JP2002212159A - カルバミン酸エステルの製造方法 - Google Patents
カルバミン酸エステルの製造方法Info
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Abstract
率・高選択率でカルバミン酸エステル類を与える工業的
に有利なカルバミン酸エステルの製造方法を提供する。 【解決手段】一般式Iのアミンと一般式IIのアルコー
ルとCO2とを反応させる一般式IIIのカルバミン酸
エステルの製造方法。 R1R2NH (I) (R1は炭化水素基、R2は炭化水素基又は水素。) R3OH (II) (R3は炭化水素基。) R1R2NC(=O)OR3 (III) 好ましくは該反応を、スズ又はニッケル化合物である金
属触媒、及び一般式IVで表されるアセタール、又はモ
レキュラシープである R4R5C(OR3)2 (IV) (R4、R5は炭化水素基又は水素。)脱水剤の存在下
で行う。
Description
ン及びアルコールを用いてカルバミン酸エステルを製造
する方法に関する。
の需要がある有用な化合物である。従来、このものは、
アミンとホスゲンから合成されるイソシアナートをアル
コールと反応させる方法によって製造されている。しか
し、ホスゲンは猛毒であり、またホスゲンの反応では塩
酸が多量に発生するため、より環境に優しい合成法の開
発が強く望まれていた。
方法としては、カルバミン酸エステルを熱分解する方法
が有効とされている。このカルバミン酸エステルの合成
方法としては、(1)ニトロ化合物をアルコール存在下
に一酸化炭素と反応させる方法、(2)アミンをアルコ
ール存在下に一酸化炭素と反応させる方法、(3)アミ
ン及び有機ハロゲン化合物と二酸化炭素を反応させる方
法等が知られている (Journal of Organic Chemistry
誌、1999年、64巻、3940頁、およびその引用文献)。
毒性ガスである一酸化炭素を加圧下に使用するため、製
造設備の維持管理や作業員の安全確保に多大なコストと
労力を要し、また(3)の方法ではカルボニル源が二酸
化炭素であるが、イソシアナート一分子を合成するのに
一分子の有機ハロゲン化物を消費し、かつ一分子のハロ
ゲン化水素が副生するという欠点等があった。
のカルバミン酸エステルの合成における上記の問題点を
克服し、二酸化炭素を原料としてハロゲンを用いずに、
高収率・高選択率でウレタン類を与える工業的に有利な
ウレタン類の製造方法を提供することにある。
法の問題点を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ハロ
ゲン化合物を用いずに二酸化炭素からカルバミン酸エス
テルを製造する方法として、好ましくは、金属触媒の存
在下に、アミン及びアルコールと二酸化炭素を反応させ
る方法が有効であることを知見し、本発明を完成するに
至った。
一般式(I)で表されるアミンと下記一般式(II)で表
されるアルコールと二酸化炭素とを反応させることを特
徴とする下記一般式(III)で表されるカルバミン酸エ
ステルの製造方法が提供される。 R1R2NH (I) (式中、R1は炭化水素基を、R2は炭化水素基又は水
素を表す。) R3OH (II) (R3は炭化水素基を表す。) R1R2NC(=O)OR3 (III) (式中、R1、R2及びR3は前記と同じ。) 第二に、第一の方法を、金属触媒の存在下で実施するこ
とを特徴とするカルバミン酸エステルの製造方法が提供
される 第三に、第二の方法において、金属触媒がスズ又はニッ
ケル化合物であることを特徴とするカルバミン酸エステ
ルの製造方法が提供される。第四に、第一乃至第三何れ
かの方法を、脱水剤の存在下で実施することを特徴とす
るカルバミン酸エステルの製造方法が提供される。第五
に、第四の方法において、脱水剤が下記一般式(IV)で
表されるアセタール、又はモレキュラシーブであること
を特徴とするカルバミン酸エステルの製造方法が提供さ
れる。 R4R5C(OR3)2 (IV) (式中、R4、R5は炭化水素基又は水素を表す。R3
は前記と同じ。) 以下、本発明を更に詳細に説明する。
製造方法は、前記一般式(I)で表されるアミンと前記
一般式(II)で表されるアルコールと二酸化炭素とを反
応させることを特徴としている。この反応工程は、基本
的には下記反応式で表わされる。 R1R2NH + CO2 + R3OH → R1R
2NC(=O)OR 3 (式中、R1、R2及びR3は前記と同じ。)
(I)で表されるが、式中、R1は脂肪族炭化水素基、
脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等の炭化水素基で
あり、またこれらの炭化水素基は二酸化炭素やアルコー
ルと反応しない置換基、例えばアルコキシ基、ジアルキ
ルアミノ基、アルコキシカルボニル基等で置換されてい
てもよい。R2は脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素
基、芳香族炭化水素基等の炭化水素基または水素であ
り、またこれらの炭化水素基は二酸化炭素やアルコール
と反応しない置換基、例えばアルコキシ基、ジアルキル
アミノ基、アルコキシカルボニル基等で置換されていて
もよい。
アミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピル
アミン、ブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキ
シルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等が例示
される。
前記一般式R3OH で表されるが、式中、R3は脂肪
族炭化水素基、脂環式炭化水素基等の炭化水素基であ
り、またこれらの炭化水素基は二酸化炭素やアミンと反
応しない前記置換基で置換されていても良い。好ましく
は脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基であり、さら
に好ましくは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、脂環
式炭化水素基である。具体的には例えばメチル、エチ
ル、n−プロピル、n−ブチル、シクロヘキシル基など
が挙げられる。
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、メチルシクロヘキサノール、シク
ロヘキサノールなどの脂肪族または脂環式アルコールな
どが挙げられる。本発明においては、前記の一価のアル
コールの他にジオールなどの多価アルコールを用いても
よい。
は、好ましくは金属触媒の存在下で行われる。金属触媒
の金属原子に特に制限はないが、周期律表第4族(チタ
ン、ジルコニウム、ハフニウム等)、第10属(ニッケ
ル、パラジウム、白金)及び第14族(ゲルマニウム、
スズ、鉛等)に含まれる金属原子が好ましく、更に好ま
しくは第10族及び第14属の金属原子、特にスズ及び
ニッケルが好ましい。
が、有機金属アルコキシド、有機金属酸化物として用い
るのが好ましい。有機金属アルコキシドとしては一般式
R6 3−mM(OR7)1+mで表わされるものが好適に
用いられる。(式中、R6はアルキル基、アラルキル
基、アルケニル基又はアリール基を表わし、R7はアル
キル基を表わし、Mは前記金属原子を表わし、mは0〜
3の整数を表わす。)R6で表されるされるアルキル基
は、鎖状、環状のいずれでもよく、直鎖でも分枝鎖でも
よいが、好ましくは低級アルキル基であり、より好まし
くは炭素数1〜4である。具体的には例えば、メチル、
エチル、n−ブチル、イソプロピル、ヘキシル、シクロ
ヘキシルなどが挙げられる。R6で表わされるアラルキ
ル基は好ましくは炭素数7〜12であり、具体的にはベ
ンジル、フェネチル、ナフチルメチル、2−ナフチルエ
チルなどが挙げらる。R6で表わされるアルケニル基は
好ましくは炭素数2〜10であり、鎖状、環状のいずれ
でもよい。具体的には例えばシクロペンタジエニル、ペ
ンタメチルシクロペンタジエニル、インデニル、ビニ
ル、アリルなどが挙げられる。R6で表わされるアリー
ル基は、好ましくは炭素数6〜14であり、例えばフェ
ニル、トリル、アニシル、ナフチルなどが挙げられる。
R7で表わされるアルキル基は好ましくは低級アルキル
基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4である。具体
的には例えばメチル、エチル、n−ブチル、イソプロピ
ル、ヘキシル、シクロヘキシルなどが挙げられる。Mで
表わされる金属原子としては、特に制限はないが、スズ
が好ましい。また、これらの金属化合物は上記構造を単
位とする会合体であってもよい。有機金属アルコキシド
の具体例としては、ジメチルスズジメトキシド、ジエチ
ルスズジメトキシド、ジイソプロピルスズジメトキシ
ド、ジブチルスズジメトキシド、ジフェニルスズジメト
キシド、トリブチルスズメトキシド、トリメチルスズエ
トキシド等が挙げられるが、本発明はこれらに限定され
るものではない。その他様々な金属化合物が触媒として
好適に用いらるが、そのような具体例としては、例え
ば、酸化スズ(II)、ジメチルスズクロリド、トリブチ
ルスズクロリド、よう化スズ、塩化スズ(II)、酢酸ス
ズ(II)、ニッケル(II)アセチルアセトナート、金属
スズなどが例示される。
2MOで表わされるものが好適に用いられる。(式中、
R8はアルキル基、アラルキル基、アルケニル基又はア
リール基を表わし、Mは金属原子を表わす。) R8で表わされるアルキル基は、鎖状、環状のいずれで
もよく、直鎖でも分枝鎖でもよいが、好ましくは低級ア
ルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4である。
具体的には例えば、メチル、エチル、n−ブチル、イソ
プロピル、ヘキシル、シクロヘキシルなどが挙げられ
る。R8で表わされるアラルキル基は好ましくは炭素数
7〜12であり、具体的にはベンジル、フェネチル、ナ
フチルメチル、2−ナフチルエチルなどが挙げらる。R
8で表わされるアルケニル基は好ましくは炭素数2〜1
0であり、鎖状、環状のいずれでもよい。具体的には例
えばシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタ
ジエニル、インデニル、ビニル、アリルなどが挙げられ
る。R8で表わされるアリール基は、好ましくは炭素数
6〜14であり、例えばフェニル、トリル、アニシル、
ナフチルなどが挙げられる。Mで表わされる金属原子と
しては、特に制限はないが、スズが好ましい。また、こ
れらの有機金属酸化物は上記構造を単位とする会合体で
あってもよい。有機金属酸化物の具体例としては、ジメ
チルスズオキサイド、ジエチルスズオキサイド、ジイソ
プロピルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジ
フェニルスズオキサイド等が挙げられるが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
で反応を行うことが好ましい。脱水剤としては、従来公
知の脱水剤が全て使用でき、これらの具体例としては、
例えば、一般式(IV)で示されるアセタールなど有機系
脱水剤、モレキュラーシーブ(3A)、モレキュラーシー
ブ(4A)等のゼオライト類、塩化カルシウム(無水)、
硫酸カルシウム(無水)、塩化マグネシウム(無水)、
硫酸マグネシウム(無水)、炭酸カリウム(無水)、硫
化カリウム(無水)、亜硫化カリウム(無水)、硫酸ナ
トリウム(無水)、亜硫酸ナトリウム(無水)、硫酸銅
(無水)などの無機無水塩類等が挙げられる。
は、2,2−ジメトキシプロパン、2,2−ジエトキシ
プロパン、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、ジメト
キシフェニルメタン、1,1−ジメトキシエタンなどが
挙げられる。
2,2−ジメトキシプロパン、2,2−ジエトキシプロ
パン、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、ジメトキシ
フェニルメタン、1,1−ジメトキシエタンなどのアセ
タール及びモレキュラーシーブ(3A)、モレキュラーシ
ーブ(4A)等である。
が、室温〜300℃、好ましくは150〜250℃である。反応
圧力は特に制限なく、反応に使用する耐圧装置の製造コ
ストなどによって定められるが、通常1〜1000気圧、好
ましくは50〜500気圧更に好ましくは100〜300気圧であ
り、収率向上の観点からできるだけ高圧下で行うのが好
ましい。反応時間は用いる原料であるアミンやアルコー
ルの種類、反応温度、反応圧力など諸条件により異なる
が、1〜100時間で充分である。
しないが、反応を阻害しないような溶媒を用いることも
できる。このような溶媒としては、例えば、炭化水素
類、エーテル類などが挙げられ、具体的には、ベンゼ
ン、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ジエチ
ルエーテル、ジオキサンなどが例示される。
何れの方式でも実施可能である。バッチ方式は、例え
ば、次のようにして行われる。攪拌装置を具備したオー
トクレーブに、アミン、アルコール、触媒及び脱水剤を
仕込んだ後、炭酸ガスボンベから液化炭酸ガスをボンベ
圧まで充填し、密封する。その後、オートクーブ内を攪
拌しながら設定温度まで加熱し、炭酸ガスをさらに充填
することにより内圧を調整し、所定時間反応させた後、
生成するカルバミン酸エステルを所望の手段で分離す
る。連続方式の場合は次のようにすればよい。攪拌装置
を具備したオートクレーブに、アミン、アルコール及び
触媒を仕込んだ後、炭酸ガスボンベから液化炭酸ガスを
ボンベ圧まで充填し、密封する。別途に脱水剤を脱水塔
に充填する。オートクレーブを冷却装置、高圧循環ポン
プ及び脱水塔に連結し、循環システムを構築する。その
後、オートクーブ内を攪拌しながら設定温度まで加熱
し、炭酸ガスをさらに充填することにより内圧を調整
後、高圧ポンプにより反応液を所定時間循環させた後、
生成するカルバミン酸エステルを適宜、所望の手段で分
離する。
に説明する。
に、t−ブチルアミン10mmol、2,2−ジエトキシプロ
パン20mmol、エタノール100mmol及びジブチルスズオキ
シド(触媒)0.2mmolを仕込んだ後、炭酸ガスボンベか
ら液化炭酸ガスを充填し、密封した。その後、オートク
レーブ内を攪拌しつつ200℃にまで加熱し、炭酸ガスを
さらに充填することにより、内圧を300気圧に昇圧後、2
4時間反応させた。冷却後、残存する炭酸ガスを放出
し、反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析し
た。N−ブチルエチルカーボメートの収率は仕込みのt
−ブチルアミン基準で71.6%であった。
に、t−ブチルアミン10mmol、メタノール100mmol及び
ジブチルスズオキシド(触媒)0.2mmolを仕込んだ後、
炭酸ガスボンベから液化炭酸ガスをボンベ圧まで充填
し、密封した。別途にモレキュラーシーブ3A(脱水剤)
12gを脱水塔に充填した。オートクレーブを冷却装置、
高圧循環ポンプ及び脱水塔に連結し、循環システムを構
築した。その後、オートクレーブ内を攪拌しつつ200℃
にまで加熱し、炭酸ガスをさらに充填することにより、
内圧を300気圧に昇圧後、高圧ポンプにより反応液を24
時間循環させた。冷却後、残存する炭酸ガスを放出し、
反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析した、
N-t-ブチルエチルカーバメートの収率は仕込みのt−ブ
チルアミン基準で27%であった。
ようにした以外は実施例1と同様にして種々のカルバミ
ン酸エステルを合成した。その結果を表1〜2に示す。
なお、実施例10は、t−ブチルアミン 10mmol、メタ
ノール100mmol、アセタール20mmol、及びジブチルスズ
オキシド(触媒)0.2mmolを仕込んで実施し、実施例3
4は、t−ブチルアミン 5mmol、エタノール50mmol、
アセタール10mmol、及びジブチルスズオキシド(触媒)
0.1mmolを仕込んで実施した。また、表1及び表2にお
いて、Meはメチル基、Eeはエチル基、Buはブチル基、i-
イソプロピル基、t-Buはt-ブチル基、Cyはシクロヘキシ
ル基を示す。
料として有用なカルバミン酸エステルを、環境に悪影響
を与える一酸化炭素やハロゲンを用いることなく、高収
率、高選択率で得ることができる。すなわち、本発明方
法は、原料として、環境に無害で毒性のない二酸化炭
素、安価で取り扱いやすいアミン及びアルコールを用い
ることから、安全かつ簡易な設備でカルバミン酸エステ
ルを高収率・高選択率で得ることができるので、工業的
に極めて有利な方法ということができる。
Claims (5)
- 【請求項1】下記一般式(I)で表されるアミンと下記
一般式(II)で表されるアルコールと二酸化炭素とを反
応させることを特徴とする下記一般式(III)で表され
るカルバミン酸エステルの製造方法。 R1R2NH (I) (式中、R1は炭化水素基を、R2は炭化水素基又は水
素を表す。) R3OH (II) (R3は炭化水素基を表す。) R1R2NC(=O)OR3 (III) (式中、R1、R2及びR3は前記と同じ) - 【請求項2】金属触媒の存在下で反応を実施することを
特徴とする請求項1記載のカルバミン酸エステルの製造
方法 - 【請求項3】金属触媒がスズ又はニッケル化合物である
ことを特徴とする請求項2記載のカルバミン酸エステル
の製造方法。 - 【請求項4】脱水剤の存在下で反応を実施することを特
徴とする請求項1乃至3何れか記載のカルバミン酸エス
テルの製造方法。 - 【請求項5】脱水剤が下記一般式(IV)で表されるアセ
タール、又はモレキュラシーブであることを特徴とする
請求項4記載のカルバミン酸エステルの製造方法。 R4R5C(OR3)2 (IV) (式中、R4、R5は炭化水素基又は水素を表す。R3
は前記と同じ。)
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2001
- 2001-01-18 JP JP2001010822A patent/JP3543112B2/ja not_active Expired - Lifetime
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