JP2002227876A - トランスミッションのギア抜け防止機構 - Google Patents

トランスミッションのギア抜け防止機構

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JP2002227876A
JP2002227876A JP2001027651A JP2001027651A JP2002227876A JP 2002227876 A JP2002227876 A JP 2002227876A JP 2001027651 A JP2001027651 A JP 2001027651A JP 2001027651 A JP2001027651 A JP 2001027651A JP 2002227876 A JP2002227876 A JP 2002227876A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トランスミッションにおいて、シフト操作の
操作力の増大を回避しつつクラッチスライダのギア抜け
を防止し得る構成を提供する。 【解決手段】 外周に雄スプライン115が形成された
ハブ36と、内周に形成された雌スプライン116が前
記ハブ36の雄スプライン115に対して軸方向に摺動
自在にスプライン嵌合する後部第三変速スリーブ48
と、前記ハブ36に隣設され、かつ前記後部第三変速ス
リーブ48の雌スプライン116とスプライン嵌合する
雄スプライン117・118が設けられた回転自在な遊
転ギア33・34と、からなるコンスタントメッシュギ
ア式のトランスミッションにおいて、前記ハブ36の雄
スプライン115と前記遊転ギア33の雄スプライン1
17にテーパ部115a・117aを形成して、これら
テーパ部の各々に前記後部第三変速スリーブ48の雌ス
プライン116の端部を当接させて該後部第三変速スリ
ーブ48の抜けを防止するように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トランスミッショ
ンにおいて、変速操作力の増加を抑制しつつギア抜けを
防止できるようにした、ギア抜け防止機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から知られているコンスタントメッ
シュギア式トランスミッションの変速機構の構造の概要
は、以下のとおりである。即ち、回転軸に固定されたハ
ブの軸方向両側に、変速用の遊転ギアが該遊転軸に対し
相対回転自在に嵌合して配設され、両側の遊転ギアには
互いに速度の異なる回転が伝達されるようにしている。
前記ハブの外周には雄スプラインが形成され、該雄スプ
ラインには、雌スプラインが設けられたクラッチスライ
ダが軸方向摺動自在にスプライン嵌合している。各遊転
ギアには、ハブ側に面する側面にボス部が設けられてお
り、該ボス部の外周に雄スプラインが形成される。クラ
ッチスライダにはフォークが連結され、フォークはフォ
ークシャフトに固定される。オペレータがシフトレバー
を操作して該フォークを軸方向に移動させるとクラッチ
スライダが軸方向に摺動して、クラッチスライダの雌ス
プラインを、ハブの雄スプラインといずれか一方の遊転
ギアの雄スプラインとに同時に嵌合させて遊転ギアと回
転軸とを連結し、変速された回転を回転軸に得るように
構成されている。フォークシャフト、又は該フォークシ
ャフトに連動連結する部分には、クラッチスライダの位
置保持のためのデテント機構が設けられるのが通例であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の変速
機構においては、遊転ギアの雄スプラインとスプライン
嵌合していたクラッチスライダが、時として該遊転ギア
から自然に抜けてしまう現象(いわゆるギア抜け)が生
じることがある。このようなギア抜けは、オペレータの
意思の如何にかかわらずトランスミッションの変速比が
偶発的に変更されることを意味するので、これを未然に
回避するための技術が従来から要請されていた。
【0004】この技術の一つに、前記デテント機構のバ
ネを強くして保持力を増大させ、クラッチスライダが遊
転ギアから抜けようとするのに対し前記デテント機構の
保持力にて対抗させることが考えられる。この方法はギ
ア抜けの阻止という観点からは有効と考えられるが、変
速操作の際デテント機構を乗り越えさせるために必要な
操作力をも増大してしまい、シフトレバーの操作が重く
なるという欠点を免れ得ないものであった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するた
めの手段を説明する。
【0006】即ち、請求項1においては、回転軸に固定
され外周に雄スプラインが形成されたハブと、内周に形
成された雌スプラインが前記ハブの雄スプラインに対し
て軸方向に摺動自在にスプライン嵌合するクラッチスラ
イダと、前記回転軸に回転自在に嵌合して前記ハブに隣
設され、かつ前記クラッチスライダの雌スプラインとス
プライン嵌合する雄スプラインが設けられた遊転ギア
と、からなり、前記クラッチスライダを軸方向に移動さ
せて前記ハブの雄スプラインと前記遊転ギアの雄スプラ
インとに同時にスプライン嵌合させて、前記遊転ギアと
前記回転軸とを連結するように構成した、コンスタント
メッシュギア式のトランスミッションにおいて、前記ハ
ブの雄スプラインと前記遊転ギアの雄スプラインにテー
パ部を形成して、これらテーパ部の各々に前記クラッチ
スライダの雌スプラインの端部を当接させて該クラッチ
スライダの抜けを防止するように構成したものである。
【0007】請求項2においては、回転軸上に第一ハブ
及び第二ハブを固定し、該第一ハブ及び第二ハブはいず
れもその外周に雄スプラインを形成し、前記第一ハブに
対応して第一クラッチスライダを設け、前記第二ハブに
対応して第二クラッチスライダを設け、該二つのクラッ
チスライダはいずれも、対応するハブの雄スプラインに
軸方向摺動自在にスプライン嵌合するように構成し、前
記第一ハブの軸方向一側に一速用の遊転ギアを隣設し、
他側に三速用の遊転ギアを隣設し、該二つの遊転ギアは
いずれも、前記回転軸に回転自在に嵌合されるととも
に、前記第一クラッチスライダの雌スプラインに係合し
得る雄スプラインを設け、前記第二ハブの軸方向一側に
二速用の遊転ギアを隣設し、他側に四速用の遊転ギアを
隣設し、該二つの遊転ギアはいずれも、前記回転軸に回
転自在に嵌合されるとともに、前記第二クラッチスライ
ダの雌スプラインに係合し得る雄スプラインを設け、前
記第一クラッチスライダと第二クラッチスライダを同時
に軸方向に摺動させることにより、a)第一クラッチス
ライダは一速用の遊転ギアを回転軸に連結し、第二クラ
ッチスライダは二速用の遊転ギア・四速用の遊転ギアの
いずれをも回転軸に連結しない、「一速」状態、b)第
一クラッチスライダは一速用の遊転ギア・三速用の遊転
ギアのいずれをも回転軸に連結せず、第二クラッチスラ
イダは二速用の遊転ギアを回転軸に連結する、「二速」
状態、c)第一クラッチスライダは三速用の遊転ギアを
回転軸に連結し、第二クラッチスライダは二速用の遊転
ギア・四速用の遊転ギアのいずれをも回転軸に連結しな
い、「三速」状態、d)第一クラッチスライダは一速用
の遊転ギア・三速用の遊転ギアのいずれをも回転軸に連
結せず、第二クラッチスライダは四速用の遊転ギアを回
転軸に連結する、「四速」状態、が順に現出されるよう
に構成して四速度段を得る、コンスタントメッシュギア
式のトランスミッションにおいて、前記第一ハブの雄ス
プライン、前記第二ハブの雄スプライン、前記二速用の
遊転ギアの雄スプライン、前記三速用の遊転ギアの雄ス
プライン、のそれぞれにテーパ部を形成して、これらテ
ーパ部に前記二つのクラッチスライダの雌スプラインの
端部を当接させて該クラッチスライダの抜けを防止する
ように構成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明す
る。図1はトランスミッションの側面断面展開図、図2
は同じく正面断面図、図3は速度段切換のための操作系
の構成を示した側面断面図である。
【0009】図1にトラクタに係るトランスミッション
の側面断面展開図が図示され、このトランスミッション
を介して、トラクタ前部に配置された図示せぬエンジン
の動力を、トラクタ後部に配置されるリアPTO軸や駆
動車軸(図略)に伝達させるように構成している。図1
において矢視Fで示される方向がトラクタ前方側であ
る。
【0010】図1に示すように、トランスミッションは
前後割りの筒状のハウジング1・2を有しており、鉛直
平面状の接合面にて両ハウジング1・2を接合して、内
部の空間に本トランスミッションを構成する軸や歯車列
を配置している。前側ハウジング1の中途部には支壁部
1aを形成するとともに、該前側ハウジング1の後端面
には軸受壁3を取り付け、この間に後述する第一走行変
速軸8や第二走行変速軸9や前部走行出力軸10を回転
自在に軸受支持している。
【0011】図1に示す前部PTO伝動軸13はその前
端を前記エンジンのフライホイールに連結されており、
該前部PTO伝動軸13の後端がハウジング1の支壁部
1a近傍まで延出されている。前部PTO伝動軸13に
同心させて後部PTO伝動軸14が配置され、その前端
が前記前部PTO伝動軸の後端にカップリング95を介
して相対回転不能に連結される。後部PTO伝動軸14
は後方に延出され、図示せぬPTO伝動系を介して前述
のリアPTO軸に連動連結される。前記前部PTO伝動
軸13には走行入力軸7が相対回転自在に外嵌されてお
り、該走行入力軸7は、図示せぬメインクラッチを介
し、前記エンジンのフライホイールに連結されている。
該走行入力軸7の動力は、本トランスミッションにより
変速された上でプロペラ軸11に伝達され、図示せぬデ
フ機構を介して前記駆動車軸を駆動させるよう構成して
いる。
【0012】走行入力軸7の後部7aは前記支壁部1a
に突入させ、ベアリングを介して前記支壁部1aに支持
される。該突入部分の外周面には入力ギア22や後述す
るクラッチギア22aが形設されるとともに、その軸端
面には支持孔を開孔している。該走行入力軸7の後方に
第二走行変速軸9が軸線を一致させて配設され、前記支
持孔の内周面に第二走行変速軸9の前端部外周面がニー
ドルベアリングを介して相対回転自在に支持される。
【0013】図1に示すように第一走行変速軸8が第二
走行変速軸9(後部PTO伝動軸14)に対し平行に配
設され、該第一走行変速軸8の前端部にはギア23を固
定し、該ギア23は前記走行入力軸7の入力ギア22に
常時噛合させている。第一走行変速軸8の後半部上には
第一駆動ギア24と第二駆動ギア25をそれぞれ遊嵌設
置するとともに、第一駆動ギア24又は第二駆動ギア2
5のいずれかを第一走行変速軸8に係合させるための、
シンクロナイザ付きの第一クラッチ装置41を設置して
ある。この第一クラッチ装置41は、その第一変速スリ
ーブ(シンクロナイザスリーブ)42を第一変速フォー
ク42aの前後動に伴って前後摺動させて、第一駆動ギ
ア24を第一走行変速軸8に係合させる「前進」位置、
第二駆動ギア25を第一走行変速軸8に係合させる「後
進」位置、また、いずれも係合させない「中立」位置の
いずれかに切換可能に構成している。図2に示すよう
に、前側ハウジング1の支壁部1aと軸受壁3との間に
は第一変速フォーク軸58が前後方向に架設されて軸方
向摺動自在とされており、図示は省略するが、前記第一
変速フォーク42aのボス部はこの第一変速フォーク軸
58に固定されている。第一変速フォーク軸58は適宜
のリンク機構を介して図略の変速レバーに連係されてお
り、該変速レバーを操作することにより第一変速フォー
ク軸58が前後摺動し、第一変速フォーク42aが前後
移動して上述の切換が行われる。図2の符号80は、第
一変速フォーク軸58の操作位置を保持するためのデテ
ント機構である。
【0014】前記第二走行変速軸9の前部上には一速用
駆動ギア26が固定され、該一速用駆動ギア26の前側
に隣接させてクラッチハブ20が第二走行変速軸9上に
固定される。該クラッチハブ20の前方位置にある走行
入力軸7においては、その後端面にボス部を形成してク
ラッチハブ20の前側側面まで延出させ、該ボス部の外
周面にクラッチギア22aが形設されている。その上
で、前記クラッチハブ20上に第二変速スリーブ44を
配設して、第二クラッチ装置43を構成している。この
第二クラッチ装置43は、第二変速スリーブ44がクラ
ッチハブ20のみに噛合してクラッチギア22aに噛合
せず、走行入力軸7と第二走行変速軸9とを分離した
「分離」位置と、第二変速スリーブ44がクラッチハブ
20とクラッチギア22aの双方に噛合して、走行入力
軸7と第二走行変速軸9とを直接的に連結した「係合」
位置と、に切換自在に構成している。
【0015】第二変速スリーブ44の外周面には環状溝
が形成され、該環状溝に第二変速フォーク44aが係合
される。前側ハウジング1の支壁部1aと軸受壁3との
間には第二変速フォーク軸59が前記第一変速フォーク
軸58と平行に架設されて軸方向摺動自在とされ、図示
は省略するが、前記第二変速フォーク44aのボス部は
この第二変速フォーク軸59に固定されている。第二変
速フォーク軸59は適宜のリンク機構を介して図略の前
記変速レバーに連係されており、該変速レバーを操作す
ることにより第二変速フォーク軸59が前後摺動し、第
二変速フォーク44aが前後移動して上述の切換が行わ
れる。図2の符号81は、第二変速フォーク軸59の操
作位置を保持するためのデテント機構である。
【0016】この構成において第二クラッチ装置43を
「分離」位置とした場合、走行入力軸7の動力は第二走
行変速軸9へ直接的には伝達されない。該走行入力軸7
の動力は、減速ギア列22・23を介して第一走行変速
軸8に一旦伝達された上で、前記第一クラッチ装置41
により該第一走行変速軸8を二つの駆動ギア24・25
のうちいずれかにクラッチ係合させた場合に、該第一走
行変速軸8の動力が二速用駆動ギア28・四速用駆動ギ
ア29のいずれかを経由して第二走行変速軸9に伝達さ
れる。一方、第二クラッチ装置43を「係合」位置とし
た場合、走行入力軸7と第二走行変速軸9とが直結さ
れ、該走行入力軸7の動力は第二走行変速軸9に直接的
に伝達される。
【0017】ここで、前記第二クラッチ装置43を「係
合」位置にできるのは、前記の第一クラッチ装置41が
「中立」位置にある場合のみとなるように、適宜の牽制
機構にて規制してある。これにより、第二クラッチ装置
43が「係合」位置にあって第二走行変速軸9が走行入
力軸7により直接的に駆動される場合には、第一走行変
速軸8からの動力が走行入力軸7に伝達されないことが
確保され、二重動力伝達状態となることがない。また、
第一クラッチ装置41を「前進」位置、又は「後進」位
置にできるのは、第二クラッチ装置43が「中立」位置
にある場合のみとなるように、適宜の牽制機構にて規制
してある。これにより、第一クラッチ装置が「前進」位
置又は「後進」位置にあって第一走行変速軸8の動力が
第二走行変速軸9へ伝達されているときは、走行入力軸
7と第二走行変速軸9とが直接的に連結されないことが
確保され、二重動力伝達状態は回避される。
【0018】次に、四速度段の切換のための構成を説明
する。図4は「一速」状態におけるクラッチスライダの
状態を示した断面拡大図、図5は「二速」状態における
クラッチスライダの状態を示した断面拡大図、図6は
「三速」状態におけるクラッチスライダの状態を示した
断面拡大図、図7は「四速」状態におけるクラッチスラ
イダの状態を示した断面拡大図である。
【0019】第二走行変速軸9上には前方から後方にか
けて順に、一速用駆動ギア26、三速用駆動ギア27、
二速用駆動ギア28及び四速用駆動ギア29を固定して
いる。第二走行変速軸9に平行させて前部走行出力軸1
0を回転自在に支持し、前記四つの駆動ギア26・27
・28・29に対応させて、該前部走行出力軸10上に
は前方から後方にかけて順に、一速用遊転ギア31、三
速用遊転ギア32、二速用遊転ギア33及び四速用遊転
ギア34を遊嵌させている。一速用遊転ギア31は一速
用駆動ギア26に、三速用遊転ギア32は三速用駆動ギ
ア27に、二速用遊転ギア33は二速用駆動ギア28
に、四速用遊転ギア34は四速用駆動ギア29に、それ
ぞれ常時噛合させている。符号30は前輪駆動取出のた
めの出力ギアである。一速用遊転ギア31と三速用遊転
ギア32とに前後を挟まれた位置には第一ハブたるスプ
ラインハブ35を設け、二速用遊転ギア33と四速用遊
転ギア34とに前後を挟まれた位置には第二ハブたるス
プラインハブ36を設けている。それぞれのスプライン
ハブ35・36は、前側及び後側に配置される遊転ギア
の双方に隣接させて配置される。
【0020】前記四速用駆動ギア29は、走行出力軸1
0上の四速用遊転ギア34に前述のとおり噛合すると同
時に、第一走行変速軸8上の第一駆動ギア24にも噛み
合っており、両ギア24・29にて正転減速歯車列を形
成している。従って、第一クラッチ装置41が「前進」
位置にあって第一駆動ギア24を第一走行変速軸8に係
合する場合には、走行入力軸7からギア22・23を介
して第一走行変速軸8に伝達された回転が、第一駆動ギ
ア24から四速用駆動ギア29を介して第二走行変速軸
9に伝達され、第二走行変速軸9は機体前進方向に回転
される。前記正転減速歯車列24・29の作用により、
該第二走行変速軸9の回転速度は、第二クラッチ装置4
3を「係合」位置において走行入力軸7と第二走行変速
軸9を直結させた場合の該第二走行変速軸9の回転速度
より低くなる。三速用遊転ギア32にはアイドルギア3
7が連設されてあり、該アイドルギア37は第一走行変
速軸8上の第二駆動ギア25に常時噛合して、逆転歯車
列を構成している。第一クラッチ装置41が第二駆動ギ
ア25を第一走行変速軸8に係合する場合には、第一走
行変速軸8からの動力は、第二駆動ギア25→アイドル
ギア37→三速用遊転ギア32→三速用駆動ギア27と
経由して回転方向が反転され、その上で第二走行変速軸
9に伝達される。従ってこの場合は、走行入力軸7から
入力された動力が、第二走行変速軸9を機体後進方向に
回転させることになる。
【0021】図1の要部拡大図である図4に示すよう
に、走行出力軸10上に固定される前記スプラインハブ
35の外周面には雄スプライン111が形成される。ま
た、走行出力軸10上に遊嵌される一速用遊転ギア31
及び三速用遊転ギア32においては、それぞれスプライ
ンハブ35側を向く側面にボス部が形成され、スプライ
ンハブ35に向けて延設される該ボス部の外周面に、そ
れぞれ雄スプライン113・114が刻設されている。
スプラインハブ35上には第一クラッチスライダたる前
部第三変速スリーブ47が設置され、該前部第三変速ス
リーブ47の内周面には雌スプライン112が形成さ
れ、該雌スプライン112は、該スプラインハブ35の
雄スプライン111に対して相対回転不能かつ軸方向摺
動自在に嵌合するとともに、前記遊転ギアの雄スプライ
ン113・114に対し係脱自在とされている。前部第
三変速スリーブ47の外周には環状溝が形成され、該環
状溝に前部第三変速フォーク47aが係止されている。
【0022】同様に、走行出力軸10上に固定される前
記スプラインハブ36の外周面には雄スプライン115
が形成される。また、走行出力軸10上に遊嵌される二
速用遊転ギア33及び四速用遊転ギア34においては、
それぞれスプラインハブ36側を向く側面にボス部が形
成され、スプラインハブ36に向けて延設される該ボス
部の外周面に、それぞれ雄スプライン113・114が
刻設されている。スプラインハブ36上には第二クラッ
チスライダたる後部第三変速スリーブ48が設置され
る。該後部第三変速スリーブ48の内周面には雌スプラ
イン116が形成され、該雌スプライン116は、該ス
プラインハブ36の雄スプライン115に対して相対回
転不能かつ軸方向摺動自在に嵌合するとともに、前記遊
転ギアの雄スプライン117・118に対し係脱自在と
されている。後部第三変速スリーブ48の外周には環状
溝が形成され、該環状溝に前部第三変速フォーク48a
が係止されている。
【0023】前部第三変速フォーク47aのボス部、及
び、後部第三変速フォーク48aのボス部には、図3に
示すように、共通の第三変速フォーク軸60が挿通され
固定されている。該第三変速フォーク軸60の上方には
支軸53が配置され、該支軸53にはアーム54のボス
部が固設されて、該アーム54の先端が前記第三変速フ
ォーク軸60に係止されている。前記支軸53にはシフ
トレバー52の基端が固設されて、その先端を運転部に
突出させている。該シフトレバー52は図3に示すよう
に「一速」、「二速」、「三速」、「四速」の計四つの
操作位置を有しており、この構成において、シフトレバ
ー52をオペレータが手で傾動操作することにより支軸
53が回転され、回動するアーム54の先端が第三変速
フォーク軸60を軸方向に前後摺動させる。該第三変速
フォーク軸60に固定される前部第三変速フォーク47
aと後部第三変速フォーク48aは一体的に軸方向に移
動し、前部第三変速スリーブ47と後部第三変速スリー
ブ48は、前後間隔を常に等しく保持しながら同時に前
後摺動する。第三変速フォーク軸60の一端を支持する
前記軸受壁3の内部にはデテント機構65・65が配設
される。第三変速フォーク軸60の端部には前記四つの
操作位置に対応して四つの溝60aが並んで形設され、
前記デテント機構65・65は該溝60aに係合して、
該第三変速フォーク軸60の操作位置を保持させるよう
にしている。
【0024】以上により、走行出力軸10上において、
前部第三変速スリーブ47の雌スプライン112、その
両側の遊転ギアの雄スプライン113・114、後部第
三変速スリーブ48の雌スプライン115、その両側の
遊転ギアの雄スプライン117・118により、第三ク
ラッチ装置45・46が構成される。そして前述のシフ
トレバー52の変速操作により、前部・後部の両第三変
速スリーブ47・48が同時に摺動して、以下の如き
の、「一速」状態、「二速」状態、「三速」状態、及び
「四速」状態の四つの状態に切り換えられる。
【0025】図4に示される「一速」状態では、前部第
三変速スリーブ47の雌スプライン112は、スプライ
ンハブ35の雄スプライン111と一速用遊転ギア31
の雄スプライン113の双方に噛合し、後部第三変速ス
リーブ48の雌スプライン116は二速用遊転ギア33
の雄スプライン117にのみ噛合した状態となる。これ
により、四つの遊転ギアのうち一速用遊転ギア31のみ
が走行出力軸10に係合され、第二走行変速軸9の回転
は一速用ギア列26・31を介して走行出力軸10に伝
動される。図5に示される「二速」状態では、前部第三
変速スリーブ47の雌スプライン112は、スプライン
ハブ35の雄スプライン111にのみ噛合し、後部第三
変速スリーブ48の雌スプライン116は二速用遊転ギ
ア33の雄スプライン117とスプラインハブ36の雄
スプライン115の双方に噛合した状態となる。これに
より、四つの遊転ギアのうち二速用遊転ギア33のみが
走行出力軸10に係合され、第二走行変速軸9の回転は
二速用ギア列28・33を介して走行出力軸10に伝動
される。図6に示される「三速」状態では、前部第三変
速スリーブ47の雌スプライン112は、スプラインハ
ブ35の雄スプライン111と三速用遊転ギア32の雄
スプライン114の双方に噛合し、後部第三変速スリー
ブ48の雌スプライン116はスプラインハブ36の雄
スプライン115にのみ噛合した状態となる。これによ
り、四つの遊転ギアのうち一速用遊転ギア31のみが走
行出力軸10に係合され、第二走行変速軸9の回転は三
速用ギア列27・32を介して走行出力軸10に伝動さ
れる。図7に示される「四速」状態では、前部第三変速
スリーブ47が三速用遊転ギア32の雄スプライン11
4のみに噛合し、後部第三変速スリーブ48は、スプラ
インハブ36の雄スプライン115と四速用遊転ギア3
4の雄スプライン118の双方に噛合した状態となる。
これにより、四つの遊転ギアのうち四速用遊転ギア34
のみが走行出力軸10に係合され、第二走行変速軸9の
回転は四速用ギア列29・34を介して走行出力軸10
に伝動される。
【0026】図1に示すように、前記走行出力軸10の
後方には前記プロペラ軸11が同心して配置され、両軸
10・11はカップリング96を介して相対回転不能に
連結される。従って、変速して走行出力軸10に得られ
た回転は、前記プロペラ軸11を介して後方の駆動車軸
に伝達され、車両を駆動する。
【0027】ここで、本発明のギア抜け防止機構につい
て詳細に説明する。図8はギア抜け防止機構の構成を説
明した図である。
【0028】図8には、前記トランスミッションが「二
速」状態にあるときの前記第三クラッチ装置後部側46
の様子が示される。後部第三変速スリーブ48の雌スプ
ライン116は、その軸方向一側(前側)の略半部にお
いて二速用遊転ギア33の雄スプライン117に噛合
し、他側(後側)の略半部においてスプラインハブ36
の雄スプライン115に噛合している。ここで第二走行
変速軸9からの動力が伝達されるのは二速用遊転ギア3
3であり、該二速用遊転ギア33の雄スプライン117
がクラッチスライダの雌スプライン116を押動し、該
雌スプライン116がスプラインハブ36の雄スプライ
ン115を押動することで、該二速用遊転ギア33の動
力がスプラインハブ36を介し走行出力軸10に伝達さ
れる。
【0029】以上のように、後部第三変速スリーブ48
の雌スプライン116は、軸方向一側の略半分の領域に
おいて雄スプライン117に噛合し、残りの略半分の領
域において雄スプライン115に対して噛合している。
このように雌スプライン116の各雄スプライン117
・115に対する噛合領域が軸方向にズレており、雄ス
プライン117の回転力をいわば斜めの方向に伝達させ
て雄スプライン115に伝達させるような構成であるた
め、後部第三変速スリーブ48が軸方向に逃げ易く、前
記ギア抜けを生じる原因となると考えられる。
【0030】本発明では、このようなギア抜けを回避す
べく、雄スプライン115・117の一つ一つの歯部に
テーパ部115a・117aが形成されて、該歯部が軸
方向端部に向かうに従って細くなるようにしてある。こ
のようにすることで、前記第三クラッチ装置45・46
が「二速」状態にあるときは、後部第三変速スリーブ4
8の雌スプライン116の歯部は、その軸方向の一端に
おいて雄スプライン115のテーパ部115aに接触
し、かつ、軸方向他端において雄スプライン117のテ
ーパ部117aに接触した状態となる。ここで、二速用
遊転ギア33の駆動力が伝達される前記雄スプライン1
17は雌スプライン116を押動し、駆動車軸からの負
荷が伝達される雄スプライン115は雌スプライン11
6の押動に抗しようとする。結局は、雄スプライン11
5・117の両テーパ部115a・117aが雌スプラ
イン116歯部の対角線を互いに押さえ込むようにしな
がら、三者が一体的に回転する。この押さえ込みの作用
が後部第三変速スリーブ48の軸方向の移動に抗し、こ
れによりギア抜けが回避されるのである。言い換えれ
ば、前記「二速」状態にある後部第三変速スリーブ48
が前記スプラインハブ36との係合を解除する方向(図
8における紙面左方向)にギア抜けするには、該後部第
三変速スリーブ48の雌スプライン116が前記テーパ
部117aを乗り越えなければならない。逆に、後部第
三変速スリーブ48が前記二速用遊転ギア33の雄スプ
ライン117との係合を解除する方向(図8における紙
面右方向)にギア抜けするには、該後部第三変速スリー
ブ48の雌スプライン116が前記テーパ部115aを
乗り越えなければならない。このテーパ部117a・1
15aを乗り越えるためには相当の力が必要とされるの
で、後部第三変速スリーブ48は容易にはギア抜けしな
いことになる。
【0031】一方、前記シフトレバー52の切り換え
は、通例は動力上流側でクラッチが切られた状態で行わ
れるので、前記テーパ部115a・117aを乗り越え
させながらの後部第三変速スリーブ48の軸方向摺動操
作は、弱い力でも十分スムーズに行うことができる。従
って、シフトレバーの切換操作に必要な操作力は従来の
構成のそれに比べて殆ど変わらないものとすることがで
き、この点で本発明のギア抜け防止機構は、前述のデテ
ント機構65のバネ力を強くしてギア抜けに抗する方法
よりも優れている。
【0032】前記雄スプライン117に形成されるテー
パ部117aは、スプラインハブ36の前側の側面に近
づくにつれて細くなるように形成される。また、前記雄
スプライン115に形成されるテーパ部115aは、ス
プラインハブ36の前側の側面に近づくにつれて細くな
るように、また、スプラインハブ36の後側の側面に近
づくにつれて細くなるように形成される。スプラインハ
ブ36の雄スプライン115の後側にもテーパ部115
aを形成したことにより、後部第三変速スリーブ48が
図7に示す「四速」状態にある場合に、四速用遊転ギア
34の雄スプライン118から後部第三変速スリーブ4
8が容易にギア抜けしないことになる。なお、この「四
速」状態のときは、後部第三変速スリーブ48が雄スプ
ライン115から抜ける方向にギア抜けしようとして
も、二速用遊転ギア34の側面に後部第三変速スリーブ
48が当接してそれ以上移動できないので、かかる方向
にギア抜けすることはあり得ない。従って、前記雄スプ
ライン118にはテーパ部は不要であり、本実施例では
形成していない。
【0033】なお、図示は省略するが、第三クラッチ装
置の前部45においても雄スプライン111や雄スプラ
イン113にテーパ部がまったく同様に形成されて、第
三クラッチ装置45が「一速」状態又は「三速」状態に
あるときに前部第三変速スリーブ47がギア抜けするの
を防止している。
【0034】次に、強制潤滑油供給構造を主に図2や図
9を参照して説明する。図9は強制潤滑油供給構造を示
す平面断面図である。
【0035】図2や図9に示すように、ハウジング2の
内底部には筒状のサクションフィルタ101が配置さ
れ、ハウジング2の両側壁間に支持され固定される。該
サクションフィルタ101の一端を支持する側壁には油
路102が形成され、該油路102はサクションフィル
タ101内部の空間と連通されている。このサクション
フィルタ101を通過した潤滑油は前記油路102を介
してハウジング2外部に取り出され、適宜の外部配管を
介して油圧ユニット104に供給される。該油圧ユニッ
ト104は、例えばパワーステアリングユニットや作業
機昇降ユニットとされ、前記潤滑油を吸い上げる油圧ポ
ンプを含む。
【0036】一方、ハウジング1の内壁は、ハウジング
2に対する接合部分近傍において複数の部位を内方に膨
出させて、肉厚部1bを複数形成している。うち一つの
肉厚部1bには「L」字状の導入油路105が穿設さ
れ、その一端はハウジング1外側の側面に開口され、他
端は後端面に開口されている。軸受壁3は前記肉厚部1
b・1b・・・の後端面にボルト締結され取り付けられ
るとともに、その後面に凹部を形成し、該凹部を蓋板6
9にて覆って油溜め3aを形成している。また、前記導
入油路105のハウジング1後端面の開口に位置を合わ
せて軸受壁3には油孔106が穿設され、該油孔106
は前記油溜め3aに連通されている。符号70は油溜め
3aの内の潤滑油圧を設定するためのリリーフバルブで
ある。
【0037】この構成において、該油圧ユニット104
からの戻り油は適宜の外部配管から前記導入油路105
を経由し、油孔106から前記油溜め3aに導入され
る。油溜め3aは、油面より上方にある第一走行変速軸
8や後部PTO伝動軸14の軸受部分、スプライン嵌合
部、第一クラッチ装置41のシンクロナイザ等にも潤滑
油を供給するよう構成してあり、油溜め3a内の油は必
要な部分に適宜分配されて、必要な部分を潤滑する。
【0038】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
以下に示すような効果を奏する。
【0039】即ち、請求項1に示す如く、回転軸に固定
され外周に雄スプラインが形成されたハブと、内周に形
成された雌スプラインが前記ハブの雄スプラインに対し
て軸方向に摺動自在にスプライン嵌合するクラッチスラ
イダと、前記回転軸に回転自在に嵌合して前記ハブに隣
設され、かつ前記クラッチスライダの雌スプラインとス
プライン嵌合する雄スプラインが設けられた遊転ギア
と、からなり、前記クラッチスライダを軸方向に移動さ
せて前記ハブの雄スプラインと前記遊転ギアの雄スプラ
インとに同時にスプライン嵌合させて、前記遊転ギアと
前記回転軸とを連結するように構成した、コンスタント
メッシュギア式のトランスミッションにおいて、前記ハ
ブの雄スプラインと、少なくとも一方の前記遊転ギアの
雄スプラインにテーパ部を形成して、これらテーパ部の
各々に前記クラッチスライダの雌スプラインの端部を当
接させて該クラッチスライダの抜けを防止するように構
成したので、雄スプラインのテーパ部がクラッチスライ
ダの雌スプラインの端部に当接してクラッチスライダの
軸方向移動に抗するので、ギア抜けが回避され、オペレ
ータは安定感・信頼感をもって車両を操作することがで
きる。また、シフト操作のときは動力伝達がなされない
状態で行われるので、テーパ部を乗り越えてクラッチス
ライダを軸方向摺動させるのに必要な力は従来と殆ど変
わらない。従って、オペレータがシフト操作を重く感じ
ることがない。
【0040】請求項2においては、回転軸上に第一ハブ
及び第二ハブを固定し、該第一ハブ及び第二ハブはいず
れもその外周に雄スプラインを形成し、前記第一ハブに
対応して第一クラッチスライダを設け、前記第二ハブに
対応して第二クラッチスライダを設け、該二つのクラッ
チスライダはいずれも、対応するハブの雄スプラインに
軸方向摺動自在にスプライン嵌合するように構成し、前
記第一ハブの軸方向一側に一速用の遊転ギアを隣設し、
他側に三速用の遊転ギアを隣設し、該二つの遊転ギアは
いずれも前記第一クラッチスライダの雌スプラインに係
合し得る雄スプラインを設け、前記第二ハブの軸方向一
側に二速用の遊転ギアを隣設し、他側に四速用の遊転ギ
アを隣設し、該二つの遊転ギアはいずれも前記第二クラ
ッチスライダの雌スプラインに係合し得る雄スプライン
を設け、前記第一クラッチスライダと第二クラッチスラ
イダを同時に軸方向に摺動させることにより、a)第一
クラッチスライダは一速用の遊転ギアを回転軸に連結
し、第二クラッチスライダは二速用の遊転ギア・四速用
の遊転ギアのいずれをも回転軸に連結しない、「一速」
状態、b)第一クラッチスライダは一速用の遊転ギア・
三速用の遊転ギアのいずれをも回転軸に連結せず、第二
クラッチスライダは二速用の遊転ギアを回転軸に連結す
る、「二速」状態、c)第一クラッチスライダは三速用
の遊転ギアを回転軸に連結し、第二クラッチスライダは
二速用の遊転ギア・四速用の遊転ギアのいずれをも回転
軸に連結しない、「三速」状態、d)第一クラッチスラ
イダは一速用の遊転ギア・三速用の遊転ギアのいずれを
も回転軸に連結せず、第二クラッチスライダは四速用の
遊転ギアを回転軸に連結する、「四速」状態、が順に現
出されるように構成して四速度段を得る、コンスタント
メッシュギア式のトランスミッションにおいて、前記第
一ハブの雄スプライン、前記第二ハブの雄スプライン、
前記二速用の遊転ギアの雄スプライン、前記三速用の遊
転ギアの雄スプライン、のそれぞれにテーパ部を形成し
て、これらテーパ部に前記二つのクラッチスライダの雌
スプラインの端部を当接させて該クラッチスライダの抜
けを防止するように構成したので、雄スプラインのテー
パ部がクラッチスライダの雌スプラインの端部に当接し
てクラッチスライダの軸方向移動に抗するので、ギア抜
けが回避され、オペレータは安定感・信頼感をもって車
両を操作することができる。また、シフト操作のときは
動力伝達がなされない状態で行われるので、テーパ部を
乗り越えてクラッチスライダを軸方向摺動させるのに必
要な力は従来と殆ど変わらない。従って、オペレータが
シフト操作を重く感じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】トランスミッションの側面断面展開図。
【図2】同じく正面断面図。
【図3】速度段切換のための操作系の構成を示した側面
断面図。
【図4】「一速」状態におけるクラッチスライダの状態
を示した断面拡大図。
【図5】「二速」状態におけるクラッチスライダの状態
を示した断面拡大図。
【図6】「三速」状態におけるクラッチスライダの状態
を示した断面拡大図。
【図7】「四速」状態におけるクラッチスライダの状態
を示した断面拡大図。
【図8】ギア抜け防止機構の構成を説明した図。
【図9】強制潤滑油供給構造を示した平面断面図。
【符号の説明】
10 回転軸(走行出力軸) 31・32・33・34 一速〜四速の遊転ギア 35・36 第一ハブ・第二ハブ(スプラインハブ) 115 雄スプライン 116 雌スプライン 117 雄スプライン 115a・117a テーパ部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に固定され外周に雄スプラインが
    形成されたハブと、 内周に形成された雌スプラインが前記ハブの雄スプライ
    ンに対して軸方向に摺動自在にスプライン嵌合するクラ
    ッチスライダと、 前記回転軸に回転自在に嵌合して前記ハブに隣設され、
    かつ前記クラッチスライダの雌スプラインとスプライン
    嵌合する雄スプラインが設けられた遊転ギアと、からな
    り、 前記クラッチスライダを軸方向に移動させて前記ハブの
    雄スプラインと前記遊転ギアの雄スプラインとに同時に
    スプライン嵌合させて、前記遊転ギアと前記回転軸とを
    連結するように構成した、コンスタントメッシュギア式
    のトランスミッションにおいて、 前記ハブの雄スプラインと前記遊転ギアの雄スプライン
    にテーパ部を形成して、これらテーパ部の各々に前記ク
    ラッチスライダの雌スプラインの端部を当接させて該ク
    ラッチスライダの抜けを防止するように構成したことを
    特徴とする、トランスミッションのギア抜け防止機構。
  2. 【請求項2】 回転軸上に第一ハブ及び第二ハブを固定
    し、該第一ハブ及び第二ハブはいずれもその外周に雄ス
    プラインを形成し、 前記第一ハブに対応して第一クラッチスライダを設け、
    前記第二ハブに対応して第二クラッチスライダを設け、
    該二つのクラッチスライダはいずれも、対応するハブの
    雄スプラインに軸方向摺動自在にスプライン嵌合するよ
    うに構成し、 前記第一ハブの軸方向一側に一速用の遊転ギアを隣設
    し、他側に三速用の遊転ギアを隣設し、該二つの遊転ギ
    アはいずれも、前記回転軸に回転自在に嵌合されるとと
    もに、前記第一クラッチスライダの雌スプラインに係合
    し得る雄スプラインを設け、 前記第二ハブの軸方向一側に二速用の遊転ギアを隣設
    し、他側に四速用の遊転ギアを隣設し、該二つの遊転ギ
    アはいずれも、前記回転軸に回転自在に嵌合されるとと
    もに、前記第二クラッチスライダの雌スプラインに係合
    し得る雄スプラインを設け、 前記第一クラッチスライダと第二クラッチスライダを同
    時に軸方向に摺動させることにより、 a)第一クラッチスライダは一速用の遊転ギアを回転軸
    に連結し、第二クラッチスライダは二速用の遊転ギア・
    四速用の遊転ギアのいずれをも回転軸に連結しない、
    「一速」状態、 b)第一クラッチスライダは一速用の遊転ギア・三速用
    の遊転ギアのいずれをも回転軸に連結せず、第二クラッ
    チスライダは二速用の遊転ギアを回転軸に連結する、
    「二速」状態、 c)第一クラッチスライダは三速用の遊転ギアを回転軸
    に連結し、第二クラッチスライダは二速用の遊転ギア・
    四速用の遊転ギアのいずれをも回転軸に連結しない、
    「三速」状態、 d)第一クラッチスライダは一速用の遊転ギア・三速用
    の遊転ギアのいずれをも回転軸に連結せず、第二クラッ
    チスライダは四速用の遊転ギアを回転軸に連結する、
    「四速」状態、 が順に現出されるように構成して四速度段を得る、コン
    スタントメッシュギア式のトランスミッションにおい
    て、 前記第一ハブの雄スプライン、前記第二ハブの雄スプラ
    イン、前記二速用の遊転ギアの雄スプライン、前記三速
    用の遊転ギアの雄スプライン、のそれぞれにテーパ部を
    形成して、これらテーパ部に前記二つのクラッチスライ
    ダの雌スプラインの端部を当接させて該クラッチスライ
    ダの抜けを防止するように構成したことを特徴とする、
    トランスミッションのギア抜け防止機構。
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