JP2002241405A - キトサンまたはdacの水溶解方法とその水溶液、キトサンまたはdac水溶液による膜の形成方法と固体表面の被覆方法並びに糸の形成方法 - Google Patents
キトサンまたはdacの水溶解方法とその水溶液、キトサンまたはdac水溶液による膜の形成方法と固体表面の被覆方法並びに糸の形成方法Info
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Abstract
びその溶液を乾燥し、溶媒を除去するのみで、透明かつ
耐水性のある安定なキトサン或いはDAC皮覆膜等の作
成を可能とする。 【解決手段】 キトサン及びDACを水に懸濁させ、炭
酸ガスを通気させて溶解する。そして、得られた水溶液
で透明かつ耐水性のあるキトサン或いはDAC膜を作成
する。
Description
Cの水への新規な溶解法と、その溶液を用いた膜、糸な
どの作成及び固体表面をキトサンで被覆する方法等に関
するものである。
の脱アセチル化物であり、部分的に脱アセチル化したも
のはDACと呼ばれ、それらは、生体適合性が優れた分
子量5万〜50万程度の天然高分子である。
り、抗アレルギー性や抗菌性等の作用を示すことから、
キトサンやDACを含んだ医薬品、食品、繊維、膜など
を開発する研究が盛んになって来ている。
溶媒には全く溶けず、また水にも完全には溶解しない。
て、各種の有機酸を含む水溶液への溶解(特開平6−3
19517号、特開平11−193301、特開平11
−199601、特許公開2000−290187)、
或いは有機酸の緩衝水溶液を用いる(特開平9−110
634)などの方法が取られている。
方法のように、キトサンやDACを各種の有機溶媒を含
む水溶液に溶解した溶液は、医薬品として用いようとす
ると酸による刺激が問題となる。
乾燥させて製膜すると、有機酸が残存し、出来た膜は水
溶性を示し、有機酸を除去しないと耐水性のある安定な
キトサン或いはDAC膜は得られない。
しては、特殊な有機溶媒(トリフルオロエタノール等)
のキトサン溶液からの蒸発乾固による方法しかなく、工
業的に成立する方法はこれ迄に確立されていなかった。
決するために、従来法のような有機酸や特殊な有機溶媒
を使用せずに溶解すること、及びその溶液を乾燥し、溶
媒を除去するのみで、透明かつ耐水性のある安定なキト
サン或いはDAC皮覆膜、キトサン或いはDAC皮覆糸
の作成を可能とすることを課題としている。
使用しない方法によって、各種ガラスや高分子材料の表
面にキトサンやDACの薄膜を接着させ、生体適合性な
どを持った機能性材料を作成することを可能とする。
解決するものとして、第1には、キトサンまたは部分脱
アセチル化したキチン;DACの粉末もしくはゲル状の
水分散液に炭酸ガスを通気させることを特徴とするキト
サンまたはDACの水溶解方法を提供し、第2には、こ
の溶解方法によって水溶液を製造することを特徴とする
キトサンまたはDACの水溶液の製造方法を提供する。
アセチル化したキチン;DACが実質的に有機酸または
有機溶媒を含有しない水に溶解されていることを特徴と
するキトサンまたはDACの水溶液を提供し、第4に
は、炭酸ガスが通気された水であることを特徴とするキ
トサンまたはDACの水溶液を、第5には、炭酸ガスお
よび炭酸水素イオンのうちの少くともいずれかが含有さ
れている水であることを特徴とするキトサンまたはDA
Cの水溶液を、第6には、pHが中性域の値であること
を特徴とするキトサンまたはDACの水溶液を提供す
る。
かの水溶液を展開して製膜することを特徴とするキトサ
ンまたはDAC膜の形成方法を、第8には、この方法に
より固体表面に展開製膜することを特徴とするキトサン
またはDAC膜による固体表面の被覆方法を提供し、第
9には、上記いずれかの水溶液により紡糸することを特
徴とするキトサンまたはDAC糸の形成方法を提供す
る。
発明者によって見出された全く新しい知見に基づいて完
成されたものである。
殊な毒性の強い有機溶媒以外には溶解性を示さない為
に、有機溶媒からの製膜は困難であり、水溶液からの製
膜が有効であると考える。
溶解しないが、実用的な検知からは、水に溶解して酸と
しての働きを示し、また容易に水から除去できるものを
使用することが望ましい。
スである。
状に分散させ、炭酸ガスを吹き込むと、炭酸ガスは水に
溶解した二酸化炭素となり、次に水分子と反応して図1
に示す様に炭酸を形成する。
やDACと反応して自身は炭酸水素イオンになると同時
に、キトサンやDACをカチオン化して溶解させる。
り、生成する炭酸の量も僅かであるが、キトサンやDA
Cのような塩基が存在すると、それを溶解させるに必要
な量が余分に溶解する。
い。
図2に示す通りである。
に溶けている二酸化炭素も空気中に炭酸ガスとして放出
されていく。
化炭素を供給する。
ン或いはDACのカチオンと炭酸水素イオンが反応し、
キトサン或いはDACと炭酸に変わる。
には、二酸化炭素、炭酸、炭酸水素イオンも全て除去さ
れ、キトサン或いはDACのみが膜状に残ることにな
る。
の実施の形態について説明する。
水溶液の製造に際しては、まず、キトサンまたはDAC
は粉末状あるいはゲル状で水に分散させておくが、この
場合キトサンまたはDACと水との割合については、特
に厳密な制限はないが、通常は、重量比; 〔キトサンまたはDAC〕/〔水〕 として0.5%〜10%程度の割合としておくことが好
ましい。また、粉末状の場合は、その大きさは細粒状
に、ゲル状の場合は、懸濁流状になるように水分散させ
ることが好ましい。
は各種の手段が適宜に採用されてよく、また、その通気
量については、溶解のために充分な量の炭酸ガスを供給
するために、水溶液が透明になる時点を目安、もしくは
実際的な指標とすることができる。過剰量の炭酸ガスが
通気されたとしても水から脱気されるので特に問題は生
じない。pH値として中性域(pH6〜8)にあること
を目安としてもよい。
て長期にわたって安定して保存することができる。そし
て、生成された水溶液は、上記の方法によって、不可避
的に混入する場合を除いては、有機酸や有機溶媒を含有
しないものとすることができる。
ル基を脱アセチル化したものであるが、この場合の脱ア
セチル化の割合は適宜でよく、たとえば通常は、水溶解
性の製膜性等を考慮すると、0.5%〜5%程度のもの
が良好である。
DACのいずれか一方を対象として水溶液としてもよい
し、両者を一緒に水溶解して水溶液としてもよい。
から吐出するようにしてもよいし、自然流下させるなど
の各種の手段、方法が適宜に採用されていることにな
る。これらの選択した手段、方法によって、膜厚や糸径
がコントロールされることになる。一般的には、製膜あ
るいは紡糸のためには、キトサンまたはDACの水溶液
は、その粘度を200〜2000mPs程度とし、温度
を4℃〜30℃とすることが望ましい。
よい.
実施の形懸について説明する。もちろん、本発明は以下
の例によって限定されることはない。 <実施例1>本実施例は、DAC50の炭酸ガスによる
溶解についての実施例である。
0%脱アセチル化したものであり、水溶性を示す。
と結晶化が進み、水へ再溶解させるには酸を加えなけれ
ばならない。
があり、粉砕した氷とDAC50の粉末を攪拌しながら
氷を溶かしていくと、DAC50を溶解すると説明され
ている。
50は確かに部分的に溶解し、液に粘性が出るが、液は
半透明な状態であり、完全な溶解は起こらない。
気すると、溶液は完全に透明になり、液の粘度も更に上
昇し、DAC50の完全な溶解が起こったことがわか
る。
長時間安定である。
であった。 <実施例2>本実施例は、キトサンゲルの炭酸ガスによ
る溶解についての実施例である。
に溶解し、続いて苛性ソータ(0.5規定)を滴下して
この塩酸を中和していくと、キトサンはゲル状に沈殿し
てくる。
させておくと、ゲルは一ケ月程安定に存在出来ると説明
されている.そこでこの方法を使用しキトサンゲルを作
製し、それを水中に懸濁させた。
ので、液には粘さが無い。
と、ゲルは完全に溶解し、溶液は透明になり、液の粘度
が上がった.この溶液は、蓋をした容器中に保存すると
安定に保たれる。
た。
色は全く見られなかった。 <実施例3>本実施例は,炭酸ガスで溶解したキトサン
及びDAC50の水溶液を用いて行った皮膜形成につい
ての実施例である。
みでなく、キトサンゲルも短時間の通気程度で溶解した
二酸化炭素により、溶解状態は安定化されることが分か
った。
室温で2〜3日間自然乾燥させた。
れた。
なかった。
キトサン及びDACによる表面被覆が可能となり、従来
の高分子膜にキトサン或いはDACの持つ薬理的機能を
付与することが可能である。
チャートである。
溶液の乾燥による皮膜形成法チャートである。
Claims (9)
- 【請求項1】 キトサンまたは部分脱アセチル化したキ
チン;DACの粉末もしくはゲル状の水分散液に炭酸ガ
スを通気させることを特徴とするキトサンまたはDAC
の水溶解方法。 - 【請求項2】 請求項1の溶解方法によって水溶液を製
造することを特徴とするキトサンまたはDACの水溶液
の製造方法。 - 【請求項3】 キトサンまたは部分アセチル化したキチ
ン;DACが実質的に有機酸または有機溶媒を含有しな
い水に溶解されていることを特徴とするキトサンまたは
DACの水溶液。 - 【請求項4】 炭酸ガスが通気された水であることを特
徴とする請求項3のキトサンまたはDACの水溶液。 - 【請求項5】 炭酸ガスおよび炭酸水素イオンのうちの
少くともいずれかが含有されている水であることを特徴
とする請求項3または4のキトサンまたはDACの水溶
液。 - 【請求項6】 pHが中性域の値であることを特徴とす
る請求項3ないし5のいずれかのキトサンまたはDAC
の水溶液。 - 【請求項7】 請求項3ないし5のいずれかの水溶液を
展開して製膜することを特徴とするキトサンまたはDA
C膜の形成方法。 - 【請求項8】 請求項7の方法により固体表面に展開製
膜することを特徴とするキトサンまたはDAC膜による
固体表面の被覆方法。 - 【請求項9】 請求項3ないし5のいずれかの水溶液に
より紡糸することを特徴とするキトサンまたはDAC糸
の形成方法。
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- 2001-11-30 JP JP2001366335A patent/JP4173305B2/ja not_active Expired - Fee Related
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