JP2002241993A - アルミニウム合金の電解着色方法及び着色アルミニウム合金材 - Google Patents

アルミニウム合金の電解着色方法及び着色アルミニウム合金材

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JP2002241993A
JP2002241993A JP2001040434A JP2001040434A JP2002241993A JP 2002241993 A JP2002241993 A JP 2002241993A JP 2001040434 A JP2001040434 A JP 2001040434A JP 2001040434 A JP2001040434 A JP 2001040434A JP 2002241993 A JP2002241993 A JP 2002241993A
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Hisafumi Takigawa
尚史 瀧川
Osamu Tatemori
収 舘盛
Mikio Asakura
美樹夫 朝倉
Seishichi Tanda
清七 但田
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Shin Nikkei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム合金及び着色処理要因から発生
する電解着色の色調のばらつきを解消すること。 【解決手段】 通常の陽極酸化処理を施したアルミニウ
ム合金を金属塩含有水溶液中に浸漬し、アルミニウム合
金を陽極として着色前定電流電解処理を施し、次いで同
じ水溶液中でアルミニウム合金を陰極として定電流電解
する電解着色処理を施し、次いで同じ水溶液中でアルミ
ニウム合金を陽極として着色後定電流電解処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陽極酸化処理して表面
に陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム合金を電解着色
する方法及び着色アルミニウム合金材に係り、特にアル
ミニウム合金材の材質差あるいは表面処理の変動要因等
から発生する色調のばらつきを抑え、均一な色調にアル
ミニウム合金を電解着色する方法及びこの方法によって
製造される着色アルミニウム合金形材に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金形材は、ビルや住宅の
内外装建材,エクステリア材等に使用されており、これ
らのアルミニウム合金形材は電解着色処理を施されるこ
とにより着色されることがある。この種の電解着色アル
ミニウム合金形材は、陽極酸化処理によってその表面に
陽極酸化皮膜を形成した後、Ni,Co,Cu,Sn等
の金属塩を含む水浴中で電解することにより金属塩の電
解生成物(以下、析出物)を多孔質である陽極酸化皮膜
の細孔中に析出させることにより製造している。
【0003】また、近年多品種小ロット(着色処理単
化)に伴い、アルミニウム合金材として、アルミニウム
合金組成、塑性加工及び熱処理履歴又は形状等の異なる
被処理材を混載して電解着色することがある。これらの
アルミニウム合金材の差が表面処理の各ロット(異なる
着色処理単位)間及びロット(同一の着色処理単位)内
におけるアルミニウム合金材間色調の色差を発生させ
る。
【0004】このようにアルミニウム合金材に色調のば
らつきが発生すると、製品(アルミニウム合金材)の外
観品質が低下する他アルミニウム合金材の製造の歩留ま
りが低下してしまうという問題があった。そこで、従来
アルミニウム合金材の色調ばらつきを少なくするため以
下のような提案がなされている。
【0005】特公昭57−8199号公報では、電解
着色処理浴中で陽極直流電解、陰極直流電解し、一定時
間無通電状態においた後、再び陰極直流電解を行う電解
着色を2回以上繰り返し行うことにより、均一且つ濃色
な着色皮膜を得る方法が開示されている。
【0006】特公昭58−52037号公報では、陰
極としてのアルミ材に正のパルス電圧を印加しながら電
解着色することにより、陽極酸化皮膜が迅速に着色さ
れ、しかも安定した電解着色が継続されることが開示さ
れている。
【0007】特開平11−189897号公報では、
アルミ材を陽極として定電流電解し、電圧が設定値に達
した時点で同じ電解着色処理浴中でアルミ材を陰極とし
て電解着色することにより、ロット間にわたって色調が
安定する方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、アルミニウ
ム合金の電解着色における淡色系色調の場合には、色の
濃淡だけではなく僅かな色調の違いが目立ち易くなる傾
向にある。その結果、各ロット間及びロット内で発生し
た微妙な色調のばらつきが目立つこととなる。色調のば
らつきの発生原因は、アルミニウム合金要因として合金
組成、塑性加工及び熱処理履歴やアルミニウム合金形状
等の違いが掲げられ、表面処理の要因として前処理,陽
極酸化処理,水洗,着色処理等の各工程における浴条件
や電解条件の変動等が多岐にわたるものであり、上述し
た従来方法では特に上述した淡色系色調の場合には色の
ばらつきを少ないものにすることが難しかった。
【0009】そこで、本発明は、前記アルミニウム合金
及び各種処理要因から発生する色調のばらつきを解消す
べく案出されたものであり、均一な色調で着色されたア
ルミニウム合金を得ることできる電解着色方法、及び着
色アルミニウム合金材を提供することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる状況の下、本発明
者等は、上記課題の解決を図るべく鋭意研究を重ねた結
果、電解着色処理で陽極酸化皮膜の細孔中に析出した不
均一な析出物に陽極直流電解(着色後定電流電解処理)
を施すことにより、析出物を電解着色処理とは可逆的に
アノード溶出させ、各ロット間及びロット内にわたって
均一な色調で着色されたアルミニウム合金を得ることで
きることを見出した。
【0011】そして、本発明はそのような知見に基づい
て完成されたものであって、以下の構成を備える。請求
項1に記載の本発明は、陽極酸化処理して表面に陽極酸
化皮膜を形成したアルミニウム合金を電解着色する方法
であって、前記陽極酸化処理を施したアルミニウム合金
を金属塩含有水溶液中に浸漬し、該アルミニウム合金を
陽極として定電流電解する着色前定電流電解処理と、次
いで同じ水溶液中で該アルミニウム合金を陰極として定
電流電解する電解着色処理と、次いで同じ水溶液中で該
アルミニウム合金を陽極として定電流電解する着色後定
電流電解処理とを含むことを特徴とするものである。
【0012】請求項2に記載の本発明は、請求項1に記
載の着色前定電流電解処理は所定値の電圧に達した時、
その電解処理を終了することを特徴とするものである。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に
記載の着色前電解着色処理は陰極としてのアルミニウム
合金に正のパルス電流を付加する電解処理を行うことを
特徴とするものである。
【0013】請求項4に記載の本発明は、請求項1、請
求項2、又は請求項3の着色後定電流電解処理の電流密
度を電解着色処理の電流密度以上とすることを特徴とす
るものである。請求項5に記載の本発明は、請求項1、
請求項2、又は請求項3の着色後定電流電解処理の電流
密度を電解着色処理の電流密度以上、且つ定電流電解の
電流密度以下とすることを特徴とするものである。
【0014】請求項6の発明は、上述のアルミニウム合
金の電解着色方法によって着色されたアルミニウム合金
材であることを特徴とする。
【0015】このような本発明においては、陽極酸化皮
膜の電解着色処理に先立って、電解着色に用いられる金
属塩含有水溶液中で、表面に陽極酸化皮膜が生成された
アルミニウム合金を陽極として着色前の定電流電解処理
がなされる。この処理によって電流分布を均一化する作
用をもつバリヤ層が陽極酸化直後より増膜される。
【0016】前記バリヤ層の厚さは、電解電圧に比例し
て厚くなり、陽極酸化処理時より増膜することが望まし
く、また、着色前定電流電解処理の通電は、時間制御ま
たは電圧制御の何れでもよいが、印加電圧値は20〜7
0Vに設定することが望ましい。前記印加電圧が20V
より低いと着色均一性が悪くなり、70Vを超えると着
色され難くなる。
【0017】本発明では、前記金属塩及びその他の添加
剤の種類及び濃度は限定されない。また、該水溶液は、
陽極酸化皮膜に対し侵食性の小さい有機酸あるいは鉱酸
で弱酸性または中性に調整される。金属塩には通常の電
解着色に使用されるNi,Co,Cu,Sn等の金属塩
を用いる。浴温度は20〜30℃、着色前定電流電解処
理、電解着色処理および着色後定電流電解処理の電流密
度は、5〜30A/m2が適当である。上記電流密度が5
A/m2より低いと再現性が悪くなり、30m2を超える
と着色均一性が悪く再現性も悪くなる。
【0018】本発明では、着色前定電流電解処理に続い
て電解着色処理が施される。この電解着色処理で酸化皮
膜中に析出物が析出してアルミニウム合金が着色され
る。ここで、上述したようにアルミニウム合金あるいは
表面処理工程の要因により、色調差が生じる。
【0019】たとえば、アルミニウム合金組成が同じ
で、熱処理履歴の異なる被処理材を同時に電解着色する
ときに色調の違いが生じる。ここで、酸化皮膜の抵抗の
差を異なった熱処理を行った二種類のアルミニウム合金
(K:時効処理195℃−180分、IACS%54.
0、S:時効処理225℃−180分、IACS%5
6.6)でみると、陽極酸化処理における電流−時間曲
線(図1)、および着色前定電流電解における電流−時
間曲線(図2)の電流値は異なったものとなっている。
その結果、電流が多く流れるアルミニウム合金には多量
の析出物が析出し、他方電流が少なく流れるアルミニウ
ム合金にはより少量の析出物が析出するようになる。
【0020】即ち、アルミニウム合金の酸化皮膜抵抗の
差異が、電解着色処理において電気的影響を及ぼし、陽
極酸化皮膜中への析出物の析出が不均一となり、色調の
ばらつきを生じさせるものと考えられる。
【0021】本発明の着色後定電流電解処理では、アル
ミニウム合金を陽極として定電流電解し、電解着色処理
により酸化皮膜中に析出した析出物を電解溶出する。該
電解溶出では、電解着色処理後の酸化皮膜抵抗に略反比
例して、析出物が溶出される。
【0022】つまり、前記電解着色処理では、酸化皮膜
抵抗が小さいアルミニウム合金は析出量が多く、酸化皮
膜抵抗の大きいアルミニウム合金は析出量が少なくな
る。このため色むらが生じている。着色後定電流電解処
理では、酸化皮膜抵抗が小さいアルミニウム合金では析
出物の電解溶出が多くなり、一方酸化皮膜抵抗が大きな
アルミニウム合金では析出物の電解溶出が小さくなる。
このためアルミニウム合金の色差が小さくなる。
【0023】本発明では、このような作用により、アル
ミニウム合金表面の析出物が、均一に調整された状態に
なり、アルミニウム合金要因として合金組成、塑性加工
及び熱処理履歴又は形状および表面処理の要因として前
処理,陽極酸化処理,水洗,着色処理等の各工程におけ
る浴条件や電解条件等の変動要因によらず、アルミニウ
ム合金の均一な着色が可能となる。
【0024】また、本発明では、着色後定電流電解処理
を速やかに行うために、着色後定電流電解処理の電流密
度は、電解着色処理の電流密度より高く、着色前定電流
電解処理の電流密度より低い方が望ましく、電気量は2
00〜1500クーロン/m2が適当である。前記電気量
が200クーロン/m2より少ないと着色均一性が悪く
なり、1500クーロン/m2を超えると再現性が悪く
なる。
【0025】なお、本発明では、電解着色処理におい
て、陰極としてのアルミニウム合金にパルス電流を付加
することが好ましい。パルス電流によりバリヤ層の修復
を図ることができ色調差を小さくすることができるため
である。この場合、波形は特に限定されるものではな
く、アルミニウム合金にカソード電流が流れる限り、直
流,矩形波,正弦波,またはこれらに類似する波形,或
いは各種波形を組み合わせた波形をもつ電流が使用でき
る。
【0026】また、本発明に従うアルミニウム合金の電
解着色によれば、色調が均一な着色が得られ、しかも色
調の均一性は複数の異なるロットの電解着色にわたって
も変わることがないことから、色むらがなく、従来より
も多彩な色調を均一に着色することができる。
【0027】さらに、上述のアルミニウム合金の電解着
色方法によって着色されたアルミニウム合金材は、着色
後電解着色処理を施すことにより色調の均一性を得るこ
とができるので、その表面に色むらがなく、見栄えが良
いものとできる他製品としての歩留まり性も向上する。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。 [実施例1] (本願発明による処理1)処理温度が225℃、195
℃、処理時間が180分の時効処理の異なる2種類のA
6063Sアルミニウム合金材を被処理材とした。これ
らの電気伝導度(IACS%)は、前者が56.0、後
者が54.1であった。この2種類の押出形材を同時に
硫酸15%含有水溶液中で130A/m2で30分間陽極
酸化した。次いで、硫酸ニッケル6水和物140g/
l、硼酸40g/l、PH5.0、浴温30℃の水溶液
中で2種類同時に着色工程を行った。この着色工程は、
着色前定電流電解処理としてアルミニウム合金材側を陽
極として、直流の15A/m2で32秒間通電し、ついで
同水溶液中で電解着色処理を行った。電解着色処理は、
アルミニウム合金にアノードのパルス電流を10%付加
した周波数10Hzのカソード電流を12A/m2で64
秒通電した。この後、同水溶液中で着色後定電流電解処
理として、アルミニウム合金側を陽極とし、直流の15
A/m2で60秒通電した。この時、2種類のアルミニウ
ム合金材の色差(ΔE*ab)は1.88であった。
【0029】(比較例1)上記本願発明の処理の被処理
材と同一の熱処理を行った2種類のアルミニウム合金材
を同時に硫酸15%含有水溶液中で130A/m2で30
分間陽極酸化した。次いで、硫酸ニッケル6水和物14
0g/l、硼酸40g/l、PH5.0、浴温30℃の
水溶液中で2種類同時に着色工程を行った。この着色工
程は、着色前定電流電解処理としてアルミニウム合金材
側を陽極として、直流の15A/m2で32秒間通電し、
同水溶液中で電解着色処理を行った。電解着色処理は、
アルミニウム合金にアノードのパルス電流を10%付加
した周波数10Hzのカソード電流を12A/m2で60
秒通電して着色工程を終了した。この比較例で60秒と
したのは実施例と同程度の色調とするためである。この
時、2種類のアルミニウム合金材の色差は3.89であ
った。以上の処理条件及びその結果を表1にまとめて示
す。
【0030】
【表1】
【0031】以上の結果から、アルミニウム合金材の熱
処理温度及び電気伝導度(IACS%)が異なる場合で
も、着色後定電流電解処理を施すことにより色差を小さ
くして色むらを少なくでき、色調の均一性を高めること
ができることが分かる。従って、本発明によればアルミ
ニウム合金材の熱処理が異なる場合でも、均一な着色処
理を行えることが分かる。
【0032】[実施例2] (本願発明による処理2)A6063Sアルミニウム合
金押出材とA6N01Sアルミニウム合金材の合金組成
の異なる2種類のアルミニウム合金材を同時に硫酸15
%含有水溶液中で130A/m2で30分間陽極酸化し
た。次いで、硫酸ニッケル6水和物140g/l、硼酸
40g/l、PH5.0、浴温30℃の水溶液中で2種
類同時に着色工程を行った。この時の着色工程は、着色
前定電流電解処理としてアルミニウム合金材側を陽極と
して、直流の15A/m2で通電し、到達電圧が35Vに
達した時に終了とした。次いで、同水溶液中で電解着色
処理を行った。電解着色処理は、アルミニウム合金にア
ノードのパルス電流を10%付加した周波数5Hzのカ
ソード電流を12A/m2で64秒通電した。この後、同
水溶液中で着色後定電流電解処理として、アルミニウム
合金材側を陽極とし、直流の15A/m2で60秒通電し
た。この時、2種類のアルミニウム合金材の色差(ΔE
*ab)は0.97であった。
【0033】(比較例2)前記本願発明の処理の被処理
材と同一材質の2種類のアルミニウム合金押出材を同時
に硫酸15%含有水溶液中で130A/m2にて30分間
陽極酸化した。次いで、硫酸ニッケル6水和物140g
/l、硼酸40g/l、PH5.0、浴温30℃の水溶
液中で2種類同時に着色工程を行った。この時の着色工
程は、着色前定電流電解処理としてアルミニウム合金材
側を陽極として、直流の15A/m2で通電し、到達電圧
が35Vに達した時に終了とした。次いで同水溶液中で
電解着色処理を行った。電解着色処理は、アルミニウム
合金にアノードのパルス電流を10%付加した周波数5
Hzのカソード電流を12A/m2で60秒通電して着色
工程を終了した。この比較例で60秒としたのは実施例
と同程度の色調とするためである。この時、2種類のア
ルミニウム合金材の色差は2.12であった。以上の処
理条件及びその結果を表2にまとめて示す。
【0034】
【表2】
【0035】以上の結果から、アルミニウム合金材の素
材がA6063S、A6N01Sと異なる場合であって
も、着色後定電流電解処理を施すことにより色差を小さ
くして色むらを少なくでき、色調の均一性を高めること
ができることが分かる。従って、本発明によれば、アル
ミニウム合金材の素材が異なる場合でも、均一な着色処
理を行えることが分かる
【0036】[実施例3] (本願発明の処理3)A1100Pアルミニウム板材を
被処理材とし、2枚を同時に硫酸15%含有水溶液中で
130A/m2で30分間陽極酸化した。次いで、硫酸ニ
ッケル6水和物140g/l、硼酸40g/l、PH
5.0、浴温30℃の水溶液中で2枚同時に着色工程を
行い、つき廻り性を調べた。この例は、図3に示すよう
に、アルミニウム板材1,2は、同一の電源3に接続し
て、水溶液を満たした容器4中に間隔を空けて配置し、
一方の被処理材1の近くに対極5を配置した。また、2
枚のアルミニウム板1,2の間には絶縁体である遮蔽材
6を配置した。この着色工程は、着色前定電流電解とし
てアルミニウム板材側を陽極として、直流の15A/m2
で通電し、到達電圧が35Vに達した時に終了とした。
次いで同水溶液中で電解着色処理を行った。電解着色処
理は、アルミニウム板側にアノードのパルス電流を10
%付加した周波数5Hzのカソード電流を12A/m2
64秒通電した。この後、同水溶液中で着色後定電流電
解として、アルミニウム板側を陽極とし、直流の15A
/m2で60秒通電した。この時、2枚のアルミニウム板
の色差(ΔE*ab)は0.27であった。
【0037】(比較例3)A1100Pアルミニウム板
材2枚を同時に硫酸15%含有水溶液中で130A/m2
で30分間陽極酸化した。次いで、硫酸ニッケル6水和
物140g/l、硼酸40g/l、PH5.0、浴温3
0℃の水溶液を満たした容器中に本発明の処理3と同様
に配置し、着色工程を行った。この時の着色工程は、着
色前定電流電解としてアルミニウム板側を陽極として、
直流の15A/m2で通電し、到達電圧が35Vに達した
時に終了とした。ついで同水溶液中で電解着色処理を行
った。電解着色処理は、アルミニウム板側にアノードの
パルス電流を10%付加した周波数5Hzのカソード電
流を12A/m2で60秒通電して着色工程を終了した。
この比較例で60秒としたのは実施例と同程度の色調と
するためである。この時、2枚のアルミニウム板の色差
は1.12であった。以上の処理条件及びその結果を表
3にまとめて示す。
【0038】
【表3】
【0039】以上の結果から、2枚のアルミニウム合金
材の間に遮蔽板がある場合であっても着色後定電流電解
処理を施すことにより色むらを少なくでき、色調の均一
性を高めることができることが分かる。従って、本発明
によればアルミニウム合金材の配置位置が対極に対して
異なるような表面処理条件が違う場合でも、均一な着色
処理を行えることが分かる。
【0040】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、電解
着色処理後にアルミニウム合金を陽極として着色後定電
流電解を施すことにより、陽極酸化皮膜中に不均一に析
出した析出物をアルミニウム合金あるいは表面処理の要
因から生じる酸化皮膜抵抗差によって、析出物の析出量
に略反比例するように可逆的に溶出し、析出物厚さを均
一に調整する。そのため、アルミニウム合金の要因とし
て合金組成、塑性加工及び熱処理履歴や形状等および表
面処理の要因として前処理,陽極酸化処理,水洗,着色
処理等の各工程における浴条件や電解条件等の変動要因
により発生する色むらを防止し、各ロット間及びロット
内にわたって均一な色調で着色されたアルミニウム合金
が得ることができるという効果がある。
【0041】また、このようにして電解着色されたアル
ミニウム合金材は、上記各工程を施すことにより、色む
らのない色調の均一性及び淡色であっても着色性に優れ
ており、色むらのないビルや住宅の内外装建材,エクス
テリア材等として使用でき、その用途に対応した選択が
できる。更に、本発明に係る着色アルミニウム合金は、
常法の電着塗装、封孔処理等を施すこともできる他、押
出し、鋳造等によって自由に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 陽極酸化処理における電流−時間曲線であ
る。
【図2】 定電流電解における電流−時間曲線である。
【図3】 実施例3の処理の状態を示す図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム板 2 アルミニウム板 3 電源 4 容器 5 対極 6 遮蔽板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朝倉 美樹夫 富山県高岡市本郷2−5−8 新日軽株式 会社北陸製造所内 (72)発明者 但田 清七 富山県高岡市本郷2−5−8 新日軽株式 会社北陸製造所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極酸化処理して表面に陽極酸化皮膜を形
    成したアルミニウム合金を電解着色する方法であって、 前記陽極酸化処理を施したアルミニウム合金を金属塩溶
    液中に浸漬し、該アルミニウム合金を陽極として定電流
    電解する着色前定電流電解処理と、 次いで同じ水溶液中で該アルミニウム合金を陰極として
    定電流電解する電解着色処理と、 次いで同じ水溶液中で該アルミニウム合金を陽極として
    定電流電解する着色後定電流電解処理とを含むことを特
    徴とするアルミニウム合金の電解着色方法。
  2. 【請求項2】前記着色前定電流電解処理では、所定値の
    電圧に達した時、その電解処理を終了することを特徴と
    する請求項1に記載のアルミニウム合金の電解着色方
    法。
  3. 【請求項3】前記電解着色処理は、陰極としてのアルミ
    ニウム合金に正のパルス電流を付加することを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム合金の電
    解着色方法。
  4. 【請求項4】前記着色後定電流電解処理は、その電流密
    度が電解着色処理の電流密度以上であることを特徴とす
    る請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のアルミニ
    ウム合金の電解着色方法。
  5. 【請求項5】前記着色後定電流電解処理は、その電流密
    度が前記電解着色処理の電流密度以上、且つ前記定電流
    電解の電流密度以下であることを特徴とする請求項1、
    請求項2、又は請求項3に記載のアルミニウム合金の電
    解着色方法。
  6. 【請求項6】請求項1及至請求項5のいずれかに記載の
    アルミニウム合金の電解着色方法によって着色されたア
    ルミニウム合金材。
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