JP2002208812A - アダプティブアンテナ装置及び送受信パターン設定方法 - Google Patents

アダプティブアンテナ装置及び送受信パターン設定方法

Info

Publication number
JP2002208812A
JP2002208812A JP2000403477A JP2000403477A JP2002208812A JP 2002208812 A JP2002208812 A JP 2002208812A JP 2000403477 A JP2000403477 A JP 2000403477A JP 2000403477 A JP2000403477 A JP 2000403477A JP 2002208812 A JP2002208812 A JP 2002208812A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transmission
reception
pattern
signal
adaptive antenna
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000403477A
Other languages
English (en)
Inventor
Kisho Odate
紀章 大舘
Hiroki Shiyouki
裕樹 庄木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2000403477A priority Critical patent/JP2002208812A/ja
Publication of JP2002208812A publication Critical patent/JP2002208812A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Variable-Direction Aerials And Aerial Arrays (AREA)
  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)
  • Radio Transmission System (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャリブレーション用のスイッチを用いるこ
となく、運用中に、リアルタイムで高精度なキャリブレ
ーションを実現すること。 【解決手段】 受信アナログ部はアダプティブアンテナ
を形成する複数のアンテナ素子で補足された電波を受信
する。得られた受信信号をA/D変換する。補正量算出
手段は前記得られた受信信号をA/D変換したデジタル
値より前記受信アナログ部間の相対的な偏差量を算出す
るか、或いは送信アナログ部間の相対的な偏差量を算出
する。受信パターン形成回路は前記A/D変換出力に前
記受信アナログ部間の偏差量を加味した重み付けをして
合成することにより受信パターンを形成する。送信パタ
ーン形成回路は分配された送信信号に前記送信アナログ
部間の偏差量を加味して重み付けを行うことにより送信
パターンを形成する。これにより、スイッチを用いるこ
となく、リアルタイムで高精度なキャリブレーションを
実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動通信や構内無
線などに利用されるアダプティブアンテナ装置及びこの
アダプティブアンテナ装置の送受信パターン設定方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】無線通信において、高速・高信頼性の実
現のために、アダプティブアンテナを用いることは非常
に有効である。アダプティブアンテナは、アンテナのビ
ームパターンを変更することにより、所望のユーザの方
向ヘビームを向けたり、非所望ユーザからの干渉波の受
信を抑圧したり、非所望ユーザ方向への干渉を削減する
ように送信ビームパターンを変更することができる。
【0003】TDMA/TDDの通信システムにおいて
は、送受の周波数が一致する。つまり、アダプティブア
ンテナとユーザの間の伝搬環境が送信と受信で同一とみ
なせる。そこで、受信で得られるビ−ムパターンからユ
ーザ方向を判定しておき、送信では、ユーザの方向ヘビ
ームを向けることができ、これは通信システム上非常に
有効な方法である。或いは、送信と受信で同じビームパ
ターンを用いることもでき、これも非常に有効な方法で
ある。
【0004】図12は従来の送受共用のアダプティブア
ンテナ装置の構成例を示したブロック図である。アダプ
ティブアンテナを形成する複数のアンテナ素子31a、
…、31nがあり、個々のアンテナ素子には信号を受信
する受信アナログ部32a、…、32nと、信号を送信
する送信アナログ部33a、…、33nが切り替えで接
続されている。
【0005】受信アナログ部32a、…、32nの受信
信号は受信パターン形成回路34に入力されて最終的な
受信信号になる。送信信号は送信パターン形成回路35
に入力され、個々の送信アナログ部33a、…、33n
に分配される。
【0006】このような送受信共用のアダプティブアン
テナ装置は、個々のアンテナ素子31a、…、31nに
対する受信信号に基づいて、個々のアンテナ素子に対応
する複素振幅の重み付けを受信パターン形成回路34で
決定し、この重みを共通のアンテナ素子に対応する受信
信号に付与し、或いは前記重み付けを送信パターン形成
回路35で送信信号に付与することで、所望のアンテナ
パターンを形成している。従って原理的には、受信と送
信で同一のパターンを形成することができることにな
る。
【0007】しかしながら、受信と送信で同一のパター
ンを形成することは現実的には困難である。これは、多
くの場合、アダプティブアンテナ内のアンテナ素子毎の
送信アナログ部、受信アナログ部の通過特性(通過振幅
特性、通過位相特性)に偏差(ばらつき)があることに
起因している。このような偏差があると、受信と送信で
同じ重みを用いた場合でも、図13に示すように、受信
パターン50と送信パターン60が異なり、所望方向へ
の利得が低くなったり、干渉ユーザへの利得が高くなっ
たりしてしまう。
【0008】このような偏差を取り除く方法として一般
的には、キャリブレーションが行われる。キャリブレー
ションとは、アダプティブアンテナ装置の製作が終了し
た時点で、すべての受信アナログ部と送信アナログ部の
偏差を測定し、補正量をあらかじめ算出しておく。そし
て、実際にアダプティブアンテナ装置を運用するときに
は、補正量を考慮して各素子に設定する重みを算出すれ
ばよい。
【0009】しかしながら、最初に求めた補正量が運用
中に変化してしまう場合がある。例えば、昼夜の外気温
度変化の違いによるアナログ部の部品(増幅器、周波数
変換機、フィルタなど)の特性変化、そして、それらを
接続するケーブルの長さの伸縮が考えられる。このよう
な変化が生じると、アダプティブアンテナ装置の性能が
大幅に劣化し、図13に示したように放射パターンが変
化する場合がある。その結果、干渉抑圧ができずに、通
信品質が劣化したりする。つまり、キヤリブレーション
は一度では不十分であり、運用中にリアルタイムにキャ
リブレーションすることが要求される。
【0010】この問題を解決する方法として、特開20
00−216618の発明では、送信アナログ部からの
出力を受信アナログ部へ入力し、この受信アナログ部か
らの出力を用いて、キャリブレーションを行っている。
以下に詳しく説明する。
【0011】図14に上記公開された発明の構成を示
す。説明の簡単のために3素子31a、31b、31c
構成とする。キャリブレーション用スイッチ37a、3
7b、37cによって送信アナログ部(1)、(2)、
(3)の出力と受信アナログ部(1)、(2)、(3)
の入力を接続する構成になっていることが特徴であり、
また、36a、36b、36cは送受信切替スイッチあ
る。
【0012】動作原理を説明する。この発明では、送信
アナログ部(1)、(2)、(3)からの送信信号を全
ての受信アナログ部(1)、(2)、(3)に帰還させ
ている。例えば、送信アナログ部(1)から送信し、受
信アナログ部(2)で受信し、受信信号(1)−(2)
を得る。同様に、送信アナログ部(2)から送信し、受
信アナログ部(1)で受信し、受信信号(2)−(1)
を得る。この受信信号(1)−(2)と受信信号(2)
−(1)の比を計算することで、キャリブレーションデ
ータを得ることができる。同様に、3素子目も算出する
ことができる。しかしながら、この方法を用いた場合に
は、キャリブレーション用スイッチ37a、37b、3
7cを必要とする。これらキャリブレーション用スイッ
チは、特にアンテナ素子数が増加した場合には、分岐数
の多いものが必要となり、回路規模が大きくなり、ま
た、コストがかかるという問題がある。
【0013】また、上記発明には、2分岐のキャリブレ
ーション用スイッチを複数用いたスイッチ分散型の提案
もなされている。ここで用いる2分岐のキャリブレーシ
ョン用スイッチは、ある送信アナログ部の出力の接続先
として、2つの受信アナログ部への入力を切り替える動
作をする。しかしながら、キャリブレーション用のスイ
ッチを複数設ける必要があることには変わらず、上記と
同様の問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来のアダプティブアンテナ装置におけるキャリブレー
ション方法では、リアルタイムに行えるものであるが、
キャリブレーション用のスイッチを必要とするためにコ
ストがかかるという問題がある。特に、アンテナ素子数
が増加した場合にはスイッチの回路規模が膨大になると
共に、スイッチの数が膨大になるため、大きなコストが
かかるという問題があった。
【0015】本発明は、上述の如き従来の課題を解決す
るためになされたもので、その目的は、キャリブレーシ
ョン用のスイッチを用いることなく、運用中に、リアル
タイムで高精度なキャリブレーションを実現することが
できるアダプティブアンテナ装置及びこのアダプティブ
アンテナ装置の送受信パターン設定方法を提供すること
にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明の特徴は、複数のアンテナ素子と、
これら複数のアンテナ素子で捕捉された電波を受信する
複数の受信部と、この受信部の各出力に重み付けをして
合成することにより受信信号を得る受信パターン形成回
路と、送信信号を分配し、分配された複数の受信信号に
重み付けをすることにより送信パターン形成する送信パ
ターン形成回路と、この送信パターン形成回路の各出力
から送出信号を生成する複数の送信部と、前記受信部と
前記送信部のいずれかひとつを前記アンテナ素子に接続
する複数の分岐装置とからなるアダプティブアンテナ装
置において、前記複数の受信部の各出力信号が供給さ
れ、これら各出力信号間の相対的な受信偏差量を算出す
る補正算出手段とを有し、この受信偏差量を前記受信パ
ターン形成回路に供給して前記受信偏差量を加味した受
信パターンを形成することを特徴とする。
【0017】請求項2の発明の前記分岐装置は、前記送
信部の送出信号の一部を前記受信部に伝達し、この受信
部に伝達された送信信号を前記補正算出手段に導入する
ことにより送信部から出力される信号間の相対的な送信
偏差量を求め、この送信偏差量を前記送信パターン形成
回路に供給して前記送信偏差量を加味した送信パターン
を形成することを特徴とする。
【0018】請求項3の発明の前記分岐装置は、前記ア
ンテナ素子に接続して送信と受信によって切り替わる2
分岐のスイッチと、前記送信部に接続する分配器と、前
記受信部に接続して前記アンテナ素子からの入力信号と
前記分配器からの入力信号を合成して前記受信部へ伝達
する合成器とを有することを特徴とする。
【0019】請求項4の発明の前記分配器は、可変抵抗
器を有しており、可変抵抗器の抵抗値を変化させること
により前記受信部へ伝達する信号の分配比を制御するこ
とを特徴とする。
【0020】請求項5の発明の前記補正量算出手段は、
計算アルゴリズムによって算出される少なくともひとつ
の電波の到来方向情報を利用して、前記受信部間または
送信部間の偏差量を算出することを特徴とする。
【0021】請求項6の発明の前記計算アルゴリズムは
MUSICアルゴリズムであることを特徴とする。
【0022】請求項7の発明の前記アダプティブアンテ
ナ装置は、送信と受信で同じ周波数を用いるTDMA/
TDDシステムで使用し、前記補正量算出手段は、受信
時に、前記複数のアンテナ素子に到来する少なくともひ
とつの到来電波の受信信号を用いて前記受信部間の相対
的な偏差量を算出することを特徴とする。
【0023】請求項8の発明の前記アダプティブアンテ
ナ装置は、送信と受信で同じ周波数を用いるTDMA/
TDDシステムで使用し、前記補正量算出手段は、送信
時に、特定のひとつの方向に送信パターンを向けるよう
に重み付けられた送信信号を前記複数の分岐装置によっ
て分岐し、この分岐された送信信号の受信信号と前記特
定のひとつの方向情報を利用して、前記受信部から出力
される信号間または送信部から出力される信号間の相対
的な偏差量を算出することを特徴とする。
【0024】請求項9の発明の前記送信パターン形成回
路は、前記補正量算出手段で得られた前記受信部から出
力される信号および送信部から出力される信号の偏差量
と、前記受信パターン形成回路で用いた重み付けの値を
用いて、送信に用いる重み付けの値を算出することを特
徴とする。
【0025】請求項10の発明の特徴は、前記補正量算
出手段に補正量記憶装置を設け、前記算出した偏差量を
前記補正量記憶装置に記憶し、この記憶した偏差量を用
いてアダプティブアンテナの運用を行ったり、或いは再
度行う偏差量算出に使用することにある。
【0026】請求項11の発明の特徴は、複数のアンテ
ナ素子により形成されるアダプティブアンテナを用いた
送受信装置で送受信パターンを形成する際の送受信パタ
ーン設定方法において、受信時に、アンテナ素子に捕捉
される電波を受信する受信アナログ部間の相対的な偏差
量を算出するステップと、前記受信部により受信された
受信信号からアダプティブアルゴリズムによって受信パ
ータン形成に用いる重み付け値を算出するステップと、
前記算出された受信部間の偏差量と重み付け値を用いて
キャリブレーションを行うことにより実際の受信パター
ンを算出して所望ユーザの方向と干渉ユーザの方向を求
めるステップと、送信時に、前記求めた所望ユーザの方
向ヘ前記アダプティブアンテナの送信ビームを向けるス
テップと、前記算出した受信部間の相対的な偏差量を用
いて送信信号を前記アンテナ素子に出力する送信部間の
相対的な偏差量を算出するステップと、前記算出した送
信部間の相対的な偏差量及び前記求めた所望ユーザ方向
と干渉ユーザ方向から送信パターン形成に用いる重み付
け値を算出するステップとを具備することにある。
【0027】請求項12の発明の特徴は、前記送受信パ
ターン設定処理を所定期間毎に行うことにある。
【0028】請求項13の発明の特徴は、前記受信パタ
ーン形成のための設定と、前記送信パターン形成のため
の設定を別々の周期で行うことにある。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、本発明のアダプティブアン
テナ装置の一実施形態に係る構成を示したブロック図で
ある。
【0030】アダプティブアンテナ装置、複数のアンテ
ナ素子1毎に受信系統と送信系統がスイッチ付き分岐装
置2を介して接続された構成を有し、特に、受信系統の
複数のA/D変換器7の出力に接続される補正量算出手
段17を備えている。
【0031】ここで、受信系統は、受信アナログ部3
と、受信アナログ部3に接続するA/D変換器7と、複
数のA/D変換器7の出力に重み付けを行って受信信号
を合成し、これを出力する受信パターン形成回路8とか
ら構成される。
【0032】送信系統は、送信信号を分配し、分配され
た複数の信号に重み付けを行う送信パターン形成回路9
と、送信パターン形成回路9の出力に接続するD/A変
換器10と、D/A変換器10に接続する送信アナログ
部11とから構成される。
【0033】補正量算出手段17は、前記複数の受信ア
ナログ部3間の相対的な偏差、または、前記複数の送信
アナログ部11間の相対的な偏差を算出する。
【0034】スイッチ付き分岐装置は図2に示すよう
に、送信と受信によって切り替える2分岐のスイッチ1
3と、送信アナログ部に接続する分配器14と、受信ア
ナログ部に接続してアンテナ素子からの入力信号と、分
配器14からの入力信号を合成して、受信アナログ部へ
伝達させる合成器15とから構成され、アンテナ素子を
受信アナログ部と送信アナログ部のいずれかに接続す
る。
【0035】次に本実施形態の動作について説明する。
アダプティブアンテナを形成する複数のアンテナ素子1
は、どのようなものであっても良い。例えば、ダイポー
ルアンテナを用いれば、水平面内で概略無指向性が得ら
れるので、ひとつのアダプティブアンテナ装置で360
度をカバーできる。例えば、ホーンアンテナを用いれ
ば、各アンテナは指向性を有しており、限定した領域の
みをアダプティブアンテナ装置でカバーすることにな
る。その結果、領域が限定されるものの、後方からの到
来波の影響を受けずにパターン形成をすることができ
る。
【0036】本例では、アンテナ素子1自体の偏差につ
いては、予め測定するか、解析により求める。アンテナ
素子1間の偏差は素子間の結合によるところが大きいの
で、このような方法により把握することが可能である。
また、アンテナ素子1自体の偏差は、周囲の温度変化等
により変化しないので、リアルタイムにキャリブレーシ
ョンを行うことが必要なく、このような方法を用いれば
十分である。
【0037】受信系統の説明をする。以下では、受信ア
ナログ部3、A/D変換器7、受信パターン形成回路8
に分けて説明する。
【0038】受信アナログ部3は、受信した信号を増幅
する低雑音増幅器4と、所望の周波数帯域のみを抽出す
るフィルタ5と、周波数帯をRF(電波周波数)からB
B(ベースバンド)またはIF(中間周波数)へ変換す
るための周波数変換器6から構成されている。
【0039】但し、本例のアダプティブアンテナ装置に
おいて、これら受信アナログ部3は、受信信号を抽出
し、周波数変換し、増幅する機能を有するものであれ
ば、他のいかなる構成を有するものに置き換えて構わな
い。
【0040】A/D変換器7は、アナログ信号をデジタ
ル信号へ変換する機能を有する回路である。
【0041】受信パターン形成回路8は、A/D変換器
7からの出力に複素振幅の重み付けを行って合成し、受
信信号を出力する。重み付けの値は、アダプティブアル
ゴリズムにもとづいて算出される。参照信号を利用する
アルゴリズムでも、信号の包絡線が一定であることを利
用するアルゴリズムでも、どのようなアルゴリズムでも
構わない。
【0042】また、受信パターン形成回路8は、DSP
(Digital Signal Processor)によって構成されていて
も良い。こうすることで、デジタル信号処理を容易に実
現できるようになる。更に、アルゴリズムを容易に変更
できるなど、柔軟性が向上する。
【0043】次に、送信系統の説明を以下、送信パター
ン形成回路9、D/A変換器10、送信アナログ部11
に分けて説明をする。送信パターン形成回路9は、送信
信号を分岐し、分岐した信号に複素の重み付けを行う。
受信系統と同様に、送信パターン形成回路9はDSPに
よって構成されてもよい。
【0044】D/A変換器10は、送信パターン形成回
路からの出力をデジタルからアナログヘ変換する。
【0045】送信アナログ部11は、送信したい信号の
周波数帯をBB(ベースバンド)からRF(電波周波
数)ヘ変換するための周波数変換器6、所望の周波数帯
域のみを抽出するフィルタ5、信号を増幅する増幅器1
2から構成される。
【0046】但し、本例のアダプティブアンテナ装置に
おいて、これら送信アナログ部11は、送信信号を周波
数変換して抽出し、増幅する機能を有するものであれ
ば、他のいかなる構成を有するものに置き換えて構わな
い。
【0047】図2に示すスイッチ付き分岐装置2の動作
を説明する。スイッチ付き分岐装置を構成する2分岐の
スイッチ13は、送信と受信によって接続先を切り替え
るために用いられる。キャリブレーション用のスイッチ
ではない。また、本アダプティブアンアナ装置はTDM
A/TDDシステムに用いられるアダプティブアンテナ
装置であり、2分岐のスイッチ13は送信と受信のタイ
ミングで切り替わる。本例の特徴として、アンテナ素子
数が増加してもこのスイッチ13は2分岐のままであ
り、キャリブレーションのために、スイッチが複雑にな
ることはない。
【0048】分配器14の動作を説明する。分配器14
は、送信アナログ部11からの出力の大部分をアンテナ
素子1ヘ、残りを受信アナログ部3へ帰還させるために
設けている。ここで、送信信号の電力と、実際に受信す
る受信信号の電力の差は非常に大きく、送信電力のほう
が大きい。そのために、受信アナログ部3へ帰還させる
電力を小さくするように、分配比を決めればよい。
【0049】合成器15の動作を説明する。合成器15
は、分配器14からの出力と、アンテナ素子1からの受
信信号を合成し、受信アナログ部3へ出力する動作をす
る。つまり、分配器14からの入力がある場合には、送
信信号を受信アナログ部3へ伝達する動作をしている。
【0050】上述のようなアダプティブアンテナ装置に
おいては、受信系統(受信アナログ部3およびそれらを
接続するケーブル)と送信系統(送信アナログ部11及
びそれらを接続するケーブル)において、各ブランチの
間で偏差(ばらつき)が生じる。そこで、A/D変換器
7の出力に補正量算出手段17を接続し、キャリブレー
ションに用いる補正量を算出する。
【0051】以下、補正量を算出する具体的な方法を記
述する。はじめに、算出アルゴリズムの原理を概説し、
その後に受信アナログ部3を補正する方法を記述する。
【0052】補正量算出アルゴリズムは、文献(B.Frie
dlander,et al.,"Direction finding in the presence
of mutual coupling,"IEEE Trans.Antenna and Pro
pagation,vol.39,no.3,pp.273-284,March 1991.)の原
理を利用している。本アルゴリズムは、MUSIC(Mu
ltiple Signal Classification)アルゴリズムを用い
て、電波の到来方向を推定し、その方向情報を用いて補
正量を算出する。
【0053】図3にMUSICアルゴリズムで計算され
るMUSICスペクトラムの1例を示す。キャリブレー
ションが正確ならば、到来方向において鋭いピークが生
じる。しかしながら、キャリブレーションデータが不正
確であると、図3の破線に示すようにピークは鈍ってし
まう。補正量算出アルゴリズムは、鈍ってしまったピー
クを鋭くするように補正量を算出するものである。
【0054】次に実施例1として、受信アナログ部3を
補正する方法を記述する。受信アナログ部3を補正する
第1の方法は、通信中の実受信データのみを用いて行
う。TDMA/TDDシステムでは、受信時には同時に
送信を行わない。つまり、実受信データは送信信号を帰
還させた信号を含まない。
【0055】複数のアンテナ(ここではM素子)で受信
した受信べクトルX(t)は、 X(t)=AS(t)+N(t) となる。ここで、Aは電波の到来方向におけるアレイマ
ニフォルド、S(t)は信号べクトル、N(t)はノイ
ズベクトルである。受信アナログ部i番目での通過振幅
位相の相対値をΓiiとする。相対値であるので、1番
目のブランチでは、Γ11=1∠ 0゜(∠は位相を意
味する)となる。
【0056】偏差のある受信アナログ部を通過した後の
受信ベクトルX´(t)は、 X´(t)=ΓAS(t)+N(t) Γ=diag{Γ11、Γ22、…、ΓMM} と表される。
【0057】本計算では、以下の評価関数Jcを最少化
する。この評価関数は、到来方向におけるMUSICス
ペクトラムの合計値の逆数を表している。つまり、MU
SICスペクトラムの値の最大化を目的とするが、計算
の都合上、逆数を用い、最少化を目指す。
【0058】
【数1】 ここで、Nは到来波の数、θnはn番目の波の到来方
向、a(θn)はθn方
【外1】 前)の相関行列の雑音固有ベクトルから構成される行列
である。
【0059】また、δ=[Γ11,Γ22,…,ΓMM]T 、
Q1 (n)=diag{a(θn)}、Tは転置であ
る。このとき、Jcを最少化するΓiiは以下の式で与
えられる。
【0060】
【数2】 MUSICのスペクトラムを鋭くするようにする補正量
は、実際の補正量を表すものとなる。実際に補正量Γを
算出する場合のフローチャートを図4に示す。補正量は
繰り返し計算によって算出されるものである。以下に、
フローチャートの説明をする。
【0061】初期化として、Γの初期値を決定する(ス
テップ401)。電波の到来方向を算出して推定する
(ステップ402)。ここでは、MUSICアルゴリズ
ムを用いて算出すればよい。補正量、即ち偏差Γを算出
する(ステップ403)。補正量Γの値が十分収束した
かどうか判断する(ステップ404)。収束していたら
その時のΓを補正量とする(ステップ405)。収束し
ていなかったら、ステップ402の処理に戻り、計算を
繰り返す。
【0062】図5に図4に示したフローチャートに基づ
いて算出したシミュレーション結果を示す。アンテナは
6素子の円形アレイで、受信アナログ部の偏差として、
図5に示す通過振幅位相偏差を設定した。また、Γの初
期値としては、偏差のない値を用いた(Γは単位行
列)。図では補正量毎に設定値と算出値が示されてい
る。図5の例より、補正量毎の設定値と算出値を比較す
ると分かるように、十分精度の良い補正量が求められた
ことが分かる。以上から、受信用のキャリブレーション
データが求まる。
【0063】以上説明したように、本実施例によれば、
キャリブレーション用のスイッチを用いることなく、受
信アナログ部3の相対的な偏差を、実際の電波の受信信
号を用いて算出することができる。つまり、TDMA/
TDDシステムにおいて用いられるならば、受信のタイ
ムスロットの間に得られた情報を基に、補正量を算出す
ることができる。また、偏差を求めるための特別な電波
の信号源を必要としない特徴をもっており、運用を中断
しないでリアルタイムで高精度なキャリブレーションを
行うことができる。
【0064】次に実施例2として送信アナログ部11間
の偏差を算出する方法について記述する。なお、受信ア
ナログ部3間の偏差は、前述の手段によつて既に求めら
れているものとする。
【0065】送信アナログ部11間の補正量は、TDM
A/TDDシステムにおいてアダプティブアンテナが用
いられるならば、送信のタイムスロットの間に送信され
る信号を、スイッチ付き分岐装置2によって受信アナロ
グ部3へ帰還させ、この信号の情報を用いて補正量算出
手段17によって算出する。ここで、送信時には、スイ
ッチ付き分岐装置2のスイッチ13により、アンテナ素
子1の受信信号が受信アナログ部3へ入力されることは
ない。つまり、スイッチ付き分岐装置2によって分岐さ
れた送信信号のみが受信側へ帰還されることになる。
【0066】また、送信パターン形成回路9は、特定の
1つの方向にパターンを向けるように重み付けを行う。
ここで、TDMA/TDDシステムの送信パターンとし
ては、あるユーザに向けて(所望ユーザ方向)ビームを
向けるパターンを使用すれば十分な場合がある。本例
は、このような場合に適用できる。
【0067】この信号は、特定の方向から入射してくる
電波の受信信号と等価なものになる。つまり、D/A変
換器10の入力ベクトルが、アンテナ素子1での受信ベ
クトルと等価となる。そして、この信号がスイッチ付き
分配装置2によって受信アナログ部3へ入力され、この
信号を用いて補正量算出手段17で補正量を算出する。
つまり、補正量算出手段17では、ある方向から入射
してくる電波の受信信号を用いて補正量を算出すること
と等価である。ここでは、送信アナログ部11間の偏差
を補正することになる(受信アナログ部3の偏差が既知
であれば、それらの影響は取り除ける)。
【0068】送信アナログ部11間の偏差を算出するフ
ローチャートを図6に示す。以下に、フローチャートの
説明をする。初期化として、偏差Γの初期値を決定する
(ステップ601)。電波の到来方向を利用して補正量
Γを算出する(ステップ602)。ここでは、送信パタ
ーン形成回路9で設定したビーム方向を到来方向として
設定する。その時のΓを補正量とする(ステップ60
3)。
【0069】本実施例によれば、到来方向の推定が必要
なく、また、既知であるために、より正確なキャリブレ
ーションデータを得ることができる。図7にこのシミュ
レーションによって求められた補正量の算出結果を示
す。図7から明らかなように、図5(到来方向は未知)
に比べて、算出結果の精度がより良くなっていることが
分かる。
【0070】以上説明したように、図1に示したアダプ
ティブアンテナ装置では、TDMA/TDDシステムに
おける送信のタイムスロットにおける送信信号を受信ア
ナログ部3へ帰還させ、送信アナログ部11の補正を行
うことができる。また、キャリブレーション用の送信源
を用いることなく、さらに、通信を中断することなくア
ダプティブアンテナの運用中に、送信アナログ部11の
キャリブレーションデータを得ることができる。また、
アンテナ素子数を増やしてもキャリブレーション用のス
イッチが複雑になることがなく、低コストなアダプティ
ブアンテナ装置を実現することができる。
【0071】次に実施例3として、受信アナログ部3間
の偏差を算出する第2の方法について記述する。図1に
示したアダプティブアンテナ装置では、リアルタイムに
キャリブレーションデータを算出することができる。し
かしながら、偏差の時間的変動が遅い場合には、定期的
にキャリブレーションを行えば十分である。
【0072】または、偏差の時間的変動が受信アナログ
部3と送信アナログ部11で異なり、一方は安定してい
て、他方が変動する場合がある。この場合には、時間変
動の早い系統のキャリブレーション回数を増加させ、時
間変動の遅い系統のキャリブレーション回数を少なくで
きる。
【0073】受信アナログ部3間の偏差を算出する第2
の方法は、受信アナログ部3の偏差の時間変動が送信ア
ナログ部11の偏差の時間変動に比べ早い場合に有効な
方法である。つまり、送信アナログ部11間の偏差が既
知であり、受信アナログ部3間の偏差が未知な場合であ
る。
【0074】受信アナログ部3間の偏差を算出する第2
の方法は、送信アナログ部11間の偏差を算出する方法
と同等の方法である。つまり、送信時に、送信信号を受
信系統に帰還させ、その信号を用いて推定するものであ
る。
【0075】異なる点は、送信アナログ部11間の偏差
を算出する場合は、受信アナログ部3間の偏差は既知で
あったが、受信アナログ部3間の偏差を算出する場合
は、送信アナログ部11間の偏差が既知であることであ
る。
【0076】つまり、送信アナログ部11の偏差を算出
する場合には、帰還信号に、送信アナログ部11の偏差
が含まれているが、受信アナログ部3の偏差を算出する
第2の方法は、帰還信号に、受信アナログ部3の偏差が
含まれている。この違いだけである。
【0077】以上のように、受信アナログ部3間の偏差
も、TDMA/TDDシステムの送信のタイムスロット
の間に送信される信号を用いて算出することができるの
で、運用中に、アダプティブアンテナ装置を中断するこ
となく、リアルタイムにキャリブレーションデータを得
ることができる。
【0078】以上の説明は、偏差を算出する方法であっ
た。偏差を算出することができれば、送信と受信で同じ
放射パターンを実現することが可能である。つまり、受
信で使用した重み付けの値と受信アナログ部3間の偏差
から、受信パターンの実際の重みづけの値を算出するこ
とができる。送信回路形成回路9では、送信アナログ部
11間の偏差と実際の重み付けの値から、設定する重み
の値を算出することができる。この結果、送信と受信で
同一の放射パターンを形成することが可能となる。 次
に実施例4として補正量を記憶しておく方法にについて
説明する。図1に示したアダプティブアンテナ装置は、
さらに、補正量記億装置18を有しており、補正量を算
出するごとに、得られた補正量を補正量記憶装置18に
記憶して記憶内容を更新する。
【0079】以下に詳しく説明をする。送信アナログ部
11間の偏差を算出する方法と、受信アナログ部3間の
偏差を算出する第2の方法では、それぞれ、受信アナロ
グ部3間と送信アナログ部11間の補正量が既に求めら
れた後に行われるものである。また、本例のアダプティ
ブアンテナ装置はリアルタイムに偏差を算出することが
できるが、偏差量の時間的変化が遅い場合には、定期的
に、補正をするだけで十分である。
【0080】このような場合には、補正量算出手段17
で算出した補正量を補正量記憶装置18に記憶してお
き、その情報を用いて、アダプティブアンテナを運用す
ることは有効である。また、正確な補正量を記憶してお
くことで、補正量を再計算する上で、補正量の初期値と
して用いることもできるようになる。
【0081】以上説明したように、本実施例によれば、
補正量記憶装置18を備えることで、直近に算出した補
正量を初期値として使用でき迅速に正確なキャリブレー
ションデータを得ることができるようになる。また、キ
ャリブレーションを行う回数を減らせることより、アダ
プティブアンテナ装置の使用する電力を削減することが
できる。
【0082】次に実施例5として図8に示した分配器1
4の構成例について説明する。分配器14は、スイッチ
13を有しており、信号を分配する場合と、信号を分配
しないで全てアンテナヘ1伝達させる場合とを切り替え
る機能を有している。以下に詳しく説明をする。
【0083】図1に示したアダプティブアンテナ装置の
キャリブレーションは、リアルタイムで実施できるが、
偏差の時間変動が小さい場合には、ある一定時間間隔で
実施すればよい。本例の分配器14によれば、キャリブ
レーションをしない時には、送信信号は全てアンテナ素
子1ヘ伝達される。
【0084】こうすると、送信電力は全てアンテナ素子
1から空間へ放射されるので、送信アナログ部11の増
幅器12の増幅率を下げることが可能で(つまり、送信
に用いる電力削減と等価)、効率のよい通信が可能とな
る。また、受信系への送信信号の帰還を行わないので、
受信系統の動作を停止させることも可能である。この時
には、受信系統の使用電力が削減される。
【0085】以上説明したように、本実施例の分配器1
4によって、送信電力を効率よく空間へ放射することが
可能であり、アダプティブアンテナ装置の使用電力の削
減に貢献することができる。また、分配器14内のスイ
ッチ13の動作は、ON/OFFの動作であり、また、
キャリブレーションが時間単位のオーダーで実施される
ならば、使用電力も少なく、問題とならない。
【0086】実施例6として図9に示した分配器14の
構成例について説明する。本例の分配器14は可変抵抗
器16によって信号の分配比を制御できるようになって
いる。以下に詳しく説明をする。
【0087】送信アナログ部11から出力される電力値
は、アダプティブアンテナ装置がサービスするエリアの
大きさによって変化する場合がある。この場合に、分配
器14の分配比を一定にしておくと、受信アナログ部3
へ帰還する電力が必要以上となる場合がある。このよう
な場合に、キャリブレーションの為に必要としない必要
以上の電力がアンテナ素子1から送信されれば送信の電
力効率を上げることができる。
【0088】図9に示したように、可変抵抗器16を有
し、電力分配比を変化させることが可能である。抵抗の
値を大きくすれば、アンテナ素子1側への比率が増加
し、抵抗の値を小さくすれば、受信アナログ部3への帰
還される比率が増加する。なお、分配比は、送信アナロ
グ部11の増幅器12の増幅率に比例して設定すればよ
い。 以上説明したように、本実施例の分配器14によ
れば、電力比を任意に変更できるので、送信電力が変わ
った場合でも、良好な通信が可能であり、同時に、精度
の良いキャリブレーションデータを得ることが可能であ
る。
【0089】また、図8のスイッチ13と図9の可変抵
抗器16を組み合わせて分配器14を構成することで、
使用電力を少なくし、且つ、高精度なキャリブレーショ
ンデータを得ることも可能である。
【0090】次に実施例7を図10を参照しながら説明
をする。図10は本発明のアダプティブアンテナ装置を
用いてSDMA(Space Devision Multiple Access)を
実現するためのフローチャートを表している。
【0091】SDMAでは、図11に示すように(簡単
の為にユーザの数を2として説明)、ユーザ(1)の方
向ヘビームを向け、ユーザ(2)の方向へはヌルを作る
(ビームパターン100)。また同時に、ユーザ(2)
の方向ヘビームを向け、ユーザ(1)の方向ヘヌルを作
る(ビームパターン200)。つまり、干渉方向(所望
でないユーザ)ヘヌルを向けることができるビーム形成
が必要となる。以下に、本アダプティブアンテナ装置を
用いて干渉方向ヘヌルを向けるビームを形成する方法を
示す。
【0092】図10(A)にて、受信時に、補正量算出
手段17によって前述した受信アナログ部3の偏差を算
出し、受信アナログ部1間の補正量(受信キャリブレー
ションデータ)を算出する(ステップ101a)。同時
に、受信パターン形成回路8において、アダプティブア
ルゴリズムによって受信パターンを算出する(ステップ
102a)。つまり、受信で用いる重み付けの値が算出
される。ここで、受信アナログ部3の補正量と、受信で
用いる重み付けの値から、実際に空間で形成される受信
パターンが算出される。この受信パターンから、所望ユ
ーザ方向と、干渉ユーザ方向を算出することができる
(ステップ103a)。
【0093】送信時に、補正量は、図10(A)で求め
た受信アナログ部3の補正量を用いて、送信アナログ部
11の補正量を算出することができる。
【0094】図10(B)にて、送信時に、ステップ1
03aで求めた所望ユーザの方向ヘアダプティブアンテ
ナの送信ビームを向け、干渉ユーザの方向ヘヌルを向け
る送信パターンを、送信パターン形成回路9で形成する
(ステップ101b)。次に補正量算出手段17は前述
した送信アナログ部11の偏差を算出する方法を用い
て、送信アナログ部11間の補正量(送信キャリブレー
ションデータ)を算出する(ステップ102b)。送信
パターン形成回路9は、ステップ102bで求められた
送信アナログ部11の補正量と、ステップ103aで求
められた所望ユーザ方向と干渉ユーザ方向を用いて、ア
ダプティブアルゴリズムによって送信パターンを形成す
る。
【0095】つまり、送信と受信で干渉を抑圧するパタ
ーンを形成することができる。つまり、SDMAが実現
できることとなる。
【0096】以上説明したように、本実施形態のアダプ
ティブアンテナ装置によれば、送信アナログ部11と受
信アナログ部3の偏差の補正量を算出することが可能で
あり、また、送受ともに干渉波を抑圧するビームパター
ンを形成することができることより、SDMAが実現で
きる。その結果、アダプティブアンテナ装置に収容可能
な加入者容量を大幅に向上することが可能となる。
【0097】また、アンテナ素子数を増やしてもキャリ
ブレーション用のスイッチが複雑になることがなく、低
コストなアダプティブアンテナ装置でSDMAが実現す
ることができる。
【0098】尚、本発明は上記実施形態に限定されるこ
となく、その要旨を逸脱しない範囲において、具体的な
構成、機能、作用、効果において、他の種々の形態によ
っても実施することができる。
【0099】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、通信に用いる実際の受信信号を用いて、受信アナ
ログ部の偏差をリアルタイムにキャリブレーションする
ことができる。また、送信信号をスイッチ付き分岐装置
によって受信アナログ部へ帰還させることで、送信アナ
ログ部間の偏差をリアルタイムに高精度にキャリブレー
ションできる。また、アンテナ素子数を増やしてもキャ
リブレーション用のスイッチが複雑になることがなく、
アダプティブアンテナ装置を低コストで製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアダプティブアンテナ装置の一実施形
態に係る構成を示したブロック図である。
【図2】図1に示したスイッチ付き分岐装置の構成図で
ある。
【図3】MUSICスペクトラムの例を示した説明図で
ある。
【図4】図1に示した補正量算出手段による補正量算出
処理手順を示したフローチャートである。
【図5】図1に示した補正量算出手段による受信アナロ
グ部の偏差の算出結果例を示した表図である。
【図6】図1に示した補正量算出手段による他の補正量
算出処理手順を示したフローチャートである。
【図7】図6に示した補正量算出手段による受信アナロ
グ部の偏差の他の算出結果例を示した表図である。
【図8】図1に示した分配器の構成例を示した図であ
る。
【図9】図1に示した分配器の他の構成例を示した図で
ある。
【図10】図1に示した装置によりSDMAを実現する
ための処理手順を示したフローチャートである。
【図11】SDMAを実現するアダプティブアンテナの
ビームパターン例を示した図である。
【図12】従来のアダプティブアンテナ装置の構成例を
示したブロック図である。
【図13】従来のアダプティブアンテナ装置の放射パタ
ーン例を示した図である。
【図14】従来のキャリブレーション機能を有するアダ
プティブアンテナ装置の構成例を示したブロック図であ
る。
【符号の説明】
1 アンテナ素子 2 スイッチ付き分岐装置 3 受信アナログ部 4 低雑音増幅器 5 フィルタ 6 周波数変換器 7 A/D変換器 8 受信パターン形成回路 9 送信パターン形成回路 10 D/A変換器 11 送信アナログ部 12 増幅器 13 スイッチ 14 分配器 15 合成器 16 可変抵抗器 17 補正量算出手段 18 補正量記憶装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5J021 AA06 CA06 DB02 DB03 EA04 FA14 FA15 FA16 FA17 FA20 FA23 FA26 FA29 FA30 FA31 FA32 GA02 HA05 JA10 5K059 CC04 DD31 DD32 5K067 AA33 AA41 CC04 DD41 EE62 HH21 KK03

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のアンテナ素子と、これら複数のア
    ンテナ素子で捕捉された電波を受信する複数の受信部
    と、この受信部の各出力に重み付けをして合成すること
    により受信信号を得る受信パターン形成回路と、送信信
    号を分配し、分配された複数の受信信号に重み付けをす
    ることにより送信パターン形成する送信パターン形成回
    路と、この送信パターン形成回路の各出力から送出信号
    を生成する複数の送信部と、前記受信部と前記送信部の
    いずれかひとつを前記アンテナ素子に接続する複数の分
    岐装置とからなるアダプティブアンテナ装置において、
    前記複数の受信部の各出力信号が供給され、これら各出
    力信号間の相対的な受信偏差量を算出する補正算出手段
    とを有し、この受信偏差量を前記受信パターン形成回路
    に供給して前記受信偏差量を加味した受信パターンを形
    成することを特徴とするアダプティブアンテナ装置。
  2. 【請求項2】 前記分岐装置は、前記送信部の送出信号
    の一部を前記受信部に伝達し、この受信部に伝達された
    送信信号を前記補正算出手段に導入することにより送信
    部から出力される信号間の相対的な送信偏差量を求め、
    この送信偏差量を前記送信パターン形成回路に供給して
    前記送信偏差量を加味した送信パターンを形成すること
    を特徴とするアダプティブアンテナ装置。
  3. 【請求項3】 前記分岐装置は、前記アンテナ素子に接
    続して送信と受信によって切り替わる2分岐のスイッチ
    と、前記送信部に接続する分配器と、前記受信部に接続
    して前記アンテナ素子からの入力信号と前記分配器から
    の入力信号を合成して前記受信部へ伝達する合成器とを
    有することを特徴とする請求項2に記載のアダプティブ
    アンテナ装置。
  4. 【請求項4】 前記分配器は、可変抵抗器を有してお
    り、可変抵抗器の抵抗値を変化させることにより前記受
    信部へ伝達する信号の分配比を制御することを特徴とす
    る請求項3に記載のアダプティブアンテナ装置。
  5. 【請求項5】 前記補正量算出手段は、計算アルゴリズ
    ムによって算出される少なくともひとつの電波の到来方
    向情報を利用して、前記受信アナログ部間または送信部
    間の偏差量を算出することを特徴とする請求項1記載の
    アダプティブアンテナ装置。
  6. 【請求項6】 前記計算アルゴリズムはMUSICアル
    ゴリズムであることを特徴とする請求項5に記載のアダ
    プティブアンテナ装置。
  7. 【請求項7】 前記アダプティブアンテナ装置は、送信
    と受信で同じ周波数を用いるTDMA/TDDシステム
    で使用し、前記補正量算出手段は、受信時に、前記複数
    のアンテナ素子に到来する少なくともひとつの到来電波
    の受信信号を用いて前記受信部間の相対的な偏差量を算
    出することを特徴とする請求項1記載のアダプティブア
    ンテナ装置。
  8. 【請求項8】 前記アダプティブアンテナ装置は、送信
    と受信で同じ周波数を用いるTDMA/TDDシステム
    で使用し、前記補正量算出手段は、送信時に、特定のひ
    とつの方向に送信パターンを向けるように重み付けられ
    た送信信号を前記複数の分岐装置によって分岐し、この
    分岐された送信信号の受信信号と前記特定のひとつの方
    向情報を利用して、前記受信部から出力される信号間ま
    たは送信部から出力される信号間の相対的な偏差量を算
    出することを特徴とする請求項2記載のアダプティブア
    ンテナ装置。
  9. 【請求項9】 前記送信パターン形成回路は、前記補正
    量算出手段で得られた前記受信部から出力される信号お
    よび送信部から出力される信号の偏差量と、前記受信パ
    ターン形成回路で用いた重み付けの値を用いて、送信に
    用いる重み付けの値を算出することを特徴とする請求項
    2記載のアダプティブアンテナ装置。
  10. 【請求項10】 前記補正量算出手段に補正量記憶装置
    を設け、前記算出した偏差量を前記補正量記憶装置に記
    憶し、この記憶した偏差量を用いてアダプティブアンテ
    ナの運用を行ったり、或いは再度行う偏差量算出に使用
    することを特徴とする請求項1記載のアダプティブアン
    テナ装置。
  11. 【請求項11】 複数のアンテナ素子により形成される
    アダプティブアンテナを用いた送受信装置で送受信パタ
    ーンを形成する際の送受信パターン設定方法において、 受信時に、アンテナ素子に捕捉される電波を受信する受
    信部間の相対的な偏差量を算出するステップと、 前記受信部により受信された受信信号からアダプティブ
    アルゴリズムによって受信パータン形成に用いる重み付
    け値を算出するステップと、 前記算出された受信部間の偏差量と重み付け値を用いて
    キャリブレーションを行うことにより実際の受信パター
    ンを算出して所望ユーザの方向と干渉ユーザの方向を求
    めるステップと、 送信時に、前記求めた所望ユーザの方向ヘ前記アダプテ
    ィブアンテナの送信ビームを向けるステップと、 前記算出された受信部間の相対的な偏差量を用いて送信
    信号を前記アンテナ素子に出力する送信部間の相対的な
    偏差量を算出するステップと、 前記算出された送信部間の相対的な偏差量及び前記求め
    た所望ユーザ方向と干渉ユーザ方向から送信パターン形
    成に用いる重み付け値を算出するステップと、 を具備することを特徴とする送受信パターン設定方法。
  12. 【請求項12】 前記送受信パターン設定処理を所定期
    間毎に行うことを特徴とする請求項11に記載の送受信
    パターン設定方法。
  13. 【請求項13】 前記受信パターン形成のための設定と
    前記送信パターン形成のための設定を別々の周期で行う
    ことを特徴とする請求項11に記載の送受信パターン設
    定方法。
JP2000403477A 2000-12-28 2000-12-28 アダプティブアンテナ装置及び送受信パターン設定方法 Pending JP2002208812A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000403477A JP2002208812A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 アダプティブアンテナ装置及び送受信パターン設定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000403477A JP2002208812A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 アダプティブアンテナ装置及び送受信パターン設定方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002208812A true JP2002208812A (ja) 2002-07-26

Family

ID=18867593

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000403477A Pending JP2002208812A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 アダプティブアンテナ装置及び送受信パターン設定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002208812A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009118028A (ja) * 2007-11-05 2009-05-28 Japan Radio Co Ltd 補正手段付時分割2重送受信装置
US7593317B2 (en) 2002-08-01 2009-09-22 Panasonic Corporation Radio base station apparatus
JP2010213217A (ja) * 2009-03-12 2010-09-24 Nec Corp アレイアンテナ通信装置およびその制御方法ならびにプログラム
JP2013522960A (ja) * 2010-03-10 2013-06-13 アルカテル−ルーセント 通信システム内で干渉を減らす方法
KR102183439B1 (ko) * 2019-05-29 2020-11-26 부산대학교 산학협력단 Beamspace MUSIC과 TMA를 결합한 도래각 추정 방법 및 장치

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7593317B2 (en) 2002-08-01 2009-09-22 Panasonic Corporation Radio base station apparatus
JP2009118028A (ja) * 2007-11-05 2009-05-28 Japan Radio Co Ltd 補正手段付時分割2重送受信装置
JP2010213217A (ja) * 2009-03-12 2010-09-24 Nec Corp アレイアンテナ通信装置およびその制御方法ならびにプログラム
JP2013522960A (ja) * 2010-03-10 2013-06-13 アルカテル−ルーセント 通信システム内で干渉を減らす方法
US9048907B2 (en) 2010-03-10 2015-06-02 Alcatel Lucent Methods for reducing interference in communication systems
KR102183439B1 (ko) * 2019-05-29 2020-11-26 부산대학교 산학협력단 Beamspace MUSIC과 TMA를 결합한 도래각 추정 방법 및 장치

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101019521B1 (ko) 어레이 안테나 전송링크의 조정장치 및 방법
JP4086574B2 (ja) パスサーチ回路、無線受信装置及び無線送信装置
US7312750B2 (en) Adaptive beam-forming system using hierarchical weight banks for antenna array in wireless communication system
WO2000031823A1 (fr) Antenne reseau adaptative
JP2000196328A (ja) 電波到来方向推定方法およびアンテナ装置
JP4401055B2 (ja) 偏差補償装置
CN109787671B (zh) 一种混合波束成形装置及方法
JP2018054386A (ja) 電波到来方向推定装置、及び電波到来方向推定方法
JP2009188546A (ja) 無線通信装置、アンテナ較正方法、およびプログラム
CA2314364C (en) Discrimination procedure of a wanted signal from a plurality of cochannel interfering signals and receiver using this procedure
JP2004328761A (ja) 移動通信システムの受信信号補正装置及びその方法
JP4146743B2 (ja) アレイアンテナ装置、これを用いた携帯端末および相互結合補償方法
JP2002208812A (ja) アダプティブアンテナ装置及び送受信パターン設定方法
JP2002107439A (ja) 到来方向推定装置及び到来方向推定方法
JP2000261244A (ja) アレーアンテナ送信装置
JPH1070494A (ja) 送信ダイバーシティ用送受信装置
JP3473393B2 (ja) アダプティブ受信装置
WO2000060698A1 (fr) Radioemetteur et procede de reglage de la directivite d'emission
JP2005252844A (ja) 受信装置
JP2000138520A (ja) アンテナ装置
JP5735863B2 (ja) 無線通信装置、送信方法、及びプログラム
US11329709B2 (en) Beamforming architecture for scalable radio-frequency front end
US6947718B2 (en) Deviation compensation apparatus
JP2002185236A (ja) アンテナシステム
JP5814134B2 (ja) アレーアンテナ