JP2002214561A - 光偏向器 - Google Patents

光偏向器

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JP2002214561A JP2001292165A JP2001292165A JP2002214561A JP 2002214561 A JP2002214561 A JP 2002214561A JP 2001292165 A JP2001292165 A JP 2001292165A JP 2001292165 A JP2001292165 A JP 2001292165A JP 2002214561 A JP2002214561 A JP 2002214561A
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    • G02B26/0833Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements for controlling the direction of light by means of one or more reflecting elements the reflecting element being a micromechanical device, e.g. a MEMS mirror, DMD
    • G02B26/085Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements for controlling the direction of light by means of one or more reflecting elements the reflecting element being a micromechanical device, e.g. a MEMS mirror, DMD the reflecting means being moved or deformed by electromagnetic means

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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造性に優れる光偏向器を提供する。 【解決手段】光偏向器200は、ミラーチップ210と
ベース230と磁気回路260とを備えている。ミラー
チップ210は、一対の支持体212と、可動板214
と、これらを連結する一対の弾性部材216とを備えて
おり、可動板214は一対の弾性部材216を軸として
支持体212に対して揺動可能となっている。ミラーチ
ップ210は互いに表裏の関係にある第一面と第二面を
有し、可動板214は、第一面に形成されたコイル22
0と、第二面に形成された鏡面とを有している。ミラー
チップ210は、支持体212の第二面がベース230
に接着されることにより、ベース230に固定されてい
る。ベース230は鏡面を露出させるための開口234
を有している。磁気回路260は、ベース230に対し
て、ミラーチップ210が設けられた側と同じ側に取り
付けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ビームの照射さ
れる鏡面の向きを変えることにより反射光ビームの方向
を変える光偏向器に関する。
【0002】
【従来の技術】光偏向器をシリコンマイクロマシニング
によって製作する考え方は、1980年頃にK. Peterse
nにより発表されており、近年では実用レベルに近いも
のも開発され、製造プロセスに関しても長足の進歩を見
せている。しかし、実装技術に関しては、確立された方
法があるとは言えないのが現状である。
【0003】本出願人は、電磁駆動式の光偏向器のひと
つを、特開平11−231252号において開示してい
る。以下、これについて図13〜図15を参照して説明
する。
【0004】光偏向器は、単結晶シリコン基板から作ら
れた光偏向ミラー部100を有しており、光偏向ミラー
部100は、可動板101と一対の弾性部材102と一
対の支持体103を有している。可動板101は、その
下面(図14と図15における下側の面)に駆動コイル1
04を有しており、上面(図14と図15における上側
の面)に鏡面106を有している。
【0005】光偏向ミラー部100は、図15に示され
るように、その支持体103がU字形状の固定用部材1
11に接着固定されている。光偏向ミラー部100は、
固定用部材111が鏡面106に入射する光ビームや鏡
面106で反射された光ビームの邪魔にならないよう
に、必然的に、駆動コイル104が形成された面を固定
用部材111に向けて取り付けられている。
【0006】光偏向器は、永久磁石108と磁気ヨーク
109,110を有する磁気回路を更に備えている。磁
気ヨーク110は、図14に示されるように、駆動コイ
ル104に大きな磁界を印加するために、固定用部材1
11を貫通して可動板101の近くまで延びている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の光偏向ミラー部
100に限らず、このようなミラー構造体は、駆動コイ
ル側の支持体の面が、固定用部材との接着面として利用
されている。駆動コイル側の支持体の面には、通常、駆
動コイルへの給電パッドなどが形成されているため、接
着に好適な十分な面積の平坦面を確保することが難し
い。
【0008】また、ミラー構造体は給電パッドを固定用
部材に向けて接着されるので、給電パッドから外部に配
線を引き出すために、固定用部材との接着前にミラー構
造体に予めフレキシブル配線板(FPC)などの配線材を
異方導電性フィルム(ACF)などを使って接続しておく
必要がある。このような制約は、固定用部材への接着の
作業性を悪くするとともに位置決め精度を低下させる。
【0009】さらに、ミラー構造体は、駆動コイル側の
面を固定用部材に取り付けられるため、駆動コイルの近
くに磁気ヨークを配置するには、磁気ヨークや固定用部
材を複雑な形状に加工する必要がある。
【0010】本発明は、これらの課題を解決するために
成されたものであり、その目的は、製造性に優れる光偏
向器を提供することである。具体的には、ミラー構造体
の実装が、高い信頼性で、作業性良く、高い位置決め精
度で行なえる光偏向器を提供することである。また、磁
気回路の作製や取り付けが容易に行なえる光偏向器を提
供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の光偏向器は、ミ
ラー構造体と、ミラー構造体を保持するための単一の板
状のベースと、ミラー構造体を駆動するための駆動手段
とを備えており、ミラー構造体は、ベースに固定される
支持体と、支持体に対して動かされる可動板と、可動板
と支持体を連結する一対の弾性部材とを備えており、可
動板は一対の弾性部材を軸として支持体に対して揺動可
能であり、ミラー構造体は互いに表裏の関係にある第一
面と第二面を有し、駆動手段は可動板の第一面に形成さ
れた導電性要素を含んでおり、可動板はその第二面に形
成された鏡面を有し、支持体はその第二面がベースに固
定されており、ベースは鏡面を露出させるための開口を
有しており、駆動手段は、可動板の第一面に形成された
導電性要素と、ベースに固定された磁界発生部材とを備
えている。
【0012】好ましくは、支持体は、導電性要素と電気
的に接続された電極パッドを有しており、ベースは、外
部との電気的接続のための配線材を有し、配線材は、電
極パッドと電気的に接続される接続部を有しており、電
極パッドと接続部はワイヤーボンディングによって電気
的に接続されている。
【0013】好適な一例においては、導電性要素は、可
動板の縁を周回するコイルであり、駆動手段は、磁界発
生部材と主に磁気回路を形成する磁性材料からなるヨー
クを更に有しており、ヨークの少なくとも一部は、可動
板の第一面の近くに配置されている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。
【0015】図1に示されるように、本実施形態の光偏
向器200は、ミラー構造体であるミラーチップ210
と、ミラーチップ210を保持するためのベース230
と、ミラーチップ210を駆動するための磁気回路26
0とを備えている。
【0016】ミラーチップ210は、図2に詳しく示さ
れるように、一対の支持体212と、支持体212に対
して動かされる可動板214と、可動板214と支持体
212を連結する一対の弾性部材216とを備えてい
る。可動板214は一対の弾性部材216を軸として支
持体212に対して揺動可能となっている。言い換えれ
ば、可動板214は、一対の弾性部材216によって、
支持体212に対して揺動可能に両持ち支持されてい
る。
【0017】ミラーチップ210は、互いに表裏の関係
にある二つの面、例えば図2において見える第一面と、
その裏側にあたる第二面を有している。可動板214
は、その第一面に形成された導電性要素220を有して
いる。導電性要素220は、例えば、可動板214の縁
を周回するコイルであるが、これに限定されない。さら
に可動板214は、その第二面に形成された鏡面218
を有している。
【0018】一対の支持体212は、それぞれ、一対の
電極パッド224を有している。一方の(左側の)電極パ
ッド224は、一方の(左側の)弾性部材216を通って
延びる配線226を介して、コイル220の外側の端部
に電気的に接続されている。他方の(右側の)電極パッド
224は、他方の(右側の)弾性部材216を通って延び
る配線227と、可動板214の縁を周回するコイル2
20を跨ぐ飛び越し配線228とを介して、コイル22
0の内側の端部に電気的に接続されている。
【0019】ミラーチップ210は、例えば、半導体製
造技術を利用して、単結晶シリコン基板から作製され
る。つまり、コイル220や電極パッド224や配線2
26,227は、平面回路要素として平面状に形成さ
れ、また、飛び越し配線228は、例えば多層配線技術
を利用して形成される。しかし、ミラーチップ210
は、このようなものに限定されない。例えば、単結晶シ
リコン基板の他に、多結晶シリコンやシリコン化合物や
有機材料などの異なる材料を併用して作製されてもよ
い。また、単結晶シリコン基板以外の他の基板から作製
されてもよい。さらに、半導体製造技術を利用せずに、
他の技術によって作製されてもよい。
【0020】図1に示されるように、ベース230は、
主基板232と、ミラーチップ210が接着される一対
の接着部236と、磁気回路260が取り付けられる一
対の取り付け部238と、主基板232に固定された硬
質基板240とを有している。主基板232は、ミラー
チップ210の可動板214に形成された鏡面218を
露出させるための開口234を有している。
【0021】主基板232は、ミラーチップ210の第
二面と向かい合う平面232aを有している。接着部2
36は、主基板232のこの平面232aから突出して
おり、この平面232aにほぼ平行な平坦な接着面23
6aを有している。同様に、取り付け部238は、主基
板232のこの平面232aから突出しており、この平
面232aにほぼ平行な平坦な取り付け面238aを有
している。接着部236と取り付け部238は、例えば
主基板232と一体的に形成されるが、接着などの手段
により主基板232に固定された別体の部材であっても
よい。
【0022】硬質基板240は、外部との電気的接続の
ための配線を有している配線基板である。配線基板24
0は、主基板232の平面232a内にとどまってい
る。つまり、配線基板240は主基板232からはみ出
していない。これは、光偏向器の組み立ての際に、他の
部材との接触による断線の防止に効果的である。配線基
板240は、細長く、ほぼコの字状に延びており、その
両端部は、接着部236の近くに位置している。
【0023】配線基板240は、図3に示されるよう
に、ミラーチップ210の電極パッド224との電気的
接続のための一対の配線242と、接地用のグラウンド
配線(GND配線)244を有している。一対の配線24
2は、それぞれ、配線基板240に沿って延びており、
その端部は配線基板240の端部に位置するボンディン
グパッド246と電気的に接続されている。
【0024】GND配線244は、配線基板240の表
側のGNDパッドに接続され、これはスルーホールを介
して配線基板240の裏側のGNDパッドに接続されて
いる。例えば、主基板232は例えば導電性を有してお
り、配線基板240は導電性接着剤を用いて主基板23
2に固定され、配線基板240の裏側のGNDパッドは
主基板232に電気的に接続されている。
【0025】図3において、配線基板240の各配線2
42,244は、駆動制御回路等の外部装置との電気的
接続のために、フレキシブルなリード線252に半田付
けによって接続されている。つまり、ベース230は、
配線基板240の配線242,244に接続されたフレ
キシブルなリード線252を有している。配線基板24
0は、リード線252を介して、光偏向器の駆動制御回
路等の外部装置と接続される。このようなリード線25
2を用いた外部装置との接続は、光偏向器と外部装置が
比較的離れている場合に適しており、リード線252の
長さを調整することにより、光偏向器と外部装置のレイ
アウトに幅広く対応できるという利点を有している。
【0026】しかし、外部装置との電気的接続の形態
は、これに限定されない。例えば、図4に示されるよう
に、配線基板240の配線242,244は、配線基板
240に一体的に形成されたフレキシブル基板254と
電気的に接続されていてもよい。つまり、ベース230
は、配線基板240に一体的に形成されたフレキシブル
基板254を有していてもよい。配線基板240は、フ
レキシブル基板254を介して外部装置と接続される。
このようなフレキシブル基板254を用いた外部装置と
の接続は、光偏向器と外部装置が近くに配置されている
場合に適しており、リード線の場合に必要であった半田
付け等の接続作業が不要であるという利点を有してい
る。
【0027】組み立て前のミラーチップ210Aが図5
に示される。この組立前ミラーチップ210Aは、可動
板214を取り囲む枠状の支持体212Aを有してい
る。組立前ミラーチップ210Aは、図6に示されるよ
うに、支持体212Aの第二面の一部が接着部236の
接着面236a(図1参照)に接着されることにより、ベ
ース230に固定される。その後、図7に示されるよう
に、組立前ミラーチップ210Aの支持体212Aは、
接着部236に固定されずに浮いている部分つまり弾性
部材216に平行に延びている一対の部分が除去され、
その結果、枠状の支持体212Aを持つ組立前ミラーチ
ップ210Aは、一対の支持体212を持つミラーチッ
プ210となる。
【0028】この支持体212の部分的な除去は、切断
する箇所に予め溝を形成しておき、その溝に沿って不要
部分を折ることにより、容易に安定に行なうことができ
る。溝の形成は、エッチングやダイシングにおけるハー
フカット(ウエハ厚の一部のみを切断)などで行なわれ
る。この方式については、特開平11−231252号
に詳述されているように、後に組み立てられる磁気回路
260の永久磁石を可動板214に近づけて配置するの
に有効である。
【0029】さらに、図6に示されるように、ミラーチ
ップ210の電極パッド224と配線基板240のボン
ディングパッド246は、ワイヤーボンディングにより
接続される。つまり、ミラーチップ210の電極パッド
224と配線基板240のボンディングパッド246
は、ボンディングワイヤー248を介して電気的に接続
されている。さらに、ボンディングワイヤー248は、
図示されていないが、好ましくは、信頼性を高めるため
に、樹脂によって封止されている。
【0030】磁気回路260は、図8と図9に示される
ように、磁性材料製のヨーク262と、一対の永久磁石
268とを有している。ヨーク262は、長方形の枠状
の外ヨーク264と、その内部空間の中央を横切る内ヨ
ーク266とを有している。つまり、ヨーク262は、
一対の矩形の貫通穴を有している。このようなヨーク2
62は、例えば、直方体の磁性材料を部分的にくり抜い
て、二つの矩形の貫通孔を形成することにより作られ
る。
【0031】一対の永久磁石268は、ヨーク262の
一対の貫通穴に収容され、外ヨーク264に接して固定
されており、その結果、各永久磁石268と内ヨーク2
66との間に隙間270が形成されている。この隙間2
70は磁気ギャップと呼ばれる。このような内ヨーク2
66を持つ磁気回路260は、内ヨークを持たないもの
に比べて、磁気ギャップ270における磁束密度が大き
い。
【0032】磁気回路260は、図10と図11に示さ
れるように、ベース230の取付部238に固定されて
いる。この固定は、図11に示されるように、ヨーク2
62の一部が取付部238の取付面238aに例えば接
着されることによりなされている。つまり、磁気回路2
60は、ベース230に対して、ミラーチップ210が
設けられた側と同じ側に取り付けられている。
【0033】図11に示されるように、内ヨーク266
は、可動板214の中央近くに位置し、しかも可動板2
14の第一面すなわちコイル220が形成された面の近
くに位置している。また、永久磁石268は、主基板2
32に最も近い面268aと、主基板232から最も遠
い面268bとを有しており、可動板214のコイル2
20は、主基板232の面232aに立てた法線の方向
に関して、永久磁石268の面268aと面268bの
間に位置している。
【0034】その結果、コイル220は、主基板232
の面232aに垂直な方向に関しても、これに平行で弾
性部材216すなわち揺動軸に直交する方向に関して
も、実質的に永久磁石268と内ヨーク266の間の隙
間すなわち磁気ギャップ270に位置している。特に垂
直な方向に関する位置は重要である。それは、磁束密度
は、磁気ギャップ270から外れると急激に低下するか
らである。このような配置により、コイル220は大き
い磁束密度内に配置されている。
【0035】ベース230に固定された磁気回路260
と、可動板214に形成されたコイル220は、ミラー
チップ210を駆動するための電磁駆動方式の駆動手段
を構成している。言い換えれば、光偏向器200はミラ
ーチップ210を駆動するための電磁駆動方式の駆動手
段を有しており、この駆動手段は、可動板214の縁を
周回するコイル220と、コイル220に磁界を印加す
るための磁気回路260とを含んでおり、可動板214
は、コイル220と磁気回路260の間に作用する電磁
力を利用して駆動され、その向きが適宜変えられる。
【0036】図10と図11に示されるように、可動板
214の第二面に形成された鏡面218は、ベース23
0の主基板232に形成された開口234を介して露出
している。可動板214の鏡面218には、開口234
を通して、光ビームBiが照射される。鏡面218で反
射された光ビームBrは、可動板214の向きに対応し
て、その方向が変えられる、つまり偏向される。
【0037】ベース230の開口234は、好ましく
は、中立時の鏡面218に45°の入射角で鏡面有効幅
いっぱいに入射する光ビームを遮らない大きさを有して
いる。また、永久磁石268は、好ましくは、中立時の
鏡面218に45°の入射角で鏡面有効幅いっぱいに入
射する光ビームを遮らないように配置されている。ここ
において、中立時の鏡面218とは、可動板214が全
く駆動されていない状態における鏡面218を言う。ま
た、鏡面有効幅とは、可動板214の幅から、加工誤差
や成膜不良等があり得る部分の幅を差し引いた値を言
う。
【0038】中立時の鏡面218に45°の入射角で鏡
面有効幅いっぱいに入射する光ビームBiが遮られない
ためには、具体的には、図12において、鏡面有効幅w
m、永久磁石間隔wp、ベース開口幅wb、鏡面に対する
永久磁石の高さhp、鏡面に対するベース開口上面の高
さhbが、wp>wm+2hpと、wb>wm+2hbとを満
たしていればよい。
【0039】この条件を満たす配置(レイアウト)は、
光ビームが遮られることなく鏡面218に到達するよう
にするため、光の損失が少ない。光ビームが45°の入
射角で入射する光偏向器の配置は、他の光学部材の配置
が容易でもっとも汎用的な配置である。
【0040】本発明者らは、実際に、鏡面有効幅wm
4.3mm(可動板サイズの設計値は4.5mmで、周
囲0.1mmの領域は加工誤差や成膜不良等があり得る
ために有効領域に含めていない)、永久磁石上面間隔w
p=5.5mm、ベース開口幅wb=13.2mm、鏡面
に対する永久磁石上面の高さhp=0.6mm、ベース
開口上面の高さhb=3.6mmの光偏向器を試作し
た。この試作された光偏向器では、駆動コイルの位置に
おいて、約0.6(T)の磁束密度が得られた。
【0041】また、上記の各パラメーターを用いたシミ
ュレーションでは駆動コイルの位置において約0.63
(T)の磁束密度が得られている。この値は、駆動コイ
ルが永久磁石上面と一致する高さに配置されている構成
において得られる約0.39(T)の磁束密度の約1.
6倍に相当する。
【0042】このように本実施形態の光偏向器では、駆
動コイル220が、鏡面218の法線方向に関して永久
磁石268の上面と下面の間に位置していることによ
り、高効率化されていることが理解できる。
【0043】本実施形態の光偏向器は、以下の利点を有
している。
【0044】本実施形態の光偏向器200では、ミラー
チップ210と磁気回路260が共にベース230に対
して同じ側から取り付けられるので、内ヨークが可動板
のコイルの近くに位置する構成を容易にとることができ
る。すなわち、ミラーチップ210がベース230に取
り付けられた状態において、コイルの形成された面の側
すなわちミラーチップ210の第一面の側に全く部材が
存在しないため、内ヨーク266を持つ磁気回路260
の設計が容易に行なえるとともに、磁気回路260の取
り付けも容易に行なえる。
【0045】ミラーチップ210は、鏡面218が形成
された第二面すなわち電極等のない平坦な面がベース2
30との接着に利用されるので、大きな接着面積を容易
に確保できるとともに、強固な固定が得られる。
【0046】ミラーチップ210は、配線材を伴うこと
なく単独で、予め配線基板240が設けられたベース2
30に取り付けられるので、作業性に優れているととも
に、位置決め精度の向上につながる。ミラーチップ21
0と配線基板240はワイヤーボンディングによって接
続されるので、低コストと高信頼性が実現できる。
【0047】本実施形態の各構成は、様々な変形や変更
が可能である。
【0048】例えば、光偏向器は、速度や角度を検出す
るための検出素子を有していてもよい。例えば、光偏向
器は、可動板に形成された検出コイルやホール素子を有
していてもよい。あるいは、光偏向器は、弾性部材に形
成されたピエゾ抵抗素子や、可動板や弾性部材に形成さ
れた静電容量変化検出用の電極を有していてもよい。こ
のような検出素子を有する光偏向器では、組み立て時の
ワイヤーボンディングの箇所が増えるが、これはワイヤ
ーボンディングの難易度を増すものではない。
【0049】これまで、実施の形態について図面を参照
しながら具体的に説明したが、本発明は、上述した実施
の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しな
い範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【0050】本発明の光偏向器をまとめると以下のよう
に言うことができる。
【0051】1. ミラー構造体と、ミラー構造体を保
持するための単一の板状のベースとを備えており、ミラ
ー構造体は、ベースに固定される支持体と、支持体に対
して動かされる可動板と、可動板と支持体を連結する一
対の弾性部材とを備えており、可動板は一対の弾性部材
を軸として支持体に対して揺動可能である光偏向器であ
って、ミラー構造体は互いに表裏の関係にある第一面と
第二面を有し、可動板はその第二面に形成された鏡面を
有し、支持体はその第二面がベースに固定されており、
ベースは鏡面を露出させるための開口を有しており、駆
動手段は、可動板の第一面に形成された導電性要素と、
ベースに固定された磁界発生部材とを備えている、光偏
向器。
【0052】2. 第1項において、支持体は、導電性
要素と電気的に接続された電極パッドを有しており、ベ
ースは、外部との電気的接続のための配線材を有し、配
線材は、電極パッドと電気的に接続される接続部を有し
ており、電極パッドと接続部はワイヤーボンディングに
よって電気的に接続されている、光偏向器。
【0053】3. 第2項において、ベースは、開口を
有する主基板と、主基板に固定された硬質基板とを有し
ており、配線材は硬質基板に形成されている、光偏向
器。
【0054】4. 第3項において、硬質基板は、主基
板内にとどまっている、光偏向器。
【0055】5. 第3項において、主基板は導電性を
有しており、配線材は接地用のグランド配線を含み、グ
ランド配線は主基板に電気的に接続されている、光偏向
器。
【0056】6. 第3項において、ベースは、硬質基
板と一体で形成されたフレキシブルな基板を更に有して
いる、光偏向器。
【0057】7. 第3項において、ベースは、硬質基
板の配線材に接続されたフレキシブルなリード線を更に
有している、光偏向器。
【0058】8. 第1項において、導電性要素は、可
動板の縁を周回するコイルである、光偏向器。
【0059】9. 第8項において、磁界発生部材は、
ベースに対して、ミラー構造体が設けられた側と同じ側
に配置されている、光偏向器。
【0060】10. 第9項において、駆動手段は、磁
界発生部材と主に磁気回路を形成する磁性材料からなる
ヨークを更に有しており、ヨークの少なくとも一部は、
可動板の第一面の近くに配置されている、光偏向器。
【0061】11. 第1項において、可動板の導電性
要素は、ミラー構造体の第一面と第二面に平行な方向か
ら見て、磁界発生部材の全体と重なるように配置されて
いる、光偏向器。
【0062】12. 第11項において、ベースは、主
基板から突出した接着部を更に有しており、ミラー構造
体は、接着部に接着により固定されており、その結果、
主基板から離れて位置している、光偏向器。
【0063】13. 第1項において、ベースの開口
は、中立時の鏡面に45°の入射角で鏡面有効幅いっぱ
いに入射する光ビームを遮らない大きさを有しており、
磁界発生部材は、中立時の鏡面に45°の入射角で鏡面
有効幅いっぱいに入射する光ビームを遮らないように配
置されている、光偏向器。
【0064】14. 第13項において、光偏向器は二
つの磁界発生部材を有しており、これらの磁界発生部材
は可動板の第一面に形成された導電性要素を間に挟んで
配置されており、鏡面有効幅wm、磁界発生部材の間隔
p、ベースの開口幅wb、可動板の第二面と磁界発生部
材の上面との距離hp、可動板の第二面とベースの開口
上面との距離hbが、wp>wm+2hpと、wb>wm+2
bとを満たしている、光偏向器。
【0065】15. ミラー構造体と、ミラー構造体を
保持するための単一の板状のベースとを備えており、ミ
ラー構造体は、ベースに固定される支持体と、支持体に
対して動かされる可動板と、可動板と支持体を連結する
一対の弾性部材とを備えており、可動板は一対の弾性部
材を軸として支持体に対して揺動可能である光偏向器で
あって、ミラー構造体は互いに表裏の関係にある第一面
と第二面を有し、可動板はその第二面に形成された鏡面
を有し、支持体はその第二面がベースに固定されてお
り、ベースは鏡面を露出させるための開口を有してお
り、光偏向器は更に、ミラー構造体を駆動するために、
ベースに固定された永久磁石と、可動板の第一面に形成
されたコイルとを備えている、光偏向器。
【0066】16. 第15項において、ベースの開口
は、中立時の鏡面に45°の入射角で鏡面有効幅いっぱ
いに入射する光ビームを遮らない大きさを有しており、
磁界発生部材は、中立時の鏡面に45°の入射角で鏡面
有効幅いっぱいに入射する光ビームを遮らないように配
置されている、光偏向器。
【0067】17. 第16項において、光偏向器は二
つの永久磁石を有しており、これらの永久磁石は可動板
の第一面に形成されたコイルを間に挟んで配置されてお
り、鏡面有効幅wm、永久磁石の間隔wp、ベースの開口
幅wb、可動板の第二面と磁界発生部材の上面との距離
p、可動板の第二面とベースの開口上面との距離h
bが、wp>wm+2hpと、wb>wm+2hbとを満たし
ている、光偏向器。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、製造性に優れる光偏向
器が提供される。つまり、本発明の光偏向器では、ミラ
ー構造体の実装が、高い信頼性で、作業性良く、高い位
置決め精度で行なうことができる。また、磁気回路の作
製や取り付けを容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の光偏向器の分解斜視図で
ある。
【図2】図1のミラーチップを拡大して示す斜視図であ
る。
【図3】図1の配線基板を拡大して示す斜視図であり、
配線基板にはリード線が接続されている。
【図4】図1の配線基板を拡大して示す斜視図であり、
配線基板にはフレキシブル基板が接続されている。
【図5】組み立て前のミラーチップを示す斜視図であ
る。
【図6】図5の組立前ミラーチップが接着されたベース
の斜視図である。
【図7】図6の組立前ミラーチップの支持体の一部が除
去されたベースの斜視図である。
【図8】図1の磁気回路を拡大して示す斜視図である。
【図9】図8の磁気回路の平面図である。
【図10】図1に示される光偏向器の組み立てられた状
態の斜視図である。
【図11】図10のXI-XI線に沿う光偏向器の断面図で
ある。
【図12】図11と同じく図10のXI-XI線に沿う光偏
向器の断面図であり、鏡面有効幅wm、永久磁石間隔
p、ベース開口幅wb、永久磁石の高さhp、ベース開
口上面の高さhbが一緒に記されている。
【図13】従来例の光偏向器の平面図である。
【図14】図13のXIV-XIV線に沿う光偏向器の断面図
である。
【図15】図13のXV-XV線に沿う光偏向器の断面図で
ある。
【符号の説明】
200 光偏向器 210 ミラーチップ 212 支持体 214 可動板 216 弾性部材 218 鏡面 220 コイル 230 ベース 234 開口 260 磁気回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 幸広 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 西村 芳郎 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 Fターム(参考) 2H041 AA12 AB14 AC04 AZ01 AZ08 2H045 AB06 AB16 AB73

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ミラー構造体と、 ミラー構造体を保持するための単一の板状のベースと、 ミラー構造体を駆動するための駆動手段とを備えてお
    り、 ミラー構造体は、ベースに固定される支持体と、支持体
    に対して動かされる可動板と、可動板と支持体を連結す
    る一対の弾性部材とを備えており、可動板は一対の弾性
    部材を軸として支持体に対して揺動可能であり、 ミラー構造体は互いに表裏の関係にある第一面と第二面
    を有し、可動板はその第二面に形成された鏡面を有し、
    支持体はその第二面がベースに固定されており、ベース
    は鏡面を露出させるための開口を有しており、駆動手段
    は、可動板の第一面に形成された導電性要素と、ベース
    に固定された磁界発生部材とを備えている、光偏向器。
  2. 【請求項2】 請求項1において、支持体は、導電性要
    素と電気的に接続された電極パッドを有しており、ベー
    スは、外部との電気的接続のための配線材を有し、配線
    材は、電極パッドと電気的に接続される接続部を有して
    おり、電極パッドと接続部はワイヤーボンディングによ
    って電気的に接続されている、光偏向器。
  3. 【請求項3】 請求項1において、導電性要素は、可動
    板の縁を周回するコイルであり、駆動手段は、磁界発生
    部材と主に磁気回路を形成する磁性材料からなるヨーク
    を更に有しており、ヨークの少なくとも一部は、可動板
    の第一面の近くに配置されている、光偏向器。
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