JP2002235589A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

内燃機関の制御装置

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JP2002235589A
JP2002235589A JP2001029175A JP2001029175A JP2002235589A JP 2002235589 A JP2002235589 A JP 2002235589A JP 2001029175 A JP2001029175 A JP 2001029175A JP 2001029175 A JP2001029175 A JP 2001029175A JP 2002235589 A JP2002235589 A JP 2002235589A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排気温度を上昇させるためにメイン噴射の後
にポスト噴射を行う場合に、ポスト噴射によるトルク変
動を抑制する。 【解決手段】 排気温度の上昇要求が発生した場合に、
運転条件に基づいて着火可能なポスト噴射時期を設定し
(S8)、また排気温度を目標温度まで上昇させるのに
必要な目標ポスト噴射量を設定する(S9)。その一
方、ポスト噴射時期に基づいてポスト噴射量許容値(上
限値)を設定し(S10)、目標ポスト噴射量が許容値
を超える場合は、ポスト噴射量を目標ポスト噴射量では
なく、許容値に規制する(S11,S14,S16)。
そして、ポスト噴射による排気温度の上昇と共に、ポス
ト噴射時期を遅角して、ポスト噴射量を目標ポスト噴射
量に移行させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排気温度を上昇さ
せるために、メイン噴射(主噴射)の後にポスト噴射
(副噴射)を行う内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特開2000−45828号公報
に示されるように、排気系に配置されるリーンNOx触
媒のNOx浄化性能の維持あるいは回復、触媒の暖機性
向上、ターボチャージャの過給圧の昇圧などを目的とし
て、排気温度を上昇させるために、例えばディーゼルエ
ンジンにおいて、圧縮行程にて気筒内に燃料を噴射(メ
イン噴射)した後に、膨張行程にて再び気筒内に燃料を
噴射(ポスト噴射)するものがあり、前記公報に記載の
技術では、運転条件に応じて、気筒内の温度が目標温度
となる時点をポスト噴射時期として求めて、ポスト噴射
を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、排気温
度を上昇させるためのポスト噴射であっても、噴射され
た燃料のうちの一部はトルクに変化している。ここで、
ポスト噴射量が一定の場合に、ポスト噴射時期を遅角す
れば、トルクに変化する割合が減少するので、ポスト噴
射により発生するトルクは減少するが、着火可能なポス
ト噴射時期には限界があり、その着火限界を超えて遅角
すると、失火してしまう。
【0004】また、ポスト噴射時期が一定の場合に、ポ
スト噴射量を大きくすれば、排気温度をより上昇させる
ことができるが、一定の割合でトルクに変化するため、
ポスト噴射により発生するトルクも増加してしまう。よ
って、ポスト噴射を開始すると同時に、排気温度を目標
温度まで上昇させるのに必要な目標ポスト噴射量を全量
噴射すると、ポスト噴射量の急増に伴って、ポスト噴射
により発生するトルクが一気に増加してしまい、トルク
変動を生じて、運転性が悪化するといった問題点があっ
た。
【0005】本発明は、このような従来の問題点に鑑
み、排気温度を上昇させるためのポスト噴射によるトル
ク変動を極力低減することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1の発
明では、排気温度を上昇させるためにメイン噴射の後に
ポスト噴射を行う内燃機関の制御装置において、排気温
度の上昇要求を発生する排温上昇要求発生手段と、排気
温度の上昇要求を受けて、運転条件に基づいて着火可能
なポスト噴射時期を設定するポスト噴射時期設定手段
と、排気温度の上昇要求を受けて、排気温度を目標温度
まで上昇させるのに必要な目標ポスト噴射量を設定する
目標ポスト噴射量設定手段と、前記ポスト噴射時期に基
づいてポスト噴射量の上限値を設定するポスト噴射量上
限値設定手段と、前記目標ポスト噴射量と前記上限値と
を比較し、前記目標ポスト噴射量の方が大きいときに、
ポスト噴射量を前記上限値に設定し、前記上限値の方が
大きいときは、ポスト噴射量を前記目標ポスト噴射量に
設定するポスト噴射量設定手段と、を備える構成とす
る。
【0007】請求項2の発明では、前記ポスト噴射量上
限値設定手段は、前記ポスト噴射量の上限値を、ポスト
噴射により発生するトルクを許容値以下とするように設
定することを特徴とする。請求項3の発明では、ポスト
噴射による膨張行程での筒内温度の上昇と共に、ポスト
噴射時期を遅角側に補正する手段を備えることを特徴と
する。この場合、膨張行程での筒内温度の上昇に伴って
排気温度が上昇するので、実際には、排気温度の上昇と
共に、ポスト噴射時期を遅角側に補正すればよい。
【0008】請求項4の発明では、EGR率、排気中の
酸素濃度、吸入空気量のうち少なくとも1つから、ポス
ト噴射時期を補正する手段を備えることを特徴とする。
請求項5の発明では、特に請求項3又は4の発明におい
て、前記ポスト噴射時期の補正は、ポスト噴射量が前記
目標ポスト噴射量に設定されるまで繰り返し行うことを
特徴とする。
【0009】請求項6の発明では、前記目標ポスト噴射
量が前記上限値より大きい場合に、メイン噴射量及びメ
イン噴射時期の少なくとも一方を補正する手段を備える
ことを特徴とする。請求項7の発明では、特に請求項6
の発明において、前記メイン噴射量及びメイン噴射時期
の少なくとも一方の補正に伴って、ポスト噴射量の上限
値を補正する手段を備えることを特徴とする。
【0010】請求項8の発明では、特に請求項7の発明
において、前記ポスト噴射量の上限値の補正は、ポスト
噴射量が前記目標ポスト噴射量に設定されるまで繰り返
し行うことを特徴とする。請求項9の発明では、前記排
温上昇要求発生手段は、排気通路に備えられて排気中の
微粒子を捕集するフィルタの微粒子堆積量に基づいて、
前記フィルタの再生時期を判断し、再生時期と判断され
たときに排気温度の上昇要求を発生することを特徴とす
る。
【0011】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、排気温度の上
昇要求が発生した場合に、運転条件に基づいて着火可能
なポスト噴射時期を設定し、また排気温度を目標温度ま
で上昇させるのに必要な目標ポスト噴射量を設定する
が、ポスト噴射時期に基づいてポスト噴射量の上限値を
設定し、目標ポスト噴射量が上限値を超える場合は、ポ
スト噴射量を目標ポスト噴射量ではなく上限値に規制す
ることで、ポスト噴射量の急増を防止しつつ、排気温度
を上昇させることが可能となる。
【0012】請求項2の発明によれば、ポスト噴射量の
上限値を、ポスト噴射により発生するトルクを許容値以
下とするように設定することで、運転性に影響を与えず
にポスト噴射をすることが可能となる。請求項3の発明
によれば、ポスト噴射による膨張行程での筒内温度の上
昇と共に、ポスト噴射の着火限界が遅角するので、ポス
ト噴射時期を遅角側に補正することで、その分、ポスト
噴射された燃料のうちトルクに変化する割合が減少する
ことから、より多くの燃料をポスト噴射可能となり、ト
ルク変動を抑制しつつ、排気温度をより上昇させること
ができる。
【0013】請求項4の発明によれば、EGR率による
酸素濃度の変化によってポスト噴射の着火遅れが異なる
ことから、EGR率、排気中の酸素濃度、あるいは吸入
空気量などによってポスト噴射時期を補正することで、
ポスト噴射をEGR領域においても失火させることなく
行うことが可能となる。請求項5の発明によれば、ポス
ト噴射量が目標ポスト噴射量未満の場合は、ポスト噴射
による排気温度の上昇を待つことで、より遅角側でポス
ト噴射をすることが可能になることから、ポスト噴射時
期の補正を繰り返してポスト噴射することにより、最終
的に目標ポスト噴射量を噴射可能となり、目標温度まで
の排気温度の上昇を得ることが可能となる。
【0014】請求項6の発明によれば、ポスト噴射量が
目標ポスト噴射量未満の場合は、メイン噴射量及びメイ
ン噴射時期の少なくとも一方を補正することで、具体的
には、メイン噴射量を減量、及び/又は、メイン噴射時
期を遅角することで、トルクを低下させることにより、
ポスト噴射によるトルク変動を相殺可能となる。請求項
7の発明によれば、前記メイン噴射量及びメイン噴射時
期の少なくとも一方の補正によって、トルクを低下させ
た分、ポスト噴射量の上限値を補正することで、ポスト
噴射量を増量可能となり、排気温度を速やかに上昇させ
ることが可能となる。
【0015】請求項8の発明によれば、前記ポスト噴射
量の上限値の補正を繰り返し行うことで、最終的に目標
ポスト噴射量を噴射可能となり、目標温度までの排気温
度の上昇を得ることが可能となる。請求項9の発明によ
れば、排気微粒子捕集用のフィルタの再生を、ポスト噴
射による排気温度の上昇で、トルク変動を抑制しつつ、
速やかに行うことが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す
内燃機関(ここではディーゼルエンジン)のシステム図
である。ディーゼルエンジン1において、吸気通路2側
には、可変ノズル型ターボチャージャ3の吸気コンプレ
ッサ、インタークーラ4、コレクタ5などが設けられて
おり、空気はこれらを経て各気筒の燃焼室内へ流入す
る。燃料は、高圧燃料ポンプ6により高圧化されてコモ
ンレール7に送られ、各気筒の燃料噴射弁8から燃焼室
内へ直接噴射される。燃焼室内に流入した空気と噴射さ
れた燃料はここで圧縮着火により燃焼し、排気は排気通
路9へ流出する。
【0017】排気通路9へ流出した排気の一部は、EG
Rガスとして、EGR配管10によりEGR制御弁11
を介して吸気側へ還流される。排気の残りは、可変ノズ
ル型ターボチャージャ3の排気タービンを通り、これを
駆動する。ここで、排気通路9の排気タービン下流に
は、排気浄化のため、酸化触媒12を配置し、更にその
下流に、排気中の微粒子(パティキュレート;以下PM
という)を捕集するディーゼルパティキュレートフィル
タ(以下DPFという)13を配置してある。
【0018】コントロールユニット20には、エンジン
1の制御のため、エンジン回転数Ne検出用の回転数セ
ンサ21、アクセル開度APO検出用のアクセル開度セ
ンサ22等から、信号が入力されている。また、特に本
実施形態では、排気通路9の酸化触媒12下流で、DP
F13上流に、排気圧力センサ23が設けられており、
この信号もコントロールユニット20に入力されてい
る。
【0019】コントロールユニット20は、これらの入
力信号に基づいて、燃料噴射弁8への燃料噴射時期及び
噴射量制御のための燃料噴射指令信号等を出力する。ま
た、特に本実施形態では、DPF13の再生の要否を判
断して、再生時期の場合に、所定の再生処理、すなわ
ち、メイン噴射の後のポスト噴射により、排気温度(以
下排温という)を上昇させて、DPF13に捕集されて
いるPMを燃焼除去する処理を行うようにしており、か
かるDPF再生制御について、以下に詳細に説明する。
【0020】図2〜図4はコントロールユニット20に
て実行されるDPF再生制御のフローチャートである。
S1では、先ず回転数センサ21及びアクセル開度セン
サ22により検出されるエンジン回転数Ne及びアクセ
ル開度APOを読込む。S2では、エンジン回転数Ne
とアクセル開度APOとをパラメータとするマップ(図
示せず)を参照するなどして、メイン噴射量Qを演算す
る。
【0021】S3では、DPF13の再生時期の判断の
ため、DPF13が捕集したPMの量(DPF13のP
M堆積量)を検出する。DPF13のPM堆積量を直接
検出することは困難であるので、ここでは、DPF13
のPM堆積量が増えれば、当然DPF13の上流側排気
圧力が上昇することから、排気圧力センサ23により、
DPF13の上流側排気圧力(DPF13の背圧)を検
出する。
【0022】S4では、目標ポスト噴射量でのポスト噴
射によって排温を目標排温(DPF再生排温)まで上昇
させている状態であることを示すreg2フラグが立っ
ている(=1)か否かを判定する。reg2フラグ=0
の場合は、S5へ進み、reg2フラグ=1の場合は、
S29(図4)へ進む。S5では、ポスト噴射を開始し
たものの目標ポスト噴射量未満でのポスト噴射によって
排温を上昇させている過程であることを示すreg1フ
ラグが立っている(=1)か否かを判定する。reg1
フラグ=0の場合は、S6へ進み、reg1フラグ=1
の場合は、S18(図3)へ進む。
【0023】S6では、DPF13のPM堆積量が所定
値を超えたか否かを判定する。DPF13のPM堆積量
をDPF13の上流側排気圧力により間接的に検出する
場合は、DPF13の上流側排気圧力が所定の閾値(背
圧閾値)ACC1を超えたか否かを判定する。ここで用
いる背圧閾値ACC1は、図5に示すマップ、すなわ
ち、エンジン回転数Neとメイン噴射量Qとをパラメー
タとするマップより設定する。
【0024】すなわち、現在の運転条件(Ne,Q)で
の排気圧力が図5の対応する運転条件での背圧閾値AC
C1を超えていない場合は、未だ再生時期でないと判断
して、リターンするが、現在の運転条件(Ne,Q)で
の排気圧力が図5の対応する運転条件での背圧閾値AC
C1を超えている場合は、DPF13にPMが過度に堆
積している、つまりPM堆積量が所定値を超えて、再生
時期に達していると判断して、S7以降の再生モードに
入る。
【0025】S7では、DPF13に堆積したPMを燃
焼するために必要な目標排温に達するための目標排温上
昇代ΔT.target を設定する。DPF13に堆積したP
Mは600℃以上に排温を上昇させれば酸化される。よ
って、DPF13が再生時期になった場合は、ポスト噴
射によって、通常の排温から600℃以上に排温を上昇
させる必要がある。そこで、現在の排温から必要な排温
上昇代を求める。
【0026】具体的には、図6に示すマップ、すなわ
ち、エンジン回転数Neとメイン噴射量Qとをパラメー
タとしてベース排温Texh.baseを定めたマップから、現
在の運転条件(Ne,Q)でのベース排温Texh.baseを
求め、次式により、このベース排温Texh.baseから目標
排温(600℃)までの、目標排温上昇代ΔT.target
を算出する。
【0027】ΔT.target =600−Texh.base S8では、ポスト噴射可能(着火可能)なポスト噴射時
期PostITを設定する。具体的には、図7に示すマップ、
すなわち、エンジン回転数Neとメイン噴射量Qとをパ
ラメータとして着火可能なポスト噴射時期PostITを定め
たマップから、現在の運転条件(Ne,Q)でのポスト
噴射時期PostITを求める。
【0028】図7でのポスト噴射時期PostITは、上死点
を基準に上死点前ならプラスの値で、上死点後ならマイ
ナスの値に設定される。よって、ポスト噴射は膨張行程
で行うので、PostITの値はマイナスとなる。尚、例えば
特開2000−45828号公報に記載のように筒内温
度を計算で求め、これに基づいて着火可能なクランク角
を求めることにより、ポスト噴射時期PostITを計算で求
めるようにしてもよい。
【0029】S9では、排温上昇に必要な目標ポスト噴
射量ΔQpost.target を設定する。ここでは、S8で設
定したポスト噴射時期PostITと、S7で設定した目標排
温上昇代ΔT.target とから、図8に示す目標ポスト噴
射量マップを参照して、目標ポスト噴射量ΔQpost.tar
get を設定する。S10では、現在の運転条件におい
て、ポスト噴射時期PostITにどれだけのポスト噴射を行
うことが可能かを検討して、ポスト噴射量許容値(上限
値)ΔQpost1 を設定する。
【0030】ポスト噴射を行った際には、噴射燃料の一
部がトルクに変化することから、トルク変動(トルク上
昇)が生じ、その値(トルク上昇代)も図9に示すよう
にポスト噴射時期(PostIT)とポスト噴射量(ΔQpost
1 )とによって異なる。従って、ポスト噴射を行ったと
きのトルク上昇代許容値を予め設定し、図9に示すマッ
プを参照して、ポスト噴射時期PostITと、予め設定した
トルク上昇代許容値とから、ポスト噴射量許容値(上限
値)ΔQpost1 を設定する。
【0031】S11では、S9で設定した排温上昇に必
要な目標ポスト噴射量ΔQpost.target と、S10で設
定したポスト噴射量許容値(上限値)ΔQpost1 とを、
比較する。比較の結果、目標ポスト噴射量ΔQpost.tar
get >ポスト噴射量許容値ΔQpost1 の場合(排温上昇
に必要なΔQpost.target をトルク変動が生じるために
全量噴射できない場合)は、S12〜S15へ進み、目
標ポスト噴射量ΔQpost.target <ポスト噴射量許容値
ΔQpost1 の場合(排温上昇に必要なΔQpost.target
を全量噴射可能な場合)は、S16,S17へ進む。
【0032】S12では、排温上昇に必要な目標ポスト
噴射量ΔQpost.target をトルク変動が生じるために全
量噴射できないことから、先ずメイン噴射量Q及びメイ
ン噴射時期MainITを補正する。すなわち、メイン噴射量
Qを減少させると共に、メイン噴射時期MainITを遅角し
て、メイン噴射によるトルクを低下させる。このトルク
低下分、ポスト噴射によるトルク上昇の許容値を上げる
ことが可能となる。但し、メイン噴射時期MainITは失火
しない程度に1〜3°遅角し、メイン噴射の失火限界よ
り後ろには遅角を行わない。
【0033】S13では、メイン噴射によるトルクの低
下分、ポスト噴射量許容値ΔQpost1 を補正する。すな
わち、メイン噴射量Qの減量補正によるトルク低下代と
メイン噴射時期MainITの遅角補正によるトルク低下代と
を、それぞれテーブル参照により求め、これらのトルク
低下代の合計分を、図9でのトルク上昇代許容値にフィ
ードバックし、図9からポスト噴射量許容値ΔQpost1
を再度検索する。
【0034】尚、図10は一例としてメイン噴射時期補
正値ΔMainITとこれによるトルク低下代との関係を示し
ている。従って、メイン噴射時期MainITを1°遅角した
場合には、そのトルク低下代を、トルク上昇代許容値に
フィードバックすることになる。S14では、S12で
のメイン噴射量Q及びメイン噴射時期MainITの補正に従
ってメイン噴射を行わせる一方、S8で設定したポスト
噴射時期PostITにて、S13で補正したポスト噴射量許
容値ΔQpost1 のポスト噴射を行わせて、排温を上昇さ
せる。
【0035】S15では、目標ポスト噴射量未満でのポ
スト噴射により排温を上昇させている過程であることを
示すべく、reg1フラグを1にセットして、リターン
する。S11での比較の結果、目標ポスト噴射量ΔQpo
st.target <ポスト噴射量許容値ΔQpost1 の場合は、
S16,S17へ進んでいる。
【0036】S16では、目標ポスト噴射量ΔQpost.t
arget でのポスト噴射を行ってもトルク上昇が許容値の
範囲内であることから、通常のメイン噴射を行わせる一
方、S8で設定したポスト噴射時期PostITにて、S9で
設定した目標ポスト噴射量ΔQpost.target のポスト噴
射を行わせて、排温を上昇させる。S17では、目標ポ
スト噴射量でのポスト噴射により排温を目標排温まで上
昇させている状態であることを示すべくreg2フラグ
を1にセットして、リターンする。
【0037】次にS5での判定にてreg1フラグ=1
の場合に進む図3のフローについて説明する。reg1
フラグ=1の場合は、目標ポスト噴射量ΔQpost.targe
t 未満のポスト噴射量(ポスト噴射量許容値ΔQpost1
)にてポスト噴射を行って、排温を上昇させている途
中の状態である。
【0038】S18では、S7と同様の手法で、現在の
運転条件(Ne,Q)でのべ一ス排温Texh.baseから目
標排温(600℃)までの、目標排温上昇代ΔT.targe
t (=600−Texh.base)を再設定する。S19で
は、ポスト噴射可能(着火可能)なポスト噴射時期Post
ITを再設定し、かつ補正する。
【0039】ポスト噴射時期PostITの再設定は、S8と
同様の手法で、図7のマップから、現在の運転条件(N
e,Q)でのポスト噴射時期PostITを再度検索する。ポ
スト噴射時期PostITの補正は、次のように行う。図7に
示す運転条件(Ne,Q)より定まる着火可能なポスト
噴射時期PostITに対して、ポスト噴射による排温上昇に
よって着火可能なポスト噴射時期が遅角側に広がる。よ
って、ポスト噴射による実際の排温上昇代により、ポス
ト噴射時期PostITを補正する。
【0040】このため、先ず、ポスト噴射により上昇し
た現在の排温Texh を、次式により求める。 Texh(今回値) =Texh(前回値) +Qpost1 ×αpost ここで、Qpost1 はポスト噴射量許容値であり、前回の
ポスト噴射量である。αpostはポスト噴射量を排温上昇
分に変換するための係数であり、運転条件(Ne,Q)
に応じてマップ(図示せず)を参照して求められる。
【0041】すなわち、前回の排温Texh (最初は図6
により求められるベース排温Texh.base)に対し、前回
のポスト噴射量Qpost1 による排温上昇分(Qpost1 ×
αpost)を加算して、今回(現在)の排温Texh を求め
るのである。次に、ポスト噴射による排温上昇代ΔT.p
ost を、現在の排温Texh とベース排温Texh.baseとの
差として、求める(ΔT.post =Texh −Texh.bas
e)。
【0042】次に、ポスト噴射による排温上昇代ΔT.p
ost に応じて、図11に示すポスト噴射時期補正値テー
ブルから、ポスト噴射時期補正値ΔIT.exhを検索して、
図7により求められるポスト噴射時期PostITに対し遅角
側に補正を行う。また、ポスト噴射によって排温が上昇
していることからEGR領域ではEGR率がポスト噴射
を行うことで変動する。EGR率が上昇すると排気中の
酸素濃度が低下することから、着火可能なポスト噴射時
期PostITは進角側に補正する必要がある。
【0043】このため、EGR率に応じて、図12に示
すポスト噴射時期補正値テーブルから、ポスト噴射時期
補正値ΔIT.egrを検索して、図7により求められるポス
ト噴射時期PostITに対し進角側に補正を行う。但し、E
GR率による補正に代え、排気中の酸素濃度や吸入空気
量による補正を行うようにしてもよい。従って、着火可
能なポスト噴射時期PostITは、排温上昇によるポスト噴
射時期補正値ΔIT.exhと、EGR率によるポスト噴射時
期補正値ΔIT.egrとにより、次式によって、補正する。
【0044】PostIT(補正後)=PostIT(補正前)+Δ
IT.exh+ΔIT.egr ここにおいて、図7のポスト噴射時期PostITは、既に述
べたように、上死点を基準に上死点後ならマイナスの値
に設定されており、ポスト噴射は膨張行程で行うので、
PostITの値はマイナスとなっている。また、図11の排
温上昇代ΔT.post に基づくポスト噴射時期補正値ΔI
T.exhは、ポスト噴射時期PostITを遅角側に補正するた
めのパラメータであることから、常にマイナスの値で設
定され、その絶対量が大きくなるほどポスト噴射時期Po
stITの遅角量を増大補正することになる。
【0045】また、図12のEGR率に基づくポスト噴
射時期補正値ΔIT.egrは、ポスト噴射時期PostITを進角
側に補正するパラメータであることから、プラスの値で
設定され、その絶対量が大きくなるほどポスト噴射時期
PostITの遅角量を減少補正することになる。尚、本実施
形態では、ベース排温Texh.base、及びポスト噴射によ
る排温上昇代ΔT.post の検出のために必要な現在の排
温Texh をマップ、及び計算により求めているが、セン
サの応答性が問題にならないのであれば、図1の排気通
路9のターボチャージャ3の排気タービンと酸化触媒1
2との間などに、排温センサを設けて、ベース排温Tex
h.base、及び現在の排温Texh を検出するようにしても
よい。
【0046】S20では、S9と同様の手法で、排温上
昇に必要な目標ポスト噴射量Qpost.target を再設定す
る。すなわち、S19で再設定しかつ補正したポスト噴
射時期PostITと、S18で再設定した目標排温上昇代Δ
T.target とから、図8に示す目標ポスト噴射量マップ
を参照して、目標ポスト噴射量ΔQpost.target を再度
検索する。
【0047】S21では、S10と同様の手法で、ポス
ト噴射量許容値(上限値)ΔQpost1 を再設定する。す
なわち、図9に示すマップを参照して、S19で再設定
したポスト噴射時期PostITに対しての予め設定したトル
ク上昇代許容値でのポスト噴射量許容値ΔQ.post1を再
度検索する。S22では、S11と同様に、S20で再
設定した排温上昇に必要な目標ポスト噴射量ΔQpost.t
arget と、S21で再設定したポスト噴射量許容値(上
限値)ΔQpost1 とを、比較する。
【0048】比較の結果、目標ポスト噴射量ΔQpost.t
arget >ポスト噴射量許容値ΔQpost1 の場合(排温上
昇に必要なΔQpost.target をトルク変動が生じるため
に全量噴射できない場合)は、S23〜S26へ進み、
S12〜S15と同様のプロセスで、メイン噴射量及び
メイン噴射時期をトルク低下方向に補正し、その分ポス
ト噴射量許容値ΔQpost1 を補正した上で、ポスト噴射
量許容値ΔQpost1 でのポスト噴射を行わせ、reg1
フラグ=1に維持して、リターンする。但し、メイン噴
射時期が失火限界まで既に遅角している場合は、S23
においてそれ以上の遅角は行わない。
【0049】目標ポスト噴射量ΔQpost.target <ポス
ト噴射量許容値ΔQpost1 になった場合(排温上昇に必
要なΔQpost.target を全量噴射可能になった場合)
は、S27,S28へ進み、S16,S17と同様のプ
ロセスで、目標ポスト噴射量ΔQpost.target でのポス
ト噴射を行わせ、目標ポスト噴射量でのポスト噴射によ
り排温を目標排温まで上昇させている状態であることを
示すべくreg2フラグを1にセットして、リターンす
る。
【0050】このような制御を繰り返し行うことで、排
温上昇に必要な目標ポスト噴射量ΔQpost.target を全
量噴射できない場合でも、ポスト噴射量許容値ΔQpost
1 でのポスト噴射による膨張行程での筒内温度の上昇と
共に(実際には排温の上昇と共に)、ポスト噴射時期Po
stITを遅角することで、最終的には目標ポスト噴射量Δ
Qpost.target でのポスト噴射が可能となり、トルク変
動やポスト噴射の失火を生じることなく、排温を目標排
温まで上昇させることが可能となる。
【0051】次にS4での判定にてreg2フラグ=1
の場合に進む図4のフローについて説明する。reg2
フラグ=1の場合は、目標ポスト噴射量ΔQpost.targe
t でのポスト噴射が可能となり、これを行って、排温を
目標排温まで上昇させている状態であある。
【0052】S29では、DPF13に堆積したPMを
燃焼させるのに十分な排温の状態が所定時間以上続いて
いるか否かを、reg2フラグ=1の連続時間が所定時
間t1を超えたか否かにより、判定する。reg2フラ
グ=1の連続時間が所定値t1以下の場合は、そのまま
リターンするが、所定時間t1を超えた場合は、S3
0,S31へ進む。
【0053】S30,S31では、DPF13の再生が
終了したとみなし、reg1フラグ、reg2フラグを
それぞれ0にして、リターンし、これにより再生モード
を終了する。以上の図2〜図4のフローにおいて、S
3,S6,S7,S18の部分が排温上昇要求発生手段
に相当し、S8,S19の部分がポスト噴射時期設定手
段に相当し、S9,S20の部分が目標ポスト噴射量設
定手段に相当し、S10,S21の部分がポスト噴射量
上限値設定手段に相当し、S11,S14,S16,S
22,S25,S27の部分がポスト噴射量設定手段に
相当する。
【0054】また、S19の部分はポスト噴射による膨
張行程での筒内温度の上昇と共にポスト噴射時期を遅角
側に補正する手段、及び、EGR率などからポスト噴射
時期を補正する手段を含んでいる。また、S12,S2
3の部分はメイン噴射量及びメイン噴射時期を補正する
手段に相当し、S13,S24の部分はメイン噴射量及
びメイン噴射時期の補正に伴ってポスト噴射量の上限値
を補正する手段に相当する。
【0055】本制御を行ったときの動作例を図13のタ
イムチャートに示す。当初、排温上昇に必要な目標ポス
ト噴射量ΔQpost.target をトルク変動を生じることか
ら全量噴射できない場合に、ポスト噴射量許容値ΔQpo
st1 でのポスト噴射を行って、排温を上昇させる。そし
て、メイン噴射量の減量補正と、メイン噴射時期の遅角
補正とにより、トルクを低下させて、その分、ポスト噴
射量許容値ΔQpost1 を大きくすることで、ポスト噴射
量を増やす。また、ポスト噴射による膨張行程での筒内
温度の上昇と共に(実際には排温の上昇と共に)、着火
限界が遅角側に拡大することから、ポスト噴射時期Post
ITを遅角する。そして、ポスト噴射時期PostITの遅角に
より、ポスト噴射量のうちトルクに変化する割合が減少
することから、その分、ポスト噴射量許容値ΔQpost1
が大きくなるのに伴って、ポスト噴射量を更に増やして
行く。
【0056】これにより、最終的には目標ポスト噴射量
ΔQpost.target でのポスト噴射が可能となり、トルク
変動やポスト噴射の失火を生じることなく、排温を目標
排温まで上昇させることが可能となり、この排温上昇に
よって、DPF13を確実に再生することができる。
尚、本実施形態では、ポスト噴射による排温の上昇は、
DPF13の再生のために行っているが、この他、各種
排気浄化触媒の暖機性向上や浄化性能の維持あるいは回
復、ターボチャージャの過給圧の昇圧などを目的として
行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す内燃機関のシステ
ム図
【図2】 DPF再生制御のフローチャート(その1)
【図3】 DPF再生制御のフローチャート(その2)
【図4】 DPF再生制御のフローチャート(その3)
【図5】 DPF再生時期判断用のDPF背圧閾値のマ
ップ
【図6】 ベース排温算出用のマップ
【図7】 ポスト噴射時期設定用のマップ
【図8】 目標ポスト噴射量設定用のマップ
【図9】 ポスト噴射量許容値設定用のマップ
【図10】 メイン噴射時期補正量とトルク低下代の関
係を示すテーブル
【図11】 排温上昇代に対するポスト噴射時期補正値
のテーブル
【図12】 EGR率に対するポスト噴射時期補正値の
テーブル
【図13】 動作例を示すタイムチャート
【符号の説明】
1 ディーゼルエンジン 2 吸気通路 6 高圧燃料ポンプ 8 燃料噴射弁 9 排気通路 12 酸化触媒 13 DPF 20 コントロールユニット 21 回転数センサ 22 アクセル開度センサ 23 排気圧力センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 43/00 301 F02D 43/00 301K 301J 301N 301H Fターム(参考) 3G084 AA01 BA13 BA15 CA01 CA02 DA10 EB11 EC03 FA10 FA33 3G090 AA01 BA02 CA01 CB02 CB04 CB08 DA03 DA18 EA05 EA06 3G301 HA02 HA11 HA13 JA21 KA01 KA05 LB11 LC01 MA11 MA18 MA26 MA27 ND01 NE01 PD14Z PE01Z PF03Z

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】排気温度を上昇させるためにメイン噴射の
    後にポスト噴射を行う内燃機関の制御装置において、 排気温度の上昇要求を発生する排温上昇要求発生手段
    と、 排気温度の上昇要求を受けて、運転条件に基づいて着火
    可能なポスト噴射時期を設定するポスト噴射時期設定手
    段と、 排気温度の上昇要求を受けて、排気温度を目標温度まで
    上昇させるのに必要な目標ポスト噴射量を設定する目標
    ポスト噴射量設定手段と、 前記ポスト噴射時期に基づいてポスト噴射量の上限値を
    設定するポスト噴射量上限値設定手段と、 前記目標ポスト噴射量と前記上限値とを比較し、前記目
    標ポスト噴射量の方が大きいときに、ポスト噴射量を前
    記上限値に設定し、前記上限値の方が大きいときは、ポ
    スト噴射量を前記目標ポスト噴射量に設定するポスト噴
    射量設定手段と、 を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 【請求項2】前記ポスト噴射量上限値設定手段は、前記
    ポスト噴射量の上限値を、ポスト噴射により発生するト
    ルクを許容値以下とするように設定することを特徴とす
    る請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 【請求項3】ポスト噴射による膨張行程での筒内温度の
    上昇と共に、ポスト噴射時期を遅角側に補正する手段を
    備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の内
    燃機関の制御装置。
  4. 【請求項4】EGR率、排気中の酸素濃度、吸入空気量
    のうち少なくとも1つから、ポスト噴射時期を補正する
    手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のい
    ずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
  5. 【請求項5】前記ポスト噴射時期の補正は、ポスト噴射
    量が前記目標ポスト噴射量に設定されるまで繰り返し行
    うことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の内燃機
    関の制御装置。
  6. 【請求項6】前記目標ポスト噴射量が前記上限値より大
    きい場合に、メイン噴射量及びメイン噴射時期の少なく
    とも一方を補正する手段を備えることを特徴とする請求
    項1〜請求項5のいずれか1つに記載の内燃機関の制御
    装置。
  7. 【請求項7】前記メイン噴射量及びメイン噴射時期の少
    なくとも一方の補正に伴って、ポスト噴射量の上限値を
    補正する手段を備えることを特徴とする請求項6記載の
    内燃機関の制御装置。
  8. 【請求項8】前記ポスト噴射量の上限値の補正は、ポス
    ト噴射量が前記目標ポスト噴射量に設定されるまで繰り
    返し行うことを特徴とする請求項7記載の内燃機関の制
    御装置。
  9. 【請求項9】前記排温上昇要求発生手段は、排気通路に
    備えられて排気中の微粒子を捕集するフィルタの微粒子
    堆積量に基づいて、前記フィルタの再生時期を判断し、
    再生時期と判断されたときに排気温度の上昇要求を発生
    することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1
    つに記載の内燃機関の制御装置。
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