JP2002220519A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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JP2002220519A
JP2002220519A JP2001153817A JP2001153817A JP2002220519A JP 2002220519 A JP2002220519 A JP 2002220519A JP 2001153817 A JP2001153817 A JP 2001153817A JP 2001153817 A JP2001153817 A JP 2001153817A JP 2002220519 A JP2002220519 A JP 2002220519A
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component
compound
resin composition
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JP2001153817A
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Takashi Kawamura
孝 川村
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Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン系難燃剤を使用しなくても優れた難
燃性を示すポリエステル系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 成分(A)としてポリエステル系樹脂
と、成分(B)としてキシレン系樹脂、成分(C)とし
て燐酸エステル系化合物および/または被覆赤燐粉末を
特定の比率で配合し、更に、成分(D)としてトリアジ
ン系化合物、燐原子含有窒素系有機化合物、硫黄原子含
有窒素系有機化合物から選ばれる少なくとも1種、成分
(E)としてポリオルガノシロキサン系樹脂、成分
(F)としてノボラック型フェノール系樹脂、PPE系
樹脂、PPS系樹脂から選ばれる少なくとも1種、成分
(G)として無機充填材を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン系難燃剤
を使用しなくても優れた難燃性を示すポリエステル系樹
脂組成物に関する。本発明はまた、該樹脂組成物を成形
してなる成型品に関するものでもあり、更に詳しくは、
モーターのカバーなどのケース部材、トランス部材、コ
ネクター、スイッチ、リレー、プリント基板、コイルボ
ビンなどの電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品
などの多岐にわたる用途に好適に使用出来る成型品に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエステル系樹脂の難燃化
方法としてハロゲン系難燃剤を配合する方法が用いられ
てきたが、近年では燃焼時や高温での溶融時の有害ガス
の発生による環境汚染や人体への悪影響などの問題か
ら、ハロゲンを含有しない、所謂、「非ハロゲン系難燃
剤」による難燃化への移行が強く要望されている。
【0003】このような要望に応えるために、これまで
に非ハロゲン系難燃剤を用いた種々の提案がなされてき
たが、何れも満足のいくものではなかった。例えば、燐
酸エステルを用いる方法(特公昭62−25706号公
報など)では、燃焼時に滴下(一般に「ドリップ」と
言われる)が生じやすいために難燃性が不十分であるこ
と、ポリエステル系樹脂と燐酸エステルとの相溶性が
不十分なためにブリードアウトしやすく、金型汚染や成
型品の表面汚染の原因となること、などの欠点を有して
いた。
【0004】また、熱硬化性樹脂などで被覆され安定化
された赤燐粉末を使用する方法(特開平237370号
公報、特開昭58198559号公報、特開昭5981
351号公報、特開平11335531号公報、特開平
11140290号公報など)が提案されているが、Un
derwriters Laboratories Inc.の垂直燃焼性試験を行っ
た場合、厚みが1mm以下の薄肉の成型品では燃焼中にド
リッピングが発生してしまい、所謂、「V−0」にラン
クされる程度にまで良好な難燃性を示す非ハロゲン系難
燃配合のポリエステル系樹脂組成物は未だ見出されてい
ないのが実状であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ハロゲン系難燃剤を使用せずに優れた難燃性を示す
ポリエステル系樹脂組成物およびそれを用いた成型品を
提供することにある。また、本発明のおいては、特に、
燃焼時のドリップの抑制効果に優れ、表面外観が良好
で、機械的強度の高い難燃性ポリエステル系樹脂組成物
を提供することでもある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、(A)ポ
リエステル系樹脂と、(B)キシレン系樹脂と、(C)
燐酸エステル系化合物および/または被覆赤燐粉末から
なる樹脂組成物を用いることにより、驚くべきことに燃
焼時のドリップ抑止効果が発揮され、それにより成分
(C)の燐酸エステル系化合物および/または被覆赤燐
粉末が有効に作用し、優れた難燃効果が発現されること
を見出し本発明に到達した。
【0007】即ち、本発明は、成分(A)としてポリエ
ステル系樹脂と、成分(B)としてキシレン系樹脂と、
成分(C)として燐酸エステル系化合物および/または
被覆赤燐粉末を特定の比率で配合し、更に、成分(D)
としてトリアジン系化合物、燐原子含有窒素系有機化合
物、硫黄原子含有窒素系有機化合物から選ばれる少なく
とも1種、成分(E)としてポリオルガノシロキサン系
樹脂、成分(F)としてノボラック型フェノール系樹
脂、PPE系樹脂、PPS系樹脂から選ばれる少なくと
も1種、成分(G)として無機充填材を配合してなる樹
脂組成物を提供することにある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で用いる成分(A)ポリエ
ステル系樹脂は、特に限定されるものではなく、例え
ば、ジオール成分(あるいは該エステル形成性誘導体)
とジカルボン酸成分(あるいは該エステル形成性誘導
体)とより得られるポリエステル系樹脂が使用出来る。
また、ジオール成分、ジカルボン酸成分共に、下記に記
載する化合物を各々単独で使用しても、あるいは2種以
上を組み合わせて使用してもよい。更に、ラクトンの如
く、1分子中に水酸基とカルボキシル基を有する化合物
が環状化した化合物を組み合わせて使用してもよい。
【0009】ジオール成分としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、エチレングリコール、1,2−
プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4
−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−
へキサンジオール、1,8−オクタンジオール,ネオペ
ンチルグリコール、1,10−デカンジオール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、2−メチル
−1,3−プロパンジオール等の炭素数2〜15の脂肪
族ジオール等を挙げることが出来る。この内、好ましい
脂肪族ジオール成分はエチレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、1,3−プロパンジオールである。
【0010】また、1,2−シクロヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノールなどの脂環式ジオールを使用すること
が出来る。これらの脂環式ジオールは、シス体またはト
ランス体の立体配置異性体のいずれか、または両者の混
合物として使用出来、シス体とトランス体の混合比率に
は特に制限はない。好ましい脂環式ジオールは1,4−
シクロヘキサンジメタノールである。
【0011】更に、例えば、レゾルシン、ハイドロキノ
ン、ナフタレンジオールなどの芳香族2価フェノール
類、分子量400〜6000のポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコールやポリテトラメチレング
リコールなどのポリグリコール類、ビスフェノールAな
ど特開平3−203956号公報に記載されているビス
フェノール類なども使用することが出来る。また、上記
ジオール成分は、ジ酢酸エステルやジプロピオン酸エス
テルなどのジエステルであってもよい。
【0012】ジカルボン酸成分の代表例としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、
2,2’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェ
ニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン
酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,
5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカ
ルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−
ナフタレンジカルボン酸、1,2−ジ(4−カルボキシ
フェニル)エタンなどの芳香族ジカルボン酸類;アジピ
ン酸、コハク酸、蓚酸、マロン酸、スベリン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキ
サンジカルボン酸などの脂肪族および脂環式ジカルボン
酸類などを挙げることが出来る。また、上記酸成分はエ
ステル誘導体であってもよく、例えば、メチルやエチル
などのアルキルエステルやフェニルやクレジルルなどの
アリールエステルなどを挙げることが出来る。
【0013】好ましいジカルボン酸はテレフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸およびそれらのエステル形成誘導
体(好ましくは、テレフタル酸ジメチル、ナフタレンジ
カルボン酸ジメチル)である。
【0014】ラクトンとしては、例えば、カプロラクト
ン等が挙げられる。
【0015】本発明で用いるポリエステル系樹脂(A)
は、公知の方法により製造出来る。その際に用いる触媒
は、通常の触媒、たとえばアンチモン化合物、チタン化
合物、スズ化合物やゲルマニウム化合物等、いずれの触
媒を用いてもよい。
【0016】本発明で用いられるポリエステル系樹脂
(A)は、好ましくは芳香族ジカルボン酸とアルキレン
グリコールとのポリエステル系樹脂である。具体的に
は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシ
レンメチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘ
キシレンメチレンテレフタレート-コ-イソフタレー
ト)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート-コ-イソ
フタレート)、ポリ(エチレン-コ-1,4−シクロヘキ
シレンメチレンテレフタレート)等を挙げることが出来
る。これらの成分(A)の中の1種を単独で使用しても
よく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】本発明で用いられるポリエステル系樹脂
(A)の酸価は、特に制限はないが、耐加水分解性、熱
安定性、着色抑制等の面から、好ましくは3.0mgK
OH/g以下、より好ましくは2.0mgKOH/g以
下である。
【0018】また、ポリエステル系樹脂(A)のフェノ
ール/テトラクロロエチレン=50/50重量比の混合
溶媒中、30±0.1℃で測定した極限粘度〔η〕は、
特に限定するものではないが、好ましくは0.6〜1.
1dl/gである。
【0019】次いで、本発明で使用する成分(B)であ
るキシレン系樹脂とは、メタキシレンおよび/またはメ
シチレンとホルムアルデヒドを主成分とした有機化合物
から付加重合して得られる樹脂である。このようなキシ
レン系樹脂の合成方法としては公知の方法が用いられ、
本発明はこれを限定するものではないが、一般的には硫
酸触媒存在下で反応させた後、水洗、精製する方法が採
られる。またキシレン系樹脂のベンゼン環の一部をアル
キル基等の有機化合物で置換したアルキル変性キシレン
系樹脂、メタキシレン、ホルムアルデヒド以外にフェノ
ール類を反応させた、フェノール変性キシレン系樹脂で
あっても差し支えない。フェノール類としてはフェノー
ル、クレゾール、ビスフェノールプロパン、ビスフェノ
ールメタン、レゾルシン、ハイドロキノン、p−t−ブ
チルフェノール、p−オクチルフェノール、p−シクロ
ヘキシルフェノール、p−t−アミノフェノール、p−
フェニルフェノール、ビスフェノールスルホン、ビスフ
ェノールエーテル等が挙げられる。
【0020】本発明で用いる成分(B)キシレン系樹脂
は、グリセリン浴中でボールアンドリング法で測定した
軟化点が好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃
以上である。
【0021】また、キシレン系樹脂(B)の数平均分子
量は、好ましくは500以上、より好ましくは800以
上である。
【0022】キシレン系樹脂(B)は特に限定はなく、
熱可塑性タイプと熱硬化性タイプのどちらでも使用出来
るが、特に好ましいものは熱可塑性フェノール変性キシ
レン系樹脂である。
【0023】本発明で用いられるポリエステル系樹脂
(A)とキシレン系樹脂(B)の混合比率は、好ましく
は(A)/(B)=5〜95/95〜5重量%、より好
ましくは(A)/(B)=10〜90/90〜10重量
%である。
【0024】次に、本発明で用いる成分(C)は燐酸エ
ステル系化合物および/または被覆赤燐粉末について説
明する。
【0025】成分(C)の内、燐酸エステル系化合物は
式〔1〕で示される燐酸エステル系化合物が挙げられる
が、本発明ではこれらに限定されるものではない。
【0026】
【化1】
【0027】(式〔1〕において、A1、A2は同一ま
たは相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない
有機残基で置換されたフェニル基を表す。Xは2価以上
の有機残基を表わし、nは0以上、例えば30以下の整
数を表わす。)
【0028】式〔1〕において、有機残基とは、例え
ば、置換されていてもいなくてもよいアルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基等が挙げられる。また、置換
されている場合、置換基としては例えばアルキル基、ア
ルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アリール基、
アリールオキシ基、アリールチオ基、ハロゲン化アリー
ル基等が挙げられ、またこれ等の置換基を組み合わせた
基(例えば、アリールアルコキシアルキル基等)または
これ等の置換基を酸素原子、イオウ原子、窒素原子等に
より結合して組み合わせた基(例えば、アリールスルホ
ニルアリール基等)を置換基として用いてもよい。
【0029】また、式〔1〕における2価以上の有機残
基とは上記した有機残基から炭素原子に結合している水
素原子の1個以上を除いてできる2価以上の基を意味す
る。例えば、アルキレン基、及び好ましくは(置換)フ
ェニレン基、多核フェノール類、例えば、ビスフェノー
ル類からの誘導体などが挙げられ、更に、2以上の遊離
原子価の相対的位置は任意である。それらの中で特に好
ましいものは、ビスフェノールA、ヒドロキノン、レゾ
ルシノール、ジフェニロールメタン、ジフェニロールジ
メチルメタン、ジヒドロキシジフェニル、p,p’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレ
ン等が挙げられる。
【0030】成分(C)の一つである燐酸エステル系化
合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリ
エチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオ
クチルフォスフェート、トリブトキシエチルホスフェー
ト、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェ
ート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェ
ニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェー
ト、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジ
クロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピ
ル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)
−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、トリス
(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、およびビ
ス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、一般
式〔1〕中でA1−O−および−O−A2がアルコキシ
であり、例えば、メトキシ、エトキシおよびプロポキ
シ、または好ましくは(置換)フェノキシ、例えばフェ
ノキシ、メチル(置換)フェノキシであるところのビス
フェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホス
フェート、レゾルシンビスホスフェート、トリオキシベ
ンゼントリホスフェート等のポリホスフェート等が挙げ
られ、好ましくはトリフェニルホスフェート及び各種ポ
リホスフェ―トである。更に、市販品の例としてはPX
−200、CR−733S、PX−201、PX−20
2、CR−747、CR−741(大八化学製)、FP
−500(旭電化製)、フォスフォレックス580(ア
クゾ・カシマ製)等が挙げられる。
【0031】成分(C)の配合方法については特に限定
せず、例えば、成分(C)が液状の場合には、リキッド
インジェクションなどの方法で押出し機の途中で成分
(C)を添加出来る。成分(C)の性状に応じて効果的
に樹脂と接触混和可能な方法を選択すればよい。
【0032】本発明で用いられるもう一つの成分(C)
とは被覆赤燐粉末である。赤燐粉末は単独では高温ある
いは機械的衝撃などにより、発火やホスフィンのガス発
生などの危険性があり、安全性を高めるために、赤燐粒
子の表面を熱硬化性樹脂および/または無機化合物で被
覆してある。
【0033】赤燐粉末の被覆に用いられる熱硬化性樹脂
にはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、グア
ナミン樹脂等がある。また、被覆に用いられる無機化合
物には珪素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、
鉄、ジルコニア、亜鉛、コバルト等の金属酸化物または
金属水酸化物あるいはそれらの複合水和酸化物、チタン
/コバルト系複合水和酸化物、ジルコニア/コバルト系
複合水和酸化物、チタン/アルミニウム系複合水和酸化
物等が挙げられる。また、これらの熱硬化性樹脂による
被覆方法、無機化合物による被覆方法は、それぞれ組み
合わせて用いてもよい。
【0034】また、本発明に用いられる赤燐粉末の直径
は、特に限定するものではないが、好ましくは全体の5
0%以上が100ミクロン以下であり、より好ましくは
70ミクロン以下である。
【0035】このように表面を被覆した赤燐は、被覆し
ていない赤燐単独に比べて取り扱いなどの安全性の点で
著しく改善されているが、更に安全性を確保するために
熱可塑性樹脂と予め溶融混練されたマスターペレット状
になっていることがより好ましい。マスターペレット化
の際に用いられる熱可塑性樹脂は特に限定するものでは
ないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPDM、本
発明の熱可塑性ポリエステル、ABS等のスチレン系樹
脂、ポリアミド、ポリカーボネート、エチレンエチルア
クリレート、エチレンメチルアクリレートなどが挙げら
れる。赤燐粉末のマスターペレット中の赤燐含有量は好
ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上
である。
【0036】本発明において成分(C)として用いられ
る燐酸エステル系化合物および被覆赤燐粉末は、それぞ
れ単独で用いてもよく、併用してもよい。併用する場合
の混合比率は、特に限定するものではない。
【0037】上記成分(C)は、成分(A)+(B)の
合計量60〜99重量%に対して1〜40重量%、好ま
しくは成分(A)+(B)の合計量70〜97重量%に
対して3〜30重量%、用いられる。
【0038】本発明で用いられる成分(D)の内、トリ
アジン系化合物とは式〔2〕及び式〔3〕で表わされる
化合物との塩である。
【0039】
【化2】
【0040】(式〔2〕において、R1、R2、R3
は、アミノ基、アルキル基、フェニル基、ヒドロキシル
基、ヒドロキシルアルキル基、エーテル基、エステル
基、酸基、不飽和基、シアノ基、ハロゲン原子の何れか
を表わす。)
【0041】式〔2〕で示される化合物としては、例え
ば、メラミン、あるいはアセトグアナミン、ベンゾグア
ナミンなどのグアナミン誘導体、シアヌル酸、あるいは
メチルシアヌレート、エチルシアヌレート、アセチルシ
アヌレート、塩化シアヌルなどのシアヌル酸誘導体等が
挙げられる。これらの中でも、R1、R2、R3の内の
いずれか2つ又は3つがアミノ基であるメラミン、アセ
トグアナミン、ベンゾグアナミンなどのグアナミン誘導
体がより好ましい。
【0042】
【化3】
【0043】(式〔3〕において、R4、R5、R6
は、水素原子、アルキル基、フェニル基、ヒドロキシル
基、ヒドロキシルアルキル基、エステル基、酸基、不飽
和基、シアノ基、ハロゲン原子の何れかを表す。)
【0044】また、式〔3〕中、R4、R5、R6の中
の少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。式
〔3〕で示される化合物としては、例えば、イソシアヌ
ル酸、メチルイソシアヌレート、エチルイソシアヌレー
ト、アリルイソシアヌレート、2−ヒドロキシエチルイ
ソシアヌレート、2−カルボキシルエチルイソシヌレー
ト、塩素化イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸誘導体
などが挙げられる。これらの中でも、R4、R5、R6
のすべてが水素原子であるイソシアヌル酸が最も好まし
い。また、この互変異性体である式〔2〕で表わされる
シアヌル酸も同様に好ましい化合物である。これらの化
合物も使用にあたって1種類のみに限定されるものでは
なく、2種以上を併用することも可能である。
【0045】本発明で用いられる成分(D)の内、燐原
子含有窒素系有機化合物または硫黄原子含有窒素系有機
化合物とは、燐原子含有化合物または硫黄原子含有化合
物と、下記の式〔4〕で示されるアミノトリアジンとの
塩からなるポリ燐酸アミノトリアジン化合物、あるいは
ポリメタ燐酸アミノトリアジン化合物、式〔7〕および
式〔8〕で表される燐原子含有窒素系化合物および硫酸
トリアジン化合物である。
【0046】
【化4】
【0047】本発明で用いられるポリ燐酸アミノトリア
ジン化合物とは式〔5〕で示されるポリ燐酸メラミン、
ポリ燐酸メラム、ポリ燐酸メレム等が挙げられる。
【0048】
【化5】
【0049】(式〔5〕において、nは1以上の正数、
Mは式〔4〕で示されるトリアジン化合物である。)
【0050】また、本発明で用いられる硫黄原子含有窒
素系化合物とは、式〔6〕で表される硫酸トリアジン化
合物である。
【0051】
【化6】
【0052】(式〔6〕において、Mは式〔4〕で示さ
れるトリアジン化合物を表し、Sは硫黄原子を表し、O
は酸素原子を表し、Hは水素原子を表す。)
【0053】好ましい市販品の例としては、Melup
er200/70(DSM製)、PMP−100、PM
P−200(日産化学工業製)、MPP−A、アピノン
901(三和ケミカル製)等がある。
【0054】また、本発明では更に、以下に示す燐原子
含有窒素系有機化合物が用いられる。
【0055】
【化7】
【0056】(式〔7〕において、Mは式〔4〕で示さ
れるトリアジン化合物を表し、Pは燐原子を表し、Oは
酸素原子を表し、Hは水素原子を表す。)また、
【0057】
【化8】
【0058】(式〔8〕において、Mは式〔4〕で示さ
れるトリアジン化合物を表し、Pは燐原子を表し、Oは
酸素原子を表し、Hは水素原子を表す。)
【0059】式〔7〕の具体例としてはニトリロトリス
(メチレン)ホスホン酸とメラミンとの塩、式〔8〕の
具体例としては1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジ
ホスホン酸とメラミンとの塩等がある。
【0060】本発明で用いられる成分(D)の使用量
は、(A)+(B)+(C)の合計量、または(A)+
(B)+(C)+〔(E)、(F)、(G)から選ばれ
る少なくとも1種〕の合計量70〜97重量%に対し
て、成分(D)3〜30重量%である。
【0061】次に、本発明で用いられる成分(E)は、
ポリオルガノシロキサン系樹脂であり、ポリオルガノシ
ロキサン系樹脂の分子同士が常温では流動性を持たない
程度にまで架橋構造を持ち粒径0.1μm〜500μm
の外観が粉末状態であるポリオルガノシロキサン系樹
脂、あるいは25℃でキャピラリー型溶融粘度測定器で
測定した剪断速度100sec-1での溶融粘度が100
0ポイズ以上のポリオルガノシロキサン系樹脂を30重
量%、シリカパウダー中に分散させた粒径0.1μm〜
500μmの外観が粉末状態であるポリオルガノシロキ
サン系樹脂である。
【0062】本発明における成分(E)ポリオルガノシ
ロキサン系樹脂は、好ましくは分子内にフェニル基を含
有する分子構造を有するポリオルガノシロキサン系樹脂
である。また、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、
オキサゾリン基、酸無水物基、水酸基等の官能基を含有
するポリオルガノシロキサン系樹脂でもよい。このよう
なポリオルガノシロキサン系樹脂の市販品の例として
は、DC4−7105,DC4−7051(エポキシ基
含有、東レ・ダウコーニング社製),DC4−7081
(メタクリル基含有、東レ・ダウコーニング社製),D
C19641(アミノ基含有、東レ・ダウコーニング社
製)等がある。
【0063】ポリオルガノシロキサン系樹脂(E)の添
加量は、成分(A)+(B)+(C)の合計量または成
分(A)+(B)+(C)+〔(D)、(F)、(G)
から選ばれる少なくとも1種〕の合計量90〜99重量
%に対し、ポリオルガノシロキサン系樹脂量で1〜10
重量%である。
【0064】本発明においては、成分(F)として更に
本発明の組成物の難燃性を向上させる目的で、炭素、硫
黄、酸素から選ばれる少なくとも1種の原子にて芳香族
環同士が結合している少なくとも1種の樹脂を配合して
も差し支えなく、成分(F)とはノボラック型フェノー
ル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェ
ニレンエーテル系樹脂から選ばれる少なくとも1種であ
る。
【0065】本発明で使用する成分(F)の一つである
ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと省略する)系
樹脂はそれ自体公知であり、式
〔9〕で示される。
【0066】
【化9】
【0067】(式
〔9〕において、R1 、R2、R3
およびR4はそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基
および置換炭化水素基(例えば、ハロゲン化炭化水素
基)から選ばれる)で示される単位からなるホモ重合体
および/または共重合体である。
【0068】式
〔9〕で示されるPPE系樹脂の具体例
としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エ―テル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェ
ニレン)エ―テル、ポリ(2−メチル−6−エチル−
1,4−フェニレン)エ―テル、ポリ(2−メチル−6
−プロピル−1,4−フェニレン)エ―テル、ポリ
(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エ―テ
ル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニ
レン)エ―テル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−
フェニレン)エ―テル、ポリ(2,6−ジクロロメチル
−1,4−フェニレン)エ―テル、ポリ(2,6−ジブ
ロモメチル−1,4−フェニレン)エ―テル、ポリ
(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エ―テ
ル、ポリ(2,6−ジトリル−1,4−フェニレン)エ
―テル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレ
ン)エ―テル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フ
ェニレン)エ―テル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4
−フェニレン)エ−テルなどが挙げられる。この内、特
に好ましいPPE系樹脂は、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エ−テルである。
【0069】また、ポリフェニレンエ−テル共重合体と
しては、上記ポリフェニレンエ−テル繰返し単位の式
〔9〕中にアルキル三置換フェノ−ル、例えば、2,
3,6−トリメチルフェノ−ルを一部含有する共重合体
等を挙げることが出来る。
【0070】更に、成分(F)はこれらのPPE系樹脂
に、スチレン系化合物がグラフト重合した共重合体であ
ってもよい。スチレン系化合物グラフト化PPE系樹脂
としては、上記ポリフェニレンエ−テルにスチレン系化
合物として、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン、クロロスチレンなどをグラフト重合して
得られる共重合体等が挙げられる。
【0071】かかるPPEの製造方法は公知であり、特
に限定されない。例えば、米国特許第3,306,874
号、米国特許第3,306,875号、米国特許第3,2
57,357号、米国特許第3,257,358号、及び
特公昭52−17880号、特開昭50−51197号
などに記載された方法で容易に製造可能である。
【0072】本発明で用いられる成分(F)の一つであ
るPPE系樹脂は、クロロホルムを溶剤として30℃で
測定した固有粘度が、好ましくは0.15〜0.70d
l/g、特に好ましくは0.25〜0.60dl/gの
ものである。PPE系樹脂がかかる範囲の固有粘度を有
していれば得られる組成物は、より優れた機械的特性と
成形性をもたらすことが出来る。
【0073】本発明で用いられる成分(F)の一つであ
るポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)系樹
脂は、ー般式〔Ar−S〕(式中のArは少なくとも1
つの炭素6員環を含む2価の芳香族基を示す)で示され
る繰り返し単位を70モル%以上含有する重合体で、そ
の代表的物質は構造式〔Ph−S〕(但し、Phはフェ
ニル基)で示される繰り返し単位を70モル%以上含有
するポリマ−である。
【0074】PPS系樹脂は一般にその製造法により、
実質上線状で分岐構造や架橋構造を有さないものと分岐
構造や架橋構造を有するものとに大別されるが、本発明
に於いてはその何れのタイプのものにも有効である。
【0075】本発明に用いるのに好ましいPPS系樹脂
は、繰り返し単位として一般式〔Ar−S〕(式中のA
rは少なくとも1つの炭素6員環を含む2価の芳香族基
を示す)を70モル%以上含有するポリマ−である。こ
の繰り返し単位が70モル%以上であれば、結晶化ポリ
マーとしての特性である優れた強度、靱性、耐薬品性な
どを備えたPPS系樹脂(F)を得ることが可能とな
る。
【0076】また、本発明に用いられるPPS系樹脂
(F)は30モル%未満の他の共重合構成単位を含んで
いてもよい。共重合構成単位の具体例としては、例え
ば、以下に示した式〔10〕〜式〔15〕のような構成
単位などが挙げられるが、本発明ではこれらに限定され
るものではない。
【0077】メタフェニレンスルフィド単位=式〔1
0〕
【0078】
【化10】
【0079】ジフェニルケトンスルフィド単位=式〔1
1〕
【0080】
【化11】
【0081】ジフェニルスルホンスルフィド単位=式
〔12〕
【0082】
【化12】
【0083】フェニルエーテルスルフィド単位=式〔1
3〕
【0084】
【化13】
【0085】2,6−ナフタレンスルフィド単位=式
〔14〕
【0086】
【化14】
【0087】三官能単位=式〔15〕
【0088】
【化15】
【0089】更に、本発明で用いられるノボラック型フ
ェノール系樹脂(F)は、フェノールとホルムアルデヒ
ドとを酸触媒の存在化に重縮合せしめて得られる。その
軟化点は80℃以上のものが好ましい。また、前記モノ
マー以外に前述の式〔2〕で示されるトリアジン系化合
物を50重量%以内の範囲で使用しても差し支えない。
【0090】次に、本発明で用いられる成分(G)は無
機充填材であり、補強材として用いられるが、特に限定
されるものではない。成分(G)の具体例としては、ガ
ラス繊維や炭素繊維、ミルドガラス、ガラスビーズ、ガ
ラスフレーク、タルク、クレー、シリカ、マイカ、ウオ
ラストナイト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カ
ルシウム、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウ
ムウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカー等が好適に
使用出来る。補強効果をより一層高めるために、アミノ
シラン系やエポキシシラン系などのシランカップリング
剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カッ
プリング剤等の各種カップリング剤でコーティングされ
たこれら無機充填材を用いてもよい。
【0091】無機充填材(G)の使用量は、(A)+
(B)+(C)の合計量、または(A)+(B)+
(C)+〔(D)、(E)、(F)から選ばれる少なく
とも1種〕の合計量50〜95重量%に対して、(G)
5〜50重量%である。
【0092】更に、本発明の樹脂組成物は、溶融時の熱
安定性及び変色を改良するために、安定剤を添加するこ
とが出来る。そのような安定剤としては、例えば、ホス
ファイト、酸性燐酸塩、ポリ燐酸の塩、周期律表第IB
族または第IIB族金属の燐酸塩および燐のオキソ酸等が
挙げられる。
【0093】ホスファイトとしては、例えば、トリフェ
ニルホスファイト、ジフェニルノニルホスファイト、ト
リス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイ
ソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス
(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファ
イト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニル
モノ(トリデシル)ホスファイト、2,2’−エチリデ
ンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)フルオロ
ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フ
ェニルジ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−エ
チルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホ
スファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジブ
チルハイドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオ
ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、
4,4’−イソプロピリデンジフェノールアルキル(C
12〜C15)ホスファイト、4,4’−ブチリデンビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジ−トリデシ
ルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペ
ンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペン
タエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノ
ールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフ
ェニルジプロピレングリコールジホスファイト、1,
1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホス
ファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、3,4,
5,6−テトラベンゾ−1,2−オキサホスファン−2
−オキシド等を使用出来る。また、これらのホスファイ
トの部分加水分解物も使用出来る。ホスファイトとして
は、酸化防止剤などとして各安定剤メーカーから市販さ
れている化合物を用いることが出来、市販品の具体例と
しては、アデカスタブ PEP−36,PEP−24、
PEP−4C、PEP−8(旭電化工業(株)製)、I
rgafos 168(商標:チバ・ガイギー社製)、
Sandstab P−EPQ(商標:Sandoz社
製)、Chelex L(商標:堺化学工業(株)製)、
3P2S(商標:イハラケミカル工業(株)製)、Ma
rk 329K(商標:旭電化工業(株)製)、Mar
k P(同前)、Weston 618(商標:三光化学
工業(株)製)等の燐系安定剤を挙げることが出来る。
【0094】また、酸性燐酸塩には、例えば、燐酸二水
素ナトリウム、燐酸モノ亜鉛、燐酸水素カリウム、燐酸
水素カルシウム等が包含される。
【0095】ポリ燐酸は即ち縮合燐酸酸であり、例え
ば、燐酸の2量体(ピロ燐酸)、3量体(トリポリ燐
酸)等が挙げられ、そのような塩としては、例えば、ピ
ロ燐酸塩、Na3HP27、K2227、Na4
27、KNaH227、Na2227等が挙げられ
る。このようなピロ燐酸塩の粒度は、75ミクロン未満
が好ましく、より好ましくは50ミクロン未満、特に好
ましくは20ミクロン未満である。
【0096】周期律表第IB族または第IIB族金属の燐
酸塩としては、例えば、燐酸亜鉛、燐酸銅が包含され
る。
【0097】燐のオキソ酸としては、亜燐酸、燐酸、ポ
リ燐酸および次亜燐酸が包含される。
【0098】本発明の樹脂組成物は、上記した安定剤の
他に更に、BHT(商品名:武田薬品工業(株)製),
Ionox 100(商標:シェルケミカル社製)、A
geRite Superlite(商標:Vande
r bilt製)、Santonox R(商標:モンサ
ント社製)、Antioxidant ZKF(商標:
バイエル社製)、Irganox 1076(商標:チ
バ・ガイギー社製)、HYoechst VPOSPI
(商標:ヘキスト社製)、Irganox 1010
(商標:チバ・ガイギー社製)等のヒンダードフェノー
ル系安定剤を含むことが出来る。また、その他にエポキ
シ系、チオール系、金属塩系等の安定剤を用いることも
出来る。更に、Cyasorb UV−5411(商
標:A.C.C製)、Cyasorb UV−531(商
標:A.C.C製)、Tinuvin 326(商標:チ
バ・ガイギー社製)、Tinuvin 320(同
前)、Tinuvin 234(同前)、Tinuvi
n 120(同前)、Uvinul D49(商標:GA
F製)等のベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤を
用いることが出来る。
【0099】また、本発明の樹脂組成物は、本発明の主
旨を阻害しない範囲で種々の樹脂、例えば、ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、スチレン系
樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、PMMA
系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂、ポリアミドイミ
ド系樹脂、液晶ポリマーなどを含むことが出来る。
【0100】また、本発明の樹脂組成物は、本発明の主
旨を阻害しない範囲で種々のゴム様物質、例えば、AB
S,MBS,SBS,SEBS,アクリルゴム、シリコ
ンゴム、アクリル−シリコンゴム(例えばS2001,
三菱レーヨン(株)製)など)を添加してもよい。
【0101】また、難燃剤として、ハロゲン系難燃剤、
例えば、ブロム化ポリカーボネート及びブロム化ポリカ
ーボネートオリゴマー、ブロム化エポキシ等の臭素系難
燃剤を更に添加することも可能である。
【0102】また、ドリップ防止剤として、ポリテトラ
フルオロエチレン(テフロン(登録商標))などを使用
することが出来る。
【0103】更に、本発明の樹脂組成物には、その他
に、顔料、染料などの着色剤、シリコンオイルや低分子
量ポリオレフィンおよびペンタエリスリトールテトラス
テアレ―ト、モンタン酸エステル、モンタン酸エステル
の金属塩、グリセリンモノステアレートなどのアルキル
エステル系等の離型剤、、ポリカプロラクトン、ポリエ
ステル、ポリカーボネートのオリゴマー等の可塑剤、ス
ルホン酸とアルカリ金属やアルキルホスホニウムなどと
の塩化合物やポリエチレンオキシドやポリプロピレンオ
キシドなどのポリアルキレングリコール等の帯電防止
剤、架橋ポリエステル、架橋ポリアミド、架橋ポリメチ
ルメタクリレート等を粒化した有機粒状化合物などおよ
び赤外線吸収剤、抗菌剤、結晶核剤等の種々の添加剤を
添加してもよい。
【0104】本発明の樹脂組成物を製造するための方法
に特に制限はなく、通常の方法が適宜使用出来るが、一
般的には溶融混合法が望ましい。装置としては特に押し
出し機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を
例として挙げることが出来、これらを回分的または連続
的に運転する。成分の混合順序には特に限定されない
が、ガラス繊維や炭素繊維などの長繊維を充填材に使用
する場合には、補強効果が十分に発現出来るように、こ
れら繊維の折れがなるべく少なくなるように混練方法や
混合順序を考慮し工夫した方が好ましいことは当然であ
り、一例を挙げれば、押出機を用いて溶融混練する場
合、少なくとも2つ以上の原材料供給口を有する押し出
し機を使用して、樹脂成分のみまたは樹脂成分および非
長繊維状無機充填材を第1供給口(上流側)から投入
し、第2供給口以降(下流側)で該長繊維を供給するよ
うにしたほうが望ましい。
【0105】上記した本発明の樹脂組成物は、射出成
形、押出成形、ブロー成形等の任意の成形法を用いて、
任意の形の成型品に成形加工することが可能である。
【0106】尚、本発明の態様は、上述したように、成
分(A)としてポリエステル系樹脂と、成分(B)とし
てキシレン系樹脂と、成分(C)として燐酸エステル系
化合物および/または被覆赤燐粉末を配合してなる樹脂
組成物にかかるものである。
【0107】本発明の他の態様の一つとしては、成分
(D)としてトリアジン系化合物、燐原子含有窒素系有
機化合物、硫黄原子含有窒素系有機化合物から選ばれる
少なくとも1種を配合することを特徴とする上記の樹脂
組成物にかかるものである。
【0108】本発明の他の態様の一つとしては、成分
(E)としてポリオルガノシロキサン系樹脂を配合する
ことを特徴とする上記の各樹脂組成物にかかるものであ
る。
【0109】本発明の他の態様の一つとしては、成分
(F)として炭素、硫黄、酸素から選ばれる少なくとも
1種の原子にて芳香族環同士が結合している少なくとも
1種の樹脂を配合することを特徴とする上記の各樹脂組
成物にかかるものである。
【0110】本発明の他の態様の一つとしては、成分
(F)がノボラック型フェノール系樹脂、ポリアリーレ
ンスルフィド系樹脂から選ばれる少なくとも1種である
ことを特徴とする上記の各樹脂組成物にかかるものであ
る。
【0111】本発明の他の態様の一つとしては、成分
(F)がノボラック型フェノール系樹脂、ポリフェニレ
ンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂か
ら選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記
の各樹脂組成物にかかるものである。
【0112】本発明の他の態様の一つとしては、成分
(G)として無機充填材を配合することを特徴とする上
記の各樹脂組成物にかかるものである。
【0113】本発明の他の態様の一つとしては、ポリエ
ステル系樹脂(A)とキシレン系樹脂(B)の配合比率
の合計が60〜99重量%であり、燐酸エステル系化合
物および/または被覆赤燐粉末(C)が1〜40重量%
からなり、且つ、成分(A)+(B)+(C)が100
重量%である上記の樹脂組成物にかかるものである。
【0114】
【実施例】以下、本発明を実施例と比較例により、一
層、具体的に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。以下において、部および%は、特にこと
わりのない限り、全て重量基準であるものとする。
【0115】実施例および比較例において、以下に示す
化合物を使用した。 成分(A):ポリブチレンテレフタレート(極限粘度
0.84、酸価1.3mgKOH/g) 成分(B):熱可塑性アルキルフェノール変性キシレン
系樹脂(商標:ニカノールHP150、三菱ガス化学
(株)製、軟化点150℃、数平均分子量1400) 成分(C):縮合系燐酸エステル(商標:PX200、
大八化学工業(株)製) 成分(C):フェノール樹脂被覆赤燐(商標:ノーバエ
クセル140、燐化学工業製) 成分(D):トリアジン系化合物(メラミンシアヌレー
ト)(商標:MC610、日産化学工業(株)製) 成分(D):燐原子含有窒素系化合物(ポリ燐酸メラミ
ン)(商標:Meluper200/70、DSM社
製) 成分(D):硫黄原子含有窒素系化合物(硫酸メラミ
ン)(商標:アピノン901、三和ケミカル(株)製) 成分(G):無機充填材(直径10ミクロンのガラス繊
維)(商標:ヴェトロテックス製)。
【0116】本発明で用いられた評価方法について以下
に示す。 [熱可塑性ポリエステル系樹脂の酸価の測定方法]20
0mlの三角フラスコに熱可塑性ポリエステル樹脂を
1.0〜2.0g精秤し、次いで、ベンジルアルコール
を60ml加えて、三角フラスコ内を窒素ガスで充分に
置換した後、直ちにアルミ箔で封をして三角フラスコを
160℃の恒温油槽に浸して、振動させながら樹脂を完
全に溶解させる。完全に溶解したことを確認し、0.1
%ブロモチモールブルー/エタノール溶液を約1ml加
え、撹拌子を入れ、加熱スターラー上で加熱撹拌しなが
ら、1/50N水酸化カリウム/ベンジルアルコール溶
液にて滴定した。滴定の終点は、液が黄色から黄緑色に
変化した時点とした。次式に従い、熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂の酸価を算出する。
【0117】 酸価(mgKOH/g)=〔(V−V0)×F×1.122〕/S V(ml):試料での1/50N水酸化カリウム・ベンジルア
ルコ−ル溶液の滴定量 V0(ml):ブランクの1/50N水酸化カリウム・ベンジル
アルコ−ル溶液の滴定量 F:1/50N水酸化カリウム・ベンジルアルコ−ル溶液
のファクタ− S(g):試料の重さ
【0118】[難燃性試験の評価方法]アンダーライタ
ーズ ラボラトリーズ インコーポレーション(Und
erwriters Laboratories In
c.)の垂直燃焼性試験(UL94 V−0、V−1、
V−2)により測定した。試験片の厚みは1.6mmで
試験を行い、評価は1回の試験で5本の試験片を用い、
1回目平均燃焼時間、2回目平均燃焼時間、5本の試験
片の合計燃焼時間、ドリッピングによる綿着火の有無で
評価し、判定した。
【0119】《実施例1〜6》および《比較例1〜3》
上述した原料を用い、表1および表2に従って配合し、
タンブラを用いて混合した。配合物を直径40mmの一
軸押出機を用い、シリンダー温度250℃にて溶融混練
りし、ストランド状に押し出したものを冷却後、ペレッ
ト状にカッティングした。得られたペレットを130℃
で3時間乾燥した後、射出成形機にて所定の試験片を成
形し、前述した評価方法に従って評価し、得られた結果
を表1および表2に示した。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、ハロゲン系難燃
剤を使用しなくても優れた難燃性を示すと共に、機械的
強度などの特性のバランスに優れるため、モーターのカ
バーなどのケース部材、トランス部材、コネクタ―、ス
イッチ、リレー、プリント基板、コイルボビンなどの電
気・電子機器部品、自動車部品、機械部品などの成形品
の成形材料として幅広く利用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 9/00 C08K 9/00 C08L 61/08 C08L 61/08 61/18 61/18 71/12 71/12 81/02 81/02 83/06 83/06 85/02 85/02 Fターム(参考) 4J002 CC045 CC12X CF00W CF03W CF04W CF05W CF06W CF07W CF08W CF09W CF10W CF16W CF18W CF19W CH075 CN015 CP02Z CP03Z CP05Z CP09Z CP12Z CP13Z CP15Z CP16Z CQ01Y CQ01Z DA018 DA056 DE188 DE238 DG037 DG048 DG058 DJ008 DJ018 DJ038 DJ048 DJ058 DK008 DL008 EU187 EU197 EW046 EW047 FA018 FA048 FA088 FB076 FB088 FB098 FB168 FB266 FD018 FD13Y FD13Z FD136 FD137 GM00 GN00 GQ00 GQ01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分(A)としてポリエステル系樹脂
    と、成分(B)としてキシレン系樹脂と、成分(C)と
    して燐酸エステル系化合物および/または被覆赤燐粉末
    を配合してなる樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 成分(D)としてトリアジン系化合物、
    燐原子含有窒素系有機化合物、硫黄原子含有窒素系有機
    化合物から選ばれる少なくとも1種を配合することを特
    徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 成分(E)としてポリオルガノシロキサ
    ン系樹脂を配合することを特徴とする請求項1または2
    に記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 成分(F)として炭素、硫黄、酸素から
    選ばれる少なくとも1種の原子にて芳香族環同士が結合
    している少なくとも1種の樹脂を配合することを特徴と
    する請求項1〜3の何れかに記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 成分(F)がノボラック型フェノール系
    樹脂、ポリアリーレンスルフィド系樹脂から選ばれる少
    なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4の何
    れかに記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 成分(F)がノボラック型フェノール系
    樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレン
    スルフィド系樹脂から選ばれる少なくとも1種であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 成分(G)として無機充填材を配合する
    ことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の樹脂組
    成物。
  8. 【請求項8】 ポリエステル系樹脂(A)とキシレン系
    樹脂(B)の配合比率の合計が60〜99重量%であ
    り、燐酸エステル系化合物および/または被覆赤燐粉末
    (C)が1〜40重量%からなり、且つ、成分(A)+
    (B)+(C)が100重量%である請求項1に記載の
    樹脂組成物。
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JPWO2018139034A1 (ja) * 2017-01-27 2019-11-07 Dic株式会社 金属/樹脂複合構造体およびその製造方法

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