JP2002245845A - 高導電性炭素複合体及びその製造方法 - Google Patents
高導電性炭素複合体及びその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】炭素材料の特性を維持しつつ優れた電気伝導性
を有する炭素複合体を提供する。 【解決手段】黒鉛構造を有する炭素繊維にフッ素が含有
されていることを特徴とする高導電性炭素複合体及びそ
の製造方法に係る。
を有する炭素複合体を提供する。 【解決手段】黒鉛構造を有する炭素繊維にフッ素が含有
されていることを特徴とする高導電性炭素複合体及びそ
の製造方法に係る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高導電性炭素複合
体及びその製造方法に関する。
体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】電気を伝える材料としては、従来より金属
材料が汎用されている。これは、金属材料が高い電気伝
導度をもつことに加え、加工性にも優れているためであ
る。とりわけ、上記特性が他の金属材料に比べて優れて
いるおり、しかも比較的安価であり、材料資源が豊富で
あるという点でアルミニウム、銅等が頻繁に使用されて
いる。
材料が汎用されている。これは、金属材料が高い電気伝
導度をもつことに加え、加工性にも優れているためであ
る。とりわけ、上記特性が他の金属材料に比べて優れて
いるおり、しかも比較的安価であり、材料資源が豊富で
あるという点でアルミニウム、銅等が頻繁に使用されて
いる。
【0003】しかしながら、これらの金属材料は、比重
が大きい、腐食しやすい、熱膨張係数が高い、引張強度
及び引張弾性率が低い等の欠点をもっている。
が大きい、腐食しやすい、熱膨張係数が高い、引張強度
及び引張弾性率が低い等の欠点をもっている。
【0004】これらの欠点を解消できる材料として、導
電性高分子あるいは炭素材料が現在注目されている。こ
れらの材料は、比重が小さい、非磁性・耐食性に優れて
いる、熱膨張係数が低い、引張強度及び引張弾性率が高
い等の優れた特徴を有する。
電性高分子あるいは炭素材料が現在注目されている。こ
れらの材料は、比重が小さい、非磁性・耐食性に優れて
いる、熱膨張係数が低い、引張強度及び引張弾性率が高
い等の優れた特徴を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、導電性
高分子では電気伝導度が半導体レベルであり、また炭素
材料も金属材料に比べて電気伝導度が非常に低い(約2
オーダー低い)。いずれの材料も、電気伝導度という点
において金属材料にはとうてい及ばす、さらなる改善が
必要とされる。
高分子では電気伝導度が半導体レベルであり、また炭素
材料も金属材料に比べて電気伝導度が非常に低い(約2
オーダー低い)。いずれの材料も、電気伝導度という点
において金属材料にはとうてい及ばす、さらなる改善が
必要とされる。
【0006】従って、本発明の主な目的は、炭素材料の
特性を維持しつつ高い電気伝導性を有する炭素複合体を
提供することにある。
特性を維持しつつ高い電気伝導性を有する炭素複合体を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる従来
技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、
特定の炭素複合体が上記目的を達成できることを見出
し、ついに本発明を完成するに至った。
技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、
特定の炭素複合体が上記目的を達成できることを見出
し、ついに本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、下記の高導電性炭素
複合体及びその製造方法に係るものである。
複合体及びその製造方法に係るものである。
【0009】1.黒鉛構造を有する炭素繊維にフッ素が
含有されていることを特徴とする高導電性炭素複合体。
含有されていることを特徴とする高導電性炭素複合体。
【0010】2.黒鉛構造におけるa軸及びc軸方向の
結晶子サイズ(Lc(002))及び(La(11
0))がともに1000Å以上である上記項1記載の高
導電性炭素複合体。
結晶子サイズ(Lc(002))及び(La(11
0))がともに1000Å以上である上記項1記載の高
導電性炭素複合体。
【0011】3.炭素複合体中のフッ素含有量が3〜2
5重量%である上記項1又は2に記載の高導電性炭素複
合体。
5重量%である上記項1又は2に記載の高導電性炭素複
合体。
【0012】4.炭素繊維を3000℃以上で加熱して
黒鉛化した後、フッ素ガスと接触させることを特徴とす
る高導電性炭素複合体の製造方法。
黒鉛化した後、フッ素ガスと接触させることを特徴とす
る高導電性炭素複合体の製造方法。
【0013】5.フッ素ガスとの接触をフッ化物の存在
下で行う上記項4記載の製造方法。
下で行う上記項4記載の製造方法。
【0014】6.フッ化物が、アルカリ金属、アルカリ
土類金属、遷移金属及びホウ素族のフッ化物ならびにフ
ッ化水素の少なくとも1種である上記項5記載の製造方
法。
土類金属、遷移金属及びホウ素族のフッ化物ならびにフ
ッ化水素の少なくとも1種である上記項5記載の製造方
法。
【0015】7.上記項4〜6のいずれかに記載の製造
方法により得られる高導電性炭素複合体。
方法により得られる高導電性炭素複合体。
【0016】
【発明の実施の形態】1.高導電性炭素複合体の製造方
法 まず、本発明の製造方法について説明する。本発明の製
造方法は、炭素繊維を3000℃以上で加熱して黒鉛化
した後、フッ素ガスと接触させることを特徴とする。
法 まず、本発明の製造方法について説明する。本発明の製
造方法は、炭素繊維を3000℃以上で加熱して黒鉛化
した後、フッ素ガスと接触させることを特徴とする。
【0017】黒鉛化される炭素繊維は、特にその種類の
制限はない。また、短繊維・長繊維のいずれであっても
良い。いずれの製造方法によって得られる炭素繊維も使
用することができる。例えば、ピッチ系炭素繊維、グラ
ファイトウィスカー等を使用できる。これらは、公知の
もの又は市販品を用いることができる。
制限はない。また、短繊維・長繊維のいずれであっても
良い。いずれの製造方法によって得られる炭素繊維も使
用することができる。例えば、ピッチ系炭素繊維、グラ
ファイトウィスカー等を使用できる。これらは、公知の
もの又は市販品を用いることができる。
【0018】炭素繊維の黒鉛化に際し、炭素繊維を通常
3000℃以上、好ましくは3100℃以上で加熱す
る。加熱温度の上限は特に限定的ではないが、一般には
3200℃程度とすれば良い。加熱雰囲気は、通常は非
酸化性雰囲気、好ましくは不活性ガス(ヘリウム、窒
素、アルゴン等)雰囲気とすれば良い。加熱時間は、用
いる炭素繊維の種類、加熱温度等に応じて適宜設定すれ
ば良いが、通常は24〜48時間程度とすれば良い。
3000℃以上、好ましくは3100℃以上で加熱す
る。加熱温度の上限は特に限定的ではないが、一般には
3200℃程度とすれば良い。加熱雰囲気は、通常は非
酸化性雰囲気、好ましくは不活性ガス(ヘリウム、窒
素、アルゴン等)雰囲気とすれば良い。加熱時間は、用
いる炭素繊維の種類、加熱温度等に応じて適宜設定すれ
ば良いが、通常は24〜48時間程度とすれば良い。
【0019】黒鉛化された炭素繊維は、その黒鉛構造の
面間隔(002)(X線回折測定による)が通常3.4
Å以下、特に3.36Å以下であることが好ましい。な
お、黒鉛単結晶の面間隔(002)は、3.354Åで
ある。また、上記黒鉛構造において、X線回折測定によ
るa軸及びc軸方向の結晶子サイズ(Lc(002))
及び(La(110))がともに1000Å以上である
ことが本発明の効果上好ましい。
面間隔(002)(X線回折測定による)が通常3.4
Å以下、特に3.36Å以下であることが好ましい。な
お、黒鉛単結晶の面間隔(002)は、3.354Åで
ある。また、上記黒鉛構造において、X線回折測定によ
るa軸及びc軸方向の結晶子サイズ(Lc(002))
及び(La(110))がともに1000Å以上である
ことが本発明の効果上好ましい。
【0020】次いで、黒鉛化された炭素繊維をフッ素ガ
スと接触させる。このときの温度は限定的ではないが、
通常15〜150℃程度、好ましくは20〜120℃と
する。フッ素ガスのガス圧は、通常0.8〜1.2気圧
程度、好ましくは1気圧とすれば良い。接触させる時間
は、温度等に応じて適宜変更できるが、通常は24〜4
8時間程度とすれば良い。
スと接触させる。このときの温度は限定的ではないが、
通常15〜150℃程度、好ましくは20〜120℃と
する。フッ素ガスのガス圧は、通常0.8〜1.2気圧
程度、好ましくは1気圧とすれば良い。接触させる時間
は、温度等に応じて適宜変更できるが、通常は24〜4
8時間程度とすれば良い。
【0021】本発明では、フッ素ガスとの接触をフッ化
物の存在下で行うことが望ましい。フッ化物を存在させ
ることにより、フッ素が黒鉛構造の層間に進入するため
の触媒的効果を得ることができる。
物の存在下で行うことが望ましい。フッ化物を存在させ
ることにより、フッ素が黒鉛構造の層間に進入するため
の触媒的効果を得ることができる。
【0022】フッ化物としては、アルカリ金属、アルカ
リ土類金属、遷移金属及びホウ素族のフッ化物ならびに
フッ化水素の少なくとも1種が好ましい。例えば、リチ
ウムのフッ化物、ナトリウムのフッ化物、マグネシウム
のフッ化物、アルミニウムのフッ化物等が挙げられる。
より具体的には、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、
フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化銀、フ
ッ化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でもフッ
化リチウム、フッ化銀等が特に好ましい。
リ土類金属、遷移金属及びホウ素族のフッ化物ならびに
フッ化水素の少なくとも1種が好ましい。例えば、リチ
ウムのフッ化物、ナトリウムのフッ化物、マグネシウム
のフッ化物、アルミニウムのフッ化物等が挙げられる。
より具体的には、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、
フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化銀、フ
ッ化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でもフッ
化リチウム、フッ化銀等が特に好ましい。
【0023】フッ化物を存在させる量は、用いるフッ化
物の種類、処理すべき炭素繊維重量等に応じて適宜設定
できるが、通常は処理すべき炭素繊維重量の約1/5程
度とすれば良い。
物の種類、処理すべき炭素繊維重量等に応じて適宜設定
できるが、通常は処理すべき炭素繊維重量の約1/5程
度とすれば良い。
【0024】フッ化物を存在させる場合の方法として
は、炭素繊維とフッ素ガスが接触し、炭素繊維にフッ素
が含有されるようにすれば特に限定されない。例えば、
処理すべき炭素繊維の近傍にフッ化物を設置すれば良
い。
は、炭素繊維とフッ素ガスが接触し、炭素繊維にフッ素
が含有されるようにすれば特に限定されない。例えば、
処理すべき炭素繊維の近傍にフッ化物を設置すれば良
い。
【0025】フッ素ガスと接触させることによって、最
終的に本発明の炭素複合体を得ることができる。これに
より、フッ素は、主として黒鉛構造に進入して炭素との
複合体を形成する。すなわち、本発明の高導電性炭素複
合体を得ることができる。 2.高導電性炭素複合体 本発明の高導電性炭素複合体は、黒鉛構造を有する炭素
繊維にフッ素が含有されていることを特徴とする。
終的に本発明の炭素複合体を得ることができる。これに
より、フッ素は、主として黒鉛構造に進入して炭素との
複合体を形成する。すなわち、本発明の高導電性炭素複
合体を得ることができる。 2.高導電性炭素複合体 本発明の高導電性炭素複合体は、黒鉛構造を有する炭素
繊維にフッ素が含有されていることを特徴とする。
【0026】本発明では、フッ素は、少なくとも炭素繊
維の黒鉛構造の層間に挿入されていることが望ましい。
この場合、層状の黒鉛構造の繰り返し単位の中にフッ素
が挿入されていない層が1又は2以上含まれていても良
い。
維の黒鉛構造の層間に挿入されていることが望ましい。
この場合、層状の黒鉛構造の繰り返し単位の中にフッ素
が挿入されていない層が1又は2以上含まれていても良
い。
【0027】炭素複合体中のフッ素含有量は、所望の導
電性等に応じて適宜調整すれば良いが、通常は3〜25
重量%程度、好ましくは5〜22重量%とする。フッ素
含有量は、用いるフッ化物の種類、フッ素ガス量等によ
り制御することができる。この範囲内にフッ素を含有さ
せることにより、いっそう優れた電気伝導性を得ること
ができる。
電性等に応じて適宜調整すれば良いが、通常は3〜25
重量%程度、好ましくは5〜22重量%とする。フッ素
含有量は、用いるフッ化物の種類、フッ素ガス量等によ
り制御することができる。この範囲内にフッ素を含有さ
せることにより、いっそう優れた電気伝導性を得ること
ができる。
【0028】上記黒鉛構造において、X線回折測定によ
るa軸及びc軸方向の結晶子サイズ(Lc(002))
及び(La(110))がともに1000Å以上である
ことが好ましい。また、本発明炭素複合体の面間隔(0
0L)は、層状の黒鉛構造の繰り返し単位中にフッ素が
挿入された層の数等によって異なるが、通常は9Å以上
であることが好ましい。
るa軸及びc軸方向の結晶子サイズ(Lc(002))
及び(La(110))がともに1000Å以上である
ことが好ましい。また、本発明炭素複合体の面間隔(0
0L)は、層状の黒鉛構造の繰り返し単位中にフッ素が
挿入された層の数等によって異なるが、通常は9Å以上
であることが好ましい。
【0029】本発明の炭素複合体の電気伝導度は、一般
的には5×104〜2×105(Ω・cm)-1程度であ
る。また、引張強度は、通常370〜380kgf/m
m程度、好ましくは約380kgf/mm程度である。
的には5×104〜2×105(Ω・cm)-1程度であ
る。また、引張強度は、通常370〜380kgf/m
m程度、好ましくは約380kgf/mm程度である。
【0030】本発明炭素複合体は、それ自体が電気伝導
性に優れているため、導電材料として各分野で有効に利
用することができる。特に、送電線材料としての使用に
好適である。
性に優れているため、導電材料として各分野で有効に利
用することができる。特に、送電線材料としての使用に
好適である。
【0031】
【発明の効果】本発明の炭素複合体によれば、炭素材料
のもつ優れた特徴を実質的に維持したままで高い電気伝
導性を発揮することができる。すなわち、金属材料に比
べて軽量で耐腐食性、耐熱性等に優れた導電材料を提供
することが可能となる。
のもつ優れた特徴を実質的に維持したままで高い電気伝
導性を発揮することができる。すなわち、金属材料に比
べて軽量で耐腐食性、耐熱性等に優れた導電材料を提供
することが可能となる。
【0032】このような特長をもつ本発明炭素複合体
は、各種の導電材料として有効に利用でき、例えば送電
線材料等に好適に用いることができる。
は、各種の導電材料として有効に利用でき、例えば送電
線材料等に好適に用いることができる。
【0033】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴を一層明確にする。但し、本発明の範囲は、実施例の
範囲に限定されるものではない。
徴を一層明確にする。但し、本発明の範囲は、実施例の
範囲に限定されるものではない。
【0034】なお、本発明で示す各物性については次に
示す方法によってそれぞれ測定を行った。 (1)結晶構造(面間隔等) X線回折装置「XD−610」(島津製作所製)を用
い、学振法により評価した。 (2)電気伝導度 電気伝導度は4端子法により測定を行った。あらかじめ
一定距離に固定した白金線上(4本)に、試料として炭
素繊維1本を銀ペーストで固定し、外側の端子を安定化
電源に接続し、5μA程度の微小電流を流す。このと
き、内側中央の端子より電圧降下(IRdrop)を測
定し、次の計算式によって電気伝導度を求めた。
示す方法によってそれぞれ測定を行った。 (1)結晶構造(面間隔等) X線回折装置「XD−610」(島津製作所製)を用
い、学振法により評価した。 (2)電気伝導度 電気伝導度は4端子法により測定を行った。あらかじめ
一定距離に固定した白金線上(4本)に、試料として炭
素繊維1本を銀ペーストで固定し、外側の端子を安定化
電源に接続し、5μA程度の微小電流を流す。このと
き、内側中央の端子より電圧降下(IRdrop)を測
定し、次の計算式によって電気伝導度を求めた。
【0035】電気伝導度=(A×4×L)/(V×π×
d×d)(但し、Aは通電した電気量、Lは測定長さ、
Vは求める電圧降下分(IRdrop)、dは試料(炭
素繊維)断面の直径をそれぞれ示す。) (3)引張強度及び引張弾性率 JIS R7601−1980(1986年改訂)の炭
素繊維試験方法に従って単一繊維について測定した。 (4)炭素複合体中のフッ素含有量 元素分析法により求めた。すなわち、炭素複合体中の炭
素原子及び酸素原子を燃焼法によって求め、フッ素原子
は酸素フラスコ法によって試料を燃焼し、水により吸収
し、フッ素イオン選択性電極を用いて測定した。
d×d)(但し、Aは通電した電気量、Lは測定長さ、
Vは求める電圧降下分(IRdrop)、dは試料(炭
素繊維)断面の直径をそれぞれ示す。) (3)引張強度及び引張弾性率 JIS R7601−1980(1986年改訂)の炭
素繊維試験方法に従って単一繊維について測定した。 (4)炭素複合体中のフッ素含有量 元素分析法により求めた。すなわち、炭素複合体中の炭
素原子及び酸素原子を燃焼法によって求め、フッ素原子
は酸素フラスコ法によって試料を燃焼し、水により吸収
し、フッ素イオン選択性電極を用いて測定した。
【0036】実施例1 ピッチ系炭素繊維を窒素ガス雰囲気中3050℃(試料
1−1)及び3000℃(試料2−1及び試料2−2)
で24時間熱処理を行った。
1−1)及び3000℃(試料2−1及び試料2−2)
で24時間熱処理を行った。
【0037】得られた炭素繊維をX線回折による分析を
行い、面間隔(002)、La(110)及びLc(0
02)を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1に
は、熱処理温度が3000℃に満たない試料(試料1及
び試料2)の結果も併せて示す。
行い、面間隔(002)、La(110)及びLc(0
02)を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1に
は、熱処理温度が3000℃に満たない試料(試料1及
び試料2)の結果も併せて示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1によれば、3000℃以上の熱処理に
より、炭素(002)面の面間隔が3.41〜3.55
Å程度から3.355〜3.358Åに変化しているこ
とが確認された。単結晶黒鉛の(002)面間距離が
3.354Åであることから、上記熱処理によって得ら
れた炭素繊維の結晶構造は単結晶に近い構造を有してい
ると考えられる。また、X線回折分析の結果により、各
結晶子の積み重なりは、Lc(002)及びLa(11
0)がともに1000Å以上であり、高い結晶性を有す
ることがわかる。
より、炭素(002)面の面間隔が3.41〜3.55
Å程度から3.355〜3.358Åに変化しているこ
とが確認された。単結晶黒鉛の(002)面間距離が
3.354Åであることから、上記熱処理によって得ら
れた炭素繊維の結晶構造は単結晶に近い構造を有してい
ると考えられる。また、X線回折分析の結果により、各
結晶子の積み重なりは、Lc(002)及びLa(11
0)がともに1000Å以上であり、高い結晶性を有す
ることがわかる。
【0040】次いで、熱処理後の炭素繊維の電気伝導度
を測定した。その結果を図1(凡例:縦軸の1.E+0
4は104を示す。他も同様にして示す。)に示す。熱
処理前の炭素繊維の電気伝導度は2.2×103〜4.
15×103(Ω・cm)-1程度であるのに対し、熱処
理後の炭素繊維のそれは1.9×104〜2.23×1
04(Ω・cm)-1と高い値を示した。
を測定した。その結果を図1(凡例:縦軸の1.E+0
4は104を示す。他も同様にして示す。)に示す。熱
処理前の炭素繊維の電気伝導度は2.2×103〜4.
15×103(Ω・cm)-1程度であるのに対し、熱処
理後の炭素繊維のそれは1.9×104〜2.23×1
04(Ω・cm)-1と高い値を示した。
【0041】実施例2 実施例1で得られた熱処理後の炭素繊維(試料2−1)
を用いてフッ素ガス(F2)で処理し、さまざまなフッ
素含有量をもつ炭素複合体を製造した。
を用いてフッ素ガス(F2)で処理し、さまざまなフッ
素含有量をもつ炭素複合体を製造した。
【0042】反応条件は、フッ化リチウム、フッ化アル
ミニウム又はフッ化銀の存在下でフッ素ガス1気圧、反
応温度120℃、反応時間36時間とした。上記フッ化
物の使用量は、炭素繊維の重量の約1/5とした。
ミニウム又はフッ化銀の存在下でフッ素ガス1気圧、反
応温度120℃、反応時間36時間とした。上記フッ化
物の使用量は、炭素繊維の重量の約1/5とした。
【0043】得られた炭素複合体の構造及び組成を調べ
た。炭素複合体の(00L)面の繰り返し距離(層間距
離)は、X線回折法により求めた。組成は、元素分析法
により求めた。その結果を表2に示す。X線回折法によ
り求めた炭素(00L)面の周期距離(層間距離)は、
層間にフッ素が進入することにより、フッ素のイオン半
径(2.7Å)程度広がる。フッ素が進入する前の層間
距離にフッ素が挿入されてと広がった分を加えると6.
0Å(3.354Å+2.7Å)となる。表2の試料A
及びCの周期距離は約9.4Åであり、この周期距離か
ら6.0Åを引くと約3.4Åとなり、炭素一層分の距
離となる。すなわち、一つの周期距離は、フッ素が挿入
されていない層の距離(3.4Å)及びフッ素が挿入さ
れた層の距離(6.0Å)からなっていることから、炭
素複合体はこれらの2層の繰り返し構造を有することが
わかる。また、試料B及びDについても同様に調べた結
果、フッ素が挿入された層が1つ、フッ素が挿入されな
い層が2つの3層からなる繰り返し構造を有することが
確認された。
た。炭素複合体の(00L)面の繰り返し距離(層間距
離)は、X線回折法により求めた。組成は、元素分析法
により求めた。その結果を表2に示す。X線回折法によ
り求めた炭素(00L)面の周期距離(層間距離)は、
層間にフッ素が進入することにより、フッ素のイオン半
径(2.7Å)程度広がる。フッ素が進入する前の層間
距離にフッ素が挿入されてと広がった分を加えると6.
0Å(3.354Å+2.7Å)となる。表2の試料A
及びCの周期距離は約9.4Åであり、この周期距離か
ら6.0Åを引くと約3.4Åとなり、炭素一層分の距
離となる。すなわち、一つの周期距離は、フッ素が挿入
されていない層の距離(3.4Å)及びフッ素が挿入さ
れた層の距離(6.0Å)からなっていることから、炭
素複合体はこれらの2層の繰り返し構造を有することが
わかる。また、試料B及びDについても同様に調べた結
果、フッ素が挿入された層が1つ、フッ素が挿入されな
い層が2つの3層からなる繰り返し構造を有することが
確認された。
【0044】
【表2】
【0045】上記と同様に、炭素繊維の黒鉛構造の層間
にフッ素が約5〜22重量%挿入されたフッ素含有炭素
繊維複合体を製造した。この複合体の電気伝導度を測定
した結果を図2に示す。図2には、フッ素を含有しない
場合電気伝導度も併せて示す。図2より、フッ素含有複
合体の電気伝導度は2.2×104〜2.21×10
5(Ω・cm)-1の範囲であり、フッ素を含有させるこ
とにより電気伝導性を高められるることがわかる。
にフッ素が約5〜22重量%挿入されたフッ素含有炭素
繊維複合体を製造した。この複合体の電気伝導度を測定
した結果を図2に示す。図2には、フッ素を含有しない
場合電気伝導度も併せて示す。図2より、フッ素含有複
合体の電気伝導度は2.2×104〜2.21×10
5(Ω・cm)-1の範囲であり、フッ素を含有させるこ
とにより電気伝導性を高められるることがわかる。
【0046】また、上記複合体(単繊維)の引張強度を
測定した。その結果を図3に示す。図3には、フッ素を
含有しない場合の引張強度も併せて示す。いずれの複合
体の強度も約375kgf・mm-1付近であることか
ら、フッ素を含有しない炭素繊維と同程度の強度が発揮
されていることがわかる。
測定した。その結果を図3に示す。図3には、フッ素を
含有しない場合の引張強度も併せて示す。いずれの複合
体の強度も約375kgf・mm-1付近であることか
ら、フッ素を含有しない炭素繊維と同程度の強度が発揮
されていることがわかる。
【0047】さらに、上記複合体(単繊維)の引張弾性
率を測定した。その結果を図4に示す。図4には、フッ
素を含有しない場合の引張弾性率も併せて示す。上記複
合体の引張弾性率はいずれも9.45×104kgf・
mm-1付近であり、フッ素を含有しない炭素繊維と同程
度の弾性を発揮できることがわかる。
率を測定した。その結果を図4に示す。図4には、フッ
素を含有しない場合の引張弾性率も併せて示す。上記複
合体の引張弾性率はいずれも9.45×104kgf・
mm-1付近であり、フッ素を含有しない炭素繊維と同程
度の弾性を発揮できることがわかる。
【図1】熱処理温度と電気伝導度との関係を示す図であ
る。
る。
【図2】フッ素含有量と電気伝導度との関係を示す図で
ある。
ある。
【図3】フッ素含有量と引張強度との関係を示す図であ
る。
る。
【図4】フッ素含有量と引張弾性率との関係を示す図で
ある。
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01B 31/04 101 D06M 11/00 B Fターム(参考) 4G046 AA05 AA09 EA02 EB02 EB04 EC01 EC06 4L031 AA27 AB01 BA07 DA15 4L037 AT02 CS04 FA01 FA02 FA12 PG04 PP01 UA04 5G301 BA02 BA03 BE01 BE10
Claims (7)
- 【請求項1】黒鉛構造を有する炭素繊維にフッ素が含有
されていることを特徴とする高導電性炭素複合体。 - 【請求項2】黒鉛構造におけるa軸及びc軸方向の結晶
子サイズ(Lc(002))及び(La(110))が
ともに1000Å以上である請求項1記載の高導電性炭
素複合体。 - 【請求項3】炭素複合体中のフッ素含有量が3〜25重
量%である請求項1又は2に記載の高導電性炭素複合
体。 - 【請求項4】炭素繊維を3000℃以上で加熱して黒鉛
化した後、フッ素ガスと接触させることを特徴とする高
導電性炭素複合体の製造方法。 - 【請求項5】フッ素ガスとの接触をフッ化物の存在下で
行う請求項4記載の製造方法。 - 【請求項6】フッ化物が、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、遷移金属及びホウ素族のフッ化物ならびにフッ化
水素の少なくとも1種である請求項5記載の製造方法。 - 【請求項7】請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法
により得られる高導電性炭素複合体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001039885A JP2002245845A (ja) | 2001-02-16 | 2001-02-16 | 高導電性炭素複合体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001039885A JP2002245845A (ja) | 2001-02-16 | 2001-02-16 | 高導電性炭素複合体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002245845A true JP2002245845A (ja) | 2002-08-30 |
Family
ID=18902595
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001039885A Pending JP2002245845A (ja) | 2001-02-16 | 2001-02-16 | 高導電性炭素複合体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002245845A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010000019A (ja) * | 2008-06-19 | 2010-01-07 | Hidetsugu Morimoto | 施肥装置 |
WO2019059036A1 (ja) * | 2017-09-19 | 2019-03-28 | セントラル硝子株式会社 | 繊維状炭素材料及びその製造方法 |
-
2001
- 2001-02-16 JP JP2001039885A patent/JP2002245845A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010000019A (ja) * | 2008-06-19 | 2010-01-07 | Hidetsugu Morimoto | 施肥装置 |
WO2019059036A1 (ja) * | 2017-09-19 | 2019-03-28 | セントラル硝子株式会社 | 繊維状炭素材料及びその製造方法 |
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