JP2002233577A - ステントの製造方法およびステント - Google Patents

ステントの製造方法およびステント

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JP2002233577A
JP2002233577A JP2001033852A JP2001033852A JP2002233577A JP 2002233577 A JP2002233577 A JP 2002233577A JP 2001033852 A JP2001033852 A JP 2001033852A JP 2001033852 A JP2001033852 A JP 2001033852A JP 2002233577 A JP2002233577 A JP 2002233577A
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stent
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Ryuichi Urakawa
隆一 浦川
Akira Mochizuki
明 望月
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】容易かつ安定して製造することができ、さらに
製造過程における薬剤の分解、変性等もないステントの
製造方法、およびその製造方法により製造されたステン
トを提供する。 【解決手段】薬剤を含有した生体吸収性材料の紡糸原液
を加熱する段階と、前記加熱した紡糸原液を乾式紡糸も
しくは湿式紡糸することによって繊維を作製する段階
と、前記繊維を管状にする段階とからなる、薬剤を含有
した生体吸収性材料で構成されたステントの製造方法、
およびその製造方法により製造されたステント。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血管、胆管、気
管、食道、尿道などの生体内の管腔に生じた狭窄部の改
善に使用されるステントの製造方法、およびその製造方
法により製造されたステントに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生体内の管腔、特に冠動脈などの
血管に狭窄部が生じた場合、この狭窄部に対してバルー
ンカテーテルを挿入し、バルーンを膨張させることによ
って血管を拡張して内腔を確保し、狭窄部の血流を改善
する経皮的冠動脈形成術(PTCA)が行われている。
しかしながら、この治療法は術後3ヶ月以内に約40%
の頻度で再狭窄が生じるとされている。
【0003】そこでこのような再狭窄を防ぐために、バ
ルーンに取り付けられたステントによる治療が行われる
ようになった。ステントは、血管等の脈管に生じた狭窄
部を拡張させた状態に維持するための管状の器具であ
り、バルーンで拡張することによって、目的とする適切
な外径を維持することが可能である。従来、このステン
トは金属製であり、コイルステントと呼ばれるものやス
ロットステントと呼ばれるものが登場してきている。し
かしながら、このような金属製のステントは、一度体内
に留置されると、異物として体内に永久的に残るという
問題がある。
【0004】そこで金属製ステントが抱えている上記の
問題を解決するため、生体吸収性材料からなるステント
が考案された。このステントは、必要な期間、目的とす
る適切な外径を維持した後、生体内で分解されるため、
体内にいつまでも残存することがない。このようなステ
ントの具体例としては、特許第2961287号公報
に、ポリグリコール酸モノフィラメント糸を平編による
メッシュ状に編成したステントが開示されている。
【0005】そして、このような生体吸収性材料に、再
狭窄防止に有効な薬剤を含有させたステントも考案され
ている。例えば、特開平11−137694号公報の実
施例3には、ポリ−D,L−乳酸に薬剤であるトラニラ
ストを含有させたペレットを溶融させて紡糸した繊維
を、コイル状に形状記憶させたステントが開示されてい
る。
【0006】しかし、上記のように生体吸収性材料の繊
維を溶融紡糸によって成形する場合、生体吸収性材料の
融点以上に加熱する必要があるため、繊維中に含有させ
ようとする薬剤によっては、熱による薬剤の分解、変質
を引き起こすという問題が出てくる。特に生体吸収性材
料としてポリ乳酸やポリグリコール酸などを使用する場
合は、200℃以上に加熱する必要があるため、薬剤が
分解、変質する可能性が高くなる。
【0007】また、特開平11−137694号公報で
は、熱で分解、変質しやすい薬物を含有させた場合の紡
糸方法として、予めクロロホルムなどの溶媒を用いて、
乳酸系ポリマーと薬物の混合液を調整し、この混合液を
加熱しないで細孔から押し出した後、溶媒を蒸散除去し
て繊維を成形するという方法が開示されている。しか
し、このように加熱を行わない混合液(紡糸原液)は流
動性が悪いため、細孔から吐出させると、紡糸原液が引
きちぎれたりして紡糸が困難になることが多く、また得
られた繊維の寸法も安定しないという問題も出てくる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、容易かつ安定して製造することができ、さらに製造
過程における薬剤の分解、変性等もないステントの製造
方法、およびその製造方法により製造されたステントを
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(7)の本発明により達成される。
【0010】(1)薬剤を含有した生体吸収性材料から
なるステントの製造方法であって、前記方法は少なくと
も、薬剤を含有した生体吸収性材料の紡糸原液を加熱す
る段階と、前記加熱した紡糸原液を乾式紡糸もしくは湿
式紡糸することによって繊維を作製する段階と、前記繊
維を管状にする段階とからなることを特徴とするステン
トの製造方法。
【0011】(2)前記加熱の温度が、30℃以上であ
ることを特徴とする(1)に記載のステントの製造方
法。
【0012】(3)前記加熱の温度が、前記紡糸原液の
溶媒の沸点以下の温度であることを特徴とする(1)な
いし(2)に記載のステントの製造方法。
【0013】(4)前記紡糸原液の溶媒が、揮発性有機
溶媒であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか
に記載のステントの製造方法。
【0014】(5)前記生体吸収性材料が、ポリ乳酸、
ポリグリコール酸、乳酸とグリコース酸の共重合体、ポ
リヒドロキシ酪酸のいずれかであることを特徴とする
(1)〜(4)のいずれかに記載のステントの製造方
法。
【0015】(6)前記薬剤が、抗癌剤、抗炎症剤、抗
血栓剤、抗酸化剤のいずれかであることを特徴とする
(1)〜(5)のいずれかに記載のステントの製造方
法。
【0016】(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の
製造方法により製造されたことを特徴とするステント。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について詳細に説明する。
【0018】本発明は、薬剤を含有した生体吸収性材料
からなるステントの製造方法、およびその製造方法によ
り製造されたステントに関するものである。
【0019】薬剤は、血管等の再狭窄を抑制する効果が
あるものであれば特に限定されないが、例えば抗癌剤、
抗炎症剤、抗血栓剤、抗酸化剤等が挙げられる。抗癌剤
としては、例えばアドレアマイシン、マイトマイシン
C、シスプラチン、タキソール、タキソテール等が、抗
炎症剤としては、例えばデキサメタゾン等のステロイド
系の薬剤が、抗血栓剤としては、例えばウロキナーゼ、
ヘパリン、アスピリン等が、抗酸化剤としては、エピガ
ロカテキン等のカテキン類、ビタミンE等が、それぞれ
挙げられる。
【0020】生体吸収性材料は、生体内で分解吸収さ
れ、代謝されるものであれば特に限定されないが、その
中でも分解されたものが毒性を示さず、安全性も高いポ
リ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコース酸の共重
合体、ポリヒドロキシ酪酸等が特に好ましい。
【0021】本発明のステントを得るためには、まず前
記薬剤と前記生体吸収性材料に溶媒を加えて生体吸収性
材料を溶解させ、生体吸収性材料の紡糸原液を作製す
る。
【0022】溶媒は、生体吸収性材料を溶解することが
可能であれば特に限定されないが、後述の乾式紡糸もし
くは湿式紡糸において、溶媒を紡糸原液から確実に除去
するためには、揮発性有機溶媒が特に好ましい。
【0023】乾式紡糸を行う場合の揮発性有機溶媒とし
ては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサフ
ルオロイソプロパノール等のハロゲン系溶媒、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、DMAc、
DMF等のアミド系溶媒、アセトン、MEK等のケトン
類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、あるいは
これらの混合物等が挙げられる。また、適度な紡糸を行
うために、これらの揮発性有機溶媒中に、エタノール、
メタノール、ブタノール、アセトニトリル等を加えても
よい。
【0024】一方、湿式紡糸を行う場合の揮発性有機溶
媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ヘ
キサフルオロイソプロパノール等のハロゲン系溶媒、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、DMS
O、DMF、DMAc、あるいはこれらの混合物等が挙
げられる。また、適度な紡糸を行うために、これらの揮
発性有機溶媒中に、水、エタノール、メタノール、イソ
プロパノール、エーテル、ヘキサン等を加えてもよい。
【0025】紡糸原液中の生体生体吸収性材料の濃度
は、乾式紡糸の場合、10〜60wt%が好ましく、2
0〜50wt%がさらに好ましい。また、湿式紡糸の場
合は、5〜50wt%が好ましく、20〜50wt%が
さらに好ましい。濃度が前記の範囲から外れると、曳糸
性がなくなり紡糸が困難になる。
【0026】紡糸原液の粘度は、乾式紡糸の場合、湿式
紡糸の場合、共に30〜20000ポイズが好ましく、
100〜15000ポイズがさらに好ましい。粘度が前
記の範囲から外れると、曳糸性がなくなり紡糸が困難に
なる。
【0027】生体吸収性材料に対する薬剤の濃度は、好
適な血管等の再狭窄を抑制する効果を発現させるために
1〜30wt%が好ましく、5〜20wt%がさらに好
ましい。
【0028】紡糸原液中における薬剤の含有の様態は、
特に限定されないが、後述の繊維全体に薬剤を均一に分
散させるためには、薬剤が紡糸原液中に均一に溶解ある
いは分散されていることが好ましい。
【0029】上記のようにして作製された紡糸原液を、
図1に示す吐出装置1の紡糸口金2に注入する。そし
て、紡糸口金2において紡糸原液を加熱する。加熱の方
法は特に限定されないが、例えば紡糸口金2の外周にヒ
ーターを巻いて、そのヒーターにより加熱する等が挙げ
られる。
【0030】加熱の温度は、30℃以上かつ紡糸原液の
溶媒の沸点以下の温度が好ましい。紡糸原液の温度が3
0℃未満になると、紡糸原液の流動性が悪くなり、得ら
れた繊維の寸法も不安定になることがある。一方、紡糸
原液の温度を溶媒の沸点以上の温度にした場合、溶媒の
沸騰により紡糸原液内に気泡が発生しやすくなるため、
曳糸性がなくなり紡糸が困難になることがある。
【0031】こうして加熱した紡糸原液を、紡糸口金2
のノズル3より糸状に吐出させて、乾式紡糸もしくは湿
式紡糸することにより繊維を作製する。
【0032】ノズル3の直径は、特に限定されないが、
0.5〜3.0mmが好ましく、0.8〜2.0mmが
さらに好ましい。
【0033】乾式紡糸の場合、ノズル3より吐出させた
糸状の紡糸原液4を、例えばヒーターの内部に通して加
熱させて、溶媒を蒸発させることにより、薬剤を含有し
た生体吸収性材料の繊維を得ることができる。
【0034】加熱の温度は、溶媒を紡糸原液から確実に
蒸発させ、なおかつ熱による薬剤の分解、変質を防ぐた
めに、40〜120℃が好ましい。
【0035】一方、湿式紡糸の場合、糸状の紡糸原液4
を、ノズル3より凝固層中に吐出させて、生体吸収性材
料を凝集、凝固させることにより、薬剤を含有した生体
吸収性材料の繊維を得ることができる。
【0036】凝固層は、本発明の生体吸収性材料に対し
て非溶媒であり、かつ本発明の溶媒とよく混ざるような
液体であれば特に限定されないが、例えばエタノール、
メタノール、イソプロパノール、アセトン、水、エーテ
ル、ヘキサン、あるいはこれらの混合物等が挙げられ
る。
【0037】なお、ノズルと凝固層との間に一定の距離
を設けてもよい。この場合の距離は10〜1000mm
程度が好ましい。そして、ノズルと凝固層に間に、紡糸
原液を加熱させるための筒状のヒーター等を設けてもよ
い。この場合の加熱温度は、熱による薬剤の分解、変質
を防ぐために30〜100℃が好ましい。また、紡糸原
液4から、生体吸収性材料を確実に凝固、凝固させるた
めに、凝固層の温度は30〜60℃の範囲で一定に保つ
ことが望ましい。
【0038】続いて、上記湿式紡糸もしくは乾式紡糸に
よって得られた繊維の強度を上昇させるために、適切な
延伸倍率での延伸配向処理を行う。
【0039】延伸配向処理の適切な延伸倍率は、3〜2
0倍が好ましく、4〜15倍がさらに好ましい。延伸倍
率を20倍以上とした場合は、繊維がネッキング等を起
こし、生体吸収性材料の結晶構造が破壊される場合があ
る。また、延伸配向処理時の温度としては、生体吸収性
材料のガラス転移温度Tg以上および130℃以下が好
ましい。このような延伸配向処理により、生体吸収性材
料が配向結晶化して結晶化度が上昇するため、繊維の強
度が上がる。
【0040】最後に、上記延伸配向処理を行った繊維を
管状にして、本発明のステントを得ることができる。
【0041】繊維を管状にする方法は、特に限定されな
いが、例えば図2に示すように繊維5を螺旋状に巻いて
コイル状にする方法、また図3に示すように単数もしく
は複数の繊維5を編んで網筒状にする方法等が挙げられ
る。
【0042】このようにして製造された本発明のステン
トは、血管等の再狭窄を抑制する効果がある薬剤を含有
した生体吸収性材料により構成されている。従って、本
発明のステントは、血管等の傷害部位に留置された後、
生体吸収性材料が分解吸収され、代謝されるので、金属
ステントのように体内にいつまでも残存するということ
がなくなる。また、生体吸収性材料が分解されることに
よって、上記薬剤が血管等の傷害部位に直接放出される
ため、効率的かつ確実に再狭窄を防止することができ
る。そして、このような薬剤を、本発明のステントを構
成する繊維の中央部にまで分散させることによって、薬
剤の徐放性を持たせることができ、これによって少しず
つ持続的に薬剤を放出させることができる。
【0043】本発明のステントを形成する繊維5の直径
は、50〜1000μmが好ましく、100〜500μ
mがさらに好ましい。直径が50μm以下の繊維を管状
にしてステントを形成した場合、ステントが外力に対し
て潰れやすくなるため、血管等の傷害部位でステントを
拡張した際にその拡張したサイズを維持しきれないとい
う問題が生じる。また直径が1000μm以上にした場
合は、管状に形成されたステントが硬くなるため、ステ
ント自体の拡張性が落ちる可能性がある。
【0044】また、本発明のステントを形成する繊維5
の37℃における貯蔵弾性率は、3〜30GPaが好ま
しく、5〜20GPaがさらに好ましい。貯蔵弾性率が
3GPa未満の繊維を管状にしてステントを形成した場
合、ステントが外力に対して潰れやすくなるため、血管
等の傷害部位でステントを拡張した際にその拡張したサ
イズを維持しきれないという問題が生じる。また貯蔵弾
性率を20GPaにした場合は、管状に形成されたステ
ントが硬くなるため、ステント自体の拡張性が落ちる可
能性がある。
【0045】本発明のステントの使用方法は、血管等の
傷害部位に直接適用する方法であれば特に限定されな
い。例えば、バルーン表面に本発明のステントをマウン
トさせたバルーンカテーテルを経皮的に血管等の傷害部
位に挿入させ、その傷害部位で前記バルーンを拡張させ
て本発明のステントを留置させる方法が挙げられる。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるも
のではない。
【0047】(実施例1)ポリ乳酸5gとマイトマイシ
ンC50mgを、クロロホルム45gに溶解させて紡糸
原液を作製した。この紡糸原液の粘度は78ポイズであ
った。次に、この紡糸原液を図1に示す吐出装置1の紡
糸口金2に注入して、40℃に加熱した。そして、この
加熱した紡糸原液を直径1mmのノズル3より糸状に吐
出させた。次いでこの吐出させた糸状の紡糸原液4を、
50℃に加熱したヒーター部内に通して、クロロホルム
を蒸発させ、Tg58℃、直径400μmのポリ乳酸繊
維を作製した。そしてこの繊維を、90℃で5倍に延伸
して、直径180μm、37℃における貯蔵弾性率が
7.4GPaの繊維を得た。そして、この繊維を図3に
示すような網筒状にして、外径1.7mmのステントを
作製した。このステントは、バルーンによる拡張により
外径3mmまで拡径可能であった。
【0048】(実施例2)ポリ乳酸10gとマイトマイ
シンC100mgを、クロロホルム40gに溶解させて
紡糸原液を作製した。この紡糸原液の粘度は15000
ポイズであった。次に、この紡糸原液を図1に示す吐出
装置1の紡糸口金2に注入して、50℃に加熱した。そ
して、この加熱した紡糸原液を直径1mmのノズル3よ
り糸状に吐出させた。次いでこの吐出させた糸状の紡糸
原液4を、50℃に加熱したヒーター部内に通して、ク
ロロホルムを蒸発させ、Tg58℃、直径400μmの
ポリ乳酸繊維を作製した。そしてこの繊維を、90℃で
5倍に延伸して、直径180μm、37℃における貯蔵
弾性率が7.3GPaの繊維を得た。そして、この繊維
を図3に示すような網筒状にして、外径1.7mmのス
テントを作製した。このステントは、バルーンによる拡
張により外径3mmまで拡径可能であった。
【0049】(実施例3)ポリ乳酸5gとマイトマイシ
ンC500mgを、クロロホルム45gに溶解させて紡
糸原液を作製した。この紡糸原液の粘度は80ポイズで
あった。次に、この紡糸原液を図1に示す吐出装置1の
紡糸口金2に注入して、50℃に加熱した。そして、こ
の加熱した紡糸原液を直径1mmのノズル3より糸状に
吐出させた。次いでこの吐出させた糸状の紡糸原液4
を、50℃に加熱したヒーター部内に通して、クロロホ
ルムを蒸発させ、Tg58℃、直径400μmのポリ乳
酸繊維を作製した。そしてこの繊維を、90℃で5倍に
延伸して、直径180μm、37℃における貯蔵弾性率
が7.3GPaの繊維を得た。そして、この繊維を図3
に示すような網筒状にして、外径1.7mmのステント
を作製した。このステントは、バルーンによる拡張によ
り外径3mmまで拡径可能であった。
【0050】(実施例4)ポリ乳酸5gとエピガロカテ
キン500mgを、ジクロロメタン45gに溶解させて
紡糸原液を作製した。この紡糸原液の粘度は68ポイズ
であった。次に、この紡糸原液を図1に示す吐出装置1
の紡糸口金2に注入して、35℃に加熱した。そして、
この加熱した紡糸原液を直径1mmのノズル3より糸状
に吐出させた。次いでこの吐出させた糸状の紡糸原液4
を、50℃に加熱したヒーター部内に通して、ジクロロ
メタンを蒸発させ、Tg58℃、直径400μmのポリ
乳酸繊維を作製した。そしてこの繊維を、90℃で5倍
に延伸して、直径180μm、37℃における貯蔵弾性
率が7.3GPaの繊維を得た。そして、この繊維を図
3に示すような網筒状にして、外径1.7mmのステン
トを作製した。このステントは、バルーンによる拡張に
より外径3mmまで拡径可能であった。
【0051】(実施例5)乳酸とグリコール酸の共重合
体5gとエピガロカテキン500mgを、ジクロロメタ
ン45gに溶解させて紡糸原液を作製した。この紡糸原
液の粘度は68ポイズであった。次に、この紡糸原液を
図1に示す吐出装置1の紡糸口金2に注入して、30℃
に加熱した。そして、この加熱した紡糸原液を直径1m
mのノズル3より糸状に吐出させた。次いでこの吐出さ
せた糸状の紡糸原液4を、50℃に加熱したヒーター部
内に通して、ジクロロメタンを蒸発させ、Tg58℃、
直径400μmのポリ乳酸繊維を作製した。そしてこの
繊維を、80℃で4倍に延伸して、直径180μm、3
7℃における貯蔵弾性率が6.1GPaの繊維を得た。
そして、この繊維を図3に示すような網筒状にして、外
径1.5mmのステントを作製した。このステントは、
バルーンによる拡張により外径3mmまで拡径可能であ
った。
【0052】(実施例6)ポリ乳酸5gとマイトマイシ
ンC50mgを、クロロホルム45gに溶解させて紡糸
原液を作製した。この紡糸原液の粘度は79ポイズであ
った。次に、この紡糸原液を図1に示す吐出装置1の紡
糸口金2に注入して、40℃に加熱した。そして、この
加熱した紡糸原液を直径1mmのノズル3より糸状に吐
出させた。次いでこの吐出させた糸状の紡糸原液4を、
メタノールで満たされた凝固層に通して、クロロホルム
を除去しポリ乳酸を析出させて、Tg58℃、直径40
0μmのポリ乳酸繊維を作製した。そしてこの繊維を、
80℃で4倍に延伸して、直径180μm、37℃にお
ける貯蔵弾性率が6.5GPaの繊維を得た。そして、
この繊維を図3に示すような網筒状にして、外径1.5
mmのステントを作製した。このステントは、バルーン
による拡張により外径3mmまで拡径可能であった。
【0053】(実施例7)ポリ乳酸20gとマイトマイ
シンC100mgを、クロロホルム40gに溶解させて
紡糸原液を作製した。この紡糸原液の粘度は20000
ポイズであった。次に、この紡糸原液を図1に示す吐出
装置の紡糸口金に注入して、45℃に加熱した。そし
て、この加熱した紡糸原液を直径1mmのノズルより糸
状に吐出させた。次いでこの吐出させた糸状の紡糸原液
を、メタノールで満たされた凝固層に通して、クロロホ
ルムを除去しポリ乳酸を析出させて、Tg58℃、直径
400μmのポリ乳酸繊維を作製した。そしてこの繊維
を、80℃で4倍に延伸して、直径170μm、37℃
における貯蔵弾性率が6.5GPaの繊維を得た。そし
て、この繊維を図3に示すような網筒状にして、外径
1.5mmのステントを作製した。このステントは、バ
ルーンによる拡張により外径3mmまで拡径可能であっ
た。
【0054】(比較例1)ポリ乳酸20gとマイトマイ
シンC100mgを、クロロホルム40gに溶解させて
紡糸原液を作製した。この紡糸原液の粘度は20000
ポイズであった。次に、この紡糸原液を図1に示す吐出
装置の紡糸口金に注入して、室温(25℃)で直径1m
mのノズルより糸状に吐出させた。この紡糸原液は流動
性が悪く、吐出された紡糸原液が引きちぎれたりして紡
糸を行うことが困難であった。また、得られた繊維につ
いても寸法精度が悪く、ステントにするには不適切であ
った。
【0055】(比較例2)ポリ乳酸1gとエピガロカテ
キン100mgを、クロロホルム50gに溶解させて紡
糸原液を作製した。この紡糸原液の粘度は12ポイズで
あった。次に、この紡糸原液を30℃に加熱した。そし
て、この加熱した紡糸原液を直径1mmのノズルより糸
状に吐出させることを試みたが、曳糸性がなく紡糸が不
可能であった。また、この紡糸原液は、室温(25℃)
においても曳糸性がなく紡糸が不可能であった。
【0056】(比較例3)ポリ乳酸35gとエピガロカ
テキン500mgを、クロロホルム20gに溶解させて
紡糸原液を作製したが、ポリ乳酸が完全に溶解しなかっ
た。
【0057】上記実施例および比較例における紡糸原液
の粘度は、東京計器社製E型粘度計Visco ED型
を使用して、測定温度25℃、コーン直径φ15.4m
mもしくはφ2.8mm、回転数1rpmで測定した。
【0058】上記実施例および比較例におけるTgは、
(株)島津製作所製示差走査熱量計DSC−50を使用
して、窒素雰囲気下(流速20ml/min)で、昇温
速度10℃/min、測定温度範囲を室温〜240℃と
して測定した。
【0059】上記実施例および比較例における貯蔵弾性
率は、動的粘弾性測定装置としてアイティー計測制御社
製DVA−225を使用して、昇温法により、空気中
で、測定周波数1Hz、昇温速度5℃/minとして測
定した。
【0060】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、薬剤を含
有した生体吸収性材料からなるステントの製造方法、お
よびその製造方法により製造されたステントであって、
前記方法が少なくとも、薬剤を含有した生体吸収性材料
の紡糸原液を加熱する段階と、前記加熱した紡糸原液を
乾式紡糸もしくは湿式紡糸することによって繊維を作製
する段階と、前記繊維を管状にする段階とからなること
を特徴とするため、容易かつ安定して製造することがで
き、さらに製造過程における薬剤の分解、変性等もな
い。
【0061】また、前記加熱の温度が、30℃以上であ
ることを特徴とする場合は、紡糸原液の流動性が向上す
るため、より安定した寸法の繊維を製造することができ
る。
【0062】また、前記加熱の温度が、前記紡糸原液の
溶媒の沸点以下の温度であることを特徴とする場合は、
溶媒の沸騰による紡糸原液内の気泡の発生がないため、
紡糸が容易になる。
【0063】また、前記紡糸原液の溶媒が、揮発性有機
溶媒であることを特徴とする場合は、乾式紡糸もしくは
湿式紡糸において、溶媒を紡糸原液から確実に除去でき
る。
【0064】また、前記生体吸収性材料が、ポリ乳酸、
ポリグリコール酸、乳酸とグリコース酸の共重合体、ポ
リヒドロキシ酪酸のいずれかであることを特徴とする場
合は、血管等の傷害部位に留置した際、優れた安全性を
示す。
【0065】また、前記薬剤が、抗癌剤、抗炎症剤、抗
血栓剤、抗酸化剤のいずれかであることを特徴とする場
合は、血管等の傷害部位の再狭窄を確実に防止すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】紡糸原液を紡糸装置のノズルより吐出させる状
態を示す概略図である。
【図2】繊維をコイル状に形成した状態を示す概略図で
ある。
【図3】繊維を網筒状に形成した状態を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1 紡糸装置 2 紡糸口金 3 ノズル 4 紡糸原液 5 繊維

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薬剤を含有した生体吸収性材料からなるス
    テントの製造方法であって、 前記方法は少なくとも、 薬剤を含有した生体吸収性材料の紡糸原液を加熱する段
    階と、 前記加熱した紡糸原液を乾式紡糸もしくは湿式紡糸する
    ことによって繊維を作製する段階と、 前記繊維を管状にする段階とからなることを特徴とする
    ステントの製造方法。
  2. 【請求項2】前記加熱の温度が、30℃以上であること
    を特徴とする請求項1に記載のステントの製造方法。
  3. 【請求項3】前記加熱の温度が、前記紡糸原液の溶媒の
    沸点以下の温度であることを特徴とする請求項1ないし
    2に記載のステントの製造方法。
  4. 【請求項4】前記紡糸原液の溶媒が、揮発性有機溶媒で
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    ステントの製造方法。
  5. 【請求項5】前記生体吸収性材料が、ポリ乳酸、ポリグ
    リコール酸、乳酸とグリコース酸の共重合体、ポリヒド
    ロキシ酪酸のいずれかであることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載のステントの製造方法。
  6. 【請求項6】前記薬剤が、抗癌剤、抗炎症剤、抗血栓
    剤、抗酸化剤のいずれかであることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかに記載のステントの製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法
    により製造されたことを特徴とするステント。
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