JP2002236850A - サーバ装置、端末装置、および通信端末を用いた塗料および塗料情報提供方法 - Google Patents

サーバ装置、端末装置、および通信端末を用いた塗料および塗料情報提供方法

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JP2002236850A
JP2002236850A JP2001035699A JP2001035699A JP2002236850A JP 2002236850 A JP2002236850 A JP 2002236850A JP 2001035699 A JP2001035699 A JP 2001035699A JP 2001035699 A JP2001035699 A JP 2001035699A JP 2002236850 A JP2002236850 A JP 2002236850A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、顧客所望の塗色を再現する塗
料を調製し、塗装店・塗装者の特性に依存せず均一な塗
色の塗膜を提供することにある。 【解決手段】本発明は、塗料を生成する原塗料の配合情
報を端末装置に提供するサーバ装置であり、原塗料を配
合して生成された商品塗料の塗色情報とそのときの原塗
料を配合する配合情報とを所定の形式で記録する記録部
と、ネットワークに接続する通信部と、制御部とを備
え、この制御部は、ネットワークに接続された端末装置
からのユーザ所望の塗料の塗色情報を受信し、塗色情報
を再現する原塗料の配合情報を推定し、推定された配合
情報を端末装置に提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料の販売システ
ムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】 通常塗料は、複数の顔料や原色塗料
(顔料を溶剤に溶解させたもの)を混合して生成され、
所望の発色が得られるように調製され、塗装工場、塗装
店等で塗装対象に塗付される。そして、塗料をどのよう
な顔料の組み合わせで調製すべきかを示す配合情報は、
塗料メーカにおいて管理されている。したがって、過去
に塗付された塗料を再現したい場合、例えば、自動車の
破損箇所に塗料を塗付して修理したい場合、塗装店等
は、塗料メーカから配布された資料を参考に所望の塗料
を調製していた。
【0003】しかし、このような配合情報に基づいて塗
料を調製しても完全には、所望の塗色、例えば、自動車
の破損個所の周囲の塗色と同一の塗色を得られないこと
が多かった。これは、例えば、以下の理由からである。
【0004】まず、資料を配付する方法では、最新の配
合情報を迅速、確実にすべての塗装店等に配布すること
が困難であった。また、塗膜が経時変化により、本来の
塗色から変化する場合がある。したがって、配合情報が
いかに正確で塗色に再現性があっても、その配合情報で
は、所望の塗色が再現できないことがあった。これは、
特に紫外線の影響を受けやすい赤色系の塗料において顕
著であった。
【0005】また、塗膜の経時変化がない場合、例え
ば、購入直後の新車を破損したような場合に上記配合情
報にしたがって調製しても破損個所周辺の塗色と同一の
塗色が得られないことがあった。この原因は、調製され
る顔料や原色塗料そのものが必ずしも同一の塗色を有し
ないことによる。
【0006】この理由の第1は、顔料や原色塗料自体が
製造後の保管状況等に依存し経時変化することである。
また、この理由の第2は、製造された顔料がすべて均一
であるとは限らないことによる。すべて均一であるとは
限らないとは、例えば、顔料の製造ロットに依存し、塗
色が微妙に異なることをいう。このため、生成された塗
料の塗色も製造ロットに依存し、ロットごとに塗色が微
妙に異なっている。
【0007】また、例えば、発色が全く同一の塗料であ
っても、塗装者の塗装特性に依存して塗色が異なること
がある。例えば、塗料の塗出圧、塗料を塗付する速度、
膜圧等に依存し、発色の仕方が異なることがある。
【0008】このように、単に顔料を組み合わせる配合
情報にしたがうだけでは、所望の塗色を有する塗料を得
ることが困難な場合があった。このため、従来は、塗装
店等において、配合情報にしたがって調製された塗料を
塗付した評価用塗板を作成し、その塗色の評価と調製と
を繰り返し、所望の塗料を得ていた。そして、塗装店等
では、顧客所望の塗色を得るため、顔料の調製作業に人
手が費やされていた。このため、塗装費用は高額になっ
ていた。
【0009】また、このように各塗装店で調製された塗
料や塗付された塗膜は、その塗装店等における調製特
性、塗装特性の影響を受けている。そのため、すべての
塗装店で共通で均一な塗装サービスを提供することは困
難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来の技術の問題点に鑑みてなされたものである。すなわ
ち、本発明の課題は、顧客所望の塗色を再現する塗料を
調製し、塗料そのものの特性や塗装店・塗装者の特性に
よる塗膜品質の変動を低減させて塗料を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために、以下の手段を採用した。
【0012】本発明は、商品塗料を生成する原塗料の配
合情報を端末装置に提供するサーバ装置であり、原塗料
を配合して生成された商品塗料の塗色情報とそのときの
原塗料を配合する配合情報とを所定の形式で記録する記
録部と、ネットワークに接続する通信部と、制御部とを
備え、この制御部は、ネットワークに接続された端末装
置からのユーザ所望の商品塗料の塗色情報を受信し、塗
色情報を再現する原塗料の配合情報を推定し、推定され
た配合情報を端末装置に提供するものである。
【0013】好ましくは、上記制御部は、ネットワーク
上の端末装置から、商品塗料による塗装を実行する塗装
者の塗装特性に係る情報、塗装に使用される塗装装置の
塗装特性に係る情報、原塗料の保管状態に係る情報また
は原塗料の経時変化に係る情報の少なくとも一つを含む
利用者特性情報を受信し、上記利用者特性情報に基づい
て配合情報を補正してもよい。
【0014】好ましくは、上記記録部は、原塗料の製造
時の製造ロット間の塗色変動に係る情報を記録してお
り、制御部は、この塗色変動に係る情報に基づいて配合
情報を補正してもよい。
【0015】好ましくは、上記制御部は、ネットワーク
上の端末装置から、塗装対象の塗色を測定する測定機の
機差に係る情報をさらに受信し、この機差に係る情報に
基づいて商品塗料の塗色情報を補正してもよい。
【0016】好ましくは、上記塗色情報は、ユーザ所望
の商品塗料が塗付された試料を分光測色装置により測定
した反射率を示す情報であり、上記所定の形式において
塗色情報は光学濃度で記述され、制御部は、受信したユ
ーザ所望の商品塗料の塗色情報を光学濃度に変換し、配
合情報を推定してもよい。
【0017】ここで、分光測色装置とは、例えば、いわ
ゆる多角度分光測色装置または変角分光測色装置をい
い、塗板に対する光源からの光の入射角、または塗板か
ら測定器に反射される光の受光角を複数設定して、塗板
上の塗料の反射率を測定できる装置をいう。
【0018】また、本発明は、商品塗料の配合情報を提
供する端末装置であり、原塗料を配合して生成された商
品塗料の塗色情報とそのときの配合情報との組み合わせ
とからなるカラーマッチングデータをネットワークを介
して受信する通信部と、カラーマッチングデータを所定
の形式で記録する記録部と、ユーザ所望の商品塗料の塗
色情報を入力する入力部と、入力された塗色情報を再現
する原塗料の配合情報を推定する制御部とを備え、推定
された配合情報を提供するものでもよい。
【0019】また、本発明は、ネットワークに接続され
たサーバ装置であり、原塗料を配合して生成される商品
塗料の識別情報およびその商品塗料に対する原塗料の配
合を指定する配合情報を記録する記録部と、ネットワー
クに接続する通信部と、制御部とを備え、この制御部
は、ネットワークに接続された端末装置から商品塗料を
識別する識別情報を受信し、その識別情報により識別さ
れる商品塗料の配合情報を検索し、検索された配合情報
を端末装置に提供するものでもよい。
【0020】また、本発明は、ネットワークに接続され
た端末装置であり、原塗料を配合して生成される商品塗
料を識別する識別情報を入力する入力部と、上記識別情
報をサーバ装置に送信し、その識別情報により識別され
る商品塗料を配合する配合情報をサーバ装置から受信す
る通信部と、受信した配合情報を表示する表示部とを備
えるものである。
【0021】ここで、識別情報とは、特定の商品塗料を
識別するための情報であり、例えば、商品塗料コード、
または、その商品塗料が塗付される商品の型式と塗付さ
れる部位等である。
【0022】また、本発明は、商品塗料の提供方法であ
り、ユーザ所望の商品塗料の塗色情報を測定するステッ
プと、複数の商品塗料に対して、原塗料を配合して生成
された商品塗料の塗色情報とそのときの原塗料を配合す
る配合情報とを有するデータベースを参照するステップ
と、ユーザ所望の塗色情報を再現する原塗料の配合情報
を推定するステップとからなるものでもよい。
【0023】また、本発明は、商品塗料の提供方法であ
り、ユーザ所望の商品塗料の塗色の識別情報を入力する
ステップと、商品塗料により塗装を行う塗装者の塗装者
特性または塗装に使用される塗装装置特性を含む利用者
特性を参照するステップと、商品塗料を生成する原塗料
の特性を参照するステップと、1以上の原塗料を調製し
て商品塗料を生成する、そのような商品塗料の配合情報
を前記識別情報をキーにして参照するステップと、少な
くとも前記利用者特性または前記原塗料の特性に基づい
て配合情報を補正するステップと、その配合情報を提供
するステップとからなるものでもよい。
【0024】また、本発明は、以上のいずれかの機能を
コンピュータに実現させるプログラムであってもよい。
【0025】このように、本発明は、ユーザ所望の商品
塗料が塗付された試料を測定して配合情報を求めるの
で、塗膜が経時変化した場合でも、その塗色の再現性を
高くすることができる。
【0026】また、本発明は、そのような塗色を測定す
る測定機の機差を補正するので、塗色の再現性を高める
ことができる。
【0027】また、本発明は、商品塗料による塗装を実
行する塗装者の塗装特性に係る情報、塗装に使用される
塗装装置の塗装特性に係る情報、原塗料の保管状態に係
る情報または原塗料の経時変化に係る情報の少なくとも
一つを含む利用者特性情報に基づいて配合情報を補正す
るので、塗色の再現性を高めることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
から図7の図面に基づいて説明する。
【0029】図1は本実施の形態の塗色配合情報提供シ
ステムのシステム構成図であり、図2は、図1に示した
利用者特性情報のデータ構成図であり、図3は、図1に
示した測定機13の機差校正手順を示す図であり、図4
は、図1に示した配合ステーション1の配合推定処理の
概要図であり、図5から図7は塗色配合情報提供システ
ムの変形例を示すシステム構成図である。
【0030】<システム構成>図1に、塗色配合情報提
供システムのシステム構成図を示す。このシステムは、
塗装店3に設置され塗装対象の配合推定を行う配合ステ
ーション1と、塗装対象の塗色を測定し、その塗色情報
を配合ステーション1に入力する測定機13と、配合ス
テーション1が推定した配合情報にしたがい配合された
塗料を塗付する塗装機14と、ネットワークを介して配
合ステーション1と接続される中央サーバ2とから構成
される。
【0031】この配合情報提供システムは、さらに、カ
スタマーサポートセンタ4のホストコンピュータ、塗料
ディリバリーセンタ5のホストホストコンピュータ、お
よび工場の品質管理サーバ6と接続され、塗料販売サー
ビスシステムを構成している。
【0032】配合ステーション1は、測定機13が測定
した塗装対象の塗色情報を入力され、カラーマッチング
プログラムを実行し、その塗色を発色する顔料の配合を
推定する。図1のように配合ステーション1は、配合情
報タンク12を有している。
【0033】配合情報タンク12には、カラーマッチン
グデータが格納されている。このカラーマッチングデー
タは、基礎データと実績データとを含んでいる。ここ
で、基礎データとは、光輝剤により顔料濃度を変化させ
た各顔料に対する分光反射率から求めた光学濃度データ
である。また、実績データとは、そのような複数の顔料
を実際に混合したときの、分光反射率から求めた光学濃
度データである。
【0034】カラーマッチングプログラムは、入力され
た塗色情報とカラーマッチングデータとからその塗色を
生成する顔料の配合情報を推定する。推定された配合情
報は塗装店3に提供され、塗料の配合を支援する。
【0035】また、配合ステーション1は、測定機状態
管理記録、塗料保管状態記録、塗装特性記録を含む利用
者特性情報を利用者特性情報記録部11に蓄積する。そ
して、配合ステーション1は、この利用者特性情報を所
定の時期に中央サーバ2に転送する。
【0036】配合ステーション1は、配合推定に使用す
るカラーマッチングデータ、配合推定時の補正情報を中
央サーバ2から所定の時期に受信する。この補正情報
は、分光反射率測定値補正ベクトル、光学濃度混合則補
正値、塗色基礎データ補正、ロット間補正データ等であ
る。
【0037】測定機13は、ハンディタイプのいわゆる
多角度分光測色装置である。測定機13は、塗板上に設
置され、その状態で白色光を塗板に入射させ、数種類の
受光角において、塗板上の塗料の分光反射率を複数の波
長について測定する。
【0038】2以上の受光角で分光反射率を測定するの
は、光輝材を含む塗料の分光反射率を測定するためであ
る。光輝材を含む塗料の塗膜では、受光角により色彩、
すなわち、分光反射率が異なる。このため、光輝材を含
む塗料の配合を推定するためには、複数の受光角におけ
る分光反射率が必要になる。
【0039】ただし、複数の受光角において測定する代
わりに、受光角を1点に固定し、入射角を変更して分光
反射率を測定してもよい。これによって、複数の受光角
で測定した分光反射率と類似または等価な測定結果が得
られる。
【0040】なお、測定機13は、自己診断プログラム
を定期的に実行し、配合ステーション1に報告する。こ
の自己診断は、温度、湿度等の環境に関する情報、およ
び測定機13の自身が有する白色光源からの白色光を分
光分析した分光特性を含む。
【0041】また、作業者は、定期的に標準の塗板(以
下機差修正試験板という)を測定機13に挿入し、その
塗色に対して多角度分光反射率を測定する。測定結果
は、配合ステーション1に転送される。
【0042】塗装機14は、投入された塗料を塗装対象
に塗付する。その際、塗装者は、複数のノズル形状から
所望のものを選択して使用する。また、塗装者は、塗装
機14に対して塗料塗出圧力、単位時間当たりの塗出量
を指定する。
【0043】塗装者は、日々の塗装作業記録を配合ステ
ーション1に入力する。配合ステーション1は、この塗
装作業記録に基づいて利用者特性情報を蓄積する。ま
た、配合ステーション1は、日々の塗料保管状態を確認
する。塗料保管状態とは、例えば、塗料の温度、納入後
の経過日数等である。
【0044】中央サーバ2は、工場に設置された品質管
理サーバ6から塗料ロット情報を受信し、保持する。こ
の塗料ロット情報は、更新があったときに、配合ステー
ションに配信される。中央サーバ2は、この塗料ロット
情報に基づき、配合推定時の補正データ(塗色基礎デー
タ補正値、ロット間補正データ等)を作成する。
【0045】また、中央サーバ2は、配合ステーション
1から利用者特性情報を所定の時期に受信する。所定の
時期は、例えば、毎日午前5時、毎週月曜日の午前5
時、毎月1日の午前5時、毎年所定の日の午前5時のよ
うに設定される。ただし、特定の配合ステーション1か
ら送信要求があった時期に受信してもよい。
【0046】また、中央サーバ2は、特定の配合ステー
ション1に対して現状の利用者特性情報を送信するよう
に要求してもよい。中央サーバ2は、利用者特性情報か
ら塗装店3に保管された塗料の異常を認識すると、その
塗装店3に設置された配合ステーション1にアラームを
発して報知する。
【0047】カスタマーサポートセンタ4は、定期的に
塗装店3にコンタクトし、各塗装店3の塗料の保存状
態、保存量、または受注の有無等を確認する。また、カ
スタマーサポートセンタ4は、中央サーバ2からの塗料
補充確認指示、アラーム対応指示を受信し、所定の対応
を取る。
【0048】例えば、中央サーバ2から塗料補充確認の
指示を受信すると、カスタマーサポートセンタ4は、指
定された塗装店3にコンタクトし、塗料を補充するか否
かを確認する。塗料を補充する必要がある場合、カスタ
マーサポートセンタ4は、塗料デリバリーセンタ5に塗
料の配送を指示する。
【0049】また、中央サーバ2からアラーム対応指示
を受信すると、カスタマーサポートセンタ4は、指定さ
れた塗装店3にコンタクトし、塗料の保存状態を確認す
る。
【0050】塗料デリバリーセンタ5は、カスタマーサ
ポートセンタ4からの指示にしたがい、指定された販売
店へ塗料を配送する。
【0051】工場に設置された品質管理サーバ6は、中
央サーバ2、カスタマサポートセンタ4および塗料デリ
バリセンタ5のホストコンピュータからの塗料ロット情
報に対する要求を受信すると、その要求された塗料ロッ
ト情報を返信する。また、品質管理サーバ6は、塗料ロ
ット情報が更新されたときに、更新された情報を中央サ
ーバ2、カスタマサポートセンタ4および塗料デリバリ
センタ5のホストコンピュータに送信する。
【0052】<塗料販売・塗装サービスにおけるデータ
フロー>以下図1にしがって、塗料販売と塗装サービス
におけるデータフローを説明する。ここでは、自動車の
板金修理時の塗装サービスを考える。いま、顧客が破損
した自動車とともに塗装店3に訪れたとする。
【0053】塗装店3は、自動車の破損部分周辺から塗
膜を採取し、測定機13を用いて多角度分光反射率の測
定を行う。測定された多角度分光反射率は、オンライン
またはオフラインで配合ステーション1に入力される。
【0054】配合ステーション1は、カラーマッチング
プログラムを実行し、多角度分光反射率から配合情報を
求める。カラーマッチングプログラムは、多角度分光反
射率を光学濃度に変換し、その光学濃度に適合する顔料
(原塗料に相当)の組み合わせを算出する。
【0055】上述のように配合情報タンク12は、カラ
ーマッチングデータを保持している。カラーマッチング
データは、多数の顔料に対して、その1以上を組み合わ
せた配合情報(各顔料の配合比率で示されるため、これ
を配合ベクトルという)と、その配合における塗料の光
学濃度とからなる。
【0056】光学濃度は、顔料の配合において線形計算
可能である。そこで、カラーマッチングプログラムは、
目的の光学濃度に適合するように多次元空間である配合
ベクトルの空間において配合情報の探索処理(以下配合
推定という)を実行する。この配合推定については、特
開平10−227696、特開平10−48611号公
報等に詳述されている。
【0057】本発明の特徴は、このようなカラーマッチ
ングプログラムによる配合推定において、各種の補正を
行う点にある。例えば、測定機13の標準機に対する機
差の補正、製造された顔料のロット間補正、販売された
顔料の保管状態に依存した経時変化に対する補正、また
は、塗装を実施する塗装者および塗装装置の特性に対す
る補正等である。
【0058】このような補正により、正確な配合情報が
推定され塗装店3の塗装者に提示される。塗装者は、こ
の配合情報にしたがい、顔料を配合して目的の塗色の塗
料を生成する。そして、塗装者は、塗装機14を使用し
て生成した塗料を塗装対象に塗付する。 <データ構成>図2に利用者特性情報のデータ構成を示
す。図2は、そのデータ項目とデータ例とを併記して示
している。利用者特性情報は、作業番号、日付、作業
者、使用した塗料の記録、塗装機、および塗装方法を有
している。
【0059】作業番号は、各塗装作業を区別するユニー
クな文字列である。日付は、その塗装作業が行われた日
付である。作業者は、その塗装作業を遂行した塗装者を
識別する文字列である。
【0060】使用した塗料は、その作業で用いられた塗
料の種類と使用量を示す情報である。本実施形態では、
塗料コード、ロット番号、および使用量の組み合わせで
使用した塗料を記述する。ただし、複数種類の塗料が使
用された場合、その種類の数だけ上記組み合わせが列記
される。
【0061】塗料コードとは、塗料の種類を識別するユ
ニークな文字列である。ロット番号は、その塗料が製造
されたロットの番号である。使用量は、当該作業におい
て使用したその塗料の使用量である。
【0062】塗装機は、その塗装作業において使用した
塗装機の種類を示すコードである。塗装方法は、塗装時
の作業状態を示す記録である。例えば、塗料塗出圧(Ou
tputpressure)、単位時間当たりの塗出量(Flow spee
d)、噴射パターン形(Nozzle shape)、塗出時間(Wor
king time)等が記録される。
【0063】<測定機13の機差補正処理>図3に、測
定機13の多角度分光反射率測定における機差補正手順
を示す。分光反射率は、測定対象塗板を反射する反射光
の強度と参照塗板を反射する反射光の強度との各波長に
おける比率である。また、多角度分光反射率は、試料に
対する光の入射角または受光角を変えて、このような分
光反射率を測定した結果である。
【0064】本実施形態では、このような多角度分光反
射率により物体の塗色を定義する。しかし、このような
多角度分光反射率を測定する測定機13(多角度分光測
色装置)には一般に機差が存在する。したがって、カラ
ーマッチングを行うためのカラーマッチングデータ(中
央サーバ2から配布されるデータ)作成に使用した測定
機と配合推定のため、目的試料の測定に使用した測定機
13との間に機差があると正確な配合情報が得られな
い。
【0065】図3は、そのような機差の補正を行う手順
を示す図である。配合ステーション1は、中央サーバ2
のカラーマッチングデータを測定した測定機(以下標準
機という)の分光反射率(これを標準機反射率という)
を有している。標準機反射率は、標準機が複数の機差修
正用試験板に対して多角度分光反射率を測定した結果で
ある。標準機反射率は、予め、中央サーバ2から配合ス
テーション1に送信される。なお、この標準機反射率
は、リムーバルメディア、例えばCD−R等に格納し、
オフラインで各塗装店3に配布してもよい。
【0066】また、塗料店には、標準機反射率測定時に
使用されるものと同一の機差修正用試験板が予め用意さ
れている。塗装店3では、定期的、例えば、毎朝、機差
修正用試験板を用いて多角度分光反射率が測定される。
これによって、日ごとの測定機13の誤差状態が記録さ
れる。また、測定機13の分光反射率と標準機反射率と
の関係から機差校正曲線100が作成される。配合ステ
ーション1は、測定機13の測定結果を機差校正曲線1
00によって補正すればよい。これによって、図3に示
したように例えば、測定機13によって測定された分光
反射率曲線101が校正後の分光反射率曲線102のよ
うに校正される。
【0067】<光輝材を含む塗料の配合推定と補正>な
お、塗装される塗料が光輝材を含む場合、塗装対象部か
ら反射される光線の角度、すなわち、測定機13が受光
する角度により分光反射率が異なる。したがって、光輝
材を含む塗料に対しては、複数の受光角で分光反射率を
測定し、上記で述べた補正を各角度について繰り返す。
【0068】また、光輝材に対する配合推定において
は、各角度ごとに配合推定による解(配合情報)が異な
る場合がある。そのような場合には、所定の基準によ
り、一つの解(配合情報)が選択される。所定の基準と
は、例えば、すべての受光角において、誤差が所定値内
に収まるか否か等である。
【0069】<その他の補正>他の補正も上記の測定機
13の機差の校正と同様に考えることができる。例え
ば、ロット間補正は、同一の種類の塗料におけるロット
ごとの塗料の差異を補正する。これは、各ロットごとに
摘出したサンプル塗料に対して予め標準機により、多角
度分光反射率を測定しておく。これは、例えば、特定の
受光角において、図3の曲線101のように測定され
る。このような測定が多数の角度において各色の顔料に
対して測定される。
【0070】塗装店3に保管されている顔料のロット番
号は中央サーバ2において既知である。したがって、塗
装店3に保管された顔料製造時のロットサンプルにおけ
る多角度分光反射率は、既知である。
【0071】一方、カラーマッチングに使用するカラー
マッチングデータの多角度分光反射率(これを標準反射
率という)は、例えば、図3の曲線102のように測定
されているとする。すると、各角度、各波長におけるロ
ット間誤差ベクトル(ΔE1,ΔE2,...ΔEn)を得ること
ができる。ここで、ΔEiは波長λiにおける標準反射率
とサンプル塗料における反射率の光学濃度空間における
差である。このロット間誤差ベクトルを配合ステーショ
ン1に保持し、このロット間誤差ベクトルに基づき、配
合情報を補正すればよい。
【0072】経時変化についても同様である。各塗装店
3またはカスタマーサポートセンタ4は、各塗装店3に
保管されている塗料を用いて定期的に塗板を作成し、上
記ロット間補正と同様に多角度分光反射率を測定すれば
よい。この測定結果の光学濃度空間における標準反射率
との差異を経時変化誤差ベクトル(ΔE1,ΔE2,...ΔE
n)のように得ることができる。したがって、顔料の経
時変化による誤算も標準反射率からの差異としてロット
間誤差と同様に補正できる。
【0073】塗装者の特性、塗装機の特性による誤差も
同様に補正できる。例えば、カラーマッチングに使用す
るカラーマッチングデータの多角度分光反射率、すなわ
ち、標準反射率を測定した塗板を塗付した塗装者および
塗装機を標準塗装者、および標準塗装機とする。
【0074】そして、定期的、例えば、一年に一度、塗
装者ごと塗装機ごとの色合わせを実行すればよい。ま
ず、標準塗装者、および標準塗装機によって塗板を作成
し、多角度分光反射率を測定する。このとき使用された
塗料と同一ロットで製造された塗料をカスタマーサポー
トセンタ4または各塗装店3に配布する。
【0075】次に、同一ロットの塗料を使用して塗板を
作成し、多角度分光反射率を測定する。そして、上記標
準塗装者および標準塗装機による塗板の多角度分光反射
率と各塗装店3における塗装者および塗装機14による
塗板の多角度分光反射率との光学濃度空間における差異
を塗装特性誤差ベクトルして定義し、配合推定の結果を
補正すればよい。
【0076】なお、このような誤差ベクトルを塗装機1
4の塗料塗出圧、単位時間当たりの塗出量、噴射パター
ン形、塗出時間等を変化させて計測してもよい。そし
て、例えば、塗装機14の塗料塗出圧に対する誤差ベク
トルの依存性を求めて補正してもよい。このような作業
方法に基づく標準反射率との差異を測定すれば、すべて
の塗装者に対して、色合わせ、すなわち、塗装特性誤差
ベクトルを測定する必要はない。 <配合推定処理>図4は、配合ステーション1の配合推
定処理の概要を示す図である。ここでは、カラーマッチ
ングデータとして、基礎データベース20と、実績デー
タベース21と、ロット管理データベース22等を参照
し配合推定を行う例を示す。基礎データベース20、実
績データベース21とロット管理データベース22等の
データは、事前にオンラインまたはオフラインで中央サ
ーバ2から配合ステーション1に配布される。これらの
データに基づき、配合ステーション1は、カラーマッチ
ングプログラムを実行し、図4の処理を実行する。
【0077】基礎データベース20には、各原色の顔料
ごと、所定の顔料濃度ごとに光学濃度が記録される。こ
の顔料は、目的の塗色の塗料を生成するために合成され
る塗料である。また、光学濃度は、上述の標準塗装者が
標準塗装機により塗付した塗板を標準機により測定した
多角度分光反射率から求められる。
【0078】顔料濃度は、各顔料に含まれる光輝剤の量
により調製する。すなわち、以下の(式1)により顔料
濃度を定義する。
【0079】 顔料濃度=顔料質量/(顔料質量+光輝材質量)(式1) 基礎データベース20は、このような光学濃度を予め多
数の原色を発色する顔料に対して求めた結果を保持して
いる。
【0080】実績データベース21は、異なる顔料濃度
における1以上の顔料を配合した塗料を塗付した塗板か
ら多角度分光反射率を求め、光学濃度に換算した実績デ
ータを有している。カラーマッチングを正確に行うため
には、このような実績データを極力多く保有することが
望ましい。
【0081】ロット管理データベース22は、過去の製
造ロットごとの顔料から得られる塗色情報のサンプルデ
ータである。ロット管理データベース22と、基礎デー
タベース20または実績データベース21の対応する顔
料種類、顔料濃度による光学濃度の差からロット間誤差
ベクトルが算出される。なお、ロット間誤差ベクトルを
予め中央サーバ2で作成しておき、配合ステーション1
に配布してもよい。
【0082】機差構成データベースは、図3に示した機
差校正曲線100を保持している。また、経時変化デー
タベースは、塗装店3に保管中の顔料の最新の分光反射
率データを保持している。配合ステーション1は、この
保管中の顔料の最新の分光反射率データと標準反射率と
の差から経時変化誤差ベクトルを算出する。ただし、中
央サーバ2が経時変化データベースのデータを収集し、
経時変化誤差ベクトルを算出し、配合ステーション1に
配布するようにしてもよい。
【0083】また、塗装特性データベースは、当該塗装
店3の塗装機14を使用した塗装者による最新の色合わ
せ時の分光反射率データを有している。色合わせとは、
図3で説明したように、定期的に、塗装店3の塗装者ご
と塗装機ごとに作成した塗板の多角度分光反射率を測定
し、標準塗装者、および標準塗装機によるものと比較す
る処理である。
【0084】配合ステーション1は、この比較結果から
塗装特性誤差ベクトルを算出する。ただし、中央サーバ
2が塗装特性データベースのデータを収集し、塗装特性
誤差ベクトルを算出し、配合ステーション1に配布する
ようにしてもよい。
【0085】配合推定処理では、まず、測定機13から
目標色の分光反射率が入力される。配合ステーション1
は、機差校正曲線100により分光反射率の機差を補正
する。さらに、配合ステーション1は、機差が補正され
た分光反射率を光学濃度に変換する。
【0086】次に、配合ステーション1は、カラーマッ
チングプログラムを実行し、目標の光学濃度に適合する
顔料の配合を求める。このとき、上記経時変化データベ
ース、および塗装特性データベースにより経時変化誤差
ベクトルおよび塗装者特性誤差ベクトルが参照され、各
誤差が補正される。また、ロット管理データベース22
が参照され、ロット間の誤差が補正される。
【0087】配合推定では、目標の光学濃度に近い複数
種類の配合情報が特定される。このような目標の光学濃
度に近い配合を近似色群という。配合ステーション1
は、得られた近似色群内で、光学濃度の顔料濃度依存性
を補正する。
【0088】理論的には、各顔料や原塗料の光学濃度の
加算に対して線形であることが望ましい。しかし、光学
濃度は、配合、すなわち、顔料ごとの比率の他、顔料の
濃度そのものにも依存する。すなわち、複数の顔料や原
塗料を混合する場合、混合された塗料の光学濃度は、実
際上は、非線形性を有する。
【0089】そこで、顔料濃度の変化に対する光学濃度
の変化が線形と見なせる微小範囲で顔料濃度を変化さ
せ、この微小変化の範囲で、複数種類の顔料を混合した
光学濃度の加算値の変化を求め、上記非線形性を補正す
る。
【0090】次に、配合ステーション1は、顔料の配合
を推定し、結果を出力し、配合を支援する。
【0091】以上述べたように、配合ステーション1
は、塗装対象箇所の塗膜の多角度分光反射率を入力さ
れ、カラーマッチングにより配合推定を行い、塗装店3
における配合を支援する。このため、塗装対象箇所周辺
の塗膜に経時変化があっても、現状の塗色に合わせて塗
装をすることができる。
【0092】その際、配合ステーション1は、測定機1
3の機差補正、塗料や顔料のロット間補正、顔料の経時
変化に対する補正、塗装者の特性、塗装機14の特性の
補正を実行する。このため、破損部分の塗色を高精度で
再現できる。
【0093】また、これらのカラーマッチングで使用す
るカラーマッチングデータ、例えば、基礎データ、実績
データ、ロット管理データ等のデータは中央サーバ2で
一元的に管理され、配合ステーション1に定期的に配信
される。このため、異なる塗装店3、異なる塗装者が塗
装作業を行っても、全国一律に品質の変動が少ない塗膜
を形成し、塗装サービスを提供できる。
【0094】<コンピュータグラフィックス画像による
変形例>上記の実施の形態では、測定機13が測定した
多角度分光反射率に基づいて配合推定を行った。しか
し、本発明の実施はこのような構成には限定されない。
例えば、分光反射率をコンピュータグラフィックス画像
データから求めてもよい。このような、コンピュータグ
ラフィックス画像データから分光反射率を求める手順
は、特開平10−222653号公報に詳述されてい
る。図5は、そのようなコンピュータグラフィックス画
像データから分光反射率を求める染色デザイン端末30
を配合ステーション1および配合ステーション1の塗装
機14とネットワークで接続したシステムである。
【0095】この染色デザイン端末30のオペレータ
は、不図示の画面上に塗装対象に塗料を塗付して表示さ
せる。顧客は、染色デザイン端末30の画面上で塗色を
確認する。
【0096】染色デザイン端末30から配合ステーショ
ン1へは、塗色特性値、例えば、多角度分光反射率やBR
DF(bidirectional reflectance distribution functio
n)が送信される。配合ステーション1は、これらの塗色
特性値を光学濃度に変換し、配合推定を行う。推定され
た配合情報は、塗色デザイン端末30に返信される。
【0097】また、この配合情報を塗装ステーションに
送信して塗板作成支援情報として提供してもよい。 塗
装ステーションの塗装機14は、提供された配合情報に
したがい顔料から塗料を合成し、塗装すればよい。
【0098】この場合、デザイン端末30と配合ステー
ション1とを接続するネットワークとしては、電話回
線、CATVネットワーク、無線LAN、LAN等を利
用できる。そのときの通信プロトコルは、TCP/IP
のファイル転送でもよい、電子メールでもよい。
【0099】<塗料番号による変形例>上記実施形態で
は、塗装対象箇所周辺の塗膜を試料とし、多角度分光測
色装置により、分光反射率を求め、配合推定を行った。
しかし、本発明の実施は、このような構成には限定され
ない。
【0100】例えば、塗料メーカが販売する塗料には、
塗料の配合を指定する番号(以下、塗料番号という。識
別番号に相当)が定義され、その塗料番号に基づき、本
来の塗料製造時の配合情報を得ることができる。したが
って、塗料の塗料番号が分かればカラーマッチングによ
ってあえて配合推定を行う必要はないともいえる。
【0101】また、例えば、自動車の塗料であれば、そ
の型式、年式が分かれば使用された塗料の塗料番号は、
管理されている。そこで、ネットワークを介して、その
ような型式、年式、塗装部位により塗料を指定できれば
便宜である。
【0102】しかし、上記実施の形態で述べたように、
ロット間誤差、経時変化、塗装者の特性、塗装機の特性
により、単に塗料番号に基づいて塗装しただけでは、所
望の塗色を得られない場合もある。
【0103】そのような場合には、上述したような顔料
のロット間誤差ベクトル、経時変化時の誤差ベクトルに
より、本来の標準顔料に対する配合を補正すればよい。
【0104】図6にこのような配合情報の推定や補正を
行う塗色配合情報提供システムの例を示す。図6のシス
テムは、塗装店3の配合ステーション1と、中央サーバ
2と品質管理サーバ6とをネットワークで接続して構成
される。
【0105】品質管理サーバ6は、すべての種類の塗料
に対する配合情報を管理する。中央サーバ2は、各配合
ステーション1に対する配合情報の配信を管理する。塗
装店3の配合ステーション1は、定期的、または、バッ
チ的に配合情報の更新を中央サーバ2に要求する。
【0106】すると、中央サーバ2は、さらに、最新の
配合情報を品質管理サーバ6に要求する。これに対し
て、品質管理サーバ6は、最新の配合情報を返信する。
中央サーバ2は、このようにして得られた最新の配合情
報を配合ステーション1に返信する。
【0107】配合ステーション1は、保管している顔料
のロット番号、ロット間誤差ベクトル、経時変化誤差ベ
クトル、塗装特性誤差ベクトルを有している。配合ステ
ーション1は、中央サーバ2から送信された配合情報を
これらの誤差ベクトルに基づいて補正して塗板の作成を
支援する配合情報を出力すればよい。
【0108】さらに、塗装対象の元の塗料のロット番号
が既知の場合には、そのロット番号をキーにして、ロッ
ト間誤差ベクトルを検索し、配合情報を補正すればよ
い。このためには、例えば、自動車においては、メー
カ、型式、年式とともにその塗装に使用した塗料の塗料
番号とロット番号とを記録しておけばよい。
【0109】また、例えば、ロット間誤差が補正された
塗料の配合情報を品質管理サーバ6がロットごとに保持
するようにしてもよい。その場合には、配合ステーショ
ン1は、中央サーバ2を介して品質管理サーバ6から与
えられた配合情報に自身が保管する顔料に対する補正の
み行えばよい。
【0110】図7は、塗装店3の配合端末32と配合情
報サーバ33とからなる塗色配合情報提供システムの例
である。このシステムでは、配合端末32は、配合情報
サーバ33に塗料番号、塗色の種類、ロット番号、現在
保管している顔料のロット番号等を指定して配合情報を
問い合わせる。
【0111】すると、配合情報サーバ33は、配合端末
32に対して該当配合情報、塗料作成注意情報等を回答
する。また、このとき、配合情報サーバ33は、指定さ
れたロット番号からロット間補正ベクトルを生成し、ロ
ット間補正を行った配合情報を返信するようにしてもよ
い。また、配合情報サーバ33は、上記実施形態と同
様、経時変化誤差ベクトル、塗装特性誤差ベクトルによ
る補正を行っても良い。
【0112】また、配合端末32がロット番号を指定す
る代わりに、各塗装店3で保管中の顔料のロット番号を
配合情報サーバ33で管理してもよい。
【0113】なお、配合端末32から配合情報サーバ3
3へ配合情報を問い合わせる場合、上記のように塗料番
号等を指定する代わりに、塗装対象の製品、その部位、
色の種別等を指定してもよい。例えば、「自動車メーカ
A社、車種B、○○年式車、白の車種のドア部分」のよ
うに問い合わせてもよい。配合情報サーバ33は、その
ような指定に対して、メーカ、車種、年式、色、部位等
の情報に基づき配合情報を検索し、返信すればよい。
【0114】<測定機13の変形>上記実施形態では、
測定機13として、いわゆる多角度分光測色装置を使用
した。しかし、本発明の実施はそのような構成には限定
されない。例えば、測定機13として、いわゆる変角分
光測色装置を用いてもよい。
【0115】変角分光測色装置は、試料に照明光を投影
し、その反射光から試料表面の反射率を測定する。照明
光は、白色であり、多数の可視波長を含む。また、変角
分光測色装置は、試料を回転させ、複数の入射角(およ
びその試料表面の法線に対して対象な受光角)において
試料表面の反射率を測定する。
【0116】すなわち、変角分光測色装置は、複数の波
長における複数の受光角において試料表面の分光反射率
を測定する。変角分光測色装置による試料(塗膜)の変
角分光反射率の測定方法については、例えば、特開平1
0−227696号公報に詳述されている。
【0117】<その他の変形例>上記実施の形態では、
測定機13に対する校正は、配合ステーション1で行っ
た。しかし、このような校正を配合ステーション1内で
行ってもよい。配合ステーション1の不図示のCPUに
おいて図3に示した機差校正曲線100による校正処理
を行う校正プログラムを実行させるようにしてもよい。
【0118】上記実施形態では、配合推定結果または配
合情報検索結果に対して、ロット間誤差、経時変化、塗
装者の特性、塗装機の特性により補正を行う例を説明し
た。しかし、本発明の実施はそのような手順には限定さ
れない。例えば、要求される精度やコストを勘案し、配
合情報の検索のみを実行し、その補正は実行しないよう
なシステムを構築してもよい。また、配合情報の推定の
みを実行し、その補正は実行しないようなシステムを構
築してもよい。このようなシステムにより、ネットワー
クを通じて塗料の配合情報一元的に管理し、塗装店等に
提供できる。0上記実施形態では、顔料から塗料を配合
する場合の配合推定の例を示した。しかし、本発明の実
施は、そのような手順には、限定されない。例えば、顔
料に代えて、顔料を溶剤に溶解させた原色塗料から塗料
を配合する場合おいても本発明の実施は、可能である。
ただし、原色塗料から配合推定する場合には、溶剤に含
まれる顔料比率、すなわち、顔料濃度が制約されるた
め、発色できる色域が制限される。
【0119】上記実施形態では、中央サーバ2におい
て、各種誤差ベクトル等の補正データを生成、配合ステ
ーション1に配信した。しかし、本発明の実施は、この
ような構成や手順には、限定されない。例えば、ロット
ごとの塗料の分光反射率、または光学濃度含む塗料ロッ
ト情報を配合ステーション1に配信し、配合ステーショ
ン1においてロット間補正データ生成してもよい。ま
た、配合ステーション1において利用者特性情報から補
正情報を生成してもよい。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
顧客所望の塗色を再現し、塗装店・塗装者の特性に依存
せず均一な塗装サービスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る塗色配合情報提供
システムのシステム構成図
【図2】 利用者特性情報のデータ構成図
【図3】 測定機13の機差校正手順を示す図
【図4】 配合ステーション1の配合推定処理の概要図
【図5】 変形例に係る塗色配合情報提供システムのシ
ステム構成図(1)
【図6】 変形例に係る塗色配合情報提供システムのシ
ステム構成図(2)
【図7】 変形例に係る塗色配合情報提供システムのシ
ステム構成図(3)
【符号の説明】
1 配合ステーション 2 中央サーバ 3 塗装店 4 カスタマーサポートセンタ 5 塗料デリバリーセンタ 6 品質管理サーバ 11 利用者特性情報記録部 12 配合情報タンク 13 測定機 14 塗装機 15 保管塗料 20 基礎データベース 21 実績データベース 22 ロット管理データベース

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原塗料を配合して生成される商品塗料の
    塗色情報とそのときの原塗料を配合する配合情報とを所
    定の形式で記録する記録部と、 ネットワークに接続する通信部と、 制御部とを備え、 前記制御部は、ネットワークに接続された端末装置から
    のユーザ所望の商品塗料の塗色情報を受信し、前記塗色
    情報を再現する原塗料の配合情報を推定し、推定された
    配合情報を端末装置に提供するサーバ装置。
  2. 【請求項2】 前記制御部は、ネットワーク上の端末装
    置から、前記商品塗料による塗装を実行する塗装者の塗
    装特性に係る情報、前記塗装に使用される塗装装置の塗
    装特性に係る情報、前記原塗料の保管状態に係る情報ま
    たは前記原塗料の経時変化に係る情報の少なくとも一つ
    を含む利用者特性情報を受信し、前記利用者特性情報に
    基づいて前記配合情報を補正する請求項1記載のサーバ
    装置。
  3. 【請求項3】 前記記録部は、前記原塗料の製造時の製
    造ロット間の塗色変動に係る情報を記録しており、 前記制御部は、前記塗色変動に係る情報に基づいて配合
    情報を補正する請求項1記載のサーバ装置。
  4. 【請求項4】 前記制御部は、ネットワーク上の端末装
    置から、塗装対象の塗色を測定する測色装置の機差に係
    る情報をさらに受信し、前記機差に係る情報に基づいて
    前記商品塗料の塗色情報を補正する請求項1記載のサー
    バ装置。
  5. 【請求項5】 前記塗色情報は、ユーザ所望の商品塗料
    が塗付された試料を分光測色装置により測定した反射率
    を示す情報であり、 前記所定の形式において前記塗色情報は光学濃度で記述
    され、 前記制御部は、受信したユーザ所望の商品塗料の塗色情
    報を光学濃度に変換し、前記商品塗料の配合情報を推定
    する請求項1記載のサーバ装置。
  6. 【請求項6】 原塗料を配合して生成される商品塗料の
    塗色情報とそのときの配合情報との組み合わせとからな
    るカラーマッチングデータをネットワークを介して受信
    する通信部と、 前記カラーマッチングデータを所定の形式で記録する記
    録部と、 ユーザ所望の商品塗料の塗色情報を入力する入力部と、 入力された塗色情報を再現する原塗料の配合情報を推定
    する制御部とを備え、 推定された配合情報を提供する端末装置。
  7. 【請求項7】 前記記録部は、前記商品塗料による塗装
    を実行する塗装者の塗装特性に係る情報、前記塗装に使
    用される塗装装置の塗装特性に係る情報、前記原塗料の
    保管状態に係る情報または前記原塗料の経時変化に係る
    情報の少なくとも一つを含む利用者特性情報を記録し、
    前記利用者特性情報に基づいて前記配合情報を補正する
    請求項6記載の端末装置。
  8. 【請求項8】 前記制御部は、ネットワーク上のサーバ
    装置から、前記原塗料の製造時の製造ロット間の塗色変
    動に係る情報を受信し、この塗色変動に係る情報に基づ
    いて配合情報を補正する請求項6記載の端末装置。
  9. 【請求項9】 前記記録部は、塗装対象の塗色を測定し
    て塗色情報を出力する測色装置の機差に係る情報を記録
    しており、 前記制御部は、前記機差に係る情報に基づいて前記ユー
    ザ所望の商品塗料の塗色情報を補正する請求項6記載の
    端末装置。
  10. 【請求項10】 前記塗色情報は、ユーザ所望の商品塗
    料が塗付された試料を分光測色装置により測定した反射
    率を示す情報であり、 前記所定の形式において、前記塗色情報は、光学濃度で
    記述され、 前記制御部は、入力された商品塗料の塗色情報を光学濃
    度に変換し、前記塗色の配合情報を推定する請求項6記
    載の端末装置。
  11. 【請求項11】 原塗料を配合して生成される商品塗料
    を識別する情報およびその商品塗料に対する原塗料の配
    合を指定する配合情報を記録する記録部と、 ネットワークに接続する通信部と、 制御部とを備え、 前記制御部は、ネットワークに接続された端末装置から
    の商品塗料を識別する情報を受信し、その識別情報によ
    り識別される商品塗料の配合情報を検索し、検索された
    配合情報を端末装置に提供するサーバ装置。
  12. 【請求項12】 原塗料を配合して生成される商品塗料
    を識別する識別情報を入力する入力部と、 前記識別情報をサーバ装置に送信し、その識別情報で識
    別される商品塗料を配合する配合情報をサーバ装置から
    受信する通信部と、 受信した配合情報を表示する表示部とを備える端末装
    置。
  13. 【請求項13】 ネットワークに接続された端末装置か
    らのユーザ所望の商品塗料の塗色情報を受信するステッ
    プと、 複数の商品塗料に対して、原塗料を配合して生成された
    商品塗料の塗色情報とそのときの原塗料を配合する配合
    情報とを参照するステップと、 前記塗色情報を再現する原塗料の配合情報を推定するス
    テップと、 推定された配合情報を端末装置に提供するステップとか
    らなる塗料および塗料情報提供方法。
  14. 【請求項14】 商品塗料を識別する識別情報をネット
    ワーク上の端末装置から受信するステップと、 前記商品塗料により塗装を行う塗装者の塗装者特性また
    は塗装に使用される塗装装置特性を含む利用者特性を参
    照するステップと、 前記商品塗料を生成する原塗料の特性を参照するステッ
    プと、 1以上の原塗料を調製して商品塗料を生成する、そのよ
    うな商品塗料の配合情報を前記識別情報をキーにして参
    照するステップと、 少なくとも前記利用者特性または前記原塗料の特性に基
    づいて前記配合情報を補正するステップと、 前記配合情報を前記端末装置に送信するステップとから
    なる塗料および塗料情報提供方法。
  15. 【請求項15】 ユーザ所望の商品塗料の塗色情報を測
    定するステップと、 複数の商品塗料に対して、原塗料を配合して生成された
    商品塗料の塗色情報とそのときの原塗料を配合する配合
    情報とを参照するステップと、 前記ユーザ所望の塗色情報を再現する原塗料の配合情報
    を推定するステップと、 その配合情報を提供するステ
    ップとからなる塗料および塗料情報提供方法。
  16. 【請求項16】 ユーザ所望の商品塗料を識別する識別
    情報を入力するステップと、 前記商品塗料により塗装を行う塗装者の塗装者特性また
    は塗装に使用される塗装装置特性を含む利用者特性を参
    照するステップと、 前記商品塗料を生成する原塗料の特性を参照するステッ
    プと、 1以上の原塗料を調製して商品塗料を生成する、そのよ
    うな商品塗料の配合情報を前記識別情報をキーにして参
    照するステップと、 少なくとも前記利用者特性または前記原塗料の特性に基
    づいて前記配合情報を補正するステップと、 その配合情報を提供するステップとからなる塗料および
    塗料情報提供方法。
  17. 【請求項17】 コンピュータに、 ユーザ所望の商品塗料を識別する識別情報の入力を受け
    るステップと、 1以上の原塗料を調製して商品塗料を生成する、そのよ
    うな商品塗料の配合情報を前記識別情報をキーにして参
    照するステップと、 その配合情報を提供するステップとを実行させるプログ
    ラム。
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