JP2002206865A - 静電浮遊炉 - Google Patents

静電浮遊炉

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JP2002206865A
JP2002206865A JP2000401968A JP2000401968A JP2002206865A JP 2002206865 A JP2002206865 A JP 2002206865A JP 2000401968 A JP2000401968 A JP 2000401968A JP 2000401968 A JP2000401968 A JP 2000401968A JP 2002206865 A JP2002206865 A JP 2002206865A
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Japan
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electrode
electrodes
chamber
floating
electrostatic
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JP2000401968A
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English (en)
Inventor
Mari Yuzawa
眞理 湯澤
Yuji Anami
祐二 阿波
Haruhiko Shimoji
治彦 下地
Kazuhiko Fukushima
一彦 福島
Tomoji Morita
知二 森田
Tomihisa Nakamura
富久 中村
Hiroki Karasawa
宏喜 唐澤
Toshitami Ikeda
俊民 池田
Yasushi Nakamura
泰 中村
Yoshikazu Tsuchiya
美和 土屋
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National Space Development Agency of Japan
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
National Space Development Agency of Japan
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、材料の位置制御用電極数の削減
による省スペース化、材料交換およびサイズ変更時の作
業工数の削減、材料位置検出の高精度化を実現できる静
電浮遊炉を得る。 【解決手段】 材料の位置制御用電極数の削減による省
スペース化の解決手段としては、上部および下部電極1
3、14をそれぞれ円盤状の平板電極を3分割してなる
3枚の扇形電極とする。なお、上部または下部電極のい
ずれか一方を1枚の円盤状電極としてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、静電力で材料を
空中に浮遊させ、無接触で加熱、溶融、冷却を行うこと
により、新材料の製造が可能な静電浮遊炉に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】図29は例えば特開平11−24188
8号公報に記載された従来の静電浮遊炉の構成を示す模
式図、図30は図29に示される従来の静電浮遊炉にお
ける材料浮遊状態を示す模式図である。図29および図
30において、1は材料製造を行うための高圧兼真空用
容器であるチャンバ、1aはチャンバ1の周辺に配置さ
れた観測機器類がチャンバ1の内部を観察したり、光を
チャンバ1内に照射できるようにチャンバ1の周壁に設
けられた複数の窓、1bはチャンバ1の内部構造を交換
する場合に、チャンバ1の上部を開けて出入り口とする
ための蓋である。2はチャンバ1内部の雰囲気を材料製
造条件に必要な雰囲気ガスまたは真空の状態にするため
の雰囲気制御装置、3はチャンバ1の外に配置され、チ
ャンバ1の窓1aを介して材料に紫外線を照射し、材料
から電子を放出させることによって材料をプラスに帯電
させるための紫外線源である。
【0003】4a、4cはチャンバ1内に相対して、か
つ、互いに平行に配設された上中心電極および下中心電
極であり、これらの上中心電極4aおよび下中心電極4
cは略同一形状の円盤状に作製され、帯電した材料を静
電力により空中に浮かせるための静電界を作る平行平板
電極を構成している。なお、下中心電極4cの中心に
は、後述する材料放出装置が出入りするための穴が穿設
されている。4bは上中心電極4aを取り囲むように、
かつ、上中心電極4aと同一平面上に配置された4枚の
扇型電極からなる上外部4分極リング電極であり、上外
部4分極リング電極4bは4枚の扇型電極の電圧強度を
それぞれ独立に変えることによって材料の水平方向の位
置を制御するものである。4dは下中心電極4cを取り
囲むように、かつ、下中心電極4cと同一平面上に配置
された4枚の扇型電極からなる下外部4分極リング電極
であり、下外部4分極リング電極4dは4枚の扇型電極
の電圧強度をそれぞれ独立に変えることによって材料の
水平方向の位置を制御するものである。
【0004】5は位置検出装置であり、5aはチャンバ
1の外側に配設された位置検出用撮像装置(例えば受光
部としてのカメラ、図示せず)であり、5bはチャンバ
1内に窓1aを介して光を照射する位置検出用光源であ
り、この位置検出用光源5bはチャンバ1を挟んで位置
検出用撮像装置5aと相対するように配設されており、
この位置検出用撮像装置5aと位置検出用光源5bとの
一対で位置検出装置5が構成されている。この位置検出
装置5では、位置検出用撮像装置5aが窓1aを介して
位置検出用光源5bの光5cを受光し、電極4a〜4d
と材料12の影の中心位置との相対関係から、電極4a
〜4dの上下左右に対する中心位置からの材料12の位
置ずれ量を検出する。6は浮遊している材料12を加熱
溶融させるためにチャンバ1の外側に配置され、4方向
からレ−ザ光6aを照射するための加熱用光源としての
加熱用レ−ザ、7はチャンバ1の外側に配置され、窓1
aを介して加熱された材料12から放射される波長7a
を受光し、材料12の温度を無接触で測定することがで
きる放射温度計、8はチャンバ1の外側に配置され、材
料製造過程の評価のために浮遊している材料12の表面
の様子を窓1aを介して観察するためのビデオ観察装
置、9は、位置検出装置5で検出した電極中心に対する
材料12の位置ずれを制御するために、位置検出装置5
からの位置ずれ量に基づく出力信号に対応して各電極4
a〜4dに供給する電圧を決定し、この電圧を印加する
位置制御装置であり、材料12の位置が常に電極4a〜
4dの中心位置に位置するように各電極4a〜4dへの
印加電圧を制御するものである。なお、この位置制御装
置9は、各電極4a〜4dの電圧を制御するために電極
の数に対応した10台の電極電圧制御装置を備えてい
る。
【0005】10は上下動可能に配設された支持部、1
1は支持部10に連設されて材料12を保持し、支持部
10の上昇移動により下中心電極4cの中央の穴を通っ
て上中心電極4aと下中心電極4cとの間に延出する
爪、10aは支持部10内に上下動可能に配設され、上
下動により爪11を開閉させる押し出し棒、10bは支
持部10を上下動させるための支持部駆動装置、10c
は押し出し棒10aを上下動させるための押し出し棒駆
動装置であり、支持部10、押し出し棒10a、支持部
駆動装置10b、押し出し棒駆動装置10cおよび爪1
1から材料放出装置を構成している。
【0006】ついで、従来の静電浮遊炉の無重力におけ
る動作について説明する。まず、雰囲気制御装置2によ
り、チャンバ1内が所定の雰囲気に制御される。そし
て、材料12を爪11に保持させ、支持部駆動装置10
bにより支持部10を上昇させる。これにより、材料1
2を保持した爪11が下中心電極4cの中心の穴を通っ
て上中心電極4aと下中心電極4cとの中間に移動され
る。そこで、位置制御装置9により、上中心電極4aお
よび上外部4分極リング電極4bに−xkvの電圧を印
加し、下中心電極4cおよび下外部4分極リング電極4
dに0kvの電圧を印加する。この状態を数秒間維持
し、材料12に+の電荷を溜める。その後、押し出し棒
駆動装置10cにより、押し出し棒10aを上昇させ
る。これにより、爪11が押し出し棒10bにより押し
開かれ、爪11による材料12の保持が解除される。こ
の時、+に帯電されている材料12は−極となっている
上中心電極4aおよび上外部4分極リング電極4b側に
引き寄せられ、上方向(上中心電極4aおよび上外部4
分極リング電極4b側)に浮遊を始める。そして、材料
12が上中心電極4aと下中心電極4cとの中央まで上
昇すれば、電極4a〜4cを同電位とする。これによ
り、材料12の上方への浮遊がなくなり、材料12は上
中心電極4aと下中心電極4cとの中央に保持される。
【0007】そして、位置検出用光源5bから光5cが
材料12に照射され、材料12に照射された光5cが位
置検出装置5の位置検出用撮像装置5aに受光され、位
置検出装置5がカメラ(位置検出用撮像装置)5aの受
光信号に基づいて電極4a〜4dで囲まれた空間の中心
に対する材料12の位置ずれ量を算出する。位置制御装
置9では、位置検出装置5からの位置ずれ量に基づく出
力信号に対応して各電極4a〜4dに供給する電圧を決
定して印加し、これにより材料12が電極4a〜4dで
囲まれた空間の中心に一致するように、10台の電極電
圧制御装置が制御される。つまり、材料12が上中心電
極4aに近寄っている場合には、上中心電極4aの電位
を下中心電極4cに対して+の電位とする。これによ
り、+に帯電している材料12と上中心電極4aとの間
に反発力が発生し、材料12は上中心電極4aから遠ざ
かる。また、材料12が下中心電極4cに近寄っている
場合には、下中心電極4cの電位を上中心電極4aに対
して+の電位とする。これにより、+に帯電している材
料12と下中心電極4cとの間に反発力が発生し、材料
12は下中心電極4cから遠ざかる。また、材料12が
電極4a〜4dで囲まれた空間の中心に対して右側に寄
っている場合には、上中心電極4a、上外部4分極リン
グ電極4bの左側の2枚の電極、下中心電極4cおよび
下外部4分極リング電極4dの左側の2枚の電極を同電
位とし、上外部4分極リング電極4bの右側の2枚の電
極と下外部4分極リング電極4dの右側の2枚の電極と
の電位を他の電極に対して+の電位とし、材料12を反
発力により電極4a〜4dで囲まれた空間の中心に押し
戻す。さらに、材料12が電極4a〜4dで囲まれた空
間の中心に対して左側に寄っている場合には、上中心電
極4a、上外部4分極リング電極4bの右側の2枚の電
極、下中心電極4cおよび下外部4分極リング電極4d
の右側の2枚の電極を同電位とし、上外部4分極リング
電極4bの左側の2枚の電極と下外部4分極リング電極
4dの左側の2枚の電極との電位を他の電極に対して+
の電位とし、材料12を反発力により電極4a〜4dで
囲まれた空間の中心に押し戻す。このようにして、位置
検出装置5および位置制御装置9は、材料12の位置ず
れがなくなるように上述の制御を繰り返し行い、材料1
2が電極4a〜4dで囲まれた空間の中心近傍に位置さ
れるように制御する。
【0008】材料12の位置が電極4a〜4dで囲まれ
た空間の中心近傍に制御された後、紫外線源3から紫外
線3aを窓1aを介して材料12に照射し、材料12の
帯電量を補給する。ついで、加熱用レ−ザ6からレ−ザ
光6aを窓1aを介して材料12に照射し、材料12を
加熱溶融する。そして、材料12の加熱溶融過程がビデ
オ観察装置8により録画され、材料12から放射される
波長7aが放熱温度計7で測定され、材料12の温度と
して記録される。このようにしてビデオ観察装置8で録
画された材料12の加熱溶融過程の映像や放熱温度計7
で測定された材料12の温度は、実験の結果できた材料
の成分評価に使用される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の静電浮遊炉は、
材料12の位置を制御するために10枚の電極4a〜4
dが必要となり、さらに電極4a〜4dのそれぞれの電
圧を独立に制御する必要があるため、位置制御装置9を
構成する電極電圧制御装置が10台必要となり、装置の
小型化が図れないという課題があった。この種の静電浮
遊炉は、将来国際宇宙ステ−ションの日本モジュ−ル
(JAPAN EXPERIMENT MODULE(JEM))への搭載されること
になっており、JEM内の限られたスペ−スに搭載できる
ように省スペ−ス化が望まれている。
【0010】また、材料12を交換する場合には、チャ
ンバ1の蓋1bをその都度開閉する必要があるため、開
閉毎即ち実験毎にチャンバ1内の雰囲気を1気圧に戻
し、チャンバ1の蓋1bを開き、材料12を交換してか
ら再び蓋1bを閉じ、内部の雰囲気を次の実験条件に合
わせて加圧又は真空引きするという作業を行うことにな
り、実験毎の準備作業時間がかかり、操作性が悪いとい
う問題があった。
【0011】また、材料12を保持するための複数本の
爪11が固定されているため、実験環境の外乱に応じて
爪11の保持力を変えることができず、保持力を高める
ために爪11の本数を多くしておくと、材料12の回り
を多くの爪11が覆うため、外乱が少ないにもかかわら
ず位置制御に必要な初期の帯電量が得られにくいという
問題があった。
【0012】また、一般的に、この種の静電浮遊炉で
は、平行平板電極の対向する上下電極の間隔(対向電極
間隔)が小さいほど、材料に作用する力が大きくなるの
で、材料の浮遊領域を確保しつつ、平行平板電極の対向
電極間隔をできるだけ狭く設定することが望ましいとさ
れている。このため、平行平板電極の対向電極間隔は、
通常、材料直径が2mm程度の場合は約10mm、材料
直径が10mm程度の場合は約20mmが大体の目安と
されている。したがって、材料サイズが変更される場合
には、材料の浮遊領域の大きさや形状を変える必要があ
る。ところが、従来の静電浮遊炉は、材料サイズが変更
される場合には、その都度平行平板電極の対向電極間隔
を再設定する必要があり、この作業のために静電浮遊炉
をその都度分解して作業しなければならず、その作業に
多くの時間を割かなければならないという問題があっ
た。
【0013】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、請求項1および2記載の発明
は、材料の位置を制御する電極数を削減し、電極電圧制
御装置の台数の削減を図り、省スペ−ス化を実現した静
電浮遊炉を提供することを目的とする。また、請求項3
〜6記載の発明は、材料交換作業の時間短縮を実現した
静電浮遊炉を提供することを目的とするものである。ま
た、請求項7〜11記載の発明は、材料サイズが変更さ
れる場合において、平行平板電極の対向電極間隔を変更
する作業の工数低減を実現した静電浮遊炉を提供するこ
とを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、帯電させた材料を静電界に
よりチャンバ内空中に浮かせるようにした静電浮遊炉に
おいて、前記チャンバ内に上下方向に相対して平行に配
設されるとともに、それぞれが3枚の扇型分割電極に構
成され、帯電している前記材料を静電力による反発力で
前記チャンバ内に浮かせるための電界を発生する上部お
よび下部電極と、前記上部および下部電極を構成する全
ての構成電極部に印加する電圧を制御し、帯電している
前記材料に作用する静電界を制御することによって前記
材料の浮遊位置を制御する位置制御装置とを備えている
ものである。
【0015】また、請求項2記載の発明は、帯電させた
材料を静電界によりチャンバ内空中に浮かせるようにし
た静電浮遊炉において、前記チャンバ内に上下方向に相
対して平行に配設されるとともに、一方が3枚の扇型分
割電極に構成され、他方が1枚の円盤状電極に構成さ
れ、帯電している前記材料を静電力による反発力で前記
チャンバ内に浮かせるための電界を発生する上部および
下部電極と、前記上部および下部電極を構成する全ての
構成電極部に印加する電圧を制御し、帯電している前記
材料に作用する静電界を制御することによって前記材料
の浮遊位置を制御する位置制御装置とを備えているもの
である。
【0016】また、請求項3記載の発明は、材料を保持
するための複数の爪を持った材料保持機構を複数個装着
した円柱型テーブルを前記チャンバ内に有する材料放出
装置をさらに備えているものである。
【0017】また、請求項4記載の発明は、前記材料保
持機構を複数個装着した円柱型テーブルは、回転可能と
され、実験毎に回転されて前記材料保持機構に保持され
た状態で材料の交換を行えるように構成されているもの
である。
【0018】また、請求項5記載の発明は、請求項3記
載の発明において、前記材料を保持するための複数の爪
は、脱着可能に取り付けられているものである。
【0019】また、請求項6記載の発明は、請求項3記
載の発明において、前記材料保持機構は、前記爪を開い
たときに材料を爪から強制的に解放するための押し出し
棒を備えているものである。
【0020】また、請求項7記載の発明は、材料製造を
行うための容器であるチャンバと、前記チャンバ内に上
下方向に相対して平行に配設され、帯電している前記材
料を静電力による反発力で前記チャンバ内に浮かせるた
めの電界を発生する上部および下部電極と、材料の一方
側に位置検出用光源を配置し、その反対側に位置検出用
撮像装置を配置し、前記材料の一方向から前記位置検出
用光源の光を当てて前記位置検出用撮像装置に材料の影
を投影させ、この投影を基に材料の浮遊位置を検出する
位置検出装置と、この位置検出装置からの出力信号に基
づき前記上部および下部電極を構成する全ての構成電極
部に印加する電圧を制御し、帯電している前記材料に作
用する静電界を制御することによって前記材料の浮遊位
置を制御する位置制御装置と、前記上部電極と下部電極
との対向する電極間に形成される浮遊領域に前記材料を
放出する駆動機構を有する材料放出装置とを備えた静電
浮遊炉であって、前記上部および下部電極は、上下平行
に配置された絶縁体からなる一対の電極保持担体に保持
され、この一対の電極保持担体が支持部材により一体化
されて着脱自在に前記チャンバに取り付けられているも
のである。
【0021】また、請求項8記載の発明は、材料製造を
行うための容器であるチャンバと、前記チャンバ内に上
下方向に相対して平行に配設され、帯電している前記材
料を静電力による反発力で前記チャンバ内に浮かせるた
めの電界を発生する上部および下部電極と、材料の一方
側に位置検出用光源を配置し、その反対側に位置検出用
撮像装置を配置し、前記材料の一方向から前記位置検出
用光源の光を当てて前記位置検出用撮像装置に材料の影
を投影させ、この投影を基に材料の浮遊位置を検出する
位置検出装置と、この位置検出装置からの出力信号に基
づき前記上部および下部電極を構成する全ての構成電極
部に印加する電圧を制御し、帯電している前記材料に作
用する静電界を制御することによって前記材料の浮遊位
置を制御する位置制御装置と、前記上部電極と下部電極
との対向する電極間に形成される浮遊領域に前記材料を
放出する駆動機構を有する材料放出装置とを備えた静電
浮遊炉であって、前記上部および下部電極は、上下平行
に配置された絶縁体からなる一対の電極保持担体に保持
され、この一対の電極保持担体が支持部材により一体化
されて着脱自在に前記チャンバに取り付けられ、さら
に、前記上部および下部電極は複数の電極に分割され、
この隣接する分割電極の間の前記電極保持担体の絶縁部
が2本以上の凹溝により形成されているものである。
【0022】また、請求項9記載の発明は、材料製造を
行うための容器であるチャンバと、前記チャンバ内に上
下方向に相対して平行に配設され、帯電している前記材
料を静電力による反発力で前記チャンバ内に浮かせるた
めの電界を発生する上部および下部電極と、材料の一方
側に位置検出用光源を配置し、その反対側に位置検出用
撮像装置を配置し、前記材料の一方向から前記位置検出
用光源の光を当てて前記位置検出用撮像装置に材料の影
を投影させ、この投影を基に材料の浮遊位置を検出する
位置検出装置と、この位置検出装置からの出力信号に基
づき前記上部および下部電極を構成する全ての構成電極
部に印加する電圧を制御し、帯電している前記材料に作
用する静電界を制御することによって前記材料の浮遊位
置を制御する位置制御装置と、前記上部電極と下部電極
との対向する電極間に形成される浮遊領域に前記材料を
放出する駆動機構を有する材料放出装置とを備えた静電
浮遊炉であって、前記上部および下部電極は、対向する
電極の間隔が外部から操作する調整機構により任意に変
更可能とされているものである。
【0023】また、請求項10記載の発明は、請求項7
〜9記載の発明において、前記位置検出装置は、外部操
作で前記位置検出用撮像装置の計測領域を任意の倍率で
拡大または縮小できるズ−ム機能を持った光学系を有し
ているものである。
【0024】また、請求項11記載の発明は、材料製造
を行うための容器であるチャンバと、前記チャンバ内に
上下方向に相対して平行に配設され、帯電している前記
材料を静電力による反発力で前記チャンバ内に浮かせる
ための電界を発生する上部および下部電極と、材料の一
方側に位置検出用光源を配置し、その反対側に位置検出
用撮像装置を配置し、前記材料の一方向から前記位置検
出用光源の光を当てて前記位置検出用撮像装置に材料の
影を投影させ、この投影を基に材料の浮遊位置を検出す
る位置検出装置と、この位置検出装置からの出力信号に
基づき前記上部および下部電極を構成する全ての構成電
極部に印加する電圧を制御し、帯電している前記材料に
作用する静電界を制御することによって前記材料の浮遊
位置を制御する位置制御装置と、前記上部電極と下部電
極との対向する電極間に形成される浮遊領域に前記材料
を放出する駆動機構を有する材料放出装置とを備えた静
電浮遊炉であって、前記チャンバは、前記上部および下
部電極および前記材料放出装置を取り付けた内チャンバ
と、この内チャンバを外側から保護する外チャンバとの
二重構造に形成され、この内チャンバは、前記上部およ
び下部電極、前記位置検出装置および前記材料放出装置
を取り付けた状態のまま前記外チャンバに対し着脱自在
に取り付けられているものである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
について説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1に係る静
電浮遊炉の構成を示す模式図である。なお、図中、図2
9に示される従来の静電浮遊炉と同一または相当部分に
は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0026】図1において、上部電極13と下部電極1
4とはチャンバ1内に相対して互いに平行に配設され、
平行平板電極を構成している。上部電極13は、リング
状の平板電極を3分割してなる3つの上部扇型電極13
a〜13cから構成されている。また、下部電極14
は、リング状平板電極を3分割してなる3つの下部扇型
電極14a〜14cから構成されている。そして、上部
扇型電極13a〜13cと下部扇型電極14a〜14c
とは互いに同じ形状に形成され、相対して配置されてい
る。また、位置制御装置15は、電極の数に対応した6
台の電極電圧制御装置を有し、上部扇型電極13a〜1
3cおよび下部扇型電極14a〜14cのそれぞれの電
圧を制御するように、チャンバ1の外部に配設されてい
る。なお、他の構成は従来の静電浮遊炉と同様に構成さ
れている。
【0027】ついで、このように構成された静電浮遊炉
の無重力における動作について説明する。まず、雰囲気
制御装置2により、チャンバ1内が所定の雰囲気に制御
される。そして、材料12を爪11に保持させ、支持部
駆動装置10bにより支持部10を上昇させる。これに
より、材料12を保持した爪11が下部電極14の中心
の穴を通って上部電極13と下部電極14との中間に移
動される。そこで、位置制御装置15により、上部電極
13に−xkvの電圧を印加し、下部電極14に0kv
の電圧を印加する。この状態を数秒間維持し、材料12
に+の電荷を溜める。その後、押し出し棒駆動装置10
cにより、押し出し棒10aを上昇させる。これによ
り、爪11が押し出し棒10bにより押し開かれ、爪1
1による材料12の保持が解除される。この時、+に帯
電されている材料12は−極となっている上部電極13
側に引き寄せられ、上方向(上部電極13側)に浮遊を
始める。そして、材料12が上部電極13と下部電極1
4との中央まで上昇すれば、上部電極13と下部電極1
4とを同電位とする。これにより、材料12の上方への
浮遊がなくなり、材料12は上部電極13と下部電極1
4との中央に保持される。
【0028】そして、位置検出用光源5bから光5cが
材料12に照射され、材料12に照射された光5cが位
置検出装置5の位置検出用撮像装置(カメラ)5aに受
光され、位置検出装置5がカメラの受光信号に基づいて
上部および下部電極13、14で囲まれた空間の中心に
対する材料12の位置ずれ量を算出する。位置制御装置
15は、位置検出装置5からの位置ずれ量に基づく出力
信号を受けて各電極に供給する電圧を決定して、各電極
にこの電圧を印加し、これにより材料12が上部および
下部電極13、14で囲まれた空間の中心に一致するよ
うに制御される。つまり、材料12が上部電極13に近
寄っている場合には、上部電極13の電位を下部電極1
4に対して+の電位とする。これにより、+に帯電して
いる材料12と上部電極13との間に反発力が発生し、
材料12は上部電極13から遠ざかる。また、材料12
が下部電極14に近寄っている場合には、下部電極14
の電位を上部電極13に対して+の電位とする。これに
より、+に帯電している材料12と下部電極14との間
に反発力が発生し、材料12は下部電極14から遠ざか
る。また、材料12が上部および下部電極13、14で
囲まれた空間の中心に対して水平方向の一つの電極側に
寄っている場合には、この材料12を上下方向で挟む上
部扇型電極と下部扇型電極とを他の扇型電極に対して+
の電位とし、材料12を反発力により上部および下部電
極13、14で囲まれた空間の中心に押し戻す。例え
ば、材料12が上部扇型電極13aと下部扇型電極14
aとで囲まれた空間側にずれた場合、上部扇型電極13
b、13cおよび下部扇型電極14b、14cを同電位
とし、上部および下部扇型電極13a、14aの電位を
上部および下部扇型電極13b、13c、14b、14
cに対して+の電位とし、材料12を反発力により上部
および下部電極13、14で囲まれた空間の中心に押し
戻す。このようにして、位置検出装置5および位置制御
装置15は、材料12の位置ずれがなくなるように上述
の制御を繰り返し行い、材料12が上部および下部電極
13、14で囲まれた空間の中心近傍に位置されるよう
に制御する。
【0029】材料12の位置が上部および下部電極1
3、14で囲まれた空間の中心近傍に制御された後、紫
外線源3から紫外線3aを窓1aを介して材料12に照
射し、材料12の帯電量を補給する。ついで、加熱用レ
−ザ6からレ−ザ光6aを窓1aを介して材料12に照
射し、材料12を加熱溶融する。そして、材料12の加
熱溶融過程がビデオ観察装置8により録画され、材料1
2から放射される波長7aが放熱温度計7で測定され、
材料12の温度として記録される。このようにしてビデ
オ観察装置8で録画された材料12の加熱溶融過程の映
像や放熱温度計7で測定された材料12の温度は、実験
の結果できた材料の成分評価に使用される。
【0030】このように、この実施の形態1によれば、
材料12の位置制御を行う平行平板電極が3つの上部扇
型電極13a〜13cからなる上部電極13と3つの下
部扇型電極14a〜14cからなる下部電極14とから
構成されているので、6台の電極電圧装置を備えた位置
制御装置15で材料12の位置を制御することができ
る。そこで、従来の静電浮遊炉に比べて、位置制御装置
15の電極電圧制御装置の容量を3/5に縮小すること
ができ、静電浮遊炉の設置スペ−スの省スペ−ス化が図
られる。その結果、JEM内の限られたスペ−スに搭載
できる静電浮遊炉が得られる。
【0031】ここで、上記実施の形態1では、宇宙ステ
−ションにおいて静電浮遊炉を使用することを想定して
説明しているが、地上において静電浮遊炉を使用するこ
ともできることは言うまでもないことである。この場
合、材料12には重力が作用していることから、+に帯
電された材料12を上部および下部電極13、14で囲
まれた空間の中心近傍に保持するためには、上部及び下
部電極13、14間に所定の電圧を印加し、材料12の
重力による下降を防ぐための電界を発生させておくこと
になる。そして、材料12の位置ずれが位置検出装置5
により検出された場合には、位置制御装置15により、
制御対象となる構成電極部に印加されている電圧を+側
にシフトさせて材料12との間に反発力を発生させ、材
料12を押し戻すようにすればよい。
【0032】実施の形態2.図2はこの発明の実施の形
態2に係る静電浮遊炉の構成を示す模式図である。図2
において、下部電極16は上部電極13と同等の外径を
有し、かつ、中心に材料挿入用の穴を有する円盤状の平
板電極に形成され、チャンバ1内に上部電極13と相対
して互いに平行に配設され、平行平板電極を構成してい
る。なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成さ
れている。
【0033】ついで、このように構成された静電浮遊炉
の無重力における動作について説明する。この実施の形
態2においても、材料12を保持した爪11が下部電極
16の中心の穴を通って上部電極13と下部電極16と
の中間に移動される。そこで、位置制御装置15によ
り、上部電極13に−xkvの電圧を印加し、下部電極
16に0kvの電圧を印加し、材料12に+の電荷を溜
める。その後、爪11による材料12の保持が解除さ
れ、+に帯電されている材料12は−極となっている上
部電極13側に引き寄せられる。そして、材料12が上
部電極13と下部電極16との中央まで上昇すれば、上
部電極13と下部電極16とを同電位とし、材料12を
上部電極13と下部電極16との中央に保持する。
【0034】そして、位置検出用光源5bから光5cが
材料12に照射され、材料12に照射された光5cが位
置検出装置5のカメラ5aに受光され、位置検出装置5
がカメラ5aの受光信号に基づいて上部および下部電極
13、16で囲まれた空間の中心に対する材料12の位
置ずれを算出する。位置制御装置15は、位置検出装置
5からの位置ずれ量に基づいた出力信号に対応して各電
極に供給する電圧を決定してこの電圧を印加し、これに
より材料12が上部および下部電極13、16で囲まれ
た空間の中心に一致するように制御される。つまり、材
料12が上部電極13に近寄っている場合には、上部電
極13の電位を下部電極16に対して+の電位とする。
これにより、+に帯電している材料12と上部電極13
との間に反発力が発生し、材料12は上部電極13から
遠ざかる。また、材料12が下部電極16に近寄ってい
る場合には、下部電極16の電位を上部電極13に対し
て+の電位とする。これにより、+に帯電している材料
12と下部電極16との間に反発力が発生し、材料12
は下部電極16から遠ざかる。また、材料12が上部お
よび下部電極13、16で囲まれた空間の中心に対して
水平方向の一方向側に寄っている場合には、材料12の
上部に位置する上部扇型電極を他の電極に対して+の電
位とし、材料12を反発力により上部および下部電極1
3、16で囲まれた空間の中心に押し戻す。例えば、材
料12が上部扇型電極13aの下部に位置する場合、上
部扇型電極13b、13cおよび下部電極16を同電位
とし、上部扇型電極13aの電位を上部扇型電極13
b、13cおよび下部電極16に対して+の電位とし、
材料12を反発力により上部および下部電極13、16
で囲まれた空間の中心に押し戻す。このようにして、位
置検出装置5および位置制御装置15は、材料12の位
置ずれがなくなるように上述の制御を繰り返し行い、材
料12が上部および下部電極13、16で囲まれた空間
の中心近傍に位置されるように制御する。
【0035】このように、この実施の形態2によれば、
材料12の位置制御を行う平行平板電極が3つの上部扇
型電極13a〜13cからなる上部電極13と1つの円
盤状の平板電極からなる下部電極16とから構成されて
いるので、4台の電極電圧制御装置を持った位置制御装
置15により材料12の位置を制御することができる。
そこで、従来の静電浮遊炉に比べて、位置制御装置15
の電極電圧制御装置の容量を2/5に縮小することがで
き、静電浮遊炉の設置スペ−スのさらなる省スペ−ス化
が図られる。その結果、JEM内の限られたスペ−スに
搭載できる静電浮遊炉が得られる。なお、この実施の形
態2による静電浮遊炉においては、下部電極16が1枚
の平板電極に形成されているので、下中心電極4cと下
外部4分極リング電極4dとから構成される従来の静電
浮遊炉の下部電極で作られる静電力に比べて材料12の
水平方向の制御力が小さくなるが、材料12の位置変動
が少ない場合には、十分な位置制御力が得られる。
【0036】ここで、上記実施の形態2では、3つの上
部扇型電極13a〜13cからなる上部電極13と1つ
の平板電極からなる下部電極16とから平行平板電極を
構成するものとしているが、上部電極を1つの平板電極
で構成し、下部電極を3つの扇型電極で構成しても、同
様の効果が得られる。
【0037】実施の形態3.図3はこの発明の実施の形
態3に係る静電浮遊炉の構成を示す模式図である。図3
において、上部電極17はチャンバ1内に下部電極16
と相対して互いに平行に配設され、平行平板電極を構成
している。そして、上部電極17は、下部電極16と同
等の外径を有する円盤状の平板電極を4分割してなる4
つの上部扇型電極17a〜17dから構成されている。
ここで、上部扇型電極17a〜17dおよび下部電極1
6が構成電極部である。なお、他の構成は上記実施の形
態2と同様に構成されている。
【0038】ついで、このように構成された静電浮遊炉
の無重力における動作について説明する。この実施の形
態3においても、材料12を保持した爪11が下部電極
16の中心の穴を通って上部電極17と下部電極16と
の中間に移動される。そこで、位置制御装置15によ
り、上部電極17に−xkvの電圧を印加し、下部電極
16に0kvの電圧を印加し、材料12に+の電荷を溜
める。その後、爪11による材料12の保持が解除さ
れ、+に帯電されている材料12は−極となっている上
部電極17側に引き寄せられる。そして、材料12が上
部電極17と下部電極16との中央まで上昇すれば、上
部電極17と下部電極16とを同電位とし、材料12を
上部電極17と下部電極16との中央に保持する。
【0039】そして、位置検出用光源5bから光5cが
材料12に照射され、材料12に照射された光5cが位
置検出装置5のカメラ5aに受光され、位置検出装置5
がカメラ5aの受光信号に基づいて上部および下部電極
17、16で囲まれた空間の中心に対する材料12の位
置ずれ量を算出する。この位置ずれ量に基づいて各構成
電極部に供給する電圧を決定する。位置制御装置15
は、位置検出装置5からのこの位置ずれ量に基づく出力
信号に対応して各電極に供給する電圧を決定してこの電
圧を印加し、これにより材料12が上部および下部電極
17、16で囲まれた空間の中心に一致するように制御
される。つまり、材料12が上部電極17に近寄ってい
る場合には、上部電極17の電位を下部電極16に対し
て+の電位とする。これにより、+に帯電している材料
12と上部電極17との間に反発力が発生し、材料12
は上部電極17から遠ざかる。また、材料12が下部電
極16に近寄っている場合には、下部電極16の電位を
上部電極17に対して+の電位とする。これにより、+
に帯電している材料12と下部電極16との間に反発力
が発生し、材料12は下部電極16から遠ざかる。ま
た、材料12が上部および下部電極17、16で囲まれ
た空間の中心に対して水平方向の一側に寄っている場合
には、材料12の上部側に位置する上部扇型電極を他の
電極に対して+の電位とし、材料12を反発力により上
部および下部電極17、16で囲まれた空間の中心に押
し戻す。例えば、材料12が上部扇型電極17aの下部
側に位置する場合、上部扇型電極17b、17c、17
dおよび下部電極16を同電位とし、上部扇型電極17
aの電位を上部扇型電極17b、17c、17dおよび
下部電極16に対して+の電位とし、材料12を反発力
により上部および下部電極17、16で囲まれた空間の
中心に押し戻す。このようにして、位置検出装置5およ
び位置制御装置15は、材料12の位置ずれがなくなる
ように上述の制御を繰り返し行い、材料12が上部およ
び下部電極17、16で囲まれた空間の中心近傍に位置
されるように制御する。
【0040】このように、この実施の形態3によれば、
材料12の位置制御を行う平行平板電極が4つの上部扇
型電極17a〜17dからなる上部電極17と1つの平
板電極からなる下部電極16とから構成されているの
で、5台の電極電圧制御装置を持った位置制御装置15
で材料12の位置を制御することができる。そこで、従
来の静電浮遊炉に比べて、位置制御装置15の電極電圧
制御装置の容量を1/2に縮小することができ、静電浮
遊炉の設置スペ−スの省スペ−ス化が図られる。その結
果、JEM内の限られたスペ−スに搭載できる静電浮遊
炉が得られる。なお、この実施の形態3による静電浮遊
炉においては、下部電極16が1枚の平板電極に形成さ
れているので、下中心電極4cと下外部4分極リング電
極4dとから構成される従来の静電浮遊炉の下部電極で
作られる静電力に比べて材料12の水平方向の制御力が
小さくなるが、材料12の位置変動が少ない場合には、
十分な位置制御力が得られる。
【0041】ここで、上記実施の形態3では、4つの上
部扇型電極17a〜17dからなる上部電極17と1つ
の平板電極からなる下部電極16とから平行平板電極を
構成するものとしているが、上部電極を1つの平板電極
で構成し、下部電極を4つの扇型電極で構成しても、同
様の効果が得られる。
【0042】なお、上記各実施の形態では、対象の構成
電極部を他の構成電極部に対して+の電位にするように
電圧を制御して材料12の位置ずれを制御するものとし
ているが、本発明は、この電圧制御方法に限定されるも
のではなく、+に帯電されている材料12と対象の構成
電極部との間に反発力を発生させるように構成電極部に
印加する電圧を制御するものであればよい。また、材料
12が回転しているような場合には、上部電極と下部電
極とに与える電圧を位相差を付けて変えることにより、
材料12の回りの電界強度を垂直方向に回転させて材料
12の回転方向と逆向きの静電力を発生させ、材料12
の回転を制御することもできる。
【0043】実施の形態4.図4はこの発明の実施の形
態4に係る静電浮遊炉の構成を示す模式図である。図4
において、上部電極17は下部電極18と相対して互い
に平行に配設され、平行平板電極を構成している。そし
て、前記図1に示した実施の形態1では、上部電極13
および下部電極14がそれぞれ3つの扇形電極13a〜
13c、14a〜14c〜構成されていたのに対し、こ
の実施の形態4では、上部電極17および下部電極18
は、それぞれ同等の外径を有する円盤状の平行電極を4
分割してなる4つの上部扇型電極17a〜17dおよび
4つの下部扇型電極18a〜18dから構成されてい
る。なお、他の構成は前記実施の形態1と同様に構成さ
れている。
【0044】ついで、このように構成された静電浮遊炉
の無重力における動作について説明する。この実施の形
態4においても、材料12を保持した爪11が下部電極
18の中心の穴を通って上部電極17と下部電極18と
の中間に移動される。そこで、位置制御装置15によ
り、上部電極17に−xkvの電圧を印加し、下部電極
18に0kvの電圧を印加する。この状態を数秒間維持
し、材料12に+の電荷を溜める。その後、爪11によ
る材料12の保持が解除され、+に帯電されている材料
12は−極となっている上部電極17側に引き寄せられ
る。そして、材料12が上部電極17と下部電極18と
の中央まで上昇すれば、上部電極17と下部電極18と
を同電位とする。これにより、材料12の上方への浮遊
がなくなり、材料12は上部電極17と下部電極18と
の中央に保持される。
【0045】そして、位置検出用光源5bから光5cが
材料12に照射され、材料12に照射された光5cが位
置検出装置5のカメラ5aに受光され、位置検出装置5
がカメラ5aの受光信号に基づいて上部および下部電極
17、18で囲まれた空間の中心に対する材料12の位
置ずれ量を算出する。位置制御装置15は、位置検出装
置5からの位置ずれ量に基づく出力信号を受けて各電極
に供給する電圧を決定して、各電極にこの電圧を印加
し、これにより材料12が上部および下部電極17、1
8で囲まれた空間の中心に一致するように制御される。
つまり、材料12が上部電極17に近寄っている場合に
は、上部電極17の電位を下部電極18に対して+の電
位とする。これにより、+に帯電している材料12と上
部電極17との間に反発力が発生し、材料12は上部電
極17から遠ざかる。また、材料12が下部電極18に
近寄っている場合には、下部電極18の電位を上部電極
17に対して+の電位とする。これにより、+に帯電し
ている材料12と下部電極18との間に反発力が発生
し、材料12は下部電極18から遠ざかる。また、材料
12が上部および下部電極17、18で囲まれた空間の
中心に対して水平方向の一つの電極側に寄っている場合
には、この材料12を上下方向で挟む上部扇型電極と下
部扇型電極とを他の扇型電極に対して+の電位とし、材
料12を反発力により上部および下部電極17、18で
囲まれた空間の中心に押し戻す。例えば、材料12が上
部扇型電極17aと下部扇型電極18aとで囲まれた空
間側にずれた場合、上部扇型電極17b〜17dおよび
下部扇型電極18b〜18dを同電位とし、上部および
下部扇型電極17a、18aの電位を上部および下部扇
型電極17b〜17d、18b〜18dに対して+の電
位とし、材料12を反発力により上部および下部電極1
7、18で囲まれた空間の中心に押し戻す。このように
して、位置検出装置5および位置制御装置15は、材料
12の位置ずれがなくなるように上述の制御を繰り返し
行い、材料12が上部および下部電極17、18で囲ま
れた空間の中心近傍に位置されるように制御する。
【0046】このように、この実施の形態4によれば、
材料12の位置制御を行う平行平板電極が4つの上部扇
型電極17a〜17dからなる上部電極17と4つの下
部扇型電極18a〜18dからなる下部電極18とから
構成されているので、8台の電極電圧装置を備えた位置
制御装置15で材料12の位置を制御することができ
る。そこで、従来の静電浮遊炉に比べて、位置制御装置
15の電極電圧制御装置の容量を4/5に縮小すること
ができ、静電浮遊炉の設置スペ−スの省スペ−ス化が図
られる。その結果、JEM内の限られたスペ−スに搭載
できる静電浮遊炉が得られる。なお、この実施の形態4
による静電浮遊炉においては、上部電極17および下部
電極18がそれぞれ4枚の平板電極に形成されているの
で、省スペース化の割合が前記実施の形態1〜3に比し
少なくなるが、上部電極17および下部電極18はそれ
ぞれ4分極リング電極17a〜17d、18a〜18d
から構成されているので、従来の静電浮遊炉と同程度の
十分な位置制御力が得られる。
【0047】実施の形態5.図5はこの発明の実施の形
態5に係る静電浮遊炉の構成を示す模式図であって、主
に材料放出装置周りを示す。図5において、34は、支
持部10、押し出し棒10a、材料12を保持する爪1
1を持った材料保持機構を円柱型テーブル34aの外周
面に所定ピッチで設けた材料放出装置である。また、こ
の材料放出装置34において、35は材料保持機構をテ
ーブル34aの外周面に取り付けるための取り付け治
具、36は材料保持機構をテーブル34a外周面で上下
動させるためのガイドレール、38はテーブル34aを
回転させるための回転駆動装置で、実験ごとにテーブル
34aを所定ピッチ回転させて材料保持機構を上部電極
17の中央の穴の上に移動可能としている。39は、上
部電極17の中央の穴の上に移動された材料保持機構
を、この穴を通して上部電極17と下部電極18との間
に移動させ、材料12を放出後、この材料保持機構を再
び初期の位置(上部電極17の中央の穴の上)まで戻す
ための上下移動装置である。なお、材料保持機構の上下
移動距離は例えばモータのon/off時間の設定によ
る。40は押し出し棒10aを上下に移動させて爪11
を開閉させるための押し出し棒上下移動装置である。な
お、その他の構成は実施の形態4と同一である。
【0048】ついでこのように構成された静電浮遊炉の
材料交換装置の動作について説明する。上記のように構
成された静電浮遊炉の制御装置においては、1実験終了
後に材料交換回転装置38が材料放出装置34のテーブ
ル34aを所定のピッチ数だけ回転させ、上部電極17
の中心の穴の上に次の材料保持機構を移動させ、上下移
動装置39の駆動よってこの材料保持機構を上部電極1
7と下部電極18との間の所定位置へと移動させ、その
結果として材料12を上部電極17と下部電極18との
間の所定位置へと移動させ、その後、押し出し棒上下移
動装置40を駆動することによって爪11を押し開き、
材料12を解放する。そして、実験終了後は上部電極1
7と下部電極18とに加えていた電圧を切ることによっ
て、材料保持機構(材料12)の位置制御をやめ、材料
12をチャンバ1の下方向へ落下させ、また、材料交換
回転装置38により材料放出装置34のテーブル34a
を所定のピッチ数だけ回転させて、新しい材料12を放
出する手順が順次行われる。
【0049】このように、この実施の形態5によれば、
従来のように、1実験毎にチャンバ1の蓋1bを開けて
材料12を充填する必要が無く、連続して複数の実験を
順次行うことができる。
【0050】実施の形態6.図6および図7は実施の形
態6に係る材料保持機構の構成説明図であり、図7は図
6の材料保持機構において2本の爪を取り付けた状態を
示した図である。図6において、41は支持部10に対
して取り付け取り外しが可能な爪、42は爪41を支持
部10に対して取り付け取り外し可能とするネジであ
る。その他の構成は実施の形態5と同一である。
【0051】このように実施の形態6によれば、支持部
10にネジ42で取付けられる爪41の本数を、輸送時
や実験時の振動条件が大きい場合には4本、小さい場合
には2本というように振動条件に応じて容易に変えるこ
とができる。また、材料12の初期帯電量を大きくする
ためには紫外線源3の紫外線3aが材料12により多く
照射されることが望ましいので、材料12の種類によっ
て紫外線3aをより多く照射したい場合であって、かつ
振動条件が厳しくない場合には、支持部10にネジ42
で取り付ける爪41の本数を少なく、例えば2本という
具合に、任意に設定することができる。
【0052】実施の形態7.図8はこの発明の実施の形
態7に係る押し出し棒を備えた材料放出装置の構成説明
図であり、図9は、図8材料放出装置において、押し出
し棒により爪を押し開いた状態を説明する図面である。
図8および図9において、43は開放した爪11から離
れない材料12に対して直接材料12を押し出すための
突起を持った突起付き押し出し棒である。なお、この突
起付き押し出し棒43以外は実施の形態6と同一であ
る。
【0053】このように実施の形態7によれば、従来の
ように押し出し棒10aで爪11を開いただけでは材料
12の表面の帯電の偏りにより爪11から離れない材料
12に対して、押し出し棒の先端部に設けた突起により
直接材料12を押し出すことによって、材料12を確実
に放出することができる。また、材料12が爪11から
離れたかどうかは、ビデオ観察装置8により目視で確認
することもできるが、事前実験により材料12の特性か
ら離れない可能性がある場合には、予め実験結果に基づ
き押し出し棒23の移動ステップ量を初期設定させおく
ことにより、常に一定手順で確実に材料12を放出する
ことができる。
【0054】実施の形態8.次に、実施の形態8につい
て図10〜図13に基づき説明する。図10はこの発明
の実施形態8に係る静電浮遊炉の概略構成を説明するた
めの側面模式図であり、図11はこの静電浮遊炉の概略
構成を説明するための平面図であり、図12は平行平板
電極の取り付け部の平面説明図であり、図13は電極保
持担体における隣接する電極間の絶縁構造説明図であ
る。
【0055】この実施の形態8に係る静電浮遊炉は、図
1および図2に示すように、材料の製造を行うための容
器であるチャンバ101、浮遊領域Tに電界を発生させ
て材料Sを浮遊領域Tに浮遊させるための平行平板電極
104、材料Sの浮遊位置を検出する位置検出装置10
5、材料Sの浮遊位置を制御する位置制御装置108、
材料Sを浮遊領域Tに放出するための材料放出装置10
9、材料Sの状態を観察するための観察装置121、材
料Sを帯電させる紫外線源120、材料Sを溶融する加
熱用光源119などから構成されている。
【0056】チャンバ101は、図11に示されるよう
に、水平断面が略円形となるように形成されており、そ
の周囲には12個の窓116が設けられている。平行平
板電極104は、図10に示すように、上部電極104
aと下部電極104bとを浮遊領域Tに面して上下に対
向して配置したもので、上部電極104aおよび下部電
極104bはそれぞれ4枚の扇形電極からなり、上下に
対向して配置された4対の電極として構成されている。
また、この平行平板電極104の上部電極104aおよ
び下部電極104bは、上部電極保持担体111aおよ
び下部電極保持担体111bに埋め込まれて固定されて
いる。また、この上部および下部電極保持担体111
a、111bは固定軸110によりその位置が固定さ
れ、対向電極間隔(対向する上部電極104aと下部電
極104bとの間隔)が所定寸法に保持されている。こ
のようにセットされた平行平板電極104は、対向電極
間隔の異なるものが複数種類用意されており、材料Sの
サイズに適合する対向電極間隔のものを選んで取り替え
できるように、チャンバ101に取り付けられている。
【0057】位置検出装置105は、図11に示すごと
く、直交する2方向から材料Sの位置を計測できるよう
に、4個の窓116を利用して2組配置されている。す
なわち、この位置検出装置105は、一つの窓116に
面してCCDカメラ等の位置検出用撮像装置106を配
置し、この窓116と対称的な位置の窓116に面して
位置検出用光源107が配置されている。これにより、
この位置検出用光源107から光を材料Sに当てて材料
Sの影を位置検出用撮像装置106に投影し、この位置
検出用撮像装置106においてその影を結像して電気信
号に変換し、この電気信号を図示しない画像処理回路に
より画像処理するなどして、材料Sの3軸の浮遊位置の
座標が検出され把握される。
【0058】位置制御装置108は、位置検出装置10
5が材料Sの位置に基づき出力する位置信号に対応して
平行平板電極104の電位を変化させて静電気力を制御
することにより材料Sの位置を制御している。材料放出
装置109は、材料Sを把持する爪109a、この爪1
09aを開閉させる押し出し棒109b、この押し出し
棒109bを駆動させるモータ109cを備えている。
また、材料放出装置109は、チャンバ101が所定の
雰囲気に制御され、また、浮遊領域Tに所定の電界が発
生するように平行平板電極104の電圧が調整されてい
る状態において、材料Sを把持して平行平板電極104
の近傍に保持し、その保持状態において材料Sを帯電さ
せて放出する構成となっている。
【0059】観察装置121は、材料Sの形状の変化、
移動の状態等を観察するものであって、3個の窓116
を利用して、観察に必要な可視光を発光する観察用光源
122、この観察用光源122の光線による材料表面で
の反射光を捉えることのできる位置に配設された可視C
CDカメラ126および観察用光源122に対向する位
置に配設された観察用機器123を備えている。これに
より、可視CCDカメラ126から送られてくる映像を
観察すると共に、観察用光源122からの光を材料Sに
当て、変化する材料Sの形状の影を観察用機器123に
投影、または、影を含む光を入力し、これにより得られ
る情報をコンピュータ処理して、材料Sの物性を測定し
ている。
【0060】加熱用光源119は、それぞれ加熱レーザ
から構成され、4個の窓116に面して配置されて材料
Sの加熱を行う。紫外線源120は、1個の窓に面して
配置されており、材料放出装置109から浮遊領域Tに
放出された材料Sに対し紫外線を照射し、材料Sから光
電子を放出させて材料Sを帯電させる。
【0061】次に、上部および下部電極保持担体111
a、111bに上部電極104a、下部電極104bを
固定する部分の詳細構造を図12に基づき説明する。こ
の図12は、下部電極104bを下部電極保持担体11
1bに固定する部分の平面を表している。4枚の扇形電
極からなる下部電極104bは、絶縁体からなる下部電
極保持担体111bに埋め込まれている。また、絶縁部
112aが、隣接する下部電極104b間に形成され、
隣接する下部電極104b間の沿面距離を確保し、隣接
する下部電極104b間の放電を防止している。また、
溝112bが、扇形の下部電極104bの円弧状外周縁
の部分に形成され、下部電極104bを下部電極保持担
体111bヘ埋め込む際の遊びとなっている。さらに、
穴113が下部電極保持担体111bの中央部に形成さ
れ、材料放出装置109の材料把持部がこの穴113か
ら浮遊領域Tに挿入され、材料Sを浮遊領域Tに放出で
きるように構成されている。なお、地上実験時には、平
行平板電極104に±20kVが印加されるが、位置制
御装置108の制御ソフトからの制限により、隣接する
下部電極104b間には最大±10kVの電圧差が発生
する。上部電極104aを上部電極保持担体111aに
固定する部分の構造は、ここではその説明を省略する
が、この下部電極104bの固定構造と同様である。
【0062】次に、図13を参照して、隣接する下部電
極104b間の絶縁部112aの構造についてさらに詳
細に説明する。図13(a)は、本実施の形態8の絶縁
部112aの断面を示す。絶縁部112aは、下部電極
104b間に2本の幅広の溝が形成され、さらに、この
2本の幅広の溝の間に、4本の幅狭の溝が形成されてい
る。図13(b)および図13(c)は、この本実施の
形態に係る図13(a)との比較を行う比較例を示す。
図13(b)の絶縁部112abは、下部電極104b
間に1本の溝が形成されたものである。また、図13
(c)の絶縁部112acは、下部電極104b間に溝
がなく、単に、絶縁体が平面的に加工されただけの構造
のものである。これら絶縁部112a、112ab、1
12acの放電現象を、大気中での条件の下で行った実
験結果により比較すると、放電現象が物質の面に沿って
発生することから、隣接する電極間に必要な距離は次の
ようになった。図13(c)に記載の絶縁部112ac
は、最も放電しやすく、少なくとも40mm必要であつ
た。また、図13(b)に記載の絶縁部112abは、
溝が1本あることにより、図13(c)に記載の絶縁部
112acに比し沿面距離が増えているため、約20m
mとなった。これら比較例に対し、本実施の形態に係る
図13(a)に記載の絶縁部112aは、複数本(この
場合6本)の溝が電極間に形成されていることにより、
沿面距離が上記比較例に比べて大幅に増大しており、約
10mmあれば十分であることが分かった。なお、隣接
する上部電極104a間の絶縁部の構造についても、上
記絶縁部112aと同様である。
【0063】実施の形態8は、上記のように構成されて
いるので、次の様な作用効果を奏する。一般の静電浮遊
装置と同様に、位置検出装置105では、浮遊領域Tに
放出された材料Sに位置検出用光源107からの光を当
てて、その影を位置検出用撮像装置106に投影し、こ
の投影を基に材料Sの位置が検出される。そして、位置
制御装置108により、平行平板電極104の電圧を制
御することにより材料Sの浮遊位置が検出されて所定位
置に保持される。これにより、無接触状態で4個の加熱
用光源119により材料Sを加熱、溶融などの処理を行
うことができる。また、観察装置121では、可視CC
Dカメラ126により、材料Sの形状の変化、移動の状
態等を映像として観察することができ、さらに、観察用
機器123に材料Sの状態変化を投影し、この投影を基
に材料Sの物性を測定することができる。
【0064】また、この実施の形態8においては、材料
サイズが変更された場合は、変更された材料サイズに適
合する対向電極間隔を持つようにセットされた平行平板
電極104に交換すればよく、この場合には上部電極1
04aと下部電極104bとの対向電極間隔を再調整す
る必要がない。このため、材料Sの交換作業は極めて迅
速に行うことができる。また、上部および下部電極保持
担体111a、111bにおける隣接する電極104a
または104b間の部分には、複数の溝を設けた絶縁部
112aが形成されているため、絶縁部112aの幅寸
法を小さくすることができ、平行平板電極104の外形
寸法を小型化することができる。
【0065】なお、図13(a)の例では、絶縁部11
2aの溝の数が6個の場合を示したが、この溝の数は、
隣接する電極間距離と絶縁体の加工性、耐放電特性、最
大電圧幅を考慮して溝の数を設定すればよく、2〜8本
程度の間であれば、同等の効果を奏することができる。
また、図13(a)の例では、溝の幅が不均等な場合を
示したが、均等な幅でも同等の効果を奏することは明ら
かである。また、隣接する電極間距離は、チャンバ内の
ガス圧、ガスの種類によって放電限界値が変動するた
め、上記の例における電極間距離は、あくまでも大気成
分、大気圧の条件の下での実験結果に過ぎない。
【0066】実施の形態9.次に、実施の形態9につい
て、図14および図15に基づき説明する。この実施の
形態9は、上部電極104a、下部電極104b間の対
向電極間隔を調整機構により調整可能としたものであ
る。なお、図10ないし図13に記載の実施の形態8に
おける構成要素と同一のものには同一の符号を付し、そ
の説明を省略する。
【0067】図14および図15は、この調整機構の構
成説明図であって、図14は側面説明図、図15は平面
説明図である。これら図面に示されるように、厚肉円盤
状のベースプレート131上に円筒状の支持部材134
が取り付けられている。また、この支持部材134は、
上方に内フランジ部を備えており、この内フランジ部と
ベースプレート131との間に3本のガイド軸133が
固定されている。また、平面におけるガイド軸133の
間において、ベースプレート131に対し調整軸130
が回転自在に立設されている。そして、上部および下部
電極保持担体111a、111bは、それぞれこの3本
の調整軸130に3箇所で螺合することにより、支持部
材134の内側の空間部において、上下に適宜の間隔を
おいて位置するように保持されている。また、前記ガイ
ド軸133は、平面における調整軸130間の位置にお
いて上部および下部電極保持担体111a、111bを
上下スライド自在に貫通しており、上部および下部電極
保持担体111a、111bの回転を防止すると共に、
上部および下部電極保持担体111a、111bの上下
動を容易にしている。また、この上部および下部電極保
持担体111a、111bは、前記実施の形態8の場合
と同様に、平行平板電極104を構成する上部電極10
4a、下部電極104bを保持している。
【0068】上部および下部電極保持担体111a、1
11bと調整軸130との螺合については、上部電極保
持担体111aと調整軸130との螺合が右ネジであ
り、下部電極保持担体111bと調整軸130との螺合
が左ネジである。また、3本の調整軸130は、動力伝
達機構により1個のモータ139と連結され、このモー
タ139の駆動により同時に回転するように構成されて
いる。この動力伝達機構は、回転リング140とベルト
あるいはチェーン138により構成されている。平行平
板電極104の対向電極間隔の調整機構は、このように
構成されており次の様に作動する。モータ139を駆動
して3本の調整軸130を同時に左回転させると、上部
電極保持担体111aが上がって下部電極保持担体11
1bが下がり、平行平板電極104の対向電極間隔が広
がる。逆に、モータ139を逆方向に駆動して3本の調
整軸130を同時に右回転させると、上部電極保持担体
111aが下がって下部電極保持担体111bが上が
り、平行平板電極104の対向電極間隔が狭まる。
【0069】また、上部および下部電極保持担体111
a、111bにおけるガイド軸133の貫通部には、ス
ライド軸受け137が取り付けられているので、上記の
ように上部および下部電極保持担体111a、111b
を上下にスライドさせても、上部および下部電極保持担
体111a、111bが振動したり、揺れたりすること
がない。また、上部および下部電極保持担体111a、
111bの外周側面と円筒状の支持部材134の内周と
の間、および上部および下部電極保持担体111a、1
11bにおけるガイド軸133の貫通部には、それぞれ
Oリング136a、136bが取り付けられているの
で、浮遊領域Tの気密性が保持される。
【0070】実施の形態9は、以上のごとく構成されて
いるので、材料サイズが変更される場合、外部からの操
作によりモータ139を駆動して調整軸130を右また
は左に回転させることにより、上部電極104a、下部
電極104bの対向電極間隔を材料サイズに合わせて任
意に変更することができる。また、この変更作業は、外
部からの操作によりモータ139を駆動して行うので、
平行平板電極104の対向電極間隔の調整作業を容易に
自動化したり、遠隔操作を可能としたりすることができ
る。
【0071】なお、図14および図15の例では、調整
軸130と上部および下部電極保持担体111a、11
1bとの螺合を、上側を右ネジ、下側を左ネジとしたが
これを逆にしてもよく、この場合モータ139を上記と
は逆方向に回転駆動することにより、同様の効果が得ら
れることは明らかである。また、調整軸130、ガイド
軸133はそれぞれ3本の例を示したが、設置場所の余
裕、効果を考慮して2〜5本とすればよく、また、この
範囲であれば、同等の効果を奏することができる。
【0072】実施の形態10.次に、図16に基づき、
本発明の実施の形態10について説明する。この実施の
形態10は、位置検出装置105の光学系の視野を平行
平板電極104の電極間隔の変更に合わせて調整可能と
したものである。なお、図10ないし図13に記載の実
施の形態8における構成要素と同一のものには同一の符
号を付し、その説明を省略する。
【0073】図16において、105aは位置検出装置
用の光学系であり、この鏡筒はズームレンズを含んでい
る。また、105bはこの光学系105aを駆動するた
めのモータである。そして、平行平板電極104の上下
電極間隔の変更時に、モータ105bを駆動して対向電
極間隔に合わせて位置検出用撮像装置106の視野を広
げたり、狭めたりする機能を持たせる。また、ズームレ
ンズのレンズ構成を、平行平板電極104の最小の対向
電極間隔から最大の対向電極間隔までを視野に入れるこ
とができる倍率にしている。
【0074】このように、本実施の形態10の構成とす
れば、平行平板電極104の対向電極間隔を変更した場
合にも、外部からの操作によりモータ105bを駆動し
て、光学系105aを調整操作すればよく、従来のよう
な固定光学系を再調整する手間に比較し大幅に作業工数
を低減することができる。
【0075】実施の形態11.次に、実施の形態11に
ついて図17および図18に基づき説明する。実施の形
態11は、チャンバ101を内外二重構造とし、材料サ
イズの変更時に、平行平板電極104を内チャンバごと
交換するようにして作業工数の低減を図ったものであ
る。なお、図10ないし図13に記載の実施の形態8に
おける構成要素と同一のものには同一の符号を付し、そ
の説明を省略する。
【0076】図17および図18は、本発明の実施の形
態11に係るチャンバの構造説明図である。これら図に
おいて、150は内チャンバ、151は外チャンバであ
る。図17は、外チャンバ151に内チャンバ150を
取り付けた状態の説明図であり、図18は、内チャンバ
150を外チャンバ151から取り外した状態における
内チャンバ150単独の説明図である。
【0077】図18に示されているように、内チャンバ
150には、平行平板電極104の上部電極104a、
下部電極104bを取り付けた上部および下部電極保持
担体111a、111bおよび材料放出装置109が収
納され取り付けられている。また、内チャンバ150
は、図示しないが固定ネジ等により外チャンバ151に
着脱自在に取り付けられており、平行平板電極104お
よび材料放出装置109を取り付けた状態で外チャンバ
151から着脱可能とされている。なお、152、15
3は窓ガラスである。なお、これら図面には材料Sを加
熱する加熱用光源119、紫外線源120、位置検出装
置105、位置制御装置108などが図示されていない
が、前記実施の形態8の例に従い適宜の位置に取り付け
られている。
【0078】実施の形態11は、このように構成されて
いるため、内チャンバ150に平行平板電極104およ
び材料放出装置109を取り付けた状態で、内チャンバ
150を取り外して交換することができる。このため、
材料Sの交換と同時に必ず平行平板電極104も交換さ
れる、すなわち、平行平板電極104の汚染が肉眼で認
識できない場合であっても平行平板電極104が交換さ
れることになる。このため、材料Sの汚染防止の観点か
らは、常に望ましい状況が実現できる。また、内チャン
バ150交換作業は、固定ネジを取り外せばよく、従来
のチャンバ内の平行平板電極104を取り外す交換作業
に比し単純化され、その作業時間が大幅に削減される。
【0079】実施の形態12.次に、実施の形態12に
ついて図19〜図21に基づき説明する。実施の形態1
2は、実施の形態8および9における材料Sの交換作業
を容易化したもので、着脱自在の蓋部を備えた密閉容器
内に材料放出装置を取り付けて材料カートリッジを構成
し、材料Sをこの材料カートリッジごと交換可能とし、
材料交換工数を低減したものである。なお、前記実施の
形態8および9における構成要素と同一のものには同一
の符号を付し、その説明を省略する。
【0080】図19は、この実施の形態12に係る材料
カートリッジの構造を示す説明図である。この図に示す
ように、材料カートリッジ160は、箱型の容器部16
1と、蓋部162と、1個の材料Sを装着した材料放出
装置109とから構成されている。また、大気における
水分や有機成分からの影響を回避するために、容器部1
61と蓋部162との間にOリング163が介在され密
閉容器に形成されている。したがって、この材料カート
リッジ160の内部を密閉状にすることができるので、
材料Sを装着する段階で所定のガス雰囲気、例えば、窒
素ガス等の不活性ガス雰囲気にすることができる。そし
て、このように構成された材料カートリッジ160は、
実験の都度チャンバ101内に装着される。
【0081】図20は、材料カートリッジ160のチャ
ンバ101内ヘの装着、または取り出しについての説明
図である。材料カートリッジ160をチャンバ101へ
装着するときは、チャンバ101のアクセス用扉164
を開け、材料カートリッジ160をステージ165上の
所定の搬入位置に載せる。次に、扉164を閉め、チャ
ンバ101内を所定のガス雰囲気に置換した後、材料カ
ートリッジ160の蓋部162を開放する(開放する具
体的構成については説明を省略する)。その後、モータ
駆動される調整軸166によりステージ165を上昇さ
せ、開放された材料カートリッジ160の容器部161
の上面を、チャンバ101内上方に位置する電極部16
7のベースプレート168の下面に密着させる。図20
はこの位置での状態を示す。このとき、必要であれば、
電極部167内と材料カートリッジ160内を再度実験
雰囲気用のガスに置換して、実験を行う。
【0082】次に、実験が終了した後、再びモータ駆動
の調整軸166によりステージ165を下降させ、当初
の所定の搬入位置に戻した後蓋部162を閉める。チャ
ンバ101内のガス圧を大気圧に戻してから、扉164
を開け、材料カートリッジ160を取り出す。この実施
の形態12では以上の如く構成されているので、材料S
を回収したり装着したりする作業時間が短縮される。ま
た、材料S毎に実験雰囲気が設定されるため、材料S間
の汚染を回避することができる。
【0083】また、上記材料カートリッジ160は、図
21に示す材料カートリッジ自動交換装置により交換す
ることもできる。この材料カートリッジ自動交換装置
は、本発明の実施の形態8および9に係る実施の形態1
2の一つであり、特に上記図19および20により説明
した実施の形態12の場合に適用できるものである。図
21は、材料カートリッジ自動交換装置の概略構成説明
図である。この図において、171は材料カートリッジ
収納庫、172は材料カートリッジ自動交換装置、17
3はカートリッジ搬送アームであって、この材料カート
リッジ自動交換装置172は次の様に機能する。
【0084】材料カートリッジ収納庫171内に納めら
れている材料カートリッジ160を、アーム173に載
せ、チャンバ101内まで搬送する。破線部のアーム1
73は搬送後を示している。チャンバ101の扉(図2
0における164)を開き、チャンバ101内部のステ
ージ165(所定の搬入位置)に材料カートリッジ16
0を載せる。実験終了後にチャンバ101の扉を開き、
当初の所定の搬入位置に戻された(つまり、ステージ1
65上に載っている)材料カートリッジ160をアーム
173に載せ、材料カートリッジ収納庫171まで搬送
し、材料カートリッジ収納庫171内へ納める。このよ
うな材料カートリッジ自動交換装置172を用いること
により、材料Sの交換作業に要する作業時間がより一層
短縮される。なお、このような材料カートリッジ自動交
換装置は、上記のようなものに限られず、材料カートリ
ッジ収納庫171とチャンバ101との間を自動で搬送
できるものであれば他のものでも良い。
【0085】実施の形態13.次に、実施の形態13に
ついて図22〜図27に基づき説明する。この実施の形
態13は、前記図10〜図13に示される実施の形態8
における位置検出装置および観測装置を改良したもので
ある。なお、これら図においては、図10〜図13に示
される実施の形態8と同一または相当部分には同一の符
号を付し、その説明を簡略化または省略する。
【0086】図22はこの発明の実施の形態13に係る
静電浮遊炉の概略構成の説明する側面図であり、前記図
10に対応する。また、図23は同じくこの静電浮遊炉
の概略構成を説明する平面図であり、前記図11に対応
する。さらに、図24は位置検出装置および観察装置の
光学系の説明図であり、図25は位置検出用撮像装置の
画面を四角形に4分割する方式の説明図であり、図26
は位置検出用撮像装置の画面を同心円状に4分割する方
式の説明図であり、図27は位置検出装置における位置
検出用撮像装置の焦点位置の説明図である。
【0087】図22および図23に示されるように、位
置検出用撮像装置106の前方の窓116との間には、
赤外領域の光をカットするホットミラー117および紫
外線領域の光をカットし、位置検出用光源107の波長
周辺の光のみを通過させるバンドパスフィルタ118が
それぞれ設けられており、位置検出用光源107以外の
波長の光が位置検出用撮像装置106に入らないように
構成されている。
【0088】また、観察装置121は、可視CCDカメ
ラ126および観察用機器123の前方の窓116との
間に、赤外領域の光をカットするホットミラー124
と、紫外線領域の光をカットし観察用光源122の波長
周辺の光のみを通過させるバンドパスフィルタ125と
が設けられており、観察用光源122以外の波長の光が
観察用機器123に入らないように構成されている。
【0089】次に、位置検出装置105および観察装置
121の光学系について、図23におけるこれら部分を
拡大抽出して図示した図24によりさらに具体的に説明
する。なお、図24は、括弧内に観察装置121の機器
の符号を示し、括弧の外には位置検出装置105および
その他の構成機器の符号を示すことにより、位置検出装
置105の光学系を説明する図と、観察装置121の光
学系を説明する図を兼用している。この図24にも示す
如く、位置検出装置105の光学系にはホットミラー1
17とバンドパスフィルタ118が用いられ、観察装置
121の光学系にはホットミラー124とバンドパスフ
ィルタ125が用いられている。また、位置検出用光源
107としては例えば532nmの緑色光源を用い、観
察用光源122としては例えば430nmの青色レーザ
を用い、加熱用光源として例えば800nm付近の長波
長成分を用いる。このように構成されることにより、位
置検出装置105および観察装置121では、ホットミ
ラー117および124により加熱用光源の800nm
付近の長波長成分が除去される。また、位置検出装置1
05ではバンドパスフィルタ118により位置検出用光
源107に使用した532nmの波長周辺(±約5n
m)の光を通すようにし、観察装置121ではバンドパ
スフィルタ125により観察用光源122に使用した4
30nmの波長周辺(±約5nm)の光を通すようにし
ている。
【0090】なお、位置検出用光源107および観察用
光源122の使用波長は任意であり、加熱用光源11
9、紫外線源120などチャンバ101内に照射される
光源に使用される他の波長とは異なる波長の光源を用
い、選定した位置検出用光源107および観察用光源1
22の波長の光を通すバンドパスフィルタ118、12
5を位置検出用撮像装置106および観察用機器123
の前に設置する。このように構成することにより、位置
検出装置105および観察装置121には、それぞれの
光源107、122の波長の光のみが入射され、材料S
の形状を誤認識させる余分な光の入射を除去することが
できる。
【0091】次に、観察用機器123による物性測定に
ついて説明する。観察用機器123として、例えばCC
Dカメラを用い、浮遊状態の材料Sの形状をCCD素子
面上にほぼいっぱいに投影する光学系を設定する。そし
て、このCCDカメラで取得した材料Sの影から加熱溶
融前後および途中の材料Sの直径を測定し、その値より
材料Sの体積を計算する。一方、材料Sの質量を実験の
前後に測定し、この質量を前述の計算した体積で割るこ
とにより、材料Sのそのときの密度を算出することがで
きる。また、各温度での材料Sの体積を算出し、体積の
温度依存性を算出し、各温度の熱膨張率を求めることが
できる。なお、この目的のためには、材料Sの影を正確
に検知する必要があり、前述の如く、観察用光源122
以外の光が観察用機器123に入射することを防止する
必要がある。
【0092】次に、観察用機器123の他の例として、
フォトディテクタを用いた例について説明する。観察用
機器123を、スリットを通して材料Sの影を含む光を
フォトディテクタに入力する構成とする。このように構
成することにより、位置制御電界の変調を利用して材料
Sに力を加えて材料Sを変形させるような場合に、フォ
トディテクタに入力する光量の変化から材料Sの変形度
合いを計測することができる。なお、この目的のために
も、材料Sの影とその周辺の光量を明確に計測しなけれ
ばならず、観察用光源122以外の光がフォトディテク
タに入射することを防止する必要がある。
【0093】また、この実施の形態13においては、位
置検出用撮像装置106への材料Sの影を明確にするた
めに、位置検出用撮像装置106の画面における明暗を
2値化して識別している。なお、2値化するための閾値
を位置検出用撮像装置106の画面全体において一律に
すると、位置検出用光源107に明るさにむらがある場
合、閥値の設定によっては、実際には材料Sの影が投影
されているにもかかわらず「明」と判断されて影が欠け
てしまったり、その逆に影が膨らんでしまったりする個
所が発生することがある。こうなると、材料Sの形状を
正確に検知できないばかりか、材料Sの浮遊位置を正確
に計測できなくなり、ひいては材料Sの浮遊位置の制御
ができなくなるという問題点が発生する。
【0094】このため実施の形態13では、位置検出用
撮像装置106を高速CCDカメラとし、その画面を4
分割している。図25は、位置検出用撮像装置106の
画面を四角形に分割した例である。位置検出用撮像装置
106の明るさの階調は256であり、閾値を例えば1
20と設定すると、120より下の階調のピクセルで
は、暗と判定し画面では暗く表示される。この図25で
は、位置検出用撮像装置106の画面を4分割し、それ
ぞれの分割画面181ないし184毎に位置検出用光源
107の明るさに対応した閾値を独自に設定している。
このようにすると、位置検出用光源107の明るさにむ
らがあっても、画面の場所により位置検出用光源107
に応じた明暗の判定を適切に行うことができる。
【0095】これをより具体例で説明すると、分割画面
181の材料Sがない場合の光量を256とし、分割画
面184の材料Sがない場合の光量を200とする。材
料Sとして、形状および寸法が明確な標準材料が置かれ
た場合、影の中央部は光の屈折などの影響を受けないの
で、位置検出用撮像装置106の検知(階調)は0とな
るが、材料Sの周辺部については、屈折の影響によりあ
る程度の明るさを検知することになる。この明るさを初
期光量の約半分程度の光量とすると、分割画面181で
は128、分割画面184では100となり、閾値を同
一の120と設定した場合には、分割画面181では
明、分割画面184では暗と判断され、位置検出用撮像
装置106の画面内で、影として出たり出てこなかった
りすることが起こり、材料の正確な形状を把握できなく
なってしまう。
【0096】そこで、この4分割方式では、標準材料の
形状および寸法が正確に反映されるように、それぞれの
分割画面の閾値を設定し、この不具合を防止している。
すなわち、分割画面181では閾値を例えば150、分
割画面184では閾値を例えば117とすれば、材料S
の輪郭を正確に画面上で把握することが可能となる。ま
た、このように位置検出用撮像装置106の画面を分割
してそれぞれの分割画面毎に閾値を設定した方式であれ
ば、この静電浮遊装置を輸送あるいはスペースシャトル
や輸送機システムに搭載して打ち上げたときに、振動な
どによって位置検出装置105の光軸が多少ずれること
により、位置検出用撮像装置106の画面内に明るさの
むらが生じた場合であっても、対応が可能となる。した
がって、実験実施時あるいは宇宙ステーションにおける
軌道上での複雑な光学調整作業を実施する必要がなくな
る。
【0097】このような位置検出用撮像装置106の画
面の分割方式は、図25のように四角形に分割するもの
に代わりに、図26のように同心円状に4分割して、前
記分割画面181ないし184に代えて分割画面201
ないし204を形成し、上記と同様に閾値を設定しても
同様の作用効果が得られる。また、分割数の例として4
分割について説明したが、分割数は任意であり、他の分
割数であっても同等の効果を奏することができる。ただ
し、分割数が多くなれば、閾値の設定が複雑になる。ま
た、位置検出用光源107の明るさのむらを小さくすれ
ば、分割数を大きくする必要もなくなるので、実際的に
は2分割から8分割が適切といえる。
【0098】また、この実施の形態13において、位置
検出用撮像装置106の焦点位置は、図27に示す電極
中心位置114に設定される。このようにする理由を説
明する。従来は、材料Sの影を捉えるという目的から、
この焦点位置についてはあまり厳格な検討がなされてい
なかった。また、位置検出用撮像装置106から見て、
材料Sは厚みがあり、形状も一定でないことから、材料
Sの前あるいは後ろなど適当に設定されていた。ところ
が、材料Sが溶解温度に達すると、雰囲気ガスが材料S
により暖められ屈折率が変化して、材料Sの像が変形し
てしまうという不都合の生ずることが分かった。これに
対し、位置検出用撮像装置106の焦点位置を材料Sの
位置、つまり平行平板電極104の中心位置にしておく
と、光路内における雰囲気ガスの屈折率の異なる領域が
最小に抑えられるため、像の変形度合いが軽減されるこ
とが分かった。この結果、位置検出用撮像装置106の
焦点位置を平行平板電極104の中心を含む平面にして
おくことにより、材料Sの輪郭(外周)を明確に捉える
ことができる。また、材料Sの浮遊位置が多少ずれて
も、光学系の被写界深度により材料Sの輪郭を明確に捉
えることが可能となる。
【0099】このように構成された実施の形態13の静
電浮遊炉は、次の様な作用効果を奏する。一般の静電浮
遊装置と同様に、位置検出装置105では、浮遊領域T
に放出された材料Sに位置検出用光源107からの光を
当て、その影を位置検出用撮像装置106に投影し、こ
の投影を基に材料Sの位置が検出される。そして、位置
制御装置108により、平行平板電極104の電圧を制
御することにより材料Sの浮遊位置が検出されて所定位
置に保持される。これにより、無接触状態で4個の加熱
用光源119により材料Sを加熱、溶融などの処理を行
うことができる。また、観察装置121では、可視CC
Dカメラ126により、材料Sの形状の変化、移動の状
態等を映像として観察することができ、さらに、観察用
機器123に材料Sの状態変化を投影し、この投影を基
に材料Sの物性を測定することができる。
【0100】また、この実施の形態13においては、位
置検出用光源107からの光のみをホットミラー11
7、バンドパスフィルタ118を通して位置検出用撮像
装置106に到達させるようにしたので、加熱用光源1
19や紫外線源120などの位置検出用光源107以外
の光が位置検出用撮像装置106に入射されることがな
くなる。したがって、材料Sの影が正確に位置検出用撮
像装置106に投影されずに材料Sの位置を正確に検出
されなくなるという異常を防止することができる。ま
た、観察用光源122からの光のみをホットミラー12
4、バンドパスフィルタ125を通して観察用機器12
3に到達させるようにしたので、加熱用光源119や紫
外線源120などの観察用光源122以外の光が観察用
機器123に入射されることがなくなる。したがって、
材料Sの影が正確に観察用機器123に投影されないこ
とにより材料Sの形状等の変化を正確に観察できなくな
るという異常を防止することができ、材料Sの物性等を
正確に観察することができる。
【0101】また、位置検出用撮像装置106を高速C
CDカメラとし、その画面を分割し、それぞれの画面領
域181〜184または201〜204において明暗の
閾値を任意、かつ適切に設定するようにしたので、位置
検出用光源107の光の明るさのむらによる材料Sの位
置誤認を防止することができるまた、位置検出装置10
5における位置検出用撮像装置106の光学系の焦点
を、電極中心位置を含む平面に設定したので、材料Sの
輪郭(外周)を明確に捉えることができ、材料位置が多
少ずれても、この光学系の被写界深度により材料Sの輪
郭を明確に捉えることが可能になる。
【0102】実施の形態14.次に、実施の形態14に
ついて、図28に基づき説明する。この実施の形態14
は、位置検出装置105の光学系にハーフミラーを用い
て光路を分割し光源を位置検出用と観察用とに兼用させ
たものである。なお、この図28においては、図22な
いし図27に記載の実施の形態13における構成要素と
同一のものには同一の符号を付し、その説明を省略す
る。
【0103】図28は、本発明の実施の形態14に係る
位置検出装置105および観察装置121の光学系の構
成を示す説明図である。この実施の形態14では、位置
検出装置105の光学系にハーフミラー128が用いら
れ、光路が分岐され、一方が位置検出用撮像装置106
に投影され、他方がこの位置検出用撮像装置106の直
交する方向かつ近傍に配置された観察用機器123に投
影されるように構成されている。そして、この位置検出
用光源107として例えば532nmの緑色のレーザが
用いられる。また、この実施の形態14では先の実施の
形態13におけると同様、ホットミラー117により加
熱用光源119の800nm付近の長波長成分が除去さ
れ、バンドパスフィルタ118により位置検出用光源1
07の532nm付近の波長周辺(±約5nm)の光が
通過するように構成されている。このようにしてホット
ミラー117およびバンドパスフィルタ118を通過し
た532nm付近の材料Sの影を含む光は、ハーフミラ
ー128により分岐され、前述のように位置検出用撮像
装置106と観察用機器123の二つの機器へ入射され
る。
【0104】実施の形態14は、このように構成されて
いることにより、1個の光源、例えば位置検出用光源1
07に対して、受ける側の機器を、位置検出用撮像装置
106と観察用機器123の2個とすることができる。
したがって、位置検出装置105と観察装置121の光
源および光学系が共通化され、チャンバ101の周囲に
設ける窓116の数を少なくすることができ、さらに
は、光源の数を少なくできるという効果がある。その結
果として、静電浮遊炉の全体の大きさを小さくすること
ができる。また、この実施の形態14においても、実施
の形態13と同様に、位置検出用撮像装置106と観察
用機器123には予め設定された波長の光のみが入射
し、それ以外の光が入射しないので、材料Sの位置や形
状等の変化を誤認識させる余計な光を除去することがで
きる。なお、ここに例示した532nmの位置検出用光
源107の波長は任意であり、加熱用光源119、紫外
線源120などチャンバ101内に照射される光源に使
用される波長と異なる波長とすればよい。
【0105】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るので、以下に記載されるような効果を奏する。請求項
1記載の発明によれば、上下の電極構成を6枚とするこ
とができ、これら電極に電圧を供給する位置制御装置の
電極電圧制御装置の台数を6台に削減することができ
る。したがって、従来の10枚構成と同等の制御力を確
保しつつ、設置スペ−スの省スペ−ス化を実現すること
ができる。
【0106】また、請求項2記載の発明によれば、上下
の電極構成を、一方を1枚とし、他方を3枚とするの
で、これら電極に電圧を供給する位置制御装置の電極電
圧制御装置の台数を4台に削減することができる。した
がって、従来の10枚構成とに比べ水平方向の制御力が
若干弱くなるが、材料の位置変動が少ない場合には、材
料の位置を制御するに十分な制御力を確保しつつ、設置
スペ−スの省スペ−ス化を実現することができる。
【0107】また、請求項3記載の発明によれば、材料
を一度に複数個装填しておくことができるので、実験毎
にチャンバの蓋の開閉やチャンバ内の雰囲気を再調整す
る必要がなくなり、準備作業工数の軽減と操作性の向上
を図ることができる。
【0108】また、請求項4記載の発明によれば、1実
験毎に材料を充填する必要が無く、連続して複数の実験
を順次行うことができ、準備作業工数の軽減と操作性の
向上をより一層図ることができる。
【0109】また、請求項5記載の発明によれば、材料
を保持する爪の本数を、輸送時や実験時の振動条件に合
わせて変えることにより、実験環境の外乱に応じて材料
交換放出時の材料に対する爪の保持力を変えることがで
き、振動に対して十分な保持力を確保させることができ
る。また、材料放出後の制御に必要な初期帯電量をより
多く得る必要がある場合には、紫外線をより多く材料に
照射するために、必要に応じて爪の本数を少なく設定す
ることができる。
【0110】また、請求項6記載の発明によれば、爪を
開放しても爪から離れ難い材料に対して、押し出し棒に
より確実に材料を放出することができる。
【0111】また、請求項7記載の発明によれば、平行
平板電極は、対向する電極が平行に配置された絶縁体か
らなる一対の電極保持担体に保持され、この一対の電極
保持担体が支持部材により一体化されて着脱自在にチャ
ンバに取り付けられているので、材料のサイズが変更さ
れたときに、変更された材料サイズに適合する対向電極
間隔にセットされた平行平板電極と交換すればよく、対
向電極間隔を再調整する必要がないため、この交換作業
を極めて迅速に行うことができる。
【0112】また、請求項8記載の発明によれば、前記
電極保持担体における隣接する電極間の絶縁部に2本以
上の凹溝が形成されているので、電極間の沿面距離が大
きくなり、電極保持担体における隣接する電極間隔を小
さくすることができる。これにより、電極全体を小さく
することができ、静電浮遊炉の外形寸法を小さくするこ
とができる。
【0113】また、請求項9記載の発明によれば、前記
平行平板電極の対向電極間隔を外部から操作する調整機
構により任意に変更可能とされているので、電極間調整
作業が簡略化され、それに要する作業時間が短縮でき
る。また、この調整作業は外部操作により行うことがで
きるので、平行平板電極の対向電極間隔の調整作業を容
易に自動化したり、遠隔操作を可能にすることができ
る。
【0114】また、請求項10記載の発明によれば、位
置検出装置は、外部操作で前記位置検出用撮像装置の計
測領域を任意の倍率に拡大または縮小できるズーム機能
を持った光学系を有しているので、材料のサイズ変更に
際し、平行平板電極の対向電極間隔が変更されても、そ
の間隔の変更に合わせて外部から位置検出用撮像装置の
視野を変更することができるので、従来のような固定光
学系を再調整する手間に比較し大幅に作業工数を低減す
ることができる。
【0115】また、請求項11記載の発明によれば、前
記チャンバは、前記平行平板電極、前記位置検出装置お
よび前記材料放出装置を取り付けた内チャンバと、この
内チャンバを外側から保護する外チャンバとの二重構造
に形成され、この内チャンバは、前記平行平板電極およ
び前記材料放出装置を取り付けた状態のまま前記外チャ
ンバに対し着脱自在に取り付けられているので、材料サ
イズ変更時、材料交換と同時にその材料サイズにあった
対向電極間隔を有する平行平板電極と交換されるので、
平行平板電極の対向電極間隔の調整に時間を割く必要が
ない。また、材料の交換の際常に新しい電極を用いるこ
とになるので、電極汚染による材料汚染を確実に防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る静電浮遊炉の
構成を示す模式図である。
【図2】 この発明の実施の形態2に係る静電浮遊炉の
構成を示す模式図である。
【図3】 この発明の実施の形態3に係る静電浮遊炉の
構成を示す模式図である。
【図4】 この発明の実施の形態4に係る静電浮遊炉の
構成を示す模式図である。
【図5】 この発明の実施の形態5に係る静電浮遊炉の
構成を示す図である。
【図6】 この発明の実施の形態6に係る材料放出装置
の構成説明図である。
【図7】 この発明の実施の形態6に係り、図6の材料
放出装置の爪を2本とした状態説明図である。
【図8】 この発明の実施の形態7に係り、押し出し棒
を備えた材料保持機構を示す構成説明図である。
【図9】 この発明の実施の形態7に係り、図8の材料
保持機構において押し出し棒により爪から材料を放出す
る状態説明図である。
【図10】 この発明の実施の形態8に係る静電浮遊炉
の概略構成を説明するための側面図である。
【図11】 この発明の実施の形態8に係る静電浮遊炉
の概略構成を説明するための平面図である。
【図12】 この発明の実施の形態8に係る平行平板電
極取り付け部の平面説明図である。
【図13】 この発明の実施の形態8に係る静電浮遊炉
の電極保持担体における隣接する電極間の構造説明図で
あり、(a)はこの発明の実施の形態8に係るものにつ
いての説明図であり、(b)および(c)は、実施の形
態8に係る図13(a)のものとの比較のための例につ
いての説明図である。
【図14】 この発明の実施の形態9に係る静電浮遊炉
の平行平板電極の対向電極間隔を調整する調整機構の側
面説明図である。
【図15】 この発明の実施の形態9に係る静電浮遊炉
の平行平板電極の対向電極間隔を調整する調整機構の平
面説明図である。
【図16】 この発明の実施の形態10に係る静電浮遊
炉の位置検出装置の光学系についての構成説明図であ
る。
【図17】 この発明の実施の形態11に係る静電浮遊
炉のチャンバ全体についての説明図である。
【図18】 この発明の実施の形態11に係る静電浮遊
炉の内チャンバについての説明図である。
【図19】 この発明の実施の形態12に係る材料カー
トリッジ単体についての説明図である。
【図20】 この発明の実施の形態12に係る材料カー
トリッジの装着、取り出しについての説明図である。
【図21】 この発明の実施の形態12に係る材料カー
トリッジ自動交換装置についての説明図である。
【図22】 この発明の実施の形態13に係る静電浮遊
炉の概略構成を説明するための側面図である。
【図23】 この発明の実施の形態13に係る静電浮遊
炉の概略構成を説明するための平面図である。
【図24】 この発明の実施の形態13に係る静電浮遊
炉の位置検出装置および観察装置における光学系の説明
図である。
【図25】 この発明の実施の形態13に係る静電浮遊
炉の位置検出用撮像装置の画面を四角形に4分割する方
式の説明図である。
【図26】 この発明の実施の形態13に係る静電浮遊
炉の位置検出用撮像装置の画面を同心円状に4分割する
方式の説明図である。
【図27】 この発明の実施の形態13に係る静電浮遊
炉の位置検出装置における位置検出用撮像装置の焦点位
置の説明図である。
【図28】 この発明の実施の形態14に係る静電浮遊
炉の位置検出装置および観察装置における光学系の説明
図である。
【図29】 従来の静電浮遊炉の構成を示す模式図であ
る。
【図30】 従来の静電浮遊炉における材料浮遊状態を
示す模式図である。
【符号の説明】
1 チャンバ、1b 蓋、2 雰囲気制御装置、3 紫
外線源、5 位置検出装置、5a 位置検出用撮像装置
(カメラ)、6 加熱用光源、9 位置制御装置、10
支持部、10a 押し出し棒、10b 支持部駆動装
置、10c 押し出し棒駆動装置、11 爪、12 材
料、13 上部電極、13a、13b、13c 上部扇
型電極、14 下部電極、14a、14b、14c 下
部扇型電極、15 位置制御装置、16 下部電極、1
7 上部電極、17a、17b、17c、17d 上部
扇型電極、18 下部電極、18a、18b、18c、
18d 下部扇型電極、34 材料放出装置、34a
円柱形テーブル、35 取り付け治具、36 ガイドレ
ール、38 材料交換回転装置、39 爪上下移動装
置、40 棒上下移動装置、41 爪、42 ネジ、4
3 突起付き押しだし棒、101 チャンバ、104
平行平板電極、104a 上部電極、104b下部電
極、105 位置検出装置、105a (位置検出用
の)光学系、105b モータ、106 位置検出用撮
像装置、107 位置検出用光源、108位置制御装
置、109 材料放出装置、110 調整軸、111a
上部電極保持担体、111b 下部電極保持担体、1
12a 絶縁部、114 電極中心位置、116 窓、
117 ホットミラー、118 バンドパスフィルタ、
119 加熱用光源、120 紫外線源、121 観察
装置、122 観察用光源、123 観察用機器、12
4 ホットミラー、125 バンドパスフィルタ、12
6 (可視CCD)カメラ、128 ハーフミラー、1
30 調整軸、133ガイド軸、134 支持部材、1
38 ベルトあるいはチェーン、139 モータ、14
0 回転リング、150 内チャンバ、151 外チャ
ンバ、160材料カートリッジ、161 容器部、16
2 蓋部、164 アクセス扉、165 ステージ、1
66 調整軸、171 材料カートリッジ収納庫、17
2材料カートリッジ自動交換装置、181〜184 分
割画面、201〜204分割画面、S 材料、T 浮遊
領域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿波 祐二 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 下地 治彦 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 福島 一彦 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 森田 知二 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 中村 富久 東京都港区浜松町二丁目4番1号 宇宙開 発事業団内 (72)発明者 唐澤 宏喜 東京都港区浜松町二丁目4番1号 宇宙開 発事業団内 (72)発明者 池田 俊民 東京都港区浜松町二丁目4番1号 宇宙開 発事業団内 (72)発明者 中村 泰 茨城県つくば市千現2丁目1番1 宇宙開 発事業団 筑波宇宙センター内 (72)発明者 土屋 美和 茨城県つくば市千現2丁目1番1 宇宙開 発事業団 筑波宇宙センター内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯電させた材料を静電界によりチャンバ
    内空中に浮かせるようにした静電浮遊炉において、 前記チャンバ内に上下方向に相対して平行に配設される
    とともに、それぞれが3枚の扇型分割電極に構成され、
    帯電している前記材料を静電力による反発力で前記チャ
    ンバ内に浮かせるための電界を発生する上部および下部
    電極と、 前記上部および下部電極を構成する全ての構成電極部に
    印加する電圧を制御し、帯電している前記材料に作用す
    る静電界を制御することによって前記材料の浮遊位置を
    制御する位置制御装置とを備えていることを特徴とする
    静電浮遊炉。
  2. 【請求項2】 帯電させた材料を静電界によりチャンバ
    内空中に浮かせるようにした静電浮遊炉において、 前記チャンバ内に上下方向に相対して平行に配設される
    とともに、一方が3枚の扇型分割電極に構成され、他方
    が1枚の円盤状電極に構成され、帯電している前記材料
    を静電力による反発力で前記チャンバ内に浮かせるため
    の電界を発生する上部および下部電極と、 前記上部および下部電極を構成する全ての構成電極部に
    印加する電圧を制御し、帯電している前記材料に作用す
    る静電界を制御することによって前記材料の浮遊位置を
    制御する位置制御装置とを備えていることを特徴とする
    静電浮遊炉。
  3. 【請求項3】 材料を保持するための複数の爪を持った
    材料保持機構を複数個装着した円柱型テーブルを前記チ
    ャンバ内に有する材料放出装置をさらに備えていること
    を特徴とする請求項1または2記載の静電浮遊炉。
  4. 【請求項4】 前記材料保持機構を複数個装着した円柱
    型テーブルは、回転可能とされ、実験毎に回転されて前
    記材料保持機構に保持された状態で材料の交換を行える
    ように構成されていることを特徴とする請求項3記載の
    静電浮遊炉。
  5. 【請求項5】 前記材料を保持するための複数の爪は、
    脱着可能に取り付けられていることを特徴とする請求項
    3記載の静電浮遊炉。
  6. 【請求項6】 前記材料保持機構は、前記爪を開いたと
    きに材料を爪から強制的に解放するための押し出し棒を
    備えていることを特徴とする請求項3記載の静電浮遊
    炉。
  7. 【請求項7】 材料製造を行うための容器であるチャン
    バと、 前記チャンバ内に上下方向に相対して平行に配設され、
    帯電している前記材料を静電力による反発力で前記チャ
    ンバ内に浮かせるための電界を発生する上部および下部
    電極と、 材料の一方側に位置検出用光源を配置し、その反対側に
    位置検出用撮像装置を配置し、前記材料の一方向から前
    記位置検出用光源の光を当てて前記位置検出用撮像装置
    に材料の影を投影させ、この投影を基に材料の浮遊位置
    を検出する位置検出装置と、 この位置検出装置からの出力信号に基づき前記上部およ
    び下部電極を構成する全ての構成電極部に印加する電圧
    を制御し、帯電している前記材料に作用する静電界を制
    御することによって前記材料の浮遊位置を制御する位置
    制御装置と、 前記上部電極と下部電極との対向する電極間に形成され
    る浮遊領域に前記材料を放出する駆動機構を有する材料
    放出装置とを備えた静電浮遊炉であって、 前記上部および下部電極は、上下平行に配置された絶縁
    体からなる一対の電極保持担体に保持され、この一対の
    電極保持担体が支持部材により一体化されて着脱自在に
    前記チャンバに取り付けられていることを特徴とする静
    電浮遊炉。
  8. 【請求項8】 材料製造を行うための容器であるチャン
    バと、 前記チャンバ内に上下方向に相対して平行に配設され、
    帯電している前記材料を静電力による反発力で前記チャ
    ンバ内に浮かせるための電界を発生する上部および下部
    電極と、 材料の一方側に位置検出用光源を配置し、その反対側に
    位置検出用撮像装置を配置し、前記材料の一方向から前
    記位置検出用光源の光を当てて前記位置検出用撮像装置
    に材料の影を投影させ、この投影を基に材料の浮遊位置
    を検出する位置検出装置と、 この位置検出装置からの出力信号に基づき前記上部およ
    び下部電極を構成する全ての構成電極部に印加する電圧
    を制御し、帯電している前記材料に作用する静電界を制
    御することによって前記材料の浮遊位置を制御する位置
    制御装置と、 前記上部電極と下部電極との対向する電極間に形成され
    る浮遊領域に前記材料を放出する駆動機構を有する材料
    放出装置とを備えた静電浮遊炉であって、 前記上部および下部電極は、上下平行に配置された絶縁
    体からなる一対の電極保持担体に保持され、この一対の
    電極保持担体が支持部材により一体化されて着脱自在に
    前記チャンバに取り付けられ、さらに、前記上部および
    下部電極は複数の電極に分割され、この隣接する分割電
    極の間の前記電極保持担体の絶縁部が2本以上の凹溝に
    より形成されていることを特徴とする静電浮遊炉。
  9. 【請求項9】 材料製造を行うための容器であるチャン
    バと、 前記チャンバ内に上下方向に相対して平行に配設され、
    帯電している前記材料を静電力による反発力で前記チャ
    ンバ内に浮かせるための電界を発生する上部および下部
    電極と、 材料の一方側に位置検出用光源を配置し、その反対側に
    位置検出用撮像装置を配置し、前記材料の一方向から前
    記位置検出用光源の光を当てて前記位置検出用撮像装置
    に材料の影を投影させ、この投影を基に材料の浮遊位置
    を検出する位置検出装置と、 この位置検出装置からの出力信号に基づき前記上部およ
    び下部電極を構成する全ての構成電極部に印加する電圧
    を制御し、帯電している前記材料に作用する静電界を制
    御することによって前記材料の浮遊位置を制御する位置
    制御装置と、 前記上部電極と下部電極との対向する電極間に形成され
    る浮遊領域に前記材料を放出する駆動機構を有する材料
    放出装置とを備えた静電浮遊炉であって、 前記上部および下部電極は、対向する電極の間隔が外部
    から操作する調整機構により任意に変更可能とされてい
    ることを特徴とする静電浮遊炉。
  10. 【請求項10】 前記位置検出装置は、外部操作で前記
    位置検出用撮像装置の計測領域を任意の倍率で拡大また
    は縮小できるズ−ム機能を持った光学系を有しているこ
    とを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載の静電
    浮遊炉。
  11. 【請求項11】 材料製造を行うための容器であるチャ
    ンバと、 前記チャンバ内に上下方向に相対して平行に配設され、
    帯電している前記材料を静電力による反発力で前記チャ
    ンバ内に浮かせるための電界を発生する上部および下部
    電極と、 材料の一方側に位置検出用光源を配置し、その反対側に
    位置検出用撮像装置を配置し、前記材料の一方向から前
    記位置検出用光源の光を当てて前記位置検出用撮像装置
    に材料の影を投影させ、この投影を基に材料の浮遊位置
    を検出する位置検出装置と、 この位置検出装置からの出力信号に基づき前記上部およ
    び下部電極を構成する全ての構成電極部に印加する電圧
    を制御し、帯電している前記材料に作用する静電界を制
    御することによって前記材料の浮遊位置を制御する位置
    制御装置と、 前記上部電極と下部電極との対向する電極間に形成され
    る浮遊領域に前記材料を放出する駆動機構を有する材料
    放出装置とを備えた静電浮遊炉であって、 前記チャンバは、前記上部および下部電極および前記材
    料放出装置を取り付けた内チャンバと、この内チャンバ
    を外側から保護する外チャンバとの二重構造に形成さ
    れ、 この内チャンバは、前記上部および下部電極、前記位置
    検出装置および前記材料放出装置を取り付けた状態のま
    ま前記外チャンバに対し着脱自在に取り付けられている
    ことを特徴とする静電浮遊炉。
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