JP2002226136A - 糸巻取装置及び糸巻取方法 - Google Patents

糸巻取装置及び糸巻取方法

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JP2002226136A
JP2002226136A JP2001019698A JP2001019698A JP2002226136A JP 2002226136 A JP2002226136 A JP 2002226136A JP 2001019698 A JP2001019698 A JP 2001019698A JP 2001019698 A JP2001019698 A JP 2001019698A JP 2002226136 A JP2002226136 A JP 2002226136A
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bobbin
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JP2001019698A
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Katsufumi Muta
勝文 牟田
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Murata Machinery Ltd
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Murata Machinery Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数のボビンホルダーを備える糸巻取装置に
おいて、浮かし巻き工程から通常の巻取工程へ移行させ
る際のボビンホルダーの回転駆動制御の補正を、ボビン
ホルダーごとに独立して行う。 【解決手段】コンタクトローラーCRをボビンBとは非
接触に保持した浮かし巻き又は低接圧で接触させるソフ
ト巻きを実行する際、ボビンホルダーの回転駆動は計算
式に基づいて見込み制御されるが、この計算式を各ボビ
ンホルダーごとに独立して補正する。これによりモータ
ーのスリップに違いが有る場合でも、各ボビンホルダー
ごとに最適な補正を施せるから、精度の高い補正を実現
でき、不良糸の発生を防止できる。2番目のボビンホル
ダーの最初の浮かし巻き工程又はソフト巻き工程は、1
番目のボビンホルダーの巻取工程から得た補正値を用い
ることで、パラメーターの初期設定値が多少不適切でも
速度変動を抑制出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糸をボビンに巻き
取ってパッケージを形成するための技術に関し、詳しく
は、巻取開始直後における糸の損傷を防ぐため、巻取開
始時はコンタクトローラーをボビンから離した状態又は
接圧を低く設定した状態で糸を巻き取るいわゆる浮かし
巻き工程を実行し、しかるのち通常の巻取工程へ移行す
るように設定されている場合において、工程移行時に発
生する問題の解決を図ることを目的とする。
【0002】
【従来の技術】ボビンに糸を巻き取ってパッケージを形
成する糸巻取装置では、糸の巻取状態の安定化を図るた
め、コンタクトローラーの回転速度に基づきボビンホル
ダーの回転速度をフィードバック制御することで、糸の
巻取速度を一定の生産速度に保つことが行われている。
但し、巻取工程の実行にあたり、ボビンにコンタクトロ
ーラーを直に接触させた状態で糸を巻き始めると、巻取
開始直後は、厚みの薄い糸層が高速で回転するコンタク
トローラーに圧接されるから、糸が損傷を受けやすく、
糸品質を低下させるおそれがあった。そこで従来、巻取
開始時からボビンに一定量の糸層が形成されるまでは、
コンタクトローラーをボビンから離すか又は接圧を低く
設定して糸の巻取を行ういわゆる浮かし巻き又はソフト
巻きが採用されている。
【0003】一定量の糸層がボビンに形成されたなら
ば、浮かし巻き工程又はソフト巻き工程から通常の巻取
工程へ移行する。この巻取工程の切替方式として、浮か
し巻きの場合、巻取開始時にはコンタクトローラーをボ
ビンから離しておき、所要時間経過後にコンタクトロー
ラーを糸パッケージに接近させ、強制的に糸パッケージ
と接触させる方式が知られている。
【0004】ところで前述の如く浮かし巻き方法を採用
した場合、以下のような問題が生じている。浮かし巻き
工程中は、コンタクトローラーがボビンから離れた状態
なので、コンタクトローラーの回転速度に基づいてボビ
ンホルダーの回転速度をフィードバック制御することが
できない。このため、巻取開始時のボビンホルダーの回
転速度は、巻径計算に基づいて見込み制御し、所定量の
糸層が形成されると予測される時間の経過後、コンタク
トローラーの回転速度に基づく実測制御に切り換える。
見込み制御から実測制御への切替時期は、糸品質向上及
びボビンホルダーの暴走防止の面から、コンタクトロー
ラーと糸パッケージとの接触時期に合致させる必要があ
る。しかるに、コンタクトローラーを糸パッケージに強
制的に接触させる方式では、コンタクトローラーと糸パ
ッケージとの接触時期と、制御方式の切替時期とを合致
させるのが容易であるが、強制接触であるが故に、コン
タクトローラーの糸パッケージに対する接圧が接触時に
急上昇し、その結果、糸層に悪影響を与えるおそれがあ
った。さらに、コンタクトローラーを糸パッケージに接
触させる時に両者の周速度が一致せず、この速度差のた
めに糸切れが生じたり糸の品質低下を招いたりするとい
う問題があった。これは、浮かし巻工程中は、糸パッケ
ージの周速度が所定の生産速度となるようにボビンホル
ダーの回転速度を計算式に基づき制御するが、実際のパ
ッケージの巻径と計算上の巻径との間に誤差が含まれる
ことがあるため、糸パッケージの周速度を所定の生産速
度と一致させるのが難しいからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、特願平1
1−50955号(特開2000−247545)にお
いて、浮かし巻き工程から通常の巻取工程へ移行する際
に、糸パッケージとコンタクトローラーの周速度をでき
るだけ一致させることが可能な手段を提案した。上記先
願において本出願人が提案した技術の要旨は、糸巻取開
始時の浮かし巻工程中は、ボビンホルダーを計算式に基
づいて回転駆動制御し、糸パッケージにコンタクトロー
ラーを接触させた後の通常巻取工程では、コンタクトロ
ーラーの検出回転速度に基づいてボビンホルダーを回転
駆動制御するように切り換え、この制御切換後における
ボビンホルダーの回転速度に基づいて前記計算式を補正
し、以降の糸巻取工程におけるボビンホルダーの回転駆
動を制御するように設定したところにある。かかる手段
により、巻取工程の開始時当初は存在していたコンタク
トローラーと糸パッケージとの間の周速度の誤差が、巻
取工程を重ねて実行するにつれて縮小し、やがて実質的
にゼロに収束するものと予想される。
【0006】ところが、巻取位置と待機位置との間を移
動可能になされた複数本のボビンホルダーを備え、各ボ
ビンホルダーを順次巻取位置へ移動させて連続的に糸巻
取工程を行えるように構成された糸巻取装置にあって
は、必ずしも前述した周速度の誤差が解消されるとは限
らなかった。本発明者らがその原因について研究したと
ころ、複数のボビンホルダーが有る場合、各ボビンホル
ダーごとに備えられる駆動用モーターの負荷がベアリン
グの状態等の違いにより異なることがあり、そのため各
モーター内のスリップに相違が生じていることが分かっ
た。その結果、各モーターに対し共通の計算式で回転駆
動を制御すると、モーターによって実際の回転速度に差
異が生じ、前記誤差が解消されない場合があると考えら
れる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数のボビン
ホルダーを順次使用して連続的に糸の巻取工程を行う場
合における前記問題点の解決を目的として創案したもの
である。かかる目的達成のために本発明が採用した糸巻
取装置の特徴とするところは、ボビンが装着される複数
本のボビンホルダー、各ボビンホルダーごとに設けた回
転駆動手段、各ボビンホルダーを巻取位置と待機位置と
の間で移動させて位置変更する手段、ボビンに巻き取ら
れて形成される糸パッケージと接触するコンタクトロー
ラー、コンタクトローラーの回転駆動手段、前記ボビン
ホルダー及びコンタクトローラーの回転駆動を制御する
コントローラー、前記コンタクトローラーとボビンとの
間の距離を調整する手段が設けられ、前記複数本のボビ
ンホルダーを順次巻取位置へ移動させると共に糸の受け
渡しを行って巻取工程を連続的に実行できるように構成
された糸巻取装置であって、前記コンタクトローラーを
当初はボビンに対し非接触又は低接圧の状態に保持して
糸巻取工程を開始し、所定量の糸が巻き取られたならば
前記コンタクトローラーを糸パッケージに対し所定の接
圧で接触させるように設定され、前記コントローラー
は、糸巻取工程の開始時は所定の計算式に基づいてボビ
ンホルダーの回転駆動を制御し、前記コンタクトローラ
ーを糸パッケージに接触させた後はコンタクトローラー
の検出回転速度に基づいてボビンホルダーの回転駆動を
制御するように制御方式を切り換えると共に、制御方式
切換後のボビンホルダーの回転速度に基づいて糸巻取工
程の開始時に使用する前記計算式の補正を、各ボビンホ
ルダーごとに独立して実行するように設定されているこ
とである。
【0008】なお、計算式の補正に行うにあたり、最初
の巻取工程において行われる前記計算式の補正結果を利
用して、直後の巻取工程の開始時に使用する計算式を補
正するように設定することが考えられる。
【0009】また本発明が採用する糸巻取方法の特徴と
するところは、複数本のボビンホルダーそれぞれにボビ
ンを装着し、各ボビンホルダーを順次巻取位置へ移動さ
せると共に糸の受渡しを行って、連続的にボビンに糸を
巻き取るにあたり、コンタクトローラーを当初はボビン
に対し非接触又は低接圧の状態に保持して糸巻取工程を
開始し、所定量の糸が巻き取られたならば前記コンタク
トローラーを糸パッケージに対し所定の接圧で接触さ
せ、糸巻取工程の開始時は所定の計算式に基づいてボビ
ンホルダーの回転駆動を制御し、前記コンタクトローラ
ーを糸パッケージに接触させた後はコンタクトローラー
の検出回転速度に基づいてボビンホルダーの回転駆動を
制御するように制御方式を切り換えると共に、制御方式
切換後のボビンホルダーの回転速度に基づいて糸巻取工
程の開始時に使用する前記計算式の補正を、各ボビンホ
ルダーごとに独立して実行するよう設定したことであ
る。
【0010】本発明は、前述の如く構成された糸巻取装
置及び糸巻取方法を採用することにより、糸巻取工程の
開始時に使用する計算式の補正を、複数本のボビンホル
ダそれぞれについて独立に行うので、モーターごとにス
リップ等の微妙な差異があったとしても、いずれのボビ
ンホルダにおいても糸パッケージの周速度が正確に生産
速度となるよう、回転駆動を適切に制御することが可能
である。
【0011】また本発明は、複数本のボビンホルダーを
順次使用するにあたり、最初の巻取工程において行われ
る前記計算式の補正結果を利用して、直後の巻取工程の
開始時に使用する計算式を補正するように設定した。こ
れにより、2番目以降のボビンホルダにおける最初(第
1回目)の巻取工程を実行する際には、1番目のボビン
ホルダの最初(第1回目)の巻取工程により得られる補
正結果を利用して補正した計算式を用いて巻取工程を開
始できるから、より精密な制御が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面を用い
て説明する。図1及び図2は、例えば溶融紡出され連続
供給される合成繊維糸をボビンBに巻き取ってパッケー
ジPを形成する巻取装置(給糸巻取機)Mの概略構成を
示すものであり、図1は通常の巻取時の状態を、図2は
巻取開始直前の状態をそれぞれ示している。
【0013】本例の巻取装置Mは、複数個のボビンBが
装着される回転自在な2本のボビンホルダーBH1 ,B
H2 と、巻取位置に在るボビンホルダーBH1 のボビン
Bに形成される糸パッケージPと接触するコンタクトロ
ーラーCRとを備える。各ボビンホルダーBH1 ,BH
2 は、フレームfに回転可能に設けられたターレットt
に取り付けられ、巻取位置と待機位置との間を移動して
位置変更可能になされている。なお図面には、上方のボ
ビンホルダーBH1 が巻取位置に在り、下方のボビンホ
ルダーBH2 は待機位置に在る状態が示されている。各
ボビンホルダーBH1 ,BH2 には、それぞれを回転駆
動するモーターm1 ,m2 が個別に連結されており、従
って各ボビンホルダーBH1 ,BH2 の回転駆動は独立
して制御できるよう構成されている。ターレットtは、
モーターmtで回転駆動される。また図示はしなかった
が、巻取装置Mにはトラバース機構や糸掛機構が付設さ
れる。
【0014】前記コンタクトローラーCRはフレームf
に昇降可能に設けられたスライドボックスsbに取り付
けられ、スライドボックスsbを昇降させることによ
り、巻取位置にあるボビンホルダーBH1とコンタクト
ローラーCRとの間の距離を調節可能となっている。ス
ライドボックスsbの昇降は、フレームfに立設したス
ライド軸gで案内され、コンタクトローラーCRの糸パ
ッケージPに対する接圧は、コンタクトローラーCRの
支持力を調節する支持力制御手段aにより制御される。
支持力制御手段aは、例えばスライドボックスsbに設
けたシリンダ室c内へ、フレームf上に立設したピスト
ン軸bを嵌挿したエアーシリンダ機構であって、シリン
ダ室c内へ圧縮空気を供給する圧縮空気供給源eと、圧
縮空気の供給圧を制御する圧力調節装置dとを備え、シ
リンダ室c内への圧縮空気の供給圧を制御することによ
り、前記コンタクトローラーCRの支持力を調節するこ
とが可能になされている。すなわち、圧縮空気の供給圧
を小さくすると、コンタクトローラーCRの支持力が小
さくなって接圧が高まり、反対に圧縮空気の供給圧を大
きくすると、コンタクトローラーCRの支持力が大きく
なるので接圧が減少する。
【0015】図3に示すように、前記コンタクトローラ
ーCRはモーターm0 により、前記ボビンホルダーBH
1 ,BH2 はそれぞれモーターm1 ,m2 により回転駆
動される。モーターm0 ,m1 及びm2 の回転速度は、
コンタクトローラーCRの回転速度を検出するセンサー
S0 、ボビンホルダーBH1 の回転速度を検出するセン
サーS1 及びボビンホルダーBH2 の回転速度を検出す
るセンサーS2が検出したそれぞれの回転速度に基づ
き、コントローラーUにより制御される。
【0016】コントローラーUは、例えばインバーター
INVとレギュレーターregとの組み合わせが用いら
れ、またコントローラーUに対し、巻取工程の制御に必
要な各種パラメーターを設定するための設定部が付設さ
れている。上記レギュレーターreg内には、図4に例
示する如く、巻取工程の制御のために必要とされる各種
機能部、すなわち第1のタイマー部・第2のタイマー部
・浮かし巻き制御部・フィードバック制御部・制御切換
部・計算式記憶部・補正処理部が備えられる。本発明で
は、二つのボビンホルダーBH1 ,BH2 それぞれに対
応させて二つの計算式記憶部を設け、浮かし巻工程時に
用いる計算式の補正を、各ボビンホルダーBH1 ,BH
2 ごとに個別に行えるようにした点に特色を有してい
る。なお計算式記憶部を二つ設けるのに代えて、一つの
記憶部内に二つの記憶領域を形成することも可能であ
る。
【0017】本発明を実施するにあたり、巻取装置の動
作プログラムの設定は、巻取装置の動作を制御するコン
トローラーUに設けた設定部から所要のパラメーターを
入力して行うようにすればよい。入力項目としては、糸
吐出量Q,トラバース幅W,ボビン半径R,巻き密度の
初期値ρ0,糸の巻取速度V0,コンタクトローラーの接
圧,巻取開始時におけるコンタクトローラーの浮かせ
幅,浮かし巻き開始からフィードバック制御に切り換え
るまでのタイマー時間などが挙げられる。なおボビンホ
ルダーの回転初速度ω0は、設定された糸の巻取速度V0
とボビン半径Rから自動的に算出される。
【0018】コンタクトローラーCRの接圧を調整する
支持力制御手段aと圧縮空気供給源eとの間に配置され
る圧力調節装置dは、圧縮空気の供給圧を変えて前記コ
ンタクトローラーCRの支持力を変更するためのもので
あり、例えば複数の開閉弁と設定圧力の異なる複数の減
圧弁との組み合わせや、入力される電気信号に応じて下
流側に供給される圧縮空気の圧力を連続的に調節できる
電空レギュレーターを用いて構成することが考えられ
る。
【0019】浮かし巻きの実行にあたり、コンタクトロ
ーラーCRをボビンBに対し非接触状態に確実に保ち、
また両者の隙間幅の調整を容易にするため、スライドボ
ックスsbに対し弾性反発力を作用させる弾性支持手段
を設けてもよい。弾性支持手段の例としては、図5に示
す皿バネ、図6に示すコイルバネ、図7に示すゴム体等
の弾性部材kを、スライドボックスsbとフレームfと
の間に配置することが挙げられる。あるいは、図8に示
すようにスライドボックスsbの上部にこれを引っ張り
上げるバネ等の付勢手段kを配置することも考えられ
る。これら弾性支持手段kは、エアー等の気体又は水や
油等の液体の流体圧を利用するもので構成してもよい。
弾性支持手段を配置することにより、コンタクトローラ
ーCRを支持する支持力制御手段aの負担(所要供給
圧)が低減し、またコンタクトローラーCRを糸パッケ
ージPに接触させる際に、糸パッケージPに対する接圧
の急上昇を抑えることが可能である。またスライドボッ
クスsbの停止位置が安定化するので、コンタクトロー
ラーCRの浮かせ幅を一定に保つのが容易となる。なお
浮かせ幅の大きさは通常1mm程度に設定されるが、所
望により適宜変更可能である。さらに、弾性支持手段の
弾性反発力を調節することで、糸の種類等の巻取条件に
応じ接圧を最適値に設定することが容易となる。
【0020】前述の如く構成した糸巻取装置Mにおける
通常の巻取工程の実行中は、図1に示す如く、糸パッケ
ージP表面にコンタクトローラーCRを所定の接圧で接
触させ、該コンタクトローラーCRの回転速度が糸の生
産速度となるようにボビンホルダーBH1 の回転駆動を
制御する。糸パッケージPの直径は巻取の進行に伴い増
大するから、コンタクトローラーCRと接するパッケー
ジPの周速度(糸の巻取速度)を一定に保つには、ボビ
ンホルダーBHの回転速度(角速度)を徐々に減少させ
る減速処理を行わねばならない。かかる減速処理は、回
転速度センサーS0 でコンタクトローラーCRの回転速
度を検出し、PI制御等のフィードバック制御すること
によって実行される。
【0021】糸巻取工程の開始時は、図2に示すよう
に、コンタクトローラーCRをボビンBから所定間隔だ
け離した浮かし巻きを実行する。あるいは、コンタクト
ローラーCRの接圧を小さく設定したソフト巻きを実行
する場合もある。浮かし巻きとするかソフト巻きとする
かは、状況に応じ、支持力制御手段aでコンタクトロー
ラーCRの支持力を変更することにより、容易に選択が
可能である。
【0022】例えばボビンホルダーBH1における浮か
し巻きを実行する場合、浮かし巻きはボビンBに形成さ
れる糸層厚みが所定値に達するまで継続される。浮かし
巻き中の糸の巻取速度を一定の生産速度に保つため、ボ
ビンホルダーBH1 に対し減速処理を施す。但し浮かし
巻き中は、コンタクトローラーCRの回転速度に基づく
フィードバック制御を行えないので、ボビンホルダーB
H1の回転速度を、糸層厚みが所定値に達するまでは所
定の計算式に基づいて見込み回転制御を行う。すなわ
ち、予め設定された層厚みに達する時間を計算により求
め、巻取開始からの巻取時間が所定値に達したならば、
コンタクトローラーの支持力を弱めてコンタクトローラ
ーCRをパッケージPの表面に接触させると同時に(又
は条件によっては幾らかの遅延時間を置いた後に)、ボ
ビンホルダーBH1 の回転制御をコンタクトローラーC
Rの回転速度に基づくPI制御等のフィードバック制御
に切り換え、図1に示す通常の巻取工程を続行する。
【0023】図9は、浮かし巻きで巻取工程を開始する
場合の一連の流れを示すフローチャートである。巻取工
程の始めは、コンタクトローラーCRをボビンBから所
定の浮かし幅だけ離した非接触状態(図2参照)に支持
して浮かし巻きを実行する。支持力制御手段aの圧力調
整装置dが、例えば複数の開閉弁と設定圧力の異なる複
数の減圧弁との組み合わせである場合は、支持力高に設
定する開閉弁をONにする。弾性支持手段を設けた場
合、浮かし巻き工程の間、コンタクトローラーCRを支
持するスライドボックスsbが弾性支持手段から上向き
の支持力を受けるため、支持力制御手段aにおける圧縮
空気の所要圧を小さくすることができ、コンタクトロー
ラーCRを浮かし巻き状態に維持するのが容易となる。
また弾性支持手段の存在により、コンタクトローラーC
RとボビンBとの間隔を安定させて保持することができ
る。
【0024】浮かし巻き工程の制御は、コントローラー
U内のレギュレーターregに備えられた第1のタイマ
ー部,浮かし巻き制御部,計算式記憶部(図4参照)に
より実行される。第1のタイマー部は,巻取開始から浮
かし巻き工程終了までの時間(浮かし巻き時間)をカウ
ントし、カウント終了時に、支持力制御手段aの圧力調
整装置dに対しコンタクトローラーCRの支持力変更信
号を出力する。浮かし巻き時間は、予め設定された浮か
し巻き厚みから算出される。浮かし巻き制御部は、ボビ
ンホルダーBH1 の駆動用 モーターm1 及びボビンホ
ルダーBH2 の駆動用モーターm2の回転速度を制御す
るものであり、浮かし巻き工程中、計算式記憶部に記憶
されている計算式に基づきモーターm1、m2を減速処理
する。
【0025】ボビンホルダーBH1 における浮かし巻き
工程を所定時間、実行することにより、ボビンBに形成
される糸パッケージPの層厚みが所定厚みに達する。所
定の浮かし巻き時間が経過したならば、第1のタイマー
部から圧力調整装置dへ支持力変更信号が出力され、そ
の結果、支持力制御手段aの支持力が低減して、コンタ
クトローラーCRがパッケージP表面に接触する。支持
力の低減は、例えば圧力調節装置dにおいて、適当な開
閉弁をONにすることでなされる。このとき弾性支持手
段を設けておけば、コンタクトローラーCRと糸パッケ
ージとの接圧が低く抑えられるので、接触時の急激な接
圧の変化を抑えて糸切れの発生や糸品質の低下を防止で
きる。第1のタイマー部の支持力変更信号は制御切換部
にも出力され、制御切換部がモーターm1 の制御方式を
フィードバック制御部によるフィードバック制御に切り
換える。フィードバック制御部は、CR回転速度センサ
ーS0 で検出したコンタクトローラーCRの実測回転速
度に基づいてモーターm1の回転速度を制御するもので
ある。フィードバック制御の方式としてはPI制御など
が挙げられる。制御方式の切換時期は、コンタクトロー
ラーCRを糸パッケージPと接触させると同時、または
所定の遅延時間を置いた後とする。本発明では、コンタ
クトローラーCRを糸パッケージPに対し接近させて強
制的に接触させるようにしているから、浮かし巻き工程
時の見込み回転制御から、接触後のコンタクトローラー
CRの検出回転速度に基づくフィードバック制御への切
換時期の判断を、きわめて正確に行える。
【0026】浮かし巻き工程中、糸の巻取速度を一定の
生産速度に保つため、ボビンホルダーBH1 を回転させ
るモーターm1 は、浮かし巻き制御部により、計算式記
憶部に記憶されている計算式に基づいて減速処理する見
込み回転制御が行われるが、その計算式は下記〔X〕の
とおりである。
【0027】
【数1】
【0028】上記計算式〔X〕中の各記号の意味は、次
のとおりである。 ω :巻き始めからt時間経過後のボビンホルダーの回
転速度(rpm) ω0 :巻き始め時のボビンホルダーの回転初速度(rp
m) Q : 糸吐出量(g/min) t : 巻き始めからの経過時間(min) W : トラバース幅(mm) ρ : 巻き密度(g/cm3 ) R0 : ボビン半径(mm) π : 円周率 なお、巻き密度ρの初期値は、ポリエステル,ナイロン
等の糸種に応じて、また設定した綾角によって、適宜設
定される。
【0029】ところで、浮かし巻き状態からコンタクト
ローラーCRを移動させて糸パッケージPに接触させる
時に、糸パッケージPの実際の層厚みが予め設定された
層厚みと異なり、その結果、パッケージPの周速度がコ
ンタクトローラーCRの周速度と一致しなくなる場合が
ある。その理由の一つは、糸の巻取工程中、特に浮かし
巻き工程中は糸張力を厳密に一定に保つのが難しく、こ
のため実際の糸の巻き密度が、設定値とは相違すること
が挙げられる。また、糸の種類や綾角等の条件を変更し
た場合にも、層厚みが変化する。そこで本発明では、計
算式により導かれる糸パッケージの周速度と、実際の生
産速度との誤差を補正するため、次のような手段を採用
した。
【0030】ある巻取工程において、浮かし巻き工程中
はボビンホルダーBH1 の回転速度を前記計算式〔X〕
に基づいて制御する。このとき(時刻0〜T1 間)のモ
ーターm1 に対する回転速度指令値の変化曲線は、例え
ば図10のグラフにn1 で示される如くである。時刻T
1 において、浮かし巻き状態から、コンタクトローラー
CRを糸パッケージPに接触させた状態へ移行させると
同時に、又は所定の遅延時間を置いた後に、ボビンホル
ダーBH1 の回転駆動制御をフィードバック制御に切り
換える。このとき糸パッケージPとコンタクトローラー
CRとの間に周速度差が有った場合、フィードバック制
御に切り換えた以降の モーターm1 に対する回転速度
指令値曲線は、例えば図10のグラフ中にn2 で示され
る曲線に変更される。
【0031】本実施形態では、前述の速度差を解消する
ため、ボビンホルダーBH1 の制御をフィードバック制
御に切り換えた後、その回転速度が安定するまでに要す
る一定時間経過後(例えば数秒後)の時刻T2 におい
て、モーターm1 に対し実際に出力されている回転速度
指令値MV(PI)と前記計算式〔X〕に基づき算出される
見込み回転速度に対応する回転速度指令値MV(cal) と
を比較し、両者の偏差量に基づいて前記計算式〔X〕中
の巻き密度ρを補正する手段を設けた。この補正手段は
前記レギュレーターreg内に備えられている。第1の
タイマー部から支持力変更信号を受けた制御切換部が、
モーターm1 の制御をフィードバック制御に切り換える
と共に第2のタイマー部へ制御切換信号を出力し、第2
のタイマー部は制御切換信号を受け取った後、所定時間
(例えば数秒)のカウントを開始する。所定時間のカウ
ント終了後、補正処理部が計算式〔X〕中の巻き密度ρ
の補正量を算出し、該補正量に基づき計算式記憶部に記
憶されている計算式を書き換える。すなわち以降の巻取
工程を実行するに際し、計算式〔X〕中の巻き密度ρ
を、今回の巻取工程において設定した巻き密度ρn-1 か
ら下記補正式〔A〕を用いて補正した値ρn へ変更する
ようなされている。
【0032】
【数2】
【0033】上記補正式〔A〕中の各記号の意味は次の
とおりである。 ρn :次回の巻取工程において、浮かし巻き工程時の
見込み回転制御で計算式〔X〕のρに代入する巻き密度 ρn-1 :今回の巻取工程の浮かし巻き工程において、計
算式〔X〕に代入していた巻き密度 MV0 :巻き始め時にBH1 モーターに対し出力される
回転速度指令値 MVPI:ボビンホルダーの回転制御をフィードバック制
御に切り換えてから所定時間経過後に、BH1 モーター
に対し実際に出力されている回転速度指令値 MVCAL :ボビンホルダーの回転制御をフィードバック
制御に切り換えてから所定時間経過後に、計算式〔X〕
から算出されるボビンホルダーの見込み回転速度ωに対
応するBH1 モーターの回転速度指令値
【0034】なお前記補正式〔A〕は、巻き密度ρの補
正処理を巻取工程ごとに逐次行うことを想定したもので
あるが、複数回の巻取工程ごとに補正を実行するように
してよい。
【0035】かかる巻き密度の補正により、浮かし巻き
工程中にモーターm1 に対し出力される回転速度指令値
曲線n1 を、以降の巻取工程においては、図10のグラ
フ中に点線で示される曲線n0(補正前の制御切換後の
曲線n2に対応する曲線) に近づけることができる。
そして前記補正式〔A〕による補正処理を糸の巻取工程
を反復するごとに連続して又は断続的に行うことによ
り、当初存在していた接触時におけるボビンホルダーB
H1 に装着されたパッケージPとコンタクトローラーC
Rとの間の周速度偏差を、巻取工程の回を追うごとに縮
小することができる。つまり上記偏差量は、巻取条件や
実施環境が特に変化しない限り、次第にゼロに収束する
ものと考えられる。依って本発明は、浮かし巻き状態か
らコンタクトローラーCRをパッケージPに接触させる
状態へ移行したときの両者の周速度をほぼ一致させるこ
とが可能であり、当該接触時における糸の損傷や糸切れ
の発生を防止することができる。
【0036】本実施形態は、浮かし巻き状態からコンタ
クトローラーCRをパッケージPに接触させた状態へ移
行させるときに、モーターm1 の制御方式を、当初の計
算式に基づく見込み回転制御方式からフィードバック制
御方式に切り換えるが、この制御方式の切換タイミング
を、コンタクトローラーCRの支持力変更信号の出力時
を基準として設定するものとしている。コンタクトロー
ラーCRの支持力を減少させることにより、コンタクト
ローラーCRは糸パッケージPへ向かって降下を開始
し、一定時間後、糸パッケージPに接触する。従って、
支持力変更信号の出力時からタイマーにより適宜設定さ
れた時間経過後にモーターm1 の駆動制御をフィードバ
ック制御に切り換えるよう設定すれば、コンタクトロー
ラーCRが糸パッケージPに接触する時期と制御方式の
切換時期とを同時化させることが容易である。さらに、
弾性支持手段kを、コンタクトローラーCRを支持して
いるスライドボックスsbとフレームfとの間に存在さ
せることにより、浮かし巻き時のスライドボックスsb
の停止位置を安定させて、コンタクトローラーCRが降
下を開始してから糸パッケージPに接触するまでの時間
を一定化させることができるので、コンタクトローラー
CRと糸パッケージPとの接触時期と、モーターm1 の
制御方式の切換時期とを同期させるのがより確実にな
る。
【0037】なお、コンタクトローラーCRと糸パッケ
ージPとの接触をセンサー等で検知したのち、ボビンホ
ルダーの回転駆動の制御方式を切り換える方法も考えら
れるが、この方法では、センサーの精度上、接触時から
制御切換までに時間遅れが発生するのを避けられない。
従って、制御方式の切換時期は、前記のようなタイマー
による制御を採用することが望ましい。
【0038】ところで本実施形態では、図1に示すよう
に、糸巻取装置Mが複数のボビンホルダーBH1 ,BH
2 を有しており、両方のボビンホルダーBH1 ,BH2
間で順次糸を受け渡し、糸巻取工程を連続的に実行する
ように設定されているので、浮かし巻き工程で各ボビン
ホルダーBH1 ,BH2 それぞれの回転駆動を制御する
ために用いる前記理論式[X]中の巻き密度の補正を、
各ボビンホルダーBH1 ,BH2 ごとに独立させて行う
ように設定されている。これは、二つのボビンホルダー
BH1 ,BH2 の駆動用モーターm1 ,m2 にベアリン
グ状態の相違等によるスリップの違いがあるため、共通
の式で補正すると、精密な補正ができないおそれがある
ためである。
【0039】一方のボビンホルダーBH1 での糸巻取が
終了したのち、もう一方のボビンホルダーBH2 で連続
して糸の巻き取りを行う手順は次の如くである。図1に
示すように、巻取位置にある一方のボビンホルダーBH
1 の糸パッケージPが満巻き状態に近づいたならば、待
機位置にあるもう一方のボビンホルダーBH2 の回転速
度を所定速度まで加速する。そして前者のボビンホルダ
ーBH1 が満巻き状態に達したならば、ターレットtを
回動させて後者のボビンホルダーBH2 を巻取位置まで
移動させ、糸の巻取を引き継がせる。後者のボビンホル
ダーBH2での糸巻取工程を実行している間に、待機位
置へ移動させた前者のボビンホルダーBH1から糸パッ
ケージPを排出して新しいボビンを装着し、次の巻取工
程に備える。このようにボビンホルダーBH1,BH2を
順次切り替えることで、上流側からの糸の紡出を停止す
ることなく連続的に糸巻取を実行することが可能になっ
ている。
【0040】前述のようにターレットtを回動させてボ
ビンホルダーBH1からBH2へ糸の巻取を引き継いだ直
後は、ボビンホルダーBH2にて浮かし巻きを行う。こ
のとき、ボビンホルダーBH1に対するのと同様に、ボ
ビンホルダーBH2の回転駆動を前記理論式[X]に基
づいて見込み制御する。但し、式中の巻き密度ρについ
ては、ボビンホルダーBH2の第1回目の巻取工程に限
り、直前のボビンホルダーBH1の巻取工程から前記式
[A]に基づき得られた補正値を用いることが望まし
い。ボビンホルダーBH1の補正値を用いずに、予め初
期値として設定された巻き密度でボビンホルダーBH2
の回転駆動を制御することも不可能ではないが、直前の
ボビンホルダーBH1による巻取工程から得られる補正
値を用いることで、より精密な補正が可能となる。
【0041】しかるのちボビンホルダーBH2が満巻き
状態に達したならば、再びターレットtを回動させてボ
ビンホルダーBH1での糸巻取工程を実行するが、その
際、浮かし巻き中の回転駆動を見込み制御する計算式
[X]中の巻き密度は、直前のボビンホルダーBH2に
よる巻取工程から得られる補正値ではなく、前回のボビ
ンホルダーBH1による巻取工程から得られた補正値を
用いる。以後、巻き密度の補正値は、ボビンホルダーB
H1については前回のボビンホルダーBH1の巻取工程か
ら得られた最新の補正値を、ボビンホルダーBH2につ
いては前回のボビンホルダーBH2の巻取工程から得ら
れた最新の補正値をそれぞれ用いるようにする。ボビン
ホルダーBH1,BH2の各回の巻取工程で得られる補正
値は、レギュレーターreg内に各ボビンホルダーBH
1,BH2に対応させて設けた計算式記憶部にそれぞれ記
憶させる。本発明は、ボビンホルダーBH1,BH2の回
転駆動を制御する計算式の補正を前記の如く各独立に行
うことで、モーターの状態等の違いに基づく所要補正量
の微妙な差異を正確に反映させることが出来るから、ボ
ビンホルダーBH1、BH2の回転駆動の制御をきわめて
精度高く行える。
【0042】ところで前記補正式〔A〕により算出され
る補正量(絶対値)には、上限を設定することが望まし
い。何故ならば、算出される補正量が極度に大きい場合
は、装置に何らかの異常が生じている可能性が高いから
であり、補正量が過大であると、その過大な補正値が次
回以降の巻取工程に反映されて、巻き密度の値が異常な
ままで糸巻取工程が継続して実行され、その結果、糸切
れ等のトラブルを多発させるおそれがあるからである。
そこで、補正量に上限を設けることにより、次回以降の
巻取工程における巻き密度の補正値が異常になるのを予
防することができ、また、補正量の大きさを制限するこ
とで、ボビンホルダーの見込み回転速度と実際の生産速
度との偏差を迅速に収束させることができる。なお、算
出した補正量が所定値より大きいときには、装置に何ら
かの異常が生じている可能性が高いので、その補正量を
無効とするか、及び/又は、アラームを発するようにし
てもよい。
【0043】本発明は巻取工程を実行するたびに、巻き
密度の補正量を算出するので、これを画面上又は印刷等
により表示させるようにすることもできる。巻き密度の
補正量の表示手段を備えることにより、作業者が補正量
を常時監視することが可能となり、異常の早期発見や、
糸巻取システムの改良につながる。
【0044】また、糸巻取工程を一度中断した場合で
も、前回の巻取工程における最終補正値を採用すること
により、同じ条件で巻取を再開することが出来るから、
良好な糸巻取工程を実行するできるという利点が得られ
る。
【0045】本発明の実施形態は次のような変更も可能
である。上に述べたのは、糸巻取工程の開始時に浮かし
巻きを実行する場合であったが、コンタクトローラーC
RをボビンBに小さい接圧で接触させるソフト巻きで巻
取工程を開始する場合におけるボビンホルダーの回転駆
動の制御に、本発明を適用することができる。また、図
示した実施形態は、ターレットtに2本のボビンホルダ
ーBH1,BH2を装着した場合であったが、3本以上の
ボビンホルダーを装着して順次使用することも考えられ
る。この場合、2番目、3番目のボビンホルダーに対す
る最初の巻取開始時の補正は、1番目のボビンホルダー
で得られた補正値を適用すればよい。あるいは、3番目
のボビンホルダーについては、最初の巻取開始時の補正
を、直前のボビンホルダーである2番目のボビンホルダ
ーで得られた補正値を適用して行ってもよい。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、複数のボビンホルダー
を順次使用して糸巻取工程を実行するに際し、浮かし巻
き時又はソフト巻き時のボビンホルダーの回転速度を制
御するための計算式の補正を各ボビンホルダーごとに独
立に行うので、精度の高い補正を実現することが可能で
ある。従来は、複数のボビンホルダーを用いる場合で
も、共通の補正式で補正していたため、浮かし巻き工程
又はソフト巻き工程から通常巻取工程へ移行したときの
コンタクトローラーの周速度と糸パッケージの周速度と
の間の偏差が必ずしも解消されない場合があった。しか
るに本発明では、ボビンホルダーごとに個別に最適な補
正を実行するから前記偏差を確実に解消でき、それ故、
浮かし巻き工程から通常の巻取工程へ移行したときに、
コンタクトローラーと糸パッケージとの周速度を一致さ
せることが可能なので、糸の損傷や糸切れの発生が抑え
られる。
【0047】また、2番目のボビンホルダーにおける最
初の巻取工程時の補正を、1番目のボビンホルダーの巻
取工程から得られる補正値を反映させるようにすれば、
巻取工程の実行のための各種パラメーターの初期設定値
に多少の問題があった場合でも、浮かし巻きから通常の
巻取工程への移行時に発生し得る速度変動を抑制するこ
とが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る巻取装置の一例を概略的に示す
ものであって、通常の巻取状態を示す図面である。
【図2】 本発明に係る巻取装置の一例を概略的に示す
ものであって、浮かし巻き開始直前の状態を示す図面で
ある。
【図3】 本発明に係る巻取装置におけるボビンホルダ
ー及びコンタクトローラーの回転駆動機構の一例を概略
的に示す図面である。
【図4】 コントローラー内に設けられるレギュレータ
ーの構成の一例を概略的に示す図面である。
【図5】 本発明に係る巻取装置における弾性支持手段
の一例を示す概略図である。
【図6】 本発明に係る巻取装置における弾性支持手段
の他の例を示す概略図である。
【図7】 本発明に係る巻取装置における弾性支持手段
のさらに他の例を示す概略図である。
【図8】 本発明に係る巻取装置における弾性支持手段
のさらに異なる例を示す概略図である。
【図9】 本発明に係る巻取装置を用いた巻取工程を説
明するフローチャートである。
【図10】 本発明に係る巻取装置におけるBH1 モー
ターに対する回転速度指令値を補正する要領を説明する
グラフである。
【符号の説明】
B…ボビン BH1 ,BH2 …ボビンホルダー CR
…コンタクトローラー P…糸パッケージ M…巻取装置 S0…コンタクトロ
ーラーの回転速度センサー S1 …ボビンホルダーの回
転速度センサー S2 …コンタクトローラーの回転速度
センサー a…支持力制御手段 b…ピストン軸 c…
シリンダ室 d…圧力調節装置 e…圧縮空気供給源
f…フレーム g…スライド軸 k…弾性支持手段
mt…ターレット用モーター m1…ボビンホルダーB
H1用モーター m2…ボビンホルダーBH2用モーター
sb…スライドボックス t…ターレット

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボビンが装着される複数本のボビンホル
    ダー、各ボビンホルダーごとに設けた回転駆動手段、各
    ボビンホルダーを巻取位置と待機位置との間で移動させ
    て位置変更する手段、ボビンに巻き取られて形成される
    糸パッケージと接触するコンタクトローラー、コンタク
    トローラーの回転駆動手段、前記ボビンホルダー及びコ
    ンタクトローラーの回転駆動を制御するコントローラ
    ー、前記コンタクトローラーとボビンとの間の距離を調
    整する手段が設けられ、前記複数本のボビンホルダーを
    順次巻取位置へ移動させると共に糸の受け渡しを行って
    巻取工程を連続的に実行できるように構成された糸巻取
    装置であって、前記コンタクトローラーを当初はボビン
    に対し非接触又は低接圧の状態に保持して糸巻取工程を
    開始し、所定量の糸が巻き取られたならば前記コンタク
    トローラーを糸パッケージに対し所定の接圧で接触させ
    るように設定され、前記コントローラーは、糸巻取工程
    の開始時は所定の計算式に基づいてボビンホルダーの回
    転駆動を制御し、前記コンタクトローラーを糸パッケー
    ジに接触させた後はコンタクトローラーの検出回転速度
    に基づいてボビンホルダーの回転駆動を制御するように
    制御方式を切り換えると共に、糸巻取工程の開始時に使
    用する前記計算式の補正を、制御方式切換後のボビンホ
    ルダーの回転速度に基づいて各ボビンホルダーごとに独
    立して実行するように設定されていることを特徴とする
    糸巻取装置。
  2. 【請求項2】 最初の巻取工程において行われる前記計
    算式の補正結果を利用して、直後の巻取工程の開始時に
    使用する計算式を補正するように設定した請求項1に記
    載の糸巻取装置。
  3. 【請求項3】 複数本のボビンホルダーそれぞれにボビ
    ンを装着し、各ボビンホルダーを順次巻取位置へ移動さ
    せると共に糸の受渡しを行って、連続的にボビンに糸を
    巻き取る方法であって、コンタクトローラーを当初はボ
    ビンに対し非接触又は低接圧の状態に保持して糸巻取工
    程を開始し、所定量の糸が巻き取られたならば前記コン
    タクトローラーを糸パッケージに対し所定の接圧で接触
    させ、糸巻取工程の開始時は所定の計算式に基づいてボ
    ビンホルダーの回転駆動を制御し、前記コンタクトロー
    ラーを糸パッケージに接触させた後はコンタクトローラ
    ーの検出回転速度に基づいてボビンホルダーの回転駆動
    を制御するように制御方式を切り換えると共に、糸巻取
    工程の開始時に使用する前記計算式の補正を、制御方式
    切換後のボビンホルダーの回転速度に基づいて各ボビン
    ホルダーごとに実行するように設定されていることを特
    徴とする糸巻取方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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CN108996317A (zh) * 2017-06-06 2018-12-14 日本Tmt机械株式会社 纱线卷取机

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