JP2002238410A - 魚釣用リール - Google Patents

魚釣用リール

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JP2002238410A
JP2002238410A JP2001045443A JP2001045443A JP2002238410A JP 2002238410 A JP2002238410 A JP 2002238410A JP 2001045443 A JP2001045443 A JP 2001045443A JP 2001045443 A JP2001045443 A JP 2001045443A JP 2002238410 A JP2002238410 A JP 2002238410A
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repellent
fishing
reel
line
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JP2001045443A
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Harumichi Oishi
晴通 大石
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Daiwa Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】撥水処理が施される部分の形状や種類を問わ
ず、衝撃などによって撥水性能が低下することがなく、
使用環境の厳しい釣場においても安定した撥水効果を維
持できる耐食性及び耐久性に優れた魚釣用リールの提供
を目的としている。 【解決手段】本発明の魚釣用リールは、リールの一部を
成す互いに対向する一対の構成要素22,24,26を
備え、これらの構成要素22,24,26の互いに対向
する対向面22a,22b,24a,26aの少なくと
も一方には凹部41,43が形成され、この凹部41,
43内に撥水剤40が滞留保持されていることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハンドルに連結さ
れる巻取り駆動機構を介してスプールに釣糸を巻回する
魚釣用リールに関する。
【0002】
【従来の技術】魚釣用リールは、海、湖、川などのフィ
ールドで使用される道具であり、海水等の水分や異物等
がリール本体や各操作部材に付着したり部材間の隙間か
ら内部に侵入する等の環境の厳しい状況で使用される。
そのため、魚釣用リールは、一般に、他の分野の製品に
比べて十分な防水性能および耐食性能が要求される。
【0003】このような要求下にあって、例えば特許第
2725175号や特開2000−41543号公報に
は、釣具の表面に撥水処理を施すことによって、水分や
異物等の付着を防止する技術が開示されている。すなわ
ち、特許第2725175号では、釣竿等の釣用品の部
材の外表面のみに撥水処理を施すことによって、水で濡
れた糸や、水滴に吸着したゴミ等が、これらの部材の外
表面に付着することを防止するとともに、部材の外表面
の錆や腐食を防止している。また、特開2000−41
543号公報では、リール本体内部に水が侵入する経路
およびリール本体内の構成部材のうち、侵入した水が付
着する部位に、フッ素化合物またはシリコン化合物もし
くはこれらの混合物の粒子を、バインダーとともに揮発
性溶媒に分散させて塗布するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これら2つ
の従来技術は、いずれも、リールの構成部材の表面に撥
水剤を塗布して撥水性被膜層を形成するものであるが、
このような撥水剤の塗布は、通常の塗装のように寸法の
バラツキが大きく(また、撥水処理によって寸法変化が
生じ)、膜厚管理が難しい。そのため、寸法精度や回転
性能が要求されるような個所、例えば、両軸受型リール
のスプールとフレームとの対向部や、スピニングリール
のラインローラと支持部材との対向部など、対向部間の
微小隙間および回転性能の維持が要求される箇所や複雑
な形状への適用が困難である。すなわち、このような塗
装処理では、寸法精度や回転性能が要求されるような個
所や複雑な形状を有する面に対して、均一な皮膜を形成
することが困難であるため、腐食や異種金属接触腐食を
引き起こし易いといった問題がある。
【0005】また、撥水性被膜層は、塗膜が柔らかく傷
に弱いため、実釣時のキャスティング操作や巻き取り操
作、あるいは、釣り場の移動および運搬移動時などにお
いて、手に触れたり、他の障害物に当たったり、落とし
てしまったりすると、被膜が剥がれて撥水効果を発揮で
きなくなる。
【0006】本発明は前記事情に着目してなされたもの
であり、その目的とするところは、撥水処理が施される
部分の形状や種類を問わず、衝撃などによって撥水性能
が低下することがなく、使用環境の厳しい釣場において
も安定した撥水効果を維持できる耐食性及び耐久性に優
れた魚釣用リールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の魚釣用リールは、リールの一部を成す互い
に対向する一対の構成要素を備え、これらの構成要素の
互いに対向する対向面の少なくとも一方には凹部が形成
され、この凹部内に撥水剤が滞留保持されていることを
特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の実施形態について説明する。
【0009】図1および図2は本発明の第1の実施形態
を示している。図1に示されるように、本実施形態に係
る魚釣用スピニングリール1は、リール本体1aと、リ
ール本体1aから延出する脚部1bと、脚部1bの端部
に形成され且つ釣竿Aのリール取付部Bに取り付けられ
る竿取付部1cとを有している。リール本体1a内に
は、ハンドル5が固定されるハンドル軸(図示せず)が
回転可能に支持されている。このハンドル軸にはドライ
ブギア(図示せず)が固定されており、このドライブギ
アには、ハンドル軸に対して直交する方向に延び且つリ
ール本体1aに回転可能に支持された管状のピニオンギ
ア(図示せず)が噛合している。このピニオンギアの先
端部には、リール本体1aに回転自在に支持されたロー
タ8が一体的に取り付けられている。なお、ロータ8に
は、釣糸案内部(以下、ラインローラという)24を有
するベール支持部材(後述する)を介して、ベール6が
釣糸放出(繰出)位置と釣糸巻回位置とに反転回動自在
に支持されている。
【0010】また、前記ハンドル軸と直交する方向に沿
って前後動できるスプール軸(図示せず)が前記ピニオ
ンギアを貫通している。このスプール軸の先端部には釣
糸が巻回されるスプール10が取付けられている。ま
た、前記ドライブギアにはピニオンギアを介してオシレ
ーティング機構(図示せず)が係合している。このオシ
レーティング機構は、前記ハンドル軸がハンドル5の回
転操作によって回転されると、前記スプール軸を軸方向
に沿って往復駆動(前後動)する。したがって、このよ
うな構成では、ベール6を釣糸放出位置に反転操作し
て、釣糸をラインローラ24から外した状態で、釣竿A
を振り下ろす(キャスティングする)と、スプール10
に巻回された釣糸が放出(仕掛けが投擲)される。次
に、この状態から、ハンドル5を回転操作すると、ベー
ル6が釣糸巻取位置に反転復帰するとともに、前記ハン
ドル軸が回転し、前記オシレーティング機構を介して前
記スプール軸に取り付けられたスプール10が前後に往
復動しながら、前記ドライブギアおよび前記ピニオンギ
アを介してロータ8が回転駆動する。したがって、スプ
ール10には、ラインローラ24を介して、釣糸が均等
に巻回される。
【0011】また、ロータ8には、一対のベール取付ア
ーム(腕部)20が設けられている。また、これら一対
のベール取付アーム20には、一対のベール支持部材を
介してベール6が釣糸放出(繰出)位置と釣糸巻回位置
とに反転回動自在に取り付けられている。一方側の第1
のベール支持部材は、一方側のベール取付アーム20に
反転回動自在に取り付けられた揺動アーム22と、ベー
ル6の一端部が取り付けられる釣糸導入部(以下、ライ
ンスライダという)16と、揺動アーム22とラインス
ライダ16との間に回転可能に支持されたラインローラ
24とを有している。また、図示しない他方側の第2の
ベール支持部材(ロータ8に対して第1の支持部材と反
対側に位置している…したがって、図1には示されてい
ない。)は、他方側のベール取付アーム20に反転回動
自在に取り付けられ且つベール6の他端部が取り付けら
れる揺動アーム22から成る。
【0012】図2に詳しく示されるように、一方側の第
1のベール支持部材の揺動アーム22とラインスライダ
16は、ラインスライダ16に捩じ込まれるボルト39
によって互いに連結されており、また、ラインローラ2
4は、揺動アーム22とラインスライダ16との間でボ
ルト39により支持された軸受38とラインスライダ1
6に支持された軸受36とを介して、回転可能に支持さ
れている。この場合、ラインローラ24と揺動アーム2
2およびラインスライダ16とはラインローラ24の径
方向で近接して対向しており、その対向するラインロー
ラ24の対向面24aと揺動アーム22の対向面22a
との間の隙間(対向間隔)C1およびラインローラ24
の対向面24bとラインスライダ16の対向面16aと
の間の隙間(対向間隔)C2は、糸噛みを防止するた
め、一般に、2mm以下、好ましくは0.1〜0.3m
m程度に設定されている。
【0013】ところで、魚釣用スピニングリール1は、
海水等の水分や異物等に晒される環境の厳しい状況で使
用されるため、ラインローラ24の対向面24aと揺動
アーム22の対向面22aとの間の隙間C1およびライ
ンローラ24の対向面24bとラインスライダ16の対
向面16aとの間の隙間C2を通じて、ラインローラ2
4と揺動アーム22との間の空間S1内およびラインロ
ーラ24とラインスライダ16との間の空間S2内に水
分や異物が侵入する可能性がある。そのため、従来のよ
うに、これらの部材22,24,16の対向面の適宜箇
所に撥水剤を塗布して防水を図る必要がある。しかしな
がら、対向面に撥水剤を単に塗布する手法は、寸法のバ
ラツキが大きく(撥水処理によって寸法変化が生じ)、
膜厚管理が難しいため、糸噛み防止のために寸法C1,
C2の精度が要求されるとともに可動部材であるライン
ローラ24に所定の回転性能が要求されるこのような対
向面 22a,24a,24b,16a に適用すること
が困難であり、好ましくない。
【0014】そこで、本実施形態では、揺動アーム22
およびラインスライダ16と対向するラインローラ24
の対向面24a,24bに凹部41,43を形成し、こ
れらの凹部41,43内に撥水剤40を充填する(滞留
保持させる)撥水処理を採用している。凹部41,43
は、ラインローラ24の対向面24a,24bの全周に
わたって一様な深さ(例えば、0.1〜0.5mm、好
ましくは0.2〜0.3mm)で環状に形成されてい
る。
【0015】撥水剤40は、例えば、水の接触角が13
0度以上、好ましくは140度以上、特に好ましくは1
50〜180度であるような極めて高い超撥水性を有す
るものであることが望ましい。このような超撥水性は、
例えば、撥水性樹脂に撥水性粒子を混入した撥水剤を凹
部41,43内に充填し且つ充填されて成る撥水層の表
面に微小な凹凸を形成することにより得ることができ
る。
【0016】撥水性樹脂としては、弗素系樹脂やシリコ
ン系樹脂を挙げることができる。なお、撥水性樹脂とし
て他の材料を用いることもできるが、水の接触角が13
0度以上、好ましくは140度以上の表面性質が得られ
る材料を用いるのが良い。
【0017】また、撥水性粒子としては、四弗化エチレ
ン樹脂、四弗化エチレン樹脂−六弗化ポリプロピレン共
重合樹脂、三弗化塩化エチレン樹脂、弗化ビニル樹脂、
四弗化ビニリデン樹脂、四弗化エチレン−パーフロロア
ルキルビニルエーテル共重合樹脂、弗化エチレン樹脂−
エチレン共重合樹脂、エチレン−三弗化エチレン共重合
樹脂、その他酸化ケイ素やシリコン樹脂等を挙げること
ができる。
【0018】前記撥水層の微小な凹凸表面は、凹部4
1,43内に撥水剤40を充填して撥水層を形成する際
に、その撥水層の表面の溶剤の量を多くしておき、溶剤
を揮発させることにより形成することができる。また、
その際、撥水性材料のモノマーあるいはオリゴマーをポ
リマー化することにより形成することができる。更にま
た、その際、被膜が完全に形成される前に膜内からガス
を発生させて、不膜中に微細な穴を多く設けることによ
り、凹凸を形成することもできる。或いは、撥水性粒子
よりも粒径の大きい粒子、例えば耐摩耗性粒子を混入す
ることにより形成することも可能である。
【0019】前記撥水層の微小な凹凸表面は、凹部と凸
部とが組み合わされて形成されている。この場合、「微
小」という概念は、微小な凹凸の凹部に入った空気が凹
部に保持され、水滴が凹部に入らない程度の微小さのこ
とである。具体的な例としては、撥水層を平面上に見た
ときに、凹部と凸部との組み合わせ個数が、単位面積
(例えば、1mm2 )当たりに換算して、100個以上
または1000個以上、好ましくは、5000〜100
万個またはそれ以上形成されていることを意味する。ま
た、別の言い方をすると、「微小」という概念は、凹部
と凸部との高低差が、10μm以下、好ましくは、0.
1〜5μmであって、且つ、凹部と凸部との間のピッチ
が、10μm以下、好ましくは、0.1〜5μmに設定
されていることを意味する。
【0020】撥水性樹脂に混入する撥水性粒子は、単一
の形状や大きさでなく、2種類以上の様々な形状や大き
さのものとすることが好ましい。様々な形状や大きさの
撥水性粒子を用いることにより、撥水層表面の凹凸形状
を複雑な形状にすることができ、それによって撥水性を
一層向上させることができる。
【0021】また、撥水性を向上させるために、撥水層
の表面にフッ素粒子を露出させても良い。特に、撥水層
の表面における撥水性粒子の割合を、凹部41,43の
底部側における撥水性粒子の割合よりも多くすることが
好ましい。これは、材料の物性、例えば撥水性樹脂と撥
水性粒子の比重差や表面張力の差を利用したり、撥水層
の形成時に遠心力を利用したり、或いはまた、撥水性粒
子の含有量の異なる撥水性樹脂を段階的に複数回充填す
ることにより達成することができる。具体的には、撥水
性粒子の割合を表面側で多くした撥水層は、例えば撥水
性粒子とバインダーとの比重差を利用して形成すること
ができる。即ち、撥水剤の加熱硬化や光硬化等の硬化段
階において、またはその前の段階において、遠心力を利
用して撥水性粒子の割合を表面側で多くするように調整
することが可能である。また、表面張力の差によって撥
水性粒子を表面に浮き出させることも可能である。或い
はまた、撥水性粒子の割合の少ない塗料を塗布し、半硬
化状態の樹脂層の上に撥水性粒子の割合の少ない塗料を
塗布し、内・外層を加熱硬化するようにしても良い。
【0022】このように、撥水層の表面における撥水性
粒子の割合を凹部41,43の底部側よりも多くするこ
とにより、撥水層の表面の撥水性を更に高くすることが
できるとともに、バインダーとしての樹脂が凹部41,
43の底部側で多くなることにより、相対的にラインロ
ーラ24との密着性を向上させることができる。
【0023】なお、撥水層は、複数層で形成することも
できるが、層間剥離を防止するため、単層または一体に
同時に加熱硬化する複数層に形成するとよい。
【0024】撥水剤40中の撥水性粒子の混入比率は、
30%( 断面の面積比率 )より多くすることが好まし
く、40〜70%の範囲がより好ましい。それによっ
て、撥水性粒子の突出を多くすることができ、高い撥水
性の表面を得ることができる。
【0025】また、撥水層には、耐摩耗性粒子を混入す
ることができる。この場合、耐摩耗性粒子が撥水層の表
面に突出するように形成することで、撥水層の表面に釣
糸が接触しても、撥水層の早期の磨耗を防止することが
できる。耐摩耗性粒子としては、シリカ、アルミナ、ガ
ラス、SiC、ステンレス鋼等を用いることができる。
【0026】耐摩耗性粒子の大きさは、特に限定されな
いが、撥水層に含まれている他の粒子、例えば撥水性粒
子の大きさよりも大きく且つ凹部41,43の深さより
も小さいことが好ましい。撥水性粒子の粒子径は、例え
ば0.1μm〜1μmであり、耐摩耗性粒子の粒子径
は、例えば0.2μm〜5μmである。その結果、大き
さの異なる複数種の粒子が突出して、複合的な凹凸面を
形成することができる。なお、耐摩耗性粒子の量は、撥
水性粒子の量よりも少ないことが望ましい。
【0027】このように、撥水層の表面に、耐摩耗性粒
子による凹凸と撥水性粒子の集合による凹凸からなる複
合的な凹凸面を形成することにより、撥水層の耐久性を
向上させることができるとともに、撥水性を更に向上さ
せることができる。特に、撥水性粒子と耐摩耗性粒子と
を、材料等、異なる性質とした場合には、その性質に応
じた特性を付加した凹凸面を形成することができる。耐
摩耗性粒子の混入比率は、特に限定されないが、1重量
%以上、通常は3〜30重量%が適当である。
【0028】以上説明したように、本実施形態の魚釣用
スピニングリール1では、揺動アーム22およびライン
スライダ16と対向するラインローラ24の対向面24
a,24bに凹部41,43が形成され、これらの凹部
41,43内に撥水剤40が充填されている。すなわ
ち、対向面24a,24bの表面に撥水剤が塗布されて
撥水性被膜層が形成されているのではなく、対向面24
a,24bの表面に形成された凹部41,43内に撥水
剤40が滞留保持された構成となっている。したがっ
て、撥水処理によってラインローラ24の寸法に変化が
生じることがないため、寸法のバラツキが大きい通常の
塗装のように膜厚管理を行なう必要がなく、所期の糸噛
み防止能および回転性能を維持しつつ(リールとして常
時安定した機能を維持しつつ)、容易且つ確実に撥水効
果(防水効果)を得ることができる。すなわち、ライン
ローラ24の対向面24aと揺動アーム22の対向面2
2aとの間の隙間C1およびラインローラ24の対向面
24bとラインスライダ16の対向面16aとの間の隙
間C2を通じて、ラインローラ24と揺動アーム22と
の間の空間S1内およびラインローラ24とラインスラ
イダ16との間の空間S2内に水分や異物が侵入するこ
とを防止でき、ラインローラ24、揺動アーム22、ラ
インスライダ16、軸受36,38の耐食性を向上させ
て、ラインローラ24の回転性能を長期間にわたって維
持することができる。
【0029】また、撥水剤が凹部41,42内に保持さ
れているため、傷に強く、手に触れたり、他の障害物に
当たったり、落としてしまった場合でも、剥離して撥水
性能が低下することがなく、使用環境の厳しい釣場にお
いても安定した撥水効果を維持できる。
【0030】また、本実施形態においては、撥水剤27
として撥油性を兼ね備えた化合物を使用すれば、グリ
ス、オイル、手油等の油脂分の付着による撥水効果の低
下を防ぐことができるため、撥水効果を更に長期間維持
することができる。
【0031】また、本実施形態においては、異種金属が
接触または近接配置されている部位に上記効果を奏する
撥水処理を施せば、塩水等の電解質の滞留がなくなり、
異種金属との接触腐食の発生を抑えることができる。
【0032】なお、本実施形態では、可動部材であるラ
インローラ24と、これに対向する揺動アーム22およ
びラインスライダ16との間で前述した撥水処理が施さ
れているが、可動部材が関与する他の対向部、例えば、
ロータ(可動側)8とリール本体1aのフランジ(固定
側)との間、スプール(固定側)10とロータ(可動部
材)8との間、リール本体(固定側)とハンドル5のス
タンド(可動側)との間、ドラグノブ19(可動側…図
1参照)とスプール(固定側)10との間、ストッパレ
バーとリール本体1aとの間、リール本体1aのカバー
とリール本体1aとの間にも同様な形態で撥水処理を行
なうことができる。
【0033】また、第1の実施形態では、互いに対向す
る部材同士の一方側、すなわち、ラインローラ24側に
だけ撥水処理が施されているが、図3に示されるよう
に、ラインローラ24の対向面24a,24bだけでな
く、揺動アーム22およびラインスライダ16の対向面
22a,16aにもそれぞれ凹部47,45を形成し、
これらの凹部47,45内にも撥水剤40を充填する
(滞留保持させる)ようにしても良い。この場合も、凹
部47,45は、揺動アーム22およびラインスライダ
16の対向面22a,16aの全周にわたって一様な深
さ(例えば、0.1〜0.5mm、好ましくは0.2〜
0.3mm)で環状に形成されている。このように、互
いに対向する部材の両方に前述した撥水処理を行なえ
ば、撥水効果を更に高めることができる。
【0034】また、第1の実施形態および図3の例で
は、ラインローラ24、揺動アーム22、ラインスライ
ダ16の全周にわたって一様な深さの環状の凹部41,
43,45,47が形成され、これらの凹部に撥水剤4
0が充填されているが、凹部は一様な深さでなくても良
い。例えば、ラインローラ24、揺動アーム22、ライ
ンスライダ16の対向面24a,24b,22a,16
a上にランダムな深さの高次ピット被膜層28を形成
し、この被膜層28中に撥水剤27を浸透保持しても良
い。以下、これについて具体的に説明する。
【0035】図中、26は、ラインローラ24、揺動ア
ーム22、ラインスライダ16を形成する部材本体であ
る。この部材本体26上に高次ピット被膜層28を形成
するためには、図5に示されるように、部材本体26を
構成する素材(例えば、マグネシウム合金やアルミニウ
ム合金等の卑な金属)を用意し(ステップS1)、この
素材に電解エッチングまたは化学エッチングを施し(ス
テップS2)、その後、陽極酸化処理または化成処理を
施せば良い(ステップS3)。これにより、部材本体2
6上には、絶縁性を有する高硬度の高次ピット被膜層2
8が形成される。
【0036】電解エッチングは、公知のように、硫酸、
硝酸、リン酸等の酸性の水溶液中において電解処理を行
なうことにより、達成できる。具体的には、リン酸水溶
液中での交流電解処理をする。この電解エッチングによ
り、部材本体26の表面がエッチングされて、凹凸を成
す一次ピットP1(図4参照)が形成される。一次ピッ
トP1のピット径は、電解エッチングの処理条件により
異なるが、一般に、0.1μm〜10μm程度になる。
また、陽極酸化処理も、例えば硫酸、しゅう酸、クロム
酸、その他の有機酸等の電解液を用いて従来と同様に達
成できる。具体的には、例えば水酸化カリウム、フッ化
カリウム、リン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、過
マンガン酸カリウムなどにより調整された処理液中に、
接点をとった部材本体26を投入し、一定時間電気を流
す条件でHAE陽極酸化処理を施す。この陽極酸化処理
により、部材本体26の表面に形成された所定深さの各
一次ピットP1内には、更に所定深さの二次ピットP2
が形成される。この陽極酸化処理によって形成される二
次ピットP2のピット径は、電解エッチングによって形
成される一次ピットP1のピット径よりも小さく、陽極
酸化処理の条件によっても異なるが、一般に、0.01
μm〜0.1μm程度になる。
【0037】すなわち、このように二段の処理操作(エ
ッチングと陽極酸化処理(または化成処理)を組み合せ
て実施することにより、大きなピットP1から小さなピ
ットP2へと順次、大きなピットのそれぞれの内部に小
さなピットが複数形成されて成る高次ピット構造(ピッ
ト径:0.1μm〜10μm)が部材本体26上に効果
的に形成される。
【0038】なお、陽極酸化処理では、前記HAE陽極
酸化処理やDow17陽極酸化処理を用いることによっ
て、緻密な陽極酸化皮膜(高次ピット被膜層28)を形
成することができる。これらの陽極酸化処理によれば、
緻密で硬い複合酸化物構造を成すと共に、スピネル構造
を成す陽極酸化皮膜が形成されるため、耐食性に優れた
魚釣用リールを実現することができる。この場合、陽極
酸化皮膜(高次ピット被膜層28)の厚さ即ちピットP
1,P2の深さは、安定した性能(硬くて緻密)を維持
するために、5〜20μmに設定することが好ましい。
これは、厚さ(ピットP1,P2の深さ)が5μm未満
であると、皮膜の硬さが不充分になると共に、厚さ(ピ
ットP1,P2の深さ)が20μmを超えると、皮膜の
成長過程においてクラックが発生する場合があるからで
ある。
【0039】また、このように形成された高次ピット被
膜層28中に撥水剤27を浸透保持させるには、図5に
示されるように、高次ピット被膜層28が形成された部
材本体26を撥水剤の溶液中に所定時間(例えば1時
間)浸漬したり、撥水剤を高次ピット被膜層28に連続
的に(例えば 塗料状態で)吹き付けて(ステップS
4)、その後、例えば80℃〜100℃で60分間乾燥
させれば良い(ステップS5)。撥水剤27は、第1の
実施形態における撥水剤40と同様のもので良いが、撥
油性を兼ね備えている化合物であることが望ましく、そ
のような化合物の例としては、例えばフッ素化合物、シ
リコン化合物で特にポリテトラフルオロエチレンやフル
オロアルキルシラン等のフルオロアルキル基を有する化
合物等を挙げることができる。無論、撥油性を有さない
撥水剤27(例えば、フッ素化合物やシリコン化合物
等)を使用することもできる。
【0040】このように、エッチングや陽極酸化等によ
り形成される高次ピットP1,P2は、表面自由エネル
ギを低下させ、部材本体26の表面を水に濡れにくくす
る。また、これらのピットP1,P2内に、主鎖中の撥
水基(フルオロアルキル基)数が6以上の撥水剤を浸透
させると、水との接触角が150°以上になり、油との
接触角が100°以上となる。
【0041】図6は本発明の第2の実施形態を示してい
る。本実施形態では、第1の実施形態で示した形態の撥
水処理が両軸受型リールのスプールとフレームとの間に
適用されている。
【0042】まず、撥水処理を説明する前に、 両軸受
型リールの概略構成について説明する。
【0043】図6の(a)に示されるように、魚釣用リ
ールとしての両軸受型リール180は、左右側板141
a,141bによってカバーされる左右フレーム142
a,142bを有している。また、左右フレーム142
a,142b間には、スプール軸143を介してスプー
ル(回転体)145が回転可能に支持されている。スプ
ール軸143の一端は右フレーム142bから突出して
おり、この突出部にピニオン147が軸方向に移動可能
に取り付けられている。また、ピニオン147には、ハ
ンドル170と一体で回転するハンドル軸149に支持
されたドライブギア150が噛合している。したがっ
て、ハンドル170を回転操作すると、ハンドル軸14
9とドライブギア150とピニオン147とを介して、
スプール145が回転される。
【0044】なお、図6の(a)に明確に示されるよう
に、スプール145と左右フレーム142a,142b
とはスプール145の径方向で近接して対向しており、
その対向するスプール145の対向面145A,145
B(145Bは図示せず)と左右フレーム142a,1
42bの対向面142A,142B(142Bは図示せ
ず)との間の隙間(対向間隔)C3は、糸噛みを防止す
るため、一般に、2mm以下、好ましくは0.1〜0.
3mm程度に設定されている。
【0045】また、スプール145の前方の左右フレー
ム142a,142b間には、釣糸Lを挿通する釣糸案
内部152aを有するレベルワインド装置152が、ス
プール軸143の軸方向に往復動可能に支持されてい
る。釣糸案内部152aは、ドライブギア150に噛合
するギア152bが取り付けられたウォームシャフト1
52cに係合しており、ハンドル170の回転操作によ
りハンドル軸149とドライブギア150とギア152
bとウォームシャフト152cとを介して往復動され
る。これにより、スプール145には、ハンドル170
の回転操作により左右に往復動される釣糸案内部152
aを介して釣糸が均等に巻回される。なお、ハンドル1
70は、ハンドル軸149に固定されたハンドルアーム
160と、ハンドルアーム160の一端部に設けられた
ハンドルノブ161とから成る。
【0046】上記構成の両軸受型リール180には、第
1の実施形態で示した形態の撥水処理がスプール145
とフレーム142a,142bとの間に施されている。
具体的には、図6の(b)に示されるように、左右フレ
ーム142a,142bの対向面142A,142Bと
スプール145の対向面145A,145Bのそれぞれ
に凹部190,191が形成され、これらの凹部19
0,191内に撥水剤40が充填され(滞留保持され)
ている。凹部190,191は、対向面142A,14
2B,対向面145A,145Bの全周にわたって一様
な深さ(例えば、0.1〜0.5mm、好ましくは0.
2〜0.3mm)で環状に形成されている。
【0047】このように、本実施形態の両軸受型リール
180では、左右フレーム142a,142bの対向面
142A,142Bとスプール145の対向面145
A,145Bのそれぞれに凹部190,191が形成さ
れ、これらの凹部190,191内に撥水剤40が充填
され(滞留保持され)ている。したがって、撥水処理に
よって左右フレーム142a,142bやスプール14
5の寸法に変化が生じることがないため、寸法のバラツ
キが大きい通常の塗装のように膜厚管理を行なう必要が
なく、所期の糸噛み防止能およびスプール145の回転
性能を維持しつつ、容易且つ確実に撥水効果を得ること
ができる。
【0048】なお、この第2の実施形態では、互いに対
向する部材同士の両側、すなわち、左右フレーム142
a,142bとスプール145の両方に撥水処理が施さ
れているが、左右フレーム142a,142bとスプー
ル145の一方側にだけ撥水処理を施しても十分な撥水
効果を得ることができる。
【0049】また、第2の実施形態では、フレーム14
2a,142bとスプール145の全周にわたって連続
して凹部190,191が形成されているが、凹部は周
方向に連続していなくても良い。例えば、図6の(c)
に示されるように、スプール145の対向面145Aの
周方向に沿って等角度間隔で互いに離間する複数の円形
凹部193を設け、これらの凹部193内にそれぞれ撥
水剤40を充填しても良い。
【0050】また、第2の実施形態では、可動部材であ
るスプール145と、これに対向する左右フレーム14
2a,142bとの間で前述した撥水処理が施されてい
るが、可動部材が関与する他の対向部、例えば、スター
ドラグ198と側板141bとの間、ハンドル軸149
とスタードラグ198との間、フレーム142a,14
2bと側板141a,141bとの間にも同様な形態で
撥水処理を行なうことができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の魚釣用リ
ールによれば、撥水処理が施される部分の形状や種類を
問わず、衝撃などによって撥水性能が低下することがな
く、使用環境の厳しい釣場においても安定した撥水効果
を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用スピニン
グリールの側面図である。
【図2】図1の魚釣用スピニングリールのベール支持部
材の断面図である。
【図3】図2の構成の変形例に係る断面図である。
【図4】高次ピット層の断面図である。
【図5】図4の高次ピット層を形成するための工程を示
すフローチャートである。
【図6】(a)は本発明の第2の実施形態に係る両軸受
型リールの一部断面を有する正面図、(b)は(a)の
両軸受型リールのスプールとフレームとの対向部を拡大
して示す断面図、(c)は(b)の構成の変形例に係る
断面図である。
【符号の説明】
1…魚釣用スピニングリール(魚釣用リール) 22…揺動アーム(構成要素) 24…ラインローラ(構成要素、可動部材) 26…ラインスライダ(構成要素) 40…撥水剤 41,43,45,47…凹部 142a,142b…フレーム(構成要素) 145…スプール(構成要素、回転体) 180…両軸受型リール(魚釣用リール) 190,191…凹部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リールの一部を成す互いに対向する一対
    の構成要素を備え、これらの構成要素の互いに対向する
    対向面の少なくとも一方には凹部が形成され、この凹部
    内に撥水剤が滞留保持されていることを特徴とする魚釣
    用リール。
  2. 【請求項2】 互いに対向する前記構成要素のいずれか
    一方が可動部材であることを特徴とする請求項1に記載
    の魚釣用リール。
  3. 【請求項3】 互いに対向する前記構成要素同士の対向
    間隔が2mm以下であることを特徴とする請求項2に記
    載の魚釣用リール。
  4. 【請求項4】 前記可動部材は、釣糸を巻回保持する回
    転体であることを特徴とする請求項2または請求項3に
    記載の魚釣用リール。
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