JP2002216308A - 磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

磁気ヘッドおよびその製造方法

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JP2002216308A
JP2002216308A JP2001008411A JP2001008411A JP2002216308A JP 2002216308 A JP2002216308 A JP 2002216308A JP 2001008411 A JP2001008411 A JP 2001008411A JP 2001008411 A JP2001008411 A JP 2001008411A JP 2002216308 A JP2002216308 A JP 2002216308A
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magnetic
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magnetic head
tape
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Teruyuki Inaguma
輝往 稲熊
Tadashi Saito
正 斎藤
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気テープを記録媒体として用いる磁気ヘッ
ドにおいて、長時間に渡り磁気テープとの良好な接触状
態を維持し、高感度・高密度対応の安定した特性を実現
する。 【解決手段】 磁気テープTPと摺動する略円弧状の摺
動面10を具備するとともに、その摺動面10における
略円弧状の頂点近傍にヘッド素子11が配設された磁気
ヘッドにおいて、摺動面10における略円弧状の曲率を
R(mm)、摺動面10に対するヘッド素子11のリセ
ス量をL(nm)としたときに、50<R×L<150
の関係を満たすように、その摺動面10を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体の一つで
ある磁気テープに対して用いるための磁気ヘッドおよび
その製造方法に関し、特に磁気抵抗効果型のヘッド素子
(以下「MR素子」という)を有して構成された磁気ヘ
ッド(以下「MRヘッド」という)およびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えばビデオテープレコーダ(V
TR)のような磁気テープを記録媒体として使用するシ
ステムにおいても、再生用ヘッドとして、MRヘッドが
用いられることがある。これは、一般にMR素子が電磁
誘導を利用して記録再生を行うインダクティブ型磁気ヘ
ッド素子よりも高密度記録に適していることから、MR
ヘッドを用いることで、より高密度記録化が図れるから
である。
【0003】このようなシステムに用いる場合、例えば
図21に示すように、MRヘッドRH1,RH2は、回
転ドラム2aに搭載され、へリカルスキャン方式によっ
て磁気テープTPから信号を再生することになる。この
とき、MRヘッドRH1,RH2は、磁気テープTPと
高速で摺動する。
【0004】このことから、MRヘッドは、例えば図2
2に示すように、MR素子51が略頂点に配された略円
弧状の摺動面52が形成されており、その摺動面52に
よって磁気テープTPとの接触を図るようになってい
る。また、摺動面52上では、例えばシールド型のもの
であれば、磁気的なシールドを行うために、MR素子5
1を挟支するように軟磁性薄膜53が配され、さらにこ
れらを一対の硬質非磁性基板54が挟支している。つま
り、摺動面52は、MR素子51を一対の硬質非磁性基
板54が軟磁性薄膜53を介して挟み込む形で、磁気テ
ープTPの走行方向に沿って積み重なる薄膜積層構造に
構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、MRヘッド
を磁気テープに対して用いた場合、その記録再生特性
は、両者の接触状態に大きく影響される。すなわち、こ
れらの間の接触状態が不良であると、MRヘッドと磁気
テープとの間隔(以下「スペーシング」という)が広が
り、いわゆるスペーシングロスが生じてしまい、特に高
密度記録再生状態において再生出力が大きく減少してし
まう。
【0006】MRヘッドと磁気テープとの接触状態は、
磁気テープの走行状態が一定の場合であれば、摺動面の
形状およびその摺動面上におけるMR素子の位置に大き
く依存する。すなわち、摺動面の曲率をR(mm)とす
ると、磁気テープとの接触状態は、曲率Rの大小によっ
て大きく異なってくる。
【0007】図23(a)は曲率Rが大きい場合のMR
ヘッドと磁気テープとの接触状態を模式的に表した説明
図であり、図23(b)はそのときのスペーシングの関
係を表した説明図である。これらの図に示すように、摺
動面の曲率Rが大きい場合には、その摺動面の頂点近傍
に位置するMR素子部分でのスペーシング量も大きいこ
とがわかる(40〜50nm程度)。これは、摺動面の
曲率Rが大きいと、磁気テープの走行に伴う磁気テープ
進入側からの空気封入の影響を受け易くなるためと考え
られる。
【0008】一方、図24(a)は曲率Rが小さい場合
のMRヘッドと磁気テープとの接触状態を模式的に表し
た説明図であり、図24(b)はそのときのスペーシン
グの関係を表した説明図である。これらの図に示すよう
に、摺動面の曲率Rが小さくなると、上述したような空
気封入の影響を受け難くなるため、磁気テープとの接触
状態が改善され、MR素子部分でのスペーシング量も小
さくなることがわかる(30〜40nm程度)。ところ
が、曲率Rが極端に小さくなると、摺動面の頂点近傍で
の耐摩耗性が低下してしまうため、使用開始初期段階
(例えば、数十時間の使用)で摺動面の頂点近傍が摩耗
して略平坦状になってしまい、その段階でのスペーシン
グ量の増大により、摩耗後におけるスペーシング量が却
って曲率Rの大きい場合よりも悪化してしまうおそれが
ある。
【0009】つまり、MRヘッドを磁気テープに対して
用いる場合、使用初期から長時間使用後(例えば、10
0時間以上使用後)まで、均一なスペーシングを維持す
るためには、摺動面のR形状を最適化する必要がある。
【0010】また、MRヘッドと磁気テープとの接触状
態は、摺動面に対するMR素子部分の凹量(以下「リセ
ス量」という;図23,24中のL参照)、すなわちM
R素子の摺動面側端と摺動面との間隔によっても大きな
影響を受ける。リセス量Lが小さければスペーシングは
良好となるが、リセス量Lが大きくなれば当然にスペー
シングも悪化する。
【0011】このようなリセス量Lは、摺動面を形成す
る際に必然的に生じてしまうものである。これは、MR
ヘッドが様々な材料による薄膜積層構造に構成されてい
ることに起因する。つまり、通常、摺動面を形成する際
には薄膜積層構造体に対して機械加工や化学的処理等が
行うが、その薄膜積層構造体の各材料は互い研磨レート
が異なるため、機械加工や化学的処理等を行うと軟らか
い材料(MR素子を含む軟磁性薄膜部分)が多く研磨さ
れてしまい、結果としてリセス量Lが生じてしまうこと
になる。
【0012】しかも、リセス量Lの大きさは、摺動面を
形成する際の機械加工や化学的処理等、さらに詳しくは
機械加工や化学的処理等によって実現しようとする摺動
面の形状によって決まってくる。例えば、摺動面の曲率
Rが大きい場合には、研磨量が少ないため、リセス量L
も小さくて済むが、摺動面の曲率Rが小さくなると、多
くの研磨量が必要なため、リセス量Lも大きくなってし
まう傾向にある。
【0013】したがって、摺動面を形成するのにあたっ
ては、リセス量Lが「0」であれば曲率Rにのみ着目し
てその摺動面の形成を行えばよいが、リセスが必ず生じ
てしまう状況においては、そのリセス量Lも合わせて摺
動面形成の最適化を行う必要がある。
【0014】本発明は、以上のような従来の実状に鑑み
て提案されたものであり、摺動面形成の最適化によっ
て、高感度・高密度対応の安定した特性を実現するのに
好適となる磁気ヘッドおよびその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために案出された磁気ヘッドである。すなわち、
磁気テープを記録媒体として用いるシステムの回転ヘッ
ドに搭載され、再生用の磁気抵抗効果型のヘッド素子を
有した磁気ヘッドであって、前記磁気テープと摺動する
略円弧状の摺動面を具備するとともに、前記摺動面にお
ける略円弧状の頂点近傍に前記ヘッド素子が配設されて
おり、前記摺動面における略円弧状の曲率をR(m
m)、前記摺動面に対する前記ヘッド素子の摺動面側端
の凹量であるリセス量をL(nm)としたときに、50
<R×L<150の関係を満たすように形成されている
ことを特徴とするものである。
【0016】また、本発明は、上記目的を達成するため
に案出された磁気ヘッドの製造方法である。すなわち、
磁気テープを記録媒体として用いるシステムの回転ヘッ
ドに搭載され、再生用の磁気抵抗効果型のヘッド素子を
有した磁気ヘッドの製造方法であって、前記ヘッド素子
を一対の硬質非磁性基板が軟磁性体を介して挟み込む薄
膜積層構造体を形成し、前記薄膜積層構造体の一端面
に、前記ヘッド素子が頂点近傍に位置するように、略円
弧状の摺動面を形成するとともに、前記摺動面の形成
を、前記摺動面における略円弧状の曲率をR(mm)、
前記摺動面に対する前記ヘッド素子の摺動面側端の凹量
であるリセス量をL(nm)としたときに、50<R×
L<150の関係を満たすように行うことを特徴とす
る。
【0017】上記構成の磁気ヘッドおよび上記手順の製
造方法によって製造される磁気ヘッドによれば、摺動面
の曲率R(mm)と、その摺動面に対するヘッド素子の
リセス量L(nm)との関係が50<R×L<150と
なっているので、磁気テープとの接触状態を良好に保て
るようになる。すなわち、曲率Rとリセス量Lとの関係
を、50<R×L<150といった一定範囲内に収める
ことで、磁気テープとヘッド素子との間のスペーシング
量を抑えつつ、使用初期から長時間使用後まで均一なス
ペーシングを維持することのできる摺動面の形状を実現
可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明に係る
磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。図1
は本発明に係る磁気ヘッドにおける薄膜積層構造の一例
を示す断面構成図であり、図2はその磁気ヘッドが用い
られるシステムの概略構成を示す模式図である。
【0019】先ず、本発明に係る磁気ヘッドの説明に先
立ち、その磁気ヘッドが用いられるシステムについて説
明する。ここでは、磁気ヘッド装置を備えた情報記録・
再生装置である磁気テープ装置を例に挙げて説明する。
図2に示すように、磁気テープ装置1は、磁気ヘッド装
置2と磁気テープTPとが組み合わされて構成されたも
のである。
【0020】磁気ヘッド装置2は、回転ドラム2a、こ
れと同軸の固定ドラムおよびモータ(ただし、いずれも
不図示)等を備えて構成されている。回転ドラム2a
は、モータの作動により回転するようになっており、2
つの再生ヘッドRH1,RH2および2つの記録ヘッド
WH1,WH2を搭載している。各再生ヘッドRH1,
RH2および各記録ヘッドWH1,WH2は180°の
位相差を有している。このうちの各再生ヘッドRH1,
RH2が本発明に係る磁気ヘッドに相当する。なお、各
記録ヘッドWH1,WH2は、例えばインダクティブ型
磁気ヘッドにより構成すればよい。
【0021】一方、磁気テープTPは、供給リール3か
らローラ4a,4b,4cを経て、回転ドラム2aおよ
び固定ドラムの双方に略180°にわたって斜めに密着
し、ローラ4d,4e,4f,4gを経て巻き取りリー
ル5に巻き取られる。これにより、記録ヘッドWH1,
WH2と再生ヘッドRH1,RH2は、磁気テープTP
に対してヘリカルスキャン方式で接触して案内されるこ
とになる。また、ローラ4fに対応してキャプスタン6
5設けられており、このキャプスタン6によって磁気テ
ープTPの走行速度が略一定に保たれるようになってい
る。
【0022】つまり、本発明に係る磁気ヘッドは、例え
ば上述したような磁気テープTPを記録媒体として使用
する磁気テープ装置1にて用いられるものである。さら
に詳しくは、その磁気テープ装置1が備える回転ドラム
2aに搭載され、へリカルスキャン方式によって磁気テ
ープTPと高速で摺動して、その磁気テープTPからの
信号再生を行うものである。
【0023】このような信号再生を行うために、本発明
に係る磁気ヘッドは、MR素子による磁気抵抗効果を利
用している。すなわち、本発明に係る磁気ヘッドは、M
R素子を有して構成されたMRヘッドである。
【0024】次に、本発明に係る磁気ヘッド、すなわち
MRヘッドの構成について詳しく説明する。図1に示す
ように、ここで説明するMRヘッドも、磁気テープTP
と高速で摺動することから、従来のものと略同様に、磁
気テープTPと摺動する略円弧状の摺動面10を具備し
ている。
【0025】この摺動面10上では、磁気的なシールド
を行うために、MR素子11を挟支するように軟磁性薄
膜12が配され、さらにこれらを一対の硬質非磁性基板
13,14が挟支している。つまり、摺動面10は、M
R素子11を一対の硬質非磁性基板13,14が軟磁性
薄膜12を介して挟み込む形で、磁気テープTPの走行
方向に沿って積み重なる薄膜積層構造に構成されてい
る。
【0026】なお、図例では、特徴を分かりやすく示す
ためにMR素子11付近の部分を大きく表記している
が、実際には当該部分は各硬質非磁性基板13,14に
比べると非常に微細である。具体的には、例えば、磁気
テープTPの進入側における硬質非磁性基板13の磁気
テープ走行方向長さt1は0.8mm程度であるが、M
R素子11および軟磁性薄膜12等を含む部分の磁気テ
ープ走行方向長さt2は5μm程度である。したがっ
て、このMRヘッドにおいて、摺動面10となるのは、
殆ど各硬質非磁性基板13,14の上部端面だけであ
る。
【0027】ところで、本実施形態におけるMRヘッド
は、摺動面10の形状に、以下に述べるような特徴があ
る。
【0028】その一つとして、本実施形態のMRヘッド
では、摺動面10における略円弧状の曲率をR(m
m)、摺動面10に対するMR素子11のリセス量をL
(nm)としたときに、その摺動面10が50<R×L
<150の関係を満たすように形成されている。
【0029】ここで、摺動面10の曲率RとMR素子1
1のリセス量Lとの関係について、簡単に説明する。図
3は、様々な摺動面形状のMRヘッドに関して電気変換
特性を測定して、20MHzの高密度で記録再生を行っ
たときの再生出力と、そのときのヘッドのR×Lの値と
の関係を示す説明図である。なお、図例では、摺動面の
偏摩耗も考慮するため、ヘッド走行50時間後に測定を
行った結果を示している。
【0030】図3に示す測定結果からも明らかなよう
に、R×Lの値が50以下になると、ヘッド出力が低下
していることが分かる。これは、摺動面の偏摩耗の影響
等によって、MR素子部分のスペーシングが広がってし
まうためと考えられる。一方、R×Lの値が150以上
となった場合にも、ヘッド出力が低下していることが分
かる。これは、磁気テープの走行に伴う磁気テープ進入
側からの空気層の厚みが増して、その結果MR素子部分
のスペーシングが広がってしまうためと考えられる。
【0031】これらのことから、本実施形態のMRヘッ
ドでは、50<R×L<150の関係を満たすように、
摺動面10を形成している。つまり、曲率Rとリセス量
Lとの関係を50<R×L<150といった一定範囲内
に収めることで、磁気テープTPとMR素子11との間
のスペーシング量を抑えつつ、使用初期から長時間使用
後まで均一なスペーシングを維持することを可能にして
いる。
【0032】また、他の一つの特徴として、本実施形態
のMRヘッドでは、摺動面10の曲率Rが、3mm<R
の範囲で形成されている。すなわち、摺動面10の曲率
Rが極端に小さくなってしまうのを避けているため、使
用開始初期段階(例えば、数十時間の使用)で摺動面の
頂点近傍が摩耗して略平坦状になってしまうといった偏
摩耗の発生を回避することができ、その辺摩耗によるス
ペーシング量への悪影響を解消可能にしている。
【0033】さらに、他の一つの特徴として、本実施形
態のMRヘッドでは、摺動面10に対するMR素子11
のリセス量Lが、0nm<L<50nmの範囲で形成さ
れている。すなわち、MR素子11のリセス量Lが極端
に大きくなってしまうのを避けている。これにより、ス
ペーシングの悪化を抑制することができ、良好なスペー
シング特性を実現し得るようになる。
【0034】以上のように摺動面10を形成することに
よって、本実施形態のMRヘッドは、摺動面10の曲率
Rおよびその摺動面10に対するMR素子11のリセス
量Lの双方を考慮した摺動面形成の最適化が図れるよう
になる。したがって、本実施形態のMRヘッドを用いれ
ば、長時間に及ぶ高い出力と良好な周波数特性を維持す
ることが可能となり、高感度・高密度対応の安定した特
性を実現するのに好適となる。
【0035】次に、以上のようなMRヘッドの製造方法
について説明する。図4〜19は、MRヘッドの製造手
順を説明するための図である。なお、これらの図は、特
徴を分かりやすく示すために、図1と同様に、特徴とな
る部分を拡大して示している場合があり、各部材の寸法
の比率が実際と同じであるとは限らない。また、以下の
説明では、MRヘッドを構成する各部材、その材料、大
きさおよび膜厚等について具体的な例を挙げるが、本発
明は以下の例に限定されるものではない。例えば、以下
の説明では、ハードディスク装置等で実用化されている
ものと同様な構造を有する、いわゆるシールド型のSA
L(Soft Adjacent Layer)バイアス方式のMR素子を
用いた例を挙げるが、GMR(Giant MR)ヘッドやス
ピンバルブヘッドといったMR素子も勿論使用可能であ
る。
【0036】本実施形態で説明したMRヘッドを製造す
る際には、先ず、図4(a)および(b)に示すよう
に、例えば直径4インチの円盤状の基板131を用意
し、この基板131の表面に対して鏡面加工を施す。こ
の基板131は、磁気テープ進入側の硬質非磁性基板1
3となるもので、具体的にはAl23−TiC(アルチ
ック)、α−Fe23(α−ヘマタイト)、NiZnフ
ェライト等が好適である。
【0037】そして、基板131上には、後述する下層
膜シールドを形成するために、軟磁性薄膜121をスパ
ッタ法により形成する。ここで用いる軟磁性薄膜121
は、例えばFeAlSi(センダスト)のように、良好
な軟磁性を示し、かつ、摩耗腐食に優れたものであれ
ば、特に限定されるものではない。ただし、MRヘッド
のシールドとして機能するためには、システムで使用す
る最長波長の2倍以上の厚みが必要であり、積層膜全体
の厚みは必要に応じて決定される(例えば、2.5μ
m)。
【0038】軟磁性薄膜121を形成したら、その後
は、下層膜シールドをヘッド毎に分離するためのパター
ニングを行う。先ず、レジスト膜を塗布した後に、必要
な形状に露光および現像を行う、いわゆるフォトリソグ
ラフィ技術を用いて、MR素子が形成される位置に例え
ば横80μm、縦100μm程度の大きさのレジストパ
ターン122を残す。そして、イオンエッチングにより
レジストパターン122が形成されていない部分の軟磁
性薄膜121を除去し、その後有機溶剤にてレジストパ
ターン122を除去する。
【0039】これにより、基板131上には、図5
(b)に示すように、レジストパターン122に対応し
た下層膜シールド123が形成されることになる。下層
膜シールド123を形成した後は、続いて、下層膜シー
ルド123として残った部分の凹凸を無くして基板表面
を平坦化するために、基板全面にスパッタ法や蒸着等の
形成方法によってAl23を例えば5μm程度形成し、
下層膜シールド123上面が現れるまで表面を研磨す
る。このとき、Al23の形成量は、下層膜シールド1
23が完全に埋まる必要が有るため、その下層膜シール
ド123の厚み以上にする。なお、Al23の代わりに
SiO2等を用いても構わない。表面の研磨は、ダイヤ
モンド砥粒で粗く削った後化学的研磨(バフ研磨)で表
面を慣らしてもいいし、はじめから化学的研磨のみでも
良い。ただし、基板全面にわたって、下層膜シールド1
23の表面が露出するまで行う必要がある。そして、下
層膜シールド123に用いた軟磁性薄膜121の種類に
応じて、その材料に最適な熱処理を施す。例えば、軟磁
性薄膜121がセンダストであれば、550℃前後まで
1時間で加熱した後、同温度で1時間保持し、その後自
然冷却させるといった熱処理を施す。
【0040】このような熱処理を施した後は、MR素子
11の下層ギャップとなる非磁性非導電性膜111を、
スパッタリング等により成膜する。ここで、非磁性非導
電性膜111の材料には、絶縁特性や耐磨耗性等の観点
から、Al23が好適である。なお、この非磁性非導電
性膜111の膜厚は、記録信号の周波数等に応じて適切
な値に設定すればよく、例えば100nm程度と設定す
ることが考えられる。ただし、このとき、下層ギャップ
の膜厚算出方法において、最終的にシステムに必要なシ
ールドシールド間距離(いわゆる再生ギャップ)をGと
して、G/2−(下層Ta5nm+SALバイアス層N
iFeNb32nm+中間絶縁層Ta5nm+MR層N
iFe30nm/2)と決定することで、下層シールド
と上層シールドの真中間にMR素子が設置されることに
なる。
【0041】非磁性非導電性膜111を成膜した後は、
図5(a)および(b)に示すように、その非磁性非導
電性膜111の上に、SALバイアス方式のMR素子1
1を構成するための薄膜(以下「MR素子用薄膜」とい
う)112を成膜する。具体的には、MR素子用薄膜1
12は、例えば、Ta(5nm)/NiFeNb(24
nm)/Ta(5nm)/NiFe(20nm)/Ta
(1nm)を、この順にスパッタリングにより順次成膜
して形成する。この場合は、NiFeが、磁気抵抗効果
を有する軟磁性膜であり、MR素子11の感磁部とな
る。また、NiFeNbが、NiFeに対してバイアス
磁界を印加するための軟磁性膜(いわゆるSAL膜)と
なる。なお、磁気抵抗効果素子の材料や膜厚は、上記の
例に限るものではなく、システムの要求等に応じて適切
なものを用いるようにすればよい。
【0042】その後は、MR素子の動作の安定化を図る
ために、図6並びに図7(a)および(b)に示すよう
に、各MR素子毎に、2つの矩形状の永久磁石膜113
a,113bを、フォトリソグラフィ技術を用いて、M
R素子用薄膜112に埋め込む。さらには、素子の抵抗
値を減少させるために、永久磁石膜113a,113b
の上部に、より抵抗値の低い導電性材料(以下「低抵抗
化膜」という)114a、114bを形成する。なお、
図7(後述する図8〜図12も含む)は、1つのMR素
子11に対応する部分、すなわち図6中の矢印Cの部分
を拡大して示している。
【0043】各永久磁石膜113a,113bは、例え
ば長軸方向の長さt3を約50μm、短軸方向の長さt
4を約10μmとして、その間隔t5を約5μmとす
る。この間隔t5が、最終的には、MR素子11のトラ
ック幅(例えば、約5μm)になる。ただし、トラック
幅は、上記の例に限るものではなく、システムの要求等
に応して、適切な値に設定するようにすればよい。これ
ら永久磁石膜113a,113bが設置される位置は、
下層膜シールド123上であり、下層シールドの内部に
収まっている必要があるが、最終的にシールドとして残
る部分がMR素子の磁束進入方向の幅(デプス)の5倍
程度以上あればよい。
【0044】永久磁石膜113a,113bと低抵抗化
膜114a,114bを埋め込む際は、例えば、先ずフ
ォトレジストによりMR素子毎に2つの長方形の開口部
を有するマスクを形成する。そして、エッチングを施し
て、開口部に露呈していたMR素子用薄膜112を除去
する。なお、ここでのエッチングは、ドライ方式でもウ
ェット方式でも構わないが、加工のし易さ等を考慮する
と、イオンエッチングが好適である。次いで、永久磁石
膜113をスパッタリング等により成膜する。なお、永
久磁石膜113の材料としは、保磁力が1000[O
e]以上ある材料、例えばCoNiPtやCoCrPt
等が好適である。そして、その厚みは、MR素子11の
厚みと等しくする。
【0045】永久磁石膜113の成膜後は、さらに低抵
抗化膜114をスパッタリング等により成膜する。な
お、低抵抗化膜114の材料としては、例えばCr,T
a等が好適である。そして、その厚みは、例えば60n
mとする。永久磁石膜113も含め、これらの厚みは、
システムで必要な抵抗値、MR素子のトラック幅等で決
定される。その後、マスクとなっていたフォトレジスト
を、当該フォトレジスト上に成膜された永久磁石膜11
3および低抵抗化膜114とともに除去する。これによ
り、所定パターンの永久磁石膜113a,113bと低
抵抗化膜114a,114bとが、MR素子用薄膜11
2に埋め込まれた状態となる。
【0046】その後は、図8(a)および(b)に示す
ように、フォトリソグラフィ技術を用いて、最終的にM
R素子として動作する部分(以下「素子部分」という)
115を残して、MR素子用薄膜112を除去する。な
お、このとき、当該素子部分115にセンス電流を供給
するための端子となる部分(以下「端子部分」という)
115a,115bも残しておく。具体的には、例え
ば、先ずフォトレジストにより各MR素子毎に、素子部
分115と端子部分115a,115bとに開口部を有
するマスクを形成する。次に、エッチングを施して、開
口部に露呈していたMR素子用薄膜112を除去する。
なお、ここでのエッチングは、ドライ方式でもウェット
方式でも構わないが、加工のし易さ等を考慮すると、イ
オンエッチングが好適である。その後、マスクとなって
いたフォトレジストを除去することにより、MR素子用
薄膜112のうち、素子部分115と端子部分115
a,115bとが残された状態となる。
【0047】なお、素子部分115の幅t6は、例えば
約3μmとする。この幅t6は、最終的には、素子部分
115のテープ摺動面側の端部から他端までの長さ、す
なわちデプス長dに相当する。したがって、本例では、
素子部分115のデプス長dは約3μmとなる。ただ
し、デブス長dは、上記の例に限るものではなく、シス
テムの要求等に応じて、適切な値に設定するようにすれ
ばよい。また、端子部分115a,115bについて
は、例えば、それぞれの長さt7を約1.5mmとし、
それぞれの幅t8を約80μmとし、それらの間隔t9
を約40μmとすることが考えられる。
【0048】次いで、フォトリソグラフィ技術を用い
て、素子部分115にセンス電流を供給するための端子
部分115a,115bを、より電気抵抗の小さい導電
膜に置き換えて、素子部分115にセンス電流を供給す
るための端子115a′,115b′を形成する。具体
的には、先ず、フォトレジストにより、端子となる部分
115a,115bに開口部を有するマスクを形成す
る。そして、エッチングを施して、開口部に露呈してい
る部分、すなわち端子となる部分115a,115bに
残されていたMR素子用薄膜112を除去する。続い
て、フォトレジストのマスクをそのまま残した状態で、
その上に導電膜を成膜する。ここで、導電膜は、例え
ば、Ti(10nm)/Cu(90nm)/Ti(10
nm)をこの順にスパッタリングにより順次成膜して形
成する。その後、マスクとなっていたフォトレジスト
を、当該フォトレジスト上に成膜された導電膜とともに
除去する。これにより、導電膜からなる端子が形成され
た状態となる。
【0049】そして、図9(a)および(b)に示すよ
うに、端子115a′,115b′を形成した後、MR
素子11の上層ギャップとなる非磁性非導電性膜116
を、スパッタリング等により成膜する。ここで、非磁性
非導電性膜116の材料には、絶縁特性や耐磨耗性等の
観点から、Al23が好適である。この非磁性非導電性
膜116の膜厚は、記録信号の周波数等に応じて適切な
値に設定すればよく、具体的には、例えば120nmと
する。この上層ギャップの正確な膜厚算出方法は、最終
的にシステムに必要なシールドとシールド間距離(いわ
ゆる再生ギャップ)をGとして、G/2−(MR層Ni
Fe30nm/2+下層Ta5nm)と決定すること
で、下層シールドと上層シールドの真中間にMR素子が
設置されることになる。
【0050】非磁性非導電性膜116の成膜後は、上層
シールドとなる軟磁性薄膜124を成膜する。このと
き、軟磁性薄膜124は、上層ギャップであるAl23
を形成した後、図10または図11に示すように、上層
シールドとして必要となる部分を開口部125aとして
レジスト膜125b,125cでマスクすることで形成
する。これにより、軟磁性薄膜124の形状を、必要と
されるシールドの形状とする。
【0051】ただし、ここで重要なことは、開口部12
5aを形作るレジスト膜125b,125cの端面が、
図10(b)に示すように逆テーパー型か、または図1
1(b)に示す2層構造になっており、上層側のほうが
下方側より突出した形状となっていることである。この
ような形状にする理由は、後で詳細を説明するが、スパ
ッタしたシールド膜をリフトオフの手法により形成する
ためである。図10(b)のような逆テーパーの端部を
持つようにするには、逆テーパー用のレジスト、例えば
日本ゼオン社製ZPN−1100やクライアント社製A
Z5214Eを用いて、通常のプリベーク・露光後に1
10℃の温度で加熱(反転ベーキング)と過大露光(反
転露光)を行うことで形成できる。また、図11(b)
で示すような2層構造のレジスト形成は、1層目に通常
は反射防止膜として用いられる、例えばBrewer Science
社製ARCを用い、上層には一般に用いられるレジス
ト、例えばクライアント社製AZ6108等を用い、露
光までは通常の工程で行われる手法で行い、現像のみ通
常より長時間行うことで、1層目のARCのみが除去さ
れ、上層が突出した2層構造のレジスト形状が形成され
る。
【0052】このようなレジスト膜125b,125c
によるマスクを経て、上層シールドを形成する軟磁性薄
膜124をスパッタにより形成する。ここで注意が必要
なのは、既にMR素子11が形成されているため、下層
シールドで行ったような高温での熱処理工程を要れるこ
とができないことである。そのため、上層シールドとし
て用いる軟磁性薄膜124には、MR素子の耐熱温度で
ある350℃以下の熱処理、または熱処理無しで軟磁性
を示す材料でなくてはいけないという制限が有る。この
ことから、軟磁性薄膜124としては、Co系のアモル
ファス材料を用いることが考えられる。Co系のアモル
ファス膜、例えばCoZrNbTaの場合、CoaZr
bNbcTad(a,b,c,dは原子%)として、6
8≦a≦90、0≦b≦10、0≦c≦20、0≦d≦
10、a+b+c+d=100で優れた軟磁気特性とな
るが、特に79≦a≦83、2≦b≦6、10≦c≦1
4、1≦d≦5、a+b+c+d=100で優れた耐熱
性耐摩耗性が得られる。この組成を用いることにより偏
磨耗を減少させることができ、スペーシングロスを減少
させ高い出力を維持でき、ヘッドの寿命を延ばすことが
できる。ここでの組成以外としては、Taの代わりにM
o、Cr、TiHf、Pd、W、V等やそれらの複合が
考えられる。
【0053】さらに、軟磁性特性を高めるためには、上
層の軟磁性薄膜を積層構造とすればよい。積層膜は、軟
磁性膜と非磁性膜を交互に堆積させることで、軟磁性膜
がそれぞれ静磁気的な結合を行うことにより、磁壁を生
じなくなる。そのため、磁壁移動に伴う高周波への対応
の遅れやノイズの発生を抑えることができる。非磁性膜
には、SiO2を用いたが、この材料に限定されるもの
でなく、電気的磁性的に絶縁が得られる膜であれば構わ
ない。具体的には、磁性層の厚みを0.28μm、非磁
性層の厚みを5nmとして、磁性層が10層になるよう
に磁性層と非磁性層を交互に堆積させ、全厚みを3μm
程度とすることが考えられる。なお、アモルファス磁性
膜の特性を安定させるため、磁性層の下地には、Cr等
を数nm程度堆積させたほうが好ましい。
【0054】その後は、図10または図11で示したレ
ジスト膜125b,125cを、その上にスパッタされ
た軟磁性膜と共に除去することで、上層シールドを形成
する軟磁性薄膜124の形成を終了する。このレジスト
膜125b,125cと同時にレジスト膜125b,1
25c上に形成された材料を除去し、レジストで覆われ
ていない部分のみを残すことをリフトオフ手法と呼ぶ
が、このリフトオフ手法によってリフトオフされる材料
の端部を明瞭に分断させるためには、上述した逆テーパ
ータイプや2層構造のレジスト形状が必要となる。すな
わち、これらの形状によって成膜される材料が分断さ
れ、その分断部からレジストを除去する溶剤が入り込む
ことにより、明瞭なパターニングが可能となる。
【0055】上層シールドを形成する軟磁性薄膜124
の形成後は、図12(a)および(b)に示すように、
フォトリソグラフィ技術を用いて、外部回路と接続する
ための外部接続端子15a,15bを、上述した端子1
15a′,115b′の端部上に形成する。具体的に
は、例えば、先ずフォトレジストにより、外部接続端子
15a,15bとなる部分に開口部を有するマスクを形
成する。続いて、エッチングを施して、開口部に露呈し
ている部分、すなわち外部接続端子15a,15bとな
る部分の非磁性非導電性膜116を除去し、上記端子1
15a′,115b′の端部を露出させる。そして、フ
ォトレジストのマスクをそのまま残した状態で、その上
に導電膜を成膜する。ここで、導電膜は、例えば、硫酸
銅溶液を用いた電解メッキにより、Cuを6μm程度の
膜厚となるように形成する。なお、この導電膜の形成方
法は、他の膜に影響を与えないものであれば、電解メッ
キ以外の方法でもよい。その後、マスクとなっていたフ
ォトレジストを、当該フォトレジスト上に成膜された導
電膜とともに除去する。これにより、外部接続端子15
a,15bが形成された状態となる。なお、この外部接
続端子15a,15bの長さt12は、例えば約50μ
mとする。また、この外部接続端子15a,15bの幅
t13は、上記端子115a′,115b′の幅t8と
同じであり、例えば約80μmとなる。
【0056】外部接続端子15a,15bを形成する
と、次いで、MR素子全体を外部と遮断するため、全面
に保護膜126を形成する。具体的には、例えばスパッ
タリングにより、Al23を4μm程度の膜厚となるよ
うに形成する。なお、この保護膜126の材料は、非磁
性非導電性の材料であれば、Al23以外も使用可能で
あるが、耐環境性や耐磨耗性等を考慮すると、Al23
が好適である。また、この保護膜126の形成方法は、
スパッタリング以外の方法によるものであってもよく、
例えば蒸着等によって形成するようにしてもよい。その
後、外部接続端子15a,15bが表面に露出するま
で、全面に被覆した保護膜126を研磨する。ここでの
研磨は、例えば粒径が約2μmのダイヤモンド砥粒によ
り、外部接続端子15a,15bの表面が露出するまで
大まかに研磨した後、シリコン砥粒によるバフ研磨を施
して、表面を鏡面状態に仕上げるようにする。
【0057】このようにして保護膜126を形成した後
は、基板131上に形成された多数のMR素子11群に
対し、図13に示すように、その基板を短冊状に切り分
け、幾つかのMR素子11が横方向に並ぶようなブロッ
ク21を形成する。横方向に並ぶMR素子11の数は生
産性を考慮するとできる限り多い方が良い。図例では簡
略化のため5個のみ示しているが、実際はこれ以上でも
構わない。ブロック21の幅t14は2mmとしてい
る。
【0058】短冊状に切り分けたブロック21を形成す
ると、次いで、図14に示すように、その切り出された
ブロック21に、例えば厚さt15が約0.7mmの基
板141を貼り付ける。基板141の貼り付けには、例
えば樹脂等の接着剤が用いればよい。このとき、基板1
41の高さt16を第1の基板131の高さt14より
も小さくして、外部接続端子15a,15bを露出さ
せ、これらへの電気的な接続を行い得るようにする。こ
の基板141には、基板131と同種の材料を用いる。
【0059】基板141の貼り付け後は、図15に示す
ように、摺動面10の形成を行う。すなわち、摺動面1
0となる面に対し、略円弧状となるような研削加工を施
す。具体的には、MR素子11の前端が摺動面10上に
露呈するとともに、当該MR素子11のデプス長dが、
初期段階(例えば7μm)になるところまで、つまりM
R素子11の端部が摺動面10側に現れる付近まで、基
板141貼り付け後の素子列22に対して円筒研磨を施
す。これにより、摺動面10が略円弧状の曲面とされ
る。なお、この時点での研磨は、粗取りの段階であるた
め、最終的に必要となるMR素子11のデプス+1μm
程度までとする。
【0060】そして、粗取りの段階の研磨が終了する
と、MRヘッドを個別に分離するために、図16に示す
ように、システムで要求されるアジマス角度θをつけ
て、一定間隔で素子列22の切断を行う。
【0061】各MRヘッドへの分離後は、最終的な摺動
面10表面の形成を、個々に研磨テープによって行う。
すなわち、個々のヘッド毎に最終的に必要となるMR素
子11のデプス幅となり、かつ、MR素子11が摺動面
10の円弧の頂点近傍に位置するように、研磨テープに
よる機械的な加工を施す。なお、ここでは、研磨テープ
31による機械的な形成方法を示すが、この方法には限
られず、化学的な研削や、イオンエッチングといった薄
膜工程を用いても構わない。
【0062】研磨テープによる機械的な加工を施す場
合、最終的な摺動面10表面の形成は、図17に示すよ
うに、その摺動面10の表面上にて研磨テープ31を、
2つのガイドピン32のガイドによって摺動面10に向
けてテンションが加わる状態で、一方向に走行させるこ
とで行う。
【0063】ただし、このときの摺動面形成は、既に説
明したように、50<R×L<150、3mm<R、0
nm<L<50nmの各関係を満たすように行う必要が
ある。この関係を満たすために、本実施形態では、研磨
テープ31として、ポリエステルベースに平均粒径0.
1μmのダイヤモンド砥粒および平均粒径0.1μmの
酸化クロムをコーティングしたものを用いる。そして、
その研磨テープ31を、摺動面10に向けて300〜5
00gfのテンションが加わる状態で、摺動面10との
相対移動速度を4〜6cm/secで一方向に走行させ
る。
【0064】このような条件下での研磨処理を、摺動面
10の表面に対して30〜180sec行うことで、そ
の摺動面10上におけるMR素子11のリセス量Lは、
略20nm程度となる。したがって、50<R×L<1
50の関係を満たすためには、リセス量L=20nmで
あることから、摺動面10の曲率Rを、2.5mm<R
<7.5mmの範囲内で形成する必要がある。さらに、
3mm<Rの関係を満たすことを考慮すれば、摺動面1
0の曲率Rは、3mm<R<7.5mmとなる。
【0065】摺動面10の曲率Rを決定するのは、研磨
テープ31の張力が一定である場合、図18に示すよう
に、ヘッド突き出し量Mの大きさによる。突き出し量M
が大きければ曲率Rは小さくなり、突き出し量Mが小さ
くなれば曲率Rは大きくなる。
【0066】すなわち、摺動面10の曲率と突き出し量
Mとの関係は、例えば図19に示すように、略一義的な
もの(二次関数で近似し得るもの)となる。ただし、こ
の関係は、研磨テープ31の張力等により変化するた
め、研磨装置毎に測定を行い、事前に把握しておく必要
がある。このような関係に基づいて、最終的な摺動面1
0表面の形成時に、突き出し量Mを調整し、摺動面10
の曲率Rが50<R×L<150の関係を満たすように
研磨を行う。
【0067】具体的には、図19に示す例の場合であれ
ば、要求される曲率R(3mm<R<7.5mm)に対
する突き出し量Mは7mm<M<14mmであることが
分かる。このことから、50<R×L<150、3mm
<R、0nm<L<50nmといった各関係を満たすた
めには、例えば、突き出し量Mを10mmとし、最終的
な摺動面10の曲率Rを4.5mmとすることが考えら
れる。
【0068】図1に示した本実施形態におけるMRヘッ
ドは、以上のような手順によって製造される。そして、
MRヘッドを使用する際には、そのMRヘッドをチップ
ベースに貼り付けるとともに、外部接続端子15a,1
5bとチップベースに設けられた端子とを電気的に接続
し、これらを磁気テープ装置1の回転ドラム2aに取り
付けるようにすればよい。
【0069】以上のような製造方法により得られるMR
ヘッド、すなわち本実施形態のMRヘッドによれば、摺
動面10の曲率RとMR素子11のリセス量Lとの関係
が50<R×L<150といった一定範囲内に収めるこ
とで、リセス量Lも含めて摺動面10の曲率Rを最適化
することができる。すなわち、磁気テープTPとMR素
子11との間のスペーシング量を抑えつつ、使用初期か
ら長時間使用後まで均一なスペーシングを維持できるの
で、磁気テープTPとの接触状態を良好に保ち、長寿命
高感度、高密度対応を実現することができる。
【0070】図20には、走行時間に対するヘッド出力
の推移の測定結果の一具体例を示す。図例からも明らか
なように、本実施形態で説明したMRヘッドによれば、
従来のヘッド(曲率Rとリセス量Lとの関係に制限がな
く、摺動面の形状の最適化がなされていないヘッド)に
比べて、長時間走行後においても高い出力を維持し、磁
気テープTPとの良好な接触状態を実現できていること
が確認できる。
【0071】なお、本実施形態では、MRヘッドを構成
する各部材、その材料、大きさおよび膜厚等について、
具体的な例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、システムの要求等に応じて適切なも
のを用いるようにすればよい。例えば、本実施形態で
は、ハードディスク装置等で実用化されているMRヘッ
ドと同様な構造を有する、いわゆるシールド型のSAL
バイアス方式のMRヘッドを挙げて説明したが、バイア
ス法等はこれに限定されるものではない。また、へリカ
ルスキャン方式の磁気テープ装置のみならず、高速摺動
する固定方式の磁気テープ装置にも適用可能である。ま
た、MR素子としては、GMR(Giant MR)やスピン
バルブ等の抵抗変化率の大きい構造のものについても適
用可能である。
【0072】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係る磁
気ヘッドおよびその製造方法によれば、摺動面形成の最
適化によって、磁気テープとヘッド素子との間のスペー
シング量を抑えつつ、使用初期から長時間使用後まで均
一なスペーシングを維持できるので、長時間に渡り磁気
テープとの接触状態を良好に保つことが可能となる。し
たがって、高密度記録再生においても高い出力が得られ
るようになり、高感度・高密度対応の安定した特性の磁
気ヘッドを実現するのに好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気ヘッドにおける摺動面の形状
の一例を示す断面構成図である。
【図2】本発明に係る磁気ヘッドが用いられるシステム
の一例の概略構成を示す模式図である。
【図3】磁気ヘッドの再生出力と曲率R×リセス量Lの
値との関係の一具体例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明する
ための図(その1)であり、(a)は基板上に軟磁性膜
を成膜した後、シールド形状にフォトレジストパターン
を形成した状態を示す平面図であり、(b)はその側面
図である。
【図5】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明する
ための図(その2)であり、(a)は磁気抵抗効果型素
子用薄膜を成膜した後の状態を示す平面図であり、
(b)はその側面図である。
【図6】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明する
ための図(その3)であり、磁気抵抗効果型素子用薄膜
に永久磁石膜を埋め込んだ状態を示す平面図である。
【図7】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明する
ための図(その4)であり、(a)は図6における1つ
のヘッド素子に対応する部分を拡大した平面図であり、
(b)はそのX−X断面図である。
【図8】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明する
ための図(その5)であり、(a)は磁気抵抗効果型素
子用薄膜のエッチング状態について1つのヘッド素子に
対応する部分を拡大した平面図であり、(b)はそのX
−X断面図である。
【図9】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明する
ための図(その6)であり、(a)はヘッド素子の上層
ギャップとなる非磁性非導電性膜を成膜した状態につい
て1つのヘッド素子に対応する部分を拡大した平面図で
あり、(b)はそのX−X断面図である。
【図10】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その7)であり、(a)はリフトオフを行
うために、逆テーパー型に形成されたレジストの形状を
表わす平面図であり、(b)はそのX−X断面図であ
る。
【図11】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その8)であり、(a)はリフトオフを行
うために、2層構造に形成されたレジストの形状を表わ
す平面図であり、(b)はそのX−X断面図である。
【図12】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その9)であり、(a)は保護膜を成膜し
た後、当該保護膜を外部接続端子が露出するまで研磨し
た状態を示す平面図であり、(b)はそのX−X断面図
である。
【図13】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その10)であり、ヘッド素子が形成され
た硬質非磁性基板をブロック状に切断した状態を示す模
式図である。
【図14】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その11)であり、図13のブロックに硬
質非磁性基板を張り合わせた状態を示す斜視図である。
【図15】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その12)であり、図14のブロックの上
面部分を円弧状に加工した状態を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その13)であり、図15のブロックをヘ
ッド素子毎に分断する様子を示す模式図である。
【図17】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その14)であり、その磁気ヘッドの摺動
面を研磨する研磨装置の概略構成を示す模式図である。
【図18】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その15)であり、図17の研磨装置のヘ
ッド部分を拡大した模式図である。
【図19】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その16)であり、ヘッドズレ量とそのズ
レ量に対する円弧頂点の位置との関係の具体例を示す説
明図である。
【図20】本発明に係る磁気ヘッドにおける走行時間と
スペーシング量との関係の一具体例を示す説明図であ
る。
【図21】本発明に係る磁気ヘッドが搭載される回転ド
ラムの一例の概略構成を示す斜視図である。
【図22】従来の磁気ヘッドにおける薄膜積層構造の一
例を示す断面構成図である。
【図23】摺動面の曲率Rが大きい磁気ヘッドの一例を
示す説明図であり、(a)はその薄膜積層構造の断面構
成図、(b)はスペーシングとの関係の一具体例を示す
図である。
【図24】摺動面の曲率Rが小さい磁気ヘッドの一例を
示す説明図であり、(a)はその薄膜積層構造の断面構
成図、(b)はスペーシングとの関係の一具体例を示す
図である。
【符号の説明】
2…磁気ヘッド装置、2a…回転ドラム、10…摺動
面、11…MR素子、12…軟磁性薄膜、13,14…
硬質非磁性基板、RH1,RH2…再生ヘッド(MRヘ
ッド)、TP…磁気テープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D034 BA02 BA16 BA19 BB08 DA05 DA07 5D111 AA12 AA23 DD03 DD06 DD12 DD23 EE02 GG12 JJ23 KK09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気テープを記録媒体として用いるシス
    テムの回転ヘッドに搭載され、再生用の磁気抵抗効果型
    のヘッド素子を有した磁気ヘッドであって、 前記磁気テープと摺動する略円弧状の摺動面を具備する
    とともに、 前記摺動面における略円弧状の頂点近傍に前記ヘッド素
    子が配設されており、 前記摺動面における略円弧状の曲率をR(mm)、前記
    摺動面に対する前記ヘッド素子の摺動面側端の凹量であ
    るリセス量をL(nm)としたときに、50<R×L<
    150の関係を満たすように形成されていることを特徴
    とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記摺動面の曲率Rが3<Rの範囲で形
    成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 前記リセス量Lが0<L<50の範囲で
    形成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘ
    ッド。
  4. 【請求項4】 磁気テープを記録媒体として用いるシス
    テムの回転ヘッドに搭載され、再生用の磁気抵抗効果型
    のヘッド素子を有した磁気ヘッドの製造方法であって、 前記ヘッド素子を一対の硬質非磁性基板が軟磁性体を介
    して挟み込む薄膜積層構造体を形成し、 前記薄膜積層構造体の一端面に、前記ヘッド素子が頂点
    近傍に位置するように、略円弧状の摺動面を形成すると
    ともに、 前記摺動面の形成を、前記摺動面における略円弧状の曲
    率をR(mm)、前記摺動面に対する前記ヘッド素子の
    摺動面側端の凹量であるリセス量をL(nm)としたと
    きに、50<R×L<150の関係を満たすように行う
    ことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記摺動面の形成を、研磨テープを用い
    た研磨によって行うとともに、 前記研磨テープとして、ポリエステルベースに平均粒径
    0.1μmのダイヤモンド砥粒および平均粒径0.1μ
    mの酸化クロムをコーティングしたテープを用いること
    を特徴とする請求項4記載の磁気ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記摺動面の形成を、当該摺動面と前記
    研磨テープとの相対移動速度を4〜6cm/sec、前
    記研磨テープに与える張力を300〜500gfで行う
    ことを特徴とする請求項5記載の磁気ヘッドの製造方
    法。
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