JP2002248713A - 被覆成形品およびその製造方法 - Google Patents

被覆成形品およびその製造方法

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JP2002248713A
JP2002248713A JP2001048632A JP2001048632A JP2002248713A JP 2002248713 A JP2002248713 A JP 2002248713A JP 2001048632 A JP2001048632 A JP 2001048632A JP 2001048632 A JP2001048632 A JP 2001048632A JP 2002248713 A JP2002248713 A JP 2002248713A
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polysilazane
active energy
meth
compound
coating composition
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JP2001048632A
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Satoshi Kondo
聡 近藤
Toshihiko Higuchi
俊彦 樋口
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い耐擦傷性を有し、かつ表面潤滑性に優れ
た硬化物層を有する被覆成形品およびその製造方法の提
供。 【解決手段】 基材の表面の少なくとも一部に、活性エ
ネルギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有する化合物
とポリシラザンと潤滑性付与剤とを含有する被覆組成物
(A)の硬化物層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材の表面に活性
エネルギ線硬化性化合物とポリシラザンと潤滑性付与剤
とを含む被覆組成物の硬化物層が形成された、耐擦傷
性、表面潤滑性、透明性などに優れた硬化物層を有する
被覆成形品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ガラスに代わる透明材料として、
透明合成樹脂材料が使用されている。本発明者らはこれ
までに樹脂基材の表面の耐擦傷性をガラス並に向上させ
る目的で、活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を2個
以上有する多官能性化合物とポリシラザンとを含む被覆
組成物の硬化物層を有する被覆成形品を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の被覆成形品は、
高い耐擦傷性を有するものの、常に他の物と擦れ続ける
ような摺動部品、たとえば周辺モールとの摩擦がさけら
れない自動車用樹脂窓の昇降部位または読み取りヘッド
との摺動が考えられるディスクなどに用いた場合、擦れ
たときに異音がしない、擦れる際に摩擦抵抗が生じにく
いといった表面潤滑性の点において充分満足できるもの
ではなかった。
【0004】本発明は、高い耐擦傷性を有し、かつ表面
潤滑性に優れた硬化物層を有する被覆成形品およびその
製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の被覆成形品は、基材の表面の少なくとも一
部に形成された硬化物層を有する被覆成形品であって、
前記硬化物層が、活性エネルギ線硬化性の重合性官能基
を1個以上有する化合物とポリシラザンと潤滑性付与剤
とを含有する被覆組成物(A)の硬化物であることを特
徴とする。
【0006】上記発明によれば、上記被覆組成物(A)
の硬化物が、活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を1
個以上有する化合物を含むため基材との密着性に優れ
る。また、ポリシラザンを含むため高い耐擦傷性が付与
され、潤滑性付与剤を含むため優れた表面潤滑性が付与
される。その結果、耐擦傷性、表面潤滑性、透明性など
に優れた硬化物層を有する被覆成形品を提供できる。
【0007】また、本発明の被覆成形品の製造方法の一
つは、基材の表面の少なくとも一部に形成された硬化物
層を有する被覆成形品の製造方法において、活性エネル
ギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有する化合物とポ
リシラザンと潤滑性付与剤とを含有する被覆組成物
(A)を塗工し、次に活性エネルギ線の照射による前記
活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有する
化合物の硬化と、前記ポリシラザンの硬化を任意の順で
または同時に行うことを特徴とする。
【0008】上記発明によれば、基材の表面に、耐擦傷
性、表面潤滑性、透明性などに優れた硬化物層を効率よ
く形成できる。
【0009】また、本発明の被覆成形品の製造方法のも
う一つは、基材の表面の少なくとも一部に形成された硬
化物層を有する被覆成形品の製造方法において、活性エ
ネルギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有する化合物
とポリシラザンと潤滑性付与剤とを含有する被覆組成物
(A)を塗工し、次に活性エネルギ線の照射による前記
活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有する
化合物の硬化と前記ポリシラザンの硬化を任意の順でま
たは同時に行うとともに、前記ポリシラザンが未硬化物
または部分硬化物の状態で曲げ加工することを特徴とす
る。
【0010】上記発明によれば、被覆組成物(A)に含
まれるポリシラザンが充分に硬化する前に基材を変形し
て、その後ポリシラザンが硬化して硬いシリカが形成さ
れるので、被覆組成物(A)の硬化物にクラックなどが
生じない、曲げ加工された被覆成形品が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の被覆成形品は、基材の表
面に活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有
する化合物とポリシラザンと潤滑性付与剤とを含有する
被覆組成物(A)の硬化物層を有する。なお、基材と前
記硬化物層との間には、他の合成樹脂、たとえば熱可塑
性アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂層、光硬化性樹脂
層、接着剤層からなる第2の層が存在していてもよい。
【0012】まず、硬化物層を形成する被覆組成物
(A)について説明する。なお、以下の説明において、
アクリロイル基およびメタクリロイル基を総称して(メ
タ)アクリロイル基といい、(メタ)アクリロイルオキ
シ基、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレートなど
の表現も同様とする。
【0013】被覆組成物(A)に含まれる活性エネルギ
線硬化性の重合性官能基を1個以上有する化合物(以
下、活性エネルギ線硬化性成分という)のうち、活性エ
ネルギ線によって重合しうる重合性官能基を1個有する
化合物(以下、単に単官能性化合物という)としては、
(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、特
にアクリロイル基を有する化合物が好ましい。また、そ
の他に水酸基、エポキシ基などの官能基を有していても
よい。上記単官能性化合物としては、たとえば以下のも
のが挙げられる。
【0014】アルキル(メタ)アクリレート(アルキル
基の炭素数は1〜13)、アリル(メタ)アクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル
(メタ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリ
レート、ブトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)
アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペ
ンタニル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロ
ピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メ
タ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル
(メタ)アクリレート、
【0015】N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリ
レート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グ
リセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)
アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メ
タ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メ
タ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリ
コール(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカト
リエン(メタ)アクリレート、
【0016】モルホリン(メタ)アクリレート、ノニル
フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メ
タ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)ア
クリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、
フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アク
リレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、
ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、スル
ホン酸ソーダエトキシ(メタ)アクリレート、テトラフ
ルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフ
ルフリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル
(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、N−ビニル
カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホ
ルムアミド、モルホリノ(メタ)アクリレート、2−モ
ルホリノエチル(メタ)アクリレート。
【0017】また、活性エネルギ線硬化性の重合性官能
基を2個以上有する化合物(以下、単に多官能性化合物
という)としては、たとえば特開平11−240103
号公報の段落番号0016〜0020、0023〜00
47に記載された化合物が挙げられる。好ましい多官能
性化合物としては、(メタ)アクリロイル基から選ばれ
る1種以上の重合性官能基を2個以上(2〜50個が好
ましく、より好ましくは3〜30個)有する化合物が挙
げられる。その中でも(メタ)アクリロイルオキシ基を
2個以上有する化合物、すなわち多価アルコールなどの
2個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸
とのポリエステルが好ましい。また、上記重合性官能基
以外に種々の官能基や結合を有する化合物であってもよ
い。特に、ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル
基含有化合物(以下、アクリルウレタンという)と、ウ
レタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合
物が好ましい。
【0018】上記アクリルウレタンとしては、ペンタエ
リスリトールやその多量体であるポリペンタエリスリト
ールとポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレートとの反応生成物であるアクリルウレタ
ンであり、かつ活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を
2個以上(より好ましくは4〜20個)有する多官能性
化合物、または、ペンタエリスリトールやポリペンタエ
リスリトールの水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート
と、ポリイソシアネートとの反応生成物であるアクリル
ウレタンであり、かつ活性エネルギ線硬化性の重合性官
能基を2個以上(より好ましくは4〜20個)有する多
官能性化合物が挙げられる。
【0019】また、ウレタン結合を有しない(メタ)ア
クリル酸エステル化合物としては、ペンタエリスリトー
ル系ポリ(メタ)アクリレートまたはイソシアヌレート
系ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、ペン
タエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレートとは、ペ
ンタエリスリトールまたはポリペンタエリスリトールと
(メタ)アクリル酸とのポリエステル(好ましくは活性
エネルギ線硬化性の重合性官能基を4〜20個有す
る。)をいう。また、イソシアヌレート系ポリ(メタ)
アクリレートとは、トリス(ヒドロキシアルキル)イソ
シアヌレートまたはトリス(ヒドロキシアルキル)イソ
シアヌレートの1モルに、1〜6モルのカプロラクトン
またはアルキレンオキシドを付加して得られる化合物
と、(メタ)アクリル酸とのポリエステル(好ましくは
活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を2〜3個有す
る。)をいう。
【0020】本発明においては、上記の好ましい多官能
性化合物と、他の活性エネルギ線硬化性の重合性官能基
を2個以上有する多官能性化合物(特に多価アルコール
のポリ(メタ)アクリレート)とを併用してもよい。
【0021】被覆組成物(A)に含まれる活性エネルギ
線硬化性成分において、上記単官能性化合物または上記
多官能性化合物の割合は、特に制限されないが、単官能
性化合物が多すぎると、被覆組成物(A)の硬化物層の
硬度が低下し、耐擦傷性が低下するため、多官能性化合
物と単官能性化合物の質量比(多官能性化合物/単官能
性化合物)は1以上が好ましい。
【0022】また、被覆組成物(A)に含まれるポリシ
ラザンとしては、特開平11−240103号公報の段
落番号0097〜0104に記載されたポリシラザンが
好ましく挙げられる。
【0023】本発明においては、ペルヒドロポリシラザ
ンが好ましく、また、その数平均分子量は200〜5万
が好ましい。数平均分子量が200未満では焼成しても
均一な硬化物が得られにくく、5万超では溶剤に溶解し
にくくなり好ましくない。
【0024】被覆組成物(A)におけるポリシラザンの
割合は、耐擦傷性や基材との密着性により適宜選択でき
るが、特に耐擦傷性と密着性のバランスを考慮した場合
には、活性エネルギ線硬化性成分100質量部に対し
て、ポリシラザン1〜1000質量部が好ましく、特
に、5〜800質量部が好ましい。活性エネルギ線硬化
性成分に対するポリシラザンの割合が上記よりも少ない
と耐擦傷性が不充分になり、上記よりも多いと硬化物層
にクラックが入りやすく、また基材との密着性も不充分
になるため好ましくない。
【0025】また、本発明における潤滑性付与剤とは、
当該付与剤を添加することにより被覆組成物(A)の硬
化物の表面の動摩擦係数を10%以上小さくできる化合
物をいう。このような潤滑性付与剤としては、たとえば
以下の化合物が挙げられる。
【0026】一般に用いられているシリコン系化合物
(たとえばポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロ
キサン/ポリエーテルブロックコポリマー、アルキル基
変性ポリジメチルシロキサン)、フッ素系化合物、ポリ
オール化合物と脂肪酸とのエステル化物である脂肪酸エ
ステルワックスなど(以下、これらを総称して非反応性
潤滑剤という)。
【0027】上記非反応性潤滑剤は、通常の使用条件下
では所期の性能を充分達成することができるが、被覆組
成物(A)が形成するマトリクスとは反応しないので、
長期間使用した場合、これらの非反応性潤滑性付与剤が
徐々に硬化物層の表面から拭き取られてなくなり、結果
的に硬化物層の表面の摩擦係数が高くなり、表面潤滑性
が低くなり、傷つきの原因になることもある。
【0028】上記の非反応性潤滑剤に、被覆組成物
(A)が形成するマトリクスと共有結合を形成しうる反
応性官能基を導入した化合物(以下、これらを総称して
反応性潤滑剤という)。
【0029】上記の反応性官能基としては、具体的には
シラノール基、アルコキシシリル基、ラジカル反応性官
能基などが好ましく挙げられる。なお、ここでいうラジ
カル反応性官能基とは、(メタ)アクリル基、シラザン
由来の活性ラジカルとの反応性を有するものであればよ
く、たとえば(メタ)アクリル基、アリル基、ビニル
基、ビニルエーテル基、ハロゲン置換基、メルカプト基
などが挙げられる。
【0030】本発明においては、分子中にメタクリロイ
ル基、メルカプト基またはシラノール基を有するポリジ
メチルシロキサンが特に好ましい。
【0031】上記反応性潤滑剤は、活性エネルギ線の照
射により、上記多官能性化合物やポリシラザンが形成す
るマトリクスと共有結合を形成するので、長期間使用し
ても硬化物層の表面潤滑性を保持できる。
【0032】被覆組成物(A)における潤滑性付与剤の
割合は、活性エネルギ線硬化性成分とポリシラザンの合
計量100質量部に対して0.01〜10質量部が好ま
しい。潤滑性付与剤の割合が0.01質量部未満では充
分な表面潤滑性を発現できず、10質量部超では硬化物
層自体が可塑化されて耐擦傷性が低下する。
【0033】被覆組成物(A)には、上記の基本的成分
以外に下記の溶剤や種々の機能性配合剤を含むことがで
きる。
【0034】溶剤としては、多官能性化合物を硬化性成
分とする被覆組成物に通常使用される溶剤が使用でき、
たとえば炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ケトン
類、エーテル類、エステル類などが挙げられる。なお、
基材となる樹脂の種類に応じて適切な溶剤を用いること
が好ましく、耐溶剤性の低い樹脂を基材に用いる場合に
は、低級アルコール類、セロソルブ類、エステル類、ま
たはそれらの混合物などが好ましい。具体的には、特開
平11−268196号公報の段落番号0074に記載
された溶剤が挙げられる。本発明においては、エステル
類、セロソルブ類、低級アルコール類が特に好ましい。
【0035】溶剤の量は、必要とする組成物の粘度、目
的とする硬化物層の厚さ、乾燥条件などにより適宜変更
できる。本発明において溶剤は、被覆組成物(A)中の
活性エネルギ線硬化性成分に対して質量で100倍以下
用いるのが好ましく、特に5倍以下用いるのが好まし
い。
【0036】また、被覆組成物(A)は、活性エネルギ
線硬化性成分を効率よく硬化させるために、光重合開始
剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、公知
のものを使用でき、特に入手容易な市販のものが好まし
い。
【0037】光重合開始剤としては、アリールケトン系
光重合開始剤(たとえばアセトフェノン類、ベンゾフェ
ノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル
類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジ
メチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−ア
シロキシムエステル類など)、含硫黄系光重合開始剤
(たとえばスルフィド類、チオキサントン類など)、ア
シルホスフィンオキシド系光重合開始剤、ジアシルホス
フィンオキシド系光重合開始剤、その他の光重合開始剤
が挙げられる。具体的には、特開平11−268196
号公報の段落番号0063〜0065に記載された化合
物が挙げられる。本発明においては、アシルホスフィン
オキシド系光重合開始剤が特に好ましい。光重合開始剤
は、複数の種類を併用してもよく、アミン類などの光増
感剤と組み合わせて使用してもよい。
【0038】被覆組成物(A)における光重合開始剤の
使用量は、活性エネルギ線硬化性成分100質量部に対
して0.01〜20質量部が好ましく、特に0.1〜1
0質量部が好ましい。
【0039】上記光重合開始剤以外の機能性配合剤とし
ては、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱重合防
止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔
料(有機着色顔料、無機顔料)、着色染料、赤外線吸収
剤、蛍光増白剤、分散剤、防汚性付与剤、防錆剤、導電
性微粒子、帯電防止剤、防曇剤、カップリング剤および
硬化触媒からなる群から選ばれる1種以上が挙げられ
る。
【0040】紫外線吸収剤としては、合成樹脂用紫外線
吸収剤として使用されているベンゾトリアゾール系紫外
線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸
系紫外線吸収剤、フェニルトリアジン系紫外線吸収剤な
どが好ましい。具体的には、特開平11−268196
号公報の段落番号0078に記載された化合物が挙げら
れる。本発明においては、2−{2−ヒドロキシ−5−
(2−アクリロイルオキシエチル)フェニル}ベンゾト
リアゾール、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキ
シプロピル−3−(3−ベンゾトリアゾール−4−ヒド
ロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロピオネートなど
分子内に重合性官能基を有するものが特に好ましい。
【0041】光安定剤としては、合成樹脂用光安定剤と
して使用されているヒンダードアミン系光安定剤が好ま
しい。具体的には、特開平11−268196号公報の
段落番号0080に記載された化合物が挙げられる。本
発明においては、N−メチル−4−メタクリロイルオキ
シ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの分
子内に重合性官能基を有するものが特に好ましい。
【0042】酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブ
チル−p−クレゾールなどのヒンダードフェノール系酸
化防止剤、トリフェニルホスファイトなどのリン系酸化
防止剤などが挙げられる。レベリング剤としては、シリ
コーン樹脂系レベリング剤、アクリル樹脂系レベリング
剤などが挙げられる。
【0043】消泡剤としては、本発明における潤滑性付
与剤に該当しないシリコーン樹脂系消泡剤などが挙げら
れる。増粘剤としては、ポリメチルメタクリレート系ポ
リマー、水添ひまし油系化合物、脂肪酸アミド系化合物
などが挙げられる。
【0044】有機着色顔料としては、縮合多環系有機顔
料、フタロシアニン系有機顔料などが挙げられる。無機
顔料としては、二酸化チタン、酸化コバルト、モリブデ
ンレッド、チタンブラックなどが挙げられる。着色染料
としては、有機溶剤可溶性アゾ系金属錯塩染料、有機溶
剤可溶性フタロシアニン系染料等が挙げられる。
【0045】赤外線吸収剤としては、ポリメチン系、フ
タロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、ジイモニ
ウム系、アントラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナ
フトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリ
アリールメタン系の化合物などが挙げられる。蛍光増白
剤としては、クマリン系蛍光増白剤、2,5−ビス
{5’−t−ブチルベンゾオキサゾリル−(2’)}チ
オフェンなどのオキサゾール系蛍光増白剤などが挙げら
れる。
【0046】防汚添加剤としては、本発明における潤滑
性付与剤に該当しないシリコン樹脂系防汚添加剤、フッ
素樹脂系防汚添加剤などが挙げられる。防錆剤として
は、シリカ、ポリリン酸、リン酸塩、モリブデン酸塩、
リンモリブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホス
ホン酸、ホスホン酸塩などが挙げられる。
【0047】導電性微粒子としては、亜鉛、アルミニウ
ム、ニッケルなどの金属粉、リン化鉄、アンチモンドー
プ型酸化スズなどが挙げられる。帯電防止剤としては、
ノニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、アニオ
ン系帯電防止剤などが挙げられる。
【0048】防曇剤としては、ノニオン系界面活性剤な
どが挙げられる。カップリング剤としては、シランカッ
プリング剤、チタネートカップリング剤などが挙げられ
る。硬化触媒としては、酸、アルカリまたは塩類などか
ら選ばれる硬化触媒が挙げられる。
【0049】被覆組成物(A)の硬化物層の厚さは0.
1〜50μmが好ましく、特に0.2〜30μmが好ま
しい。該硬化物層の厚さが0.1μm未満では、この層
の耐擦傷性が不充分となるおそれがあり、50μm超で
は、活性エネルギ線による硬化が不充分になり基材との
密着性が損なわれやすい。
【0050】次に、基材について説明する。基材の材料
としては、各種合成樹脂、各種金属、無機ガラスのほ
か、光磁気ディスクのように透明合成樹脂と金属薄膜の
複合体も使用できる。本発明においては、たとえば芳香
族ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート
系樹脂(アクリル樹脂)、ポリスチレン系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂などの透明合成樹脂が好ましく、特に芳
香族ポリカーボネート系樹脂が好ましい。この基材は成
形されたものであり、たとえば平板または波板などのシ
ート状基材、フィルム状基材、各種形状に成形された基
材、少なくとも表面層が各種透明合成樹脂からなる積層
体などが挙げられる。また、基材の厚さは、特に限定さ
れないが、たとえば窓材などの用途には0.1〜100
mmが好ましい。
【0051】本発明の被覆成形品は、たとえば青色レー
ザーディスク(登録商標)の信号読み取り面の保護など
の用途に好適に用いられる。
【0052】次に、本発明の被覆成形品の製造方法につ
いて説明する。本発明の被覆成形品の製造方法の一つ
は、基材の表面の少なくとも一部に、活性エネルギ線硬
化性の重合性官能基を1個以上有する化合物とポリシラ
ザンと潤滑性付与剤とを含有する被覆組成物(A)を塗
工し、次に活性エネルギ線の照射による前記活性エネル
ギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有する化合物の硬
化と、前記ポリシラザンの硬化を任意の順でまたは同時
に行う方法である。
【0053】被覆組成物(A)を塗工する方法として
は、特に制限されず、公知の方法を採用できる。たとえ
ば、ディップ法、フローコート法、スプレー法、バーコ
ート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレード
コート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ス
リットコート法、マイクログラビアコート法、ダイコー
ト法などを採用できる。
【0054】被覆組成物(A)を硬化させる活性エネル
ギ線としては、特に限定されず、紫外線、電子線または
その他の活性エネルギ線を使用できる。本発明において
は、紫外線が好ましい。紫外線源としては、キセノンラ
ンプ、パルスキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀
灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンア
ーク灯、タングステンランプなどを使用できる。なお、
被覆組成物(A)が溶剤を含む場合は、乾燥して溶剤を
除いてから硬化させることが好ましい。
【0055】また、活性エネルギ線を照射しても被覆組
成物(A)に含まれるポリシラザンの一部が活性エネル
ギ線硬化性成分と反応して硬化しない場合もあるため、
未反応のポリシラザンを硬化させるために、下記の方法
によりポリシラザンを完全に硬化させることが好まし
い。ポリシラザンを硬化させてシリカとする方法として
は、室温に放置する、または特開平11−240104
号公報の段落番号0111〜0115に記載された方法
を採用できる。
【0056】本発明においては、低温(180℃以下)
で焼成してポリシラザンを硬化させることが好ましい。
低温でポリシラザンを硬化させるためには、被覆組成物
(A)に触媒を添加するのが好ましく、より低温で硬化
できる触媒を用いることが好ましい。そのような触媒と
しては、たとえば特開平7−196986号公報に記載
されている金、銀、パラジウム、白金、ニッケルなどの
金属の微粒子、特開平9−31333号公報に記載され
ているアミン類または酸類が挙げられる。
【0057】上記金属の微粒子の粒径は0.1μmより
小さいことが好ましく、さらに硬化物の透明性を確保す
るためには0.05μmより小さいことが好ましい。ま
た、粒径が小さいほど比表面積が増大して触媒能も増大
するので、触媒性能向上の点からもより小さい粒径の触
媒を使用することが好ましい。
【0058】上記アミン類としては、たとえばモノアル
キルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、
モノアリールアミン、ジアリールアミン、環状アミンな
どが挙げられる。上記酸類としては、たとえば酢酸など
の有機酸または塩酸などの無機酸が挙げられる。
【0059】被覆組成物(A)にあらかじめ触媒として
上記金属の微粒子を添加する場合、その添加量は、ポリ
シラザン100質量部に対して0.01〜10質量部が
好ましく、特に0.05〜5質量部が好ましい。添加量
が0.01質量部未満では充分な触媒効果が期待でき
ず、10質量部超では触媒どうしの凝集が起こりやすく
なり、透明性を損なうおそれがある。
【0060】上記アミン類や酸類は、被覆組成物(A)
に予め添加して用いてもよく、被覆組成物(A)を塗工
した面をアミン類または酸類の溶液(水溶液を含む)、
それらの蒸気(水溶液からの蒸気を含む)に接触させて
もよい。
【0061】以上のようにして得られる被覆成形品は、
耐擦傷性などの表面特性はガラスとほぼ同等のレベルを
有し、かつ優れた表面潤滑性を有しており、従来はガラ
スが用いられていた各種用途に使用できる。
【0062】また、本発明の被覆成形品の製造方法のも
う一つは、基材の表面の少なくとも一部に、活性エネル
ギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有する化合物とポ
リシラザンと潤滑性付与剤とを含有する被覆組成物
(A)を塗工し、次に活性エネルギ線の照射による前記
活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有する
化合物の硬化と前記ポリシラザンの硬化を任意の順でま
たは同時に行うとともに、前記ポリシラザンが未硬化物
または部分硬化物の状態で曲げ加工する方法である。
【0063】通常、曲げ加工された被覆成形品を製造す
るときには、予め曲げ加工された基材が用いられるが、
このような基材を用いた場合、被覆組成物(A)の塗工
・硬化による硬化物層の形成が困難となる場合がある。
【0064】一方、平板状の基材の表面に被覆組成物
(A)の硬化物層を形成した後に、曲げ加工を行った場
合、被覆組成物(A)の硬化物が硬いためクラックが生
じやすい。
【0065】そこで、本発明では、被覆組成物(A)に
含まれるポリシラザンが未硬化物または部分硬化物の状
態で曲げ加工を行ない、その後ポリシラザンの未硬化物
または部分硬化物を完全に硬化させることにより、被覆
組成物(A)の硬化物にクラックが発生することもな
く、容易に曲げ加工された被覆成形品を製造できる。
【0066】なお、被覆組成物(A)に含まれる活性エ
ネルギ線硬化性成分は、曲げ加工に先だって硬化されて
もよく、未硬化物または部分硬化物の状態であってもよ
い。そして、曲げ加工した後、または曲げ加工とほぼ同
時に、活性エネルギ線硬化性成分が硬化物である場合は
ポリシラザンの未硬化物または部分硬化物を硬化させ、
活性エネルギ線硬化性成分が未硬化物または部分硬化物
の状態である場合は、活性エネルギ線硬化性成分の未硬
化物または部分硬化物と、ポリシラザンの未硬化物また
は部分硬化物を同時にまたは任意の順で硬化させること
により、目的とする曲げ加工された被覆成形品が得られ
る。
【0067】通常、曲げ加工は加熱された状態で行われ
るため、この加熱によって被覆組成物(A)に含まれる
ポリシラザンの未硬化物または部分硬化物の硬化が進行
するが、曲げ加工に要する時間に比較してポリシラザン
の未硬化物または部分硬化物の硬化に要する時間が長い
ため、クラックを生じることなく曲げ加工できる。
【0068】具体的には、たとえば、基材の表面に被覆
組成物(A)の未硬化物または部分硬化物の層(活性エ
ネルギ線硬化性成分の未硬化物、部分硬化物または完全
硬化物、およびポリシラザンの未硬化物または部分硬化
物からなる)を形成した後、基材の熱軟化温度で5分間
程度加熱し、続いて曲げ加工を行なう。その後、ポリ
シラザンの未硬化物または部分硬化物が硬化しうる温度
に保持する、室温に放置するまたはポリシラザンの
硬化触媒溶液の蒸気に曝す、ことでポリシラザンの未硬
化物または部分硬化物を硬化させる。また、活性エネル
ギ線硬化性成分の未硬化物または部分硬化物が存在する
場合は、活性エネルギ線を照射して、それらを硬化させ
る。なお、曲げ加工を行った後の活性エネルギ線硬化性
成分の硬化とポリシラザンの硬化の順序は特に制限はな
く、どちらを先に行ってもよい。
【0069】上記製造方法によれば、ポリシラザンが充
分に硬化する前に基材が変形し、その後、硬いシリカが
形成されるため、被覆組成物(A)の硬化物にクラック
などの不具合が生じることがない。そのため、たとえば
車両用窓材などに用いられる曲げ加工された被覆成形品
が得られる。
【0070】
【実施例】以下、本発明を実施例(例1〜7、9)、比
較例(例8)に基づき説明するが、本発明はこれらに限
定されない。例1〜8で得られたサンプルの各種物性の
測定および評価は以下に示す方法で行い、その結果を表
1に示した。なお、例1〜8においては、基材として透
明な芳香族ポリカーボネート樹脂製の板(150mm×
150mm、厚さ3mm)を用い、動摩擦係数の測定用
のサンプルには同樹脂製の円盤状基材(厚さ1.2m
m、直径12cmのディスク)を用いた。また、例9に
おいては、基材として同樹脂製の板(150mm×30
0mm、厚さ3mm)を用いた。
【0071】[初期曇価、耐摩耗性]JIS−R321
2における耐摩耗試験法により、2つのCS−10F摩
耗輪にそれぞれ500gの重りを組み合わせ500回転
させたときの曇価(ヘーズ)をヘーズメータにて測定し
た。曇価の測定は摩耗サイクル軌道の4カ所で行い、平
均値を算出した。初期曇価は耐摩耗試験前の曇価の値
(%)を、耐摩耗性は(耐摩耗試験後曇価)−(耐摩耗
試験前曇価)の値(%)を示す。
【0072】[初期黄色度]スガ試験機社製カラーメー
タにより、サンプルの2点の黄色度(YI)の値を測定
し、平均値を示した。
【0073】[密着性]サンプルを剃刀の刃で1mm間
隔で縦横それぞれ11本の切れ目を付け、100個の碁
盤目を作る。そして、市販のセロハンテープをよく密着
させた後、90度手前方向に急激にはがした際の、被膜
が剥離せずに残存した碁盤目の数(m)をm/100で
表した。
【0074】[耐候性]サンシャインウエザーメータを
用いて、ブラックパネル温度63℃で、降雨12分間、
乾燥48分間のサイクルで1000時間暴露後、外観の
評価を行った。
【0075】[耐摺動性(動摩擦係数)]「Slipping T
ester HEIDON−14」(HEIDON社製、商品名)を用いて動
摩擦係数を測定した。加速試験として、温度23±2
℃、相対湿度50±5%の環境条件下で、磁気ヘッド
「RF320−74G」(ソニー社製、商品名)をディ
スクに対して荷重が2gfとなるように接触させ、ディ
スク回転数600rpmにて500万回転を連続的に走
行させることを行ない、その前後(表1中、「初期」、
「耐久後」と記す)の動摩擦係数を測定した。
【0076】[例1]撹拌機および冷却管を装着した5
00mLの4つ口フラスコに、キシレン58.9g、ジ
ブチルエーテル54.4g、2−メチル−1−[4−
(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン
−1−オン2.5g、2−[4−(2−ヒドロキシ−3
−ドデシルオキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシフ
ェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)
−1,3,5−トリアジン5.0g、およびN−メチル
−4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン1.0gと、潤滑性付与剤としてポリ
ジメチルシロキサンの両末端がメタクリロイル基で変性
されたシリコーンオイル(信越化学社製、商品名「X−
22−164C」)150mgを加えて溶解させた。
【0077】続いてジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート16.0gと、カプロラクトン変性トリス(ア
クリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(東亞合成
社製、商品名「アロニクスM−325」)24.0gを
加えて常温で窒素気流下1時間撹拌した。次に低温硬化
性ペルヒドロポリシラザンのキシレン溶液(固形分20
質量%、クラリアントジャパン社製、商品名「N−D1
10」)50gを加えて、さらに常温で窒素気流下1時
間撹拌して塗工液1を得た。
【0078】そして、基材に、スピンコート法により塗
工液1を塗工(ウェット厚み10μm)して、80℃の
熱風循環オーブン中で5分間保持し、溶剤を除去した
後、これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて1500
mJ/cm2(波長300〜390nm領域の紫外線積
算エネルギ量、以下同様)の紫外線を照射した。その
後、23℃、相対湿度50%の環境で24時間保持し
て、膜厚3.0μmの硬化物層を形成したサンプルを作
製した。
【0079】[例2]上記塗工液1において、潤滑性付
与剤「X−22−164C」の代わりに両末端がシラノ
ール基で変性されたポリジメチルシロキサン(信越化学
社製、商品名「DMS−S27」)を用いた以外は、例
1と全く同じ手順でサンプルを作製した。
【0080】[例3]上記塗工液1において、潤滑性付
与剤「X−22−164C」の代わりに両末端がメルカ
プト基で変性されたポリジメチルシロキサン(信越化学
社製、商品名「X−22−167B」)を用いた以外
は、例1と全く同じ手順でサンプルを作製した。
【0081】[例4]上記塗工液1において、潤滑性付
与剤「X−22−164C」の代わりに末端未変性のポ
リジメチルシロキサン(日本ユニカー社製、商品名「L
−45」)を用いた以外は、例1と全く同じ手順でサン
プルを作製した。
【0082】[例5]上記塗工液1において、潤滑性付
与剤「X−22−164C」の代わりにフルオロアルキ
ル基で変性されたシリコーンオイル(旭硝子社製、型番
号「FLS−525」)を用いた以外は、例1と全く同
じ手順でサンプルを作製した。
【0083】[例6]例1において、最後に紫外線を照
射した後、さらに100℃の熱風循環オーブンに2時間
保持して塗工液1を硬化させて、サンプルを作製した。
【0084】[例7]例1において、最後に紫外線を照
射した後、さらに25℃に保たれた3容量%トリエチル
アミン水溶液の浴の上に3分間保持して塗工液1を硬化
させて、サンプルを作製した。
【0085】[例8]上記塗工液1において、潤滑性付
与剤を加えなかったこと以外は、例1と全く同じ手順で
サンプルを作製した。
【0086】[例9]基材に、塗工液1をバーコート法
により塗工(ウエット厚み10μm)して、80℃の熱
風循環オーブン中で5分間保持して溶剤を除去した後、
空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて1500mJ/cm
2の紫外線を照射して、膜厚3μmの硬化物層を形成し
た。
【0087】続いて170℃の熱風循環オーブン中で5
分間保持し、取り出した直後に硬化物層形成面が凸側に
なるように、64mmRの曲率を持つ型に押しつけ、曲
げ加工を施した後、室温下で1日間養生した。このサン
プルはクラックやしわのない良好な外観を有していた。
【0088】
【表1】
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、基材の表面の少なくと
も一部に、活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を1個
以上有する化合物とポリシラザンと潤滑性付与剤とを含
有する被覆組成物(A)の硬化物層を形成することによ
り、耐擦傷性、表面潤滑性、透明性などに優れた硬化物
層を有する被覆成形品を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/10 B29K 83:00 // B29K 83:00 B29L 31:30 B29L 31:30 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2K009 AA15 CC09 CC12 CC24 CC33 CC42 EE01 4F100 AH06B AH06H AK45 AK51 AL05B AT00A BA02 CA30 DC21 EH46 EH462 EJ52 EJ542 EJ862 GB33 GB51 JB12B JK09 JK15 4F209 AA28 AA33 AA44 AB19 AG03 NA01 NB01 NB11 NG02 NG05 NH06 NH30 NK07 NL10 NW05 NW15 4J038 DL031 DL032 DL131 DL132 DL171 DL172 FA111 FA112 FA161 FA162 FA171 FA172 GA15 JA11 JA53 JC30 NA11 PA17 PC02 PC03 PC08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面の少なくとも一部に形成され
    た硬化物層を有する被覆成形品であって、前記硬化物層
    が、活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有
    する化合物とポリシラザンと潤滑性付与剤とを含有する
    被覆組成物(A)の硬化物であることを特徴とする被覆
    成形品。
  2. 【請求項2】 前記被覆組成物(A)の硬化物層の厚さ
    が0.1〜50μmである、請求項1に記載の被覆成形
    品。
  3. 【請求項3】 前記ポリシラザンがペルヒドロポリシラ
    ザンである、請求項1または2に記載の被覆成形品。
  4. 【請求項4】 前記潤滑性付与剤が分子内にラジカル反
    応性官能基を有する化合物である、請求項1〜3のいず
    れか一つに記載の被覆成形品。
  5. 【請求項5】 前記潤滑性付与剤が分子内にシラノール
    基またはアルコキシシリル基を有する化合物である、請
    求項1〜3のいずれか一つに記載の被覆成形品。
  6. 【請求項6】 基材の表面の少なくとも一部に形成され
    た硬化物層を有する被覆成形品の製造方法において、活
    性エネルギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有する化
    合物とポリシラザンと潤滑性付与剤とを含有する被覆組
    成物(A)を塗工し、次に活性エネルギ線の照射による
    前記活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有
    する化合物の硬化と、前記ポリシラザンの硬化を任意の
    順でまたは同時に行うことを特徴とする被覆成形品の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 基材の表面の少なくとも一部に形成され
    た硬化物層を有する被覆成形品の製造方法において、活
    性エネルギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有する化
    合物とポリシラザンと潤滑性付与剤とを含有する被覆組
    成物(A)を塗工し、次に活性エネルギ線の照射による
    前記活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を1個以上有
    する化合物の硬化と前記ポリシラザンの硬化を任意の順
    でまたは同時に行うとともに、前記ポリシラザンが未硬
    化物または部分硬化物の状態で曲げ加工することを特徴
    とする被覆成形品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7118380B1 (ja) 2021-08-17 2022-08-16 株式会社アイセル 鉄系金属を用いた構造体の製造方法、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いた構造体の製造方法、硬質合成樹脂を用いた構造体の製造方法およびコーティング液
JP2023027439A (ja) * 2021-08-17 2023-03-02 株式会社アイセル 鉄系金属を用いた構造体の製造方法、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いた構造体の製造方法、硬質合成樹脂を用いた構造体の製造方法およびコーティング液

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