JP4712549B2 - ワインダー - Google Patents

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Description

コーン巻きパッケージに接触して回転しこのパッケージを連動して回転させるドラムと、前記ドラムを回転駆動するドラムドライバーと、を備える、ワインダーに関する。
従来より、ボビン上に糸を巻き取ってパッケージを形成するワインダーにおいて、接触ドラム式としたものが知られている。つまり、パッケージの回転駆動手段を、このパッケージに接触して回転し、このパッケージを連動して回転させるドラムとしたものである(特許文献1)。
特開平5−246619号公報
図4には、接触ドラム式のワインダーにおける、ドラム10およびコーン巻きパッケージ4を図示している。ここで、コーン巻きとは、ボビン13がコーン(円錐台形状の筒体)であって、このボビン13上に形成されるパッケージ4が円錐台形状の筒体となることを意味している。
パッケージ4は、ドラムと接触することで、ドラム10からの回転駆動力を受けて回転する。このパッケージ4は、軸方向の一点である駆動点Pにおいて、ドラム10と実質的に接触し、この駆動点Pでドラム10からの回転駆動力を受ける。また、パッケージ4はコーン状なので、軸方向で径の大きさが変化する。パッケージ4の軸方向位置が異なると、その位置におけるパッケージ4の外周長さも異なるものとなる。このため、パッケージ4は、軸方向の異なる二点から、ドラム10の回転駆動力を受けることはなく、常に軸方向上の一点である駆動点Pからのみ回転駆動力を受ける。
この駆動点Pの位置は、パッケージ4の重心の変化により変動する。このため、パッケージ4の径が増大して、パッケージ4の重量が増加するのに伴って、パッケージ4の軸方向を大径側へと移動する。そうすると、駆動点Pにおけるパッケージ4の外周長さが徐々に長くなっていき、ドラムの回転速度が一定であっても、パッケージ4の回転速度が徐々に低下することになる。
図2には、コーン巻きのパッケージに巻き取られる糸の走行速度(以下、糸速)が、パッケージの巻き径の変化につれて、変化する様子を図示している。
図2(a)のように、ドラムは一定の回転速度で回転しており、その周速度Vdは一定である。図2(b)のように、これに対して、糸速は、パッケージの巻き径が小さい段階(巻き始め側)では周速度Vdより大きく、パッケージの巻き径が大きい段階(巻き終わり側)ではドラム速度Vdより小さくなっている。
従来は、糸速がドラムの回転速度に比例すると考えられていたため、ドラムの回転速度を検出することで、糸速を算出することができる、と考えられていた。しかし、図2に示すように、実際の糸速は、ドラムの回転速度とは、比例関係にない。
このため、ドラムの回転速度の検出に基づいて、ドラムの回転速度が一定値もしくは所定範囲内に収まるように制御しても、糸速自体を制御したことにはならず、実際の糸速が想定外の速度になってしまうこともあった。糸速が想定外の速度となった場合、巻き取りのテンションの大きさも想定外となるなど、糸品質自体にも影響が出てしまう恐れがある。
つまり、解決しようとする問題点は、接触ドラム式のワインダーにおいて、コーン巻きのパッケージに巻き取られる糸の走行速度である糸速を制御すべく、ドラムの回転数検出に基づいてドラムの回転速度を制御しても、実際の糸速が想定外の速度になってしまうことがあった点、である。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1に係るワインダーは、
コーン巻きパッケージに接触して回転し、このパッケージを駆動点で回転力を付与して連動して回転させるドラムと、
前記ドラムを回転駆動するドラムドライバーと、
を備える、ワインダーであって、
パッケージに巻き取られる糸の走行速度である糸速の瞬間値を検出する手段と、前記糸速の瞬間値をトラバース周期の定数倍の時間幅で平均化した糸速平均値を算出する速度平均化手段と、を備えた糸速検出手段と、
前記糸速平均値が、糸速の目標値である所定の一定値と一致するように、前記ドラムの回転速度の指令値を設定して、前記ドラムドライバーを制御する制御装置と、
を備える、ものである。
糸速検出手段としては、接触式か非接触式かを問うものではない。
以上構成により、次の作用がある。
コーン巻きのパッケージに巻き取られる糸の走行速度である糸速が、糸速の目標値である所定の一定値に一致する状態に保たれる。
請求項2に係るワインダーは、請求項1において、次の構成としたものである。
前記ドラムは、このドラムの外周面に綾振り溝が形成された、綾振りドラムとする、ものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、
コーン巻きのパッケージに巻き取られる糸の走行速度である糸速を適切に制御することが可能となる。
また、糸速が一定に保たれることにより、パッケージに巻き取られる糸にテンション差が生じない状態で、糸をパッケージに巻き取ることができる。このため、パッケージ形状が良好となり、解舒時の解舒速度が均一となって糸品質の向上につながる。さらに、糸速が変動しないため、常に糸速をワインダーで可能な最大速度に設定することができ、生産効率の向上につながる。
請求項2においては、請求項1の効果に加えて、
綾振り用のトラバース装置を別設する必要がなく、装置構成が簡素化される。
本発明の一実施の形態を説明する。
図1を用いて、自動ワインダーを説明する。
この自動ワインダーは、精紡機等で生産した給糸パッケージ2を巻き返して、所定形状の巻取りパッケージ4を形成する装置である。この自動ワインダーは、一錘の巻返しを担当するワインディングユニット1を多数備えている。
図1に示すように、ワインディングユニット1には、給糸パッケージ2が下部に配置され、巻取りパッケージ4が上部に配置されている。このワインディングユニット1には、給糸パッケージ2から巻取りパッケージ4に至る糸3の走行経路に沿って、解舒補助装置5、可変テンション装置6、糸継ぎ装置9、糸速センサー7、糸欠点検出装置8、綾振りドラム10、が配置されている。
また、綾振りドラム10を回転駆動するドラムドライバー11や、ドラムドライバー11に指令して綾振りドラム10の回転駆動を制御するシーケンサー12も、ワインディングユニット1には備えられている。
解舒補助装置5は、給糸パッケージ2より、その軸方向に糸3を解舒する際に発生する解舒バルーンを制御する装置である。
この解舒補助装置5は、給糸パッケージ2のボビン21に被さる傘状の筒部材51と、この筒部材51と給糸パッケージ2のチェス部との間隔δを略一定に保って降下させる駆動機構52と、を備えている。筒部材51は、解舒時のバルーン径が略一定となるように制御され、解舒が進行しても解舒テンションが増えないようにしている。
可変テンション装置6は、給糸パッケージ2から解舒される糸3に、可変の巻取りテンションを加える装置である。
この可変テンション装置6は、糸3の糸走行経路を挟んで対向する位置で互い違いに配置される固定の櫛歯61および可動の櫛歯62と、両櫛歯61・62の噛み合い量を増減するソレノイド等の駆動機構63と、を備えている。
この可変テンション装置6は、シーケンサー12からの制御信号により、固定の櫛歯61に対する可動の櫛歯62の噛み合い量、すなわち糸走行経路のジグザグ状の屈曲程度が制御され、糸3に対して付与する巻取りテンションを逐次制御できる構造になっている。
糸速センサー7は、非接触式で、糸3の走行速度(糸速)を検出する装置である。
この糸速センサー7は、光学式の糸太さ検出装置を糸走行方向に沿って複数備えており、糸走行方向で異なる位置にある糸太さ検出手段の出力信号を元に、空間フィルタ方式を利用して、糸3の走行速度を検出する。
この光学式の糸太さ検出装置は、受光素子と光源とを備えている。この糸太さ検出手段の検出位置を通過する位置の糸3の糸太さに応じて、受光素子への受光量が変化して、糸太さに応じた電気信号が、この糸太さ検出装置より出力される。
糸欠点検出装置8は、スラブなどの糸欠点を糸3上に検出すると、糸3を切断する装置である。
この糸欠点検出装置8は、通過する糸3の糸太さを検出する糸太さ検出装置81と、糸太さが糸欠点であるか否かを判定する糸欠点判定装置82と、糸欠点であると判定されると糸3を切断する糸切断装置83と、を備えている。巻取り中において、糸太さ検出装置81を通過する糸3の糸太さは、電気信号として糸欠点判定装置82に入力される。糸欠点判定装置82は、この糸太さの電気信号を基準値と比較演算し、許容範囲を超える場合には、糸欠点部分が通過したものと判断して、直ちに糸切断装置83に糸切断の指令信号を出力する。そうすると、糸切断装置83が作動して、強制的に糸切断が行われる。
また、この糸切断に伴い、糸太さ検出装置81からの糸走行信号がオフとなり、糸欠点判定装置82は糸切れを感知すると共に、綾振りドラム10の停止信号をシーケンサー12を介してドラムドライバー11に送信し、綾振りドラム10の回転を停止させる。
また、糸欠点検出装置8に備える糸太さ検出装置81も、受光素子と光源とを備えている。そして、糸太さに応じた電気信号が、この糸太さ検出装置より出力される。
糸継ぎ装置9は、給糸パッケージ2側の下糸と、巻取りパッケージ4の上糸とを、糸継ぎする装置である。糸欠点検出装置8での糸切断等により糸切れが発生すると、糸3は上糸と下糸とに分離されるので、この糸継ぎ装置9により糸継ぎして、巻取りパッケージ4への巻返しを再開する。ここで、糸太さ検出装置81からの糸走行信号がオフとなった場合、糸欠点判定装置82は、糸切断装置82の作動後に糸継ぎ装置9を作動させるべく、シーケンサー12を介して、糸継ぎ装置9に糸継ぎの指令信号を送信する。
この糸継ぎ装置9は、空気流により上糸および下糸の繊維同士を絡ませて糸継ぎする空気ノズル装置91と、下糸を吸引捕捉して空気ノズル装置91に案内する下糸吸引装置92と、上糸を吸引捕捉して空気ノズル装置91に案内する上糸吸引装置93と、を備えている。
下糸吸引装置92は、糸3を吸引捕捉する吸引管を本体とし、この吸引管の先端の吸引口92aが、この吸引管の末端の軸92b回りに回動可能に構成されている。この吸引管の上下回動により、吸引口92aは、空気ノズル装置91と解舒補助装置5の上方位置との間を移動する。上糸吸引装置93も同様の構成であり、糸3を吸引捕捉する吸引管を本体とし、この吸引管の先端の吸引口93aが、この吸引管の末端の軸93b回りに回動可能に構成されている。この吸引管の上下回動により、吸引口93aは、空気ノズル装置91と巻取りパッケージ4の周面との間を移動する。
ここで、糸欠点検出装置8で糸欠点の検出による強制的な糸切断が行われると、上糸は巻取りパッケージ4にて巻き取られ、下糸は、前記糸継ぎの指令信号に基づき、吸引口92aを解舒補助装置5の上方位置に待機させていた下糸吸引装置92に捕捉される。
次いで、上糸が、糸継ぎの指令信号に基づき、吸引口93aを巻取りパッケージ4の周面に待機させていた上糸吸引装置93に捕捉される。
その後、下糸吸引装置92が吸引口92aを上方に移動させて、下糸を空気ノズル装置91に導くと共に、上糸吸引装置93が吸引口93aを下方に移動させて、上糸を空気ノズル装置91に導き、空気ノズル装置91において、上糸と下糸とが糸継ぎされる。
この糸継ぎ動作の後、綾振りドラム10の回転駆動がシーケンサー12の指令により再開され、再度巻取りが行われる。
綾振りドラム10は、糸3を巻取りパッケージ4に綾巻きする装置である。
より詳しくは、この綾振りドラム10は、糸3を巻取りパッケージ4の軸方向に振り動かす機能(トラバース手段)と、巻取りパッケージ4を回転させて、この巻取りパッケージ4上に糸3を巻き取る機能(巻取り手段)と、を有するものである。
巻取り手段としての機能は、この綾振りドラム10が円柱形状の回転体に形成されることで実現されている。この綾振りドラム10は、その外周面が巻取りパッケージ4の外周面と接触するように配置される。この状態で、この綾振りドラム10を回転させることで、巻取りパッケージ4が綾振りドラム10に連動して回転する。
また、トラバース手段としての機能は、この綾振りドラム10の外周面に形成された糸3を案内する溝(綾振り溝)10aによって実現されている。この溝は、この綾振りドラム10の周方向に沿って、綾振りドラム10の軸方向に変位するように形成されている。そして、この溝10aに案内される糸3が、綾振りドラム10の回転に伴って、綾振りドラム10の軸方向に振り動かされる。
糸3を巻取りパッケージ4に綾巻きする装置としては、トラバース手段と巻取り手段とを一体的に備える綾振りドラム10に限定されるものではなく、トラバース手段としての装置と、巻取り手段としての装置とを、別体として備えるものであってもよい。例えば、トラバース手段は、糸ガイドを巻取りパッケージ4の軸方向に振り動かす装置とし、巻取り手段は、糸案内溝のない単なる円筒形状回転体(ドラム)としてもよい。
巻取りパッケージ4は、コーン巻きで形成されるパッケージである。
この巻取りパッケージ4のボビン13は、コーン(円錐台状の筒体)である。糸3は綾振りされながらボビン13の外周面上に巻き取られるため、糸3の巻き径は、ボビン13の軸方向で巻き径が均一となる。このため、このボビン13上に巻き取られて形成される巻取りパッケージ4は、コーン巻きとなる。
巻取りパッケージ4(ボビン13)の外周面が常に綾振りドラム10の外周面に接触するように、ボビン13は、図示せぬクレードルアームにより支持されている。このクレードルアームは、ボビン13上に形成される巻取りパッケージ4の巻き径の増大に応じて、ボビン13の支持位置を変化させる。
巻取りパッケージ4およびボビン13はコーンであるため、巻取りパッケージ4(ボビン13)の外周面の下端が、綾振りドラム10の外周面の上端に平行となるように、ボビン13はクレードルアームに支持されている。そして、巻取りパッケージ4(ボビン13)の外周面の下端の全体が、綾振りドラム10の外周面の上端の全体に、接触しうる状態が保たれるようにしている。ここで、綾振りドラム10の上方にボビン13が配置される構成である。
駆動点P(巻取りパッケージ4と綾振りドラム10との実質接触点)について説明する。
綾振りドラム10の静止状態では、巻取りパッケージ4(ボビン13)下端の全体と、綾振りドラム10上端の全体とが、全体的に接触した状態にある。つまり、巻取りパッケージ4と綾振りドラム10との外周面同士が、線接触した状態にある。
これに対して、綾振りドラム10が回転駆動されている状態では、巻取りパッケージ4と綾振りドラム10との外周面同士が、実質的には、一点でのみ点接触する状態となる。この点接触する位置を駆動点Pとする。つまり、巻取りパッケージ4(ボビン13)は、実質的には、駆動点Pでのみ、綾振りドラム10の回転力を付与される。
巻取りパッケージ4(ボビン13)が駆動点Pでのみ回転力を付与されるのは、次の理由による。巻取りパッケージ4(ボビン13)はコーン状であるので、巻取りパッケージ4(ボビン13)の軸方向で外周長さが異なっている。一方、綾振りドラム10から付与される周速度は、巻取りパッケージ4(ボビン13)の軸方向位置によらず同一である。しかし、巻取りパッケージ4(ボビン13)の軸方向位置が異なる部位同士で、同じ周速度を付与された場合、外周長さが異なるため、異なる回転速度を付与されたことになる。巻取りパッケージ4(ボビン13)の形状が安定しているとすると、軸方向の異なる位置で、巻取りパッケージ4の回転速度が異なることはありえない。したがって、実質的に、巻取りパッケージ4(ボビン13)の軸方向上の一点(駆動点P)でのみ、綾振りドラム10の回転力が巻取りパッケージ4(ボビン13)に伝達されることになる。
この駆動点Pは、綾振りドラム10に接する巻取りパッケージ4(ボビン13)のつり合い中心位置となっている。このつり合い中心位置は、巻取りパッケージ4(ボビン13)の重心位置と、クレードルアームがボビン13の両軸端を支持する支持力の大きさと、によって決定される。
ここで、巻取りパッケージ4(ボビン13)の重心位置は、糸3の巻き取りの伸展による巻き径の増大によって、大径側へと変位する。
このため、駆動点Pは、巻取りパッケージ4の巻き径の増大に応じて、矢印A(図1)で示すように、巻取りパッケージ4の大径側へと移動する。
図2を用いて、綾振りドラム10の回転速度を一定とした場合の問題点を説明する。
ここで、参考までに、綾振りドラム10の回転速度を、巻取りパッケージ4の巻き径の変化に関わりなく一定とした場合について説明する。綾振りドラム10の回転速度を一定とした場合、糸速が一定とならないという問題が発生する。
この不具合を防止すべく、ワインディングユニット1には、糸速を一定に制御可能な糸速制御機構15が備えられている。糸速制御機構15については、後述する。
図2(a)は、綾振りドラム10の周速度と巻き径との関係を示している。この周速度Vdを太い実線で示している。この周速度Vdは、一定値である。
また、図2(b)は、糸3の走行速度(糸速)と巻き径との関係を示している。糸速の平均値(後述のトラバース平均値)を太い破線で示すと共に、この平均値の上下で振動する糸速の瞬間値の上限および下限を、細い破線で示している。なお、前述の糸速センサー7は、糸速の瞬間値を検出する。
図2(a)・(b)の横軸は巻取りパッケージ4の巻き径の大小軸であり、縦軸は糸速もしくは周速度である速度軸である。
図2(a)で綾振りドラム10の回転速度ではなく周速度を図示しているのは、詳しくは後述するが、糸速に対応する速度が、綾振りドラム10の回転速度ではなく、綾振りドラム10の周速度である、ことによる。この綾振りドラム10の周速度は、綾振りドラム10の回転速度と、綾振りドラム10の径とによって、決定される。
また、巻取りパッケージ4の巻き径は、時間経過と共に増大するものであるので、図2(a)・(b)の横軸は、概略的には時間軸でもある。
図2(a)のように、綾振りドラム10の周速度(回転速度)を一定とした場合、巻取りパッケージ4の巻き径の増大に応じて、図2(b)のように、糸速が徐々に低下していく。
本実施の形態では、この糸速は、巻取りパッケージ4の巻き始め段階(巻き径が小さい段階)では、一定とする綾振りドラム10の周速度よりも大きく、巻取りパッケージ4の巻き終わり段階(巻き径が大きい段階)では、綾振りドラム10の周速度よりも小さくなっている。
つまり、巻取りパッケージ4の巻き径の変化に応じて、糸速に変動が生じている。
以上のように、糸速が巻取りパッケージ4の巻き径の変化によって変化する場合、巻取りパッケージ4に、糸3がテンション差がある状態で巻き取られることになる。そうすると、パッケージ形状の悪化や、糸解舒性の低下を招くことなる。加えて、糸速に変動幅があると、糸速の上限値に合わせて、糸走行経路上に配置される各装置(解舒補助装置5や可変テンション装置6等)の許容速度が制限されることになる。つまり、巻き始めから巻き終わりまでの平均の糸速よりも高い速度に耐えられるように、糸走行経路上に配置される各装置を構成する必要がある。これが、糸速が一定にならない場合に発生する、前述した不具合である。
ここで、糸速を決定する要因を説明する。
糸速は、概略的には、巻取りパッケージ4の回転速度に比例する。
これは、糸3が、巻取りパッケージ4に巻き取られることで、引っ張られてワインディングユニット1内の糸走行経路上を走行することによる。ワインディングユニット1において、糸3を走行させる駆動手段は、巻取りパッケージ4を回転させる綾振りドラム10のみである。
そして、綾振りドラム10の回転速度を一定とした場合、前述した駆動点Pの変位によって、巻取りパッケージ4の回転速度の変化が発生する。
巻取りパッケージ4の回転速度は、巻き径の増大に応じて駆動点Pが大径側に変位するほど、低下する。これは、次の理由による。
綾振りドラム10の回転速度が一定の場合、綾振りドラム10の周速度も一定である。また、前述したように、駆動点Pでのみ、綾振りドラム10と巻取りパッケージ4とが実質的に接触した状態にある。この巻取りパッケージ4には、駆動点Pで、綾振りドラム10より一定の周速度が付与されることになる。そして、綾振りドラム10の周速度が一定で、駆動点Pが巻取りパッケージ4の大径側に移動すると、駆動点Pにおける巻取りパッケージ4の外周長さが増大して、巻取りパッケージ4の一回転に要する時間が増大する。つまり、駆動点Pの大径側への変位により、巻取りパッケージ4の回転速度が低下する。さらに、巻き径の増大自体が、巻取りパッケージ4の外周長さを一律に増大させる。
このため、巻取りパッケージ4の巻き径の増大に伴って、駆動点Pの大径側への変位と、巻き径自体の増大とが、共に外周長さの増大につながって、巻取りパッケージ4の回転速度を低下させることに寄与する。図2(b)は、以上の状況を反映したものである。
図2を用いて、糸速についてさらに詳しく説明する。
糸3が綾巻きで巻取りパッケージ4に巻き取られるため、糸速の瞬間値は、綾巻きの周期(トラバース周期)で変動する。この糸速の変動範囲は、図2(b)に示す上下の細い破線の範囲内である。これは、次の理由による。
糸速の瞬間値は、概ね、糸3が実際に巻き取られる位置での、巻取りパッケージ4の周速度に等しいものである。コーンとした巻取りパッケージ4においては、巻取りパッケージ4の回転速度が一定であっても、巻取りパッケージ4の軸方向位置が異なれば、巻取りパッケージ4の周速度は異なるものとなる。しかも、糸3は綾巻きで巻取りパッケージ4に巻き取られるため、巻取りパッケージ4上に巻き取られる位置が、刻一刻と変化する。
また、綾巻きが行われる際に、糸3は巻取りパッケージ4の軸方向で振り動かされるため、綾振りドラム10から巻取りパッケージ4に至る糸3の経路長が変動することにより、糸3が引き伸ばされたり、弛ませられたりする。この影響により、糸速の瞬間値は、巻き取られる位置での巻取りパッケージ4の周速度から、ずれた値となる。
以上のような綾巻きによる糸速の変動は、駆動点Pの変位による糸速変動の影響と比べて、無視できる程度に小さいものである。そこで、糸速の瞬間値ではなく、綾巻きの周期(トラバース周期)で瞬間値を平均化した糸速のトラバース平均値を、巻取りパッケージ4の巻き径の変動により影響を受ける対象として考慮すればよい。
図1を用いて、糸速を制御する糸速制御機構15を説明する。
糸速制御機構15の説明において、特に説明しない場合は、糸速とは、糸速のトラバース平均値のことを意味する。
糸速制御機構15は、糸速を、糸速の目標値に追従するように制御する機構である。この糸速制御機構15において、糸速の目標値を一定値とすることで、前述した巻き径の変化による糸速の変化を防止すべく、巻き径の変化に関わらず糸速を一定に制御することが可能である。
この糸速制御機構15は、糸3を走行させる綾振りドラム10と、綾振りドラム10を回転駆動するドラムドライバー11と、綾振りドラム10の回転速度を制御する制御装置であるシーケンサー12と、糸速の瞬間値を検出する糸速センサー7と、を備えている。
このシーケンサー12は、糸速センサー7の検出する糸速の瞬間値より糸速のトラバース平均値を算出し、このトラバース平均値が所定の目標値となるように、ドラムドライバー11を介して綾振りドラム10の回転駆動を制御する。
なお、ドラムドライバー11は、綾振りドラム10を回転駆動させる駆動モータ11aと、この駆動モータ11aの出力を変化させるインバータ11bと、を備えている。
シーケンサー12をより詳しく説明する。
シーケンサー12は、コンピュータ装置であり、プログラムに基づいてデータ処理を行う演算装置12aと、データや前記プログラムの記憶される記憶装置12bと、を備えている。また、シーケンサー12に備える入出力装置を介して、糸速センサー7やドラムドライバー11と信号伝達可能に接続されている。
シーケンサー12における糸速のトラバース平均値の算出について説明する。
糸速センサー7の出力信号は、糸速の瞬間値に対応する信号であるため、シーケンサー12において、糸速のトラバース平均値の算出が行われる。
シーケンサー12の記憶装置12bには、トラバース手段としても機能する綾振りドラム10の回転速度情報が、時系列で記憶されている。演算装置12aは、この回転速度情報より、現在時点におけるトラバース周期を算出する。次いで、演算装置12aは、このトラバース周期で、糸速センサー7より送信される糸速の瞬間値を平均して、糸速のトラバース平均値を算出する。
以上において、糸速センサー7とシーケンサー12とにより、糸速(トラバース平均値)の検出手段が構成されている。
糸速センサー7は、糸速の瞬間値の検出手段を構成するものである。
また、シーケンサー12は、糸速の瞬間値をトラバース周期で平均化した糸速のトラバース平均値を算出する速度平均化手段を構成するものである。
なお、糸速の瞬間値を平均する時間幅は、トラバース周期の一周期の時間幅(本実施の形態)に限定されるものではなく、トラバース周期の定数倍の時間幅であればよい。
なお、厳密には、糸速センサー7を用いて、糸速の瞬間値を求めることはできない。これは、糸速に応じて、糸速の検出に要する時間幅は変化することによる。
空間フィルタ方式を利用する場合は、糸速に応じて、糸速の判断材料とする周波数の大きさが変化して、糸速の検出に要する時間が変化する。また、回転数検出装置を利用する場合であっても、糸速に応じて、糸速の判断材料とするパルスの発信間隔が変化して、糸速の検出に要する時間が変化する。
しかしながら、糸速の検出に要する時間幅は、糸3の定点が糸速センサー7を通過する時間であって、トラバース周期と比べて微小であるので、トラバース周期との関係では、糸速センサー7によって検出される糸速は、糸速の瞬間値とみなすことができる。
シーケンサー12は、糸速の検出値と、記憶装置12bに記憶される糸速の目標値と、を比較する。記憶装置12bには、一定値として設定された糸速の目標値が記憶されている。この目標値は、シーケンサー12への入力装置を介して、変更可能に構成されている。
そして、シーケンサー12は、糸速の検出値が糸速の目標値に一致するように、綾振りドラム10の回転数を制御する。この回転数制御は、綾振りドラム10の回転速度の指令値を、以前の指令値に対して変更・維持することで行われる。
具体的には、糸速の検出値が糸速の目標値を上回る場合、シーケンサー12は、綾振りドラム10の回転速度を低下させるように、綾振りドラム10の回転速度の指令値を、以前の指令値よりも低く設定する。逆に、糸速の検出値が糸速の目標値を下回る場合、シーケンサー12は、綾振りドラム10の回転速度を上昇させるように、綾振りドラム10の回転速度の指令値を、以前の指令値よりも高く設定する。また、糸速の検出値が糸速の目標値に一致する場合、シーケンサー12は、綾振りドラム10の回転速度を維持するように、綾振りドラム10の回転速度の指令値を、以前と同じに設定する。
また、綾振りドラム10の回転速度の検出値を得るための手段として、回転数検出装置16が、ワインディングユニット1に備えられている。この回転数検出装置16の検出する検出値(綾振りドラム10の回転速度の検出値)は、シーケンサー12に送信される。
シーケンサー12は、綾振りドラム10の回転速度の検出値が、綾振りドラム10の回転速度の指令値と、一致しているか否かを判定して、ドラムドライバー11の作動に異常がないかどうかを監視する。なお、綾振りドラム10の回転速度の検出値自体は、シーケンサー12による糸速の目標値追従制御には、利用しない。
図3を用いて、糸速制御機構15により糸速を一定に制御する場合の糸速および綾振りドラム10の回転速度の変化を説明する。
図3(a)は、綾振りドラム10の周速度と巻き径との関係を示している。この周速度を太い実線で示している。この周速度は、巻き径の増大によって増大するように制御される。
また、図3(b)は、糸速と巻き径との関係を示している。糸速の平均値V(トラバース平均値)を太い破線で示すと共に、この平均値の上下で振動する糸速の瞬間値の上限および下限を、細い破線で示している。なお、前述の糸速センサー7は、糸速の瞬間値を検出する。
図3(a)・(b)の横軸は巻取りパッケージ4の巻き径の大小軸であり、縦軸は糸速もしくは周速度である速度軸である。
また、巻取りパッケージ4の巻き径は、時間経過と共に増大するものであるので、図3(a)・(b)の横軸は、概略的には時間軸でもある。
図3(b)のように、糸速を一定に制御する場合、巻き径の増大に応じて、図3(a)のように、綾振りドラム10の周速度(回転速度)が徐々に増大していく。
本実施の形態では、この周速度は、巻取りパッケージ4の巻き始め段階(巻き径が小さい段階)では、一定とする糸速よりも小さく、巻取りパッケージ4の巻き終わり段階(巻き径が大きい段階)では、糸速よりも大きくなっている。
図3(c)には、図3(a)の一部の拡大図を示している。
綾振りドラム10の周速度は、図3(a)に示すように、全体としては徐々に増大しながら、図3(c)に示すように、階段状波形となっている。
これは、糸速制御機構15において、シーケンサー12による綾振りドラム10の回転速度の指令値の変更が、トラバース周期T単位で行われるためである。この回転速度の指令値の設定(変更・維持)は、糸速のトラバース平均値に基づいて行われるため、糸速のトラバース平均値の算出タイミングに追従して行われるのである。
なお、以上においては、糸速制御機構15において、糸速の目標値を一定値として、実際の糸速が一定値になるように制御する場合を説明したが、糸速の目標値は、巻き径(時間経過)によって変化するように設定しても良い。パッケージの巻き始めと巻き終わりとで、テンションを変える必要がある場合などにも、糸速制御機構15を利用して糸速を巻き径に応じて調整することで、対応させることができる。
ワインダーの構成を示す図である。 ドラムの回転速度を一定に制御する場合における糸速と巻き径との関係を示す図である。 糸速を一定に制御する場合における糸速およびドラムの周速度と巻き径との関係を示す図である。 コーン巻きパッケージとドラムとを示す図である。
符号の説明
1 ワインダー
3 糸
4 巻取りパッケージ
7 糸速センサー
10 綾振りドラム
11 ドラムドライバー
12 シーケンサー
15 糸速制御機構

Claims (2)

  1. コーン巻きパッケージに接触して回転し、このパッケージを駆動点で回転力を付与して連動して回転させるドラムと、
    前記ドラムを回転駆動するドラムドライバーと、
    を備える、ワインダーであって、
    パッケージに巻き取られる糸の走行速度である糸速の瞬間値を検出する手段と、前記糸速の瞬間値をトラバース周期の定数倍の時間幅で平均化した糸速平均値を算出する速度平均化手段と、を備えた糸速検出手段と、
    前記糸速平均値が、糸速の目標値である所定の一定値と一致するように、前記ドラムの回転速度の指令値を設定して、前記ドラムドライバーを制御する制御装置と、
    を備える、
    ことを特徴とするワインダー。
  2. 前記ドラムは、このドラムの外周面に綾振り溝が形成された、綾振りドラムとする、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のワインダー。
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