JP2002226884A - 金属の塑性加工用水性潤滑剤 - Google Patents

金属の塑性加工用水性潤滑剤

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JP2002226884A
JP2002226884A JP2001030467A JP2001030467A JP2002226884A JP 2002226884 A JP2002226884 A JP 2002226884A JP 2001030467 A JP2001030467 A JP 2001030467A JP 2001030467 A JP2001030467 A JP 2001030467A JP 2002226884 A JP2002226884 A JP 2002226884A
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Shichiro Kondo
七郎 近藤
Nobutaka Higa
伸孝 比嘉
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YUUKOU SHOJI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布するだけでよく、加工後の洗浄と廃棄物
処理が不要で、従来の化成処理と替わりない優れた潤滑
特性を有する金属の塑性加工用水性潤滑剤。 【解決手段】 アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩
から選ばれる少なくとも一種の潤滑性皮膜形成能を有す
る無機化合物10〜50重量%(固形分中。以下同
じ)、2−チオベンゾチアゾール化合物5〜40重量
%、金属セッケン3〜25重量%、塩素化パラフィン又
はリン酸エステル5〜50重量%及び界面活性剤1〜5
0重量%を必須成分として含有してなる金属の塑性加工
用水性潤滑剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属の塑性加工用
水性潤滑剤に関し、さらに詳しくは鍛造、伸線、伸管、
引き抜き、押出し、曲げ加工、プレス、巻線加工、ヘッ
ダー加工等の金属塑性加工用として好適で、補助潤滑剤
を必要とせず、この潤滑剤のみを塗布するだけで塑性加
工が可能で、かつ加工後に洗浄しなくても金属に影響を
与えず、更に廃棄物処理の必要がない水性潤滑剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】通常、金属の塑性加工、例えば鍛造、伸
線、プレス、引き抜き、押出し、曲げ加工などを行う際
には潤滑剤が使用されるが、これらの潤滑剤は油性、溶
剤系、水性、化成被膜系のものに大別される。油性の潤
滑剤は鉱物油、植物油に黒鉛、二硫化モリブデン、ワッ
クス類を添加し、必要に応じて各種添加剤を配合したも
のである。溶剤系の潤滑剤は、二硫化モリブデン、塩化
ゴム、四フッ化エチレン、ポリエチレン等を溶剤の中に
溶解又は分散したものである。水性潤滑剤としては、黒
鉛、二硫化モリブデン、油、イオウ、塩素系化合物を乳
化剤と配合し、エマルジョンもしくはサスペンジョンと
して使用される。また、化成被膜剤は、リン酸被膜又は
シュウ酸被膜に補助潤滑剤として金属石鹸を併用して使
用されるものである。
【0003】従来、冷間鍛造の潤滑処理には化成処理が
もっとも一般的である。化成処理では、予めショトブラ
ストした加工材料を、脱脂、湯洗、酸洗、湯洗の前処理
を行った後、これにリン酸亜鉛皮膜又はシュウ酸亜鉛皮
膜を形成させ、湯洗、中和して、さらに金属セッケン皮
膜を形成させたのち乾燥する。この化成処理は、リン酸
槽、水洗槽、中和槽、金属セッケン槽、脱脂槽など全部
で6槽とその他に加熱用ボイラーなど諸設備が必要であ
り、また処理工程が長いことから設備費用とランニング
費用が嵩むうえ、多量の濃厚廃液と無機性汚泥が発生
し、その処理にも多大なコストを要する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、補助潤滑剤を必要とせず、本発明潤滑剤のみを
塗布するだけで潤滑性皮膜を形成でき、かつ加工後に洗
浄しなくても金属に影響を与えず、設備費用、ランニン
グ費用がともに低廉であり、廃棄物処理がなく、しかも
従来の化成処理と替わりない優れた潤滑特性を有する金
属の塑性加工用水性潤滑剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、皮膜形成
成分としてアルカリ金属塩等を含有する水性潤滑剤に特
定の極圧剤などを配合することにより、上記課題を効果
的に解決できることを知得し、この知見に基づいて本発
明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、必須成分として下記
(a)〜(e)を含有してなる金属の塑性加工用水性潤
滑剤である。 (a)アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ば
れる少なくとも一種の潤滑性皮膜形成能を有する無機化
合物:10〜50重量%(固形分中。以下同じ) (b)2−チオベンゾチアゾール化合物:5〜40重量
% (c)金属セッケン:3〜25重量% (d)塩素化パラフィン:5〜50重量% (e)界面活性剤:1〜50重量%
【0007】また、本発明は、必須成分として下記
(a)〜(e)を含有してなる金属の塑性加工用水性潤
滑剤である。 (a)アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ば
れる少なくとも一種の潤滑性皮膜形成能を有する無機化
合物:10〜50重量%(固形分中。以下同じ) (b)2−チオベンゾチアゾール化合物:5〜40重量
% (c)金属セッケン:3〜25重量% (d)リン酸エステル:5〜50重量% (e)界面活性剤:1〜50重量%
【0008】本発明の金属の塑性加工用水性潤滑剤(以
下、水性潤滑剤という)において、アルカリ金属塩及び
アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも一種の潤滑
性皮膜形成能を有する無機化合物は、硫酸カリウムとホ
ウ酸ナトリウムの混合物であることが好ましい。
【0009】また、2−チオベンゾチアゾール化合物
は、一般式(1)で表される2−メルカプトベンゾチア
ゾール、そのアミン塩及び金属塩から選ばれる少なくと
も一種であるか、あるいは一般式(2)で表される2−
チオベンゾチアゾール化合物の少なくとも一種であるこ
とがよい。
【化3】 (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは
0〜3の数を表す)
【化4】 (式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは
0〜3の数を表す。Xは、炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数1〜20のアルキルメルカプト基、シクロア
ルキルメルカプト基、2−チオベンゾチオゾイル基、炭
素数1〜4のアルキル基を有する二級アミノ基、シクロ
アルキル置換二級アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基
を有する三級アミノ基、シクロアルキル置換三級アミノ
基、N,N−ジアルキルチオカルバミル基、N−モルホ
リン基又はモルホリノチオ基を表す)
【0010】以下、本発明の水性潤滑剤について詳細に
説明する。本発明の水性潤滑剤には、(a)成分として
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩から選ばれる少
なくとも一種の潤滑性皮膜形成能を有する無機化合物を
配合する。アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナ
トリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが、ア
ルカリ土類金属としては、例えばマグネシウム、カルシ
ウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ま
しくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ムである。酸根としては、例えば硫酸、塩酸、炭酸、ホ
ウ酸などが挙げられ、好ましくは硫酸、炭酸又はホウ酸
である。潤滑性皮膜形成能を有する無機化合物の好まし
い具体例は、硫酸カリウム、ホウ酸ナトリウム(ホウ
砂)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げら
れ、より好ましくは硫酸カリウムとホウ酸ナトリウムの
混合物である。この無機化合物の含有量は、固形分中5
〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0011】次に、本発明の水性潤滑剤には、(b)成
分として2−チオベンゾチアゾール化合物を配合するこ
とが必要である。2−チオベンゾチアゾール化合物は、
本発明の水性潤滑剤において極圧剤(極圧膜形成剤)と
して機能し、高効率の塑性加工を可能とする。なお、潤
滑油にベンゾチアゾール化合物を配合した潤滑油組成物
は、特開昭58−61189号公報、特開昭62−54
793号公報などにより従来公知であるが、これらは鉱
油や合成油等を基油とする油性潤滑剤であるので、これ
らを塑性加工用潤滑剤として用いると、塗膜形成面がベ
トついて作業性が低下したり、従来の化成処理に較べて
潤滑性能が低いなど問題があった。本発明は、皮膜形成
能を有する水性潤滑剤に、極圧剤として2−チオベンゾ
チアゾール化合物を配合することによって、従来の化成
処理を凌駕する皮膜形成を実現したものである。
【0012】本発明の水性潤滑剤に極圧剤として配合す
る2−チオベンゾチアゾール化合物は、一般式(1)で
表される2−メルカプトベンゾチアゾール、そのアミン
塩及び金属塩から選ばれる少なくとも一種である。
【化5】 (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは
0〜3の数を表す)
【0013】R1のアルキル基は、直鎖状でも分枝状で
もよく、好ましくはメチル基又はエチル基であり、mは
好ましくは0又は1の数である。具体的には、2−メル
カプトベンゾチアゾール、メチル置換2−メルカプトベ
ンゾチアゾール、エチル置換2−メルカプトベンゾチア
ゾールなどが挙げられる。
【0014】一般式(1)で表される置換又は非置換の
2−メルカプトベンゾチアゾールのアミン塩としては、
例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジ
イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミ
ン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエ
チルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールア
ミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタ
ノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、N
−(β−アミノエチル)エタノールアミン、シクロヘキ
シルアミン、モルホリン等のアミン塩が挙げられる。ま
た、一般式(1)で表される置換又は非置換の2−メル
カプトベンゾチアゾールの金属塩としては、例えば亜
鉛、ナトリウム、鉛、モリブデン、銅、鉄、ニッケル等
の金属塩が挙げられる。
【0015】また、極圧剤として一般式(2)で表され
る2−チオベンゾチアゾール化合物の少なくとも一種を
配合することができる。
【化6】 (式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは
0〜3の数を表す。Xは、炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数1〜20のアルキルメルカプト基、シクロア
ルキルメルカプト基、2−チオベンゾチオゾイル基、炭
素数1〜4のアルキル基を有する二級アミノ基、シクロ
アルキル置換二級アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基
を有する三級アミノ基、シクロアルキル置換三級アミノ
基、N,N−ジアルキルチオカルバミル基、N−モルホ
リン基又はモルホリノチオ基を表す)
【0016】R2のアルキル基は、直鎖状でも分枝状で
もよく、好ましくはメチル基又はエチル基であり、mは
好ましくは0又は1の数である。
【0017】また、Xの炭素数1〜20のアルキル基
(メルカプトアルキル基に含まれるアルキル基も同じ)
は、直鎖状でも分枝状でもよく、好ましくは直鎖状又は
分枝状ヘキシル基、直鎖状又は分枝状ヘプチル基、直鎖
状又は分枝状オクチル基、直鎖状又は分枝状ノニル基、
直鎖状又は分枝状デシル基、直鎖状又は分枝状ウンデシ
ル基、直鎖状又は分枝状ドデシル基、直鎖状又は分枝状
トリデシル基等の炭素数6〜13のアルキル基である。
シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基が好まし
い。
【0018】炭素数1〜4のアルキル基を有する二級ア
ミノ基又はシクロアルキル置換二級アミノ基は下記一般
式(3)、炭素数1〜4のアルキル基を有する三級アミ
ノ基又はシクロアルキル置換三級アミノ基は下記一般式
(4)、N,N−ジアルキルチオカルバミル基は下記一
般式(5)でそれぞれ表される。
【化7】 (式中、R3、R4、R5は炭素数1〜4のアルキル基又
はシクロアルキル基を表し、R6、R7は炭素数1〜4の
アルキル基を表す)
【0019】R3、R4及びR5は、アルキル基のとき直
鎖状でも分枝状でもよく、好ましくはメチル基、エチル
基であり、シクロアルキル基のとき好ましくはシクロヘ
キシル基である。R6及びR7のアルキル基は、直鎖状で
も分枝状でもよく、好ましくはメチル基又はエチル基で
ある。
【0020】また、N−モルホリン基又はモルホリノチ
オ基は、それぞれ下記一般式(6)又は(7)で表され
る。
【化8】
【0021】一般式(2)で表される2−チオベンゾチ
アゾール化合物の好ましい具体例を下記に示す。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0022】本発明の水性潤滑剤において、2−チオベ
ンゾチアゾール化合物の配合量は、固形分中5〜40重
量%、好ましくは10〜30重量%である。2−チオベ
ンゾチアゾール化合物を配合しないか、あるいは2−チ
オベンゾチアゾール化合物に代えて他の硫黄系極圧剤を
配合した水性潤滑剤を塗布した金属材料は、塑性加工の
際成形金型に焼き付いて脱型できなかった。
【0023】なお、本発明の目的を損なわない範囲で、
必須成分である2−チオベンゾチアゾール化合物に加え
て、従来公知の極圧剤を配合することができる。イオウ
系極圧剤としては、例えばジフェニルジスルフィド、ジ
ベンジルジスルフィド、ジアリルジスルフィド、有機多
硫化物、ポリフェニレンスルフィド等のジスルフィド類
や、例えばトリクレジルホスフェート、モノアミールホ
スフェート、ポリアルキレンエーテルホスフェート等の
ホスフェート類などが挙げられる。その他、例えばトリ
ブチルホスファイト、ジラウリルホスファイト等のホス
ファイト類などのリン酸エステル類や、例えばキサント
キン酸ジスルフィド、キサントゲンテトラスルフィド、
キサントゲン酸ポリアルキレングリコールエステル等の
チオカーボネート類や、例えばナフテン酸鉛、オレイン
酸鉛、ジチオフォスフェート亜鉛(Zn−DTP)等の
有機金属化合物や、硫化油脂類などが挙げられる。
【0024】本発明の水性潤滑剤には、(c)成分とし
て金属セッケンを含有させる。金属セッケンは、潤滑性
能を高めるとともに極圧剤としても機能する。この金属
石鹸としては、例えばステアリン酸、オレイン酸等の高
級脂肪酸の金属塩、例えばカルシウム塩、ナトリウム
塩、リチウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩、マグネ
シウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。これらの金属セッ
ケンは単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。こ
れらのうち、水不溶性の金属セッケンであるステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などを用いるのが好ま
しい。金属セッケンの配合量は、固形分中3〜25重量
%、好ましくは5〜20重量%である。
【0025】また、本発明の水性潤滑剤には、(d)成
分として塩素化パラフィンを配合する。塩素化パラフィ
ンは、潤滑性能を高めるとともに極圧剤としても機能す
る。塩素化パラフィンとしては、塩素含有率10〜70
重量%程度の市販品を用いることができ、その配合量
は、固形分中5〜50重量%、好ましくは10〜30重
量%である。
【0026】本発明の水性潤滑剤には、(d)成分とし
て上記の塩素化パラフィンに代えてリン酸エステルを配
合してもよい。リン酸エステルとしては、例えばトリブ
チルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチ
ルホスフォロアミデート、ジ−2−エチル−ヘキシルホ
スフォロアミデート、アミンジブチルホスフェート、ア
ミンジ−2−エチル−ヘキシルホスフェートなどが挙げ
られる。リン酸エステルの配合量は、固形分中5〜50
重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0027】更に、本発明の水性潤滑剤には、潤滑成分
等の固形分を水に乳化又は分散させるために(e)成分
として界面活性剤を含有させる。界面活性剤としては、
例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エ
ステル等の非イオン界面活性剤や、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、SDS等のアルキル硫酸塩、アルキル硫酸
エステル塩などのアニオン界面活性剤などが挙げられ、
好ましくは非イオン界面活性剤である。なお、本発明に
おいては、両性界面活性剤やカチオン界面活性剤やフッ
素系界面活性剤を用いることもできる。これらの界面活
性剤は単独でもよいし、二種以上を併用してもよい。界
面活性剤の配合量は、固形分中1〜50重量%、好まし
くは5〜30重量%である。
【0028】本発明の水性潤滑剤は、上記の必須成分す
なわち(a)無機化合物、(b)2−チオメルカプトベ
ンゾチアゾール化合物、(c)金属セッケン、(d)塩
素化パラフィン又はリン酸エステル及び(e)界面活性
剤をそれぞれ所定割合で配合し、配合物と水を例えばミ
キサー等の攪拌装置で混合し、水溶液、エマルジョン、
サスペンジョン等の水性液状物とすることにより調製す
ることができる。水性潤滑剤における必須成分の固形分
濃度は、塑性加工を行う金属材料表面に潤滑性皮膜を形
成できる濃度であれば特に制限はないが、通常1〜30
重量%、好ましくは5〜25重量%である。
【0029】本発明の水性潤滑剤には、必要に応じて必
須成分以外に従来より公知の潤滑添加剤、例えばキャリ
ヤー剤、ワックス類、油状物、シリコン類などの一種又
は二種以上を配合してもよい。これらの成分を配合する
ことにより、形成される潤滑性皮膜のすべり性などを向
上させることができる。
【0030】キャリヤー剤としては、固体潤滑剤が主に
使用され、フッ化カーボン、チッ化ボロン、メラミンシ
アヌル酸(メラミンとシアヌル酸の付加物、MCAとも
いわれている)、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タン
グステンなどや、硫酸ナトリウム、硫酸バリウム、硫酸
リチウムなどの一種又は二種以上の混合物が挙げられ
る。キャリヤー剤を添加する場合の配合量は、固形分中
1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%である。
【0031】また、ワックス類としては、パラフィンワ
ックス、カルナバワックス、モンタンワックス、オゾケ
ライトワックス、シコラックスワックス、ライスワック
ス、密ロウ、木ロウ、マイクロクリスタリンワックス等
の天然ワックスや、ポリエチレンワックス、フィッシャ
ートロプシュワックス、カスターワックス、オパールワ
ックス等の合成ワックスなどが挙げられる。ワックス類
は単独でもよいし、二種以上を併用してもよい。ワック
ス類を配合する場合の配合量は、固形分中30重量%以
下、好ましくは10重量%以下である。
【0032】さらに、油状物としては、水性液中に乳化
状態で存在し、本発明の水性潤滑剤を安定化する性質を
有する植物油、鉱油、合成油などが挙げられる。植物油
としては、例えば大豆油、菜種油、オリーブ油、サラダ
油、パーム油、亜麻仁油、向日葵油、落花生油、ごま
油、ヤシ油、ナッツ油、クルミ油など、鉱物油として
は、例えばギヤー油、マシン油、タービン油、スピンド
ル油、作動油など、合成オイルとしては、例えばポリエ
ーテル、ポリオール、エチレングリコール、エステル油
などが挙げられ、これらは単独でもよいし、二種以上を
併用してもよい。油状物を配合する場合の配合量は、固
形分中10重量%以下、好ましくは1〜6重量%であ
る。
【0033】さらに、シリコン類も、水性液中に乳化状
態で存在できるものが好ましく、例えばジメチルシリコ
ン、メチルフェニルシリコン、メチルハイドロジェンシ
リコン、アミノ変性シリコン、エポキシ変性シリコン、
カルボキシル変性シリコン、カルビノール変性シリコ
ン、メタクリル変性シリコン、メルカプト変性シリコ
ン、環状ジメチルシリコン、ポリエーテル変性シリコ
ン、メチルスチリル変性シリコン、アルキル変性シリコ
ン、アルコキシ変性シリコン、フッ素変性シリコン、高
級脂肪酸含有シリコンなどが挙げられる。シリコン類を
配合する場合の配合量は、固形分中40重量%以下、好
ましくは1〜20重量%である。
【0034】本発明の水性潤滑剤は、鍛造、伸線、伸
管、引き抜き、押出し、曲げ加工、プレス、巻線加工、
ヘッダー加工等の塑性加工を行う前の金属材料、例えば
鋼、ステンレス、アルミニウム、銅、チタンや各種合金
などの板状、棒状、線状等の各種金属材料に一回又は複
数回塗布、噴霧又は浸漬等を行った後、乾燥することに
より金属材料表面に優れた潤滑性被膜を形成できる。こ
こで、水性潤滑剤の金属材料への塗布、噴霧などは、室
温で行うことでよいが、乾燥時間の短縮には例えば60
℃程度に加熱して行ってもよく、また乾燥は温風等の吹
き付けなど常法により行うことができる。
【0035】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものでは
ない。
【0036】実施例1 下記(a)〜(e)成分を固形分が下記割合となるよう
に配合し、これと水とをミキサーで混合し、固形分濃度
20重量%の水性潤滑剤Aを調製した。 (a)硫酸カリウムとホウ酸ナトリウムの混合物 27重量% (30重量%)(70重量%) (b)2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール 16重量% (c)ステアリン酸カルシウム(固形分換算) 6重量% (d)塩素化パラフィン(塩素含有率40重量%) 27重量% (e)ポリオキシエチレンラウリルエーテル 24重量% 次に、32.6mmφ×8mm厚さの鋼材(SCM415
H)を水性潤滑剤Aに常温で浸漬したのち温風で10分
間乾燥して潤滑性皮膜を形成した。この潤滑性皮膜はベ
タつきがなく優れた作業性を示した。次いで、油圧プレ
スKFI31と32.8mmφの量産用金型を用いた冷間
鍛造により一端閉鎖筒状製品を5000個製作した。プ
レス時の成形荷重は、最大151t、最小143t、平均
147tとバラツキが少なかった。製品の底厚さは、最
大2.42mm、最小2.27mm、平均2.34mmと寸法
安定性に優れ、100%良品であった。また、作業時間
が短く、ハードリダクションにも耐え、カス残りがほと
んどなく、潤滑効果が抜群であった。使用後の水性潤滑
剤は、新しい水性潤滑剤Aを継ぎ足すだけで再使用でき
た。
【0037】実施例2 (d)成分の塩素化パラフィンに代えて等量のトリクレ
ジルホスフェート(リン酸エステル)を配合した以外は
水性潤滑剤Aと同様にして固形分濃度20重量%の水性
潤滑剤Bを調製した。次に、実施例1と同じ鋼材を水性
潤滑剤Bに常温で浸漬したのち、温風で10分間乾燥し
て潤滑性皮膜を形成したところ、潤滑性皮膜のベタつき
がなく、作業性が抜群であった。次いで、実施例1と同
様にして冷間鍛造を行ったところ、実施例1とほぼ同様
な結果が得られた。
【0038】比較例1 (b)成分の2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチ
アゾールに代えて等量のN,N'−ジエチルチオ尿素を
用いた以外は水性潤滑剤Aと同様にして、固形分濃度1
5重量%の水性潤滑剤Cを調製した。次に、実施例1と
同じ鋼材を水性潤滑剤Cに常温で浸漬したのち、温風で
10分間乾燥して潤滑性皮膜を形成し、実施例1と同様
にして冷間鍛造を行ったところ、成形金型に焼きついて
鍛造製品が製造できなかった。
【0039】比較例2 水性潤滑剤Aの代わりに市販のリン酸亜鉛化成処理剤と
補助潤滑剤としてステアリン酸亜鉛(金属セッケン)を
用い、常法により実施例1と同じ鋼材に化成皮膜を形成
した。次いで、実施例1と同様にして冷間鍛造を行った
ところ、プレス時の成形荷重は、最大155t、最小1
43t、平均148.5tと実施例1よりバラツキが多か
った。また、製品の底厚さは、最大2.52mm、最小
2.22mm、平均2.37mmと実施例1より寸法安定性
が劣るものであった。なお、作業性やカス残りは実施例
1と同程度であったが、使用後の水性潤滑剤は変質し再
使用が困難であった。
【0040】
【発明の効果】本発明の水性潤滑剤は、補助潤滑剤を必
要とせず、金属材料に塗布、噴霧又は浸漬したのち乾燥
するだけで、きわめて簡単にベタつきのない潤滑性皮膜
を形成でき、設備費用とランニング費用がともに低廉で
ある。また、従来の化成処理とは異なり、新鮮な水性潤
滑剤を継ぎ足すだけで再使用でき、廃棄物を発生するこ
ともない。しかも、本発明の水性潤滑剤を金属材料に施
して形成される潤滑性被膜は、極圧性、すべり性及び展
性に極めて優れ、従来の化成処理と同等ないしはそれ以
上の優れた潤滑特性を有し、金属の塑性加工にきわめて
好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 129/40 C10M 129/40 131/04 131/04 135/32 135/32 137/04 137/04 // C10N 10:02 C10N 10:02 10:04 10:04 10:06 10:06 10:08 10:08 10:12 10:12 10:16 10:16 30:06 30:06 40:24 40:24 Z 50:02 50:02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必須成分として下記(a)〜(e)を含
    有してなる金属の塑性加工用水性潤滑剤。 (a)アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ば
    れる少なくとも一種の潤滑性皮膜形成能を有する無機化
    合物:10〜50重量%(固形分中。以下同じ) (b)2−チオベンゾチアゾール化合物:5〜40重量
    % (c)金属セッケン:3〜25重量% (d)塩素化パラフィン:5〜50重量% (e)界面活性剤:1〜50重量%
  2. 【請求項2】 必須成分として下記(a)〜(e)を含
    有してなる金属の塑性加工用水性潤滑剤。 (a)アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ば
    れる少なくとも一種の潤滑性皮膜形成能を有する無機化
    合物:10〜50重量%(固形分中。以下同じ) (b)2−チオベンゾチアゾール化合物:5〜40重量
    % (c)金属セッケン:3〜25重量% (d)リン酸エステル:5〜50重量% (e)界面活性剤:1〜50重量%
  3. 【請求項3】 潤滑性皮膜形成能を有する無機化合物
    が、硫酸カリウムとホウ酸ナトリウムの混合物である請
    求項1又は2記載の金属の塑性加工用水性潤滑剤。
  4. 【請求項4】 2−チオベンゾチアゾール化合物が、一
    般式(1)で表される2−メルカプトベンゾチアゾー
    ル、そのアミン塩及び金属塩から選ばれる少なくとも一
    種である請求項1〜3のいずれかに記載の金属の塑性加
    工用水性潤滑剤。 【化1】 (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは
    0〜3の数を表す)
  5. 【請求項5】 2−チオベンゾチアゾール化合物が、一
    般式(2)で表される化合物の少なくとも一種である請
    求項1〜3のいずれかに記載の金属の塑性加工用水性潤
    滑剤。 【化2】 (式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは
    0〜3の数を表す。Xは、炭素数1〜20のアルキル
    基、炭素数1〜20のアルキルメルカプト基、シクロア
    ルキルメルカプト基、2−チオベンゾチオゾイル基、炭
    素数1〜4のアルキル基を有する二級アミノ基、シクロ
    アルキル置換二級アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基
    を有する三級アミノ基、シクロアルキル置換三級アミノ
    基、N,N−ジアルキルチオカルバミル基、N−モルホ
    リン基又はモルホリノチオ基を表す)
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