JP2002241431A - ヒドロシリル化反応方法 - Google Patents

ヒドロシリル化反応方法

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JP2002241431A
JP2002241431A JP2001038432A JP2001038432A JP2002241431A JP 2002241431 A JP2002241431 A JP 2002241431A JP 2001038432 A JP2001038432 A JP 2001038432A JP 2001038432 A JP2001038432 A JP 2001038432A JP 2002241431 A JP2002241431 A JP 2002241431A
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JP2001038432A
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Inventor
Takuya Maeda
卓哉 前田
Keizo Hayashi
敬蔵 林
Osamu Ichinoo
修 一ノ尾
Shigeru Hagimori
萩森  茂
Naoki Furukawa
直樹 古川
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒドロシリル化反応において反応速度及び反
応転化率を向上させて、優れた性質の重合体を、大幅に
向上した生産性で製造する。 【解決手段】 (A)1分子中に少なくとも1個のアル
ケニル基を有し、かつ数平均分子量が500から20
0,000である重合体と、(B)水素化ケイ素化合物
を、(C)第8族金属触媒存在下でヒドロシリル化反応
させて、反応性ケイ素基を有する重合体を製造する方法
において、(A)成分を、反応に用いる全成分の合計重
量に対して80重量%以上となるような量用いて、上記
ヒドロシリル化反応を、(D)老化防止剤を含む密閉加
圧系で、攪拌下、60℃〜300℃の範囲で実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反応性ケイ素基を
有する重合体の効率的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】反応性ケイ素基を有する重合体は、アル
ケニル基を有する重合体を、水素化ケイ素化合物とヒド
ロシリル化反応させることにより得ることができる。こ
の湿分硬化性重合体は、接着剤や粘着剤、塗料、シーリ
ング材、防水材等の用途に供されている。
【0003】アルケニル基を有する重合体と水素化ケイ
素化合物のヒドロシリル化反応を効率的に行うための反
応条件としては、従来、いくつかの例が知られている。
アルケニル基含有重合体は比較的高粘度である場合が多
く、それ単独では水素化ケイ素化合物との均一混合を達
成することが困難である。そこで、大量の非反応性の良
溶剤を添加して低粘度の液状態にし、無溶剤又は少量の
溶剤で希釈したヒドロシリル化触媒と水素化ケイ素化合
物とを加熱下に添加して反応させ、反応後に溶剤を留去
して目的物を得ていることが多い。そのため、溶剤を留
去して精留回収する工程が必要となるため設備が大型化
し、溶剤回収ロスにより原単位が増大し、ランニングコ
ストが増大するという課題があった。
【0004】特開平07−165817号公報では、反
応系の粘度を低下させるために可塑剤(可塑剤とは、高
分子製品中に添加される不揮発性の液状物質である)を
用いることにより攪拌混合状態の改善を図る試みがなさ
れている。しかしながら、可塑剤を加えて希釈すること
により、反応混合物の量が増大し、反応器当たりの重合
体の収量が低下し、また可塑剤中の不純物により反応速
度が安定しないという課題と、可塑剤を含まない製品を
生産できないという欠点があった。
【0005】これらの方法でヒドロシリル化反応を白金
触媒存在下で行う場合、助触媒として酸素を使用するこ
とが多い。この場合、可塑剤や重合体が酸素により酸化
されてカルボニルやアルコール、エステル、過酸化物、
遊離酸等を生成し、ヒドロシリル化反応を阻害して反応
が停止することがある。この問題を解決する為に、特開
平9−208622号公報では老化防止剤を添加して反
応を安定化する方策が採られている。しかしながら、可
塑剤を添加した反応系であることより、上述の問題点を
完全には解決できなかった。
【0006】また、ヒドロシリル化反応は反応原料や溶
媒に含まれる反応阻害物質の影響を受け、反応活性の低
下が起こり易い。この問題を解決する為に、特開平11
−80167号公報では硫黄化合物の存在下でヒドロシ
リル化反応を行なうことにより、反応を促進する方策が
採られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、アルケニル基含有重合体と水素化ケイ素化合物と
のヒドロシリル化反応を効率良く行い、優れた性能の反
応性ケイ素基含有重合体を生産性よく製造することを目
的とするものである。具体的には、ヒドロシリル化の反
応速度を向上させるとともに、反応器あたりの生産性を
大幅に向上させることを目的とする。また、可塑剤や溶
媒を極力又は全く使用しないことで、これらに含まれる
不純物によるヒドロシリル化反応への悪影響(反応の阻
害や副反応の生起)を抑制して、反応転化率を高め、か
つ優れた性能の重合体を得ることを目的とする。
【0008】また、本発明は、可塑剤を含まない反応性
ケイ素基含有重合体の製造をも目的とするものである。
さらに、本発明は、高温でヒドロシリル化を行った際に
生じる不都合を回避して、反応転化率及びシリル基の導
入率を高め、得られる重合体の性能を向上させることを
も目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、
(A)1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有
し、かつ数平均分子量が500から200,000であ
る重合体と、 (B)一般式(1): RSi (1) (式中、Rは、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数
6〜20のアリール基又は炭素数3〜20のトリオルガ
ノシロキシ基を表し、aが2以上の場合、Rはそれぞれ
同じでも異なっていてもよい。Xは、ハロゲン、炭素数
1〜20のアルコキシル基、炭素数2〜20のアシルオ
キシ基または水酸基を表し、bが2以上の場合、Xはそ
れぞれ同じでも異なっていてもよい。a及びbは、それ
ぞれ0〜3の整数を表し、cは1〜3の整数を表すが、
ただしa+b+c=4を満たす。)で表される水素化ケ
イ素化合物を、(C)第8族金属触媒存在下でヒドロシ
リル化反応させることにより、反応性ケイ素基を有する
重合体を製造する方法であって、(A)成分を、反応に
用いる全成分の合計重量に対して80重量%以上となる
ような量用いて、上記ヒドロシリル化反応を、(D)老
化防止剤を含む密閉加圧系で、攪拌下、60℃〜300
℃の範囲で実施する製造方法である。以下に本発明を詳
述する。
【0010】本発明の製造方法においてヒドロシリル化
反応は、(A)アルケニル基含有重合体、(B)水素化
ケイ素化合物、(C)第8族金属触媒及び(D)老化防
止剤を用いて行う。上記アルケニル基含有重合体(A)
とは、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有
し、かつ数平均分子量が500から200,000の重
合体である。
【0011】上記アルケニル基は、(B)成分とのヒド
ロシリル化反応が可能なアルケニル基であれば特に制限
されず(従って芳香族環の炭素−炭素二重結合は含まな
い)、具体的には、ビニル基、アリル基などが挙げられ
る。アリルエーテル基として存在しているものでもよ
い。このアルケニル基は重合体の分子鎖末端に存在して
もよく、側鎖に存在するものでもよい。1分子中に存在
するアルケニル基の数は平均して1個以上であればよい
が、10個程度までが好ましい。
【0012】本発明において、上記アルケニル基含有重
合体(A)としては数平均分子量が500〜200,0
00であるものが使用できる。しかし数平均分子量が高
く粘度が高い重合体ほど本発明の効果が発揮できること
から、数平均分子量が1,000以上のものが好まし
く、より好ましくは5,000以上のものである。ま
た、得られる重合体の実用性の観点から、数平均分子量
は100,000以下が好ましく、より好ましくは5
0,000以下である。なお本発明における重合体の数
平均分子量は、クロロホルムを移動相とするGPC(ポ
リスチレン換算値)により求めることができる。
【0013】上記アルケニル基含有重合体(A)の主鎖
は本発明を適用できる限りにおいて特に制限されない
が、好ましくは炭化水素系重合体を挙げることができ
る。具体的には、不飽和単量体、特に不飽和炭化水素の
重合により形成されるものが好ましい。構造は、直鎖状
であってもよいし、分岐状であってもよい。
【0014】上記炭化水素系重合体のなかでも、本発明
の製造方法の目的物である反応性ケイ素基含有重合体の
工業的利用価値を勘案すると、製品の耐熱性や耐候性の
観点から、飽和炭化水素系重合体が好ましい。そのなか
でも、ポリイソブチレン、水添ポリブタジエン、水添ポ
リイソプレンが特に好ましい。これらの重合体は常温で
比較的高粘度であることから本発明を適用するのに適し
たものである。
【0015】アルケニル基含有重合体(A)としては、
1種類のみを単独で用いてもよいし複種類を併用しても
よい。また、上記アルケニル基含有重合体(A)の製造
方法については特に制限はなく、任意の製造方法で製造
された重合体がすべて有効に適用できる。
【0016】上記水素化ケイ素化合物(B)は、下記一
般式(1)で表わされる。 RSi (1) 上記式中、Rは、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素
数6〜20のアリール基又は炭素数3〜20のトリオル
ガノシロキシ基を表し、aが2以上の場合、Rはそれぞ
れ同じでも異なっていてもよい。Xは、ハロゲン、炭素
数1〜20のアルコキシル基、炭素数2〜20のアシル
オキシ基または水酸基を表し、bが2以上の場合、Xは
それぞれ同じでも異なっていてもよい。a及びbは、そ
れぞれ0〜3の整数を表し、cは1〜3の整数を表す
が、ただしa+b+c=4を満たす。
【0017】本発明において上記水素化ケイ素化合物
(B)としては、従来知られている化合物を特に制限無
く用いることができるが、具体的には、トリクロロシラ
ン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ト
リメチルシロキシジクロロシランなどのハロゲン化シラ
ン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメ
トキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、メトキ
シジメチルシラン、ジメトキシフェニルシラン、1,
3,3,5,5,7,7−ヘプタメチル−1,1−ジメ
トキシテトラシロキサンなどのアルコキシシラン類;メ
チルジアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルア
セトキシシランなどのアシルオキシシラン類;ジメチル
シラン、トリメチルシロキシメチルシラン、1,1,
3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5−トリ
メチルシクロトリシロキサンなどの分子中にSi−H結
合を2個以上有するハイドロシラン類;メチルジ(イソ
プロペニルオキシ)シランなどのアルケニルオキシシラ
ン類などが挙げられる。
【0018】これらの中では、入手容易性の観点から、
メチルジクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエ
トキシメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキ
シシラン等が好ましい。また、ヒドロシリル化反応にお
ける活性の高さから、トリクロロシラン、メチルジクロ
ロシランなどのクロルシラン類が好ましい。さらに、得
られる反応性ケイ素基含有重合体の加水分解性がマイル
ドである点から、トリメトキシシラン、トリエトキシシ
ラン、ジメトキシメチルシランなどのアルコキシシラン
類が好ましい。また、上述の分子中に2個以上のSi−
H結合を有するハイドロシラン類は、上記アルケニル基
含有重合体(A)を互いにカップリングさせることによ
り、その使用量に応じて反応性ケイ素基含有重合体の分
子量コントロールが可能になる面から好ましい。
【0019】上記水素化ケイ素化合物(B)の使用量
は、特に制限されるものではないが、通常、上記アルケ
ニル基含有重合体(A)中のアルケニル基1モルに対し
て0.1〜20モルであるが、0.5〜3モルであるこ
とが好ましい。
【0020】上記第8族金属触媒(C)としては、ヒド
ロシリル化反応を触媒するものとして知られている従来
公知のものであってよい。具体的には、コバルト、ニッ
ケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム
及び/又はプラチナ(白金)を含む化合物であり、例え
ば、これら第8族金属の単体、金属塩、又は、有機化合
物との錯体が挙げられる。
【0021】より具体的には、白金の単体;アルミナ、
シリカ、カーボンブラックなどの担体に固体白金を担持
させた担体上の白金金属;塩化白金酸、塩化白金酸とア
ルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体などの白金化
合物;白金−オレフィン錯体[例えばPt(CH=C
(PPh)、Pt(CH=CHCl
]、白金−ビニルシロキサン錯体[Pt{(viny
l)MeSiOSiMe(vinyl)}、Pt
{Me(vinyl)SiO}]、白金−ホスフィン
錯体[Ph(PPh、Pt(PBu]、白
金−ホスファイト錯体[Pt{P(OPh)]等
の白金錯体等が好ましい。ジカルボニルジクロロ白金、
Ashbyの米国特許第3159601号及び3159
662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、
並びに、Lamoreauxの米国特許第322097
2号明細書中に記載された白金−アルコラート触媒も好
ましい。さらに、Modicの米国特許第351694
6号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体
も有効である。
【0022】また、白金化合物以外の上記第8族金属触
媒(C)の例としては、RhCl(PPh、Rh
Cl、Rh/Al、RuCl、IrCl
FeCl、AlCl、PdCl、PdCl・2
O、NiCl、TiCl などが挙げられる。
【0023】これらの触媒は単独で使用してもよいし、
2種以上を併用してもよい。触媒活性の点から、塩化白
金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アセチルアセトナ
ート錯体、白金−ビニルシロキサン錯体が好ましい。
【0024】上記第8族金属触媒(C)の使用量につい
ては特に制限はないが、上記アルケニル基含有重合体
(A)中のアルケニル基1モルに対して10−8〜10
−1モルの範囲で使用できる。好ましくは、10−6
10−3モルの範囲で使用するのが良い。10−8モル
より少ない場合は、ヒドロシリル化反応が十分に進行し
ない恐れがある。また10−1モルより多すぎると、ヒ
ドロシリル化触媒は一般に高価なので原料コストが増大
したり、腐食性があるため水素ガスが大量に発生して硬
化物が発泡したり、触媒残渣の混入により製品の着色や
透明度の低下などの問題が発生する傾向がある。
【0025】なお、上記第8族金属触媒(C)として
は、あらかじめ、後述する有機溶剤に溶解し希釈してお
いたものを用いることが好ましい。これにより、上記第
8族金属触媒(C)を安定化し、その取扱いを容易にす
ることができる。
【0026】上記老化防止剤(D)は、本発明における
ヒドロシリル化反応が高温で行われることから高温によ
る副反応を抑制することで、反応阻害物質の生成や重合
体の劣化を抑止し、かつ反応性ケイ素基の導入率を増大
させるために、添加する。
【0027】このような老化防止剤としては、例えば、
酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性化
剤、オゾン劣化防止剤、ラジカル連鎖禁止剤、過酸化物
分解剤なとを挙げることができる。このうち、ラジカル
連鎖禁止剤が好ましい。上記ラジカル連鎖禁止剤として
は、フェノール系老化防止剤及びアミン系老化防止剤を
挙げることができる。
【0028】上記フェノール系老化防止剤としては、例
えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾー
ル、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4
−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、ペンタ
エリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−te
rt−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス
(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチ
ルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3′,
5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェ
ニル)ブタンなどが挙げられる。
【0029】上記アミン系老化防止剤としては、例え
ば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミ
ン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジ
アミン、フェノチアジン、N,N′−ジフェニル−p−
フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0030】本発明におけるヒドロシリル化反応では、
後述するように、攪拌効率を向上させるために従来のヒ
ドロシリル化よりも高温で反応を実施する。この場合、
老化防止剤(D)を添加しても、老化防止剤の種類によ
っては、老化防止剤添加の効果が見られず、反応が途中
で進まなくなったり、シリル基の導入率が低下したり、
反応性ケイ素基含有重合体の性能が低下したりする現象
が見られた。
【0031】しかしながらこの現象は、そのときの反応
温度に応じて、老化防止剤を選択することにより解決し
うることが見いだされた。すなわち、本発明の製造方法
においては、老化防止剤(D)として、ヒドロシリル化
反応の反応温度よりも高い融点又は昇華点を有する老化
防止剤を用いることが好ましい。これは、老化防止剤の
融点又は昇華点を超えた反応温度でヒドロシリル化反応
を実施すると、老化防止剤が昇華、蒸発等により揮発し
て液相中の存在量が減少することから、液相中の上記ア
ルケニル基含有重合体(A)及び存在する場合には可塑
剤及び/又は溶剤の劣化防止に作用しないためと考えら
れる。
【0032】また、このようにヒドロシリル化反応の反
応温度よりも高い融点又は昇華点を有する老化防止剤
は、ヒドロシリル化反応終了後残留した水素化ケイ素化
合物(B)を脱揮処理する際に、老化防止剤が蒸発又は
昇華して真空ポンプを閉塞させるというトラブルを未然
に防止できるという観点からも好ましい。
【0033】具体的には、ヒドロシリル化反応を60℃
以上の温度で実施する場合、65℃以上の融点又は昇華
点を有する老化防止剤が好ましい。また、ヒドロシリル
化反応を100℃以上の温度で実施する場合、105℃
以上の融点又は昇華点を有する老化防止剤が好ましい。
また、ヒドロシリル化反応を110℃以上の温度で実施
する場合、115℃以上の融点又は昇華点を有する老化
防止剤が好ましい。
【0034】このような老化防止剤としては、具体的に
は、上記フェノール系老化防止剤のうち、例えば、ペン
タエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト](融点120℃以上)、2,2′−メチレンビス
(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(融
点120℃)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル
−6−tert−ブチルフェノール)(融点205℃以
上)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert
−ブチルフェノール)(融点150℃以上)、テトラキ
ス[メチレン−3(3′,5′−ジ−tert−ブチル
−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
(融点120℃)、1,1,3−トリス(2−メチル−
4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタ
ン(融点183〜185℃)などが挙げられる。
【0035】また、上記アミン系老化防止剤のうち、例
えば、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレン
ジアミン、フェノチアジン(融点182℃)、N,N′
−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(融点130℃
以上)などが挙げられる。
【0036】上記老化防止剤(D)の添加量は、上記ア
ルケニル基含有重合体(A)100重量部に対して0.
001〜5重量部が好ましい。0.001重量部未満で
あると、老化防止剤の効果が低下する傾向にあり、5重
量部を超えると、ヒドロシリル化反応の反応速度が低下
する傾向がある。より好ましくは0.005〜1重量部
である。
【0037】本発明の製造方法においては、上記アルケ
ニル基含有重合体(A)、上記水素化ケイ素化合物
(B)、上記第8族金属触媒(C)、上記老化防止剤
(D)成分以外に、可塑剤及び/又は有機溶剤をさらに
配合して反応を行ってもよい。
【0038】上記可塑剤としては、上記アルケニル基含
有重合体(A)との相溶性が良好であり、比較的沸点が
高く、かつ、ヒドロシリル化反応を阻害しないものであ
れば特に限定されない。上記アルケニル基含有重合体
(A)が飽和炭化水素系重合体である場合には、上記可
塑剤としては、例えば、ポリブテン、水添ポリブテン、
α−メチルスチレンオリゴマー、ビフェニル、トリフェ
ニル、トリアリールジメタン、アルキレントリフェニ
ル、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、ア
ルキルジフェニル等の炭化水素系化合物;BAA−15
(大八化学社製)、P−103(大日本インキ社製)、
W320(大日本インキ社製)、PN−150(アデカ
アーガス社製)等のアジピン酸エステル化合物;TOT
M(新日本理化社製)、TITM(新日本理化社製)、
W−700(大日本インキ社製)等のトリメリット酸エ
ステル系化合物;NS−100、NM−26、NP−2
4、PS−32、PW−32、PX−32(出光興産社
製)等の石油系プロセスオイル類;アルケン−68(日
石油洗剤社製);BF−1000(アデカアーガス社
製);KE−828(荒川化学社製);DOTP(新日
本理化社製)等を挙げることができる。これらのうち、
アルケン−68、PS−32、PW−32、PX−3
2、DOTP、NS−100、TOTMが、加熱減量が
小さいので好ましい。
【0039】上記可塑剤は、数平均分子量が100〜
1,000のものが好ましい。数平均分子量が100未
満であると可塑剤の沸点が低くなり、1,000を超え
ると粘度が高くなるために取扱い難くなる。
【0040】上記可塑剤は、n−d−M法で求められる
その組成が、パラフィン分50〜90%、ナフテン分1
0〜50%であることが好ましい。「n−d−M法」と
は、屈折率n、密度d及び分子量Mの値をn−d−M法
の実験式に代入することにより、パラフィン分、ナフテ
ン分を求めることをいう(石油炭化水素化学、第2巻、
池辺清ら著、共立出版)。パラフィン分及びナフテン分
が上記範囲外であると、可塑剤の酸化劣化が起こり易く
なる。より好ましくはパラフィン分60〜80%、ナフ
テン分20〜40%である。
【0041】上記可塑剤は、環分析で求められるアロマ
分が1%以下であることが好ましい。「環分析」とは、
可塑剤の比屈折r20 及び分子量Mを測定し、測定し
た分子量M及び比屈折r20 に相当するアニリン点を
求め、このアニリン点と実測アニリン点との差[AP]
を算出し、その結果に基づいて、次式 可塑剤中のアロマ分(%)=0.68×[AP] によりアロマ分を求めることをいう(石油炭化水素化
学、第2巻、池辺清ら著、共立出版)。アロマ分が1%
を超えると製品の耐候性が低下し、安定性が低下する場
合がある。より好ましくは0.1%以下である。
【0042】上記有機溶剤としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、又は、ハ
ロゲン化炭化水素、アルコール類、グリコール類、エー
テル類、エステル類等を挙げることができる。
【0043】上記可塑剤及び/又は有機溶剤の使用量
は、上記アルケニル基含有重合体(A)の低粘度化及び
得られる製品の用途を勘案して適宜決定することができ
る。上記可塑剤及び/又は有機溶剤を使用する場合に
は、反応に用いる全成分の合計重量に対する上記アルケ
ニル基含有重合体(A)の含有量が80重量%以上とな
るような範囲の量で使用する。また、本発明において
は、上記可塑剤及び/又は有機溶剤を全く使用すること
なくヒドロシリル化反応を行うことも可能であり、この
場合でも本発明の効果を達成することができる。この場
合、上記可塑剤及び/又は有機溶剤を含まない重合体を
簡便に得ることができ、そのような製品が望まれる場合
には非常に好ましい。
【0044】本発明におけるヒドロシリル化反応では、
硫黄化合物を配合してもよい。硫黄化合物とは、分子中
に硫黄原子を有する化合物をいうが、具体的には、硫黄
単体、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホ
ン、チオケトン等を挙げることができる。なかでも、硫
黄単体が好ましい。硫黄化合物を配合する場合には、そ
のまま添加してもよいが、上記有機溶剤に溶解し容器に
してから添加してもよい。後者の場合、硫黄化合物を液
相中に一様に分散させることができる。
【0045】上記硫黄化合物の添加量は、第8族金属触
媒(C)のモル数に対して0.1〜10倍量となるよう
な量、又は、アルケニル基含有重合体(A)のアルケニ
ル基のモル数に対して0.002〜0.1倍量、又は、
反応に用いる全成分の合計重量を基準として0.01〜
500ppmであるような量が好ましい。上記硫黄化合
物は特開平11−80167号公報に記載されているよ
うに、ヒドロシリル化反応を促進するために用いるもの
であるが、本発明の製造方法は硫黄化合物を用いなくと
も充分に反応速度が速いことから、必ずしも用いる必要
はない。
【0046】本発明の製造方法においては、反応に用い
る全成分の合計重量に対する上記アルケニル基含有重合
体(A)の含有量が80重量%以上となるように、各成
分を配合する。「反応に用いる全成分」とは、上記
(A)〜(D)成分はもちろん、可塑剤、有機溶剤、硫
黄化合物等を配合する場合にはこれらをも含む。好まし
くは85重量%以上であり、より好ましくは90重量%
以上であり、さらに好ましくは95重量%以上である。
【0047】本発明では、このように(A)成分を高濃
度としてヒドロシリル化反応を実施した場合に、ヒドロ
シリル化の反応速度が大幅に向上することが見いだされ
た。また、可塑剤及び溶剤を全く又は少量しか仕込まな
い分、反応器への原料仕込量を増加させて生産性を大幅
に向上させることが可能である。さらに、可塑剤や溶媒
に含まれる不純物によるヒドロシリル化反応への悪影響
を除去又は低減させることができるので、反応転化率を
高めることができ、かつ優れた性能の重合体を得ること
ができる。また、可塑剤を大量に含有する場合、ヒドロ
シリル化反応終了後残留した水素化ケイ素化合物(B)
を脱揮処理する際に、泡が発生し脱揮に時間がかかる
が、本発明においてはこのような現象を回避でき脱揮処
理の操作性が向上するという利点もある。
【0048】特開平07−165817号公報では、ア
ルケニル基含有重合体を含む反応系の粘度を低下させる
ために、可塑剤を用いることが推奨されているが、可塑
剤に含有される不純物がヒドロシリル化反応を阻害する
ことがある。例えば、可塑剤に含有される不純物には窒
素化合物などがあり、反応液全体重量の30ppm以上
含有されると反応を阻害することが多い。
【0049】本発明の製造方法におけるヒドロシリル化
反応は、密閉加圧系で攪拌下、行われる。本発明におけ
る密閉系は、気相と液相を完全に閉じ込めて入れ替えを
全く行わない場合はもちろん、気相部分を連続投入又は
連続脱気したり、気相部分を入れ替えしたりする場合も
含む。
【0050】この密閉加圧系における気相部は、窒素や
ヘリウムなどの不活性ガスのみからなってもよいし、酸
素等が存在してもよい。ヒドロシリル化反応を行う際に
は、可燃性物質取り扱いの安全性の観点から、窒素やヘ
リウムなどの不活性ガス雰囲気下で実施することがあ
る。しかし、反応器気相部を窒素やヘリウムなどの不活
性ガスに置換した反応条件下でヒドロシリル化反応を行
った場合には、反応速度が低下する場合があるという問
題がある。気相部に酸素が存在すると、ヒドロシリル化
が促進されることが多い。本発明では、反応器気相部の
酸素濃度を、爆発性混合組成を与えない範囲に設定する
ことにより、酸素存在下で反応を促進しつつ、安全に且
つ酸素による重合体等の酸化劣化を防止した上でヒドロ
シリル化反応を行うことが可能である。すなわち、密閉
系の気相部に、不活性ガスと酸素からなる混合気体を充
填するのが好ましい。この場合の気相部の酸素濃度は、
通常、0.1体積%以上であるが、0.1〜30体積%
が好ましく、0.5〜10体積%がより好ましい。
【0051】本発明において、気相部の圧力は大気圧よ
りも高い圧力であれば特に限定されないが、通常、2a
tom以上、20atom以下である。
【0052】上記密閉加圧系における液相(常温におい
ては固体であっても、加温して反応を実施しているとき
に液体となっている相を含む)と気相の体積比は、特に
限定されないが、通常、上述した酸素による反応促進の
観点から、また、攪拌混合性向上の観点から、気相が1
0体積%以上を占めることが好ましい。また、生産性向
上の観点から、気相は90体積%以下であることが好ま
しい。液相と気相の体積比は、反応速度の最適化及び生
産性の観点から、気相中の酸素含量と気相部の気圧等に
応じて、適宜好ましい値が決定され、上記範囲に限定さ
れるものではない。
【0053】本発明でのヒドロシリル化反応で用いる反
応器としては、攪拌可能な装置を備え密閉加圧系に適用
できるものであれば特に限定されず、従来公知の反応器
を使用することができる。攪拌可能な装置とは、通常、
従来の重合体反応の分野で用いられている機械的攪拌翼
であれば特に限定されない。その攪拌速度も特に限定さ
れないが、ヒドロシリル化反応を効率よく進めるために
は、反応器のスケールによって異なるが、通常、40〜
500rpm程度である。
【0054】本発明の製造方法において、ヒドロシリル
化は60〜300℃の範囲の反応温度で行う。適当な反
応温度は、用いるアルケニル基含有重合体(A)の分子
量及び粘度、アルケニル基の反応性、可塑剤及び/又は
有機溶剤の使用又は不使用など多くの要因により異なる
が、好ましくは75℃以上であり、より好ましくは90
℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上であり、
特に好ましくは110℃以上である。本発明の製造方法
は可塑剤及び有機溶剤を全く又は少量しか使用しないの
で、反応液の攪拌混合性をよくするために、反応温度は
高温であるほうが好ましい。高温により上記アルケニル
基含有重合体(A)の粘度が適切な領域まで下がると攪
拌混合性が改善されるので、均一で良好な反応が期待で
きるし、反応器への仕込量の増量も可能となり、さらに
生産性を向上させることもできる。
【0055】一方、反応温度が高すぎると、得られる重
合体の性能劣化が起こる可能性があり、さらに、気相部
の爆発範囲が拡大することにより安全・安定性の確保が
困難になる傾向があるため、250℃以下が好ましく、
220℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好
ましく、160℃以下が特に好ましく、140℃以下が
最も好ましい。さらに反応温度が高すぎると製造コスト
の増大という問題も生じる。
【0056】具体的には、60〜250℃が好ましく、
75〜220℃がより好ましく、100〜200℃がさ
らに好ましく、100〜160℃が特に好ましく、11
0〜140℃が最も好ましい。本発明の製造方法におい
て反応に要する時間は、用いる重合体の種類、可塑剤及
び/又は有機溶剤の使用又は不使用、反応温度などによ
り異なるが、通常10分〜1日程度である。適当な条件
を選択することにより8時間以内で反応を完全に終了さ
せることが可能である。
【0057】本発明の製造方法においては、ヒドロシリ
ル化反応が終了した後、従来公知の方法で後処理をして
反応性ケイ素基含有重合体を得ることができる。しかし
ながら本発明の製造方法では、有機溶剤などの揮発成分
が全く又は少量しか含まれていないので、後処理が容易
である。具体的には、反応器を減圧して、残留している
水素化ケイ素化合物(B)、有機溶剤などの揮発成分を
留去し、反応性ケイ素基含有重合体を単離することがで
きる。揮発成分がほとんど含まれない場合やその用途に
応じてこれら揮発成分の存在が障害にならない場合に
は、この工程は省略してもよい。その後、必要に応じ
て、吸着や有機溶剤による洗浄などで不純物を除去する
こともできる。
【0058】本発明の製造方法により得られる反応性ケ
イ素基含有重合体は、反応性ケイ素基導入率が高く、そ
れから得られるゴム状硬化物は優れた性質を示す。ま
た、老化防止剤として、好ましいものを選択することに
より、重合体の酸化劣化を防止できるので、それから得
られるゴム状硬化物はさらに優れた性質を示す。
【0059】本発明の製造方法によって得られる反応性
ケイ素基含有重合体は、例えば、接着剤や粘着剤、塗
料、シーリング剤、防水材、型取り用材料、注型ゴム材
料、吹き付け材などの原料として用いられる。
【0060】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 攪拌翼を備えた140Lの反応器に、特開平08−53
514の方法に準じて製造されたアリル基末端ポリイソ
ブチレン(分子量15,000、重合体1分子当たりの
アリル基数が2.0)40kg、第8族金属触媒である
白金ビニルシロキサン錯体(0.00000831mm
ol/μLキシレン溶液)2.8g、老化防止剤である
2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール12
g、及び、トルエン40gに溶解した硫黄0.04gを
仕込んだ。反応器の気相部分には酸素を5vol%含有
する窒素を圧力5atmまで仕込んだ。ジメトキシメチ
ルシラン1.4kgを添加し、密閉系とした後、90℃
にて8時間混合攪拌を継続した。
【0061】アリル基のヒドロシリル化反応転化率を評
価するために反応液のサンプルを採取して赤外分光光度
計によって残存アリル基の濃度を測定した結果、残存ア
リル基は検出されず従って反応転化率は100%であっ
た。このサンプルについてH−NMR測定でジメトキ
シメチルシラン導入率を測定したところ、ポリマー1分
子当たり1.6個のシリル基が導入されていた。
【0062】次いで、攪拌しながら反応器系内を真空ポ
ンプで絶対圧0.7kPa以下まで減圧にし、温度を1
10℃として3時間脱揮操作を実施した後、攪拌を停止
して系内を大気圧に戻すことにより反応性シリル基含有
重合体を単離した。得られた反応性シリル基含有重合体
を縮合架橋させて定型(JIS3号ダンベル:幅5mm
×厚さ2mm)のゴム状硬化物を作製し、伸張試験によ
って硬化物モジュラスを評価した。縮合架橋は反応性シ
リル基含有重合体及び可塑剤PS−32の混合物重量1
00に対して水0.67及びオクチル酸錫2.5の重量
比率でこれらを混合して、50℃にて20時間かけて硬
化させた(ここで、反応性シリル基含有重合体と可塑剤
PS−32の混合比は、重量比で100:50であ
る)。伸長試験の条件は、ロードセル5kg、引張スピ
ード200mm/分、フルスケール量1kgとして実施
した。50%伸張における引っ張り応力は0.137M
Paであった。
【0063】実施例2 反応温度を100℃とした以外は実施例1と同様の条件
とし、ヒドロシリル化反応を7時間実施した。実施例1
と同様に反応液のサンプルを採取して残存アリル基の濃
度を測定した結果、残存アリル基は検出されず、反応転
化率は100%であった。このサンプルについて同様に
ジメトキシメチルシラン導入率を測定したところ、ポリ
マー1分子当たり1.5個のシリル基が導入されてい
た。次いで、得られた反応性シリル基含有重合体を縮合
架橋させて定型のゴム状硬化物を実施例1と同様にして
作製し、実施例1と同様の伸張試験によって硬化物モジ
ュラスを評価した。50%伸張における引っ張り応力は
0.127MPaであった。
【0064】実施例3 反応温度を110℃とした以外は実施例1と同様の条件
とし、ヒドロシリル化反応を6時間実施した。実施例1
と同様に反応液のサンプルを採取して残存アリル基の濃
度を測定した結果、反応転化率は95%であった。この
サンプルについて同様にジメトキシメチルシラン導入率
を測定したところ、ポリマー1分子当たり1.4個のシ
リル基が導入されていた。次いで、得られた反応性シリ
ル基含有重合体を縮合架橋させて定型のゴム状硬化物を
実施例1と同様にして作製し、実施例1と同様の伸張試
験によって硬化物モジュラスを評価した。50%伸張に
おける引っ張り応力は0.118MPaであった。
【0065】実施例4 反応温度を120℃とした以外は実施例1と同様の条件
とし、ヒドロシリル化反応を4時間実施した。実施例1
と同様に反応液のサンプルを採取して残存アリル基の濃
度を測定した結果、残存アリル基は検出されず、反応転
化率は100%であった。このサンプルについて同様に
ジメトキシメチルシラン導入率を測定したところ、ポリ
マー1分子当たり1.4個のシリル基が導入されてい
た。次いで、得られた反応性シリル基含有重合体を縮合
架橋させて定型のゴム状硬化物を実施例1と同様にして
作製し、実施例1と同様の伸張試験によって硬化物モジ
ュラスを評価した。50%伸張における引っ張り応力は
0.094MPaであった。
【0066】実施例5 可塑剤PS−32を4kg添加した以外は実施例1と同
様の条件とし、ヒドロシリル化反応を6時間実施した。
実施例1と同様に反応液のサンプルを採取して残存アリ
ル基の濃度を測定した結果、残存アリル基は検出され
ず、反応転化率は100%であった。このサンプルにつ
いて同様にジメトキシメチルシラン導入率を測定したと
ころ、ポリマー1分子当たり1.6個のシリル基が導入
されていた。次いで、得られた反応性シリル基含有重合
体を縮合架橋させて定型のゴム状硬化物を実施例1と同
様にして作製し、実施例1と同様の伸張試験によって硬
化物モジュラスを評価した。50%伸張における引っ張
り応力は0.118MPaであった。
【0067】実施例6 老化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3
−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]20gを用いたこと以外は実
施例4と同様の条件とし、ヒドロシリル化反応を4時間
実施した。実施例1と同様に反応液のサンプルを採取し
て残存アリル基の濃度を測定した結果、残存アリル基は
検出されず、反応転化率は100%であった。このサン
プルについて同様にジメトキシメチルシラン導入率を測
定したところ、ポリマー1分子当たり1.6個のシリル
基が導入されていた。次いで、得られた反応性シリル基
含有重合体を縮合架橋させて定型のゴム状硬化物を実施
例1と同様にして作製し、実施例1と同様の伸張試験に
よって硬化物モジュラスを評価した。50%伸張におけ
る引っ張り応力は0.121MPaであった。
【0068】比較例1 可塑剤PS−32を20kg添加した以外は実施例1と
同様の条件とし、ヒドロシリル化反応を8時間実施し
た。実施例1と同様に反応液のサンプルを採取して残存
アリル基の濃度を測定した結果、反応転化率は70%で
あった。このサンプルについて同様にジメトキシメチル
シラン導入率を測定したところ、ポリマー1分子当たり
0.7個のシリル基が導入されていた。
【0069】さらにヒドロシリル化を継続して反応開始
から12時間後に反応液のサンプルを採取して残存アリ
ル基の濃度を測定した結果、反応転化率は90%であっ
た。このサンプルについて同様にジメトキシメチルシラ
ン導入率を測定したところ、ポリマー1分子当たり1.
2個のシリル基が導入されていた。次いで、得られた反
応性シリル基含有重合体を縮合架橋させて定型のゴム状
硬化物を実施例1と同様にして作製し、同様の伸張試験
によって硬化物モジュラスを評価した。50%伸張にお
ける引っ張り応力は0.078MPaであった。
【0070】比較例2 可塑剤PS−32の製造ロットを変えた以外は比較例1
と同様の条件とし、ヒドロシリル化反応を8時間実施し
た。実施例1と同様に反応液のサンプルを採取して残存
アリル基の濃度を測定した結果、反応転化率は60%で
あった。このサンプルについて同様にジメトキシメチル
シラン導入率を測定したところ、ポリマー1分子当たり
0.6個のシリル基が導入されていた。
【0071】さらにヒドロシリル化を継続して反応開始
から12時間後に反応液のサンプルを採取して残存アリ
ル基の濃度を測定した結果、反応転化率は80%であっ
た。このサンプルについて同様にジメトキシメチルシラ
ン導入率を測定したところ、ポリマー1分子当たり1.
0個のシリル基が導入されていた。次いで、得られた反
応性シリル基含有重合体を縮合架橋させて定型のゴム状
硬化物を実施例1と同様にして作製し、同様の伸張試験
によって硬化物モジュラスを評価した。50%伸張にお
ける引っ張り応力は0.059MPaであった。以上の
実施例1〜6及び比較例1〜2の結果を表1にまとめ
た。
【0072】
【表1】
【0073】表1から分かる通り、本発明の製造方法に
よると、反応転化率が8時間以内に100%に達する
(実施例1〜6)が、可塑剤を多量に含有する場合、8
時間後で60〜70%程度にしか達せず、12時間経過
後でも80〜90%程度にしか達しない。すなわち本発
明の製造方法では大幅な反応時間の短縮を達成されてい
る。
【0074】また、融点が69〜70℃と低い老化防止
剤2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを用
いた実施例4に対して、融点が120℃以上と高い老化
防止剤ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]を用いた実施例6では、得られた重合体
を用いて作製した硬化物の引っ張り応力が向上した。
【0075】重合体の粘度は実施例4よりも実施例6の
ほうが高く、両重合体をGPCにより分析すると、実施
例4の場合よりも、実施例6の場合の低分子量体数が少
なかった。以上のことから、実施例4では、重合体がヒ
ドロシリル化反応時に酸化劣化を受けて切断されていた
ものと推測される。しかしながら実施例6のように、融
点が高い老化防止剤を用いることによりこのような欠点
を回避し、かつ高い反応温度で好適にヒドロシリル化反
応を行うことができる。
【0076】
【発明の効果】本発明は、上述の構成よりなるので、ヒ
ドロシリル化の反応速度が向上するとともに、可塑剤や
有機溶剤を全く又は少量しか含まないので反応器あたり
の生産性を大幅に向上させることができる。さらに可塑
剤や有機溶剤による反応阻害を回避して、反応転化率を
高めることができ、かつ優れた性能の重合体を得ること
ができる。また、本発明は、高温でヒドロシリル化を行
った際に生じる不都合を回避して、反応転化率及びシリ
ル基の導入率を高め、得られる重合体の性能を向上させ
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 萩森 茂 兵庫県神戸市西区春日台3−1−6−1206 (72)発明者 古川 直樹 兵庫県姫路市御立中2−12−25−6 Fターム(参考) 4J100 AA06P AS02P AS03P BA71H BA75H CA01 CA31 HA61 HB16 HB29 HC79 HC91 HD00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)1分子中に少なくとも1個のアル
    ケニル基を有し、かつ数平均分子量が500から20
    0,000である重合体と、(B)一般式(1): RSi (1) (式中、Rは、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数
    6〜20のアリール基又は炭素数3〜20のトリオルガ
    ノシロキシ基を表し、aが2以上の場合、Rはそれぞれ
    同じでも異なっていてもよい。Xは、ハロゲン、炭素数
    1〜20のアルコキシル基、炭素数2〜20のアシルオ
    キシ基または水酸基を表し、bが2以上の場合、Xはそ
    れぞれ同じでも異なっていてもよい。a及びbは、それ
    ぞれ0〜3の整数を表し、cは1〜3の整数を表すが、
    ただしa+b+c=4を満たす。)で表される水素化ケ
    イ素化合物を、(C)第8族金属触媒存在下でヒドロシ
    リル化反応させることにより、反応性ケイ素基を有する
    重合体を製造する方法であって、(A)成分を、反応に
    用いる全成分の合計重量に対して80重量%以上となる
    ような量用いて、前記ヒドロシリル化反応を、(D)老
    化防止剤を含む密閉加圧系で、攪拌下、60℃〜300
    ℃の範囲で実施することを特徴とする製造方法。
  2. 【請求項2】 (A)成分が、1分子中に少なくとも1
    個のアルケニル基を有し、かつ数平均分子量が500か
    ら200,000である飽和炭化水素系重合体である請
    求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 (A)成分が、1分子中に少なくとも1
    個のアルケニル基を有し、かつ数平均分子量が500か
    ら200,000であるポリイソブチレンである請求項
    2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 (A)成分が、1分子中に少なくとも1
    個のアルケニル基を有し、かつ数平均分子量が500か
    ら200,000である水添ポリブタジエン及び/又は
    水添ポリイソプレンである請求項2に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 (A)成分の数平均分子量が5,000
    〜200,000である請求項1〜4のいずれか1項に
    記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 (D)成分として、ヒドロシリル化反応
    の反応温度よりも高い融点又は昇華点を有する老化防止
    剤を用いる請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 (D)成分として、105℃以上の融点
    又は昇華点を有する老化防止剤を用いる請求項6記載の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 ヒドロシリル化反応を、100℃〜20
    0℃の範囲で実施する請求項1〜7のいずれか1項に記
    載の製造方法。
  9. 【請求項9】 ヒドロシリル化反応を、2atom以上
    の圧力下で実施する請求項1〜8のいずれか1項に記載
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 密閉系の気相部に、酸素を0.1体積
    %〜30体積%含む気体を充填して、ヒドロシリル化反
    応を実施する請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 (C)成分が、白金触媒である請求項
    1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
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