JP2002212796A - 電 極 - Google Patents

電 極

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JP2002212796A
JP2002212796A JP2001003945A JP2001003945A JP2002212796A JP 2002212796 A JP2002212796 A JP 2002212796A JP 2001003945 A JP2001003945 A JP 2001003945A JP 2001003945 A JP2001003945 A JP 2001003945A JP 2002212796 A JP2002212796 A JP 2002212796A
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Japan
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protector
electrode
linear
discharge
discharge surface
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JP2001003945A
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Toshihiro Maruhashi
俊洋 丸橋
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脆い導電性活物質層が形成されている場合で
も、被処理部材との干渉、ひいてはそれに基づく層脱落
等を効果的に防止でき、また陰極化現象の生じにくい構
造の電極を提供する。 【解決手段】 電極201は、導電性活物質層にて形成
された放電面を有する放電部材211と、放電面を被処
理部材との接触から保護するために、放電面との間に一
定の隙間を形成した状態にてこれを部分的に覆うプロテ
クタ1とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メッキその他の電
気化学的処理を部材に施すために使用される電極に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば鋼板にZnやCr等の金属
をメッキする技術においては、電極基材の表面を不溶性
の二酸化鉛を主体とする導電性活物質層で覆って放電面
を形成した構造の電極が使用されている。また、これら
の金属のメッキ用には二酸化イリジウムやPt主体とす
る導電性活物質層を使用できるが、二酸化鉛を主体とす
るものこれに遜色ないメッキ性能を発揮できる上に安価
であり、また、Crメッキの場合には三価クロムを六価
クロムに酸化する能力が大きいため、良好なCrメッキ
を行うのに好都合な利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような二酸化鉛
や二酸化イリジウム、特に二酸化鉛系の導電性活物質層
は、脆い酸化物が主体となっているため、次のような問
題を生じやすい。すなわち、該導電性活物質層は基材へ
の付着力が小さく、他部材との接触により傷つけられる
と比較的簡単に剥離・脱落する。例えば鋼板ストリップ
などの帯状部材に連続メッキする場合は、帯状部材をメ
ッキ槽にセットする際に部材の先端部やエッジなどが電
極放電面に接触することがある。特に、帯状部材の先端
に紐やワイヤーなどの牽引部材を取り付け、これを引っ
張りながら電極が配置されたメッキ槽内に帯状部材を通
す作業を行おうとすると、部材の曲がりにより先端部が
電極に激しく衝突することがある。この場合、衝突によ
り部材が直接当たった部分にキズ等が発生することはも
ちろんであるが、二酸化鉛のように脆い導電性活物質の
場合は、当たった部分の周囲においても衝撃による振動
で層が剥がれ落ちたりする恐れがある。
【0004】なお、特許第2722259号公報には、
鉛あるいは二酸化イリジウムにより導電性活物質層を有
した電極用の保護体が開示されている。この電極保護体
は、金属メッシュの表面をセラミック等の絶縁層にて覆
った構造を有し、その実施例1の記載によると、放電面
にボルトにより密着形態にて取り付けられるものであ
る。しかしながら、該電極保護体は、放電面に被処理部
材が接触してショートする不具合の防止を念頭に置いた
ものであり、脆い導電性活物質層の脱落防止、特に二酸
化鉛を主体とする導電性活物質層の脱落防止に関しては
何ら構造的な考慮が払われていない。また、放電面をな
す導電性活物質層に絶縁性の保護体が直接接している
と、その当接領域では放電電流密度が極端に低下し、周
囲の放電電流密度の高い領域に対して相対的に陰極とし
て振舞うために、導電性活物質層の消耗が早まってしま
う不具合を生ずる(以下、陰極化現象という)。
【0005】本発明の課題は、脆い導電性活物質層が形
成されている場合でも、被処理部材との干渉、ひいては
それに基づく層脱落等を効果的に防止でき、また陰極化
現象の生じにくい構造の電極を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の電極の第一は、導電性活物質層にて形成
された放電面を有する放電部材と、放電面を被処理部材
との接触から保護するために、放電面との間に一定の隙
間を形成した状態にてこれを部分的に覆うプロテクタと
を備えたことを特徴とする。
【0007】この構成によると、プロテクタが設けられ
ていることにより、被処理部材が放電面と直接干渉する
ことを効果的に防止することができる。また、プロテク
タは放電面を部分的に覆うものであるから、プロテクタ
に覆われていない放電面により、被処理部材に対する電
気化学的処理を問題なく行うことができる。そして、該
プロテクタは、放電面との間に一定に隙間を形成した状
態にて配置されていることから、被処理部材がプロテク
タに万一当たったときにも、プロテクタの構成材を介し
て衝撃が放電面に直接伝わらないので、放電面を形成す
る導電性活物質層の脱落を一層効果的に防止することが
できる。この効果は、導電性活物質層が脆い二酸化鉛を
主体に構成される場合に特に顕著である。また、プロテ
クタに覆われている領域に導電性活物質層が形成されて
いる場合、隙間を介した回りこみにより該領域でも放電
可能となるから、前述の陰極化現象を軽減することが可
能である。また、隙間において処理液が放電面に沿って
流通できるので、例えば被処理部材を搬送しながら連続
処理する場合でも、液流に乱流等が生じにくく、均一な
処理が可能となる。
【0008】放電部材は、寿命到来したときに交換でき
るよう、電極基体に着脱可能に取り付けることができ
る。この場合、プロテクタは、放電部材とは別体形成さ
れて放電面を覆った装着状態と、同じく覆わない取外し
状態との間で着脱可能に構成することができる。このよ
うにすると、放電部材の交換等の際には該プロテクタを
取り外すことで交換作業を極めて容易に行うことができ
る。また、プロテクタが放電部材と一体化されていない
ということは、放電部材に寿命が到来した場合に、該プ
ロテクタも電極基体と同様に再利用することができるこ
とを意味する。さらに、放電部材を製造する際に、基材
に導電性活物質層を形成する工程を、プロテクタを外し
た状態で行うことができるので簡便であり、また、プロ
テクタに導電性活物質層が付着したりする不具合も生じ
ない。
【0009】また、プロテクタは、放電面に沿って配置
される線状又は棒状をなすプロテクタ要素(以下、線状
プロテクタ要素という)を複数組み合わせることによ
り、それら線状プロテクタ要素間に形成される空隙にて
放電面を露出させるものとして形成することができる。
線状プロテクタ要素の使用により、放電面のプロテクタ
に覆われない露出面積を増やすことができ、ひいては処
理効率を高めることができる。
【0010】また、放電部材は、電極基体の表側に面方
向に複数配列する形で取り付けられる板状の電極セグメ
ントにて構成できる。これによると、線状プロテクタ要
素を使用したプロテクタの使用により、放電面の露出面
積を増やすことができる。また、放電部材を複数の電極
セグメントに分割して構成しているから、導電性活物質
層に部分的な消耗や損傷を生じても、その消耗ないし損
傷を生じた電極セグメントのみを交換すれば事足りるの
で経済的である。この場合、プロテクタは、隣接する電
極セグメントの突合せ縁に沿って前記の線状プロテクタ
要素が配置される構成とすることができる。
【0011】また、本発明の電極の第二は、電極基体
と、該電極基体に着脱可能に取り付けられるとともに導
電性活物質層にて形成された放電面を有する放電部材
と、放電面を被処理部材との接触から保護するために、
該放電面を部分的に覆うとともに、放電部材とは別体形
成されて放電面を覆った装着状態と、同じく覆わない取
外し状態との間で着脱可能とされたプロテクタとを備
え、該プロテクタは、放電面に沿って配置される線状又
は棒状をなすプロテクタ要素(以下、線状プロテクタ要
素という)を複数組み合わせることにより、それら線状
プロテクタ要素間に形成される空隙にて放電面を露出さ
せるものとして形成されてなり、また、放電部材は、電
極基体の表側に面方向に複数配列する形で取り付けられ
る板状の電極セグメントからなり、隣接する電極セグメ
ントの突合せ縁に沿って線状プロテクタ要素が配置され
たことを特徴とする。
【0012】例えば、被処理部材と電極との対向間隔に
制限があって、プロテクタと放電面との間隔も小さくせ
ざるを得ない場合には、放電面を遮る(あるいは当接す
る)形にてプロテクタの一部が配置されているときに、
その遮られた領域では前述の陰極化現象により、導電性
活物質層の消耗が早まってしまう場合がある。しかしな
がら、上記のように線状プロテクタ要素を、放電への関
与が比較的小さい電極セグメントの突合せ縁に沿って配
置することで、このような陰極化が生ずる領域を発生し
難くすることができ、ひいては導電性活物質層の寿命を
延ばすことができる。
【0013】なお、上記本発明の電極の第一及び第二の
構成は単独で実施してもよいし、互いに組み合わせて実
施することもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に示す実施例を参照して説明する。図1は、被処理部
材たる鋼材ストリップSSに金属メッキ、例えばCrメ
ッキを施すラインの一例を示す模式図である。電極20
1は本発明の電極として構成されてなり、メッキ槽B内
に満たされた電解液としてのメッキ液SL中を、長手方
向に連続搬送される被処理部材としての鋼材ストリップ
SSに対し、被メッキ面(この実施例では両面)となる
板面に放電面が対向する形で配置される。また、メッキ
液SLへの浸漬部分において鋼材ストリップSSと対向
する側に、放電面を形成する電極セグメント211(図
2)が配置される。そして、電極側をアノード、鋼材ス
トリップ側をカソードとしてメッキ液SLを介して通電
することにより、メッキ液SL中の金属カチオンが鋼材
ストリップSSの表面に析出し、連続メッキ処理される
こととなる。なお、鋼材ストリップSSは、ガイドロー
ル50等によりメッキ液SL中を搬送される。本実施例
では、鋼材ストリップSSを長手方向に連続搬送しつ
つ、これに電解液Lからなるメッキ浴によりクロムメッ
キを施す場合を例にとっており、メッキ浴として、メッ
キ効率を向上させるため、ケイフッ化ナトリウムを配合
したフッ化物浴が使用されている。
【0015】図2は、後述するプロテクタを外した状態
の電極201の正面図と側面断面図である。該電極20
1は、電極基体202を備え、これに複数の電極セグメ
ント211を取り付けた構造を有する。電極セグメント
211は、図5に示すように、Ti、Nb及びTaのい
ずれかを主体とする網状耐食性基材230の表面を二酸
化鉛を主体とする導電性活物質層231により覆った構
造を有している。電極セグメント211においては、上
記の導電性活物質層231が放電面を形成する。導電性
活物質層231の厚さは、例えば50μm〜5mm程度
(本実施例では800μm程度)である。
【0016】電極201において、網状耐食性基材23
0をTi、Nb及びTaの1種又は2種以上を主体とす
る耐食性金属で構成するのは、これらの金属がメッキ液
等の電解液による腐食への耐性に優れているためであ
る。なお、本明細書において「主体」あるいは「主成
分」とは、最も重量含有率の高い成分をいう。上記耐食
性金属は、Ti、Nb及びTaの1種又は2種以上(例
えばNbとTaとの2種)からなる主成分金属元素の含
有率が50重量%以上、望ましくは70重量%以上であ
ることが、耐食性確保の観点で望ましい。
【0017】電極201をCrメッキに適用する場合、
メッキ液として前記のフッ化物浴を使用することが望ま
しいが、このようなフッ素を含有したメッキ液を使用す
る際には、耐食性金属として特に、NbあるいはTaを
主成分とするものを選定することが望ましい。この実施
例では、網状耐食性基材230が例えばNbの網材で構
成され、図5に示すように、その網目211pを形成す
る線状部分に、二酸化鉛を主体とする導電性活物質層2
31を担持させている。このような導電性活物質層23
1は、例えば網状耐食性基材230上に硝酸鉛浴あるい
は一酸化鉛浴から電着させる方法により形成することが
できるが、かなり脆弱であり、強い衝撃が加わると剥離
・脱落しやすい性質を有する。なお、導電性活物質層2
31の密着性を高めるために、Pt、Ir、Ru等のP
t族金属又はそれらの酸化物を主体に構成される下地層
を形成してもよい。
【0018】網状耐食性基材230による導電性活物質
層231の担持状態は、図6に示すように、複数形成さ
れた網目211pの全部又は一部が貫通状態を維持する
程度、換言すれば、電着等により成長する導電性活物質
層231が、網目211pのすべてを塞がず、液流通を
許容する程度の貫通孔231aを残留させる程度のもの
とされている。導電性活物質層231は網目面内方向に
成長しやすいが、各網目の導電性活物質層231による
閉塞面積率は、例えば1%〜50%程度とするのがよ
い。また、網状耐食性基材230とこれに担持させた導
電性活物質層231とからなる電極セグメント211の
開口面積率は、0.03〜0.5、望ましくは0.1〜
0.35に調製するのがよい。他方、例えば静止めっき
の場合のように、負圧発生抑制を目的とした液流通を特
に考慮する必要がない場合においては、各網目の導電性
活物質層231による閉塞面積率や電極セグメント21
1(あるいは250)の開口面積率は、上記数値範囲の
下限値よりもさらに小さくなっていてもよい。
【0019】網状耐食性基材231は、この実施例では
図6に示すように、板厚方向に貫通する複数の切れ目が
全面に千鳥状に形成された耐食性金属板を、その切れ目
の形成方向と交差する向きに変形させ、切れ目をその変
形方向に開口することにより菱形状の網目が形成されて
ものが使用されている。これは、いわゆるエキスパンド
メタルと称されるもので、板状の素材に切れ目を入れて
引き伸ばすことにより比較的安価に製造できる利点があ
る。また、二酸化鉛を主体とするやや脆い導電性活物質
層231を担持させる上で、以下のような特有の利点が
ある。すなわち、線材を編み合わせて製造した通常の網
材の場合、縦横の線材は交差位置において本質的に非結
合であり、温度変化に曝された際の膨張・収縮により微
量ではあるが互いに摺動する。このような摺動が繰り返
されると、線材の交差位置において担持されている導電
性活物質層にクラック等が生じやすくなり、ひいては導
電性活物質層231の剥離・脱落が生じやすくなる場合
がある。しかしながら、上記のようなエキスパンドメタ
ルは、網目を形成する線状部分がすべて一体不可分に結
合されているので、上記のような不具合が生じにくい。
【0020】次に、図2に示すように電極基体202に
は、電極セグメント211が取り付けられている表側か
ら、裏面側へ至る液体流通部が形成されている。ここで
は電極基体202はフレーム状に形成されており、表層
部のみをNb又はTaを主体とする耐食性金属により構
成している。
【0021】具体的には電極基体202は、電極201
の幅方向両側において縦方向に互いに略変更に配置され
た縦フレーム202a、202aの上端部同士を、横フ
レーム202bにより連結した、略コの字状の本体部を
有する。縦フレーム202a、202aには、縦方向に
所定の間隔で並ぶ横長梁状の電極セグメント支持体20
4の両端部がそれぞれ取り付けられている。そして、そ
れら電極セグメント支持体204の間に形成される隙間
が液体流通部235とされている。一方、横フレーム2
02bの長手方向中間部には、縦長の給電部203が結
合されている。
【0022】電極基体202の本体部、電極セグメント
支持体204及び給電部203は、いずれも表層部のみ
を前述の耐食性金属にて構成する態様として、炭素鋼な
どの鋼材からなる芯材の表面を耐食性金属ライニング
(以下、単にライニングともいう)により覆った構造を
有している。電極セグメント支持体204を例にとれ
ば、図5に示すように、耐食性金属(Ti、Nb及びT
aのいずれかを主体とするもの:例えばNb)の薄板か
らなるライニング226により芯材204a、204b
の周囲を覆い、ライニング226の継ぎ目部分を図示し
ない溶接部により封止・密封した構成としている。
【0023】ここでは、図5に示すように、電極セグメ
ント250、211の取り付けのため、基体側取付支持
部としての横長の基体側取付プレート(これも耐食性金
属にて構成される)205を、厚さ方向に分割された芯
材204a、204bの間に挟み込み、第一分割芯材2
04bの側から基材側取付プレート205を貫いて第二
分割芯材204aにボルト222をねじ込むことによ
り、これらを一体的に結合している。そして、第一分割
芯材204bに形成した座ぐり部204cにボルト22
2の頭部222aを収容して外側を周方向にライニング
226により包み、該ライニング226の縁を基材側取
付プレート205の基端部の両面にそれぞれ溶接封着し
ている。その結果、芯材204a、204bの外側が耐
食性金属ライニング226にて覆われるとともに、芯材
204a、204bと基体側取付支持部(基体側取付プ
レート)205との結合部において、ライニング226
が基体側取付支持部205の基端部外面へまたがる形で
これを覆う構造が実現されている。
【0024】次に、電極セグメント211は、電極基体
202に対し、少なくとも表層部がNb又はTaを主体
とする耐食性金属にて構成された結合部材270によ
り、着脱可能に取り付けられる。この実施例では、横長
の耐食性金属板材を幅方向中間位置にてL字状断面とな
るように曲げ、その片側をセグメント211の裏面側幅
方向に固着してセグメント側取付支持部236を形成し
ている。そして、そのセグメント側取付部236を基体
側取付プレート(基体側取付支持部)205に重ね合
せ、それらを貫通するボルト223にナット224(い
ずれも耐食性金属にて構成されている)を螺合・締結す
る。すなわち、これらボルト223及びナット224が
結合部材270を構成する。なお、基体側取付プレート
のボルト223の挿通孔205h(すなわち、結合部材
270の結合位置)は耐食性金属ライニング226によ
り覆われていない。また、符号225、225は耐食性
金属製のワッシャである。
【0025】上記電極201は、図1に示すように、メ
ッキ浴中にて被メッキ物たる金属ストリップ(例えば鋼
板ストリップ)SSを長手方向に搬送しつつ、その金属
ストリップSSの片面に主放電面240を対向させてこ
れにメッキを施すメッキ用電極として使用される。この
とき、電極基体202から、基体側取付支持部205、
結合部270及びセグメント側取付支持部236を経て
各電極セグメント211に至る給電経路が形成される。
図2に示すように、電極セグメント211は金属ストリ
ップSSの送り方向及び幅方向にそれぞれ複数枚配列さ
れている。
【0026】また、金属ストリップSSの送り方向に生
ずる電極セグメント211の突き合わせ縁部は、該送り
方向に対して傾斜して形成している。上記のような突き
合わせ縁部は、メッキ電流密度がやや不均一になりやす
い部分であるが、金属ストリップSSの送り方向に対し
てこれを傾けることで、ストリップ幅方向においてメッ
キ電流密度の不均一部の位置が常に同じとなる不具合が
解消され、ひいては均一なメッキを行う上で有利とな
る。
【0027】次に、図3は、プロテクタ1を取り付けた
状態の電極201を示している。図4に示すように、プ
ロテクタ1は、放電部材たる電極セグメント211の放
電面DPを鋼材ストリップSS(被処理部材)との接触
から保護するために、当該放電面DPとの間に一定の隙
間gを形成した状態にてこれを部分的に覆うものであ
る。該プロテクタ1は、電極セグメント211とは別体
形成されて放電面DPを覆った装着状態(図3)と、同
じく覆わない取外し状態(図2)との間で着脱可能とさ
れている。その着脱構造については後述する。
【0028】図3に示すように、プロテクタ1は、放電
面DPに沿って配置される線状又は棒状をなすプロテク
タ要素(線状プロテクタ要素)3、4を複数組み合わせ
ることにより、それら線状プロテクタ要素3、4間に形
成される空隙にて放電面DPを露出させるものとして形
成されている。具体的には、図2に示す隣接する電極セ
グメント211、211の縦横の突合せ縁Ep、Esに
沿う形で、線状プロテクタ要素3、4が配置されてい
る。このようにすることで、前述の陰極化現象による導
電性活物質層の消耗を抑制することができる。
【0029】図3から明らかなように、線状プロテクタ
要素3、4は、互いに交差する2方向に配置される形と
なる。このようにすると、例えば図1において鋼材スト
リップSSをメッキ槽B内に通す作業を行う際に、スト
リップが線状プロテクタ要素の隙間から内側に入り込ん
で放電面DPと干渉する不具合をより生じ難くすること
ができる。既に説明した通り、電極201は、放電面P
Lに板面を対向させつつ長手方向に連続搬送される帯状
被処理部材たる鋼材ストリップに電気化学的処理を施す
ために使用されるものである。そして、線状プロテクタ
要素3は、それぞれ鋼材ストリップの搬送方向PLと略
平行に所定の間隔にて、具体的には、該方向に沿う電極
セグメント211、211の突合せ縁部Es(図2)に
沿って配置される(搬送方向要素群)。これにより、鋼
材ストリップSSをメッキ槽B内に通す際に、ストリッ
プ先端縁が線状プロテクタ要素の隙間から内側に入り込
む不具合を生じ難くすることができる。
【0030】本実施形態では、搬送方向要素群をなす線
状プロテクタ要素3の互いに隣接するものにまたがる形
態で、複数の線状プロテクタ要素4が補助要素群として
所定の間隔、具体的には電極セグメント211、211
の残余の突合せ縁部Ep(図2)に沿う形で配置されて
いる。ただし、鋼材ストリップとの干渉の起こりやすさ
の度合いを考慮して、図8に示すように、搬送方向要素
群をなす線状プロテクタ要素3のみを設ける構成として
もよい。
【0031】次に、図3に示すように、プロテクタ1
は、自身に形成されたプロテクタ側取付部5、5におい
て、電極基体202の、放電部材の配置されない部位に
形成された基体側取付部215、206に対し、着脱可
能に取り付けられている。このように構成することで、
プロテクタ側取付部5、5が放電面DPに対する直接被
覆部を形成しないので、前記した陰極化現象等を抑制す
る上で有効である。具体的には、放電部材が前述の通
り、電極基体202の表側に面方向に複数配列する形で
取り付けられる板状の電極セグメント211からなり、
プロテクタ1はそれら電極セグメント211の配列領域
を取り囲むプロテクタ枠2を有し、そのプロテクタ枠2
には形成又は一体化されたプロテクタ側取付部5、5
を、配列領域の外側に形成されている基体側取付部21
5、206に対して着脱可能に取り付けられる。前述の
各線状プロテクタ要素3、4のプロテクタ外縁部の端部
は、このプロテクタ枠2に結合されている。
【0032】図4に示すように、上側の基体側取付部2
15は、横フレーム202bに沿う板状に形成され、自
身に形成された貫通孔215cと、横フレーム202b
に形成された貫通孔217とを重ね合わせて、ここにボ
ルト216を挿通し、反対側に突出した脚部216bに
ワッシャ217を介してナット218を螺合することに
より互いに締結されている。なお、ボルト216の頭部
216bは、基体側取付部215側に形成された凹部2
15b内に収容されている。また、図3に示すように、
下側の基体側取付部206は、上側の基体側取付部21
5と略平行に配置され、両端部がそれぞれ縦フレーム2
02a、202aの末端にボルト217を用いて締結さ
れている。
【0033】一方、プロテクタ1は、基体側取付部21
5、206にそれぞれ沿う形で配置された棒状のプロテ
クタ側取付部5、5がプロテクタ枠2に対し、図3に示
すように、各プロテクタ側取付部5、5の長手方向に所
定の間隔で配列する複数の連結部6を介して結合されて
いる。なお、電極セグメントの放電面DPは、基体側取
付部215、206の前面よりも前方側に突出してい
る。そして、図3の線状プロテクタ要素3ないし4が放
電面DPと干渉せず、それらとの間に隙間gが形成され
るように、各連結部6は、プロテクタ枠2側の結合端部
がプロテクタ側取付部5側の結合端部よりも前方側に位
置するように、傾斜して取り付けられている。
【0034】そして、各プロテクタ側取付部5、5は基
体側取付部215、206上に配置され、さらに各プロ
テクタ側取付部5、5に沿って延びる押さえ部材7、8
をその上に重ね合わせ、押さえ部材7、8の貫通孔7
a、8aを経て、基体側取付部215、206側のねじ
孔215a、206aに対しボルト10、10をねじ込
むことにより、押さえ部材7、8と基体側取付部21
5、206との間で挟圧保持される形となっている。
【0035】なお、プロテクタ1を着脱可能に取り付け
る構造はこれに限られるものではなく、例えば図12に
示すように、プロテクタ枠2に固定部52及び連結部5
1を介して連結されたリング状のプロテクタ側取付部5
5の挿通孔52aを、基体側取付部215側の貫通孔2
15aに重ね合わせ、ここにボルト53を挿通して、反
対側に突出した脚部53aにナット54を螺合させるこ
とにより締結・固定する構造としてもよい。
【0036】次に、プロテクタ1は、少なくとも表層部
が絶縁性材料にて構成されていることが、鋼材ストリッ
プSSと接触したときのショートを防止する上で好まし
い。この場合、図7(a)に示すように、プロテクタ1
を構成する線状プロテクタ要素30(前述の線状プロテ
クタ要素3、4、プロテクタ枠2さらにはプロテクタ側
取付部5)は、金属製(例えばステンレス鋼製)の芯材
30aの周囲を、樹脂(例えばポリ塩化ビニルあるいは
ポリ四フッ化エチレン樹脂)又は無機材料にて強化した
樹脂複合材料(例えば上記樹脂をガラス繊維にて強化し
た繊維強化型プラスチック)にて覆った構造を有するも
のとして構成することができる。このようにすること
で、線状プロテクタ要素の剛性が高められ、鋼材ストリ
ップSSが衝突した際に変形して放電面と干渉する、と
いった不具合を効果的に防止することができる。なお、
図7(b)の線状プロテクタ要素31は、全体を樹脂複
合材料にて構成した例であり、図7(c)の線状プロテ
クタ要素32は、金属製の芯材32aの表面をセラミッ
クコーティング層32bにて覆った構成例である。
【0037】なお、上記実施形態では、図9(a)に示
すように、線状プロテクタ要素3(4)は突合せ縁部E
s(Ep)から所定の隙間sを形成する形で離間配置さ
れているが、突合せ縁部Es(Ep)においては陰極化
現象が本来的に発生しにくいので、隙間gは例えば30
mm以下と非常に小さくしたり、あるいは図9(b)に
示すように、線状プロテクタ要素3(4)を突合せ縁部
Es(Ep)に当接させる構成としてもよい。ただし、
導電性活物質層が二酸化鉛など非常に脆い材質で形成さ
れている場合は、プロテクタ1に鋼材ストリップが接触
したときの衝撃振動が放電部材に直接伝わらないよう
に、(a)のように隙間gを形成することがやはり望ま
しい。
【0038】また、例えば、図2における対向する電極
201、201間の隙間量を比較的広く取れる場合に
は、線状プロテクタ要素3(4)と放電面DPとの隙間
gをある程度広げることが可能である。この場合、図1
0に示すように、線状プロテクタ要素3(4)が放電部
材211の放電面DPを横切る形で配置されていても、
陰極化現象はそれほど心配する必要はなくなる。この場
合、図11に示すように、例えば、縦方向の線状プロテ
クタ要素4と横方向の線状プロテクタ要素3とを網状に
組み合わせたプロテクタ1を採用することもできる。
【0039】
【発明の効果】本発明は前記説明から明らかなように、
脆い導電性活物質層が形成されている場合でも、被処理
部材との干渉、ひいてはそれに基づく層脱落等を効果的
に防止でき、また陰極化現象の生じにくい構造の電極を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極の使用形態の一例を示す模式図。
【図2】図1の電極の一実施例を、プロテクタ非装着の
状態にて示す正面図及び側面断面図。
【図3】同じくプロテクタ装着の状態にて示す正面図及
び側面断面図。
【図4】図3においてプロテクタの着脱部の詳細構造を
拡大して示す側面断面図。
【図5】図2の電極セグメントの電極基体への取付け構
造の一例を示す側面断面図。
【図6】網状耐食性基材の拡大正面図。
【図7】線状プロテクタ要素のいくつかの構造例を示す
模式図。
【図8】線状プロテクタ要素の配列形態の変形例を示す
正面模式図。
【図9】線状プロテクタ要素と電極セグメントの突合せ
縁部との位置関係の例をいくつか例示して示す側面断面
模式図。
【図10】線状プロテクタ要素を放電面を横切るように
配置する例を示す側面断面模式図。
【図11】線状プロテクタ要素を網状に組み合わせたプ
ロテクタの例を示す正面模式図。
【図12】プロテクタの電極基材への取付形態の変形例
を示す説明図。
【図13】電極セグメントの種々の配列形態例を示す模
式図。
【符号の説明】
1 プロテクタ 2 プロテクタ枠 3、4、30〜32 線状プロテクタ要素 30a、32b 芯材 30b、32b 絶縁性材料 5、55 プロテクタ側取付部 201 電極 202 電極基体 211 電極セグメント 206、215 基体側取付部 231 導電性活物質層

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性活物質層にて形成された放電面を
    有する放電部材と、前記放電面を被処理部材との接触か
    ら保護するために、当該放電面との間に一定の隙間を形
    成した状態にてこれを部分的に覆うプテクタを備えたこ
    とを特徴とする電極。
  2. 【請求項2】 前記放電部材は電極基体に着脱可能に取
    り付けられるものであり、前記プロテクタは、前記放電
    部材とは別体形成されて前記放電面を覆った装着状態
    と、同じく覆わない取外し状態との間で着脱可能とされ
    ている請求項1記載の電極。
  3. 【請求項3】 前記プロテクタは、前記放電面に沿って
    配置される線状又は棒状をなすプロテクタ要素(以下、
    線状プロテクタ要素という)を複数組み合わせることに
    より、それら線状プロテクタ要素間に形成される空隙に
    て前記放電面を露出させるものとして形成されている請
    求項1又は2に記載の電極。
  4. 【請求項4】 前記放電部材は、前記電極基体の表側に
    面方向に複数配列する形で取り付けられる板状の電極セ
    グメントからなり、隣接する電極セグメントの突合せ線
    に沿って前記線状プロテクタ要素が配置されている請求
    項3記載の電極。
  5. 【請求項5】 電極基体と、該電極基体に着脱可能に取
    り付けられるとともに導電性活物質層にて形成された放
    電面を有する放電部材と、放電面を被処理部材との接触
    から保護するために、該放電面を部分的に覆うととも
    に、放電部材とは別体形成されて放電面を覆った装着状
    態と、同じく覆わない取外し状態との間で着脱可能とさ
    れたプロテクタとを備え、該プロテクタは、放電面に沿
    って配置される線状又は棒状をなすプロテクタ要素(以
    下、線状プロテクタ要素という)を複数組み合わせるこ
    とにより、それら線状プロテクタ要素間に形成される空
    隙にて放電面を露出させるものとして形成されてなり、
    また、前記放電部材は、電極基体の表側に面方向に複数
    配列する形で取り付けられる板状の電極セグメントから
    なり、隣接する前記電極セグメントの突合せ縁に沿って
    前記線状プロテクタ要素が配置されたことを特徴とする
    電極。
  6. 【請求項6】 前記線状プロテクタ要素は、互いに交差
    する少なくとも2方向に配置される請求項3ないし5の
    いずれかに記載の電極。
  7. 【請求項7】 前記電極は、前記放電面に板面を対向さ
    せつつ長手方向に連続搬送される帯状被処理部材に電気
    化学的処理を施すために使用されるものであり、前記線
    状プロテクタ要素は、それぞれ前記帯状被処理部材の搬
    送方向と略平行に所定の間隔にて配置される搬送方向要
    素群を含む請求項3ないし6のいずれかに記載の電極。
  8. 【請求項8】 前記搬送方向要素群をなす前記線状プロ
    テクタ要素の互いに隣接するものにまたがる形態で、複
    数の線状プロテクタ要素が補助要素群として所定の間隔
    で配置されている請求項7記載の電極。
  9. 【請求項9】 前記プロテクタは、自身に形成されたプ
    ロテクタ側取付部において前記電極基体の前記放電部材
    の配置されない部位に形成された基体側取付部に対し、
    着脱可能に取り付けられる請求項2ないし8のいずれか
    に記載の電極。
  10. 【請求項10】 前記放電部材は、前記電極基体の表側
    に面方向に複数配列する形で取り付けられる板状の電極
    セグメントからなり、前記プロテクタはそれら電極セグ
    メントの配列領域を取り囲むプロテクタ枠を有し、その
    プロテクタ枠に形成又は一体化された前記プロテクタ側
    取付部を、前記配列領域の外側に形成されている前記基
    体側取付部に対して着脱可能に取り付ける請求項9記載
    の電極。
  11. 【請求項11】 前記プロテクタは、少なくとも表層部
    が絶縁性材料にて構成されている請求項1ないし10の
    いずれかに記載の電極。
  12. 【請求項12】 前記プロテクタを構成する前記線状プ
    ロテクタ要素は、金属製の芯材の周囲を樹脂又は無機材
    料にて強化した樹脂複合材料にて覆った構造を有する請
    求項11記載の電極。
  13. 【請求項13】 前記放電部材において前記導電性活物
    質層は二酸化鉛を主体に構成されている請求項1ないし
    12のいずれかに記載の電極。
  14. 【請求項14】 前記放電部材は、Ti、Nb及びTa
    のいずれかを主体とする耐食性金属により構成された網
    状耐食性基材に対し、複数形成された網目の全部又は一
    部が貫通状態を維持する程度に、該網状耐食性基材の網
    目を形成する線状部材に二酸化鉛を主体とする導電性活
    物質層を担持させた構造を有する請求項13記載の電
    極。
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