JP2002241657A - インク及びインクセット - Google Patents

インク及びインクセット

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JP2002241657A
JP2002241657A JP2001043525A JP2001043525A JP2002241657A JP 2002241657 A JP2002241657 A JP 2002241657A JP 2001043525 A JP2001043525 A JP 2001043525A JP 2001043525 A JP2001043525 A JP 2001043525A JP 2002241657 A JP2002241657 A JP 2002241657A
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pigment
water
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black
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Mikifumi Ogasawara
幹史 小笠原
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色剤として顔料を用い、保存安定性、耐目詰
まり性、吐出安定性、間欠印字性、耐水性、耐候性が良
好で、且つ高い画像濃度で滲みのない画像が得られるイ
ンクジェット用インクを提供すること。 【解決手段】 水、顔料分散体及び水溶性有機溶剤を少
なくとも含有し、(a)25℃における導電率が0.1
〜1.0mS/mであり、(b)顔料分散体のイオン性
親水基のカウンターイオンとして用いる酸若しくは塩基
の少なくとも40%を超える量が、(0.01モル/l
のときのモル導電率)÷(0.1モル/lのときのモル
導電率)が2以上であることを特徴とするインク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインク及びインクセ
ットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりインクジェット記録方式に用い
られてきたインクは、水溶性染料を含有していた。該イ
ンクは、長期保存安定性や吐出安定性等に優れている
が、画像の耐水性や耐侯性に乏しく、また、隠ぺい力の
ある高い画像濃度を実現できなかった。そこで、色剤と
して顔料を用いたインクは、耐水性や耐侯性に優れ、ま
た、高い印字濃度を有しながら、滲みのない画像を得る
ことができることから近年多くの提案がなされている。
【0003】しかし、顔料を含むインクジェット用イン
クには、上記のようなメリットがある一方で、長期保存
安定性や、ノズル近傍での水分の蒸発に伴う目詰まり等
の問題がある。この要因の一つにインク中に存在するイ
オン性不純物の影響が知られている。イオン性不純物
は、顔料粒子同士の静電的反発力を低下せしめることが
知られており、この手法を用いた例として、特開平5−
331391号公報には、インク中の特定イオン濃度を
一定量以下に制限し、顔料の凝集を防止しようとしてい
る。但しこの先行技術のインクについても、長期保存安
定性や、ノズル近傍での水分の蒸発に伴う目詰まり等の
問題や吐出安定性を十分に満足できるものではない。
【0004】また、従来よりブラックインクを他の色
(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー等)のインクと
ともに用いてカラー画像の印字を行った場合、記録媒体
上でブラック画像部と、カラー画像部との境界におい
て、色が滲んだり、インクが不均一に混合され、画像の
品位が低下する現象(以下「ブリーディング」と称す
る)が認められることがあった。
【0005】このようなブリーディングについては所謂
界面活性剤の添加によって、インクの記録媒体中への浸
透性を向上させる手段が特開昭55−65269号公報
に提案されている。また、インクの溶剤として揮発性溶
剤を主体として用いる手段が特開昭55−66976号
公報に提案されている。しかし、これらの先行技術のイ
ンクについては、画像濃度の低下、画像品位の低下及び
吐出安定性の低下をもたらすことがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の解決しようと
している課題は、第一に、色剤として顔料を用い、保存
安定性、耐目詰まり性、吐出安定性、間欠印字性、耐水
性、耐候性が良好で、且つ高い画像濃度で滲みのない画
像が得られるインクを提供することにある。また、第二
に、顔料を用いたインクをブラックインクとして使用
し、水溶性染料を用いたカラーインクとともに使用して
カラー画像を形成させる際に、ブラックインク−カラー
インク間でブリーディングのない画像が得られるインク
セットを提供することにある。
【0007】
【発明を解決するための手段】本発明者は鋭意検討の結
果、第一の課題に対し、保存安定性、耐目詰まり性、吐
出安定性、耐水性、耐候性が良好で、且つ高い画像濃度
で滲みのない画像を提供するためには、第一の発明とし
て、水、顔料分散体及び水溶性有機溶剤を少なくとも含
有し、(a)25℃における導電率が0.1〜1.0m
S/cmであり、(b)顔料分散体のイオン性親水基の
カウンターイオンとして用いる酸若しくは塩基の少なく
とも40%を超える量が、(0.01モル/lのときの
モル導電率)÷(0.1モル/lのときのモル導電率)
が2以上であるインクが必要であるという結論に至っ
た。
【0008】インクの導電率が0.1mS/cm未満に
なると、顔料分散体の表面官能基の解離が十分に行われ
ず、保存安定性、吐出安定性性、耐目詰まり性が低下し
てしまう。また、導電率が1.0mS/cmを超える
と、インク中の電解質濃度が高いことによる電気二重層
の圧縮が発生し、分散している顔料粒子同士の反発力が
低下してしまい、インクの保存安定性、吐出安定性、耐
目詰まり性が低下してしまう。
【0009】更に顔料分散体のイオン性親水基のカウン
ターイオンとして用いる酸若しくは塩基の少なくとも4
0%を超える量が、(0.01モル/lのときのモル導
電率)÷(0.1モル/lのときのモル導電率)が2未
満のような強酸/強塩基であると、たとえ、導電率が
1.0mS/m以下であっても、間欠印字性が低下して
しまうことが判明した。この理由は定かではないが、間
欠印字の際、ノズル近傍での水分の蒸発で、インク中の
強電解質イオン濃度が増加し、分散している顔料粒子表
面の電気二重層の圧縮が間欠印字に弊害を与えていると
考えられる。
【0010】また、本発明者らは第二の課題に対し、顔
料を用いたインクをブラックインクとして使用し、水溶
性染料を用いたカラーインクとともに使用してカラー画
像を形成させる際に、ブラックインク−カラーインク間
でブリーディングのない画像が得られるためには、第二
の発明として、前記記載のインクのうちのブラックイン
クと、アニオン性の水溶性染料、水及び水溶性有機溶剤
を少なくとも含有するカラーインクとからなるカラー画
像を形成するためのインクセットであって、該カラーイ
ンクの少なくとも1色以上の導電率が5.0〜20mS
/cmであるインクセットが必要であるという結論に至
った。
【0011】カラーインクの導電率をブラックインクよ
り高くするのは以下の理由による。顔料分散体を含むブ
ラックインクを電解質を多く含むカラーインクと隣接し
て記録すると、顔料分散体はカラーインクとの接触部分
において、電気二重層の圧縮が発生し、分散している顔
料粒子同士の反発力が低下してしまい、顔料分散が破壊
/若しくは分散が非常に不安定になり、結果としてブリ
ーディングがよく防止できるのである。逆にカラーイン
クの導電率が20mS/cmを超えると、電解質が水溶
性染料自体を塩析させてしまうため、カラーインクの安
定性に弊害を与えてしまう。本発明において、導電率
は、DS−12(堀場製作所製)を用いて25℃で測定
した値である。
【0012】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明を更に詳しく説明する。本発明において用いられ
る顔料分散体としては、顔料表面に少なくとも1種の親
水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合している
自己分散型顔料や、顔料を分散剤を用いて、水中へ分散
せしめたもの、若しくはそれらの混合物が適用可能であ
る。また、インク中への顔料の配合量は、インク全量に
対し、0.1〜15重量%、望ましくは、1〜10重量
%の範囲とする。
【0013】次に本発明で好ましく使用する自己分散型
カーボンブラックについて詳述する。自己分散型カーボ
ンブラックとしてはイオン性を有するものが好ましく、
例えば、アニオン性やカチオン性に帯電したカーボンブ
ラックを好適に用いることができる。
【0014】アニオン性に帯電したカーボンブラックと
しては、カーボンブラックの表面に、例えば、以下に示
したような親水性基を結合させたものが挙げられる。−
COO(M2)、−SO3(M2)2、−PO3H(M2)、−P
3(M2)2、−R−COO(M2)、−R−SO3(M2)2
−R−PO3H(M2)、−R−PO3(M2)2等。
【0015】上記式中、M2は水素原子、アルカリ金
属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。Rは
炭素原子数1〜12のアルキレン基、置換若しくは未置
換のフェニレン基、又は置換若しくは未置換のナフチレ
ン基を表わす。これらの中で特に−COO(M2)や−S
3(M2)がカーボンブラック表面に結合してアニオン性
に帯電せしめたカーボンブラックは、インク中の分散性
が良好なため本発明に特に好適に用い得る。
【0016】ところで、上記親水性基中の「M2」とし
て表したもののうち、アルカリ金属の具体例としては、
例えば、Li、Na、K、Rb及びCs等が挙げられ、
また、有機アンモニウムの具体例としては、例えば、メ
チルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチル
アンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニ
ウム、トリエチルアンモニウム、メタノールアンモニウ
ム、ジメタノールアンモニウム、トリメタノールアンモ
ニウム等か挙げられる。
【0017】そして、M2をアンモニウム或いは有機ア
ンモニウムとした自己分散型カーボンブラックを含む本
発明のインクは、記録画像の耐水性をより向上させるこ
とができ、この点において特に好適に用いることができ
る。これは当該インクが記録媒体上に付与されると、ア
ンモニウムが分解し、アンモニアが蒸発する影響するこ
とによるものと考えられる。ここで、M2をアンモニウ
ムとした自己分散型カーボンブラックは、例えば、M2
がアルカリ金属である自己分散型カーボンブラックをイ
オン交換法を用いてM2をアンモニウムに置換する方法
や、酸を加えて、自己分散型カーボンブラックをH型と
した後に水酸化アンモニウムを添加してM2をアンモニ
ウムにする方法等が挙げられる。
【0018】アニオン性に帯電している自己分散型カー
ボンブラックの製造方法としては、例えば、カーボンブ
ラックを次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法が挙げら
れ、この方法によってカーボンブラック表面に−COO
Na基を化学結合させることができる。
【0019】カチオン性に帯電したカーボンブラックと
しては、カーボンブラックの表面に、例えば、下記に示
す第4級アンモニウム基から選ばれる少なくとも1つを
結合させたものが挙げられる。
【0020】 上記式中、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、置換
若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは末置換のナ
フチル基を表わす。尚、上記のカチオン性基にはカウン
ターイオンとして、例えば、NO3 -やCH3COO-が存
在する。
【0021】上記したような親水性基が結合されてカチ
オン性に帯電している自己分散型カーボンブラックを製
造する方法としては、例えば、下記に示す構造のN−エ
チルピリジル基を結合させる方法を例にとって説明する
と、 カーボンブラックを3−アミノ−N−エチルピリジニウ
ムブロマイドで処理する方法が挙げられる。このように
カーボンブラック表面への親水性基の導入によってアニ
オン性若しくはカチオン性に帯電させたカーボンブラッ
クは、イオンの反発によって優れた水分散性を有するた
め、水性インク中に含有させた場合にも分散剤等を添加
しなくても安定した分散状態を維持する。
【0022】ところで、上記したような種々の親水性基
は、カーボンブラックの表面に直接結合させてもよい。
或いは他の原子団をカーボンブラック表面と該親水性基
との間に介在させ、該親水性基をカーボンブラック表面
に間接的に結合させてもよい。ここで他の原子団の具体
例としては、例えば、炭素原子数1〜12の直鎖状若し
くは分岐鎖状のアルキレン基、置換若しくは未置換のフ
ェニレン基、置換若しくは未置換のナフチレン基が挙げ
られる。ここでフェニレン基及びナフチレン基の置換基
としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状
のアルキル基が挙げられる。また、他の原子団と親水性
基の組合わせの具体例としては、例えば、−C24CO
OM、−Ph−SO3M、−Ph−COOM等(但し、
Phはフェニル基を表す)が挙げられる。
【0023】ところで、本発明において上記した自己分
散型カーボンブラックの中から2種類若しくはそれ以上
を適宜選択したインクの色材に用いてもよい。また、イ
ンク中への自己分散型カーボンブラックの添加量として
は、インク全重量に対して、0.1〜15重量%、特に
は1〜10重量%の範囲とすることが好ましい。この範
囲とすることで自己分散型カーボンブラックはインク中
で十分な分散状態を維持することができる。
【0024】本発明では、顔料分散体は、顔料を分散剤
を用いて水中へ分散せしめたものであってもよい。顔料
としてはカーボンブラックの他に種々の色相の顔料が挙
げられる。
【0025】本発明で用いることができるブラック顔料
としては、例えば、ファーネス法、チャンネル法で製造
されたカーボンブラックであって、一次粒子径が15〜
40mμm、BET法による比表面積が50〜300m
2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、
揮発分が0.5〜10重量%、pH値が2〜9である等
の特性を有するものが好ましく用いられる。このような
特性を有する市販品のカーボンブラックとしては、例え
ば、No.2300、No.900、MCF88、N
o.33、No.40、No.45、No.52、MA
7、MA8)、#2200B(以上、三菱化成製)、R
aven1255(以上、コロンビア製)、Regal
400R、Regal330R、Regal660R、
MogulL(以上、キャボット製)、Color B
lack FW1、ColorBlack FW18、
Color Black S170、Color Bl
ack S150、Printex 35、Print
ex U(以上、デグッサ製)等があり、何れも好まし
く使用することができる。また、上記のものの他、本発
明のために新たに製造された顔料も、むろん、使用する
ことができる。
【0026】本発明で用いることができるイエロー顔料
としては、C.I.PigmentYellow 1、
C.I.Pigment Yellow 2、C.I.
Pigment Yellow 3、C.I.Pigm
ent Yellow 16、C.I.Pigment
Yellow 83等が挙げられるが、これらに限定
されない。
【0027】本発明で用いることができるマゼンタ顔料
としては、C.I.PigmentRed 5、C.
I.Pigment Red 7、C.I.Pigme
ntRed 12、C.I.Pigment Red
48(Ca)、C.I.Pigment Red 48
(Mn)、C.I.Pigment Red 57(C
a)、C.I.Pigment Red 112、C.
I.PigmentRed 122等が挙げられるが、
これらに限定されない。
【0028】本発明で用いることができるシアン顔料と
しては、C.I.PigmentBlue 1、C.
I.Pigment Blue 2、C.I.Pigm
ent Blue 3、C.I.Pigment Bl
ue 22、C.I.vatBlue 4、C.I.v
at Blue 6等が挙げられるが、これらに限定さ
れない。
【0029】上記顔料の分散剤としては、イオン性を有
するものが好ましい。例えば、カチオン性の親水基を持
つ分散剤や、アニオン性の親水基をもつ分散剤が好適に
用いることができる。本発明で用いることができるカチ
オン性分散剤は、カチオン性モノマーと疎水性モノマー
との共重合体を用いるのが好ましい。カチオン性モノマ
ーとしては、下記の如きモノマー、及びそれらの4級化
された化合物が挙げられる。N,N−ジメチルアミノエ
チルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルア
クリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N
−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ
プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロ
ピルメタクリルアミド。
【0030】尚、上記の化合物を4級化するには、塩化
メチル、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、エピクロ
ルヒドリン等を用いて常法で行えばよい。次に、疎水性
モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン等のスチレン類、アクリロニトリル、及び
(メタ)アクリル酸アクリルエステル類がある。上記の
ような、カチオン性モノマーと疎水性モノマーを共重合
させる場合には、共重合体中のカチオン性モノマーと、
疎水性モノマーとの重量比率を10:90〜60:40
の範囲とするのが好ましい。
【0031】本発明で用いるアニオン性分散剤として
は、具体的には、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナ
フタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン
性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、ア
クリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸
誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、
フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ア
クリルアミド、及びその誘導体等から選ばれた少なくと
も2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性
単量体)からなるブロック共重合体、或いはランダム共
重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げら
れる。或いはロジン、シェラック、デンプン等の天然樹
脂も好ましく使用することができる。これらの樹脂は、
塩基を溶解させた水溶液に可溶であり、アルカリ可溶型
樹脂である。
【0032】上記分散剤を用いて、顔料を水中に分散さ
せる方法、例えば、ブラックインクの作製方法として
は、水溶性樹脂と水とが少なくとも含有されている水性
媒体とからなる混合液中に顔料を添加し、撹拌した後、
後述の分散手段を用いて顔料の分散を十分に行い、更に
必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を
得る。次に、この顔料分散液に上記で挙げたような適宜
に選択された添加剤成分を加え、撹拌してブラックイン
クとする。また、樹脂を溶解させるために必要であれ
ば、前述したように酸を添加することが必要となる。
【0033】更に、上記の製造方法において、顔料を含
む水性媒体を撹拌して分散処理する前に、フレミキシン
グを30分間以上行うと効果的である。このようなフレ
ミキシング操作によって、顔料表面の濡れ性が改善さ
れ、顔料表面への分散剤の吸着を促進させることができ
るために好ましい。
【0034】また、本発明において顔料の分散処理の際
に使用する分散機としては、一般に使用される分散機な
らば如何なるものでもよく、例えば、ボールミル、ロー
ルミル及びサンドミル等が挙げられる。その中でも、高
速型のサンドミルが特に好ましく使用される。このよう
なものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグライ
ンダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダ
イノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品
名)等が挙げられる。また、顔料分散体としてはカチオ
ン性であるものが好適に用いられる。
【0035】本発明で用いることができる、顔料分散体
のカウンターイオンとしては、少なくとも40%を超え
る量が(0.01モル/lのときのモル導電率)÷
(0.1モル/lのときのモル導電率)が2以上である
ような、弱酸(カチオン分散に対して)又は弱塩基(ア
ニオン分散に対して)が好適に用いられる。
【0036】弱酸について更に具体的な例を挙げると、
蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪族カルボン酸や、グ
リコニル酸、グリセリン酸、グルコン酸等の、オキシ酸
類、安息香酸等の芳香族カルボン酸等若しくはそれらの
誘導体、また、フッ酸、リン酸等若しくはそれらの誘導
体が拳げられる。弱塩基について更に具体的な例を挙げ
ると、アンモニア、1級アミン、2級アミン、3級アミ
ンや、4級アンモニウムヒドロキシドが挙げられる。
【0037】本発明で用いるインクの液媒体としては、
水、又は水に下記の如き水溶性有機溶剤を混合した水性
媒体が挙げられ、好適に使用される水溶性有機溶媒とし
ては、例えば、炭素数1から4のアルキルアルコール類
(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−
プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブ
チルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチ
ルアルコール等)、ケトン又はケトアルコール類(例え
ば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の
アミド類、アセトン、ジアセトンアルコール等)、エー
テル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン
等)、ポリアルキレングリコール類(例えば、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール等)、アル
キレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコ
ール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコー
ル、へキシレングリコール、ジエチレングリコール
等)、多価アルコール等のアルキルエーテル類(例え
ば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリ
コールエチルエーテル、トリエチレンモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等)、
更には、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げ
られる。インク中におけるこれらの水溶性有機溶剤のト
ータルの量としては、インク全体の量に対して、2〜6
0重量%、更に好適な範囲は5〜25重量%である。
【0038】また、本発明のインクを構成するのに特に
好ましい水溶性有機溶剤はグリセリンであり、その添加
量はインク中の重量%として、2〜30重量%、更には
5〜15重量%が好適である。更に好適な水溶性有機溶
剤は、グリセリンと多価アルコール(例えば、ジエチレ
ングリコールやエチレングリコール等)を含有する混合
溶剤であり、グリセリンと他の多価アルコールとの混合
比としてはグリセリン:その他の多価アルコールで1
0:5〜10:50(重量比)の範囲とすることが好ま
しい。グリセリンとともに用いる他の多価アルコールと
しては、例えば、ジエチレングリコール、エチレングリ
コール、ポリエチレングリコールやプロピレングリコー
ル等が挙げられる。これらのグリセリン、又はグリセリ
ンと多価アルコールとの混合体は他の水溶性有機溶剤と
更に混合して用いることが可能である。
【0039】以上のように、水、顔料分散体及び水溶性
有機溶剤を少なくとも含有し、(a)25℃における導
電率が0.1〜1.0mS/cmであり、(b)顔料分
散体のイオン性親水基のカウンターイオンとして用いる
酸若しくは塩基の少なくとも40%を超える量が、
(0.01モル/lのときのモル導電率)÷(0.1モ
ル/lのときのモル導電率)が2以上であるインクを用
いることにより、保存安定性、耐目詰まり性、吐出安定
性、耐水性、耐候性が良好で、且つ高い画像濃度で滲み
のない画像を提供することができる。又、本発明のイン
クは、種々の記録用インクとして好適に用いられるが、
特にインクジェット用に好適に用いることができる。
【0040】また、前記顔料インクのうちのブラックイ
ンクと、アニオン性の水溶性染料、水及び水溶性有機溶
剤を少なくとも含有するカラーインクとからなるカラー
画像を形成するためのインクセットであって、該カラー
インクの少なくとも1色以上の導電率が5.0〜20m
S/cmであるインクセットを提供する。
【0041】本発明で用いるカラーインクに用いる水溶
性アニオン染料としては、カラーインデックス(COLOUR
INDEX)に記載されている水溶性染料、直接染料、反応
染料等であれば特に限定されない。また、カラーインデ
ックスに記録されていない染料であっても、特に限定さ
れない。ここでいう水溶性染料の中には、溶解度のpH
依存性があるものも当然に含まれる。これらの染料は、
本発明のインク中に、好ましくは1〜10重量%、より
好ましくは1〜5重量%の範囲で使用される。
【0042】本発明において使用するカラーインクの水
溶性染料としては、分子内に−COOM基(Mはアルカ
リ金属又はアンモニウムを表す。)を1個以上有する染
料を好適に使用することができる。具体的には、例え
ば、下記の一般式(1)〜(4)で表されるような染料
が本発明において有効に使用することができる。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】 上記のような染料の使用量については特に制限されない
が、インクの全重量に対して0.1〜15重量%の範囲
が好適で、0.1〜10重量%の範囲がより好適であ
る。また、上記カラーインクの液媒体は前記顔料インク
の液媒体と同様である。
【0047】本発明のインクには、前記の各材料に加え
て、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、その他、物性調
節のための各種補助材料を添加することができる。界面
活性剤としては、ノニオン界面活性剤、両性界面活性、
カチオン界面活性剤等が使用できる。これらの界面活性
剤は、インクの浸透性アップ、吐出デバイス部材とのぬ
れ性、流動特性、分散安定に対する補助剤として等、添
加の目的は多様である。尚、本発明のインクには、界面
活性剤の他に、機能性を付与するためのpH調製剤、防
腐剤等の各種の添加剤が添加されいてもよい。
【0048】本発明でアニオン性染料を用いるカラーイ
ンクの導電率を調整するための成分として、アルカリ金
属、1級〜3級アミン、4級アンモニウムの水酸化物若
しくは、無機酸/有機酸塩から選ばれる少なくとも1つ
を含有することが好ましい。また、上記カラーインクと
セットにするブラックインクの表面張力は、40dyn
e/cm以上であることが好ましい。また、インクセッ
トのカラーインクの表面張力が、32dyne/cm以
下であることが好ましい。
【0049】以上のように前記ブラックインクと、アニ
オン性の水溶性染料、水及び水溶性有機溶剤を少なくと
も含有する上記カラーインクとからカラー画像を形成す
ることにより、ブラックインク−カラーインク間でブリ
ーディングのない画像が得られる。又、本発明のインク
セットは、特にインクジェット用に好適に用いることが
できる。
【0050】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。 (実施例1) 〜ブラック顔料分散体Aの作成〜 表面積が230m2/gで、DBP吸油量が70ml/
100gのカーボンブラック10gと3−アミノ−N−
エチルピリジニウムブロマイド3.06gを水72gに
よく混合した後、これに硝酸1.62gを滴下し、70
℃に撹拌した。ここに更に数分後、5gの水に1.07
gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時
間撹拌した。得られたスラリーを濾紙(商品名:東洋濾
紙No.2;アドバンティス社製)で濾過し、顔料粒子
を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、更に
この顔料に水を足して顔料濃度10重量%の顔料水溶液
を作成した。以上の方法によりカーボンブラックの表面
に下記化学式に示す基を導入した。
【0051】その後、強塩基性イオン交換樹脂(製品
名:ダイアイオンSA−10A:日本錬水株式会社製)
10gへ上記顔料水溶液100gを添加し、2時間撹拌
し、上記ピリジニウム基をOH型へイオン交換した。そ
の後、ポア径100μmのメッシュフィルターで、イオ
ン交換樹脂と顔料水溶液を分離し、この顔料水溶液を酢
酸でpH5に調整した。
【0052】〜ブラックインクAの作成〜 ・ブラック顔料分散体A 50重量部 ・グリセリン 10重量部 ・トリメチロールプロパン 7重量部 ・アセチレノールEH 0.1重量部 ・イオン交換水 残部 上記に示す材料を撹拌混合し、ポア径2μmのメンブラ
ンフィルターで濾過して、カチオン性分散インクAを得
た。このインクにおける顔料分散体のカウンターイオン
は酢酸であり、このインクの導電率を測定したところ
0.23mS/cmであった。
【0053】(実施例2) 〜ブラック顔料分散体Bの作成〜 表面積が230m2/gで、DBP吸油量が70ml/
100gのカーボンブラック10gと3−アミノ−N−
エチルピリジニウムブロマイド2.06gを水72gに
よく混合した後、これに硝酸1.62gを滴下し、70
℃に撹拌した。ここに更に数分後、5gの水に1.07
gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時
間撹拌した。得られたスラリーを濾紙(商品名:東洋濾
紙No.2;アドバンティス社製)で濾過し、顔料粒子
を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、更に
この顔料に水を足して顔料濃度10重量%の顔料水溶液
を作成した。以上の方法によりカーボンブラックの表面
に下記化学式に示す基を導入した。
【0054】その後、強塩基性イオン交換樹脂(製品
名:ダイアイオンSA−10A;日本錬水株式会社製)
10gへ上記顔料水溶液100gを添加し、2時間撹拌
し、上記ピリジニウム基をOH型へイオン交換した。そ
の後、ポア径100μmのメッシュフィルターで、イオ
ン交換樹脂と顔料水溶液を分離し、この顔料水溶液を酢
酸と硝酸をモル比7:3で添加し、pH5に調整した。
【0055】〜ブラックインクBの作成〜 ・ブラック顔料分散体B 40重量部 ・グリセリン 10重量部 ・トリメチロールプロパン 7重量部 ・アセチレノールEH 0.1重量部 ・イオン交換水 残部
【0056】上記に示す材料を撹拌混合し、ポア径2μ
mのメンブランフィルターで濾過して、カチオン性分散
インクBを得た。このインクにおける顔料分散体のカウ
ンターイオンは酢酸と硝酸の混合物であり、その比はモ
ル比で7:3であった。このインクの導電率を測定した
ところ0.44mS/cmであった。
【0057】(実施例3) 〜ブラック顔料分散体Cの作成〜 ・カーボンブラック 10重量部 ・スチレン−N,N−ジメチルアミノエチル メタクリレート−エチルアクリレート共重合体(分子量
約2万、モノマー構成比50:40:10)10重量部 ・MEK 30重量部 を混合溶解し、酢酸で1.2当量中和したのち、転送乳
化を行い、最終的にメチルエチルケトンを除去して、固
形分濃度20重量%、平均粒子径120nmの顔料分散
体Cを得た。
【0058】〜ブラックインクCの作成〜 ・ブラック顔料分散体C 25重量部 ・グリセリン 10重量部 ・トリメチロールプロパン 7重量部 ・アセチレノールEH 0.1重量部 ・イオン交換水 残部 上記に示す材料を撹拌混合し、酢酸でpHを4に調整し
た後に、ポア径2μmのメンブランフィルターで濾過し
て、カチオン性分散インクCを得た。このインクにおけ
る顔料分散体のカウンターイオンは酢酸であり、このイ
ンクの導電率を測定したところ0.47mS/cmであ
った。
【0059】(実施例4) 〜ブラック顔料分散体Dの作成〜 5.3gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液を5℃にお
いてアントラニル酸1.58gを加えた。これにアイス
バスで撹拌することにより常に10℃以下に保たれた状
態で、5℃の8.7gの水に1.78gの亜硝酸ナトリ
ウムを加えた溶液を加えた。これに更に15分撹拌後、
表面積が320m2/gで、DBP吸油量が120ml
/100gのカーボンブラック20gを混合した状態の
まま加え、更に15分撹拌した。得られたスラリーを濾
紙(商品名;東洋濾紙No.2;アドバンティス社製)
で濾過し、濾過した顔料粒子を十分に水洗し、110℃
のオーブンで乾燥させ、更にこの顔料に水を足して顔料
濃度10重量%の顔料水溶液を作成した。以上の方法に
よりカーボンブラックの表面に下記化学式に示す基を導
入した。
【0060】その後、強酸性イオン交換樹脂(製品名:
ダイアイオンSKIB;日本錬水社製)10gへ上記顔
料水溶液100gを添加し、2時間撹拌し、上記カルボ
キシル基をH型へイオン交換した。その後、ポア径10
0μmのメッシュフィルターで、イオン交換樹脂と顔料
水溶液を分離し、この顔料水溶液へアンモニアを添加
し、pH8に調整した。
【0061】〜ブラックインクDの作成〜 ・ブラック顔料分散体D 60重量部 ・グリセリン 10重量部 ・トリメチロールプロパン 7重量部 ・アセチレノールEH 0.1重量部 ・イオン交換水 残部
【0062】上記に示す材料を撹拌混合し、ポア径2μ
mのメンブランフィルターで濾過して、カチオン性分散
インクDを得た。このインクにおける顔料分散体のカウ
ンターイオンはアンモニウムであり、このインクの導電
率を測定したところ0.60mS/cmであった。
【0063】(比較例1)〜ブラック顔料分散体1の作
成〜 ・カーボンブラック 10重量部 ・スチレン−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート−エチルアクリレート共重合体(分子量約2万、モ
ノマー構成比50:40:10)10重量 ・MEK 30重量部 を混合溶解し、塩酸で1.2当量中和したのち、転送乳
化を行い、最終的にメチルエチルケトンを除去して、固
形分濃度20%、平均粒子径120nmの顔料分散体1
を得た。
【0064】〜ブラックインク1の作成〜 ・ブラック顔料分散体1 25重量部 ・グリセリン 10重量部 ・トリメチロールプロパン 7重量部 ・アセチレノールEH 0.1重量部 ・イオン交換水 残部
【0065】上記に示す材料を撹拌混合し、ポア径2μ
mのメンブランフィルターで濾過して、カチオン性分散
インク1を得た。このインクにおける顔料分散体のカウ
ンターイオンは塩酸であり、このインクの導電率を測定
したところ2.0mS/cmであった。
【0066】(比較例2) 〜ブラック顔料分散体2の作成〜 表面積が230m2/gで、DBP吸油量が70m1/
100gのカーボンブラック10gと3−アミノ−N−
エチルピリジニブムブロマイド2.06gを水72gに
よく混合した後、これに硝酸1.62gを滴下し、70
℃に撹拌した。ここに更に数分後、5gの水に1.07
gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時
間撹拌した。得られたスラリーを濾紙(商品名:東洋濾
紙No.2:アドバソティス社製)で濾過し、顔料粒子
を十分に水洗し110℃のオーブンで乾燥させ、更にこ
の顔料に水を足して顔料濃度10重量%の顔料水溶液を
作成した。以上の方法によりカーボンブラックの表面に
下記化学式に示す基を導入した。
【0067】その後、強塩基性イオン交換樹脂(製品
名;ダイアイオンSA−10A:日本錬水株式会社製)
10gへ上記顔料水溶液100gを添加し、2時間撹拌
し、上記ピリジニウム基をOH型ヘイオン交換した。そ
の後、ポア径100μmのメッシュフィルターで、イオ
ン交換樹脂と顔料水溶液を分離し、この顔料水溶液を硝
酸でpH5に調整した。
【0068】〜ブラックインク2の作成〜 ・ブラック顔料分散体2 40重量部 ・グリセリン 10重量部 ・トリメチロールプロパン 7重量部 ・アセチレノールEH 0.1重量部 ・イオン交換水 残部
【0069】上記に示す材料を撹拌混合し、ポア径2μ
mのメンブランフィルターで濾過して、カチオン性分散
インク2を得た。このインクにおける顔料分散体のカウ
ンターイオンは硝酸であり、このインクの導電率を測定
したところ0.85mS/cmであった。
【0070】(比較例3) 〜ブラック顔料分散体3の作成〜 ・カーボンブラック 10重量部 ・スチレン−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート−エチルアクリレート共重合体(分子量約4万、モ
ノマー構成比60:20:20)5重量部 ・MEK 30重量部 を混合溶解し、酢酸で1.0当量中和したのち、転送乳
化を行い、最終的にメチルエチルケトンを除去して、固
形分濃度20%、平均粒子径120nmの顔料分散体3
を得た。
【0071】〜ブラックインク3の作成〜 ・ブラック顔料分散体3 25重量部 ・グリセリン 10重量部 ・トリメチロールプロパン 7重量部 ・アセチレノールEH 0.1重量部 ・イオン交換水 残部
【0072】上記に示す材料を撹拌混合し、ポア径2μ
mのメンブランフィルターで濾過して、カチオン性分散
インク3を得た。このインクにおける顔料分散体のカウ
ンターイオンは酢酸であり、このインクの導電率を測定
したところ0.09mS/cmであった。
【0073】上記に説明したブラックインクA〜D、1
〜3(実施例1〜4、比較例1〜3)の各々を以下の項
目について評価を行った。また、その結果を下記表1に
示す。 1)保存安定性 上記各々インクを60℃で1ヶ月間テフロン(登録商
標)ジャーにて保存し、下記の基準で評価した。 ○:イニシャルと比較して物性値に有意差なし。 △:イニシャルと比較して平均粒子径が1.2倍以上あ
る。 ×:イニシャルと比較して平均粒子径が2倍以上ある。
【0074】2)吐出安定性 上記各々インクをインクジェット装置(BJC−400
0:キヤノン製)を用いて、1ノズルあたり1×108
パルス印字させ、その前後のドット径を以下の基準で評
価した。 ○:ドット径の変化無し。 △:ドット径の変化が90%以下である。 ×:途中で印字不能になる。
【0075】3)耐目詰まり性 上記各々インクをインクジェット装置(BJC−400
0:キヤノン製)に充填し、35℃で2週間ノズルキャ
ップなしの状態で放置し、その後、何回の回復動作で復
帰するかを評価した。 ○:1回以内で回復。 △:3回以内で回復。 ×:5回以上必要。
【0076】4)間欠印字性 上記各々インクをインクジェット装置(BJC−400
0;キヤノン製)を用いて、縦罫線を印字し、その後、
ノズルからのインク予備吐出及び回復動作を行うことな
く、30秒後に再度縦罫線を印字し、得られた縦線の差
異を評価した。 ○:両者に有意差なし。 △:吐出はしているが、ドット径が小さく着弾位置も不
正確である。 ×:不吐出がある。
【0077】
【0078】〜カラーインクAの作成〜 ・C.I.ダイレクトイエロー86 3重量部 ・グリセリン 10重量部 ・尿素 10重量部 ・アセチレノールEH 1重量部 ・イオン交換水 残部 上記成分をよく撹拌後、ポア径0.2μmのメンブラン
フィルターで濾過して、カラーインクAを得た。このイ
ンクの導電率は4.8mS/cmであった。
【0079】〜カラーインクBの作成〜 ・C.I.アシッドレッド289 3重量部 ・グリセリン 10重量部 ・尿素 10重量部 ・アセチレノールEH 1重量部 ・イオン交換水 残部 上記成分をよく撹拌後、ポア径0.2μmのメンブラン
フィルターで濾過して、カラーインクBを得た。このイ
ンクの導電率は3.7mS/cmであった。
【0080】〜カラーインクCの作成〜 ・C.I.ダイレクトブルー199 3重量部 ・グリセリン 10重量部 ・尿素 10重量部 ・アセチレノールEH 1重量部 ・イオン交換水 残部 上記成分をよく撹拌後、ポア径0.2μmのメンブラン
フィルターで濾過して、カラーインクCを得た。このイ
ンクの導電率は3.6mS/cmであった。
【0081】〜カラーインクDの作成〜 ・C.I.ダイレクトイエロー86 3重量部 ・グリセリン 10重量部 ・尿素 10重量部 ・アセチレノールEH 1重量部 ・トリエタノールアミン 0.8重量部 ・硫酸アンモニウム 0.3重量部 ・イオン交換水 残部 上記成分をよく撹拌後、水酸化リチウムでインクのpH
を10に調整した。ポア径0.2μmのメンブランフィ
ルターで濾過して、カラーインクDを得た。このインク
の導電率は5.9mS/cmであった。
【0082】〜カラーインクEの作成〜 ・C.I.アシッドレッド289 3重量部 ・グリセリン 10重量部 ・尿素 10重量部 ・アセチレノールEH 1重量部 ・トリエタノールアミン 2重量部 ・硫酸アンモニウム 0.7重量部 ・イオン交換水 残部 上記成分をよく撹拌後、水酸化リチウムでインクのpH
を10に調整した。ポア径0.2μmのメンブランフィ
ルターで濾過して、カラーインクEを得た。このインク
の導電率は10.9mS/cmであった。
【0083】〜カラーインクFの作成〜 ・C.I.ダイレクトブルー199 3重量部 ・グリセリン 10重量部 ・尿素 10重量部 ・アセチレノールEH 1重量部 ・トリエタノールアミン 1重量部 ・硫酸アンモニウム 0.5重量部 ・イオン交換水 残部 上記成分をよく撹拌後、水酸化リチウムでインクのpH
を10に調整した。ポア径0.2μmのメンブランフィ
ルターで濾過して、カラーインクFを得た。このインク
の導電率は8.6mS/cmであった。
【0084】(実施例5)インクジェット装置(BJC
−600:キャノン製)を用い、以下のようにインクを
詰め替えた。 ブラック位置;ブラックインクA、 イエロー位置;カラーインクA マゼンタ位置;カラーインクB シアン位置;カラーインクF
【0085】次に、印字画像は10cm四方の正方形
を、5×5のマス目(1マスのサイズ:2cm×2c
m)で仕切り、ブラックインクと各カラーインクで交互
にベタ印字したものにより、ブラック印字部と、カラー
印字部の境界を評価できるものとした。また、この実施
例において、ブラック画像部には、カラーインクFを下
打ちし、その打ち込み量はブラックインクに対して6%
とした。
【0086】(実施例6)インクジェット装置(BJC
−600:キヤノン製)を用い、以下のようにインクを
詰め替えた。 ブラック位置;ブラックインクC イエロー位置;カラーインクD マゼンタ位置;カラーインクB シアン位置;カラーインクF
【0087】次に、印字面像は10cm四方の正方形
を、5×5のマス目(1マスのサイズ:2cm×2c
m)で仕切り、ブラックインクと各カラーインクで交互
にベタ印字したものにより、ブラック印字部と、カラー
印字部の境界を評価できるものとした。
【0088】(実施例7)インクジェット装置(BJC
−4000:キヤノン製)を用い、以下のようにインク
を詰め替えた。 ブラック位置;ブラックインクD イエロー位置;カラーインクA マゼンタ位置;カラーインクB シアン位置;カラーインクF
【0089】次に、印字画像は10cm四方の正方形
を、5×5のマス目(1マスのサイズ:2cm×2c
m)で仕切り、ブラックインクと各カラーインクで交互
にベタ印字したものにより、ブラック印字部と、カラー
印字部の境界を評価できるものとした。また、この実施
例において、ブラック画像にカラーとの境界線から5画
素分、カラーインクFを下打ちし、その打ち込み量はブ
ラックインクに対して10%とした。
【0090】(比較例4)インクジェット装置(BJC
−600;キヤノン製)を用い、以下のようにインクを
詰め替えた。 ブラック位置;ブラックインクA イエロー位置;カラーインクA マゼンタ位置;カラーインクB シアン位置;カラーインクC
【0091】次に、印字画像は10cm四方の正方形
を、5×5のマス目(1マスのサイズ=2cm×2c
m)で仕切り、ブラックインクと各カラーインクで交互
にベタ印字したものにより、ブラック印字部と、カラー
印字部の境界を評価できるものとした。
【0092】(比較例5)インクジェット装置(BJC
−600:キヤノン製)を用い、以下のようにインクを
詰め替えた。 ブラック位置;ブラックインクA イエロー位置;カラーインクA マゼンタ位置;カラーインクB シアン位置;カラーインクF
【0093】次に、印字画像は10cm四方の正方形
を、5×5のマス目(1マスのサイズ=2cm×2c
m)で仕切り、ブラックインクと各カラーインクで交互
にベタ印字したものにより、ブラック印字部と、カラー
印字部の境界を評価できるものとした。上記に説明した
実施例5〜7、比較例4、5の各々を以下の項目につい
て評価を行った。また、その結果を下記表2に示す。
【0094】5)ブリーディング 上記で説明したテストパターンを印字し、ブラックと各
カラーインクの境界におけるブリーディングを以下の基
準で評価した。 ○:全ての色において、2色問の境界線が鮮明で、境界
部に滲みや混色が見られない。 △:色によって、2色間の境界線が鮮明なものと、認識
不能なものがある。 ×:全ての色において、2色間の境界線が認識不能であ
る。
【0095】
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、保存安定性、耐目詰ま
り性、吐出安定性、間欠印字性、耐水性、耐候性が良好
で、且つ高い画像濃度で滲みのない画像が得られるイン
クジェット用インクが提供される。また、本発明によれ
ば、顔料を用いたインクをブラックインクとし、水溶性
染料を用いたカラーインクとともにカラー画像を形成さ
せる際に、ブラックインク−カラーインク間でブリーデ
ィングのない画像が得られるインクジェット用インクセ
ットが提供される。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA13 FC02 2H086 BA52 BA53 BA55 BA56 BA59 BA60 4J039 AB01 AB08 AB09 AD10 AD12 AD17 AE07 AF07 BA04 BA10 BA17 BA19 BA29 BC07 BC10 BC11 BC19 BC33 BC34 BC40 BC41 BC51 BC52 BC59 BC66 BC73 BC77 BC79 BE01 BE06 BE12 BE22 BE29 CA06 EA15 EA16 EA17 EA19 EA24 EA34 EA38 EA41 EA44 EA47 EA48 GA24

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水、顔料分散体及び水溶性有機溶剤を少
    なくとも含有し、(a)25℃における導電率が0.1
    〜1.0mS/mであり、(b)顔料分散体のイオン性
    親水基のカウンターイオンとして用いる酸若しくは塩基
    の少なくとも40%を超える量が、(0.01モル/l
    のときのモル導電率)÷(0.1モル/lのときのモル
    導電率)が2以上であることを特徴とするインク。
  2. 【請求項2】 顔料分散体中の顔料が、その表面に少な
    くとも1種の親水性基が直接若しくは他の原子団を介し
    て結合している自己分散型顔料である請求項1に記載の
    インク。
  3. 【請求項3】 顔料分散体が、顔料を分散剤を用いて水
    中へ分散せしめたものである請求項1に記載のインク。
  4. 【請求項4】 顔料分散体が、自己分散型顔料と、分散
    剤を用いて分散された顔料との混合物である請求項1に
    記載のインク。
  5. 【請求項5】 顔料分散体が、カチオン性の分散体であ
    る請求項1〜4の何れか1項に記載のインク。
  6. 【請求項6】 該インクがブラックインクである請求項
    1〜5の何れか1項に記載のインク。
  7. 【請求項7】 該インクがインクジェット用である請求
    項1〜6の何れか1項に記載のインク。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載のブラックインクと、カ
    ラーインクとを具備しているインクセットであって、該
    カラーインクは、アニオン性の水溶性染料、水及び水溶
    性有機溶剤を少なくとも含有し、且つ、導電率が5.0
    〜20mS/cmであることを特徴とするインクセッ
    ト。
  9. 【請求項9】 該カラーインクが、該導電率を調整する
    成分として、アルカリ金属、1級〜3級アミン、及び4
    級アンモニウムの水酸化物若しくは無機酸/有機酸塩か
    ら選ばれる少なくとも1つを含んでいる請求項8に記載
    のインクセット。
  10. 【請求項10】 ブラックインクの表面張力が、40d
    yne/cm以上である請求項8又は9に記載のインク
    ジェット用インクセット。
  11. 【請求項11】 カラーインクの表面張力が、32dy
    ne/cm以下である請求項8〜10の何れか1項に記
    載のインクセット。
  12. 【請求項12】 該インクセットが、インクジェット用
    である請求項8〜11の何れか1項に記載のインクセッ
    ト。
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