JP2002241775A - 汚泥消化ガス処理装置 - Google Patents

汚泥消化ガス処理装置

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JP2002241775A JP2001044990A JP2001044990A JP2002241775A JP 2002241775 A JP2002241775 A JP 2002241775A JP 2001044990 A JP2001044990 A JP 2001044990A JP 2001044990 A JP2001044990 A JP 2001044990A JP 2002241775 A JP2002241775 A JP 2002241775A
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gas
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negative electrode
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Satoshi Seike
聡 清家
Hoki Haba
方紀 羽場
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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  • Treatment Of Sludge (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気相中の二酸化炭素及びメタンを効率的かつ
低廉に回収し、さらに有効利用すること。 【解決手段】 汚泥消化ガスから二酸化炭素を除去して
メタンに富むガスを得るメタン濃縮手段10を備えた汚泥
消化ガス処理システムにおいて、メタン濃縮手段10は、
イオン供給源物質が供給される正極と前記消化ガスが供
給される負極とを設けた固体電解質と、前記正負極間に
電圧を印加するための電源とを備えた二酸化炭素固定装
置を具備し、前記固体電解質がナトリウムイオン導電体
である場合は前記イオン供給源物質としてナトリウム化
合物が、若しくは前記固体電解質がリチウムイオン導電
体である場合は前記イオン供給源物質としてリチウム化
合物が供給される。前記メタンに富むガスは、ボイラ
ー、ガスエンジン若しくは燃料電池11に供給され、熱エ
ネルギー若しくは電気エネルギーに変換される。分離さ
れた二酸化炭素は、二酸化炭素を原料とする化合物、例
えば工業用炭酸塩の生産工程に供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気相に含まれる温
室効果ガス、特に汚泥消化槽から排出された汚泥消化ガ
スに含まれるメタン及び二酸化炭素、を分離回収し、有
効利用するためのガス処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1998年12月、京都市で、2000年以降にお
ける地球温暖化防止のための新たな国際的枠組みを決定
する気候変動枠条約第3回締約国会議(地球温暖化防止
会議、COP3)が開催された。京都会議では、先進国全体
の温室効果ガスを2008〜2012年において1990年比5%強
削減する数値目標などを含む「京都議定書」が採択さ
れ、この中で我が国についての数値目標は1990年比6%
削減とされている。
【0003】温室効果ガスの人為的排出の多くを占める
のが、エネルギーの燃焼に伴って発生する二酸化炭素
(CO2)である。我が国は、石油危機以降積極的な省エ
ネルギー努力を行った結果、産業部門のエネルギー利用
効率は世界最高水準にあり、GDP当りの一次エネルギー
消費も米国の約3分の1、ドイツの約2分の1と他の先進国
と比較して低い水準にある。
【0004】しかし、近年の運輸、民生部門を中心とし
たエネルギー消費の著しい伸びに伴い、エネルギー起因
の二酸化炭素排出量は1995年度には1990比8%強の大幅
な増加となっている。このことから、京都議定書の目標
の達成に向けては、直ちに最大限の対策に着手していく
必要がある。
【0005】京都議定書において、温室効果ガスは二酸
化炭素(CO2)、メタンガス(CH4)、亜酸化窒素(N
2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロ
カーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類とされ
ているが、我が国における温室効果ガスの排出量は1995
年度において1990年度比8.6%増加している。このう
ち、全体の9割近くを占めるとともに、経済社会活動全
体と密接な関わりを持つののがエネルギーの燃焼に伴っ
て発生する二酸化炭素である。
【0006】我が国におけるこれらのエネルギー起因の
二酸化炭素排出量は1980年代後半から急激な増加傾向に
あり、特に近年は運輸、民生部門の伸びが著しく、1995
年度には1990年度比8.1%の大幅な増加となっている。
したがって、我が国で今後国内の温室効果ガス対策を考
える際の中心的課題となるのが、運輸、民生部門での対
策強化をはじめとしたエネルギー起因の二酸化炭素削減
対策である。
【0007】尚、二酸化炭素については、正確な量の把
握は難しいものの森林等の働きによって吸収されるとい
われており、また二酸化炭素固定技術に関する研究開発
も進められている。さらに、代替フロン類(HFC,PFC及
びSF6)については半導体洗浄や製品の中の冷媒として
使われ、市中に残存しているものを回収し、分解するた
めの技術開発等が進められている。
【0008】このように、温室効果ガス対策の全体にお
いて、ガスの排出削減対策を進める一方で、森林・農地
の保全・整備や代替フロン類の回収に係る装置創りな
ど、ガスの吸収・固定や回収・分離等に係る各種の対策
を進めることも極めて重要である。
【0009】排ガスのCO2排出濃度としては、排ガス中
でディーゼルエンジンが約10%、ボイラーで約13%、下
水処理場、食品工場の消化ガスで約40%である。
【0010】現在の二酸化炭素の分離技術として、水酸
化ナトリウムや水などを用いて分離回収する吸収法、ゼ
オライト等の個体状の吸着剤を用いて分離回収する吸着
法、二酸化炭素のみを通す膜を用いて二酸化炭素と他の
排ガスとを「ふるい分け」する膜分離法等がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
吸収法及び吸着法は大掛かりな装置が必要であること、
また前記膜分離法はイニシャルコスト及びランニングコ
ストが高く、さらに除去率が低いという問題がある。前
述のように、温室効果ガスの大部分を占める二酸化炭素
の排出源のほとんどは、下水処理場や工場であることか
らも、これら施設のランニングコストも考慮した二酸化
炭素固定装置の構築が必要となる。
【0012】また、下水処理場や食品工場における汚泥
処理施設の汚泥消化工程から排出された汚泥消化ガスの
組成は、およそメタン60%、二酸化炭素40%程度となっ
ている。そこで、この汚泥消化ガスに含まれているメタ
ンガスは、ボイラー、ガスエンジン等の燃料燃焼機関や
燃料電池の燃料として有効利用が期待されている。
【0013】ところが、汚泥消化ガス中のメタン濃度が
低いために、前記燃料燃焼機関及び燃料電池のエネルギ
ー生産効率が低くなるという欠点がある。
【0014】本発明は、上記の事情に鑑み創作されたも
ので、気相中の二酸化炭素及びメタンを効率的かつ低廉
に回収し、さらに有効利用させることが可能なガス処理
装置を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記課題の解決手段であ
るところの本発明は、以下のことを特徴とする。
【0016】請求項1記載の発明は、汚泥消化ガスから
二酸化炭素を除去してメタンに富むガスを得るメタン濃
縮手段を備えた汚泥消化ガス処理装置であって、前記メ
タン濃縮手段は、イオン供給源物質が供給される正極と
酸素を含んだ前記消化ガスが供給される負極とを設けた
固体電解質と、前記正負極間に電圧を印加して負極にお
いて気相中の二酸化炭素を炭酸塩として分離固定させる
電源とを備えた二酸化炭素固定装置を具備し、前記固体
電解質がナトリウムイオン導電体である場合、前記イオ
ン供給源物質はナトリウム化合物であること、若しくは
前記固体電解質がリチウムイオン導電体である場合、前
記イオン供給源物質はリチウム化合物であることを特徴
とする。
【0017】電極は、多孔質で、一般的に用いられてい
る導電性材料、Pt、Au、Cr、Cu及びNi、若しくはこれら
の酸化物等を基本材料としている。
【0018】ナトリウムイオン導電体としては、β−ア
ルミナ(Na2O・11Al2O3)やNASICON(Na1+XZr2P3-XSiXO
12,Xは実数,0<X<3)等がある。
【0019】ナトリウム化合物としては、水酸化ナトリ
ウム(NaOH)等がある。このとき、負極において、気相
中の二酸化炭素は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)の形態で
固定される。
【0020】リチウムイオン導電体としては、LISICON
(xLi4GeO4(1−x)Zn2GeO4,x=3/4)、xLi4GeO4(1
−x)Li14VO4(Xは実数,0<X<1)、LIN(Li3N)やLi
14Zn(GeO44等がある。
【0021】リチウム化合物としては、水酸化リチウム
(LiOH)等がある。このとき、負極において、気相中の
二酸化炭素は、炭酸ナトリウム(Li2CO3)の形態で固定
される。
【0022】炭酸塩の形態で分離した二酸化炭素は、前
記固体電解質に接続される電源を、二酸化炭素固定時と
逆相に接続すると共に、加熱手段を設けて前記炭酸塩を
その融点以上の温度に昇温することにより、前記負極側
に固定した二酸化炭素を取出す。すなわち、電源の正極
を負極に、同電源の負極を正極に接続して、放電現象を
起こさせ、分離した二酸化炭素を取出している。分離し
た二酸化炭素は、二酸化炭素を原料とする化合物、例え
ば炭酸塩の工業的な生産工程に供すればよい。尚、両極
31,32間に、外部負荷を接続してもよい。この操作によ
って、貯えられた電力も取出すこともできる。また、融
点以上の温度としては、680〜850℃若しくはそれ
以上の温度であればよい。
【0023】電圧を印加するするための電源は、一般の
定電位電源(ポテンションスタット等)を用いることが
できるが、充放電できるものが望ましい。また、二酸化
炭素放出時に電位を逆転させる操作で対応できるもの
は、なおよい。
【0024】二酸化炭素固定時に印加する電圧は、−
0.5〜3V程度である。また、二酸化炭素放出時の電
圧(放電電圧)は、+0.5〜3V程度である。印加及
び放電電圧は、前記の値に限定されない。
【0025】請求項2記載の発明は、請求項1記載の汚
泥消化ガス処理装置において、前記メタンに富むガスが
燃料ガスとして供されるボイラー、ガスエンジン若しく
は燃料電池が具備されることことを特徴とする。
【0026】かかる構成によって、汚泥消化ガス中の温
室効果ガスを除去しながらの熱エネルギー若しくは電気
エネルギーの生産が可能となる。尚、燃料電池には、例
えば、リン酸型、固体高分子型及び固体酸化物型があ
る。
【0027】請求項3記載の発明は、請求項1若しくは
2記載の汚泥消化ガス処理装置において、前記メタン濃
縮手段は、前記消化ガスが、一定時間毎に交互に、供給
され、前記二酸化炭素固定装置を備えた、二酸化炭素固
定ユニットを少なくとも二つ配置し、該ガスが供給され
る、一の二酸化炭素固定ユニットにおいては、直流電源
の負極を該ユニット内の二酸化炭素固定装置の負極と、
またその正極を同二酸化炭素固定装置の正極と、導通す
ることで、該ガス中の二酸化炭素を炭酸塩として同二酸
化炭素固定装置の負極に分離固定すること、燃料ガスが
供給されない、他の二酸化炭素ユニットにおいては、同
電源の負極を同二酸化炭素固定装置の正極と、またその
負極を同二酸化炭素固定装置の負極と、導通すること
で、分離固定した二酸化炭素を装置外に放出すること、
を特徴とする。
【0028】かかる構成によって、連続的な二酸化炭素
の固定と取出しが可能となる。各ユニットは、バルブ手
段(例えば三方弁)を介して、各々並列に接続され、さ
らに、同ユニットには、相を変換させることが可能な充
放電装置が付帯された電源が接続される。ここで、ユニ
ットが並列に接続されて配置された場合には、一方のユ
ニットが二酸化炭素の固定を、他方のユニットが二酸化
炭素の放出を、交互に行うことで、連続な二酸化炭素の
除去を可能としている。また、三つ並列された場合に
は、例えば、固定、放出を各々1/2づつタイミングを
ずらせるなど、その数等に応じて、切換えのタイミング
は適宜設定できる。但し、三つ以上の二酸化炭素固定ユ
ニットを設置する場合には、切換えのタイミング等に応
じて、適宜に複数の電源を設ける必要がある。
【0029】請求項4記載の発明は、請求項1から3記
載の汚泥消化ガス処理装置において、前記固体電解質
は、器状に形成され、その空洞面には前記正極が、その
外壁面には前記負極が、覆設され、さらに前記空洞部に
は前記イオン供給源物質が充填されることを特徴とす
る。
【0030】前記固体電解質は、器状であれば、いかな
る形状のものでもよく、その断面形状も、例えば、円
形、楕円形、多種多角形の他、ガスの流通抵抗等を考慮
して流線形とするなど、使用状況等の各種条件を適宜考
慮される。
【0031】請求項5記載の発明は、請求項4記載の汚
泥消化ガス処理装置において、前記二酸化炭素固定ユニ
ットは、二酸化炭素及び酸素を含有したガスが流通する
配管内に、前記二酸化炭素固定装置を垂下支持して成る
ことを特徴とする。
【0032】請求項6記載の発明は、請求項5記載の汚
泥消化ガス処理装置の前記配管内において、前記二酸化
炭素固定装置の下端を通過するガスの流れを迂回させる
障害手段を、配置したことを特徴とする。
【0033】障害手段としては、前記二酸化炭素固定装
置の下端と配管内壁面との隙間を通過するガスの流れを
迂回させるための迂流板や、前記二酸化炭素固定装置の
下端と配管内壁面との間に介在させるための耐熱性繊維
魂がある。これらの構成によって、二酸化炭素固定装置
と二酸化炭素の接触効率が高まり、効率的な二酸化炭素
の分離固定が可能となる。
【0034】請求項7記載の発明は、請求項5記載の汚
泥消化ガス処理装置において、前記二酸化炭素固定装置
は、前記配管を貫通して支持されたことを特徴とする。
【0035】請求項8記載の発明は、請求項4記載の汚
泥消化ガス処理装置において、前記二酸化炭素固定ユニ
ットは、二酸化炭素及び酸素を含有したガスが供給され
る容器内に前記二酸化炭素固定装置を備えて成り、容器
の開口部において、二酸化炭素及び酸素を含有したガス
を導入するための配管と、前記容器内のガスを排出する
ための配管を付帯したことを特徴とする。
【0036】請求項9記載の発明は、請求項5から8記
載の汚泥消化ガス処理装置において、前記二酸化炭素固
定ユニットは、前記二酸化炭素固定装置を複数設置した
ことを特徴とする。二酸化炭素固定装置の設置数は、被
処理ガスの負荷量に応じて定まる。また、二酸化炭素固
定装置を複数配列する際には、千鳥状または格子状の配
置が望ましい。
【0037】請求項10記載の発明は、請求項5から9記
載の汚泥消化ガス処理装置において、前記二酸化炭素固
定ユニットは、二酸化炭素を排出するための配管を設け
ると共に、前記二酸化炭素固定ユニットを昇温する加熱
手段を設けたことを特徴とする。尚、加熱手段には、設
定温度可変の、ヒーターやバーナー等がある。
【0038】配管は、固定した二酸化炭素を分離除去す
るために、系外移送するための配管であり、二酸化炭素
固定ユニットに直接接続されるか、または前記ユニット
の二次側経路に設置されたバルブ手段(例えば三方弁)
を介して接続される。尚、二酸化炭素を放出する際に、
該バルブ手段の通気路は系外移送側に設定されることが
望ましい。
【0039】また、配管には、ファン、ブロワ等の吸引
手段が接続される。放電時における負極での二酸化炭素
の遊離は可逆反応であるから、ユニット内の二酸化炭素
を強制的に排出させることにより、分離させた二酸化炭
素を効率的な取出が可能となる。分離した二酸化炭素
は、二酸化炭素を原料とする化合物、例えば工業用炭酸
塩の生産工程に供される。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。 (第1形態)図1は、第1形態に係る汚泥消化ガス処理
装置システムの概要図である。
【0041】当該処理装置は、図1のように、有機性汚
泥を嫌気的に処理する消化槽を備えた汚泥処理施設に設
置され、前記消化槽から排出された汚泥消化ガスから二
酸化炭素を除去してメタンに富むガスを得るメタン濃縮
手段10と、発電が行われる燃料電池13とから成る。
【0042】メタン濃縮手段10は、イオン供給源物質が
供給される正極と前記消化ガスが供給される負極とを設
けた固体電解質と、前記正負極間に電圧を印加して前記
負極において気相中の二酸化炭素を炭酸塩として分離固
定させる電源とを備えた後述の二酸化炭素固定装置を具
備している。そして、当該正極には、前記固体電解質が
ナトリウムイオン導電体である場合には前記イオン供給
源物質としてナトリウム化合物が供給され、また前記固
体電解質がリチウムイオン導電体である場合には前記イ
オン供給源物質としてリチウム化合物が供給される。
【0043】燃料電池13には、アルカリ水溶液電解質燃
料電池、リン酸電解質燃料電池、溶融炭酸塩燃料電池、
固体電解質燃料電池、高分子固体電解質燃料電池などが
ある。尚、本形態では、図1のように、燃料電池13にお
いて、脱硫装置12とコンバータ14が具備され、さらに改
質装置10には脱硫装置12が、燃料電池11には高温側熱交
換器と熱回収水蒸気発生器と低温熱交換器とが付帯され
ている。
【0044】尚、図1において示されていないが、燃料
電池11の代わりに、ボイラー、ガスエンジン等の燃料燃
焼設備が設置される場合がある。
【0045】以上のような構成よって、メタンガス濃度
は90%以上までに濃縮されて、前記燃料電池の発電効率
若しくは前記燃料燃焼設備の熱変換効率が向上し、二酸
化炭素及びメタンを回収しながらの新たな電気エネルギ
ー若しくは熱エネルギーの生産が可能となる。
【0046】図3及び4は、前記二酸化炭素固定装置の
原理説明図及び概略構成図である。
【0047】当該二酸化炭素固定装置は、二次電池構造
を成し、正極31と負極32を備えた固体電解質30と、電源
(直流)33とから構成される。そして、正極31にはイオ
ン供給源物質33が、負極32には被処理ガス(ここでは汚
泥消化ガス)が供給される。
【0048】固体電解質は、いかなる形状のものでもよ
く、例えば図4のように、器状に形成してもよい。そし
て、その断面形状も、使用状況等の各種条件、またガス
の流通抵抗等を考慮して、円形、楕円形、多角形及び流
線形等、種々の形状のものが適宜に形成される。
【0049】正極31,41と負極32,42は、先の解決手段で
述べた多孔質性の電極が用いられ、固体電解質40,50に
蒸着により設けられる。尚、蒸着以外に、溶射、ディッ
プコーティング等により形成してよい。
【0050】本発明における二酸化炭素の固定の原理に
ついて説明する。ここでは、固体電解質を前述のナトリ
ウムイオン導電体(NASICON等)、イオン供給源物質を
水酸化ナトリウム、被処理ガスをCH4とCO2とO2とを含ん
だガスとした場合の電極における作用について、図3に
基づき説明する。
【0051】二酸化炭素の固定は、イオン供給源物質
(ここでは、水酸化ナトリウム(以下、NaOH))が供給
される正極41と前記被処理ガスが供給される負極42を備
えた固体電解質40の両極41,42間に電圧(直流)を印加
すること、すなわち充電現象を生起することで行われる
(図4)。
【0052】先ず、NaOHが接触した正極31表面におい
て、以下の酸化反応が起こる。
【0053】 2NaOH → 2Na++H2O+1/2O2+2e- …… (1) このとき、NaOHから遊離したナトリウムイオン(Na+
は、正極31を通過し、さらに固体電解質30内を泳動して
負極32に達する。そして、負極32の表面おいて、以下の
還元反応が起こる。
【0054】 2Na++CO2+1/2O2+2e- → Na2CO3 …… (2) かかる反応によって、負極32の表面に拡散してきた前記
被処理ガス中の二酸化炭素(CO2)は、炭酸ナトリウム
(Na2CO3)の形態で、同極32の表面に分離固定される。
尚、二酸化炭素以外のガスは、反応を起こさないため、
別の経路にて回収される。
【0055】反応式(2)によれば、二酸化炭素の固定
には酸素を必要とするが、被処理ガス中に酸素が含まれ
ていれば酸素を供給する必要はない。尚、反応式(2)
は可逆反応であるから、当該ガス中の酸素濃度を監視し
ながら系外から新たに酸素を導入すれば、二酸化炭素の
固定化はさらに促進される。
【0056】また、反応式(1)によれば、正極31にお
ける酸化反応により酸素が生成される。したがって、こ
の生成した酸素を、直接、負極32に導入すれば、系外か
ら酸素を新たに供給する必要はなくなる。
【0057】ところで、当該二酸化炭素固定装置は、固
定した二酸化炭素を取出すこともできる。二酸化炭素の
取出しは、電極31,32に接続される電源を、二酸化炭素
固定時と逆相に接続する(放電)と共に、加熱手段を設
けて炭酸ナトリウムの融点以上の温度に昇温することで
行われる。ここでは、電源33の正極が負極32に、同電源
33の負極が正極1に接続され、ガス雰囲気を該所定温度
に昇温している。
【0058】このとき、負極42において酸化反応
((2)式とは逆の反応)が、正極41において還元反応
((1)式とは逆の反応)が進行し、炭酸ナトリウムは
分解され、二酸化炭素が遊離して取出される。
【0059】また、正極31と負極32との間に外部負荷を
接続して放電することによって二酸化炭素を取出しても
よい。
【0060】尚、この放電により負極32において酸素と
二酸化炭素の混合ガスが生成されるが、この混合ガスを
放電中に正極31室を介して系外に移送すれば、酸素と二
酸化炭素と分離することができる((1)の逆の反応が
進行するから)。
【0061】図5は、充電時及び放電時の負極32側にお
ける二酸化炭素濃度の経時的変化を示した特性図であ
る。
【0062】本実験に係る二酸化炭素固定装置は、固体
電解質に前述のNASICONを、電極に白金(Pt)を用い、
作動温度を充電時350℃とし、放電時には850℃まで昇温
している。特性図が示すように、二酸化炭素固定装置の
上流側の二酸化炭素濃度が単位秒当り1025ppmであ
る場合、二酸化炭素固定時においては、約4000秒
(約66分)で斜線部aにおける積分量の二酸化炭素の
吸蔵を可能とし、二酸化炭素放出時においては、約40
分で斜線部bにおける積分量の二酸化炭素の放出が可能
となっている。そして、斜線部aと斜線部bにおける積
分量がほぼ同等であるので、該二酸化炭素固定装置は吸
蔵した分の二酸化炭素の放出が可能であることが示され
た。
【0063】二酸化炭素固定時に印加する電圧は−0.5
〜3V、二酸化炭素放出時の電圧は+0.5〜3Vが好ましい
ことが考えられる。但し、電圧は、これらの値に限定す
るものではなく、適宜に設定される。
【0064】また、前記電解質において前述のリチウム
イオン導電体を用いても図6と同様な結果が得られてい
る。この場合、二酸化炭素は、負極32において、炭酸リ
チウム(Li2CO3)の形態で固定される。
【0065】尚、動作温度は当該実験を行った際の温度
に限るものではなく、固体電解質、電極、イオン供給源
物質など、各材料毎に性能、分解温度等が異なるため、
動作温度は電極の触媒性能、電解質の導電率、イオン供
給源物質の溶解温度、さらには配管等をはじめとする各
構成の材料等を考慮して適宜に設定することが望まし
い。
【0066】例えば、固体電解質としてNASICONを用
い、イオン供給源物質をNaOHとして種々の温度条件で実
験を行ったところ、280〜400℃の温度範囲で二酸化炭素
を分離固定することができ、特にNaOHの融点である318.
4℃以上が好ましいことが確認できた。ここで、融点31
8.4℃は一般に使用されている水、炭酸塩等の不純物を
含んでいるNaOHのものであり、純粋なNaOHであれば融点
は320℃である。
【0067】動作温度は、充電時には排ガス自体の排熱
を利用して確保することができ、ガス温度が低い場合及
び放電時には、ヒーターやバーナー等の加熱手段(図示
省略)により二酸化炭素固定装置(または後述の二酸化
炭素固定ユニット)自体を加熱することにより温度制御
することも可能である。
【0068】このように、当該二酸化炭素固定装置は、
理想的な二次電極の構成を成すため、系外から二酸化炭
素が供給される限り、蓄電が可能となる。
【0069】また、当該二酸化炭素固定装置の電解質の
両極で起こる酸化還元反応は可逆的な反応で、放電によ
ってイオン供給源物質は再生されることから、薬品コス
トの消費量を最小限に抑えることができる。しかも、こ
の放電により電気エネルギーを取出すことも可能である
から、ランニングコストも低く抑えることができる。
【0070】さらに、電解質は固体であるため、液漏れ
の心配がないばかりでなく、装置として小型化が可能と
なる。これより、イニシャルコストの低減が可能となる
ばかりでなく、二酸化炭素負荷量に応じて有効反応容量
を調整できるため、小規模から大規模な施設までの用途
が広がる。
【0071】当該二酸化炭素固定装置の実施形態例を、
図6から11に示す。
【0072】図6は、二酸化炭素固定ユニット(その
1)の概略構成図である。
【0073】当該ユニットは、二酸化炭素を含有したガ
スが流通する配管(ダクトともいう)60内に、二酸化炭
素固定装置61を複数垂下支持することで構成される。
【0074】尚、当該ユニットを単独で用いる場合、図
示されていないが、二酸化炭素固定装置61に電圧を印加
するための充電機能と、固定した二酸化炭素を取出すた
めの放電機能とを備えた電源が具備される(以下、図7
〜9においても同じ)。
【0075】二酸化炭素固定装置61は、前述のように器
状を成し、図6(a)において、横断面が円形となるよ
うに形成されている。当該装置61は、容易に脱着可能
で、被処理ガスの負荷量に応じて、配管60内に任意の数
設置される。また、装置61には、イオン供給源物質が適
宜補充される。また、配管70内には、装置61の下端を通
過するガスの流れを迂回させるための障害手段が設置さ
れている。障害手段は、図6においては、迂流板62が設
置されている。板62の高さは適宜調整される。かかる構
成によって二酸化炭素固定装置61と被処理ガスの接触効
率が高まるため、気相中の二酸化炭素は効率的に装置61
表面に分離固定される。
【0076】図7は、二酸化炭素固定ユニット(その
2)の概略構成図である。
【0077】当該ユニットは、装置61と同構造の二酸化
炭素固定装置71の下端と、配管70内壁面との間に耐熱性
繊維魂72を介在させている。かかる構成によって装置71
と被処理ガスの接触効率が高まり、気相中の二酸化炭素
は効率的に装置71表面に分離固定される。尚、当該装置
71も、容易に脱着及びイオン供給源物質の補充が可能
で、被処理ガスの負荷量に応じて、配管70内に任意の数
設置される。
【0078】図8は、二酸化炭素固定ユニット(その
3)の概略構成図である。
【0079】当該ユニットは、装置61と同構造の二酸化
炭素固定装置81が、配管80を貫通して垂下支持されて構
成される。かかる構成によって、図4及び5のような障
害手段を備えないで、装置81と被処理ガスとを効率的に
接触させることができる。これにより気相中の二酸化炭
素は効率的に装置81表面に分離固定される。当該装置81
も、容易に脱着及びイオン供給源物質の補充が可能で、
被処理ガスの負荷量に応じて、配管80内に任意の数設置
される。
【0080】図9は、二酸化炭素固定ユニット(その
4)の概略構成図である。
【0081】当該ユニットは、二酸化炭素及び酸素を含
有したガスが供給される容器90内に、装置61と同構造の
二酸化炭素固定装置91が設置された二酸化炭素固定ユニ
ットであって、前記容器の開口部72には、二酸化炭素及
び酸素を含有したガスを導入するための配管73と、前記
容器内のガスを排出するための配管74とが、具備されて
構成される。かかる構成によっても、装置91と被処理ガ
スの接触効率が高まり、気相中の二酸化炭素は効率的に
装置91表面に分離固定される。
【0082】装置91は、例えば図4のように、容器天井
部から垂下支持される。そして、容器90の容積と装置91
の設置数は、被処理ガスの負荷量に応じ定まる。当該装
置91も、もちろん脱着及びイオン供給物質の補充が可能
で、被処理ガスの負荷量に応じて、容器90内に任意の数
設置される。
【0083】開口部92と配管93,94の設置形態は、立地
条件に応じて様々である。図9においては、開口部92は
容器90底部に設けられ、配管93,94は開口部92から槽90
内に引込まれて設置されている。図示されたように、配
管93,94は同心円状に配置した二重配管としてもよい。
【0084】尚、図示省略されているが、図6〜9記載
の二酸化炭素固定ユニットには、前記二酸化炭素固定ユ
ニットを所定温度に昇温する加熱手段が付帯されてい
る。加熱手段には、設定温度可変の、ヒーターやバーナ
ー等がある。
【0085】図10は、前記二酸化炭素固定ユニットの
実施形態の一例である。
【0086】二酸化炭素固定ユニット101(図6から9
の二酸化炭素固定ユニットのいずれかで、以下、ユニッ
ト101と称す)は、消化ガス等の被処理ガスが流通する
経路に設置され、ユニット101の一次側には二方弁V10
が、また二次側には三方弁V11及び二方弁V12が設置され
る。さらに、ユニット101の二次側には、二酸化炭素濃
度測定手段103が付帯され、ユニット101の二酸化炭素除
去性能が監視される。そして、V11には、前記ガスから
分離された二酸化炭素を系外移送するための配管104が
接続される。尚、配管104は、二酸化炭素固定ユニット
に直接接続してもよい。
【0087】また、二酸化炭素を取出して放出する際
(装置101の放電時)には、V11の通気路は104側に設定
されることが望ましい。このとき、配管104には、ファ
ン、ブロワ等の吸引手段が接続される。配管104を介し
て排出された二酸化炭素は、二酸化炭素を原料とする化
合物、例えば工業用炭酸塩の生産工程に供してもよい。
【0088】放電時における負極での二酸化炭素の遊離
は可逆反応であるから、上記のような構成によって、遊
離した二酸化炭素を強制的に排出すれば、ユニット101
内の二酸化炭素濃度は減少し、効率的な二酸化炭素の取
出しが可能となる。
【0089】図11(a)(b)は、メタン濃縮手段の
装置システムとそのタイムスケジュールの一例である。
【0090】メタン濃縮手段10は、前記ユニット101を
2基(101a,101b)並列に配置させ、交互に二酸化炭素
の固定と取出しを行っている。図11(a)において、
ユニット101a,101bは、一次側経路に三方弁20(以下、V
20)を、二次側経路に三方弁23(以下、V23)を介して
並列に配置される。また、ユニット101aの二次側経路に
は三方弁21(以下、V21)が、さらにユニット101bの二
次側経路には三方弁22(以下、V22)が設置され、各々
弁21,22に二酸化炭素排出経路104が接続される。尚、ユ
ニット101a,bの二次側(図3においては、V23の二次
側)には、二酸化炭素濃度測定手段103が付帯され、ユ
ニット101a,bの二酸化炭素除去性能が監視される。
【0091】電源102は、ユニット101aとユニット101b
の共有設備であり、充放電装置を備えている。充放電装
置は、交流電源を直流電源に変換させる機能を有してい
る。当該装置は、二酸化炭素固定時には、前記直流電源
の正極をユニット101a,bの正極に接続させ、同じくこの
電源の負極を同ユニット101a,bの負極に接続させる(以
下、これを充電接続と称する)。また、二酸化炭素取出
時には、前記直流電源の正極を前記ユニット101a,bの負
極に接続させ、同じくこの電源の負極を同ユニット101
a,bの正極に接続させる(以下、これを放電接続と称す
る)。尚、前記二酸化炭素取出時において、ユニット10
1aとユニット101bに外部負荷を接続することにより、貯
えた電気エネルギーを系外に供給してもよい。
【0092】メタン濃縮手段は、ユニット101を二つ設
けることに限らない。例えば、ユニット101を三つ並列
に設置した場合には、固定、放出を各々1/2づつタイ
ミングをずらせるなど、その設置数等に応じて、切換え
のタイミングは適宜設定できる。但し、三つ以上の二酸
化炭素固定ユニットを設置する場合には、切換えのタイ
ミング等に応じて、適宜に複数の電源を設ける必要があ
る。
【0093】ユニット101a,bは、図11(b)のタイム
スケジュールに基づき、二酸化炭素の固定及び取出しを
交互に行なって、連続的な二酸化炭素の固定と電力の生
産を可能としている。ここで、二酸化炭素の固定及び取
出しの切替時間は、流入負荷量に応じて任意に設定され
る。
【0094】図11(b)において、ユニット101aは二
酸化炭素固定工程を終了させると二酸化炭素取出し工程
に、ユニット101bは二酸化炭素固定工程に移行する。
【0095】このとき、被処理ガスの供給路はV20によ
ってユニット101b側に設定され、さらにユニット31bか
らの処理ガスの排出路はV22,23によって次工程側(図1
においては脱硫装置、改質装置)に設定される。
【0096】二酸化炭素取出し工程に移行したユニット
101aにおいて、電源102の接続は放電接続に切り替わ
る。このときV21は経路104側に設定されており、放電に
より遊離した二酸化炭素が、ブロワ等により吸引され、
系外に移送される。
【0097】一方、二酸化炭素固定工程に移行したユニ
ット101bにおいて、電源102の接続は充電接続に切り替
わる。ここでの二酸化炭素固定の詳細な説明は、図3で
の二酸化炭素原理に説明に譲る。二酸化炭素が除去され
た処理ガスは、ブロワ等によって吸引され、前記次工程
に供される。設定時間が消化されると、ユニット101bは
二酸化炭素取出し工程に移行し、ユニット101aは二酸化
炭素固定工程に移行する。
【0098】このように、当該メタン濃縮手段は、二酸
化炭素ユニット101を2基並列に配置させて交互に二酸
化炭素の固定と取出しを行っているから、消化ガス中の
二酸化炭素は効率的且つ連続的に分離除去され、高濃度
(90%以上)のメタンガスを効率的に生産することがで
きる。これによって、後段に設置された前記の燃料電池
設備及び燃料燃焼設備におけるエネルギー生産効率が高
まる。
【0099】尚、回収された二酸化炭素は、経路104を
介し、二酸化炭素を原料とする化合物、例えば炭酸塩の
工業的な生産工程に供される。
【0100】図1において、当該汚泥消化ガス処理装置
システムの動作について説明する。
【0101】消化槽から供給された汚泥消化ガスは、脱
硫塔、メタンガスホルダーを介し、メタン濃縮手段に供
給される。メタン濃縮手段10で得られたメタン濃縮ガス
は、脱硫装置11を介し脱硫された後、水蒸気(H2O)と
共に改質装置12を介し燃料電池13に供給され、電気エネ
ルギーが生産される。尚、改質装置10及び燃料電池11か
ら排出された熱は、熱エネルギーとして利用される。特
に、燃料電池11の燃料極において発生した水蒸気は、高
温側熱交換器、熱回収水蒸気発生器及び低温熱交換器へ
と供給され、熱源として利用される。 (第2形態)ところで、図1における改質装置12では、
触媒反応により改質反応と水性ガスシフト反応とが同時
に進行し、燃料ガスは水素(H2)に富むガスへと改質さ
れる。燃料ガスをメタン(CH4)をベースとした場合の
改質反応と水性ガスシフト反応は、以下の通りとなる。
【0102】 改質反応(吸熱反応) CH4+H2O → 3H2+CO …… (3) 水性ガスシフト反応(発熱反応) CO+H2O → CO2+H2 …… (4) 改質装置12での反応は、総合して吸熱反応となる。した
がって、外部より加熱する必要がある。この熱は、通
常、電池本体から排出された使用済みの燃料を空気によ
り燃焼させて得ることが多い。
【0103】改質装置12出口での一酸化炭素濃度(CO)
は10〜15%程度となっている。一酸化炭素は、特にリン
酸型、固体高分子型の燃料電池にとって、電池特性を低
下させる原因となっている。このままでは電池本体に直
接は供給できないことから、さらに、水性ガスシフト反
応(反応式(4))を介し、一酸化炭素濃度を1%以下
(固体高分子型に関してさらにシビアに)に減少させて
いる。
【0104】このように、改質装置12から排出されたガ
スの成分は、ほとんど水素(H2)か二酸化炭素(CO2
である。このうち、H2は燃料電池で利用されるが、CO2
は大気中に放出されることになる。
【0105】そこで、燃料電池13設備の燃料供給系と空
気排出系において、二酸化炭素を除去させる手段を導入
すれば、二酸化炭素の回収をしながら、さらなる効率的
なエネルギーの生産が可能となる。本形態においては、
メタン濃縮手段10と同じ構成の二酸化炭素固定手段20導
入している。
【0106】図2は、本形態に係る燃料電池13設備の概
要図である。
【0107】燃料ガスは、先ず脱硫装置11に、空気は、
直接空気極13b室に供給される。脱硫装置11を経た燃料
ガスは、水蒸気(H2O)と共に、改質装置12に供給され
る。改質装置12において、燃料ガス中のメタン(CH4
及び水蒸気は、前記反応(1)(2)を経て、二酸化炭
素(CO2)と水素ガス(H2)とに変換される。この混合
ガスは、二酸化炭素固定手段20aにおいて二酸化炭素成
分が分離固定された後、燃料電池13の燃料極13a室に供
給される。
【0108】二酸化炭素固定手段20からは、放電によっ
て二酸化炭素の取出しが可能となると共に、新たな電力
の供給も可能となる。尚、改質装置12及び燃料電池13か
ら排出された熱は、熱エネルギーとして利用される。
【0109】また、燃料電池13内は、冷却系13cによっ
て作動温度が一定に保たれる。冷却系13cから排出され
た水分は、熱回収水蒸気発生器15において気相成分と液
相成分に分離され、気相成分は改質装置12若しくは蒸気
利用に供され、液相成分は給水系に返送される。
【0110】二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素だけを
選択的かつ効率的に分離することができ、さらに分離し
た二酸化炭素を単独で取出すこともできる。また、充放
電を交互に行っているので、二酸化炭素の固定と取出し
が連続的に可能となっている。
【0111】このように、燃料電池13における燃料供給
系に二酸化炭素固定手段20aを具備することで、水素ガ
ス濃度の高い燃料ガスの供給が可能なるばかりか、新た
に電力を生産することが可能となるので、発電装置全体
として発電効率が向上する。特に、燃料電池13が、リン
酸型燃料電池、固体高分子型燃料電池である場合に有効
である。 (第3形態)また、燃料電池13が固体酸化物型電池であ
る場合、その燃料ガスに一酸化炭素(CO)が含まれてい
ても支障はないので、水性ガスシフト反応工程は必要と
しない。
【0112】しかしながら、前述のように、改質装置12
においては(3)と(4)の反応とが同時に起こり、装
置12から供給された燃料ガスには二酸化炭素が含まれて
おり、発電に伴い二酸化炭素の排出量が多くなる。
【0113】そこで、前記燃料電池装置において、固体
酸化物型の燃料電池を用いた場合、第2形態と同様に、
燃料供給系に二酸化炭素固定手段20aが設置される。ま
た、燃料極13aに供給されたガス中に一酸化炭素が含ま
れていた場合、空気極13bにおいて電池反応により二酸
化炭素が生成される。そのため、空気極13bの排気経路
においても、メタン濃縮手段10と同じ構成の二酸化炭素
固定手段20bが設置される。
【0114】かかる構成により、酸素極側から排出され
たガス中の二酸化炭素のみが選択的に除去されるので、
当該ガスにおいて共存した酸素を空気極における酸化剤
として再利用することが可能となり、燃料電池13のエネ
ルギー生産効率がさらに高まる。
【0115】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る汚泥消化ガス処理装置は、以下の効果を奏する。
【0116】当該汚泥消化ガス処理装置におけるメタン
濃縮手段によって、汚泥消化ガス中の二酸化炭素が炭酸
塩として分離固定されるので、当該ガス中のメタン濃度
は90%以上までに高められる。これにより、燃料電池若
しくは燃料燃焼設備におけるエネルギー変換効率が向上
し、二酸化炭素及びメタンを回収しながらの新たな電気
エネルギー若しくは熱エネルギーの生産が可能となる。
【0117】特に、請求項3から10記載の汚泥消化ガス
処理装置におけるメタン濃縮手段は、被処理ガス(汚泥
消化ガス)が供給される二酸化炭素固定ユニットを複数
設けているので、高濃度のメタンガスを連続的に生産供
給することができることから、先の効果を維持しつつ、
安定したエネルギーの生産が可能となる。
【0118】また、メタン濃縮手段における二酸化炭素
固定装置は、理想的な二次電池の構成を成すため、二酸
化炭素が供給される限り、蓄電も可能となる。さらに、
当該二酸化炭素固定装置の電解質の両極で起こる酸化還
元反応は可逆的な反応であり、放電によってイオン供給
源物質が再生されることから、イオン供給源物質の消費
量は僅かとなる。しかも、この放電によって電気エネル
ギーと固定した二酸化炭素の取出しが可能となるので、
ランニングコストの削減が可能となるばかりでなく、二
酸化炭素の工業的利用(例えば、工業用炭酸塩の生産)
が容易となる。
【0119】さらに、当該電解質は固体であるため、液
漏れの心配がないばかりでなく、任意の形状を成すこと
ができ、装置として小型化も可能となる。特に、器状に
形成することで、取扱いが容易になるばかりでなく、二
酸化炭素との被処理ガスとの接触効率が高まり、気相中
の二酸化炭素を効率的に除去することができる。また、
二酸意炭素負荷量に応じて有効反応容量を調整できるた
め、イニシャルコスト及びランニングコストの低減が可
能となり、小規模から大規模な施設までの用途が広が
る。
【0120】このように、本発明に係る汚泥消化ガス処
理装置は、気相中の二酸化炭素及びメタンを効率的かつ
低廉に回収し、さらに有効利用することができるので、
温室効果ガス削減対策及び地球温暖化対策に大いに寄与
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る汚泥消化ガス処理装置システムの
概要図。
【図2】第2及び3形態に係る燃料電池設備の概要図。
【図3】本発明に係る二酸化炭素固定装置の原理説明
図。
【図4】本発明に係る二酸化炭素固定装置の概略構成
図。
【図5】本発明に係る二酸化炭素固定装置の負極側にお
ける二酸化炭素濃度の経時的変化を示した特性図。
【図6】二酸化炭素固定ユニット(その1)の概略構成
図、(a)は平面図、(b)はA-A断面図。
【図7】二酸化炭素固定ユニット(その2)の概略構成
図、(a)は平面図、(b)はA-A断面図。
【図8】二酸化炭素固定ユニット(その3)の概略構成
図、(a)は平面図、(b)はA-A断面図。
【図9】二酸化炭素固定ユニット(その4)の概略構成
図。
【図10】二酸化炭素固定ユニットの実施形態の一例。
【図11】(a)は本発明に係る二酸化炭素固定手段の
概要図、(b)はそのタイムスケジュールの一例。
【符号の説明】
10…メタン濃縮手段 13…燃料電池 13a…燃料極 13b…空気極 13c…冷却系 20a,20b…二酸化炭素固定手段 30,40…固体電解質 31,41…正極 32,42…負極 33,43…電源 101a,101b…二酸化炭素固定ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C01B 3/38 C10L 3/00 B Fターム(参考) 4D059 AA03 AA08 BA16 4G040 EA03 EA06 EB32 EB33 EB41 4G075 AA04 BA10 BD05 BD14 CA02 CA13 DA01 EC21 FC11 4G140 EA03 EA06 EB32 EB37 EB41 5H027 AA02 BA01 BA16 DD05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚泥消化ガスから二酸化炭素を除去して
    メタンに富むガスを得るメタン濃縮手段を備えた汚泥消
    化ガス処理装置であって、前記メタン濃縮手段は、イオ
    ン供給源物質が供給される正極と前記消化ガスが供給さ
    れる負極とを設けた固体電解質と、前記正負極間に電圧
    を印加して前記負極において気相中の二酸化炭素を炭酸
    塩として分離固定させる電源とを備えた二酸化炭素固定
    装置を具備し、前記固体電解質がナトリウムイオン導電
    体である場合、前記イオン供給源物質はナトリウム化合
    物であること、若しくは前記固体電解質がリチウムイオ
    ン導電体である場合、前記イオン供給源物質はリチウム
    化合物であることを特徴とする汚泥消化ガス処理装置。
  2. 【請求項2】 前記メタンに富むガスが燃料ガスとして
    供されるボイラー、ガスエンジン若しくは燃料電池が具
    備されることを特徴とする請求項1記載の汚泥消化ガス
    処理装置。
  3. 【請求項3】 前記メタン濃縮手段は、前記消化ガス
    が、一定時間毎交互に、供給され、前記二酸化炭素固定
    装置を備えた、二酸化炭素固定ユニットを少なくとも二
    つ配置し、該ガスが供給される、一の二酸化炭素固定ユ
    ニットにおいては、直流電源の負極を該ユニット内の二
    酸化炭素固定装置の負極と、またその正極を同二酸化炭
    素固定装置の正極と、導通することで、該ガス中の二酸
    化炭素を炭酸塩として同二酸化炭素固定装置の負極に分
    離固定すること、燃料ガスが供給されない、他の二酸化
    炭素ユニットにおいては、同電源の負極を同二酸化炭素
    固定装置の正極と、またその負極を同二酸化炭素固定装
    置の負極と、導通することで、分離固定した二酸化炭素
    を装置外に放出すること、を特徴とする請求項3記載の
    汚泥消化ガス処理装置。
  4. 【請求項4】 前記固体電解質は、器状に形成され、そ
    の空洞面には前記正極が、その外壁面には前記負極が、
    覆設され、さらに前記空洞部には前記イオン供給源物質
    が充填されたことを特徴とする請求項1から3記載の汚
    泥消化ガス処理装置。
  5. 【請求項5】 前記二酸化炭素固定ユニットは、二酸化
    炭素及び酸素を含有したガスが流通する配管内に、前記
    二酸化炭素固定装置を垂下支持して成ることを特徴とす
    る請求項4記載の汚泥消化ガス処理装置。
  6. 【請求項6】 前記配管内において、前記二酸化炭固定
    装置の下端を通過するガスの流れを迂回させる障害手段
    を、配置したことを特徴とする請求項5記載の汚泥消化
    ガス処理装置。
  7. 【請求項7】 前記二酸化炭素固定装置は、前記配管を
    貫通して支持されたことを特徴とする請求項5記載の汚
    泥消化ガス処理装置。
  8. 【請求項8】 前記二酸化炭素固定ユニットは、二酸化
    炭素及び酸素を含有したガスが供給される容器内に前記
    二酸化炭素固定装置を備えて成り、前記容器の開口部に
    おいて、二酸化炭素及び酸素を含有したガスを導入する
    ための配管と、前記容器内のガスを排出するための配管
    を付帯したことを特徴とする請求項4記載の汚泥消化ガ
    ス処理装置。
  9. 【請求項9】 前記前記二酸化炭素固定ユニットは、前
    記二酸化炭素固定装置を複数設置したことを特徴とする
    請求項5から8記載の汚泥消化ガス処理装置。
  10. 【請求項10】 前記二酸化炭素固定ユニットは、分離
    した二酸化炭素を排出するための配管を設けると共に、
    前記二酸化炭素固定ユニットを昇温する加熱手段を設け
    たことを特徴とする請求項5から9記載の汚泥消化ガス
    処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008224378A (ja) * 2007-03-12 2008-09-25 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd ガスハイドレート濃度の測定方法及びその装置

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