JP2004066091A - 二酸化炭素含有ガス処理方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な制御で、光合成生物に供給する二酸化炭素濃度を適切に調節すること。
【解決手段】二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を除去する二酸化炭素固定手段2と、二酸化炭素固定手段2から供給された二酸化炭素に富むガスを大気よって希釈する二酸化炭素希釈装置4と、前記希釈されたガスが供給される光合成生物培養ハウス5と、前記ハウス5内の照度、気温及び二酸化炭素濃度に基づいて前記希釈操作若しくは前記ハウス5へのガス供給量を制御する制御装置6と、を具備する。二酸化炭素固定手段2は、イオン供給源物質が供給される正極31と前記二酸化炭素含有ガスが供給される負極32とを設けた固体電解質30と、正負極31,32間に電圧を印加して負極32において気相中の二酸化炭素を炭酸塩として固定分離させる電源33とを、備えた二酸化炭素固定装置を具備し、固体電解質30がナトリウムイオン導電体若しくはリチウムイオン導電体である場合、イオン供給源物質としてはナトリウム化合物若しくはリチウム化合物が供給される。
【選択図】 図1
【解決手段】二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を除去する二酸化炭素固定手段2と、二酸化炭素固定手段2から供給された二酸化炭素に富むガスを大気よって希釈する二酸化炭素希釈装置4と、前記希釈されたガスが供給される光合成生物培養ハウス5と、前記ハウス5内の照度、気温及び二酸化炭素濃度に基づいて前記希釈操作若しくは前記ハウス5へのガス供給量を制御する制御装置6と、を具備する。二酸化炭素固定手段2は、イオン供給源物質が供給される正極31と前記二酸化炭素含有ガスが供給される負極32とを設けた固体電解質30と、正負極31,32間に電圧を印加して負極32において気相中の二酸化炭素を炭酸塩として固定分離させる電源33とを、備えた二酸化炭素固定装置を具備し、固体電解質30がナトリウムイオン導電体若しくはリチウムイオン導電体である場合、イオン供給源物質としてはナトリウム化合物若しくはリチウム化合物が供給される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気相中の二酸化炭素を固定し、これを再利用するための方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1998年12月、京都市で、2000年以降における地球温暖化防止のための新たな国際的枠組みを決定する気候変動枠条約第3回締約国会議(地球温暖化防止会議、COP3)が開催された。京都会議では、先進国全体の温室効果ガスを2008〜2012年において1990年比5%強削減する数値目標などを含む「京都議定書」が採択され、この中で我が国についての数値目標は1990年比6%削減とされている。
【0003】
温室効果ガスの人為的排出の多くを占めるのが、エネルギーの燃焼に伴って発生する二酸化炭素(CO2)である。我が国は、石油危機以降積極的な省エネルギー努力を行った結果、産業部門のエネルギー利用効率は世界最高水準にあり、GDP当りの一次エネルギー消費も米国の約3分の1、ドイツの約2分の1と他の先進国と比較して低い水準にある。
【0004】
しかし、近年の運輸、民生部門を中心としたエネルギー消費の著しい伸びに伴い、エネルギー起因の二酸化炭素排出量は1995年度には1990比8%強の大幅な増加となっている。このことから、京都議定書の目標の達成に向けては、直ちに最大限の対策に着手していく必要がある。
【0005】
京都議定書において、温室効果ガスは二酸化炭素(CO2)、メタンガス(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類とされているが、我が国における温室効果ガスの排出量は1995年度において1990年度比8.6%増加している。このうち、全体の9割近くを占めるとともに、経済社会活動全体と密接な関わりを持つののがエネルギーの燃焼に伴って発生する二酸化炭素である。
【0006】
我が国におけるこれらのエネルギー起因の二酸化炭素排出量は1980年代後半から急激な増加傾向にあり、特に近年は運輸、民生部門の伸びが著しく、1995年度には1990年度比8.1%の大幅な増加となっている。したがって、我が国で今後国内の温室効果ガス対策を考える際の中心的課題となるのが、運輸、民生部門での対策強化をはじめとしたエネルギー起因の二酸化炭素削減対策である。
【0007】
尚、二酸化炭素については、正確な量の把握は難しいものの森林等の働きによって吸収されるといわれており、また二酸化炭素固定技術に関する研究開発も進められている。さらに、代替フロン類(HFC,PFC及びSF6)については半導体洗浄や製品の中の冷媒として使われ、市中に残存しているものを回収し、分解するための技術開発等が進められている。
【0008】
このように、温室効果ガス対策の全体において、ガスの排出削減対策を進める一方で、森林・農地の保全・整備や代替フロン類の回収に係るシステム創りなど、ガスの吸収・固定や回収・分離等に係る各種の対策を進めることも極めて重要である。
【0009】
現在の二酸化炭素の分離技術として、水酸化ナトリウムや水などを用いて分離回収する吸収法、ゼオライト等の個体状の吸着剤を用いて分離回収する吸着法、二酸化炭素のみを通す膜を用いて二酸化炭素と他の排ガスとを「ふるい分け」する膜分離法等がある。
【0010】
他に、二酸化炭素を処理する技術としては、これまでにも例えば特開平5−168349号、特開平6−333589号において開示されているように、燃料電池等の二酸化炭素排出源からの排ガスを直接または希釈して光合成生物に供給して、光合成能力によって処理(固定)する方法が検討されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際に、この種の方法において、効率良く二酸化炭素を処理するためには、光合成生物の種類(二酸化炭素処理能力等)により、二酸化炭素処理室内の二酸化炭素濃度、照度、温度等を適宜調整することが必要となる。
【0012】
照度については、白色光を照射する光源、または太陽光と前記光源とを併用することで調整することが可能であり、また温度についても排ガスの温度を利用しての加温や適宜にヒーター等を用いることで調整を行うことが可能である。
【0013】
一般に、排ガスの二酸化炭素排出濃度としては、排ガス中でディーゼルエンジンが約10%、ボイラーで約13%、下水処理場、食品工場の消化ガスで約40%といわれている。
【0014】
しかし、これら二酸化炭素排出源の運転状況等により二酸化炭素を処理する場合、実際には二酸化炭素排出源の運転状況等により排ガス中の二酸化炭素濃度が変動するため、これを最適値に調整して光合成生物へ供給することは極めて困難であり、排出される排ガスの二酸化炭素濃度を常時監視し監視結果に応じて希釈を行うことなどの複雑な制御等が必要となる。
【0015】
尚、二酸化炭素濃度としては、多くの光合成生物に対しては10%前後若しくは10%以下であることが好ましいが、二酸化炭素固定能力の高い光合成生物、例えば、藻類等では二酸化炭素濃度が50%近くあっても良いことが知られている。
【0016】
本発明は、上記の事情に鑑み創作されたもので、簡単な制御で、光合成生物に供給する二酸化炭素濃度を適切に調節することができる二酸化炭素含有ガス処理方法及びその装置を提供することを課題としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題の解決手段である本発明は、以下のことを特徴とする。
【0018】
請求項1記載の発明は、二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を固定する工程と、
前記固定した二酸化炭素を放出する工程と、
前記二酸化炭素を放出する工程から供給された二酸化炭素に富むガスを、気相中の二酸化炭素濃度が一定濃度となるように、希釈する工程と、
前記希釈する工程から供給されたガスを光合成生物の培養ハウスに供給して、光合成によって当該ガス中の二酸化炭素を前記生物に吸収させる工程とからなる二酸化炭素含有ガス処理方法であって、
前記二酸化炭素を固定する工程は、正極と負極とを設けた固体電解質の正極に、イオン供給源物質を接触させ、かつ、固体電解質の負極に、酸素を含んだ前記二酸化炭素含有ガスを接触すると共に、この正負極間に直流電圧を印加することによって、負極側において気相中の二酸化炭素を炭酸塩として固定させること、前記二酸化炭素を放出する工程は、前記電圧が印加された正負極間の電位を逆転させることによって、前記固定した二酸化炭素を遊離させることを特徴とする。
【0019】
ここで、固体電解質がナトリウムイオン導電体である場合、前記イオン供給源物質としてはナトリウム化合物が供給される。尚、固体電解質は、ナトリウムイオン導電体の代わりにリチウムイオン導電体としてもよく、このときイオン供給源物質としてはリチウム化合物が供給される。
【0020】
電極は、多孔質で、一般的に用いられている導電性材料、Pt、Au、Cr、Cu及びNi、若しくはこれらの酸化物等を基本材料としている。
【0021】
ナトリウムイオン導電体としては、β−アルミナ(Na2O・11Al2O3)やNASICON(Na1+XZr2P3−XSiXO12,Xは実数,0<X<3)等がある。
【0022】
ナトリウム化合物としては、水酸化ナトリウム(NaOH)等がある。このとき、負極において、気相中の二酸化炭素は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)の形態で固定される。
【0023】
リチウムイオン導電体としては、LISICON(xLi4GeO4(1−x)Zn2GeO4,x=3/4)、xLi4GeO4(1−x)Li14VO4(Xは実数,0<X<1)、LIN(Li3N)やLi14Zn(GeO4)4等がある。
【0024】
リチウム化合物としては、水酸化リチウム(LiOH)等がある。このとき、負極において、気相中の二酸化炭素は、炭酸ナトリウム(Li2CO3)の形態で固定される。
【0025】
炭酸塩の形態で分離した二酸化炭素は、正負極間の電圧を印可するための電源を二酸化炭素固定時とは逆相に接続することによって、前記負極側に固定した二酸化炭素を取出している。すなわち、電源の正極を負極に、同電源の負極を正極に接続して、放電現象を起こさせることによって、分離した二酸化炭素を取出している。尚、両極間に、外部負荷を接続してもよい。この操作によって、貯えられた電力も取出すこともできる。
【0026】
電圧を印加するするための電源は、一般の定電位電源(ポテンションスタット等)を用いることができるが、充放電できるものが望ましい。また、二酸化炭素放出時に電位を逆転させる操作で対応できるものは、なおよい。
【0027】
二酸化炭素固定時に印加する電圧は、例えば−2〜3V程度である。また、二酸化炭素放出時の電圧(放電電圧)は、例えば+2〜3V程度である。印加及び放電電圧は、前記の値に限定されない。
【0028】
二酸化炭素含有ガスの排出源としては、燃料電池設備、ディーゼルエンジン設備、ボイラー設備、食品工場、下水処理場や汚泥消化処理設備等がある。
【0029】
希釈工程における希釈ガスとしては、酸素ガスや大気が挙げられる。
【0030】
前記光合成生物には、高等植物や、藻類・光合成細菌等の光合成微生物がある。
【0031】
例えば、ビール工場に本発明に係る二酸化炭素含有ガス処理方法及び及びその装置を用いる場合、高等植物としてホップや大麦のビール原料等が挙げられ、これらを栽培することで、気相中の二酸化炭素は前記植物内に吸収固定される。
【0032】
また、家畜し尿処理場、畜産飼料工場、有機肥料工場において、畜産飼料や有機肥料として利用が可能な光合成細菌が用いられ、この細菌群を被処理ガスと一定の滞留時間の下で接触することにより、当該ガス中の二酸化炭素が前記菌体内に吸収固定される。
【0033】
光合成を生起させる手段としては、太陽光と照明を併用し、昼間には太陽光が、夜間若しくは曇天時には光合成を生起させるに充分な波長(例えば、400〜700nm)の光を照射でき、照度可変な照明(白色蛍光ランプ等)が用いられる。
【0034】
また、請求項1記載の二酸化炭素含有ガス処理方法において、前記二酸化炭素を放出する工程から供給されたガスを大気によって希釈するとよい。大気を導入することによって、低廉かつ容易な希釈が可能となると同時に、大気中に含まれる二酸化炭素の有効利用も可能となる。
【0035】
さらに、前記希釈工程は、前記ハウス内の照度、気温及び二酸化炭素濃度に応じて、前記希釈操作若しくは前記ハウスへのガス供給量を調整するとよい。光合成生物の二酸化炭素固定能力はハウス内の照度、温度及び二酸化炭素濃度に依存するので、前記ハウス内の照度、気温及び二酸化炭素濃度に応じて、前記希釈操作若しくは前記ハウスへのガス供給量を調整すれば、光合成生物の光合成能力が維持される。
【0036】
請求項2記載の発明は、二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を除去する二酸化炭素固定手段と、二酸化炭素固定手段から供給された二酸化炭素に富むガスを大気よって希釈する二酸化炭素希釈装置と、前記希釈されたガスが供給される光合成生物培養ハウスと、前記ハウス内の照度、気温及び二酸化炭素濃度に基づいて前記希釈操作若しくは前記ハウスへのガス供給量を制御する制御装置と、を具備した二酸化炭素含有ガス処理装置において、
二酸化炭素固定手段は、イオン供給源物質が供給される正極と前記二酸化炭素含有ガスが供給される負極とを設けた固体電解質と、二酸化炭素固定時において正負極間に電圧を印加し、二酸化炭素放出時において前記電圧が印加された正負極間の電位を逆転させることが可能な電源と、を備えた二酸化炭素固定装置を具備し、
固体電解質がナトリウムイオン導電体である場合、イオン供給源物質はナトリウム化合物であること、若しくは
固体電解質がリチウムイオン導電体である場合、イオン供給源物質はリチウム化合物であることを特徴とする。
【0037】
光合成生物培養ハウス、単数若しくは複数設置される。それぞれハウスには異なる光合成生物が培養される場合がある。制御装置は、各々の光合成生物の特性に応じて、前記希釈操作若しくは前記ハウスへのガス供給量、気温、照度の制御を行い、当該生物の生育の促進を図っている。
【0038】
また、二酸化炭素固定手段と二酸化炭素希釈装置との連結経路に、前記二酸化炭素に富むガスを貯留する二酸化炭素貯留手段を備えるとよい。二酸化炭素に富むガスを一時的に貯留することで、二酸化炭素固定手段から供給されたガスを希釈工程において適確な希釈操作が可能となるので、光合成生物に対し適切な生活環境を提供することができる。
【0039】
さらに、前記二酸化炭素固定手段は、前記二酸化炭素固定装置を備えた二酸化炭素固定ユニットを少なくとも二つ配置し、これら各々のユニットには酸素を含んだ前記メタンに富むガスが交互に供給され、前記ガスが供給されないユニット若しくはからは除去された二酸化炭素が取出されるようにするとよい。かかる構成によって、連続的な二酸化炭素の固定と放出が可能となる。
【0040】
例えば、ユニットは、三方弁を介して、各々並列に接続され、さらに、同装置には、相を逆転させることが可能な充放電装置が付帯された電源が接続される。ここで、ユニットが並列に接続されて配置された場合には、一方が二酸化炭素を固定、他方が二酸化炭素を放出するように、交互に切換えを行うことができる。また、三つ並列された場合には、例えば、固定、放出を各々1/2づつタイミングをずらせるなど、その数等に応じて、切換えのタイミングは適宜設定できる。但し、三つ以上の二酸化炭素固定ユニットを設置する場合には、切換えのタイミング等に応じて、適宜に複数の電源を設ける必要がある。
【0041】
固体電解質は、器状であれば、いかなる形状のものでもよく、その断面形状も、例えば、円形、楕円形、多種多角形の他、ガスの流通抵抗等を考慮して流線形とするなど、使用状況等の各種条件を適宜考慮される。
【0042】
二酸化炭素固定ユニットは、例えば、二酸化炭素及び酸素を含有したガスが流通する配管内に、前記二酸化炭素固定装置を垂下支持して構成される。
【0043】
配管内においては、前記二酸化炭素固定装置の下端を通過するガスの流れを迂回させる障害手段が、配置される。障害手段としては、前記二酸化炭素固定装置の下端と配管内壁面との隙間を通過するガスの流れを迂回させるための迂流板や、前記二酸化炭素固定装置の下端と配管内壁面との間に介在させるための耐熱性繊維魂がある。これらの構成によって、当該二酸化炭素固定装置と二酸化炭素の接触効率が高まり、効率的な二酸化炭素の分離固定が可能となる。尚、前記二酸化炭素固定装置は、配管を貫通して支持され場合もある。
【0044】
また、その他の二酸化炭素固定ユニットとしては、二酸化炭素及び酸素を含有したガスが供給される容器内に前記二酸化炭素固定装置を備えて構成されたものがある。容器の開口部において、二酸化炭素及び酸素を含有したガスを導入するための配管と、前記容器内のガスを排出するための配管とが付帯される。
【0045】
以上述べた二酸化炭素固定ユニットには、前記二酸化炭素固定装置が複数設置される。当該二酸化炭素固定装置の設置数は、被処理ガスの負荷量に応じて定まる。ここで、当該二酸化炭素固定装置を複数配列する際には、千鳥状または格子状の配置とするとよい。
【0046】
さらに、前記二酸化炭素固定ユニットには、二酸化炭素を排出するための配管が付帯される場合がある。配管は、二酸化炭素放出工程時に遊離した二酸化炭素を系外移送するための配管であり、二酸化炭素固定ユニットに直接接続されるか、または前記ユニットの二次側経路に設置されたバルブを介して接続される。また、配管には、ファン、ブロワ等の吸引手段が接続される。放電時における負極での二酸化炭素の遊離は可逆反応であるから、ユニット内の二酸化炭素を強制的に排出させることにより、分離させた二酸化炭素を効率的な取出が可能となる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0048】
図1は、本発明に係る二酸化炭素含有ガス処理方法の実施形態の概要図である。
【0049】
当該処理装置システムは、二酸化炭素含有ガス排出施設1に付帯され、
二酸化炭素固定手段2と、二酸化炭素貯留装置3と、二酸化炭素希釈装置4と、光合成生物培養ハウス5と、制御装置6とから構成されている。
【0050】
二酸化炭素含有ガス排出施設1としては、燃料電池設備、ディーゼルエンジン設備、ボイラー設備、食品工場、汚泥消化処理設備や下水処理場等がある。
【0051】
二酸化炭素固定手段2は、イオン供給源物質が供給される正極と二酸化炭素含有ガスが供給される負極とを設けた固体電解質と、前記正負極間に電圧を印加するための電源とを備えた後述の二酸化炭素固定装置を具備している。当該正極には、前記固体電解質がナトリウムイオン導電体である場合には前記イオン供給源物質としてナトリウム化合物が供給され、また前記固体電解質がリチウムイオン導電体である場合には前記イオン供給源物質としてリチウム化合物が供給される。二酸化炭素固定手段2の動作は、図3〜11に基づき、後に詳細に説明する。
【0052】
尚、二酸化炭素固定手段2から直接放出されたガスには二酸化炭素の他に酸素が含まれているので、二酸化炭素ガス通気性のガス分離膜装置が具備される。これにより、二酸化炭素固定手段2から供給されたガスの二酸化炭素濃度は、約100%までに高められる。また、光合成生物が高濃度の二酸化炭素を必要としていない場合は、前記ガス分離膜装置は具備しなくてもよい。
【0053】
二酸化炭素貯留装置3は、前記二酸化炭素固定手段2から放出された二酸化炭素に富むガスを一旦貯留して、定量的に光合成生物培養ハウスに供給するための設備である。当該貯留装置3は、二酸化炭素濃度と光合成速度に応じて便宜に設ければよい。
【0054】
二酸化炭素希釈装置4は、制御装置6からの制御信号に基づき、希釈ガスを定量的に導入しながら前記高濃度の二酸化炭素含有ガスを希釈する。希釈ガスとしては、酸素ガスや大気が挙げられる。
【0055】
光合成生物培養ハウス5は、二酸化炭素固定手段2、二酸化炭素貯留装置3若しくは二酸化炭素希釈装置4から排出されたガスが解放される環境の下で光合成生物を培養し、光合成によって気相中の二酸化炭素を前記生物に吸収固定する。ハウス5には、照度センサ51、二酸化炭素濃度センサ52、温度センサ53が具備される。これらセンサの測定値は、ハウス5内の二酸化炭素濃度の制御因子となる。
【0056】
ここで、ハウス5内は、ヒーター等によって任意の気温に制御可能であり、また水その他光合成生物の育成に必要な養分等が適宜に提供されている。
【0057】
また、照明50は、白色蛍光ランプ等の前記光合成生物に光合成を生起させるに充分な波長(例えば、400〜700nm)の光を照射できるもので、照度が可変なものが用いられる。そして、日中は太陽光を、天候の悪い日若しくは夜間は照明190を利用し、当該植物に光合成を行わせる。このようにして、被処理ガスに含まれた二酸化炭素は、当該植物の細胞組織内に吸収固定される。
【0058】
例えば、図1のように、照明50を付帯したビニルハウスの植物工場(例えば、ビール工場であればホップや大麦等の原料栽培園、野菜工場であれば野菜栽培園等)に被処理ガスを供給する。
【0059】
また、前記高等植物の他に、光合成微生物(例えば、藻類、光合成細菌等)と接触させてもよい。このとき、照明50を付帯した培養槽に被処理ガスを供給し、前記光合成微生物と共に一定の滞留時間を確保する。この培養された光合成微生物の菌体は、畜産飼料や有機肥料として利用される。
【0060】
尚、図2において、光合成培養ハウス5は、複数設置される場合もある。このとき、個々のハウス5a,5b,5cにも、照度センサ51a,b,c、二酸化炭素濃度センサ52a,b,c、温度センサ53a,b,cが付帯され、ハウス5a,5b,5c内の光合成生物の光合成能力に応じて、照度、二酸化炭素濃度及び温度が制御される。
【0061】
制御装置6は、二酸化炭素固定手段2と、二酸化炭素貯留装置3と、二酸化炭素希釈装置4と、光合成生物培養ハウス5の動作を制御する。
【0062】
また、同装置6は、照度センサ51、二酸化炭素濃度センサ52、温度センサ53から供給された測定値を格納し、ハウス5内で培養されている光合成生物の生育に適した照度、二酸化炭素濃度及び気温に調整する。
【0063】
同装置6は、先ず、二酸化炭素含有ガス排出施設1の運転状態(ガス排出状態)を確認し、この運転状態に応じて、二酸化炭素固定手段2の動作(二酸化炭素の固定、放出の切換え等)を制御する(後に、詳細に説明)。ここで、二酸化炭素貯留装置3を具備している場合は、二酸化炭素希釈装置4への二酸化炭素供給量の調整を行う。そして、二酸化炭素希釈装置4での二酸化炭素導入量と大気導入量の制御を実行させる。例えば、光合成生物が植物である場合、気相中の二酸化炭素濃度が約10%となるように調整される。また、藻類である場合、二酸化炭素濃度が約50%となるように調整される。
【0064】
このように、当該二酸化炭素含有ガス処理装置システムによって、気相中の二酸化炭素を分離除去しながら、簡単な制御で、光合成生物に供給する二酸化炭素濃度を適切に調節することが可能となる。
【0065】
図3及び図4は、前記二酸化炭素固定装置の原理説明図及び概略構成図である。
【0066】
当該二酸化炭素固定装置は、二次電池構造を成し、正極31と負極32を備えた固体電解質30と、電源(直流)33とから構成される。そして、正極31にはイオン供給源物質33が、負極32には被処理ガス(ここでは二酸化炭素含有ガス)が供給される。
【0067】
固体電解質は、いかなる形状のものでもよく、例えば図4のように、器状に形成してもよい。そして、その断面形状も、使用状況等の各種条件、またガスの流通抵抗等を考慮して、円形、楕円形、多角形及び流線形等、種々の形状のものが適宜に形成される。
【0068】
正極31,41と負極32,42は、先の解決手段で述べた多孔質性の電極が用いられ、固体電解質40,50に蒸着により設けられる。尚、蒸着以外に、溶射、ディップコーティング等により形成してよい。
【0069】
本発明における二酸化炭素の固定の原理について説明する。ここでは、固体電解質を前述のナトリウムイオン導電体(NASICON等)、イオン供給源物質を水酸化ナトリウム、被処理ガスをCH4とCO2とO2とを含んだガスとした場合の電極における作用について、図3に基づき説明する。
【0070】
二酸化炭素の固定は、イオン供給源物質(ここでは、水酸化ナトリウム(以下、NaOH))が供給される正極41と前記被処理ガスが供給される負極42を備えた固体電解質40の両極41,42間に電圧(直流)を印加すること、すなわち充電現象を生起することで行われる(図4)。
【0071】
先ず、NaOHが接触した正極31表面において、以下の酸化反応が起こる。
【0072】
2NaOH → 2Na++H2O+1/2O2+2e− …… (1)
このとき、NaOHから遊離したナトリウムイオン(Na+)は、正極31を通過し、さらに固体電解質30内を泳動して負極32に達する。そして、負極32の表面おいて、以下の還元反応が起こる。
【0073】
2Na++CO2+1/2O2+2e− → Na2CO3 …… (2)
かかる反応によって、負極32の表面に拡散してきた前記被処理ガス中の二酸化炭素(CO2)は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)の形態で、同極32の表面に分離固定される。尚、二酸化炭素以外のガスは、反応を起こさないため、別の経路にて回収される。
【0074】
反応式(2)によれば、二酸化炭素の固定には酸素を必要とするが、被処理ガス中に酸素が含まれていれば酸素を供給する必要はない。尚、反応式(2)は可逆反応であるから、当該ガス中の酸素濃度を監視しながら系外から新たに酸素を導入すれば、二酸化炭素の固定化はさらに促進される。
【0075】
また、反応式(1)によれば、正極31における酸化反応により酸素が生成される。したがって、この生成した酸素を、直接、負極32に導入すれば、系外から酸素を新たに供給する必要はなくなる。
【0076】
ところで、当該二酸化炭素固定装置は、固定した二酸化炭素を取出すこともできる。二酸化炭素の取出しは、電極31,32に接続される電源を、二酸化炭素固定時と逆相に接続すること、すなわち放電現象を生起することで行われる。ここでは、電源33の正極が負極32に、同電源33の負極が正極1に接続される。
【0077】
このとき、負極42において酸化反応((2)式とは逆の反応)が、正極41において還元反応((1)式とは逆の反応)が進行し、炭酸ナトリウムは分解され、二酸化炭素が遊離して取出される。
【0078】
また、正極31と負極32との間に外部負荷を接続して放電することによって二酸化炭素を取出してもよい。
【0079】
尚、この放電により負極32において酸素と二酸化炭素の混合ガスが生成されるが、この混合ガスを放電中に正極31室を介して系外に移送すれば、酸素と二酸化炭素と分離することができる((1)の逆の反応が進行するから)。
【0080】
図5は、充電時及び放電時の負極32側における二酸化炭素濃度の経時的変化を示した特性図である。
【0081】
本実験に係る二酸化炭素固定装置は、固体電解質に前述のNASICONを、電極に白金(Pt)を用い、作動温度を約300℃としている。特性図が示すように、充電時、負極側の二酸化炭素濃度は約10分程度で約900mg/lから約250mg/lへと低下している。さらに、放電時、負極側の二酸化炭素濃度は約10分程度で約250mg/lから約900mg/lへと上昇し、固定した分の二酸化炭素の取出しが可能となることが確認されている。
【0082】
二酸化炭素固定時に印加する電圧は−2〜3V、二酸化炭素放出時の電圧は+2〜3Vが好ましいことが考えられる。但し、電圧は、+2〜3Vに限定するものではなく、適宜に設定される。
【0083】
また、前記電解質において前述のリチウムイオン導電体を用いても図6と同様な結果が得られている。この場合、二酸化炭素は、負極32において、炭酸リチウム(Li2CO3)の形態で固定される。
【0084】
尚、当該実験は動作温度300℃で行ったが、固体電解質、電極、イオン供給源物質など、各材料毎に性能、分解温度等が異なるため、動作温度は電極の触媒性能、電解質の導電率、イオン供給源物質の溶解温度、さらには配管等をはじめとする各構成の材料等を考慮して適宜に設定することが望ましい。
【0085】
例えば、固体電解質としてNASICONを用い、イオン供給源物質をNaOHとして種々の温度条件で実験を行ったところ、280〜400℃の温度範囲で二酸化炭素を分離固定することができ、特にNaOHの融点である318.4℃以上が好ましいことが確認できた。ここで、融点318.4℃は一般に使用されている水、炭酸塩等の不純物を含んでいるNaOHのものであり、純粋なNaOHであれば融点は320℃である。
【0086】
動作温度は、排ガス自体の排熱を利用して確保することができ、ガス温度が低い場合などには、ヒーター等により二酸化炭素固定装置(または後述の二酸化炭素固定ユニット)自体を加熱することにより温度制御することも可能である。
【0087】
このように、当該二酸化炭素固定装置は、理想的な二次電極の構成を成すため、系外から二酸化炭素が供給される限り、蓄電が可能となる。
【0088】
また、当該二酸化炭素固定装置の電解質の両極で起こる酸化還元反応は可逆的な反応で、放電によってイオン供給源物質は再生されることから、薬品コストの消費量を最小限に抑えることができる。しかも、この放電により電気エネルギーを取出すことも可能であるから、ランニングコストも低く抑えることができる。
【0089】
さらに、電解質は固体であるため、液漏れの心配がないばかりでなく、装置として小型化が可能となる。これより、イニシャルコストの低減が可能となるばかりでなく、二酸化炭素負荷量に応じて有効反応容量を調整できるため、小規模から大規模な施設までの用途が広がる。
【0090】
当該二酸化炭素固定装置の実施形態例を、図6から図11に示す。
【0091】
図6は、二酸化炭素固定ユニット(その1)の概略構成図である。
【0092】
当該ユニットは、二酸化炭素を含有したガスが流通する配管(ダクトともいう)60内に、二酸化炭素固定装置61を複数垂下支持することで構成される。
【0093】
尚、当該ユニットを単独で用いる場合、図示されていないが、二酸化炭素固定装置61に電圧を印加するための充電機能と、固定した二酸化炭素を取出すための放電機能とを備えた電源が具備される(以下、図7〜9においても同じ)。
【0094】
二酸化炭素固定装置61は、前述のように器状を成し、図6(a)において、横断面が円形となるように形成されている。当該装置61は、容易に脱着可能で、被処理ガスの負荷量に応じて、配管60内に任意の数設置される。また、装置61には、イオン供給源物質が適宜補充される。また、配管70内には、装置61の下端を通過するガスの流れを迂回させるための障害手段が設置されている。障害手段は、図6においては、迂流板62が設置されている。板62の高さは適宜調整される。かかる構成によって二酸化炭素固定装置61と被処理ガスの接触効率が高まるため、気相中の二酸化炭素は効率的に装置61表面に分離固定される。
【0095】
図7は、二酸化炭素固定ユニット(その2)の概略構成図である。
【0096】
当該ユニットは、装置61と同構造の二酸化炭素固定装置71の下端と、配管70内壁面との間に耐熱性繊維魂72を介在させている。かかる構成によって装置71と被処理ガスの接触効率が高まり、気相中の二酸化炭素は効率的に装置71表面に分離固定される。尚、当該装置71も、容易に脱着及びイオン供給源物質の補充が可能で、被処理ガスの負荷量に応じて、配管70内に任意の数設置される。
【0097】
図8は、二酸化炭素固定ユニット(その3)の概略構成図である。
【0098】
当該ユニットは、装置61と同構造の二酸化炭素固定装置81が、配管80を貫通して垂下支持されて構成される。かかる構成によって、図4及び5のような障害手段を備えないで、装置81と被処理ガスとを効率的に接触させることができる。これにより気相中の二酸化炭素は効率的に装81表面に分離固定される。当該装置81も、容易に脱着及びイオン供給源物質の補充が可能で、被処理ガスの負荷量に応じて、配管80内に任意の数設置される。
【0099】
図9は、二酸化炭素固定ユニット(その4)の概略構成図である。
【0100】
当該ユニットは、二酸化炭素及び酸素を含有したガスが供給される容器90内に、装置61と同構造の二酸化炭素固定装置91が設置された二酸化炭素固定ユニットであって、前記容器の開口部72には、二酸化炭素及び酸素を含有したガスを導入するための配管73と、前記容器内のガスを排出するための配管74とが、具備されて構成される。かかる構成によっても、装置91と被処理ガスの接触効率が高まり、気相中の二酸化炭素は効率的に装置91表面に分離固定される。
【0101】
装置91は、例えば図4のように、容器天井部から垂下支持される。そして、容器90の容積と装置91の設置数は、被処理ガスの負荷量に応じ定まる。当該装置91も、もちろん脱着及びイオン供給物質の補充が可能で、被処理ガスの負荷量に応じて、容器90内に任意の数設置される。
【0102】
開口部92と配管93,94の設置形態は、立地条件に応じて様々である。図9においては、開口部92は容器90底部に設けられ、配管93,94は開口部92から槽90内に引込まれて設置されている。図示されたように、配管93,94は同心円状に配置した二重配管としてもよい。
【0103】
図10は、前記二酸化炭素固定ユニットの実施形態の一例である。
【0104】
二酸化炭素固定ユニット101(図6から10の二酸化炭素固定ユニットのいずれかで、以下、ユニット101と称す)は、被処理ガスが流通する経路に設置され、ユニット101の一次側には二方弁V10が、また二次側には三方弁V11及び二方弁V12が設置される。さらに、ユニット101の二次側には、二酸化炭素濃度測定手段103が付帯され、ユニット101の二酸化炭素除去性能が監視される。そして、V11には、前記ガスから分離された二酸化炭素を系外移送するための配管104が接続される。尚、配管104は、二酸化炭素固定ユニットに直接接続してもよい。
【0105】
また、二酸化炭素を取出して放出する際(装置101の放電時)には、V11の通気路は104側に設定されることが望ましい。このとき、配管104には、ファン、ブロワ等の吸引手段が接続される。配管104を介して排出された二酸化炭素は、二酸化炭素を原料とする化合物、例えば工業用炭酸塩の生産工程に供してもよい。
【0106】
放電時における負極での二酸化炭素の遊離は可逆反応であるから、上記のような構成によって、遊離した二酸化炭素を強制的に排出すれば、ユニット101内の二酸化炭素濃度は減少し、効率的な二酸化炭素の取出しが可能となる。
【0107】
図11(a)(b)は、二酸化炭素固定手段の装置システムとそのタイムスケジュールの一例である。
【0108】
二酸化炭素固定手段10は、前記ユニット101を2基(101a,101b)並列に配置させ、交互に二酸化炭素の固定と放出を行っている。図11(a)において、ユニット101a,101bは、一次側経路に三方弁20(以下、V20)を、二次側経路に三方弁23(以下、V23)を介して並列に配置される。また、ユニット101aの二次側経路には三方弁21(以下、V21)が、さらにユニット101bの二次側経路には三方弁22(以下、V22)が設置され、各々弁21,22に二酸化炭素排出経路104が接続される。尚、ユニット101a,bの二次側(図3においては、V23の二次側)には、二酸化炭素濃度測定手段103が付帯され、ユニット101a,bの二酸化炭素除去性能が監視される。
【0109】
電源102は、ユニット101aとユニット101bの共有設備であり、充放電装置を備えている。充放電装置は、交流電源を直流電源に変換させる機能を有している。当該装置は、二酸化炭素固定時には、前記直流電源の正極をユニット101a,bの正極に接続させ、同じくこの電源の負極を同ユニット101a,bの負極に接続させる(以下、これを充電接続と称する)。また、二酸化炭素放出時には、前記直流電源の正極を前記ユニット101a,bの負極に接続させ、同じくこの電源の負極を同ユニット101a,bの正極に接続させる(以下、これを放電接続と称する)。尚、前記二酸化炭素放出時において、ユニット101aとユニット101bに外部負荷を接続することにより、貯えた電気エネルギーを系外に供給してもよい。
【0110】
二酸化炭素固定手段は、ユニット101を二つ設けることに限らない。例えば、ユニット101を三つ並列に設置した場合には、固定、放出を各々1/2づつタイミングをずらせるなど、その設置数等に応じて、切換えのタイミングは適宜設定できる。但し、三つ以上の二酸化炭素固定ユニットを設置する場合には、切換えのタイミング等に応じて、適宜に複数の電源を設ける必要がある。
【0111】
ユニット101a,bは、図11(b)のタイムスケジュールに基づき、二酸化炭素の固定及び放出を交互に行なって、連続的な二酸化炭素の固定と電力の生産を可能としている。ここで、二酸化炭素の固定及び放出の切替時間は、流入負荷量に応じて任意に設定される。
【0112】
図11(b)において、ユニット101aは二酸化炭素固定工程を終了させると二酸化炭素放出工程に、ユニット101bは二酸化炭素固定工程に移行する。
【0113】
このとき、被処理ガスの供給路はV20によってユニット101b側に設定され、さらにユニット31bからの処理ガスの排出路はV22,23によって次工程側(図1においては脱硫装置、改質装置)に設定される。
【0114】
二酸化炭素放出工程に移行したユニット101aにおいて、電源102の接続は放電接続に切り替わる。このときV21は経路104側に設定されており、放電により遊離した二酸化炭素が、ブロワ等により吸引され、系外に移送される。
【0115】
一方、二酸化炭素固定工程に移行したユニット101bにおいて、電源102の接続は充電接続に切り替わる。ここでの二酸化炭素固定の詳細な説明は、図3での二酸化炭素原理に説明に譲る。二酸化炭素が除去された処理ガスは、ブロワ等によって吸引され、前記次工程に供される。設定時間が消化されると、ユニット101bは二酸化炭素取出し工程に移行し、ユニット101aは二酸化炭素固定工程に移行する。
【0116】
このように、当該二酸化炭素固定手段は、二酸化炭素ユニット101を2基並列に配置させて交互に二酸化炭素の固定と放出を行っているから、二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素は効率的且つ連続的に分離除去される。
【0117】
【発明の効果】
以上のことから、本発明に係る二酸化炭素含有ガス処理方法及びその装置は、以下の効果を奏する。
【0118】
気相中の二酸化炭素を除去することができる。これによって、二酸化炭素排出源から供給されたガスから、容易に高濃度の二酸化炭素ガスを得ることが可能となる。
【0119】
また、希釈操作のみの容易な制御操作によって、任意に必要な二酸化炭素濃度を得ることができるので、光合成生物の特性に応じた二酸化炭素濃度の調節が可能となり、当該光合成生物の生育が促進される。特に、大気を導入することによって、低廉な希釈操作が可能となるばかりでなく、大気中の二酸化炭素も回収される。
【0120】
さらに、本発明における二酸化炭素の放出過程において、二酸化炭素の他に酸素も放出されるので、光合成と酸素呼吸とを行う光合成生物、特に植物にとっては良好なガス雰囲気が得られ、当該生物の生育が促進される。
【0121】
このように、本発明は、温室効果ガスの一つである二酸化炭素を回収しながら、有用資源となり得る光合成生物に応じたガス環境を容易に創り出すことができるので、二酸化炭素削減対策及び地球温暖化対策に大いに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る二酸化炭素含有ガス処理装置システムの概要図。
【図2】本発明に係る二酸化炭素含有ガス処理装置システムの概要図。
【図3】本発明に係る二酸化炭素固定装置の原理説明図。
【図4】本発明に係る二酸化炭素固定装置の概略構成図。
【図5】充電時及び放電時での本発明に係る反応器の負極側における二酸化炭素濃度の経時的変化を示した特性図。
【図6】二酸化炭素固定ユニット(その1)の概略構成図、(a)は平面図、(b)はA−A断面図。
【図7】二酸化炭素固定ユニット(その2)の概略構成図、(a)は平面図、(b)はA−A断面図。
【図8】二酸化炭素固定ユニット(その3)の概略構成図、(a)は平面図、(b)はA−A断面図。
【図9】二酸化炭素固定ユニット(その4)の概略構成図。
【図10】二酸化炭素固定ユニットの実施形態の一例。
【図11】(a)は本発明に係る二酸化炭素固定手段の概要図、(b)はそのタイムスケジュールの一例。
【符号の説明】
1…二酸化炭素含有ガス排出施設
2…二酸化炭素固定手段
3…二酸化炭素貯留装置
4…二酸化炭素希釈装置
5,5a,5b,5c…光合成生物培養ハウス
6…制御装置
50…光源(太陽光、照明)
51,51a,51b,51c…照度センサ
52,52a,52b,52c…二酸化炭素濃度センサ
53,53a,53b,53c…温度センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、気相中の二酸化炭素を固定し、これを再利用するための方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1998年12月、京都市で、2000年以降における地球温暖化防止のための新たな国際的枠組みを決定する気候変動枠条約第3回締約国会議(地球温暖化防止会議、COP3)が開催された。京都会議では、先進国全体の温室効果ガスを2008〜2012年において1990年比5%強削減する数値目標などを含む「京都議定書」が採択され、この中で我が国についての数値目標は1990年比6%削減とされている。
【0003】
温室効果ガスの人為的排出の多くを占めるのが、エネルギーの燃焼に伴って発生する二酸化炭素(CO2)である。我が国は、石油危機以降積極的な省エネルギー努力を行った結果、産業部門のエネルギー利用効率は世界最高水準にあり、GDP当りの一次エネルギー消費も米国の約3分の1、ドイツの約2分の1と他の先進国と比較して低い水準にある。
【0004】
しかし、近年の運輸、民生部門を中心としたエネルギー消費の著しい伸びに伴い、エネルギー起因の二酸化炭素排出量は1995年度には1990比8%強の大幅な増加となっている。このことから、京都議定書の目標の達成に向けては、直ちに最大限の対策に着手していく必要がある。
【0005】
京都議定書において、温室効果ガスは二酸化炭素(CO2)、メタンガス(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類とされているが、我が国における温室効果ガスの排出量は1995年度において1990年度比8.6%増加している。このうち、全体の9割近くを占めるとともに、経済社会活動全体と密接な関わりを持つののがエネルギーの燃焼に伴って発生する二酸化炭素である。
【0006】
我が国におけるこれらのエネルギー起因の二酸化炭素排出量は1980年代後半から急激な増加傾向にあり、特に近年は運輸、民生部門の伸びが著しく、1995年度には1990年度比8.1%の大幅な増加となっている。したがって、我が国で今後国内の温室効果ガス対策を考える際の中心的課題となるのが、運輸、民生部門での対策強化をはじめとしたエネルギー起因の二酸化炭素削減対策である。
【0007】
尚、二酸化炭素については、正確な量の把握は難しいものの森林等の働きによって吸収されるといわれており、また二酸化炭素固定技術に関する研究開発も進められている。さらに、代替フロン類(HFC,PFC及びSF6)については半導体洗浄や製品の中の冷媒として使われ、市中に残存しているものを回収し、分解するための技術開発等が進められている。
【0008】
このように、温室効果ガス対策の全体において、ガスの排出削減対策を進める一方で、森林・農地の保全・整備や代替フロン類の回収に係るシステム創りなど、ガスの吸収・固定や回収・分離等に係る各種の対策を進めることも極めて重要である。
【0009】
現在の二酸化炭素の分離技術として、水酸化ナトリウムや水などを用いて分離回収する吸収法、ゼオライト等の個体状の吸着剤を用いて分離回収する吸着法、二酸化炭素のみを通す膜を用いて二酸化炭素と他の排ガスとを「ふるい分け」する膜分離法等がある。
【0010】
他に、二酸化炭素を処理する技術としては、これまでにも例えば特開平5−168349号、特開平6−333589号において開示されているように、燃料電池等の二酸化炭素排出源からの排ガスを直接または希釈して光合成生物に供給して、光合成能力によって処理(固定)する方法が検討されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際に、この種の方法において、効率良く二酸化炭素を処理するためには、光合成生物の種類(二酸化炭素処理能力等)により、二酸化炭素処理室内の二酸化炭素濃度、照度、温度等を適宜調整することが必要となる。
【0012】
照度については、白色光を照射する光源、または太陽光と前記光源とを併用することで調整することが可能であり、また温度についても排ガスの温度を利用しての加温や適宜にヒーター等を用いることで調整を行うことが可能である。
【0013】
一般に、排ガスの二酸化炭素排出濃度としては、排ガス中でディーゼルエンジンが約10%、ボイラーで約13%、下水処理場、食品工場の消化ガスで約40%といわれている。
【0014】
しかし、これら二酸化炭素排出源の運転状況等により二酸化炭素を処理する場合、実際には二酸化炭素排出源の運転状況等により排ガス中の二酸化炭素濃度が変動するため、これを最適値に調整して光合成生物へ供給することは極めて困難であり、排出される排ガスの二酸化炭素濃度を常時監視し監視結果に応じて希釈を行うことなどの複雑な制御等が必要となる。
【0015】
尚、二酸化炭素濃度としては、多くの光合成生物に対しては10%前後若しくは10%以下であることが好ましいが、二酸化炭素固定能力の高い光合成生物、例えば、藻類等では二酸化炭素濃度が50%近くあっても良いことが知られている。
【0016】
本発明は、上記の事情に鑑み創作されたもので、簡単な制御で、光合成生物に供給する二酸化炭素濃度を適切に調節することができる二酸化炭素含有ガス処理方法及びその装置を提供することを課題としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題の解決手段である本発明は、以下のことを特徴とする。
【0018】
請求項1記載の発明は、二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を固定する工程と、
前記固定した二酸化炭素を放出する工程と、
前記二酸化炭素を放出する工程から供給された二酸化炭素に富むガスを、気相中の二酸化炭素濃度が一定濃度となるように、希釈する工程と、
前記希釈する工程から供給されたガスを光合成生物の培養ハウスに供給して、光合成によって当該ガス中の二酸化炭素を前記生物に吸収させる工程とからなる二酸化炭素含有ガス処理方法であって、
前記二酸化炭素を固定する工程は、正極と負極とを設けた固体電解質の正極に、イオン供給源物質を接触させ、かつ、固体電解質の負極に、酸素を含んだ前記二酸化炭素含有ガスを接触すると共に、この正負極間に直流電圧を印加することによって、負極側において気相中の二酸化炭素を炭酸塩として固定させること、前記二酸化炭素を放出する工程は、前記電圧が印加された正負極間の電位を逆転させることによって、前記固定した二酸化炭素を遊離させることを特徴とする。
【0019】
ここで、固体電解質がナトリウムイオン導電体である場合、前記イオン供給源物質としてはナトリウム化合物が供給される。尚、固体電解質は、ナトリウムイオン導電体の代わりにリチウムイオン導電体としてもよく、このときイオン供給源物質としてはリチウム化合物が供給される。
【0020】
電極は、多孔質で、一般的に用いられている導電性材料、Pt、Au、Cr、Cu及びNi、若しくはこれらの酸化物等を基本材料としている。
【0021】
ナトリウムイオン導電体としては、β−アルミナ(Na2O・11Al2O3)やNASICON(Na1+XZr2P3−XSiXO12,Xは実数,0<X<3)等がある。
【0022】
ナトリウム化合物としては、水酸化ナトリウム(NaOH)等がある。このとき、負極において、気相中の二酸化炭素は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)の形態で固定される。
【0023】
リチウムイオン導電体としては、LISICON(xLi4GeO4(1−x)Zn2GeO4,x=3/4)、xLi4GeO4(1−x)Li14VO4(Xは実数,0<X<1)、LIN(Li3N)やLi14Zn(GeO4)4等がある。
【0024】
リチウム化合物としては、水酸化リチウム(LiOH)等がある。このとき、負極において、気相中の二酸化炭素は、炭酸ナトリウム(Li2CO3)の形態で固定される。
【0025】
炭酸塩の形態で分離した二酸化炭素は、正負極間の電圧を印可するための電源を二酸化炭素固定時とは逆相に接続することによって、前記負極側に固定した二酸化炭素を取出している。すなわち、電源の正極を負極に、同電源の負極を正極に接続して、放電現象を起こさせることによって、分離した二酸化炭素を取出している。尚、両極間に、外部負荷を接続してもよい。この操作によって、貯えられた電力も取出すこともできる。
【0026】
電圧を印加するするための電源は、一般の定電位電源(ポテンションスタット等)を用いることができるが、充放電できるものが望ましい。また、二酸化炭素放出時に電位を逆転させる操作で対応できるものは、なおよい。
【0027】
二酸化炭素固定時に印加する電圧は、例えば−2〜3V程度である。また、二酸化炭素放出時の電圧(放電電圧)は、例えば+2〜3V程度である。印加及び放電電圧は、前記の値に限定されない。
【0028】
二酸化炭素含有ガスの排出源としては、燃料電池設備、ディーゼルエンジン設備、ボイラー設備、食品工場、下水処理場や汚泥消化処理設備等がある。
【0029】
希釈工程における希釈ガスとしては、酸素ガスや大気が挙げられる。
【0030】
前記光合成生物には、高等植物や、藻類・光合成細菌等の光合成微生物がある。
【0031】
例えば、ビール工場に本発明に係る二酸化炭素含有ガス処理方法及び及びその装置を用いる場合、高等植物としてホップや大麦のビール原料等が挙げられ、これらを栽培することで、気相中の二酸化炭素は前記植物内に吸収固定される。
【0032】
また、家畜し尿処理場、畜産飼料工場、有機肥料工場において、畜産飼料や有機肥料として利用が可能な光合成細菌が用いられ、この細菌群を被処理ガスと一定の滞留時間の下で接触することにより、当該ガス中の二酸化炭素が前記菌体内に吸収固定される。
【0033】
光合成を生起させる手段としては、太陽光と照明を併用し、昼間には太陽光が、夜間若しくは曇天時には光合成を生起させるに充分な波長(例えば、400〜700nm)の光を照射でき、照度可変な照明(白色蛍光ランプ等)が用いられる。
【0034】
また、請求項1記載の二酸化炭素含有ガス処理方法において、前記二酸化炭素を放出する工程から供給されたガスを大気によって希釈するとよい。大気を導入することによって、低廉かつ容易な希釈が可能となると同時に、大気中に含まれる二酸化炭素の有効利用も可能となる。
【0035】
さらに、前記希釈工程は、前記ハウス内の照度、気温及び二酸化炭素濃度に応じて、前記希釈操作若しくは前記ハウスへのガス供給量を調整するとよい。光合成生物の二酸化炭素固定能力はハウス内の照度、温度及び二酸化炭素濃度に依存するので、前記ハウス内の照度、気温及び二酸化炭素濃度に応じて、前記希釈操作若しくは前記ハウスへのガス供給量を調整すれば、光合成生物の光合成能力が維持される。
【0036】
請求項2記載の発明は、二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を除去する二酸化炭素固定手段と、二酸化炭素固定手段から供給された二酸化炭素に富むガスを大気よって希釈する二酸化炭素希釈装置と、前記希釈されたガスが供給される光合成生物培養ハウスと、前記ハウス内の照度、気温及び二酸化炭素濃度に基づいて前記希釈操作若しくは前記ハウスへのガス供給量を制御する制御装置と、を具備した二酸化炭素含有ガス処理装置において、
二酸化炭素固定手段は、イオン供給源物質が供給される正極と前記二酸化炭素含有ガスが供給される負極とを設けた固体電解質と、二酸化炭素固定時において正負極間に電圧を印加し、二酸化炭素放出時において前記電圧が印加された正負極間の電位を逆転させることが可能な電源と、を備えた二酸化炭素固定装置を具備し、
固体電解質がナトリウムイオン導電体である場合、イオン供給源物質はナトリウム化合物であること、若しくは
固体電解質がリチウムイオン導電体である場合、イオン供給源物質はリチウム化合物であることを特徴とする。
【0037】
光合成生物培養ハウス、単数若しくは複数設置される。それぞれハウスには異なる光合成生物が培養される場合がある。制御装置は、各々の光合成生物の特性に応じて、前記希釈操作若しくは前記ハウスへのガス供給量、気温、照度の制御を行い、当該生物の生育の促進を図っている。
【0038】
また、二酸化炭素固定手段と二酸化炭素希釈装置との連結経路に、前記二酸化炭素に富むガスを貯留する二酸化炭素貯留手段を備えるとよい。二酸化炭素に富むガスを一時的に貯留することで、二酸化炭素固定手段から供給されたガスを希釈工程において適確な希釈操作が可能となるので、光合成生物に対し適切な生活環境を提供することができる。
【0039】
さらに、前記二酸化炭素固定手段は、前記二酸化炭素固定装置を備えた二酸化炭素固定ユニットを少なくとも二つ配置し、これら各々のユニットには酸素を含んだ前記メタンに富むガスが交互に供給され、前記ガスが供給されないユニット若しくはからは除去された二酸化炭素が取出されるようにするとよい。かかる構成によって、連続的な二酸化炭素の固定と放出が可能となる。
【0040】
例えば、ユニットは、三方弁を介して、各々並列に接続され、さらに、同装置には、相を逆転させることが可能な充放電装置が付帯された電源が接続される。ここで、ユニットが並列に接続されて配置された場合には、一方が二酸化炭素を固定、他方が二酸化炭素を放出するように、交互に切換えを行うことができる。また、三つ並列された場合には、例えば、固定、放出を各々1/2づつタイミングをずらせるなど、その数等に応じて、切換えのタイミングは適宜設定できる。但し、三つ以上の二酸化炭素固定ユニットを設置する場合には、切換えのタイミング等に応じて、適宜に複数の電源を設ける必要がある。
【0041】
固体電解質は、器状であれば、いかなる形状のものでもよく、その断面形状も、例えば、円形、楕円形、多種多角形の他、ガスの流通抵抗等を考慮して流線形とするなど、使用状況等の各種条件を適宜考慮される。
【0042】
二酸化炭素固定ユニットは、例えば、二酸化炭素及び酸素を含有したガスが流通する配管内に、前記二酸化炭素固定装置を垂下支持して構成される。
【0043】
配管内においては、前記二酸化炭素固定装置の下端を通過するガスの流れを迂回させる障害手段が、配置される。障害手段としては、前記二酸化炭素固定装置の下端と配管内壁面との隙間を通過するガスの流れを迂回させるための迂流板や、前記二酸化炭素固定装置の下端と配管内壁面との間に介在させるための耐熱性繊維魂がある。これらの構成によって、当該二酸化炭素固定装置と二酸化炭素の接触効率が高まり、効率的な二酸化炭素の分離固定が可能となる。尚、前記二酸化炭素固定装置は、配管を貫通して支持され場合もある。
【0044】
また、その他の二酸化炭素固定ユニットとしては、二酸化炭素及び酸素を含有したガスが供給される容器内に前記二酸化炭素固定装置を備えて構成されたものがある。容器の開口部において、二酸化炭素及び酸素を含有したガスを導入するための配管と、前記容器内のガスを排出するための配管とが付帯される。
【0045】
以上述べた二酸化炭素固定ユニットには、前記二酸化炭素固定装置が複数設置される。当該二酸化炭素固定装置の設置数は、被処理ガスの負荷量に応じて定まる。ここで、当該二酸化炭素固定装置を複数配列する際には、千鳥状または格子状の配置とするとよい。
【0046】
さらに、前記二酸化炭素固定ユニットには、二酸化炭素を排出するための配管が付帯される場合がある。配管は、二酸化炭素放出工程時に遊離した二酸化炭素を系外移送するための配管であり、二酸化炭素固定ユニットに直接接続されるか、または前記ユニットの二次側経路に設置されたバルブを介して接続される。また、配管には、ファン、ブロワ等の吸引手段が接続される。放電時における負極での二酸化炭素の遊離は可逆反応であるから、ユニット内の二酸化炭素を強制的に排出させることにより、分離させた二酸化炭素を効率的な取出が可能となる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0048】
図1は、本発明に係る二酸化炭素含有ガス処理方法の実施形態の概要図である。
【0049】
当該処理装置システムは、二酸化炭素含有ガス排出施設1に付帯され、
二酸化炭素固定手段2と、二酸化炭素貯留装置3と、二酸化炭素希釈装置4と、光合成生物培養ハウス5と、制御装置6とから構成されている。
【0050】
二酸化炭素含有ガス排出施設1としては、燃料電池設備、ディーゼルエンジン設備、ボイラー設備、食品工場、汚泥消化処理設備や下水処理場等がある。
【0051】
二酸化炭素固定手段2は、イオン供給源物質が供給される正極と二酸化炭素含有ガスが供給される負極とを設けた固体電解質と、前記正負極間に電圧を印加するための電源とを備えた後述の二酸化炭素固定装置を具備している。当該正極には、前記固体電解質がナトリウムイオン導電体である場合には前記イオン供給源物質としてナトリウム化合物が供給され、また前記固体電解質がリチウムイオン導電体である場合には前記イオン供給源物質としてリチウム化合物が供給される。二酸化炭素固定手段2の動作は、図3〜11に基づき、後に詳細に説明する。
【0052】
尚、二酸化炭素固定手段2から直接放出されたガスには二酸化炭素の他に酸素が含まれているので、二酸化炭素ガス通気性のガス分離膜装置が具備される。これにより、二酸化炭素固定手段2から供給されたガスの二酸化炭素濃度は、約100%までに高められる。また、光合成生物が高濃度の二酸化炭素を必要としていない場合は、前記ガス分離膜装置は具備しなくてもよい。
【0053】
二酸化炭素貯留装置3は、前記二酸化炭素固定手段2から放出された二酸化炭素に富むガスを一旦貯留して、定量的に光合成生物培養ハウスに供給するための設備である。当該貯留装置3は、二酸化炭素濃度と光合成速度に応じて便宜に設ければよい。
【0054】
二酸化炭素希釈装置4は、制御装置6からの制御信号に基づき、希釈ガスを定量的に導入しながら前記高濃度の二酸化炭素含有ガスを希釈する。希釈ガスとしては、酸素ガスや大気が挙げられる。
【0055】
光合成生物培養ハウス5は、二酸化炭素固定手段2、二酸化炭素貯留装置3若しくは二酸化炭素希釈装置4から排出されたガスが解放される環境の下で光合成生物を培養し、光合成によって気相中の二酸化炭素を前記生物に吸収固定する。ハウス5には、照度センサ51、二酸化炭素濃度センサ52、温度センサ53が具備される。これらセンサの測定値は、ハウス5内の二酸化炭素濃度の制御因子となる。
【0056】
ここで、ハウス5内は、ヒーター等によって任意の気温に制御可能であり、また水その他光合成生物の育成に必要な養分等が適宜に提供されている。
【0057】
また、照明50は、白色蛍光ランプ等の前記光合成生物に光合成を生起させるに充分な波長(例えば、400〜700nm)の光を照射できるもので、照度が可変なものが用いられる。そして、日中は太陽光を、天候の悪い日若しくは夜間は照明190を利用し、当該植物に光合成を行わせる。このようにして、被処理ガスに含まれた二酸化炭素は、当該植物の細胞組織内に吸収固定される。
【0058】
例えば、図1のように、照明50を付帯したビニルハウスの植物工場(例えば、ビール工場であればホップや大麦等の原料栽培園、野菜工場であれば野菜栽培園等)に被処理ガスを供給する。
【0059】
また、前記高等植物の他に、光合成微生物(例えば、藻類、光合成細菌等)と接触させてもよい。このとき、照明50を付帯した培養槽に被処理ガスを供給し、前記光合成微生物と共に一定の滞留時間を確保する。この培養された光合成微生物の菌体は、畜産飼料や有機肥料として利用される。
【0060】
尚、図2において、光合成培養ハウス5は、複数設置される場合もある。このとき、個々のハウス5a,5b,5cにも、照度センサ51a,b,c、二酸化炭素濃度センサ52a,b,c、温度センサ53a,b,cが付帯され、ハウス5a,5b,5c内の光合成生物の光合成能力に応じて、照度、二酸化炭素濃度及び温度が制御される。
【0061】
制御装置6は、二酸化炭素固定手段2と、二酸化炭素貯留装置3と、二酸化炭素希釈装置4と、光合成生物培養ハウス5の動作を制御する。
【0062】
また、同装置6は、照度センサ51、二酸化炭素濃度センサ52、温度センサ53から供給された測定値を格納し、ハウス5内で培養されている光合成生物の生育に適した照度、二酸化炭素濃度及び気温に調整する。
【0063】
同装置6は、先ず、二酸化炭素含有ガス排出施設1の運転状態(ガス排出状態)を確認し、この運転状態に応じて、二酸化炭素固定手段2の動作(二酸化炭素の固定、放出の切換え等)を制御する(後に、詳細に説明)。ここで、二酸化炭素貯留装置3を具備している場合は、二酸化炭素希釈装置4への二酸化炭素供給量の調整を行う。そして、二酸化炭素希釈装置4での二酸化炭素導入量と大気導入量の制御を実行させる。例えば、光合成生物が植物である場合、気相中の二酸化炭素濃度が約10%となるように調整される。また、藻類である場合、二酸化炭素濃度が約50%となるように調整される。
【0064】
このように、当該二酸化炭素含有ガス処理装置システムによって、気相中の二酸化炭素を分離除去しながら、簡単な制御で、光合成生物に供給する二酸化炭素濃度を適切に調節することが可能となる。
【0065】
図3及び図4は、前記二酸化炭素固定装置の原理説明図及び概略構成図である。
【0066】
当該二酸化炭素固定装置は、二次電池構造を成し、正極31と負極32を備えた固体電解質30と、電源(直流)33とから構成される。そして、正極31にはイオン供給源物質33が、負極32には被処理ガス(ここでは二酸化炭素含有ガス)が供給される。
【0067】
固体電解質は、いかなる形状のものでもよく、例えば図4のように、器状に形成してもよい。そして、その断面形状も、使用状況等の各種条件、またガスの流通抵抗等を考慮して、円形、楕円形、多角形及び流線形等、種々の形状のものが適宜に形成される。
【0068】
正極31,41と負極32,42は、先の解決手段で述べた多孔質性の電極が用いられ、固体電解質40,50に蒸着により設けられる。尚、蒸着以外に、溶射、ディップコーティング等により形成してよい。
【0069】
本発明における二酸化炭素の固定の原理について説明する。ここでは、固体電解質を前述のナトリウムイオン導電体(NASICON等)、イオン供給源物質を水酸化ナトリウム、被処理ガスをCH4とCO2とO2とを含んだガスとした場合の電極における作用について、図3に基づき説明する。
【0070】
二酸化炭素の固定は、イオン供給源物質(ここでは、水酸化ナトリウム(以下、NaOH))が供給される正極41と前記被処理ガスが供給される負極42を備えた固体電解質40の両極41,42間に電圧(直流)を印加すること、すなわち充電現象を生起することで行われる(図4)。
【0071】
先ず、NaOHが接触した正極31表面において、以下の酸化反応が起こる。
【0072】
2NaOH → 2Na++H2O+1/2O2+2e− …… (1)
このとき、NaOHから遊離したナトリウムイオン(Na+)は、正極31を通過し、さらに固体電解質30内を泳動して負極32に達する。そして、負極32の表面おいて、以下の還元反応が起こる。
【0073】
2Na++CO2+1/2O2+2e− → Na2CO3 …… (2)
かかる反応によって、負極32の表面に拡散してきた前記被処理ガス中の二酸化炭素(CO2)は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)の形態で、同極32の表面に分離固定される。尚、二酸化炭素以外のガスは、反応を起こさないため、別の経路にて回収される。
【0074】
反応式(2)によれば、二酸化炭素の固定には酸素を必要とするが、被処理ガス中に酸素が含まれていれば酸素を供給する必要はない。尚、反応式(2)は可逆反応であるから、当該ガス中の酸素濃度を監視しながら系外から新たに酸素を導入すれば、二酸化炭素の固定化はさらに促進される。
【0075】
また、反応式(1)によれば、正極31における酸化反応により酸素が生成される。したがって、この生成した酸素を、直接、負極32に導入すれば、系外から酸素を新たに供給する必要はなくなる。
【0076】
ところで、当該二酸化炭素固定装置は、固定した二酸化炭素を取出すこともできる。二酸化炭素の取出しは、電極31,32に接続される電源を、二酸化炭素固定時と逆相に接続すること、すなわち放電現象を生起することで行われる。ここでは、電源33の正極が負極32に、同電源33の負極が正極1に接続される。
【0077】
このとき、負極42において酸化反応((2)式とは逆の反応)が、正極41において還元反応((1)式とは逆の反応)が進行し、炭酸ナトリウムは分解され、二酸化炭素が遊離して取出される。
【0078】
また、正極31と負極32との間に外部負荷を接続して放電することによって二酸化炭素を取出してもよい。
【0079】
尚、この放電により負極32において酸素と二酸化炭素の混合ガスが生成されるが、この混合ガスを放電中に正極31室を介して系外に移送すれば、酸素と二酸化炭素と分離することができる((1)の逆の反応が進行するから)。
【0080】
図5は、充電時及び放電時の負極32側における二酸化炭素濃度の経時的変化を示した特性図である。
【0081】
本実験に係る二酸化炭素固定装置は、固体電解質に前述のNASICONを、電極に白金(Pt)を用い、作動温度を約300℃としている。特性図が示すように、充電時、負極側の二酸化炭素濃度は約10分程度で約900mg/lから約250mg/lへと低下している。さらに、放電時、負極側の二酸化炭素濃度は約10分程度で約250mg/lから約900mg/lへと上昇し、固定した分の二酸化炭素の取出しが可能となることが確認されている。
【0082】
二酸化炭素固定時に印加する電圧は−2〜3V、二酸化炭素放出時の電圧は+2〜3Vが好ましいことが考えられる。但し、電圧は、+2〜3Vに限定するものではなく、適宜に設定される。
【0083】
また、前記電解質において前述のリチウムイオン導電体を用いても図6と同様な結果が得られている。この場合、二酸化炭素は、負極32において、炭酸リチウム(Li2CO3)の形態で固定される。
【0084】
尚、当該実験は動作温度300℃で行ったが、固体電解質、電極、イオン供給源物質など、各材料毎に性能、分解温度等が異なるため、動作温度は電極の触媒性能、電解質の導電率、イオン供給源物質の溶解温度、さらには配管等をはじめとする各構成の材料等を考慮して適宜に設定することが望ましい。
【0085】
例えば、固体電解質としてNASICONを用い、イオン供給源物質をNaOHとして種々の温度条件で実験を行ったところ、280〜400℃の温度範囲で二酸化炭素を分離固定することができ、特にNaOHの融点である318.4℃以上が好ましいことが確認できた。ここで、融点318.4℃は一般に使用されている水、炭酸塩等の不純物を含んでいるNaOHのものであり、純粋なNaOHであれば融点は320℃である。
【0086】
動作温度は、排ガス自体の排熱を利用して確保することができ、ガス温度が低い場合などには、ヒーター等により二酸化炭素固定装置(または後述の二酸化炭素固定ユニット)自体を加熱することにより温度制御することも可能である。
【0087】
このように、当該二酸化炭素固定装置は、理想的な二次電極の構成を成すため、系外から二酸化炭素が供給される限り、蓄電が可能となる。
【0088】
また、当該二酸化炭素固定装置の電解質の両極で起こる酸化還元反応は可逆的な反応で、放電によってイオン供給源物質は再生されることから、薬品コストの消費量を最小限に抑えることができる。しかも、この放電により電気エネルギーを取出すことも可能であるから、ランニングコストも低く抑えることができる。
【0089】
さらに、電解質は固体であるため、液漏れの心配がないばかりでなく、装置として小型化が可能となる。これより、イニシャルコストの低減が可能となるばかりでなく、二酸化炭素負荷量に応じて有効反応容量を調整できるため、小規模から大規模な施設までの用途が広がる。
【0090】
当該二酸化炭素固定装置の実施形態例を、図6から図11に示す。
【0091】
図6は、二酸化炭素固定ユニット(その1)の概略構成図である。
【0092】
当該ユニットは、二酸化炭素を含有したガスが流通する配管(ダクトともいう)60内に、二酸化炭素固定装置61を複数垂下支持することで構成される。
【0093】
尚、当該ユニットを単独で用いる場合、図示されていないが、二酸化炭素固定装置61に電圧を印加するための充電機能と、固定した二酸化炭素を取出すための放電機能とを備えた電源が具備される(以下、図7〜9においても同じ)。
【0094】
二酸化炭素固定装置61は、前述のように器状を成し、図6(a)において、横断面が円形となるように形成されている。当該装置61は、容易に脱着可能で、被処理ガスの負荷量に応じて、配管60内に任意の数設置される。また、装置61には、イオン供給源物質が適宜補充される。また、配管70内には、装置61の下端を通過するガスの流れを迂回させるための障害手段が設置されている。障害手段は、図6においては、迂流板62が設置されている。板62の高さは適宜調整される。かかる構成によって二酸化炭素固定装置61と被処理ガスの接触効率が高まるため、気相中の二酸化炭素は効率的に装置61表面に分離固定される。
【0095】
図7は、二酸化炭素固定ユニット(その2)の概略構成図である。
【0096】
当該ユニットは、装置61と同構造の二酸化炭素固定装置71の下端と、配管70内壁面との間に耐熱性繊維魂72を介在させている。かかる構成によって装置71と被処理ガスの接触効率が高まり、気相中の二酸化炭素は効率的に装置71表面に分離固定される。尚、当該装置71も、容易に脱着及びイオン供給源物質の補充が可能で、被処理ガスの負荷量に応じて、配管70内に任意の数設置される。
【0097】
図8は、二酸化炭素固定ユニット(その3)の概略構成図である。
【0098】
当該ユニットは、装置61と同構造の二酸化炭素固定装置81が、配管80を貫通して垂下支持されて構成される。かかる構成によって、図4及び5のような障害手段を備えないで、装置81と被処理ガスとを効率的に接触させることができる。これにより気相中の二酸化炭素は効率的に装81表面に分離固定される。当該装置81も、容易に脱着及びイオン供給源物質の補充が可能で、被処理ガスの負荷量に応じて、配管80内に任意の数設置される。
【0099】
図9は、二酸化炭素固定ユニット(その4)の概略構成図である。
【0100】
当該ユニットは、二酸化炭素及び酸素を含有したガスが供給される容器90内に、装置61と同構造の二酸化炭素固定装置91が設置された二酸化炭素固定ユニットであって、前記容器の開口部72には、二酸化炭素及び酸素を含有したガスを導入するための配管73と、前記容器内のガスを排出するための配管74とが、具備されて構成される。かかる構成によっても、装置91と被処理ガスの接触効率が高まり、気相中の二酸化炭素は効率的に装置91表面に分離固定される。
【0101】
装置91は、例えば図4のように、容器天井部から垂下支持される。そして、容器90の容積と装置91の設置数は、被処理ガスの負荷量に応じ定まる。当該装置91も、もちろん脱着及びイオン供給物質の補充が可能で、被処理ガスの負荷量に応じて、容器90内に任意の数設置される。
【0102】
開口部92と配管93,94の設置形態は、立地条件に応じて様々である。図9においては、開口部92は容器90底部に設けられ、配管93,94は開口部92から槽90内に引込まれて設置されている。図示されたように、配管93,94は同心円状に配置した二重配管としてもよい。
【0103】
図10は、前記二酸化炭素固定ユニットの実施形態の一例である。
【0104】
二酸化炭素固定ユニット101(図6から10の二酸化炭素固定ユニットのいずれかで、以下、ユニット101と称す)は、被処理ガスが流通する経路に設置され、ユニット101の一次側には二方弁V10が、また二次側には三方弁V11及び二方弁V12が設置される。さらに、ユニット101の二次側には、二酸化炭素濃度測定手段103が付帯され、ユニット101の二酸化炭素除去性能が監視される。そして、V11には、前記ガスから分離された二酸化炭素を系外移送するための配管104が接続される。尚、配管104は、二酸化炭素固定ユニットに直接接続してもよい。
【0105】
また、二酸化炭素を取出して放出する際(装置101の放電時)には、V11の通気路は104側に設定されることが望ましい。このとき、配管104には、ファン、ブロワ等の吸引手段が接続される。配管104を介して排出された二酸化炭素は、二酸化炭素を原料とする化合物、例えば工業用炭酸塩の生産工程に供してもよい。
【0106】
放電時における負極での二酸化炭素の遊離は可逆反応であるから、上記のような構成によって、遊離した二酸化炭素を強制的に排出すれば、ユニット101内の二酸化炭素濃度は減少し、効率的な二酸化炭素の取出しが可能となる。
【0107】
図11(a)(b)は、二酸化炭素固定手段の装置システムとそのタイムスケジュールの一例である。
【0108】
二酸化炭素固定手段10は、前記ユニット101を2基(101a,101b)並列に配置させ、交互に二酸化炭素の固定と放出を行っている。図11(a)において、ユニット101a,101bは、一次側経路に三方弁20(以下、V20)を、二次側経路に三方弁23(以下、V23)を介して並列に配置される。また、ユニット101aの二次側経路には三方弁21(以下、V21)が、さらにユニット101bの二次側経路には三方弁22(以下、V22)が設置され、各々弁21,22に二酸化炭素排出経路104が接続される。尚、ユニット101a,bの二次側(図3においては、V23の二次側)には、二酸化炭素濃度測定手段103が付帯され、ユニット101a,bの二酸化炭素除去性能が監視される。
【0109】
電源102は、ユニット101aとユニット101bの共有設備であり、充放電装置を備えている。充放電装置は、交流電源を直流電源に変換させる機能を有している。当該装置は、二酸化炭素固定時には、前記直流電源の正極をユニット101a,bの正極に接続させ、同じくこの電源の負極を同ユニット101a,bの負極に接続させる(以下、これを充電接続と称する)。また、二酸化炭素放出時には、前記直流電源の正極を前記ユニット101a,bの負極に接続させ、同じくこの電源の負極を同ユニット101a,bの正極に接続させる(以下、これを放電接続と称する)。尚、前記二酸化炭素放出時において、ユニット101aとユニット101bに外部負荷を接続することにより、貯えた電気エネルギーを系外に供給してもよい。
【0110】
二酸化炭素固定手段は、ユニット101を二つ設けることに限らない。例えば、ユニット101を三つ並列に設置した場合には、固定、放出を各々1/2づつタイミングをずらせるなど、その設置数等に応じて、切換えのタイミングは適宜設定できる。但し、三つ以上の二酸化炭素固定ユニットを設置する場合には、切換えのタイミング等に応じて、適宜に複数の電源を設ける必要がある。
【0111】
ユニット101a,bは、図11(b)のタイムスケジュールに基づき、二酸化炭素の固定及び放出を交互に行なって、連続的な二酸化炭素の固定と電力の生産を可能としている。ここで、二酸化炭素の固定及び放出の切替時間は、流入負荷量に応じて任意に設定される。
【0112】
図11(b)において、ユニット101aは二酸化炭素固定工程を終了させると二酸化炭素放出工程に、ユニット101bは二酸化炭素固定工程に移行する。
【0113】
このとき、被処理ガスの供給路はV20によってユニット101b側に設定され、さらにユニット31bからの処理ガスの排出路はV22,23によって次工程側(図1においては脱硫装置、改質装置)に設定される。
【0114】
二酸化炭素放出工程に移行したユニット101aにおいて、電源102の接続は放電接続に切り替わる。このときV21は経路104側に設定されており、放電により遊離した二酸化炭素が、ブロワ等により吸引され、系外に移送される。
【0115】
一方、二酸化炭素固定工程に移行したユニット101bにおいて、電源102の接続は充電接続に切り替わる。ここでの二酸化炭素固定の詳細な説明は、図3での二酸化炭素原理に説明に譲る。二酸化炭素が除去された処理ガスは、ブロワ等によって吸引され、前記次工程に供される。設定時間が消化されると、ユニット101bは二酸化炭素取出し工程に移行し、ユニット101aは二酸化炭素固定工程に移行する。
【0116】
このように、当該二酸化炭素固定手段は、二酸化炭素ユニット101を2基並列に配置させて交互に二酸化炭素の固定と放出を行っているから、二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素は効率的且つ連続的に分離除去される。
【0117】
【発明の効果】
以上のことから、本発明に係る二酸化炭素含有ガス処理方法及びその装置は、以下の効果を奏する。
【0118】
気相中の二酸化炭素を除去することができる。これによって、二酸化炭素排出源から供給されたガスから、容易に高濃度の二酸化炭素ガスを得ることが可能となる。
【0119】
また、希釈操作のみの容易な制御操作によって、任意に必要な二酸化炭素濃度を得ることができるので、光合成生物の特性に応じた二酸化炭素濃度の調節が可能となり、当該光合成生物の生育が促進される。特に、大気を導入することによって、低廉な希釈操作が可能となるばかりでなく、大気中の二酸化炭素も回収される。
【0120】
さらに、本発明における二酸化炭素の放出過程において、二酸化炭素の他に酸素も放出されるので、光合成と酸素呼吸とを行う光合成生物、特に植物にとっては良好なガス雰囲気が得られ、当該生物の生育が促進される。
【0121】
このように、本発明は、温室効果ガスの一つである二酸化炭素を回収しながら、有用資源となり得る光合成生物に応じたガス環境を容易に創り出すことができるので、二酸化炭素削減対策及び地球温暖化対策に大いに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る二酸化炭素含有ガス処理装置システムの概要図。
【図2】本発明に係る二酸化炭素含有ガス処理装置システムの概要図。
【図3】本発明に係る二酸化炭素固定装置の原理説明図。
【図4】本発明に係る二酸化炭素固定装置の概略構成図。
【図5】充電時及び放電時での本発明に係る反応器の負極側における二酸化炭素濃度の経時的変化を示した特性図。
【図6】二酸化炭素固定ユニット(その1)の概略構成図、(a)は平面図、(b)はA−A断面図。
【図7】二酸化炭素固定ユニット(その2)の概略構成図、(a)は平面図、(b)はA−A断面図。
【図8】二酸化炭素固定ユニット(その3)の概略構成図、(a)は平面図、(b)はA−A断面図。
【図9】二酸化炭素固定ユニット(その4)の概略構成図。
【図10】二酸化炭素固定ユニットの実施形態の一例。
【図11】(a)は本発明に係る二酸化炭素固定手段の概要図、(b)はそのタイムスケジュールの一例。
【符号の説明】
1…二酸化炭素含有ガス排出施設
2…二酸化炭素固定手段
3…二酸化炭素貯留装置
4…二酸化炭素希釈装置
5,5a,5b,5c…光合成生物培養ハウス
6…制御装置
50…光源(太陽光、照明)
51,51a,51b,51c…照度センサ
52,52a,52b,52c…二酸化炭素濃度センサ
53,53a,53b,53c…温度センサ
Claims (2)
- 二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を固定する工程と、
前記固定した二酸化炭素を放出する工程と、
前記二酸化炭素を放出する工程から供給された二酸化炭素に富むガスを、気相中の二酸化炭素濃度が一定濃度となるように希釈する工程と、
前記希釈する工程から供給されたガスを光合成生物の培養ハウスに供給して、光合成によって当該ガス中の二酸化炭素を前記生物に吸収させる工程とからなる二酸化炭素含有ガス処理方法であって、
前記二酸化炭素を固定する工程は、正極と負極とを設けた固体電解質の正極に、イオン供給源物質を接触させ、かつ、前記固体電解質の負極に、酸素を含んだ前記二酸化炭素含有ガスを接触すると共に、前記正負極間に直流電圧を印加することによって、前記負極側において気相中の二酸化炭素を炭酸塩として固定させること、
前記二酸化炭素を放出する工程は、前記電圧が印加された正負極間の電位を逆転させることによって、前記固定した二酸化炭素を遊離させること、及び
前記固体電解質がナトリウムイオン導電体である場合は前記イオン供給源物質がナトリウム化合物であること、若しくは前記固体電解質がリチウムイオン導電体である場合は前記イオン供給源物質がリチウム化合物であること
を特徴とする二酸化炭素含有ガス処理方法。 - 二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素を固定及び放出する二酸化炭素固定手段と、
前記二酸化炭素固定手段から供給された二酸化炭素に富むガスを大気よって希釈する二酸化炭素希釈装置と、
前記希釈されたガスが供給される光合成生物培養ハウスと、
前記ハウス内の照度、気温及び二酸化炭素濃度に基づいて前記希釈操作若しくは前記ハウスへのガス供給量を制御する制御装置と、を具備した二酸化炭素含有ガス処理装置であって、
前記二酸化炭素固定手段は、
イオン供給源物質が供給される正極と前記二酸化炭素含有ガスが供給される負極とを設けた固体電解質と、二酸化炭素固定時において前記正負極間に電圧を印加し、二酸化炭素放出時において前記電圧が印可された正負極間の電位を逆転させることが可能な電源と、を備えた二酸化炭素固定装置を具備し、
前記固体電解質がナトリウムイオン導電体である場合は前記イオン供給源物質がナトリウム化合物であること、若しくは
前記固体電解質がリチウムイオン導電体である場合は前記イオン供給源物質がリチウム化合物であること
を特徴とする二酸化炭素含有ガス処理装置。
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JP2002228097A JP2004066091A (ja) | 2002-08-06 | 2002-08-06 | 二酸化炭素含有ガス処理方法及びその装置 |
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JP7424913B2 (ja) | 2020-05-22 | 2024-01-30 | 株式会社テヌート | 植物栽培施設 |
-
2002
- 2002-08-06 JP JP2002228097A patent/JP2004066091A/ja active Pending
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