JP2002206602A - 液圧テンショナ - Google Patents

液圧テンショナ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設定範囲の最大限度の荷重を超えるピーク運
転荷重に対処する。 【解決手段】 第2の開孔36を有し、ハウジング26
の穴28内をスライド自在な第1のピストン32と、第
1のピストン32内に配置されたベース部44を有し、
第1のピストン32の第2の開孔36を通って延びると
ともに、第1のピストン32に対して軸方向に移動自在
な第2のピストン42と、第1のピストン32を穴28
の外方に付勢する第1のスプリング62と、第2のピス
トン42を第1のピストン32から離れる側に付勢する
第2のスプリング63と、設定範囲の最大限度を超える
運転荷重がテンショナ10に作用したとき、第2のピス
トン42が第1のピストン32の側に移動するのを許容
し、これにより、第1のピストン32の第2の開孔36
を通じて流体チャンバ40内の液圧を解放するプレッシ
ャーリリーフシステム16とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のための
タイミングシステムのようなチェーンまたはベルト駆動
システムとともに用いられる液圧テンショナに関する。
より詳細には、本発明は、テンショナが設定範囲の最大
限度の荷重に接近して到達したときにシステムのピーク
運転荷重を低減させるために、予め設定された付勢作用
を備えるとともに、設定範囲の最大限度の荷重を超える
システムのピーク運転荷重を緩和するためのプレッシャ
ーリリーフバルブを備えた液圧テンショナに関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】発明の背景 内燃機関のタイミングシステムのように、チェーンまた
はベルト駆動システムの緊張力制御装置として、液圧テ
ンショナが一般に用いられている。チェーンまたはベル
トの緊張力は、温度の広汎な変化や、駆動システムおよ
びそれにより運転される任意のシステムの種々の部品間
の熱膨張により大きく変化する。
【0003】このため、チェーンやベルトにある程度の
緊張力を作用させてこれを維持することにより、伸びに
よるスリップやノイズを低減させるために、テンショナ
が用いられている。
【0004】より具体的には、典型的な内燃機関のタイ
ミングチェーンシステムは、クランクシャフトスプロケ
ットおよびカムシャフトスプロケットと呼称される、間
隔を隔てた二つのスプロケットの回りに巻き掛けられた
チェーンを有している。
【0005】エンジンによる熱膨張の影響に加えて、カ
ムシャフトおよびクランクシャフトにより生じる捩じり
振動が、チェーンの緊張力を著しく変化させる。チェー
ン緊張力の減少はまた、長期間の使用によるチェーンの
伸びおよび部品の摩耗にも起因している。
【0006】チェーンの伸びは、望ましくないノイズや
スリップを生じさせるが、スリップは、カムシャフトタ
イミングを数度ずらすことによって、エンジンやその他
の構成部品に重大な損傷を生じさせる。したがって、伸
びによる弛みを除去して、スプロケット回りのチェーン
のスリップおよびノイズの発生を防止するために、チェ
ーンに適切な緊張力を作用させてこれを維持することは
重要なことである。
【0007】液圧テンショナは、一般に、穴を有するハ
ウジングと、穴によって限定される流体チャンバと、ス
プリングによって穴の外方に付勢された中空ピストンと
を有している。
【0008】加圧流体源から流体チャンバ内への流体の
流れを許容する一方、逆方向への流体の流れを阻止する
ために、チェックバルブが設けられている。ハウジング
内の液圧およびスプリング力は、ピストンを外方に移動
させ、適切な量の弛みを除去するために、チェーンまた
はベルトに緊張力をさせる。
【0009】ピストンが逆方向に移動する移動するとき
には、チェックバルブが閉じて、チャンバから流体が流
出するのを制限する。ピストンおよびハウジング壁間の
わずかなクリアランスは少量の流体が漏出するのを許容
するが、ピストンは実質的に縮退することができないた
め、テンショナはいわゆる「逆止機能」を獲得する。
【0010】この「逆止機能」は、運転中にチェーンま
たはベルトの緊張力が急上昇した場合に、液圧テンショ
ナに対して潜在的な問題を提供する。たとえば、タイミ
ングシステムが共振周波数で運転されたとき、チェーン
荷重は著しく増大し、多くの場合、テンショナの設定運
転範囲の最大限度に接近するが、この最大限度を超える
場合もある。
【0011】ピストンおよびハウジング壁間の小さなク
リアランスは、チェーンまたはベルトからテンショナへ
の急激な過負荷を受け止めるために、チャンバ内から作
動流体を迅速に排出するのには十分ではない。
【0012】設定範囲の最大限度の運転荷重に取り組ん
でいるテンショナの例は、ウィグステンらの米国特許第
5,993,342号に開示されており、当該特許は本願の譲受
人によって所有されている。ウィグステンらは、チェー
ンシステム内のピーク運転荷重を減少させるために、ピ
ストン上端に、スプリングのような、予荷重の作用した
制限部分を有する液圧テンショナを開示している。
【0013】スプリング部材は、第1ピストンおよび上
方の第2ピストンの間に配置されている。この設計手法
は、システム内のピーク運転荷重を設定範囲の最大限度
まで減少させるのに良好に機能する。
【0014】しかしながら、上述のように、テンショナ
に受け入れられる実際的な設定範囲を超えたピーク運転
荷重をチェーンシステムが発生する場合がある。このた
め、テンショナがこのような過大な荷重に取り組むこと
ができ、テンショナ内の圧力を一時的な解放きるように
する必要性が存在する。
【0015】設定範囲の最大限度の運転荷重に取り組ん
でいるテンショナの例は、スズキの米国特許第 4,881,9
27号に開示されている。スズキは、第1のチャンバ内に
スライド自在に設けられかつスプリングによって突出方
向に付勢されたピストンを有するボール・チェックバル
ブの液圧テンショナを開示している。
【0016】このテンショナは、第1のチャンバと連絡
する補助チャンバ内にスライド自在に設けられたスリー
ブを有するリリーフバルブを備えている。スリーブは、
排出口を塞ぐために、スプリングによって縮退位置に付
勢している。第1のチャンバ内の作動流体は補助チャン
バ内に流入し、スプリング力に抗してスリーブを押圧し
て排出口を開放する。
【0017】この設計の欠点は、構成部品の質量が相対
的に大きく、しかもスリーブおよび補助チャンバ壁面間
の摩擦が変化するために、リリーフバルブがゆっくりと
開閉する可能性があることである。この欠点はまた、リ
リーフバルブが作動する圧力を変化させる。
【0018】したがって、一定の緊張力を提供するため
に、運転荷重が設定範囲の最大限度の荷重に接近して到
達する際の運転荷重に取り組むばかりでなく、逆止機能
から一時的な圧力の解放を提供してテンショナおよび駆
動システムへの損傷を防止するために、有効かつ効率的
な方法で、設定範囲の最大限度の運転荷重を超える運転
荷重に取り組んでいる、改良されたテンショナの必要性
が存在する。
【0019】このように本発明は、ピーク運転荷重に反
応する、改良されたプレッシャーリリーフバルブを備え
た液圧テンショナを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る液
圧テンショナは、ハウジング穴にスライド自在に受け入
れられ、ハウジング穴との間で流体チャンバを限定する
とともに、第1および第2の開孔がそれぞれ形成された
下端部および上端部を有する第1のピストンと、第1の
ピストンの第2の開孔を通って延びかつ第1のピストン
に対して軸方向移動が許容されるとともに、第1のピス
トン内に配置されたベース部を有し、ベース部および第
1のピストンから間隔を隔てて配置された上端部を有す
る第2のピストンと、第1のピストンをハウジング穴の
外方に付勢するように、ハウジング穴内に配置された第
1の付勢部材と、第2のピストンを第1のピストンから
離れる側に付勢するように、第1のピストンと第2のピ
ストンの上端部との間に配置された第2の付勢部材と、
流体チャンバ内への流体の流れを許容する一方、逆方向
への流体の流れを阻止するように、流体チャンバと加圧
流体源との間に設けられた第1のバルブと、流体チャン
バを加圧流体源に連絡するために、ハウジングに設けら
れた流路と、設定範囲の最大限度を超える運転荷重が当
該テンショナに作用することにより、第2のピストンが
第1のピストンに向かって所定ストローク量だけ軸方向
に移動したとき、記流体チャンバ内の液圧を減少させる
ために、第1のピストンの第2の開孔を通じて流体チャ
ンバから流体を排出する第2のバルブとを備えている。
【0021】請求項2の発明では、第2の付勢部材が、
第1のピストンと第2のピストンの上端部との間に介装
されたときに所定量だけ圧縮されており、第2のピスト
ンへの運転荷重が設定範囲内で所定値を超えたときに
は、第2の付勢部材がさらに圧縮されるようになってい
る。
【0022】請求項3の発明では、第2のバルブが、ベ
ース部および上端部間で第2のピストンの一部によって
限定された凹部をさらに有している。そして、設定範囲
の最大限度を超える運転荷重が第2のピストンに作用す
ることにより、第2のピストンを第1のピストンに向か
って所定ストローク量だけ軸方向に移動させる場合にお
いて、凹部が第1のピストンの第2の開孔を横切って配
置されているとき、第2のバルブが開放位置におかれて
いる。これにより、流体チャンバから流体が排出されて
流体チャンバ内の液圧が減少するようになっている。
【0023】請求項4の発明では、第2のピストンが、
凹部を移動させることにより、第2のバルブを閉塞させ
るように軸方向に移動可能になっている。これにより、
運転荷重が設定範囲の最大限度より低いとき、流体チャ
ンバ内に流入する流体の液圧および第1、第2の付勢部
材の付勢力の作用下において、第2のピストンが第1の
ピストンの第2の開孔を横切る位置に配置されないよう
になっている。
【0024】請求項5の発明では、第2のピストンの上
端部に取り付けられたノーズ部分が設けられており、第
2のスプリングが第1のピストンおよびノーズ部分間に
配置されている。
【0025】請求項6の発明では、第2のピストンの上
端部がねじ部を有するとともに、ノーズ部分が穴を限定
しており、穴には、ノーズ部分を第2のピストンの上端
部に取り付けるために、第2のピストンのねじ部に螺合
する内側ねじ部が形成されている。
【0026】第1の付勢部材は、請求項7の発明に記載
されているように、第1のピストンの上端部およびハウ
ジング間に配置されたコイルスプリングでもよい。
【0027】第2の付勢部材は、請求項8の発明に記載
されているように、第2のピストンの上端部と第1のピ
ストンの上端部との間に配置されたコイルスプリングで
もよい。
【0028】また、第2の付勢部材は、請求項9の発明
に記載されているように、第2のピストンの上端部と第
1のピストンの上端部との間に配置された複数の皿ばね
から構成されていてもよい。
【0029】さらに、第2の付勢部材は、請求項10の
発明に記載されているように、第2のピストンの上端部
と第1のピストンの上端部との間に配置された弾性要素
から構成されていてもよい。
【0030】また、第2の付勢部材は、請求項11の発
明に記載されているように、第2のピストンの上端部と
第1のピストンの上端部との間に配置された圧縮空気か
ら構成されていてもよい。
【0031】本発明は、内燃機関のためのタイミングシ
ステムのような、チェーンまたはベルト駆動システムと
ともに使用される液圧テンショナに関し、設定範囲の最
大限度の荷重を超えるピーク運転荷重から圧力を解放す
るためのプレッシャーリリーフバルブを有している。
【0032】液圧テンショナは、穴が形成されたハウジ
ングと、穴内をスライド自在に受け入れられた第1のピ
ストンとを有している。第1のピストンは、穴を有する
第1のチャンバを限定するとともに、第1の開孔を限定
する下端部と、第2の開孔を限定する上端部とを有して
いる。
【0033】液圧テンショナは、さらに、第1のピスト
ンの第2の開孔内に延びる第2のピストンを有してい
る。第2のピストンは、ベース部と、上端部とを有して
いる。ベース部は、第1のピストン内に配置されてお
り、上端部は、ベース部および第1のピストンから離れ
て配置されている。第2のピストンは、第1のピストン
に対して軸方向に移動し得るようになっている。
【0034】第1の付勢部材は、穴内に配置されてお
り、第1のピストンを穴から外方に付勢している。第2
の付勢部材は、第1のピストンと、第2のピストンの上
端部との間に配置されており、第2のピストンを第1の
ピストンから離れる側に付勢している。
【0035】第1のバルブは、流体チャンバへの流体の
流れを許容する一方、逆方向への流体の流れを阻止する
ために、流体チャンバと加圧流体源との間に設けられて
いる。ハウジング内の通路は、流体チャンバを加圧流体
源に連絡している。
【0036】設定範囲の最大限度を超える運転荷重によ
り、第2のピストンが第1のピストンに向かって軸方向
に所定ストロークだけ移動するとき、第2のバルブは、
第1のピストンの第2の開孔を介してチャンバから流体
を放出し、チャンバ内の液圧を低減させる。
【0037】第2の付勢部材はまた、第2のピストンの
上端部と第1のピストンとの間に介装されたとき、所定
量だけ圧縮されていてもよい。第2の付勢部材は、第2
のピストンへの運転荷重が設定範囲内の所定量を超えた
とき、さらに圧縮されていてもよい。
【0038】第2のバルブは、ベース部および上端部間
において第2のピストンの一部によって限定された凹部
をさらに有していてもよい。チャンバから流体を放出し
てチャンバ内の液圧を減少させるために、設定範囲の最
大限度を超える運転荷重により、第2のピストンが第1
のピストンに向かって所定ストローク量だけ軸方向に移
動する場合において、凹部が第1のピストンの第2の開
孔を横切って配置されているとき、第2のバルブは開放
位置におかれる。
【0039】第2のピストンは軸方向に移動できるの
で、運転荷重が設定範囲の最大限度の荷重よりも下降す
る場合において、チャンバ内の液圧および第1、第2の
付勢部材の付勢力の作用下で、凹部が第1のピストンの
第2の開孔を横切って配置されないように凹部が移動す
るとき、第2のバルブは閉じられている。
【0040】液圧テンショナは、第2のスプリングが第
1のピストンおよびノーズ部分間に配置された状態で、
第2のピストンの上端に装着されたノーズ部分をさらに
有していてもよい。さらに、第2のピストンの上端部は
ねじ部を有していてもよく、ノーズ部分は、第2のピス
トンの上端部にノーズ部分を装着するための上端ねじ部
に螺合する内側ねじ部が形成された穴を有していてもよ
い。
【0041】第1の付勢部材は、第1のピストンをハウ
ジング外方に付勢するために、第1のピストンの上端部
およびハウジング間に配置されたコイルスプリングであ
る。第2の付勢部材は、第2のピストンを第1のピスト
ンから離れる側に付勢するために、第1および第2のピ
ストンの各上端部間に配置されたコイルスプリング、複
数の皿ばね、弾性材料または圧縮空気である。
【0042】本発明およびその目的をさらに理解するた
めには、図面、図面の簡単な説明、本発明の好ましい実
施態様の詳細な説明および特許請求の範囲に注意が向け
られるべきである。
【0043】
【発明の実施の形態】図1に示すように、本発明は、チ
ェーンまたはベルト駆動システム12のための緊張力制
御装置として用いられたテンショナ10に具体化されて
いる。テンショナ10は、該テンショナ10について設
定された範囲の最大限度の荷重に接近しこれを超える運
転荷重に取り組むために、予荷重を付与する付勢システ
ム14と、プレッシャーリリーフシステム16とを有し
ている。
【0044】プレッシャーリリーフシステム16は、駆
動システム12の運転荷重がテンショナ10の設定範囲
の最大限度の荷重を超えたとき、テンショナ10がチェ
ーン駆動システム12に対する荷重を迅速にかつ一時的
に取り除くことができるようにする。これにより、駆動
システム12の運転に対するテンショナ10による干渉
や、テンショナ10および駆動システム12への損傷の
可能性を防止できる。
【0045】内燃機関に関連して一般に使用されるタイ
ミングチェーンシステムのような典型的なチェーン駆動
システム12は、クランクスプロケット18と、カムス
プロケット20と、両スプロケット18,20の回りに
巻き掛けられたチェーン22と、チェーン22に当接す
るように枢支可能なテンショナアーム24とを有してい
る。
【0046】テンショナ10がテンショナアーム24に
外力を作用させると、テンショナアーム24は、チェー
ン22に押付力を作用させて、ノイズやチェーンのスリ
ップを防止しまたは良好なチェーン制御が得られるよう
に、チェーン14の緊張力を制御する。
【0047】図2に示すように、テンショナ10はハウ
ジング26を有しており、ハウジング26は、その概略
中央において穴28を限定している。穴28は、図示し
ない加圧流体源から流路30を通って流れる作動流体の
ような流体で満たされている。流体源は、オイルポンプ
またはリザーバである。
【0048】ハウジング26は、中空の第1のピストン
32を受け入れており、穴28との間で流体チャンバ4
0を形成している。第1のピストン32は、円形の開孔
36が形成された上端部34を有している。第2のピス
トン42は、ベース部44と、ベース部44から延びる
軸部46とを有している。
【0049】ベース部44は、第1のピストン32の上
端部34においてチャンバ40内に配置されている。ベ
ース部44の直径は、第1のピストン32の開孔36の
直径よりも大きくなっている。第1、第2のピストン3
2,42は、互いに独立して移動できるようになってい
る。
【0050】軸部46は先端部48を有している。軸部
46は、予荷重が作用する付勢システム14を収容する
ために、先端部48を第1のピストン32から所定距離
だけ離れて配置することにより、第1のピストン32の
開孔36を通って延びている。
【0051】ノーズ部分50は、先端部48の側方にお
いて軸部46のねじ部52に固定されている。ノーズ部
分50は、湾曲した頂上面54を有しており、該頂上面
54は、チェーン22に沿って緊張力を作用させるため
に、テンショナアーム24、あるいはテンショナアーム
が使用されない場合にはチェーンまたはベルトと係合す
る。
【0052】ノーズ部分50は、平坦状の底面56を有
している。ノーズ部分50は、中央に配置されかつ底面
56から内方に延びる孔58を限定しており、該孔58
は、ノーズ部分50全体を貫通している。ノーズ部分5
0を第2のピストン42に固定するために、軸部46の
ねじ部52と螺合するように、孔58にはねじが形成さ
れている。
【0053】第1のスプリング62は、ハウジング26
内の穴28の底部と、第2のピストン42のベース部4
4との間に配設されている。第1のスプリング62は、
開孔36の回りにおいてベース部44が第1のピストン
32の上端部34と係合するように、ベース部44を付
勢しており、これにより、第1のピストン32をハウジ
ング26の外方に付勢している。第1のスプリングは、
コイルスプリングである。
【0054】予荷重の作用する付勢システム14は、第
1のピストン32の上端部34とノーズ部分50の底部
56との間に、スプリングまたはこれと同等の構造物6
3を有している。スプリング63は、第2のピストン4
2の軸部46を囲繞しており、ノーズ部分50を第1の
ピストン32の上端部34から離れる側に付勢してい
る。
【0055】ノーズ部分50に所定の運転荷重が作用す
るまで、第2のピストン42が第1のピストン32から
独立して移動しないように、スプリング63には所定の
予荷重が作用している。所定の運転荷重は、通常、設定
された運転範囲における最大限度の荷重またはその近傍
の荷重である。
【0056】スプリング63は、周知の荷重−変位関係
を提供する、一つまたはそれ以上の圧縮コイルスプリン
グまたは積層された皿ばねであるのが好ましい。しかし
ながら、予荷重を作用させる付勢システムのスプリング
は、特定の付勢装置に限定される必要はなく、たとえ
ば、ゴム製干渉材や波状スプリング、圧縮空気のよう
に、適切な抵抗力を有しかつ適切なストローク範囲内で
作動する任意の構造を含み得る。
【0057】流体チャンバ40および流路30の間に
は、チャンバ40内への流体の流れを許容しかつ逆方向
への流体の流れを阻止するチェックバルブ66が設けら
れている。チェックバルブ66は、たとえばボールおよ
びスプリングを含み、チャンバ内の圧力がスプリング力
に打ち勝ったときに、ボールをボールシート側に付勢し
てチャンバから流路への流体の流れを阻止する一般的な
チェックバルブである。
【0058】チェックバルブは、米国特許第 5,259,820
号および米国特許第 5,277,664号に示され記述されてい
る。これらの米国特許は、本願の譲受人により所有され
ており、許容し得るチェックバルブ構造を開示する目的
のために、引用することによって本明細書の中に含まれ
る。
【0059】始動時には、流体が圧力の作用下で流路3
0を通ってチェックバルブ66を開き、テンショナ10
のチャンバ40内に流入する。流体がチャンバ40内を
満たすと、チャンバ40内の上昇する液圧および第1の
スプリング62のばね力の作用下で、第1のピストン3
2が外方に移動する。チェーン22からノーズ部分50
への押付力が液圧および第1のスプリングのばね力の合
力と釣り合うまで、第1のピストン32は穴28から外
方に移動し続ける。
【0060】力の釣り合いが発生すると、チェックバル
ブ66が閉じ、チャンバ40の内外への流体のそれ以上
の流れを阻止する。そして、たとえば摩耗や荷重変動に
より、チェーン22またはベルト等の弛みが増加する
(つまり、緊張力が減少する)と、不釣り合い状態が再
び発生して、チェックバルブ66が再び開き、チャンバ
40内へのより多くの流量の流れが許容される。これに
より、第1のピストン32が再び外方に移動する。
【0061】上述したように、予荷重を付与する付勢シ
ステム14のスプリング63は、第1のピストン32の
上端部34とノーズ部分50との間で、圧縮状態におか
れている。熱膨張によりチェーンからの緊張力が増加し
て、ノーズ部分50が第1のピストン32に向かって下
方に押圧されると、流体チャンバ40内の液圧は、これ
に対応して上昇する。
【0062】上昇した液圧は、チェックバルブ66に作
用して、チャンバ40からの流体の流れを阻止する。流
体チャンバ40内の圧力が所定の最大値を超えて上昇す
ると、ノーズ部分50に作用する力がスプリング63の
付勢力に打ち勝ち、スプリング63を圧縮させる。この
ことは、テンショナ10について予め設定された範囲の
最大値に運転荷重が接近する場合において、運転荷重が
所定値を超えたときに生じる。
【0063】その結果、ノーズ部分50は、第1のピス
トン32に対して内方に移動し、これにより、第2のピ
ストン42は、増加した荷重を調整するために、第1の
ピストン32から独立して第1のピストンに向かって移
動する。この点は、本願出願人によって所有された米国
特許第 5,993,342号に詳細に記述されており、該特許は
引用することによって本明細書の中に含まれる。
【0064】駆動システムは、いくつかの例において、
実際的な設定範囲を超える運転荷重を発生し得る。この
ため、予荷重が作用した付勢システムは、このような過
剰な運転荷重を扱うことができない。これらの過剰な運
転荷重は、駆動システムの構成部品に損傷を与え、チェ
ーン駆動システムの意図された機能の妨げになる。
【0065】したがって、テンショナ10には、該テン
ショナ10のチャンバ28から圧力を迅速かつ一時的に
解放するために、プレッシャーリリーフシステム16を
含む第2のバルブが設けられている。
【0066】プレッシャーリリーフシステム16は、第
1のピストン32の上端部34および第2のピストン4
2の軸部46間に設けられており、スライドバルブ型の
方式で運転される。より詳細には、第2のピストン42
の軸部46は、ベース部44の側方において該軸部46
に沿う細長い凹部68を限定している。
【0067】図2および図4においては、凹部68は閉
塞位置におかれている。つまり、凹部68は、第1のピ
ストン32の開孔36を横切って延びてはいない。この
ため、テンショナ10が設定範囲の運転荷重の範囲内で
運転されていたとき、流体はチャンバ40から開孔36
を通って漏出することはできない。このように、バルブ
が閉塞位置におかれているとき、プレッシャーリリーフ
システム16もまた閉塞位置におかれている。
【0068】図3および図5においては、チェーンまた
はベルトからノーズ部分50に作用する運転荷重が設定
範囲の最大荷重を超えたとき、第2のピストン42が作
動流体の液圧および第1のスプリング62のばね力に打
ち勝ち、参照符号70で示すように、第1のピストン3
2に向かって独立して移動する。
【0069】その結果、細長い凹部68が、第1のピス
トン32の上端部34の開孔36を横切るようにスライ
ドし、流体がチャンバから漏出するための流路72を生
成する。流体は、参照符号74の矢印で示された流路を
通る。凹部68は、第2のピストン42の長手方向に延
びている。
【0070】凹部の長さ、幅および深さは、特定のテン
ショナおよびそのアプリケーションのために要求される
迅速かつ一時的な圧力軽減を得るために、十分な大きさ
の流路を生成するように、適宜調整される。
【0071】たとえば、凹部68の長さは、第2のピス
トン42の長さと比較して相対的に短く、開孔36を限
定する、第1のピストン32の上端部34の厚みの約2
倍であるべきである。また、凹部68の周方向の幅は、
長さよりもかなり小さくなっている。
【0072】凹部68の深さおよび幅は、チェックバル
ブの流路面積の約半分の流路面積を提供するようにすべ
きである。この凹部の流路面積は、チャンバ40内の圧
力を流路30内の圧力の近傍またはそれ以下まで減少さ
せるために、チャンバ40からの十分な流量を保証しな
ければならない。システム制御を提供する最充填および
緊張力の回復は、速ければ速いほどよい。
【0073】運転中には、プレッシャーリリーフシステ
ム16は、第1のピストン32の頂上面に配置されてい
るために、凹部68を開閉するのに必要な相対的に短い
ストローク(参照符号76参照)で短時間作動するだけ
である。軸部46の下端および第1のピストン32の開
孔36における凹部68の位置は、極端な条件下におい
て円滑にかつ効率的に作用する、信頼性のあるプレッシ
ャーリリーフシステムを提供する。
【0074】運転荷重が設定範囲の荷重まで低下する
と、チェックバルブ66が開いて、チャンバ40内に加
圧流体が流入する。これにより、第1のピストン32が
外方に移動してチェーン22またはベルトに押付力を作
用させ、チェーン22またはベルトを制御する。その結
果、テンショナ10が通常の運転状態を再開する。
【0075】本発明が関連する分野の当業者は、上述の
教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な
特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する
種々の変形例やその他の実施態様を構築し得る。上述の
実施態様はあらゆる点で単なる例示としてのみみなされ
るべきものであり、限定的なものではない。
【0076】それゆえ、本発明の範囲は、上記記述内容
よりもむしろ添付の請求の範囲に示されている。したが
って、本発明が個々の実施態様に関連して説明されてき
たものの、構造、順序、材料その他の変更は、本発明の
範囲内においてではあるが、当該技術分野の当業者にと
って明らかであろう。
【0077】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る液圧
テンショナによれば、設定範囲の最大限度の荷重を超え
るピーク運転荷重が作用したとき、第2のバルブによ
り、第1のピストンの第2の開孔を通じて流体チャンバ
内の液圧を即座にかつ一時的に解放できるようにしたの
で、ピーク運転荷重に有効かつ効率的に対応できるよう
になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液圧テンショナの側面図であっ
て、内燃機関のタイミングチェーンシステムのような駆
動システムとともに示している。
【図2】図1の液圧テンショナの構成部品を示す断面図
であって、本発明によるプレッシャーリリーフバルブが
閉塞位置におかれた状態を示している。
【図3】図1の液圧テンショナの構成部品を示す断面図
であって、本発明によるプレッシャーリリーフバルブが
開放位置におかれた状態を示している。
【図4】本発明の液圧テンショナにおける第1、第2の
ピストンの断面図であって、プレッシャーリリーフバル
ブが閉塞位置におかれた状態を示している。
【図5】本発明の液圧テンショナにおける第1、第2の
ピストンの断面図であって、プレッシャーリリーフバル
ブが開放位置におかれた状態を示している。
【符号の説明】
10:(液圧)テンショナ 12: チェーン駆動システム 14: 付勢システム 16: プレッシャーリリーフシステム 22: チェーン 24: テンショナアーム 26: ハウジング 28: 穴 30: 流路 32: 第1のピストン 34: 上端部 36:(第2の)開孔 40: 流体チャンバ 42: 第2のピストン 44: ベース部 46: 軸部 50: ノーズ部分 62: 第1のスプリング 63: 第2のスプリング 66: チェックバルブ(第1のバルブ) 68: 凹部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液圧テンショナであって、 穴を限定するハウジングと、 前記穴にスライド自在に受け入れられ、前記穴との間で
    流体チャンバを限定するとともに、第1の開孔を限定す
    る下端部と、第2の開孔を限定する上端部とを有する第
    1のピストンと、 前記第1のピストン内に配置されたベース部と、前記ベ
    ース部および前記第1のピストンから間隔を隔てて配置
    された上端部とを有し、前記第1のピストンの前記第2
    の開孔を通って延びるとともに、前記第1のピストンに
    対して軸方向への移動が許容された第2のピストンと、 前記第1のピストンを前記穴の外方に付勢するように、
    前記穴内に配置された第1の付勢部材と、 前記第2のピストンを前記第1のピストンから離れる側
    に付勢するように、前記第1のピストンと、前記第2の
    ピストンの前記上端部との間に配置された第2の付勢部
    材と、 前記流体チャンバ内への流体の流れを許容する一方、逆
    方向への流体の流れを阻止するように、前記流体チャン
    バと加圧流体源との間に設けられた第1のバルブと、 前記流体チャンバを前記加圧流体源に接続するために、
    前記ハウジングに設けられた流路と、 設定範囲の最大限度を超える運転荷重が当該テンショナ
    に作用することにより、前記第2のピストンが前記第1
    のピストンに向かって所定ストローク量だけ軸方向に移
    動したとき、前記流体チャンバ内の液圧を減少させるた
    めに、前記第1のピストンの前記第2の開孔を通じて前
    記流体チャンバから流体を排出する第2のバルブと、を
    備えた液圧テンショナ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記第2の付勢部材が、前記第1のピストンと前記第2
    のピストンの前記上端部との間に介装されたときに所定
    量だけ圧縮されており、前記第2のピストンへの運転荷
    重が設定範囲内で所定値を超えたときには、前記第2の
    付勢部材がさらに圧縮されるようになっている、ことを
    特徴とする液圧テンショナ。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記第2のバルブが、前記ベース部および前記上端部間
    で前記第2のピストンの一部によって限定された凹部を
    さらに有しており、設定範囲の最大限度を超える運転荷
    重が前記第2のピストンに作用することにより、前記第
    2のピストンを前記第1のピストンに向かって所定スト
    ローク量だけ軸方向に移動させる場合において、前記凹
    部が前記第1のピストンの前記第2の開孔を横切って配
    置されているとき、前記第2のバルブが開放位置におか
    れており、これにより、前記流体チャンバから流体が排
    出されて前記流体チャンバ内の液圧が減少するようにな
    っている、ことを特徴とする液圧テンショナ。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 前記第2のピストンが、前記凹部を移動させることによ
    り、前記第2のバルブを閉塞させるように軸方向に移動
    可能になっており、これにより、運転荷重が設定範囲の
    最大限度より低いとき、前記流体チャンバ内に流入する
    流体の液圧および前記第1、第2の付勢部材の付勢力の
    作用下において、前記第2のピストンが前記第1のピス
    トンの前記第2の開孔を横切る位置に配置されないよう
    になっている、ことを特徴とする液圧テンショナ。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 前記第2のピストンの前記上端部に取り付けられたノー
    ズ部分をさらに有しており、前記第2のスプリングが、
    前記第1のピストンおよび前記ノーズ部分間に配置され
    ている、ことを特徴とする液圧テンショナ。
  6. 【請求項6】 請求項5において、 前記第2のピストンの前記上端部がねじ部を有するとと
    もに、前記ノーズ部分が穴を限定しており、前記穴に
    は、前記ノーズ部分を前記第2のピストンの前記上端部
    に取り付けるために、前記第2のピストンの前記ねじ部
    に螺合する内側ねじ部が形成されている、ことを特徴と
    する液圧テンショナ。
  7. 【請求項7】 請求項3において、 前記第1の付勢部材が、前記第1のピストンを前記ハウ
    ジングから外方に付勢するために、前記第1のピストン
    の前記上端部および前記ハウジング間に配置されたコイ
    ルスプリングである、ことを特徴とする液圧テンショ
    ナ。
  8. 【請求項8】 請求項3において、 前記第2の付勢部材が、前記第2のピストンを前記第1
    のピストンから外方に付勢するために、前記第2のピス
    トンの前記上端部と前記第1のピストンの前記上端部と
    の間に配置されたコイルスプリングである、ことを特徴
    とする液圧テンショナ。
  9. 【請求項9】 請求項3において、 前記第2の付勢部材が、前記第2のピストンを前記第1
    のピストンから離れる側に付勢するために、前記第2の
    ピストンの前記上端部と前記第1のピストンの前記上端
    部との間に配置された複数の皿ばねから構成されてい
    る、ことを特徴とする液圧テンショナ。
  10. 【請求項10】 請求項3において、 前記第2の付勢部材が、前記第2のピストンを前記第1
    のピストンから離れる側に付勢するために、前記第2の
    ピストンの前記上端部と前記第1のピストンの前記上端
    部との間に配置された弾性要素から構成されている、こ
    とを特徴とする液圧テンショナ。
  11. 【請求項11】 請求項3において、 前記第2の付勢部材が、前記第2のピストンを前記第1
    のピストンから離れる側に付勢するために、前記第2の
    ピストンの前記上端部と前記第1のピストンの前記上端
    部との間に配置された圧縮空気から構成されている、こ
    とを特徴とする液圧テンショナ。
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