JP2002220581A - 防汚剤 - Google Patents

防汚剤

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JP2002220581A
JP2002220581A JP2001001884A JP2001001884A JP2002220581A JP 2002220581 A JP2002220581 A JP 2002220581A JP 2001001884 A JP2001001884 A JP 2001001884A JP 2001001884 A JP2001001884 A JP 2001001884A JP 2002220581 A JP2002220581 A JP 2002220581A
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JP2001001884A
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Kochin Rin
江珍 林
Kenchin Rin
建▲ちん▼ 林
Bunkyo Ra
文亨 羅
Bunyu Ko
文雄 黄
Konkai Rin
坤海 林
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China Petrochemical Corp
Original Assignee
China Petrochemical Corp
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 油性原料に可溶であり、化学製造工場におい
て汚れの生成を防止し、遊離基の重合反応の進行を抑制
する防汚剤を提供する。 【解決手段】 一般式1の化合物。 [R1とR2は水素またはC1〜10のアルキル基、R3
は水素またはC1〜6のアルキル基、連結基AはC1〜
4のアルキル基で置換されてもよいフェニレン基または
二価の有機基、Wはヒドロキシル基またはNR45(R
4とR5は水素、C1〜6のアルキル基または一価の有機
基である。)であり、nは1〜3の整数である。]この
化合物は、一般式7のフェノール誘導体とホルムアルデ
ヒドと一般式8のアミン誘導体を用いてアンニッヒ反応
により製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は防汚剤(アンチファ
ウラント)に関する。より詳細には、フェノ−ル誘導体
とホルムアルデヒドとアミン化合物とを用いてマンニッ
ヒ反応(Mannich reaction)により製
造される防汚剤に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の化学工場では、通常、反応炉管
系、ヒーターおよび熱交換系統が高温下で運転している
ため、沈降付着物の発生が多く見られる。このような沈
降付着物としては、有機化合物からなる沈殿物が挙げら
れ、中でも不溶性の高分子化合物は、特に処理の困難な
沈殿物の一つである。
【0003】この不溶性の高分子化合物は、一般に飽和
炭化水素や不飽和炭化水素等の炭化水素化合物が重合し
て生成するが、その多くは、不飽和炭化水素の重合反応
により生成する。このような不飽和炭化水素としては、
アルケン類、アルキン類および芳香族化合物類が挙げら
れる。アルケン類およびアルキン類は、芳香族化合物類
よりも容易に重合するため、高分子化合物を生成し易
い。一方、芳香族化合物の中でも、その構造中に、窒
素、酸素およびイオウ等のヘテロ原子を有するものは、
有機金属化合物の存在下で容易に重合することが知られ
ている。
【0004】そして、このような高分子化合物等からな
る沈降付着物は、上記管系の孔径を狭めるとともに熱の
アウトプットを阻害するため、熱伝導に悪影響を与える
原因となる。また、この沈降付着物は、濾過網や濾過バ
ルブを阻めることにより生産性を低下させるため、生産
コストを高める原因にもなる。
【0005】したがって、各種の化学関連工場では、こ
れらの沈降付着物の発生を抑制する手段として、通常、
炭化水素化合物の重合や酸化等を防止するための防汚剤
(アンチファウラント)を用いている。
【0006】そして、今日に至る迄に、種々の防汚剤お
よびその組成物が特許および文献等において多く報告さ
れている。このような報告の一例としては、例えば、米
国特許第4,927,561号、同第5,221,461号および同第5,26
6,186号を挙げることができ、具体的には、米国特許第
4,927,561号には、多官能性の防汚剤組成物が開示され
ており、また同第5,221,461号には、カテコール誘導体
と有機酸とを使用した抗酸化剤の組成物および使用方法
が開示されており、さらに、同第5,266,186号には分散
剤を使用した防汚方法が開示されている。
【0007】また、上記の報告以外にも、例えば、米国
特許第3,281,359号(Oberender etal.)には、イオウお
よびリンを含有するポリアルキレン化合物、アルコール
類、およびエチレングリコールエステルからなる多官能
性組成物が石油潤滑剤の浄化−分散添加剤として有用で
あることが開示されている。しかしながら、その一方
で、このように石油潤滑剤の浄化−分散添加剤としての
有用性が認められる組成物中の官能基の中には、石油化
合物分野における沈殿防止剤としては不適当なものがあ
るとの問題点を指摘した報告もなされている。
【0008】また、米国特許第3,135,792号(Kluge et
al.)には、炭化水素類イオウ・リン酸のアルカリ金属
塩とこれら塩類を使用して特製のプレミアムモーターオ
イル(Premium motor oil)を形成することが述べられ
ている。また、同第4,024,051号(Shell et al.)に
は、無機性イオウ酸化物およびその塩類を抗酸化剤とし
て利用することが開示されており、同第3,105,810号(M
iller et al.)および同第4,107,030号(Solvinsky et
al.)には、油溶性のアラルキル基含有硫化物およびp
−アミノベンゼンスルホン酸アンモニウム化合物を沈澱
防止剤としてそれぞれ使用することが開示されている。
【0009】さらに、米国特許第4,466,905号(Butler
et al.)には、共抑制剤としての2,6−ジニトロ−p
−クレゾール(PNPC)およびベンゼンジアミンの混
合組成物が、蒸留系に酸素を導入する加工過程における
加熱処理の際に生じるエチレン系芳香族化合物の重合を
抑制するのに有用であると記載されている。
【0010】米国特許第3,907,745号(Bsharah et a
l.)には、酸化され易い重合物系に用いられる抗酸化剤
系が開示されている。この抗酸化剤系は、抗酸化剤(例
えば、ベンゼンジアミンキレート剤)および金属性の活
性除去剤(例えば、ポリアミン)等からなり、天然ゴム
や合成ゴム類の重合体系に抗酸化剤として有用であると
記載されている。
【0011】米国特許第4,720,566号(Martin)には、
アクリロニトリルの生産ライン中の冷却管におけるアク
リロニトリルの重合反応の抑制方法および該方法に用い
られるヒドロキシルアミンとベンゼンジアミンよりなる
組成物が開示されている。
【0012】米国特許第4,929,778号(Roling)には、
エチレン系芳香族モノマーの製造および貯存ならびに該
モノマーを含む成品の輸送の際に起こる該モノマーの重
合反応の抑制に有用な組成物およびその抑制方法が記載
されており、ベンゼンジアミン化合物とヒンダードフェ
ノール化合物とからなる組成物が挙げられている。
【0013】米国特許第4,061,545号(Watson)には、
急速に重合するエチレン系芳香族化合物を蒸留する際
に、フェナントロチアジンとt−ブチルカテコールとを
酸素の存在下で反応させた化合物を用いて蒸留装置内で
生成する重合物を軽減させる方法が開示されている。
【0014】米国特許第4,714,750号(Grigsby Jr. et
al.)には、エポキシ促進剤と硬化剤として有用なマン
ニッヒ縮物が開示されている。また、同第4,952,732号
(Sperarza et al.)には、置換フェノールと、アルコ
キシ基を含有するアルキルアミンとを反応させて得られ
たマンニッヒ縮合物が界面活性剤、腐蝕抑制剤、撥水剤
及びペイント結着剤として有用であることが開示されて
いる。さらに、同第4,006,089号(Chibnik)には、燃油
および潤滑油の清潔性の改善に有用なマンニッヒ塩基生
成物が開示されている。さらに、同第3,868,329号(Bro
wn et. al.)には、マンニッヒ塩基を含有したグルーズ
組成物が開示されているが、当該マンニッヒ塩基が、防
汚剤としての用塗に使用できることついては何等開示さ
れていない。さらに、同第3,950,451号、同第3,734,965
号、同第5,101,060号、同第5,120,187号、および同第5,
098,986号には、エポキシ樹脂の硬化剤として有用なマ
ンニッヒ縮合物が開示されている。さらに、同第4,913,
830号および同第5,387,266号には、燃油と其他のメディ
アの分散剤として有用なマンニッヒ塩基縮合物が開示さ
れている。さらに同第4,810,354号には、金属の不活性
化および酸素により促進される炭化水素または石油化合
物の重合を抑制するのに有用なアルコキシ化マンニッヒ
生成物を含む組成物が開示されている。
【0015】しかしながら、油脂の精錬や石油化合物中
間体の製造工場では、エチレン、プロピレン、ブタジエ
ン、スチレン、およびその他の不飽和炭化水素等の有機
化合物が常に存在するため、これらの有機化合物から発
生する沈殿物は製造工場にとって深刻な問題となってい
る。したがって、上記の工場では防汚剤を使用すること
が必要不可欠となっているのが実情である。
【0016】防汚剤は特殊化学薬品であり、通常、油脂
精錬工場や石油化合物関連工場で広く使用されている。
今日、台湾においては、これらの防汚剤はすべて国外輸
入に頼っており、200〜500℃の温度範囲における
製造過程や油脂の精錬過程(例えば、石油の開裂、再調
製、エチレン除去などの過程)に用いられている。そし
て、上記過程において、反応炉中の炭化水素等の有機化
合物は、酸化反応や重合反応により高分子の汚物とな
り、管系や炉壁に付着する。このような汚物が長期に渡
り付着し続けると、製造過程の流量やバルブ、管系の流
通を悪化させ、ひいては熱伝導にも影響をもたらす原因
となる。また、このような汚物の存在は、エネルギー源
の浪費につながるため、逐次運転操作を止めてこれらを
清浄することが必要不可欠であり、結果として生産性を
低下させてしまう原因となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】今日、台湾におけるこ
の種の防汚剤に関する研究は極めて少なく、主にその調
和の研究に偏る傾向があり、新規の防汚剤組成物の研究
開発は積極的に行なわれていないのが実情である。本発
明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意努力検討した結
果、防汚剤として使用できる新規の化合物を見出し、本
発明を完成するに至った。したがって、本発明は、優れ
た防汚効果を発揮する新規の防汚剤を提供することを目
的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、下記一般式(1)で表わされる防
汚剤が提供される。
【0019】
【化12】
【0020】[一般式(1)中、置換基R1およびR
2は、相互に独立であり、水素原子または炭素数1〜1
0の直鎖状および分岐鎖状のアルキル基であり、置換基
3は、水素原子または炭素数1〜6の直鎖状および分
岐鎖状のアルキル基であり、連結基Aは、炭素数1〜4
のアルキル基で置換されてもよいフェニレン基または下
記一般式(2)および一般式(3)で表される二価の有
機基であり、記号Wは、ヒドロキシル基またはNR45
(置換基R4およびR5は、相互に独立であり、水素原
子、炭素数1〜6の直鎖状および分岐鎖状のアルキル
基、または下記一般式(4)および一般式(5)で表さ
れる一価の有機基である。)で表される置換基であり、
nは1〜3の整数である。]
【0021】
【化13】
【0022】[一般式(2)中、置換基R3は、前記一
般式(1)の内容と同様であり、繰り返し数zは、1〜
3の整数である。]
【0023】
【化14】
【0024】[一般式(3)中、置換基R6およびR
7は、相互に独立であり、水素原子または炭素数1〜6
の直鎖状および分岐鎖状のアルキル基であり、繰り返し
数mおよびxは、それぞれ1〜6の整数および0〜35
の整数である。]
【0025】
【化15】
【0026】[一般式(4)中、置換基R1およびR
2は、前記一般式(1)の内容と同様である。]
【0027】
【化16】
【0028】[一般式(5)中、置換基R1〜R3および
連結基Aは、前記一般式(1)の内容と同様であり、繰
り返し数yは1〜3の整数である。]
【0029】また、本発明の防汚剤を構成するにあた
り、前記一般式(1)において、下記一般式(6)で表
される置換基が、ベンゼン環上のヒドロキシル基のオル
ト位およびパラ位またはいずれか一方の置換位置で置換
されていることが好ましい。
【0030】
【化17】
【0031】[一般式(6)中、置換基R3、連結基A
および記号Wは、前記一般式(1)の内容と同様であ
る。]
【0032】また、本発明の防汚剤を構成するにあた
り、前記一般式(1)において、置換基R1およびR2
t−ブチル基またはノニル基であり、置換基R3が水素
原子またはメチル基であることが好ましい。
【0033】また、本発明の防汚剤は、下記一般式
(7)で表されるフェノール誘導体とホルムアルデヒド
と下記一般式(8)で表されるアミン化合物とを用い
て、マンニッヒ反応により製造されることが好ましい。
【0034】
【化18】
【0035】[一般式(7)中、置換基R1およびR
2は、前記一般式(1)の内容と同様である。]
【0036】
【化19】
【0037】[一般式(8)中、置換基R3、連結基A
および記号Wは、前記一般式(1)の内容と同様であ
る。]
【0038】また、上記マンニッヒ反応に用いられる原
料のうち、フェノール誘導体が、少なくともフェノー
ル、クレゾール、ジメチルフェノール、t−ブチルフェ
ノール、ジ−t−ブチルフェノールおよびノニルフェノ
ールからなる群より選ばれることが好ましい。
【0039】また、上記マンニッヒ反応に用いられる原
料のうち、アミン化合物が、少なくともエチレンジアミ
ン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ト
リエチレンテトラアミン(TETA)、1,6−ヘキサ
ジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロピレンジアミ
ン、下記式(9)で表される化合物、および下記一般式
(10)または(11)で表わされるポリエーテルアミ
ン化合物からなる群より選ばれることが好ましい。
【0040】
【化20】
【0041】
【化21】
【0042】[一般式(10)中、繰り返し数pは、1
〜35の整数である。]
【0043】
【化22】
【0044】[一般式(11)中、繰り返し数xは、前
記一般式(3)の内容と同様である。]
【0045】また、本発明の防汚剤は、石油化学工場や
油脂精錬工場で用いられることが好ましい。
【0046】
【発明の実施の形態】本発明の防汚剤は上記一般式
(1)で表される化合物であり、上記一般式(7)で表
されるフェノール誘導体とホルムアルデヒドと上記一般
式(8)で表されるアミン化合物とを用いたマンニッヒ
反応により製造される。具体的には、ホルムアルデヒド
がフェノール誘導体(7)のヒドロキシル基のオルト位
およびパラ位またはいずれか一方の置換位置で反応した
後、アミン化合物(8)のアミノ基とさらに反応するこ
とにより、上記一般式(6)で表される置換基が、フェ
ノール誘導体のベンゼン環上に導入される。
【0047】上記一般式(1)において、置換基R1
よびR2のうち、炭素数1〜10の直鎖状および分岐鎖
状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネ
オペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の一種単独また
は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0048】また、上記一般式(1)において、連結基
Aがフェニレン基の場合、当該フェニレン基上の置換基
である炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、sec−ブチル基、およびt−ブチル基等
の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0049】また、上記一般式(1)の置換基R3なら
びに記号W中のNR45における置換基R4およびR5
うち、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペ
ンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、およびヘ
キシル基等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙
げられる。
【0050】また、上記一般式(1)において、上述の
置換基(6)の個数nは、原料化合物の反応モル比を調
整することにより決定することが可能である。具体的に
は、例えば、フェノール誘導体、ホルムアルデヒド、お
よびアミン化合物の反応モル比をそれぞれ1:1:1と
した場合には、nは1となり、反応モル比を1:2:2
とした場合には、nは2となる。
【0051】また、上記一般式(1)において、連結基
Aが上記一般式(3)で表わされる二価の有機基の場
合、繰り返し数xは、マンニッヒ反応に用いるアミン化
合物の種類により決定される。すなわち、アミン化合物
中にアルキレンオキシ基が含まれていない場合には、繰
り返し数xは0となり、アミン化合物としてアルキレン
オキシ基を複数個含むポリエーテルアミン化合物を用い
る場合には、繰り返し数xは、当該アルキレンオキシ基
の個数に依存することになる。また、繰り返し数mにつ
いてもアミン化合物の種類によって同様に決定される。
【0052】本発明の防汚剤を製造する際に用いるフェ
ノール誘導体としては、例えば、フェノール、クレゾー
ル、ジメチルフェノール、t−ブチルフェノール、ジ−
t−ブチルフェノールおよびノニルフェノール等が挙げ
られる。
【0053】本発明の防汚剤を製造する際に用いるアミ
ン化合物としては、例えば、エチレンジアミン(ED
A)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレ
ンテトラアミン(TETA)、1,6−ヘキサジアミ
ン、N,N−ジメチル−1,3−プロピレンジアミン、上
記式(9)で表される化合物、および上記一般式(1
0)または(11)で表わされるポリエーテルアミン化
合物が挙げられる。
【0054】本発明の防汚剤を製造する際に用いる原料
化合物の使用量については特に制限されるものではない
が、マンニッヒ反応が効率的に進行することから、通
常、フェノール誘導体、ホルムアルデヒド、およびアミ
ン化合物をそれぞれ1〜5:1〜5:1〜5のモル比の
範囲内で用いることが好ましい。
【0055】本発明の防汚剤を製造する場合の反応温度
については、特に制限されるものではないが、マンニッ
ヒ反応が効率的に進行することから、50〜200℃の
範囲内で行うことが好ましく、80〜150℃の範囲内
で行なうことがより好ましい。また、本発明で用いるマ
ンニッヒ反応は、窒素ガス等の不活性ガス気流下で行な
うことが好ましい。
【0056】
【実施例】以下、実施例により更に本発明を詳しく説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。 (実施例1) (1)防汚剤の製造 温度計、温度コントロール装置、窒素ガス導入装置、排
気用管、およびディーンースタークトラップ(Dean
−stark trap)を備えた250mlの三口丸
底フラスコに対し、トルエンの存在下、室温下で2,6
−ジ−t−ブチルフェノール(12)(12.36g、
6mmol)を加え、撹拌しながら上記一般式(10)
で表されるポリエーテル化合物(Jaffamine
(登録商標)D−230、繰り返し数pは2〜3の整数
である。)(6.9g,3mmol)を加え、十分均一
になるまで混合した。
【0057】次に、上記混合物中にホルムアルデヒド
(13)(4.86g,6mmol)を徐々に滴下した
後、90℃に加熱して3時間反応を行ない、その後、反
応温度を100〜110℃まで昇温してさらに1時間反
応を行なった。大部分の水分をトルエンとの共沸混合物
として除去した後、さらに反応温度を140℃に昇温し
て2時間反応を行なった。反応の進行状況は、アミン化
合物を滴定することにより確認した。反応終了後、ロー
タリーエバポレーターを用いて、混合物中の溶剤を80
℃、20mmHgの条件下で除去し、下記式(14)で
表される化合物を得た。得られた化合物(14)のNM
Rスペクトルチャートを図1に示す。
【0058】なお、ここで得られた化合物(14)は、
本発明の上記一般式(1)で表される化合物に相当する
ものであり、具体的には、上記一般式(1)において、
置換基R1およびR2がt−ブチル基であり、R3が水素
原子であり、連結基Aが上記一般式(3)において置換
基R6およびR7がそれぞれ水素原子およびメチル基、繰
り返し数mおよびxがそれぞれ1および2〜3の整数で
ある二価の有機基であり、記号WがNR45で表される
とともに当該R4およびR5がそれぞれ水素原子および上
記一般式(4)で表される一価の有機基に相当する化合
物である。以下に本反応の反応式を示す。
【0059】
【化23】
【0060】(2)防汚剤の試験 ASTM D3241のガソリン酸化安定性基準試験方
法に準拠し、ジエット燃料熱酸化測定機(JFTOPT
II型、Alcor石油工業(株)製)を用いて、防汚
性の測定を行なったところ、表1に示すようにΔT値は
9℃であった。
【0061】ここで、ΔTは防汚剤の効果を表す指標で
あり、試験管を通る原油の中心加熱温度(Tc)と試験
管の末端にある出口を通る際の温度(Tout)との温度
差を示す。したがって、防汚剤の効果が認められる場合
には、試験管の内壁に汚れの層が形成されず、熱伝導効
果が一定に保たれるためΔT値は小さくなる。一方、防
汚剤の効果が認められない場合には、熱伝導効果が発揮
されないため、ΔT値はより大きな値となる。
【0062】(実施例2〜26)表1〜3に示す反応化
合物、使用量および反応条件の下、本発明の防汚剤を製
造し、実施例1と同様にして防汚試験を行なった。結果
を表1〜3に示す。そして、表1〜3の結果から明らか
なように、本発明の防汚剤を添加した場合にはΔT値が
著しく降下しており、極めて優れた防汚効果が発揮され
ていることが理解される。さらに、実施例11、15お
よび23で得られた生成物のNMRスペクトルチャート
をそれぞれ図2、図3および図4に示す。また、実施例
14におけるアミン化合物(ED−2003)は、下記
一般式(15)で表される化合物である。
【0063】
【化24】
【0064】[一般式(15)中、繰り返し数a、bお
よびcは、a+c=5、b=39.5である。]
【0065】(比較例1)原油に防汚剤を添加しない以
外は、実施例1と同様にして防汚試験を行なった。その
結果、ΔT値は15℃であり、試験管の内壁の汚れが顕
著に観察された。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【発明の効果】本発明の防汚剤によれば、油性原料に可
溶であるため、化学製造工程における汚れの生成や遊離
基の重合反応の進行を抑制することができる。また、本
発明の防汚剤は、特に石油化学分野や油脂精錬工場にお
ける防汚剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における反応生成物のNMRスぺクト
ルチャートである。
【図2】実施例11における反応生成物のNMRスぺク
トルチャートである。
【図3】実施例15における反応生成物のNMRスぺク
トルチャートである。
【図4】実施例23における反応生成物のNMRスぺク
トルチャートである。
フロントページの続き (72)発明者 林 坤海 台湾嘉義市興仁街22号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表わされる化合物で
    あることを特徴とする防汚剤。 【化1】 [一般式(1)中、置換基R1およびR2は、相互に独立
    であり、水素原子または炭素数1〜10の直鎖状および
    分岐鎖状のアルキル基であり、置換基R3は、水素原子
    または炭素数1〜6の直鎖状および分岐鎖状のアルキル
    基であり、連結基Aは、炭素数1〜4のアルキル基で置
    換されてもよいフェニレン基または下記一般式(2)お
    よび一般式(3)で表される二価の有機基であり、記号
    Wは、ヒドロキシル基またはNR45(置換基R4およ
    びR5は、相互に独立であり、水素原子、炭素数1〜6
    の直鎖状および分岐鎖状のアルキル基、または下記一般
    式(4)および一般式(5)で表される一価の有機基で
    ある。)で表される置換基であり、nは1〜3の整数で
    ある。 【化2】 [一般式(2)中、置換基R3は、前記一般式(1)の
    内容と同様であり、繰り返し数zは、1〜3の整数であ
    る。] 【化3】 [一般式(3)中、置換基R6およびR7は、相互に独立
    であり、水素原子または炭素数1〜6の直鎖状および分
    岐鎖状のアルキル基であり、繰り返し数mおよびxは、
    それぞれ1〜6の整数および0〜35の整数である。] 【化4】 [一般式(4)中、置換基R1およびR2は、前記一般式
    (1)の内容と同様である。] 【化5】 [一般式(5)中、置換基R1〜R3および連結基Aは、
    前記一般式(1)の内容と同様であり、繰り返し数yは
    1〜3の整数である。]]
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)において、下記一般式
    (6)で表される置換基が、ベンゼン環上のヒドロキシ
    ル基のオルト位およびパラ位またはいずれか一方の置換
    位置における置換基であることを特徴とする請求項1に
    記載の防汚剤。 【化6】 [一般式(6)中、置換基R3、連結基Aおよび記号W
    は、前記一般式(1)の内容と同様である。]
  3. 【請求項3】 前記一般式(1)において、置換基R1
    およびR2がt−ブチル基またはノニル基であり、置換
    基R3が水素原子またはメチル基であることを特徴とす
    る請求項1に記載の防汚剤。
  4. 【請求項4】 下記一般式(7)で表されるフェノール
    誘導体とホルムアルデヒドと下記一般式(8)で表され
    るアミン化合物とを用いて、マンニッヒ反応により製造
    されることを特徴とする請求項1に記載の防汚剤。 【化7】 [一般式(7)中、置換基R1およびR2は、前記一般式
    (1)の内容と同様である。] 【化8】 [一般式(8)中、置換基R3、連結基Aおよび記号W
    は、前記一般式(1)の内容と同様である。]
  5. 【請求項5】 前記フェノール誘導体が、フェノール、
    クレゾール、ジメチルフェノール、t−ブチルフェノー
    ル、ジ−t−ブチルフェノールおよびノニルフェノール
    よりなる群から選択される少なくとも一種のフェノール
    誘導体であることを特徴とする請求項4に記載の防汚
    剤。
  6. 【請求項6】 前記アミン化合物が、エチレンジアミン
    (EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリ
    エチレンテトラアミン(TETA)、1,6−ヘキサジ
    アミン、N,N−ジメチル−1,3−プロピレンジアミ
    ン、下記式(9)で表される化合物、および下記一般式
    (10)または一般式(11)で表わされるポリエーテ
    ルアミン化合物よりなる群から選択される少なくとも一
    種のアミン化合物であることを特徴とする請求項4に記
    載の防汚剤。 【化9】 【化10】 [一般式(10)中、繰り返し数pは、1〜35の整数
    である。] 【化11】 [一般式(11)中、繰り返し数xは、前記一般式
    (3)の内容と同様である。]
  7. 【請求項7】 石油化学工場や油脂精錬工場で用いられ
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載
    の防汚剤。
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