JP2002239694A - 溶鋼の流動制御装置 - Google Patents

溶鋼の流動制御装置

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Kazuo Miyamoto
一男 宮本
Masashi Kawamoto
正志 河本
Kozo Ota
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モールド内の所望の領域毎に所望の値の静磁
界を与えることができるような溶鋼の流動制御装置を提
供すること。 【解決手段】 モールド4における一対の長辺板2間を
挟んで対向して配備されると共に、モールド内における
溶鋼の流れを抑制するために該溶鋼に印加する磁場を発
生する磁場発生装置を備える。磁場発生装置は、一対の
長辺板間を挟んで互いに反対の磁極が対向するように配
備された二つのコイル11及び12と、13及び14
と、21及び22と、23及び24を対として四つの対
が長辺板の幅方向に間隔をおいて配備されて成る。しか
も、四つの対は二つの組に分けられ、各組における四つ
のコイル11〜14及び21〜24は組毎に共通の電圧
可変型の電源装置に接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造機におけ
るモールド内の溶鋼流を制御することで製造される鋳片
の品質向上に寄与する連続鋳造機におけるモールド内の
溶鋼の流動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の連続鋳造機におけるモー
ルド内溶鋼の流動を制御する関連技術としては、例えば
特公平3−38018号公報に開示された鋳造ストラン
ドの撹拌装置が挙げられる。
【0003】ここで開示された鋳造ストランドの撹拌装
置は、連続鋳造機のモールド内の溶鋼(鋳造ストラン
ド)の流動を制御可能なものである。図5を参照して構
成について説明する。図示しないタンディッシュに接続
された鋳造パイプ31からモールド33内に溶融金属の
タップ流32を注入する。モールド33の上端近傍には
静磁界Bを発生するための磁界発生手段として一対の磁
極34を設けて溶融金属中に起電力Eを発生させる。磁
極34は、コアの周囲にコイルを巻回して構成される。
このことにより、静磁界Bがモールド33内の溶融金属
中のタップ流32の通路を横断してタップ流32の速度
を減速させる。しかもタップ流32を複数の流れに分割
して溶融金属を撹拌する際、タップ流32の衝突によっ
て撹拌されない溶融部分36を静磁界Bとタップ流32
の減速により誘起される電流iとの相互作用により撹拌
させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した鋳造ストラン
ドの撹拌装置の場合、鋳造パイプ31から供給される溶
融金属のタップ流(溶鋼流)と直角となるようにモール
ド33の長辺間を挟んで磁極34を対向配備し、静磁界
(直流磁場)を貫通させて溶鋼流に制動力を働かせ、溶
鋼流の流れを抑制可能な構成になっている。
【0005】しかし、これまでの磁界発生手段は、モー
ルド33内の溶融金属に対して静磁界Bの大きさを変え
ることはできるものの、モールド33内の所望の領域毎
に所望の値の磁界を与えることができない。
【0006】そこで、本発明の課題は、モールド内の所
望の領域毎に所望の値の磁界を与えることができるよう
な溶鋼の流動制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、タンデ
ィッシュからの溶鋼を吐出するノズルと、前記ノズルか
らの溶鋼を蓄えて所定の形状に規定すると共に、互いに
対向する一対の長辺板及び一対の短辺板を有して成るモ
ールドと、前記一対の長辺板間を挟んで対向して配備さ
れると共に、前記モールド内における前記溶鋼の流れを
抑制するために該溶鋼に印加する磁場を発生する磁場発
生手段とを備えた連続鋳造機におけるモールド内の溶鋼
の流動制御装置において、前記磁場発生手段は、前記一
対の長辺板間を挟んで互いに反対の磁極が対向するよう
に配備された二つのコイルを対として複数の対が前記長
辺板の幅方向に間隔をおいて配備されて成り、前記複数
の対は複数の組に分けられ、各組における複数のコイル
は組毎に共通の電圧可変型の電源装置に接続されている
ことにより、前記溶鋼に印加する磁場分布をモールド内
の領域別に制御できるようにしたことを特徴とする溶鋼
の流動制御装置が提供される。
【0008】なお、各長辺板に配備されている複数組の
複数のコイルの磁極のうち、各長辺板に向けた磁極と反
対側の磁極は共通のヨークに結合されている。
【0009】また、前記複数の対は四対、前記複数の組
が二組であり、一方の組の二対は前記長辺板の幅方向に
関して内側に配備され、他方の組の二対は前記長辺板の
幅方向に関して外側に配備されている。
【0010】更に、各長辺板に配備されている一方の組
の二つのコイルは互いに反対側の磁極が長辺板を向くよ
うに配備され、他方の組の二つのコイルはそれぞれ、そ
れらの内側にある一方の組のコイルの磁極と同じ磁極が
長辺板を向くように配備されている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明による溶鋼の流動
制御装置の実施の形態について、図1、図2を参照して
詳細に説明する。本流動制御装置は、連続鋳造機におけ
るモールドに適用される。図1は、本発明に係る溶鋼の
流動制御装置の基本構成を示した平面図である。図2
は、この流動制御装置において使用されている複数のコ
イルの接続回路を示している。図3は、図1の構成を実
現するためのコイルの配置及び接続例をモールドの上方
から見た図であり、図4はコイルの配置例をモールドの
長辺板側から見た断面図である。
【0012】図1において、連続鋳造機は、図示しない
タンディッシュからの溶鋼を吐出するノズル1と、ノズ
ル1からの溶鋼を蓄えて所定の形状に規定すると共に、
互いに対向する一対の長辺板2及び一対の短辺板3を有
して成るモールド4とを備えている。一方、流動制御装
置は、一対の長辺板3間を挟んで対向して配備されると
共に、モールド4内における溶鋼の流れを抑制するため
に該溶鋼に印加する磁場を発生する磁場発生装置を備え
ている。
【0013】特に、磁場発生装置は、一対の長辺板2間
を挟んで互いに反対の磁極が対向するように配備された
二つのコイルを対として複数の対が長辺板2の幅方向
(図1中、左右方向)に間隔をおいて配備されて成る。
しかも、後述するように、複数の対は複数の組に分けら
れ、各組における複数のコイルは組毎に共通の電源装置
に接続されている。このことにより、溶鋼に印加する磁
場分布をモールド4内の領域別に制御できるようにした
ことを特徴とする。
【0014】本形態においては、複数の対が四対、複数
の組が二組である場合について説明する。この場合、複
数のコイルは、第一の組を構成するための二対のコイル
11、12及び13、14と、第二の組を構成するため
の二対のコイル21、22及び23、24とから成る。
各コイルは、コアに巻線を巻回して構成されている。特
に、一方の組の二対のコイル11、12及び13、14
は、長辺板2の幅方向に関して内側に配備され、他方の
組の二対のコイル21、22及び23、24は長辺板2
の幅方向に関して外側に配備されている。
【0015】また、各長辺板2に配備されている第一の
組の二つのコイル11、14(12、13)は互いに反
対側の磁極が長辺板2を向くように配備されている。一
方、第二の組の二つのコイル21、24(22、23)
はそれぞれ、それらの内側にある第一の組のコイル1
1、14(12、13)の磁極と同じ磁極が長辺板2を
向くように配備されている。
【0016】更に、各長辺板2に配備されている2組の
四つのコイル11、14、21、24(12、13、2
2、23)の磁極のうち長辺板2を向いている磁極とは
反対側の磁極は共通のリターンヨーク5(6)に結合さ
れている。
【0017】図2において、第一の組の二対のコイル1
1、12及び13、14は直列に電圧可変型の第一の電
源装置10に接続され、第二の組の二対のコイル21、
22及び23、24は直列に電圧可変型の第二の電源装
置20に接続されている。
【0018】このような構成によれば、第一の電源装置
10、第二の電源装置20から各組のコイルに流れる電
流を調整することにより、各組のコイルにより発生され
る磁場の強さを可変とすることができる。すなわち、モ
ールド4内においてノズル1に近い領域における磁場の
強さと、短辺板3に近い領域の磁場の強さとを独立して
任意に可変とすることができる。このように、短辺板3
に近い領域の磁場の強さをノズル1に近い領域における
磁場の強さとは独立して調整可能としていることによ
り、特に、短辺板3に近い領域におけるメニスカス表面
の波打ち防止及び溶鋼の盛り上がり高さの減少に大きく
寄与せしめることができる。
【0019】以上、本発明の形態を、磁場発生装置が複
数の対が四対、複数の組が二組である場合について説明
したが、本発明はこれに限定されるものでないことは言
うまでも無い。すなわち、磁場発生装置は、モールド4
における一対の長辺板2間を挟んで互いに反対の磁極が
対向するように配備された二つのコイルを対として複数
の対が長辺板2の幅方向に間隔をおいて配備されていれ
ば良い。そして、複数の対は複数の組に分けられ、各組
における複数のコイルが組毎に共通の電源装置に接続さ
れていれば良い。
【0020】
【発明の効果】以上に述べた通り、本発明によるモール
ド内の溶鋼の流動制御装置によれば、モールド内の所望
の領域毎に所望の値の磁界を与えることができ、製造さ
れる鋳片の品質向上に寄与せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る溶鋼の流動制御装置
の基本構成を示した平面図である。
【図2】図1に示された複数のコイルの電源装置に対す
る接続例を示した図である。
【図3】図1の構成を実現するためのコイルの配置及び
接続例をモールドの上方から見た図である。
【図4】コイルの配置例をモールドの長辺板側から見た
断面図である。
【図5】従来の鋳造ストランドの撹拌装置の概略構成を
示した破断側面図である。
【符号の説明】
1 ノズル 2 長辺板 3 短辺板 4、33 モールド 5、6 リターンヨーク 11〜14、21〜24 コイル 31 鋳造パイプ 32 タップ流 34 磁極 36 溶融部分 B 静磁界
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 一男 愛媛県新居浜市惣開町5番2号 住友重機 械工業株式会社新居浜製造所内 (72)発明者 河本 正志 茨城県鹿嶋市光3番地 住友金属工業株式 会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 太田 晃三 茨城県鹿嶋市光3番地 住友金属工業株式 会社鹿島製鉄所内 Fターム(参考) 4E004 AA09 MB12 NB01 NC01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンディッシュからの溶鋼を吐出するノ
    ズルと、前記ノズルからの溶鋼を蓄えて所定の形状に規
    定すると共に、互いに対向する一対の長辺板及び一対の
    短辺板を有して成るモールドと、前記一対の長辺板間を
    挟んで対向して配備されると共に、前記モールド内にお
    ける前記溶鋼の流れを抑制するために該溶鋼に印加する
    磁場を発生する磁場発生手段とを備えた連続鋳造機にお
    けるモールド内の溶鋼の流動制御装置において、 前記磁場発生手段は、前記一対の長辺板間を挟んで互い
    に反対の磁極が対向するように配備された二つのコイル
    を対として複数の対が前記長辺板の幅方向に間隔をおい
    て配備されて成り、 前記複数の対は複数の組に分けられ、各組における複数
    のコイルは組毎に共通の電圧可変型の電源装置に接続さ
    れていることにより、前記溶鋼に印加する磁場分布をモ
    ールド内の領域別に制御できるようにしたことを特徴と
    する溶鋼の流動制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の溶鋼の流動制御装置にお
    いて、各長辺板に配備されている複数組の複数のコイル
    の磁極のうち、各長辺板に向けた磁極と反対側の磁極は
    共通のヨークに結合されていることを特徴とする溶鋼の
    流動制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の溶鋼の流動制御装置にお
    いて、前記複数の対は四対、前記複数の組が二組であ
    り、一方の組の二対は前記長辺板の幅方向に関して内側
    に配備され、他方の組の二対は前記長辺板の幅方向に関
    して外側に配備されていることを特徴とする溶鋼の流動
    制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の溶鋼の流動制御装置にお
    いて、各長辺板に配備されている一方の組の二つのコイ
    ルは互いに反対側の磁極が長辺板を向くように配備さ
    れ、他方の組の二つのコイルはそれぞれ、それらの内側
    にある一方の組のコイルの磁極と同じ磁極が長辺板を向
    くように配備されていることを特徴とする溶鋼の流動制
    御装置。
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