JP2002248717A - 積層構造体 - Google Patents

積層構造体

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JP2002248717A
JP2002248717A JP2001299898A JP2001299898A JP2002248717A JP 2002248717 A JP2002248717 A JP 2002248717A JP 2001299898 A JP2001299898 A JP 2001299898A JP 2001299898 A JP2001299898 A JP 2001299898A JP 2002248717 A JP2002248717 A JP 2002248717A
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JP2001299898A
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Kaoru Inoue
馨 井上
Takamasa Moriyama
隆雅 守山
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外観性や酸素バリア性に優れ、更には、成形
安定性、層間接着性、耐ピンホール性、耐デラミ性等に
優れた積層構造体を提供すること。 【解決手段】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
(A)および2,3,6,7位の少なくとも一つに置換
基を有する置換9,10−アントラキノン(B)を含有
する樹脂組成物の層を少なくとも1層含んでなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)組
成物の層を有する積層構造体に関し、更に詳しくは、酸
素バリア性、成形安定性に優れ、更には耐ピンホール
性、層間接着性、耐デラミ性(デラミとは衝撃等により
層間剥離を起こした部分に異常部に見える現象)等にも
優れた積層構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、EVOHは、ガスバリア性、透
明性、溶融成形性等に優れた樹脂であり、食品用包装材
として用いられた時には、機能的に酸素を遮断して食品
の劣化を抑制できることが知られている。そして、最近
では、食品の安全性を高めるために更なる酸素バリア性
が求められており、また、これまでは金属缶やガラス瓶
で保存されてきた酸素に非常に敏感な食品についても、
使い易さからプラスチック容器に置き換える傾向があ
り、この場合にも、より高い酸素バリア性が要求されて
いる。
【0003】また、一方では、外部からの酸素だけでな
く、食品を包装した際の包装体中に残存する酸素につい
ても食品を劣化させる可能性があり、該酸素を除去する
ことも望まれるようになってきた。このような背景か
ら、物理的に外部からの酸素を遮断するだけでなく、内
部の酸素が吸収できる樹脂組成物の検討もなされてい
る。
【0004】たとえば、特開平8−238726号公報
には、物理的酸素遮断層と化学的酸素吸収層の少なくと
も2層を有し、化学的酸素吸収層がアルミニウムを主体
とする合金を含有している積層体が記載され、特開平1
1−151783号公報には、中間層として、酸素バリ
ア性層と酸素吸収性層を用いて、該酸素吸収性層に熱可
塑性樹脂、還元鉄及びハロゲン化金属の組成物を採用し
た積層体が記載され、特表平8−504851号公報に
は、アントラキノン系化合物とポリマーが含まれる組成
物を中間層とした積層体が記載され、特表平11−50
4666号公報には、アントラキノン系化合物を酸素不
透過性の区画やマイクロカプセル内に入れた酸素捕獲材
料が記載され、特開平3−197566号公報には、E
VOHに多価フェノール及び電子供与性物質を添加した
組成物を中間層とする積層構造物が記載され、特表平8
−502202号公報には、不飽和炭化水素結合を有す
るポリマーにコバルト触媒及び光開始剤を含有させた組
成物を用いた積層構造体が記載され、更に米国特許第6
037022号公報には、EVOHに炭酸鉄を含有させ
た組成物を有する積層体を用いた食品容器が記載され、
また、特開平2−298579号公報には、EVOHに
還元鉄を含有させた組成物を用いた積層体が記載されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、本発
明者が上記各公報に記載の開示技術について詳細に検討
した結果、特開平8−238726号公報及び特開平1
1−151783号公報に開示の方法では、酸素バリア
層と酸素吸収層を別々に設ける必要があり、これらの層
を有する積層構造体を得るには、高価な加工機と高い技
術力が必要となり実用的ではなく、また、特表平8−5
04851号公報や特表平11−504666号公報に
は、酸素吸収剤としてアントラキノン系化合物とポリマ
ーの組成物を中間層とする積層構造体が記載されている
が、かかる中間層は該組成物を溶剤(酢酸エチル等)に
溶かしてその後溶剤を除去して薄膜化しているため、ボ
トル等の容器への適用は困難で、更には積層構造体にし
たときの耐ピンホール性にも劣ることが判明した。
【0006】一方、特開平3−197566号公報に記
載の方法では、酸素捕捉能を十分に発揮するためには水
分が必要であり、熱可塑性樹脂がEVOH等の場合に
は、かかる水分によりEVOH本来の酸素バリア性が低
下して、酸素捕捉効果と酸素バリア効果を同時に得るこ
とが難しく、該公報に記載のように該酸素捕捉効果は、
高湿時の酸素バリア性の低下を補う程度のものであり、
更に電子供与性物質として用いられるアルカリ金属やア
ルカリ土類金属はEVOHの熱安定性を著しく低下させ
るため溶融成形用途には実用的でない。
【0007】更に、特表平8−502202号公報に記
載の酸素掃去組成物では、酸素掃去時にポリマーの分解
を伴うため分解臭発生の恐れがあり好ましくなく、米国
特許第6037022号公報及び特開平2−29857
9号公報に記載の方法では、EVOHに鉄系の無機化合
物を添加しているため、かかる無機化合物の添加により
EVOH層の柔軟性が低下して衝撃等によりピンホール
が発生して酸素バリア性が大きく低下する恐れがある。
【0008】このような背景下において、本発明は、酸
素バリア性、成形安定性に優れ、更には、多層フィルム
用途に供したときには耐ピンホール性、層間接着性に優
れ、またボトル等の多層容器に供したときには耐デラミ
性に優れた積層構造体を得ることを目的とするものであ
る。
【0009】
【問題点を解決するための手段】そこで、本発明者等は
上記の事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、EVOH
(A)および2,3,6,7位の少なくとも一つに置換
基を有する置換9,10−アントラキノン(B)を含有
する樹脂組成物の層を少なくとも1層含む積層構造体が
上記の目的に合致することを見出して本発明を完成する
に至った。
【0010】また、本発明においては、該樹脂組成物と
して、溶融状態のEVOH(A)に2,3,6,7位の
少なくとも一つに置換基を有する置換9,10−アント
ラキノン(B)を配合してなる樹脂組成物を用いると
き、本発明の作用効果が顕著に発揮されるものである。
更に、本発明の積層構造体の具体的な層構成としては、
樹脂組成物の層を中間層とし、外層の少なくとも1層が
ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂から選ばれる樹脂の層であることが好ましく、
特にボトルの場合は該内外層として、ポリエステル系樹
脂の層を採用するとき、本発明の作用効果が顕著に発揮
されるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明に用いるEVOH(A)としては、特に限定
されないが、エチレン含有量は5〜50モル%(更には
10〜50モル%、特には20〜50モル%、殊に25
〜50モル%)が好ましく、かかるエチレン含有量が5
モル%未満では耐水性が不十分となり、逆に50モル%
を越えるとガスバリア性が低下して好ましくない。
【0012】また、酢酸ビニル成分のケン化度は90モ
ル%以上(更には95モル%以上、特には99モル%以
上、殊に99.5モル%以上)が好ましく、かかるケン
化度が90モル%未満ではガスバリア性や耐熱性が不十
分となって好ましくない。
【0013】更に、メルトフローレート(MFR)(2
10℃、荷重2160g)は、0.1〜50g/10分
(更には1〜30g/10分、特には2〜20g/10
分、殊に5〜15g/10分)が好ましく、該MFRが
0.1g/10分未満では、溶融成形時に樹脂圧が高く
なって成形が困難となり、逆に50g/10分を越える
と、得られる成形物の耐ピンホール性が低下して好まし
くない。
【0014】上記のEVOH(A)は、本発明の目的を
逸脱しない範囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量
体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プ
ロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタ
ル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不
飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノ
またはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数
1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメ
チルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスル
ホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチ
ルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアク
リルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN
−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタク
リルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸
あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルア
ミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリ
ルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルム
アミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド
類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン
化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテ
ル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシア
ルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデ
ン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、
塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコ
ール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチ
ルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。又、
本発明の趣旨を損なわない範囲で、ウレタン化、アセタ
ール化、シアノエチル化等、後変性されても差し支えな
い。また、EVOH(A)として、例えば特開昭60−
144304号公報に記載の如きケイ素を含有したEV
OHを用いることも可能である。但し、変成されたEV
OH中のビニルアルコール成分は50mol%を下回る
ものではない。
【0015】本発明に用いられる2,3,6,7位の少
なくとも一つに置換基を有する置換9,10−アントラ
キノン(B)(以下、単にアントラキノン(B)と記す
ことがある)の該置換基としては、特に限定されず、例
えば、アルキル基(ブチル基、t−ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基等)、フェニル基、カルボ
キシル基、水酸基、クロル基、(アルキル)スルホン酸
基、(アルキル)アミン基、アルコキシ基(エトキシ
基、メトキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシエトキシ基
等)などを挙げることができ、好適には、t−ブチル
基、ヒドロキシエトキシ基、フェノキシ基を置換基とす
るアントラキノン(B)が用いられる。
【0016】上記のアントラキノン(B)の中でも、融
点が30〜200℃、気化ピーク温度が250℃以上の
ものが好ましく、かかる融点が30℃未満では、EVO
H(A)に添加する際にワックス状となり均一に添加す
ることが難しくなり、逆に200℃を越えるとEVOH
中で分散不良を起こして局地的に存在することで異物と
なることがあり、また、酸素吸収能が低下する恐れがあ
る。かかる融点の更に好ましい下限は50℃で特には8
0℃であり、更に好ましい上限は180℃で特には16
0℃である。また、かかる気化ピーク温度が250℃未
満では溶融成形時にアントラキノン(B)が気化するた
めか、多層フィルムとした際に接着樹脂層との接着力が
低下し、また、PETの多層ボトルとして使用した際に
は、PET層とのデラミが発生しやすくなり好ましくな
い。かかる気化ピーク温度は、更には275℃以上が好
ましく、該温度の上限は特に限定されない。かかる融点
及び気化ピーク温度を満足するアントラキノン(B)と
しては、2−t−ブチル−9,10−アントラキノンや
2−フェノキシ−9,10−アントラキノンを挙げるこ
とができ、好適に用いられる。尚、上記の気化ピーク温
度とは、化合物が気化するときに起こる急激な吸熱ピー
ク時の温度を意味するもので、具体的には、差動型標準
TG−DTAを用いて、30℃から350℃まで5℃/
minで昇温したときの、吸熱ピークより求められるも
のである。たとえば、理学社製の「差動型標準TG−D
TA TG8120」等を用いて測定することができ
る。
【0017】本発明の積層構造体に用いられる樹脂組成
物は、上記の如きEVOH(A)及びアントラキノン
(B)を含有してなるもので、その含有(配合)割合に
ついては特に限定されないが、EVOH(A)に対して
アントラキノン(B)を0.5〜10重量%含有させる
ことが好ましく、かかる含有量が0.5重量%未満で
は、酸素吸収能が低下するためか酸素透過量が増加し、
逆に10重量%を越えるとEVOHのガスバリア性が低
下するためかこのときも酸素透過量が増加して好ましく
ない。かかる含有量の更に好ましい下限は1重量%であ
り、更に好ましい上限は8重量%で特には6重量%であ
る。
【0018】上記の樹脂組成物を製造するに当たって
は、特に制限はないが、溶融状態のEVOH(A)にア
ントラキノン(B)を配合することが好ましく、工業的
には、単軸或いは2軸の溶融押出機にEVOH(A)を
供給して、溶融状態のEVOH(A)にアントラキノン
(B)を配合し、押出機内で溶融混合して樹脂組成物と
することが好ましい。特に2軸押出機を用いる方が、E
VOH(A)とアントラキノン(B)の混合性が良好と
なる点で好ましい。また、該樹脂組成物の押出機内での
滞留時間は20秒以上、20分以内とすることが望まれ
る。
【0019】かくして本発明の積層構造体に用いられる
樹脂組成物が得られるのであるが、かかる樹脂組成物に
は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、上記のE
VOH(A)及びアントラキノン(B)以外に、酸類
(酢酸、ホウ酸、リン酸等)やそのアルカリ金属(ナト
リウム、カリウム等)、アルカリ土類金属、遷移金属等
の金属塩、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミ
ド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド
等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリ
ン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(マグネシウム塩、カル
シウム塩、亜鉛塩を除く)、低分子量ポリオレフィン
(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポ
リエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑
剤、無機塩(例えばハイドロタルサイト等)、可塑剤
(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジ
オール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、結晶核剤、着色剤、帯電防止剤、界面活
性剤、乾燥剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤(例えば
タルク微粒子等)、スリップ剤(例えば無定形シリカ
等)、充填材(例えば無機フィラー等)、他樹脂(例え
ばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリア
ミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹
脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエス
テル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン
エラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピ
レン、芳香族および脂肪族ポリケトン、脂肪族ポリアル
コール等)等を配合しても良い。但し、その量は該組成
物の重量を超えるものではない。また、他のEVOH
(エチレン含有量、ケン化度、MFR等の異なるEVO
H)等を配合しても良い。
【0020】本発明の積層構造体は、上記の樹脂組成物
の層を一層含むもので、該積層構造体を製造するに当た
っては、該樹脂組成物からなる層の片面又は両面に他の
基材を積層すればよく、その積層方法としては、例えば
該樹脂組成物からなるフィルムやシートに熱可塑性樹脂
を溶融押出する方法、逆に熱可塑性樹脂等の基材に該樹
脂組成物を溶融押出する方法、該樹脂組成物と他の熱可
塑性樹脂とを共押出する方法、更には該樹脂組成物から
なるフィルムやシートと他の基材のフィルム、シートと
を有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエス
テル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を
用いてドライラミネートする方法等が挙げられる。
【0021】上記の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフ
ィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、
ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化
ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、
ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマ
ー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香
族および脂肪族ポリケトン、脂肪族ポリアルコール等が
挙げられ、好適にはポリオレフィン系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、ポリアミド系樹脂が用いられ、中でもボトル
等の容器に適用する時には、ポリエステル系樹脂を用い
ることが好ましい。
【0022】かかるポリオレフィン系樹脂としては、具
体的に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密
度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン
(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高
密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル
共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン−プロピ
レン(ブロック又はランダム)共重合体、エチレン−ア
クリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重
合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メ
タクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピ
レン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィ
ン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチル
ペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこ
れらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン
酸又はそのエステルでグラフト変性したものやこれらの
ブレンド物などの広義のポリオレフィン系樹脂を挙げる
ことができ、なかでも、直鎖状低密度ポリエチレン(L
LDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密
度ポリエチレン(VLDPE)、エチレン−酢酸ビニル
共重合体(EVA)、アイオノマーが、得られる積層包
装材の耐屈曲疲労性、耐振動疲労性等に優れる点で好ま
しい。
【0023】特に、密度0.86〜0.95g/cm3
のエチレン−α−オレフィン共重合体からなる直鎖状低
密度ポリエチレンが好ましく用いられ、密度が上記範囲
より小さいときは、積層包装材の機械的諸物性が不足し
たり、ブロッキングが発生したりする。逆に、大きいと
きは、耐屈曲疲労性や耐振動疲労性等が不充分となるこ
とがあり好ましくない。尚、ここで言う密度とは、20
℃においてJIS K6760によって測定される値で
あり、エチレン−α−オレフィンとは、エチレンとブテ
ン−1,ペンテン−1,4−メチルペンテン−1,ヘキ
セン−1,オクテン−1等の炭素数18以下の共重合物
である。これらの中でも炭素数が4〜8のオレフィンを
用いたエチレン−α−オレフィン共重合体が好適に用い
られる。
【0024】上記の直鎖状低密度ポリエチレンにおいて
は、更に、シングルサイト触媒の存在下に製造されたエ
チレン−α−オレフィン共重合体であることが、本発明
の効果をより発現できうる点で好ましい。シングルサイ
ト触媒とは、現行のチーグラー触媒やフィリップス触媒
が活性点が不均一でマルチサイト触媒と呼ばれているの
に対し、活性点が均一(シングルサイト)である特徴を
有する触媒のことであり、代表的なものとしてメタロセ
ン系触媒等が挙げられる。具体的な商品名としては、
『カーネル』(日本ポリケム社製)、『エボリュー』
(三井化学社製)、『エグザクト』(エクソンケミカル
社製)、『アフィニティー』(ダウケミカル社製)など
が挙げられる。
【0025】かかるポリアミド系樹脂としては、具体的
に、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノ
ヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸
(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン1
1)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)、ポリエ
チレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテト
ラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメ
チレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレ
ンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレン
ドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンア
ジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミ
ド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラク
タム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/
ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプ
ロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート
共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘ
キサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイ
ロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキ
サメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロ
ン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジア
ンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウム
セバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレ
ンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニ
ウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケ
ート共重合体(ナイロン6/66/610)、ポリヘキ
サメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレ
フタルアミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレ
フタルアミド共重合体あるいはこれらのポリアミド系樹
脂をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等
の芳香族アミンで変性したものやメタキシリレンジアン
モニウムアジペート等が挙げられ、本発明においては、
これらの1種または2種以上のブレンド物を用いること
ができる。
【0026】また、ポリアミド系樹脂の分子末端のカル
ボキシル基および/またはアミノ基が、アルキルモノカ
ルボン酸、アルキルジカルボン酸、アルキルモノアミ
ン、アルキルジアミン等で調整(変性)されたものを用
いることもできる。
【0027】かかるポリエステル系樹脂としては、具体
的に、芳香族ジカルボン酸またはこれらのアルキルエス
テルとグリコールを主成分とする縮合重合体が挙げら
れ、代表的にはエチレンテレフタレートを主たる繰り返
し単位とするものが好ましい。さらに、加工性、強度等
を大幅に損なわない範囲で共重合成分を含有させること
も可能で、そのような共重合成分として、酸成分として
は、イソフタル酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等
の芳香族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘
導体、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク
酸等の脂肪族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成
性誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ
テレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸およびこれらのエ
ステル形成性誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプ
ロン酸等のオキシ酸およびこれらのエステル形成性誘導
体の他、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げるこ
とができる。
【0028】また、グリコール成分としては、ジエチレ
ングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリ
コール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環
族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAの
アルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコ
ールの他、グリセリン、1,3−プロパンジオール、ペ
ンタエリスリトール等を挙げることができる。
【0029】エチレンテレフタレート単位の含有量は、
75〜100モル%、好ましくは85〜100モル%程
度である。また、好ましい固有粘度(フェノールとテト
ラクロルエタンの50重量%/50重量%の混合溶剤
中、温度30℃にて測定)は、0.5〜1.3dl/g
(更には0.65〜1.2dl/g)である。
【0030】次に、代表的には、エチレンテレナフタレ
ートを主たる繰り返し単位とするものが挙げられる。上
記と同様の共重合成分を含有させることも可能であり、
エチレンテレナフタレートの含有量は、75〜100モ
ル%、好ましくは85〜98モル%程度である。また、
好ましい固有粘度は0.4〜1.2dl/g(更には
0.55〜1.0dl/g)である。
【0031】また、上記エチレンテレフタレート系ポリ
エステル樹脂とエチレンテレナフタレート系樹脂をブレ
ンドして使用することも、ガスバリア性や紫外線遮断
性、溶融成形性が向上する点で好ましく、その場合のブ
レンド比率は、エチレンテレフタレート系ポリエステル
樹脂が5〜90重量%、更には15〜85重量%であ
り、エチレンテレナフタレート系ポリエステル樹脂が9
5〜10重量%、更には85〜15重量%である。更
に、諸特性を大幅に損なわない範囲で、他の熱可塑性樹
脂や添加剤を配合することも可能で、熱可塑性樹脂とし
ては、MXD−6ナイロン、ポリカーボネート、ポリア
リレート、液晶ポリマー等が挙げられる。
【0032】また、上記の樹脂組成物から一旦フィルム
やシート等の成形物を得、これに他の基材を押出コート
したり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用い
てラミネートする場合、本発明の目的を逸脱しない範囲
において、上記の熱可塑性樹脂以外に任意の基材(紙、
金属箔、無延伸、一軸又は二軸延伸プラスチックフィル
ム又はシート及びその無機物蒸着体、織布、不織布、金
属綿状、木質等)も使用することは可能である。
【0033】本発明の積層構造体の層構成としては、樹
脂組成物からなる層をa(a1、a2、・・・)、他の基
材、例えば熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)と
するとき、フィルム、シート、ボトル状であれば、a/
bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a
1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2
1/b2/a/b3/b4、a1/b1/a2/b2等任意の
組み合わせが可能で、特にb/a/bまたはb2/b1
a/b1/b2の層構成が好ましい。また、フィラメント
状ではa、bがバイメタル型、芯(a)−鞘(b)型、
芯(b)−鞘(a)型、或いは偏心芯鞘型等任意の組み
合わせが可能である。
【0034】尚、上記の層構成において、それぞれの層
間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることがで
き、かかる接着性樹脂としては、種々のものを使用する
ことができ、bの樹脂の種類によって異なり一概に言え
ないが、不飽和カルボン酸又はその無水物をオレフィン
系重合体(上述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加
反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られ
るカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を
挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸グラフ
ト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリ
プロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プ
ロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、無水マレ
イン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重
合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物
が好適なものとして挙げられる。このときの、オレフィ
ン系重合体に含有される不飽和カルボン酸又はその無水
物の量は、0.001〜3重量%が好ましく、更に好ま
しくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜
0.5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、
接着性が不充分となることがあり、逆に多いと架橋反応
を起こし、成形性が悪くなることがあり好ましくない。
またこれらの接着性樹脂には、該樹脂組成物や他のEV
OH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等
のゴム・エラストマー成分、更にはb層の樹脂等をブレ
ンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体の
ポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂を
ブレンドすることにより、接着性が向上することがあり
有用である。
【0035】上記の積層構造体の最も好ましい積層構造
体の具体的な形態としては、ボトルの場合には、内外層
にポリエステル樹脂を配したポリエステル樹脂層/樹脂
組成物の層/ポリエステル樹脂層やポリエステル樹脂層
/樹脂組成物の層/ポリエステル樹脂層/樹脂組成物の
層/ポリエステル樹脂層等が、フィルムの場合には、ポ
リエチレン樹脂層/接着性樹脂層/樹脂組成物の層/接
着性樹脂層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層
/接着性樹脂層/ポリアミド系樹脂/樹脂組成物の層/
接着性樹脂層/ポリエチレン樹脂層、ポリアミド系樹脂
層/樹脂組成物の層/ポリアミド系樹脂層、ポリエチレ
ン樹脂層/接着性樹脂層/ポリアミド系樹脂層/樹脂組
成物の層/ポリアミド系樹脂層等がそれぞれ挙げられ
る。
【0036】積層構造体の各層の厚みは、層構成、bの
種類、用途や容器形態、要求される物性などにより一概
に言えないが、通常は、a層は5〜500μm(更には
10〜200μm)、b層は5〜5000μm(更には
30〜1000μm)、接着性樹脂層は5〜400μm
(更には10〜150μm)程度の範囲から選択され
る。a層が5μm未満ではガスバリア性が不足し、また
その厚み制御が不安定となり、逆に500μmを越える
と耐屈曲疲労性が劣り、かつ経済的でなく好ましくな
く、またb層が5μm未満では剛性が不足し、逆に50
00μmを越えると耐屈曲疲労性が劣り、かつ重量が大
きくなり好ましくなく、接着性樹脂層が5μm未満では
層間接着性が不足し、またその厚み制御が不安定とな
り、逆に400μmを越えると重量が大きくなり、かつ
経済的でなく好ましくない。また、本発明の積層構造体
の各層には、成形加工性や諸物性の向上のために、前述
の各種添加剤や改質剤、充填材、他樹脂等を本発明の効
果を阻害しない範囲で添加することもできる。
【0037】該積層構造体は、そのまま各種形状のもの
に使用されるが、更に該積層構造体の物性を改善するた
めには延伸処理を施すことも好ましく、かかる延伸につ
いては、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、
できるだけ高倍率の延伸を行ったほうが物性的に良好
で、延伸時にピンホールやクラック、延伸ムラ、デラミ
等の生じない延伸フィルムや延伸シート、延伸容器、延
伸ボトル等の成形物が得られる。
【0038】延伸方法としては、ロール延伸法、テンタ
ー延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法等の他、
深絞成形、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも
採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次
二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は
60〜170℃、好ましくは80〜160℃程度の範囲
から選ばれる。
【0039】延伸が終了した後、次いで熱固定を行うこ
とも好ましい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、
上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら80〜170
℃、好ましくは100〜160℃で2〜600秒間程度
熱処理を行う。例えば、多層シートや多層フィルムから
カップやトレイ状の多層容器を得る場合は、絞り成形法
が採用され、具体的には真空成形法、圧空成形法、真空
圧空成形法、プラグアシスト式真空圧空成形法等が挙げ
られる。
【0040】更に多層パリソン(ブロー前の中空管状の
予備成形物)からチューブやボトル状の多層容器を得る
場合はブロー成形法が採用され、具体的には押出ブロー
成形法(双頭式、金型移動式、パリソンシフト式、ロー
タリー式、アキュムレーター式、水平パリソン式等)、
コールドパリソン式ブロー成形法、射出ブロー成形法、
二軸延伸ブロー成形法(押出式コールドパリソン二軸延
伸ブロー成形法、射出式コールドパリソン二軸延伸ブロ
ー成形法、射出成形インライン式二軸延伸ブロー成形法
等)などが挙げられる。また、多層容器を製造するとき
には、共射出成形機等を用いて、直接多層容器を得るこ
ともできる。
【0041】かくして得られた積層構造体の形状として
は任意のものであってよく、フィルム、シート、テー
プ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等
が例示される。又、得られる積層構造体は必要に応じ、
熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネ
ート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り
加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行う
ことができる。
【0042】上記の如く得られたカップ、トレイ、チュ
ーブ、ボトル等からなる容器や延伸フィルムからなる袋
や蓋材は一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング
等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食
品、ジュース、炭酸飲料、ビール、ワイン等の飲料、化
粧品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬、燃料な
どの各種の容器として有用であるが、本発明の積層構造
体は、特に液状食品(飲料品を含む)等の容器に有用で
ある。また、本発明の積層構造体は、ボイル処理やレト
ルト処理用の包装体にも好適に利用することができる。
【0043】かくして、ガス(酸素)バリア性、成形安
定性に優れ、更には耐デラミ性や耐ピンホール性に優れ
た本発明の積層構造体が得られるのであるが、かかる積
層構造体の酸素バリア性、特に酸素捕捉能を十分に発揮
させる為には、積層構造体中の樹脂組成物に紫外線(U
V)又は電子線(EB)を照射させる必要がある。装置
のコストやランニングコストと点から、UV照射を採用
することが好ましい。かかるUV照射の方法としては特
に限定されるものではないが、高圧水銀灯、超高圧水銀
灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドラ
ンプ、ケミカルランプ等をUVの発生源として、UVを
該積層構造体に照射すればよい。尚、該樹脂組成物の層
が表面に配されていないときは、表面層に透明性の高い
層を設けたりして、UVが通過して該樹脂組成物の層に
達するように配慮することは言うまでもない。UVの照
射量は、該樹脂組成物中の(B)成分の量や積層構造体
の用途等により一概に言えないが、200〜5000m
J/cm2(更には500〜5000mJ/cm2)程度
UV照射を行えばよい。
【0044】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断り
のない限り重量基準を示す。
【0045】実施例1 EVOH(A)[エチレン含有量32モル%、ケン化度
99.5モル%、MFR12g/10分]を2軸押出機
(30mmφ、L/D=42、溶融温度210℃)に供
給して溶融状態とし、ホッパーからL/D=10分先に
あるサイドフィード口より、2−t−ブチル−9,10
−アントラキノン(B)[融点104℃、気化ピーク温
度284℃]をEVOH(A)に対して添加量が5%と
なるように供給して溶融混合を行って、ストランド状に
押し出された樹脂を水槽で冷却した後、ペレタイザーで
切断して、樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂
組成物(ペレット)を用いて、下記の要領で、本発明の
積層構造体(多層フィルム及び多層ボトル)を製造し
て、その評価を行った。
【0046】〔積層構造体−多層フィルム−の製造〕次
いで、得られた樹脂組成物(ペレット)、ポリエチレン
[高密度ポリエチレン、日本ポリケム社製『ノバテック
HD HB431』、MFR0.35g/10min
(190℃、荷重2160g)]、及び接着性樹脂[無
水マレイン酸変性高密度ポリエチレン、三菱化学社製
『モディックAP H521』]を用いて、フィードブ
ロック3種5層の多層Tダイを備えた多層押出装置に供
給して、ポリエチレン層/接着性樹脂層/樹脂組成物の
層/接着性樹脂層/ポリエチレン層の層構成(厚み40
/5/20/5/40μm)を有する本発明の積層構造
体(多層フィルム)を得た。得られた多層フィルムの外
観性、成形安定性、層間接着性、耐ピンホール性、酸素
吸収能発現性、酸素バリア性の評価を以下の要領で行っ
た。
【0047】(外観性)多層シートの表面を顕微鏡で観
察して、樹脂組成物の層に存在する直径0.1mm以上
の異物の個数(10cm×10cm当たり)を調べて以
下のように評価した。 ○・・・0〜1個 △・・・2〜5個 ×・・・6個以上
【0048】(成形安定性)上記の多層フィルムの製造
をはじめて、10時間後の押出機のトルクを10分間調
べて、その時の平均値、最大値及び最小値から下記のよ
うに変動幅(%)を算出して以下のように評価した。 変動幅(%)=[〔(最大値−平均値)+(平均値−最小
値)〕×0.5/平均値]×100 ○・・・5%未満 △・・・5%〜±10%未満 ×・・・10%以上
【0049】(層間接着性)多層フィルムをMD方向に
1cm、TD方向に10cmの長方形に切断し、23
℃、60%RH雰囲気中で、接着性樹脂層と樹脂組成物
の層の剥離強度(g/cm)をTピール法(100mm
/minの引張速度)で測定した。
【0050】(耐ピンホール性)ゲルボフレックステス
ターで500回の屈曲を行った後の多層フィルムの酸素
透過度測定[MOCON社製『OXTRAN2/20』
を用い、等圧法(MOCON法)により、20℃、80
%RHの条件下で測定]を行い、屈曲を行なう前の酸素
透過度の測定値に対する比率(屈曲後の酸素透過度/屈
曲前の酸素透過度)を算出して、以下のように評価し
た。 ○・・・1.2未満 △・・・1.2〜2.0未満 ×・・・2.0以上
【0051】(酸素バリア性)1000mJ/cm2のエ
ネルギー量のUV照射された多層フィルムの、20℃、
80%RHにおける酸素透過量を上記の方法に準じて測
定し、その積算酸素透過量が1m2あたり5ccを越え
るまでの日数を調べた。
【0052】〔積層構造体−多層ボトル−の製造〕得ら
れた樹脂組成物(ペレット)と熱可塑性ポリエステル系
樹脂(ポリエチレンテレフタレート、日本ユニペット社
『ユニペットRT553C』)を用いて、二軸延伸配向
ブロー成形機(日精ASB機械社製『ASB−50
T』)にて、熱可塑性ポリエステル系樹脂/樹脂組成物
/熱可塑性ポリエステル系樹脂の2種3層の多層パリソ
ン(厚み構成:[内側]1400/150/1450
[外側]μm、高さ:9.2cm)を共射出成形にて作
製し、続いて該多層パリソンを予備加熱し、二軸延伸配
向ブロー成形して、内容積350cc(胴部の径7.5
cm、胴部の長さ13cm、首部の径4cm、首部の長
さ5cm、全高さ18cm、重量37g)の多層ボトル
(多層容器)を得た。
【0053】その他、主な成形条件は以下の通りであっ
た。 熱可塑性ポリエステル系樹脂可塑化温度:270〜275℃ 樹脂組成物可塑化温度 :230〜235℃ ホットランナーブロック温度 :270℃ 金型冷却温度 :10℃ 熱可塑性ポリエステル系樹脂射出圧力 :3.43MPa 樹脂組成物射出圧力 :3.43MPa 多層パリソン加熱温度 :160℃ 多層パリソン加熱時間 :5秒 ブロー空気圧力 :0.98MPa 得られた多層ボトルのボトル胴部の層厚み構成は、[内
側]熱可塑性ポリエステル系樹脂/樹脂組成物/熱可塑
性ポリエステル系樹脂[外側]=140/25/155
(μm)であった。得られた多層ボトルの外観性、層間
接着性、耐ピンホール性、酸素吸収能発現性、酸素バリ
ア性の評価を以下の要領で行った。
【0054】(外観性)得られた多層ボトルを目視観察
して、以下の通り評価した。 ○・・・全体の均一にブローされている △・・・胴部は均一にブローされているが、首部に厚み
の不均一な部分が認められる ×・・・胴部にも厚みの不均一な部分が認められ、全体
に不均一にブローされている
【0055】(耐デラミ性)10個の多層ボトルに50
0ccの水を入れ、ふたをして、1mの高さから底部を
下にして垂直に繰り返し落下させたとき、5個以上のボ
トルにデラミが発生する落下回数を調べて、以下のよう
に評価した。 ○・・・20回以上 △・・・5〜19回 ×・・・4回以下
【0056】(酸素バリア性)2000mJ/cm2
エネルギー量のUV照射された多層ボトルを20℃にお
いて、多層ボトルの外側を65%RH、100%酸素と
し、内側を90%RHとした状態で、MOCON社製
『OXTRAN2/20』を用いて等圧法(MOCON
法)により、酸素透過量を測定し、その積算酸素透過量
がボトルあたり0.1ccを越えるまでの日数を調べ
た。
【0057】実施例2 実施例1において、2−t−ブチル−9,10−アント
ラキノン(B)をEVOH(A)に対して添加量が2%
となるように供給した以外は同様に行って樹脂組成物
(ペレット)を得て、同様に評価を行った。
【0058】実施例3 実施例1において、2−t−ブチル−9,10−アント
ラキノン(B)に変えて、2−エチル−9,10−アン
トラキノン(B)をEVOH(A)に対して添加量が5
%となるように供給した以外は同様に行って樹脂組成物
(ペレット)を得て、同様に評価を行った。
【0059】実施例4 実施例1において、2−t−ブチル−9,10−アント
ラキノン(B)に変えて、2−メチル−9,10−アン
トラキノン(B)をEVOH(A)に対して添加量が5
%となるように供給した以外は同様に行って樹脂組成物
(ペレット)を得て、同様に評価を行った。
【0060】実施例5 実施例1において、2−t−ブチル−9,10−アント
ラキノン(B)に変えて、2−フェノキシ−9,10−
アントラキノン(B)をEVOH(A)に対して添加量
が5%となるように供給した以外は同様に行って樹脂組
成物(ペレット)を得て、同様に評価を行った。
【0061】実施例6 実施例1において、EVOH(A)として、エチレン含
有量44モル%、ケン化度99.8モル%、MFR12
g/10分のEVOHを用いた以外は同様に行って樹脂
組成物(ペレット)を得て、同様に評価を行った。
【0062】比較例1 実施例1において、2−t−ブチル−9,10−アント
ラキノン(B)を添加しなかった以外は同様に行って樹
脂組成物(ペレット)を得て、同様に評価を行った。な
お、評価のためのUV照射は行わなかった。
【0063】比較例2 エチルセルロースを酢酸エチルに10%となるように溶
解させ、さらに2−t−ブチル−9,10−アントラキ
ノン(B)をエチルセルロースに対して5%となるよう
に加えて溶液として、該溶液をポリエチレンフィルム
(厚み40μm)にコーティングして20μm厚みの層
を作製して、この上からポリエチレンフィルム(厚み4
0μm)をラミネートして多層フィルムを得た。得られ
た多層フィルムについて、実施例1と同様に評価を行っ
た。なお、エチルセルロースは射出成形ができないた
め、多層ボトルとすることは不可能であった。
【0064】比較例3 実施例1において、EVOH(A)に変えて、LDPE
(日本ポリケム社製『ノバテックLDLF660H』)
を用いた以外は同様に行って樹脂組成物(ペレット)を
得て、同様に評価を行った。
【0065】比較例4 実施例1において、アントラキノン(B)に変えて、還
元鉄を用いた以外は同様に行って樹脂組成物(ペレッ
ト)を得て、同様に評価を行った。なお、評価のための
UV照射は行わなかった。実施例及び比較例の評価結果
を表1及び2に示す。
【0066】 〔表1:多層フィルム〕 外観性 成形安定性 層間接着性 耐ヒ゜ンホール性 酸素ハ゛リア性 (g/cm) 実施例1 ○ ○ 220 ○ 10日 〃 2 ○ ○ 240 △ 5日 〃 3 ○ △ 120 ○ 7日 〃 4 ○ △ 90 ○ 5日 〃 5 ○ ○ 240 ○ 10日 〃 6 ○ ○ 230 ○ 7日 比較例1 ○ ○ 240 △ 2日 〃 2 ○ − 10 △ 6日 〃 3 ○ × 350 * 1日 〃 4 × △ 60 × 14日 注)発現性は酸素吸収能発現性である。 *屈曲後の酸素透過度が大きく、測定可能上限を越えたため評価不可
【0067】 〔表2:多層ボトル〕 外観性 耐デラミ性 酸素バリア性 実施例1 △ ○ 20日 〃 2 ○ △ 10日 〃 3 ○ △ 14日 〃 4 ○ △ 10日 〃 5 ○ ○ 20日 〃 6 ○ ○ 15日 比較例1 △ △ 5日 〃 2 − − − 〃 3 ○ × 1日 〃 4 × × 20日
【0068】
【発明の効果】本発明の積層構造体は、EVOH(A)
および2,3,6,7位の少なくとも一つに置換基を有
する置換9,10−アントラキノン(B)を含有する樹
脂組成物の層を少なくとも1層含む積層構造体であるた
め、外観性、酸素バリア性に優れ、更には、かかる積層
構造体が多層フィルムであるときには、成形安定性、耐
ピンホール性、層間接着性等に優れ、また多層容器であ
るときには耐デラミ性に優れた特徴を有するもので、食
品等の包装用途に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AH02A AK03B AK03C AK41B AK41C AK46B AK46C AK69A BA02 BA03 CA09A DA01 GB15 GB16 GB23 JD03 4J002 BE031 EC056 GF00 GG01 GG02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
    (A)および2,3,6,7位の少なくとも一つに置換
    基を有する置換9,10−アントラキノン(B)を含有
    する樹脂組成物の層を少なくとも1層含むことを特徴と
    する積層構造体。
  2. 【請求項2】 2,3,6,7位の少なくとも一つに置
    換基を有する置換9,10−アントラキノン(B)の融
    点が30〜200℃で、かつ気化ピーク温度が250℃
    以上であることを特徴とする請求項1記載の積層構造
    体。
  3. 【請求項3】 2,3,6,7位の少なくとも一つに置
    換基を有する置換9,10−アントラキノン(B)が、
    2−t−ブチルアントラキノンであることを特徴とする
    請求項1または2記載の積層構造体。
  4. 【請求項4】 樹脂組成物中の2,3,6,7位の少な
    くとも一つに置換基を有する置換9,10−アントラキ
    ノン(B)の含有量が、エチレン−酢酸ビニル共重合体
    ケン化物(A)に対して0.5〜10重量%であること
    を特徴とする請求項1〜3いずれか記載の積層構造体。
  5. 【請求項5】 樹脂組成物の層を中間層とし、外層の少
    なくとも1層がポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹
    脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる樹脂の層であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の積層構造
    体。
  6. 【請求項6】 外層がいずれもポリエステル系樹脂の層
    であることを特徴とする請求項5記載の積層構造体。
  7. 【請求項7】 ボトル形状を有することを特徴とする請
    求項6記載の積層構造体。
  8. 【請求項8】 外層がいずれもポリオレフィン系樹脂の
    層であることを特徴とする請求項5記載の積層構造体。
  9. 【請求項9】 溶融状態のエチレン−酢酸ビニル共重合
    体ケン化物(A)に2,3,6,7位の少なくとも一つ
    に置換基を有する置換9,10−アントラキノン(B)
    を配合してなる樹脂組成物を用いることを特徴とする請
    求項1〜8いずれか記載の積層構造体。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004000934A1 (ja) * 2002-06-24 2003-12-31 The Nippon Synthetic Chemical Industry Co., Ltd. 樹脂組成物およびその多層構造体
JP2011520640A (ja) * 2008-03-26 2011-07-21 マルチソーブ テクノロジーズ インク 酸素吸収プラスチック構造

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004000934A1 (ja) * 2002-06-24 2003-12-31 The Nippon Synthetic Chemical Industry Co., Ltd. 樹脂組成物およびその多層構造体
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