JP2002206495A - 縦軸ポンプの空気吸入装置 - Google Patents

縦軸ポンプの空気吸入装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気を大気より縦軸ポンプの吸水管内に吸入
する装置であって、その空気泡が、吸水管内で羽根車に
対して均一に発生されず、縦軸ポンプが振動等を引き起
こす。 【解決手段】 従来、縦軸ポンプの吸水管内に空気を吸
入する方法は、単に羽根車下の吸水管に空気管を接続し
空気を吸入する方法や、渦流防止板の先端部分もしくは
上端面に空気孔を設ける方法が取られてきたが、空気泡
の分散が充分でないと言う問題があり、本発明では渦流
防止板の両側の側面に空気孔を設けることとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、縦軸ポンプにおけ
る羽根車の下方に設けられた吸水管内に大気から空気を
吸入させるための空気吸入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の縦軸ポンプにおける空気吸入装置
では、羽根車下方のポンプケーシング内に空気孔をもち
他端が大気に開放された空気管を備えている。例えば、
羽根車の下方に設けられた吸水管に空気孔を設けること
により、水位が最低水位レベル以下になった時に、羽根
車の下方に設けられた吸水管内に大気から空気を吸入さ
せ、自動的に気水混合運転ならびに気中運転に切り換え
て運転する。
【0003】また、水位が最低水位レベル以下に低下し
たとき羽根車入口部に生じる負圧によって吸水管内に、
空気孔を介して大気から空気を吸入させることにより、
気水混合運転を行い揚水開始ならびに停止が急激に行わ
れずに安定した運転を可能にする。
【0004】前記各縦軸ポンプにおいては、吸水管に空
気孔から空気を導入する際に、各縦軸ポンプの目的に応
じた必要十分な量の空気を迅速に且つ均一に導入する必
要がある。
【0005】しかしながら、これらの従来技術では、空
気孔から吸気された空気の泡がポンプケーシング内に均
一に分散しないという問題があった。
【0006】そのため、例えば複数個の空気孔を設けて
必要な空気を均一且つ迅速に導入したり、複数の空気孔
を小径として泡状の空気を均一に導入する手段が用いら
れている。また、吸水管内は羽根車の回転により軸心を
中心として渦流が発生している。そのため、サージング
が発生し騒音を発するとともに運転不能に陥ることもあ
る。
【0007】そこで、運転時の渦流の発生を防止するば
かりか吸水管に空気を均一に導入することで気水混合運
転を可能とした縦軸ポンプとして、特開平8−1054
00号公報に提示されたものが知られている。
【0008】この公報に提示されている縦軸ポンプは、
吸水管の内周に沿って配置された内壁に多数の空気孔を
有する筒体状の空気室と、前記内壁の内面において互い
に所定の間隔を有して突設されているとともに先端に前
記空気室に連通した空気孔を有する縦方向へ延びる複数
の渦流防止板とを備えたものである。
【0009】しかしながら、前記特開平8−10540
0号公報に提示されている縦軸ポンプは、吸水管の内周
に沿って配置された内壁に設けられた多数の空気孔から
吸水管の内周付近と、複数の渦流防止板の先端から空気
が吸水管の中心部分に導入されるだけである。
【0010】従って、吸水管の内周付近と中心部分との
間の部分については空気の導入が十分でなく、吸水管の
全域において均一な空気の導入が図れない、という問題
がある。
【0011】そこで、特願平11−341956号にて
出願されているように、前記サージングの発生を防止す
るばかりか、吸水管の全域において均一な空気の導入が
図れる縦軸ポンプの空気吸入装置が提供されている。
【0012】前記特願平11−341956号にて出願
されている縦軸ポンプは、図5ならびに図6に示されて
おり、図6は図5のA−A断面を表している。本従来技
術は、縦軸ポンプにおける羽根車の下方に設けられた吸
水管内に大気から空気を吸入させるための空気吸入装置
であって、前記吸水管の内周面または外周面に沿って配
置され前記吸水管内に通じる多数の空気孔を有する環状
の空気室と、前記吸水管の内周面において互いに所定の
間隔を有して突設されているとともに上端面に前記空気
室に連通した複数の空気孔を有する縦方向へ延びる複数
の渦流防止板と、前記吸水管に配置された前記空気室か
ら大気に通じる空気管とからなるものである。
【0013】前記特願平11−341956号によれ
ば、縦方向へ延びる複数の渦流防止板により渦流を解消
してサージングの発生を防止するとともに、吸水管の内
周に沿って配置された内壁に形成された空気孔と前記複
数の渦流防止板の上端面に形成した空気孔とから空気が
導入される。
【0014】また、前記各渦流防止板が前記吸水管の平
面中央において互いに交差している場合には、吸水管の
内周から中心に渡って配置された渦流防止板の上端面に
形成された空気孔から吸水管に空気が導入される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来技術では、各渦流防止板の上端面に設けられた空気孔
からの空気吸入であって、吸水管の平面における面積に
対して空気孔の面積割合が小さく、特に各渦流防止板の
間の領域において、空気の泡が、均一に羽根車に対して
発生しにくく、より安定した振動等の少ない縦軸ポンプ
の運転性能が得られにくいという問題がある。
【0016】また、前記従来技術では、空気孔が吸水管
の内面ならびに渦流防止板の上面に一旦開口されてしま
うと、その一旦設定された空気量を変えることには限界
があり、運転状況に応じた調整が出来ないという不都合
がある。
【0017】
【課題を解決するための手段】そこで、前記課題を解決
するために、本発明は、縦軸ポンプにおける羽根車の下
方に設けられた吸水管内にポンプ水槽の上方の大気から
空気を吸入させるための空気吸入装置であって、前記吸
水管の外周面もしくは内周面に沿って配置され前記吸水
管に通じる多数の空気孔を有する環状の空気室と、前記
吸水管の内周面において互いに所定の間隔を有して突設
されているとともに側面に前記空気室に連通した複数の
空気孔を有する縦方向へ延びる複数の渦流防止板と、前
記吸水管に配置された前記空気室から大気に通じる空気
管とからなることを特徴とする。
【0018】本発明では、吸水管の内周面に設けられた
前記空気室に連通した複数の空気孔に加えて、前記各渦
流防止板の側面に複数の空気孔を設けることで、吸水管
のほぼ全域において、空気の泡を発生させることが出来
る。
【0019】前記縦軸ポンプの空気吸入装置であって、
前記側面に前記空気室に連通した複数の空気孔を有する
縦方向へ延びる複数の渦流防止板の上面に吸水管の中心
を軸とした環状の吸気パイプを載設し、前記吸気パイプ
は前記渦流防止板を介して前記空気室と連通して、その
円周上のパイプ壁面に複数の空気孔を有していることを
特徴とする。
【0020】前記吸水管の内周面に設けられた前記空気
室に連通した複数の空気孔ならびに、前記各渦流防止板
の側面に設けられた複数の空気孔に加え、前記渦流防止
板の上面に載設された吸気パイプの空気孔により、さら
に前記吸水管のほぼ全域において、空気の泡を発生させ
ることが出来る。
【0021】縦軸ポンプの空気吸入装置であって、前記
渦流防止板の側面が側面板にて構成され、異なる口径よ
りなる複数の空気孔を備えた前記側面板が各々交換可能
であることを特徴とする。
【0022】前記のように前記渦流防止板の側面が側面
板にて構成され、揚水量や運転時間、ならびに待機時間
等の運転状況ならびにポンプの振動値や騒音値等の運転
性能等を考慮して、異なる口径よりなる複数の空気孔を
もった前記側面板が交換可能であり、運転状況等へのよ
り柔軟性のある対応が出来る。
【0023】前記空気管の入口部分には、制御弁が設け
られ、揚水量ならびに運転状態を監視して、吸入空気量
のオンオフ制御ならびに流量制御を行うことを特徴とす
る。
【0024】前記制御弁は、前記空気管の開閉のための
オンオフ弁として、ならびにポンプの振動値や騒音値等
の運転状況を監視しながら空気量を制御するコントロー
ル弁として使用される。
【0025】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
説明する。
【0026】図1は、本発明の好ましい実施の形態の一
例における空気吸入装置を羽根車下の吸水管に設けた場
合の縦軸ポンプの本体全体図ならびに主要部の断面詳細
を示すものである。
【0027】本発明は、羽根車1の下方に設けられた吸
水管2内に空気管7を介して大気から空気を吸入させる
構成の空気吸入装置であって、従来周知の各種縦軸ポン
プについて実施が可能である。
【0028】以下、図1ならびに図2を参照しその詳細
を説明する。本実施の形態である縦軸ポンプの空気吸入
装置は、羽根車1の下方に設けられた吸水管2の外周面
21に沿って環状に配置された空気室3と、前記吸水管
2の内周面22において互いに所定の間隔を有して縦方
向ならびに中心方向へ延びて突設されている吸い込み時
に流入水の渦流化するのを防止する4枚の渦流防止板4
a,4b,4c,4dとを有している。
【0029】殊に、前記空気室3はその内壁となる吸水
管2の内壁23に多数の空気孔31が形成されていると
ともに、前記各渦流防止板4a,4b,4c,4dの両
側の各側面42には前記空気室3に連通した複数の空気
孔43がそれぞれ設けられている。
【0030】また、前記空気室3にポンプ水槽の外部で
大気に通じる空気管7が接続されており、そのポンプ水
槽を出たところに空気量を調整するための、あるいは
ポンプ水槽の液面計に連動してオンオフ作動する制御弁
9が設けられている。
【0031】本実施の形態によれば、羽根車1が回転し
て吸水管2内が吸引状態にあるときに、空気管7が開口
状態であれば、負圧により外気が吸い込まれ、空気室3
から吸水管2の側壁23に設けられた多数の空気孔31
および渦流防止板4a,4b,4c,4dの両側の各側
面42に設けられた複数の空気孔43から一度に,空気
が吸水管2内に導入される。しかしながら、その空気量
をポンプの使用状態ならびに運転状況等に応じて、前記
制御弁9にて流量制御をすることで幅広い対応が可能で
ある。
【0032】前記のようにポンプ水槽の液面計と連動さ
せる場合には、液面が最低水位レベルに下がると制御弁
9が開き、また、液面が最低水位レベル以上に回復する
と制御弁9が閉じる。
【0033】従って、例えば、水位が最低水位レベル以
下になった時に、空気管7内に大気から空気を吸入させ
ることにより、自動的に気水混合運転に切り換えて,渦
の吸込み、呼吸現象の発生を防止して安定した運転が出
来る。また、水位が低下したとき吸水管2内に大気から
空気を吸入させることにより、揚水開始ならびに停止が
急激に行われずに安定した運転を可能にすることが出来
る。
【0034】前記のような揚水運転から気水混合運転
へ、更には気水混合運転から気中運転への移行時、また
は その逆の気中運転から気水混合運転へ、更に気水混
合運転から揚水運転への移行時において、前記制御弁9
にて流量制御することで、従来に増して、幅広い運転領
域において安定した運転性能を確保出来る。
【0035】殊に、本実施の形態では、吸水管2の側壁
23に設けられた多数の空気孔31から空気を導入する
手段に加えて、前記渦流防止板4a,4b,4c,4d
の両側の各側面42に設けた複数の空気孔43から空気
を導入させることにより、吸水管2の横断面においてそ
の全域に渡って均一に空気を導入することができること
から、安定した気水混合運転が可能となる。
【0036】また、本実施の形態では、前記4枚の渦流
防止板4a,4b,4c,4dにより吸水管2内は羽根
車1の回転により軸心を中心として生じる渦流が緩衝さ
れて、サージングや騒音が発生したり運転不能に陥るこ
ともない。
【0037】更にまた、前記空気室3の実施の形態とし
て、前記吸水管2の側壁23には空気孔31を設けず、
前記渦流防止板4a,4b,4c,4dの両側の各側面
42のみに空気孔を設けることで充分な空気量ならびに
均一な空気泡を得られる場合もある。
【0038】前記4枚の渦流防止板4a,4b,4c,
4dが吸水管2の平面中央において互いに交差して全体
として十字型の渦流防止板4を形成する場合もある。
【0039】前記渦流防止板4の実施の形態として、各
渦流防止板4a,4b,4c,4dをポンプ運転時にお
ける吸水管2内の渦流に対向する方向に向けて配置し
て、より優れた整流効果を挙げることができる。
【0040】前記の実施例では、前記4つの渦流防止板
4a,4b,4c,4dを互いに直角となるように設け
たが、設置数および幅や長さなどは吸水管2の形状や大
きさ、更には縦軸ポンプの使用目的などに応じて適宜定
めればよい。
【0041】また、前記各種の渦流防止板4の実施の形
態であって、前記渦流防止板の両側の各側面42もしく
は前記各側面42と吸気パイプ6に空気孔を設けるのに
加えて、前記渦流防止板4の上端面にも空気孔を設ける
場合もある。
【0042】更に、本発明の実施の形態では、前記空気
室3を吸水管2の高さ方向に設置する高さ位置ならびに
空気孔31を含めて縦幅についても、吸水管2の形状や
大きさ、更には縦軸ポンプの使用目的などに応じて適宜
定めればよい。
【0043】図2ならびに図3は前記渦流防止板4の実
施の形態の一例の詳細である。
【0044】図2は、前記に記載したように羽根車1の
下方に設けられた吸水管2の外周面21に沿って環状に
配置された空気室3と、前記空気室3は吸水管2の内壁
23に多数の空気孔31が形成されているとともに、前
記吸水管2の内周面22において互いに所定の間隔を有
して縦方向ならびに中心方向へ延びて突設されている吸
い込み時に流入水の渦流化するのを防止する4枚の渦流
防止板4a,4b,4c,4dとを有している。前記渦
流防止板4a,4b,4c,4dの両側の各側面42に
は前記空気室3に連通した複数の空気孔43がそれぞれ
設けられている。
【0045】図3は、前記渦流防止板4a,4b,4
c,4dであって、その渦流防止板の上端面41の中央
付近に、吸水管2の中心を軸とした環状の吸気パイプ6
を載設している。前記吸気パイプ6は、そのパイプの円
周上のパイプの壁面に複数の空気孔44を備えている。
【0046】前記吸気パイプ6を載設することで、前記
吸気パイプの無い渦流防止板4に比べて、益々均一な空
気泡を吸水管2内に発生することができ、より安定した
運転性能を得られる。
【0047】図4は、前記渦流防止板4a,4b,4
c,4dの一実施例であって、その両側にある側面板4
5がその渦流防止板本体に取付けボルト24で取付けら
れており、異なった口径の複数の空気孔を備えた側面板
45を運転状況ならびに運転性能等に応じて交換するこ
とが可能であり、より柔軟性のある対応が出来る。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明は、吸水管の内壁
に設けた多数の空気孔と、吸水管の内壁に沿って縦方向
へ延びる複数の渦流防止板の側面に設けた多数の空気孔
から空気が一度に吸水管内に導入されることで、吸水管
の平面全域において迅速且つ均一で細かい泡状の空気が
導入され、従来に増して、縦軸ポンプの幅広い運転領域
にて安定した効率の良い運転性能を得られる。また、渦
流防止板の両側にある側面板を交換可能としたことで、
ポンプの使用状況に応じて、あるいは、空気泡の均一状
態を見ながら最適な縦軸ポンプの空気吸入装置を提供出
来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気吸入装置を備えた縦軸ポンプの正面図なら
びに主要部の詳細を示している断面図。
【図2】渦流防止板の断面拡大図。
【図3】パイプ状空気孔を備えた渦流防止板の断面拡大
図。
【図4】側面の取替可能な渦流防止板の詳細を示してい
る拡大図。
【図5】従来例の実施の形態を示した縦軸ポンプの渦流
防止板の詳細を示した断面図。
【図6】図5の渦流防止板のA−A断面拡大図。
【符号の説明】
1 羽根車 2 吸水管 3 空気室 4 渦流防止板 4a 渦流防止板 4b 渦流防止板 4c 渦流防止板 4d 渦流防止板 6 吸気パイプ 7 空気管 9 制御弁 21 外周面 22 内周面 23 内壁 24 取付けボルト 31 空気孔 41 上端面 42 側面 43 空気孔 44 空気孔 45 側面板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縦軸ポンプにおける羽根車の下方に設け
    られた吸水管内に大気から空気を吸入させるための空気
    吸入装置であって、 前記吸水管の外周面もしくは内周面に沿って配置され前
    記吸水管に通じる多数の空気孔を有する環状の空気室
    と、 前記吸水管の内周面において互いに所定の間隔を有して
    突設されているとともに側面に前記空気室に連通した複
    数の空気孔を有する縦方向へ延びる複数の渦流防止板
    と、 前記吸水管に配置された前記空気室から大気に通じる空
    気管とからなること、 を特徴とする縦軸ポンプの空気吸入装置。
  2. 【請求項2】 前記側面に前記空気室に連通した複数の
    空気孔を有する縦方向へ延びる複数の渦流防止板の上端
    面に吸水管の中心を軸とした環状の吸気パイプを載設
    し、前記吸気パイプは前記渦流防止板を介して前記空気
    室と連通して、その円周上のパイプ壁面に複数の空気孔
    を有していること、 を特徴とする請求項1に記載の縦軸ポンプの空気吸入装
    置。
  3. 【請求項3】 前記渦流防止板の側面が側面板にて構成
    され、異なる口径よりなる複数の空気孔を備えた前記側
    面板が各々交換可能であること、 を特徴とする請求項1または2に記載の縦軸ポンプの空
    気吸入装置。
  4. 【請求項4】 前記空気管の入口部分には制御弁が設け
    られ、吸入空気量のオンオフ制御ならびに流量制御を行
    うこと、 を特徴とする請求項1または2に記載の縦軸ポンプの空
    気吸入装置。
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