者を併用してもよい。
【0037】処理温度は処理すべき含フッ素重合体や目
的とする分子量、重合体組成などによって異なるが、通
常は270〜450℃の範囲内で選定すればよい。
【0038】また、加えるせん断力も使用する溶融混練
装置の種類や処理すべき含フッ素重合体の種類、目的と
する分子量、重合体組成などによって異なる。たとえば
スクリュー型押出機を使用する場合は、好ましくは20
0〜6000/秒の範囲から選ぶことが好ましい。
【0039】処理工程(A)での圧力は、通常加圧状態
である。好ましくは0.2MPa以上、さらには0.3
MPa以上で行なう。
【0040】このようにして酸素とせん断力と熱とを利
用しながら含フッ素重合体の分子量が調整される。分子
量が調整されたことは、工程(A)の終わりの部分での
メルトフローレートが安定していることで確認できる。
【0041】含フッ素重合体は酸素の存在だけではその
不安定基を安定化できないので、本発明ではついで水を
積極的に導入しながら酸素の存在下に溶融混練し、不安
定基を安定化すると共に着色物質を酸化除去する(工程
(B))。ただし、水を工程(A)において酸素含有ガ
スと同時にまたは近接して導入すると、分子量の調整が
不充分な状態で不安定基が安定化され、もはや分子量の
調整ができなくなる。
【0042】この工程(B)には、工程(A)で不安定
基が部分的に変化している状態で含フッ素重合体が送ら
れてくる。
【0043】具体的には、WO00/26260号パン
フレットに記載されている安定化反応である。
【0044】すなわち、不安定基としては前記のよう
に、重合開始剤、連鎖移動剤などに起因するカルボン酸
基(−COOH)、このカルボン酸基が熱により変性し
て生ずるビニル基(−CF=CF2)、このビニル基か
ら派生する酸フルオライド基(−COF )などが知ら
れており、これらの不安定基は通常重合鎖(主鎖または
側鎖)の末端に位置している。また、重合体の種類や製
造法によれば、重合体の主鎖中の結合部分に不安定な結
合が生ずることがある。たとえば、TFE−HFP系重
合体はTFEとHFPがランダムに重合しているのであ
るが、その重合鎖中にHFP−HFP結合が繰り返され
るときがあり、このHFP−HFP結合は機械力(剪断
力)により切れやすい不安定な結合であり、不安定なビ
ニル基そして酸フルオライド基を発生することが予想さ
れる。
【0045】これらの不安定基を安定化するための反応
はつぎのように考えられている。
【0046】
【0047】この反応は加熱、通常270〜450℃、
好ましくは300〜400℃において行なわれる。
【0048】また、この反応を促進するためには、アル
カリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩を含む化
合物、またはアンモニア、アルコール類、アミンまたは
その塩などの反応促進剤を添加することが有効である。
具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの
水酸化物、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどの炭酸
塩、硫酸カリウムなどの硫酸塩、硝酸カリウムなどの硝
酸塩、水酸化アンモニウムなどのアンモニウム塩、アン
モニア、メタノール、エタノールなどのアルコール、ア
ミンまたはその塩などがあげられる。アルカリ金属また
はアルカリ土類金属化合物の場合は−CF2H末端とな
り、アンモニウム塩やアンモニア、アミンの場合は酸ア
ミド末端基(−CONH2)となり(高温では一部−CF
2H末端となる)、アルコールの場合はアルキルエステ
ル末端基(−COOR)となる。
【0049】反応促進剤の添加は、予め含フッ素重合体
に配合していても、また工程(A)で添加してもよい
が、工程(B)で水といっしょに添加する方が重合体に
均一に分散できる点から好ましい。添加量は処理すべき
含フッ素重合体の種類にもよるが、アルカリ金属および
アルカリ土類金属化合物の場合はアルカリ金属およびア
ルカリ土類金属の原子数に換算して、アンモニアの場合
はアンモニアの分子数に換算して、アンモニウム塩化合
物の場合はアンモニウム塩の数に換算して、含フッ素重
合体中の不安定基(カルボン酸末端基)総数の10%以
下、好ましくは0.1〜10%、特に好ましくは0.2
〜5%とする。添加量が多すぎると、不安定末端基の安
定化速度は増大するが、重合体の着色を完全に排除でき
ず、また重合体自体が劣化してメルトフローレートが低
下する傾向がある。
【0050】なお、カルボン酸末端基の安定化方法とし
ては、フッ素ガスなどによるフッ素化処理があるが、本
発明における工程(B)ではフッ素化処理は行なわな
い。もちろん、本発明の安定化処理工程後に、必要であ
ればさらにフッ素化処理を施してもよい。
【0051】ビニル末端基 カルボン酸末端基および不安定な主鎖の結合から熱また
は剪断力が加わることにより生ずると推定されている。
【0052】
【0053】このビニル末端基はフッ素化処理してトリ
フルオロメチル基に変換されるか、次の反応式にしたが
って酸フルオライドを介してカルボン酸基に変換され
る。
【0054】 −CF=CF2 + O2 → −COF + COF2 (IV) −COF + H2O → −COOH + HF (V)
【0055】生成したカルボン酸末端基は前記の方法で
処理される。ただし、前記の米国特許第4,675,3
80号明細書では処理が複雑になる酸フルオライドに変
化させないように、酸素を実質的に存在させずにビニル
末端基で停止させている。
【0056】しかし、ビニル末端基は加熱されると次式
に示すように解重合を起こし炭素を発生するので、前記
米国特許第4,675,380号明細書では暗色の溶融
混練物が得られている。
【0057】
【0058】酸フルオライド末端基 前記式(V)にしたがってカルボン酸基に一旦戻したのち
安定化処理されている。
【0059】このように、含フッ素重合体の安定化処理
は多くの場合、最終的にはカルボン酸末端基を水と熱に
より安定化する反応が律速反応となり、また、できるだ
けビニル末端基の解重合が生じない方法がとられてい
る。たとえば前記WO98/09784号パンフレット
記載の方法では、カルボン酸末端基の安定化反応を優先
させ、解重合により着色の原因となる炭素が発生しない
ようにビニル末端基の発生がマイルドに生ずる条件、す
なわち安定化処理をほぼ大気圧下(WO98/0978
4号パンフレット記載の実施例1および2ではいずれも
絶対圧力約0.1MPa)で行ない、さらに混練を動力
係数Kが8000未満、好ましくは7000以下という
緩やかな条件で行なうことを特徴としているため、安定
化処理に要する時間が長くなっている。
【0060】本発明では、逆に酸素、ついで水を積極的
に反応系に存在させることによってビニル末端基を迅速
に酸フルオライドに変換し(反応(IV))、解重合を低
減して炭素の発生を抑制し、着色を防止すると共に、カ
ルボン酸末端基の安定化反応(I)を加圧状態とするこ
とにより促進するものである。そのためには、水の存在
が必須である。
【0061】水はカルボン酸末端基を安定化する反応
(I)および酸フルオライドをカルボン酸に変換する反応
(V)で使用する。
【0062】水の添加量は、前記反応に必要な理論量よ
りも過剰量である必要があるが、その量は添加する圧
力、押出機内の状態に大きく左右され、実機で確認しつ
つ決定する。
【0063】前記のとおりカルボン酸末端基を安定化さ
せる反応(I)はアルカリ金属化合物などの反応促進剤
を添加することにより、大きく促進されるので、水は促
進剤を溶解させた水溶液の形で添加することが好まし
い。水溶液の濃度は前記の促進剤の必要量を基準に適宜
選定すればよい。
【0064】この安定化処理工程(B)はたとえば混練
機として、混練機内の反応圧力を高めることができるス
クリュー型押出機、特に2軸スクリュー型押出機などを
用いて行なうことが好ましい。
【0065】供給する水分量は、たとえば混練機(押出
機)中で発生する不安定末端基の数と同じ分子数であれ
ば理論的には安定化できるが、実際には過剰の、特に不
安定末端基数の10倍以上の分子数の水を供給すること
が好ましい。上限は特に限定されない。
【0066】なお前記のように、特段の手立てをしない
と混練機に供給される重合体には大気と同様の空気と共
に水分が含まれているが、この程度の酸素量および水分
量では本発明が達成できる分子量調整効果と安定化効果
は奏されない。その理由は、おそらく処理の間に低分子
量物や重合体中の各種添加剤(たとえば重合開始剤な
ど)が分解してガスを発生させるため、処理工程におけ
る酸素や水分の分圧を下げてしまい、重合体と酸素や水
分との接触が不充分となってしまうためであると考えら
れる。
【0067】工程(B)での圧力は、好ましくは絶対圧
力を0.2MPa以上、好ましくは0.3MPa以上の
加圧状態とする。加圧することにより、たとえば供給す
る水の侵入が促進され、迅速な安定化処理が可能にな
る。混練機を使用する場合、圧力は混練機に取り付けら
れた圧力計により測定できる。上限はメルトシール部の
状態や押出機の型式などによって異なるが、10MPa
以下、好ましくは5MPa以下である。
【0068】また、この工程(B)での混練には、前記
のとおり、酸素の存在が欠かせない。すなわち工程
(B)でも溶融混練時に着色の原因物質が生じるため、
そうした物質を酸化除去するために酸素が必要となる。
工程(B)に存在させる酸素は、連続法において工程
(A)で比較的多量に供給されている場合は積極的に追
加する必要はないが、着色が生じるようであれば適宜追
加する。工程(A)と工程(B)を分けて行なう場合は
工程(A)で導入された酸素が少なくなっているため、
積極的に酸素を含むガスを供給することが望ましい。
【0069】工程(A)および(B)での加圧は、たと
えば後述する酸素を含むガスおよび/または水を圧入す
ることにより、あるいは酸素を含むガスおよび/または
水を加熱してその自圧下に供給することにより行なうこ
とができる。
【0070】工程(A)で処理された含フッ素重合体を
以上の条件下に溶融混練することにより、不安定基は末
端基と主鎖中の不安定結合を問わず、短時間でかつ効率
よく安定化でき、しかも着色の原因となる炭素の発生も
抑制できる。
【0071】本発明においては、分子量調整工程(A)
と安定化処理工程(B)とを別々の装置(押出機または
混練機)で行なってもよく、また1台の混練機(押出
機)で連続して行なってもよい。
【0072】別の混練機で行なう場合、工程(A)と
(B)の条件を独立に設定変更できる点で有利である。
一方、1台の混練機で行なう場合は、コスト面で有利で
ある。
【0073】本発明を連続して実施する場合に使用でき
る混練機としては多軸型混練機、たとえば二軸スクリュ
ー型押出機、有効容積率が極めて小さいニーダーなどが
あげられる。これらのうち滞留時間分布が狭く連続操作
が可能でメルトシールにより反応部の圧力を高めること
ができる点から二軸スクリュー型押出機が好ましい。
【0074】本発明を二軸スクリュー型押出機を混練機
として用い工程(A)と(B)を連続して行なう場合の
押出機を図1にしたがって簡単に説明する。
【0075】図1において、1は混練機として用いる二
軸スクリュー型押出機であり、モーター2に連結された
2本のスクリュー3が内挿されている。含フッ素重合体
4はホッパー5から溶融工程(D)に供給され、加熱溶
融されながら分子量調整工程(A)に送られる。分子量
調整工程(A)は酸素含有ガス(空気)供給口6近傍か
ら始まり、水供給口7近傍で終わる。この水供給口7近
傍からは安定化処理工程(B)が始まり、排気口8近傍
まで続く。排気口8からは脱気工程(C)が始まり、押
出口9まで続く。
【0076】本発明における特徴は、分子量調整工程
(A)が始まる地点に酸素含有ガス供給口6を設け、工
程(A)において酸素の存在下で含フッ素重合体に分子
量を調整し得る量のセン断力と温度を供給したのち、水
を水供給口7から供給し不安定基を安定化する点にあ
る。したがって、酸素含有ガス供給口6と水供給口7と
は含フッ素重合体の分子量を調整し得るのに充分な時間
を与える間隔をあけて設けられる。また、図示していな
いが、工程(B)の開始部分に酸素含有ガスの供給口を
設けてもよい。
【0077】分子量調整工程(A)における処理時間す
なわち滞留時間(スクリューの回転数に対応)は、混練
機(押出機)の構造、空気の供給量、処理(加熱)温
度、内部圧力などによって異なるが、好ましくは0.2
〜5分間である。
【0078】分子量調整工程(A)の温度は、通常27
0〜450℃、好ましくは300〜400℃である。
【0079】酸素含有ガスの供給量は、たとえば空気
(酸素含有割合21容量%)を重合体供給量1kg/分
当たり0.1〜2リットル/分、好ましくは0.2〜
1.5リットル/分であるが、この範囲に限定されな
い。
【0080】このように分子量調整工程(A)の制御に
は多数のファクターが絡んでいるが、実際的には、後述
するとおり、安定化処理工程(B)あるいは脱気工程
(C)の終端部に設けられたオンライン自動溶融粘度測
定器10によって処理後の含フッ素重合体のメルトフロ
ーレートを常時監視しておき、目的とするメルトフロー
レートの範囲内に維持されるように、温度、スクリュー
回転数(滞留時間)、酸素供給量の少なくとも1つを制
御すればよい。
【0081】メルトフローレートの監視は常時行なう
が、オンライン自動溶融粘度測定器の能力により、測定
に要する時間(5〜10分間)間隔で監視し測定する場
合も、結果的には断続的ではあるが、本発明でいう常時
の範囲内である。また、品質管理に支障がない限り、多
少時間を空けて行なってもよい。
【0082】通常は、酸素の存在により溶融重合体は劣
化し分子量が小さくなると考えられているが、本発明の
ように積極的に酸素含有ガスを単独で供給するときには
分子量が増大する。ただ、この傾向は後述する制御方法
により制御できる。必要があれば、逆に分子量の小さい
重合体に調整することもできる。
【0083】工程(A)で分子量が調整(通常は増大)
された含フッ素重合体に水供給口7から水が供給され、
工程(B)にて不安定基が安定化される。安定化機構は
前述のとおりである。この安定化処理工程(B)では、
水の存在により、工程(A)で増加した分子量が低下す
る。この分子量の低下分を考慮して、工程(A)での分
子量を増大させておくことが望ましい。
【0084】供給する水は液状でも気体状(スチーム)
でもよいが、混練機内の温度を低下させない点からスチ
ームの形で供給することが好ましい。
【0085】安定化処理工程(B)における処理時間す
なわち滞留時間(スクリューの回転数に対応)は、押出
機の構造、水の供給量、処理(加熱)温度などによって
異なるが、好ましくは0.2〜5分間である。滞留時間
が長くなりすぎると分子量が低下する傾向にある。
【0086】安定化処理工程(B)の温度は、通常27
0〜450℃、好ましくは300〜400℃である。
【0087】水の供給量は、たとえば重合体供給量1k
g/分当たり5〜50g/分、好ましくは15〜35g
/分であるが、この範囲に限定されない。ただし、水の
供給量を増やしていくと分子量が大きくなっていく傾向
がある。これは、潜熱により処理温度が低下したり、水
蒸気が発生することにより重合体が発泡することによる
見掛けの粘度が小さくなり、重合体に加えられるせん断
力が小さくなるためと考えられる。
【0088】この工程(B)において酸素含有ガスを供
給する場合、供給量は重合体供給量1kg/分当たり1
00リットル/分以下(酸素濃度21容量%)、好まし
くは75リットル/分以下である。
【0089】本発明において、安定化処理工程(B)で
はガス状物質、たとえばフッ化水素、炭酸ガス、分解に
より発生する少量のモノマーなどが発生することがある
が、これらのガスを安定化処理済みの含フッ素重合体内
部から取り出し混練機1の外部に排出するため、絶対圧
力が0.1MPa以下の状態に保持された脱気工程
(C)を安定化処理工程(B)に引き続き混練機1内に
設けることが好ましい。この脱気工程(C)での絶対圧
力は重合体の溶融状態や押出機のスクリューの回転数な
どの運転条件により異なるが、排気口8に重合体が侵入
しない程度の減圧が好ましい。
【0090】本発明の方法で得られ混練機から排出され
た含フッ素重合体は通常ペレットの形をしており、かか
るペレットを溶融成形に供しても得られる成形品に気泡
や空隙は生じず、着色も生じない。
【0091】なお、要すれば混練機から取り出した混練
物(ペレット)に前記フッ素化処理を施してもよい。
【0092】本発明の改質法は単に不安定基を安定化す
るだけでなく分子量の調整をも行うため、押出機の運転
の制御も重要である。
【0093】かかる制御は、混練機の出口部分(安定化
処理工程(B)または脱気工程(C)の終端部分)の重
合体のメルトフローレートを常時測定し、得られるメル
トフローレート値に基づいて、(1)混練機のスクリュ
ー回転数、(2)酸素を含むガス供給量、(3)水の供
給量、または(4)混練機の内部温度の少なくとも1つ
を自動制御することにより、実施できる。本発明はかか
る自動制御法にも関する。
【0094】以下、図2に示すブロックダイヤグラムに
したがって、本発明の自動制御法を説明する。
【0095】まず、混練機1の出口部分の重合体のメル
トフローレートの測定は、オンライン溶融粘度測定装置
10(図1にも示してある)により行なう。得られたメ
ルトフローレート測定値はオンライン自動制御中央処理
装置11に送られ、目的とする所定のメルトフローレー
ト範囲と比較される。その結果、所定のメルトフローレ
ート範囲であれば混練機1の運転条件をそのまま維持す
る。このオンライン自動制御中央処理装置としては、通
常のコンピューターを使用することができる。
【0096】メルトフローレート値が所定のメルトフロ
ーレート範囲から高い方に外れた場合、スクリュー用モ
ーター12、酸素含有ガス供給装置13、水供給装置1
4および混練機温度調節装置15に、つぎの制御命令の
少なくとも1つを送る。
【0097】(1)モーターの回転数を低くし混練機の
スクリュー回転数を下げる。この制御により、重合体に
与えるセン断力を小さくし、重合体分子の切断を少なく
する。 (2)酸素含有ガス供給量を増やす。この制御により、
重合体中の不安定基、特に末端不安定基の化学的分解と
ラジカル発生量を増やし、重合体同士のカップリング
(結合)を促進する。 (3)水の供給量を増やす。この制御により、重合体温
度を下げ、また重合体の見掛け粘度を下げて押出機から
加えられるせん断力を小さくし、分子量の低下を抑制す
る。 (4)混練機の内部温度を下げる。この制御により、重
合体中の不安定基、特に末端不安定基の熱分解とラジカ
ル発生量を増やし、重合体同士のカップリング(結合)
を促進する。
【0098】一方、逆にメルトフローレート値が所定の
メルトフローレート範囲から低い方に外れた場合、スク
リュー用モーター12、酸素含有ガス供給装置13、水
供給装置14および混練機温度調節装置15に、つぎの
制御命令の少なくとも1つを送る。
【0099】(1)混練機のスクリュー回転数を上げ
る。 (2)酸素を含むガス供給量を減らす。 (3)水の供給量を減らす。 (4)混練機の内部温度を上げる。
【0100】これらの制御の作用および効果は前記の高
い方に外れた場合の逆である。
【0101】(1)ないし(4)の制御は1つでもよ
く、また2つ以上同時にまたは順次に行なってもよい。
特に短時間に制御できるため制御後のメルトフローレー
トを比較的早く判別できる点から、スクリューの回転数
の制御を優先することが好ましい。
【0102】目的とする所定のメルトフローレート範囲
は、使用する含フッ素重合体の種類、目的とする分子
量、重合体組成などによって、さらには実験的に適宜設
定すればよい。
【0103】
【実施例】つぎに本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。
【0104】(メルトフローレート:MFR)ASTM
D−2116にしたがって、372℃、負荷5kgに
て測定する。単位はg/10分である。
【0105】使用したオンライン溶融粘度測定器はAS
TM D−2116に準じたメルトフローレートの値を
表示できるものある。
【0106】(末端基の定量)米国特許第3,085,
083号、米国特許第4,675,380号各明細書、
特開平4−20507号公報などに記載の赤外分光分析
法により、末端基ごとに定量する。評価は、各末端基の
個数を炭素原子106個あたりの個数で行なう。
【0107】実施例1 過硫酸アンモニウム(APS)を重合開始剤としてテト
ラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピ
レン(HFP)とパーフルオロ(プロピルビニルエーテ
ル)(PPVE)を87/12/1(モル比)で乳化重
合して得られたPPVE変性FEP(372℃における
メルトフローレート:25g/10分、カリウム濃度:
15ppm)を用いた。
【0108】混練機としては、15個の混練ブロック
(バレル)からなり、軸径47mm、L/D52.5の
二軸スクリュー型押出機を使用した。このうち、原料供
給部に第1バレルを、溶融工程(D)には第2〜第6バ
レルを、分子量調整工程(A)には第7〜第9バレル
を、安定化処理工程(B)には第10〜第12バレル
を、そして脱気工程(C)には第13〜第15バレルを
当てた。なお、ホッパーは第1バレルに、酸素含有ガス
供給口は第7バレルの先端部分に、水供給口は第10バ
レルの先端部分に、排気口は第13バレルの先端部分に
設け、オンライン溶融粘度測定器を第15バレルに配設
した。
【0109】目的とするメルトフローレートを22.5
〜28.0g/10分とし、運転条件をつぎのとおりに
設定し、前記変性FEPを溶融押出しした。 原料供給速度:50kg/hr 溶融工程(D)の温度:350℃ 空気の供給量:40リットル/分 分子量調整工程(A)の温度:300℃ 分子量調整工程(A)の内圧:2.5MPa 水の供給量:1.5kg/hr 安定化処理工程(B)の温度:410℃ 安定化処理工程(B)の内圧:2.4MPa 脱気工程(C)の温度:325℃ 脱気工程(C)の内圧:0.06MPa スクリュー回転数:200rpm
【0110】運転開始30分後に第10バレルの水供給
口の直前でサンプリングしたFEPのメルトフローレー
トは20.0g/10分と高くなっており、分子量が増
大していた。このときのオンライン溶融粘度測定器(第
15バレルに配設されている)でのメルトフローレート
は20.9g/10分であった。
【0111】そこで、スクリュー回転数を250rpm
に上げたところ、メルトフローレートは第10バレル地
点で23.7g/10分となり、オンライン溶融粘度測
定器では24.3g/10分と目標範囲内になった。
【0112】なお、スクリュー回転数200rpmおよ
び250rpmのいずれの運転条件においても、得られ
たFEPの不安定基の個数はゼロであった。
【0113】この実施例の結果から、押出機の最終端で
のメルトフローレートの測定値によりスクリュー回転数
を変化させることによって、処理された含フッ素重合体
のメルトフローレートを制御できることがわかる。さら
に、オンラインメルトフローレート測定器の測定データ
をフィードバック方式でオンライン処理することによ
り、運転を中断することなく直ちに分子量の調整を行な
うことができることがわかる。
【0114】比較例1 実施例1の変性FEPを用い、空気と水を第7バレルの
供給口から同時に供給した(工程(A)と工程(B)を
区分けしなかった)ほかはつぎに示す条件で押出機を運
転した。 原料供給速度:50kg/hr 溶融工程(D)の温度:350℃ 空気の供給量:40リットル/分 分子量調整工程(A)の温度:350℃ 分子量調整工程(A)の内圧:2.2MPa 水の供給量:1.5kg/hr 安定化処理工程(B)の温度:350℃ 安定化処理工程(B)の内圧:2.2MPa 脱気工程(C)の温度:325℃ 脱気工程(C)の内圧:0.06MPa スクリュー回転数:200rpm
【0115】その結果、オンライン溶融粘度測定器での
メルトフローレート測定値は24.3g/10分であっ
たが、不安定基の個数は炭素数106個あたり25個で
あった。
【0116】そこで、第7〜12バレルの温度を375
℃、ついで390℃、さらに420℃に上げたところ、
表1に示すとおり、不安定基は減少していくが、メルト
フローレートは順次低下(分子量が小さくなる)した。
【0117】
【表1】
【0118】このように空気と水を同時に供給すると分
子量調整と安定化処理とを同時に適切に制御することは
困難である。
【0119】
【発明の効果】本発明の改質法によれば、迅速にかつ効
率的に不安定基を有する溶融加工可能な含フッ素重合体
の不安定基を安定化でき、しかも分子量の調整も同時に
行なうことができる。
【0120】また、本発明の制御方法によれば、押出機
の出口部分のメルトフローレートの測定値の変化をオン
ライン自動制御処理し、直ちに目的メルトフローレート
に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の改質法の実施に好適な押出機の概略断
面図である。
【図2】本発明の制御方法を説明するためのブロックダ
イヤグラムである。
【符号の説明】
1 混練機 2 モーター 3 スクリュー 4 含フッ素重合体 5 ホッパー 6 酸素含有ガス供給口 7 水供給口 8 排気口 9 押出口 10 オンライン溶融粘度測定器 11 オンライン制御中央処理装置 12 スクリュー用モーター 13 酸素含有ガス供給装置 14 水供給装置 15 混練機温度調節装置

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不安定基を有する溶融加工可能な含フッ
    素重合体を酸素を含むガスの存在下に溶融混練する工程
    (A)、および酸素を含むガスで処理された含フッ素重
    合体を酸素および水の存在下に溶融混練する工程(B)
    からなる含フッ素重合体の改質法。
  2. 【請求項2】 前記工程(A)および(B)を1つの混
    練機内で連続して行なう請求項1記載の改質法。
  3. 【請求項3】 前記混練機内で、含フッ素重合体の押出
    方向の上流において酸素を含むガスを供給し、その下流
    において水を供給する請求項2記載の改質法。
  4. 【請求項4】 前記工程(A)および(B)における溶
    融混練を270〜450℃にて行なう請求項1〜3のい
    ずれかに記載の改質法。
  5. 【請求項5】 前記混練機がスクリュー型押出機である
    請求項1〜4のいずれかに記載の改質法。
  6. 【請求項6】 前記スクリュー型押出機が二軸スクリュ
    ー型押出機である請求項5記載の改質法。
  7. 【請求項7】 前記酸素を含むガスが空気である請求項
    1〜6のいずれかに記載の改質法。
  8. 【請求項8】 前記工程(A)および/または工程
    (B)において、アルカリ金属、アルカリ土類金属もし
    くはアンモニウム塩を含む化合物、アルコール類、アミ
    ン類もしくはその塩またはアンモニアを存在させる請求
    項1〜7のいずれかに記載の改質法。
  9. 【請求項9】 前記含フッ素重合体の不安定基が末端基
    および/または主鎖の結合部である請求項1〜8のいず
    れかに記載の改質法。
  10. 【請求項10】 前記工程(A)および/または工程
    (B)における絶対圧力が0.2MPa以上である請求
    項1〜9のいずれかに記載の改質法。
  11. 【請求項11】 前記含フッ素重合体が、テトラフルオ
    ロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびパーフル
    オロ(アルキルビニルエーテル)よりなる群から選ばれ
    た少なくとも2種のモノマーからなる共重合体である請
    求項1〜10のいずれかに記載の改質法。
  12. 【請求項12】 前記含フッ素重合体が、パーフルオロ
    (メチルビニルエーテル)0.5〜13重量%、該パー
    フルオロ(メチルビニルエーテル)以外のパーフルオロ
    (アルキルビニルエーテル)0.05〜3重量%および
    テトラフルオロエチレン残部からなる共重合体である請
    求項11記載の改質法。
  13. 【請求項13】 前記含フッ素重合体が、テトラフルオ
    ロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとを含む共重合
    体である請求項11記載の改質法。
  14. 【請求項14】 前記含フッ素共重合体が、乳化重合法
    により製造された不安定基を含む共重合体である請求項
    11〜13のいずれかに記載の改質法。
  15. 【請求項15】 前記混練機が、工程(B)の下流に絶
    対圧力が0.1MPa以下の脱気処理工程(C)を含む
    請求項2〜14のいずれかに記載の改質法。
  16. 【請求項16】 酸素を含むガスと水とを用いて不安定
    基を有する含フッ素重合体を混練機により溶融混練して
    安定化する際に、混練機の出口部分の重合体のメルトフ
    ローレートを常時測定し、得られるメルトフローレート
    値に基づいて、(1)混練機のスクリュー回転数、
    (2)酸素を含むガス供給量、(3)水の供給量、また
    は(4)混練機の内部温度の少なくとも1つを自動制御
    して出口部分の重合体のメルトフローレートを目的とす
    るメルトフローレート範囲内に維持するメルトフローレ
    ートの制御方法。
  17. 【請求項17】 前記出口部分の重合体のメルトフロー
    レートの測定をオンライン溶融粘度測定装置により行な
    い、自動制御をオンライン自動制御で行なう請求項16
    記載の制御方法。
  18. 【請求項18】 前記出口部分の重合体のメルトフロー
    レート値が増大した場合、(1)混練機のスクリュー回
    転数を下げる、(2)酸素を含むガス供給量を増やす、
    (3)水の供給量を増やす、または(4)混練機の内部
    温度を下げるという制御の少なくとも1つを自動的に行
    なう請求項16または17記載の制御方法。
  19. 【請求項19】 前記出口部分の重合体のメルトフロー
    レート値が低下した場合、(1)混練機のスクリュー回
    転数を上げる、(2)酸素を含むガス供給量を減らす、
    (3)水の供給量を減らす、または(4)混練機の内部
    温度を上げるという制御の少なくとも1つを自動的に行
    なう請求項16または17記載の制御方法。
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