JP2002205032A - 重金属溶出低減材 - Google Patents
重金属溶出低減材Info
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- JP2002205032A JP2002205032A JP2001308215A JP2001308215A JP2002205032A JP 2002205032 A JP2002205032 A JP 2002205032A JP 2001308215 A JP2001308215 A JP 2001308215A JP 2001308215 A JP2001308215 A JP 2001308215A JP 2002205032 A JP2002205032 A JP 2002205032A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 Cr6+を含む種々の重金属を含有する廃棄物等
であっても、Cr6+等の重金属の溶出を低減できる重金属
溶出低減材を提供する。 【解決手段】 1000℃以上の還元雰囲気下で製造され、
化学成分としてCaO、Al2O3、SiO2のうちの2成分以上を
主成分とし、かつ、還元性物質を含有する重金属溶出低
減材。前記重金属溶出低減材は、CaO、Al2O3及びSiO2の
3成分換算で、CaO量が0〜70質量%、Al2O3量が0〜80質
量%、SiO2量が0〜99質量%であることが好ましい。
であっても、Cr6+等の重金属の溶出を低減できる重金属
溶出低減材を提供する。 【解決手段】 1000℃以上の還元雰囲気下で製造され、
化学成分としてCaO、Al2O3、SiO2のうちの2成分以上を
主成分とし、かつ、還元性物質を含有する重金属溶出低
減材。前記重金属溶出低減材は、CaO、Al2O3及びSiO2の
3成分換算で、CaO量が0〜70質量%、Al2O3量が0〜80質
量%、SiO2量が0〜99質量%であることが好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有害な重金属を含
有する廃棄物、汚泥、土壌等からの重金属の溶出を低減
することのできる重金属溶出低減材に関する。
有する廃棄物、汚泥、土壌等からの重金属の溶出を低減
することのできる重金属溶出低減材に関する。
【0002】
【従来の技術】有害物質を含んだ廃棄物、汚泥、土壌等
の処理の際には、何らかの手段による無害化が必要であ
り、該無害化の方法は、従来より多数提案されている。
例えば、重金属を含む廃棄物の処理方法として、特開20
00-37676号公報には、「カルシウムアルミネート及び/
またはカルシウムシリケートを含む製綱工程での生成物
の粉末を、固定剤として用い、重金属を含む廃棄物の安
定化処理を行うことを特徴とする重金属を含む廃棄物の
安定化処理法」が開示されている。
の処理の際には、何らかの手段による無害化が必要であ
り、該無害化の方法は、従来より多数提案されている。
例えば、重金属を含む廃棄物の処理方法として、特開20
00-37676号公報には、「カルシウムアルミネート及び/
またはカルシウムシリケートを含む製綱工程での生成物
の粉末を、固定剤として用い、重金属を含む廃棄物の安
定化処理を行うことを特徴とする重金属を含む廃棄物の
安定化処理法」が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、有害な重金属
を含有する廃棄物には、種々の重金属が含まれているこ
とが多い。例えば、ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰には、
Pb、Cd、Zn、Cr6+等の重金属が含まれている。このよう
なCr6+を含む種々の重金属を含有する廃棄物に対して
は、前記した特開2000-37676号公報に開示される「カル
シウムアルミネート及び/またはカルシウムシリケート
を含む製綱工程での生成物の粉末」では、Cr6+の溶出の
低減は困難であった。
を含有する廃棄物には、種々の重金属が含まれているこ
とが多い。例えば、ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰には、
Pb、Cd、Zn、Cr6+等の重金属が含まれている。このよう
なCr6+を含む種々の重金属を含有する廃棄物に対して
は、前記した特開2000-37676号公報に開示される「カル
シウムアルミネート及び/またはカルシウムシリケート
を含む製綱工程での生成物の粉末」では、Cr6+の溶出の
低減は困難であった。
【0004】本発明は、上記の課題に鑑みなされたもの
であって、その目的は、Cr6+を含む種々の重金属を含有
する廃棄物等であっても、Cr6+等の重金属の溶出を低減
できる重金属溶出低減材を提供することにある。
であって、その目的は、Cr6+を含む種々の重金属を含有
する廃棄物等であっても、Cr6+等の重金属の溶出を低減
できる重金属溶出低減材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の条件で製造さ
れた特定の化学成分を有する材料であれば、上記課題が
解決されることを見いだし、本発明を完成させたもので
ある。
題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の条件で製造さ
れた特定の化学成分を有する材料であれば、上記課題が
解決されることを見いだし、本発明を完成させたもので
ある。
【0006】即ち、本発明は、1000℃以上の還元雰囲気
下で製造され、化学成分としてCaO、Al2O3、SiO2のうち
の2成分以上を主成分とし、かつ、還元性物質を含有す
ることを特徴とする重金属溶出低減材である(請求項
1)。還元性物質は、シリコン、アルミニウム、及び1
〜2価の低価数の金属酸化物から選ばれる1種類以上の
ものが利用できる(請求項2)。また、還元性物質は、
硫黄および/または硫化物硫黄を含むものであってもよ
い(請求項3)。そして、前記重金属溶出低減材は、Ca
O、Al2O3及びSiO2の3成分換算で、CaO量が0〜70質量
%、Al2O3量が0〜80質量%、SiO2量が0〜99質量%であ
ることが好ましいものである(請求項4)。
下で製造され、化学成分としてCaO、Al2O3、SiO2のうち
の2成分以上を主成分とし、かつ、還元性物質を含有す
ることを特徴とする重金属溶出低減材である(請求項
1)。還元性物質は、シリコン、アルミニウム、及び1
〜2価の低価数の金属酸化物から選ばれる1種類以上の
ものが利用できる(請求項2)。また、還元性物質は、
硫黄および/または硫化物硫黄を含むものであってもよ
い(請求項3)。そして、前記重金属溶出低減材は、Ca
O、Al2O3及びSiO2の3成分換算で、CaO量が0〜70質量
%、Al2O3量が0〜80質量%、SiO2量が0〜99質量%であ
ることが好ましいものである(請求項4)。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。前記のように本発明の重金属溶出低減材は、化学
成分としてCaO、Al2O3、SiO2のうちの2成分以上を主成
分とするものである。すなわち、CaO-Al2O3の2成分、C
aO-SiO2の2成分、Al2O3-SiO2の2成分を主成分とする
もの、若しくはCaO-Al 2O3-SiO2の3成分を主成分とする
ものである。前記重金属溶出低減材は、CaO、Al2O3及び
SiO2の3成分換算で、CaO量が0〜70質量%、Al2O3量が0
〜80質量%、SiO2量が0〜99質量%であることが好まし
い。
する。前記のように本発明の重金属溶出低減材は、化学
成分としてCaO、Al2O3、SiO2のうちの2成分以上を主成
分とするものである。すなわち、CaO-Al2O3の2成分、C
aO-SiO2の2成分、Al2O3-SiO2の2成分を主成分とする
もの、若しくはCaO-Al 2O3-SiO2の3成分を主成分とする
ものである。前記重金属溶出低減材は、CaO、Al2O3及び
SiO2の3成分換算で、CaO量が0〜70質量%、Al2O3量が0
〜80質量%、SiO2量が0〜99質量%であることが好まし
い。
【0008】本発明の重金属溶出低減材は、1000℃以
上、重金属溶出低減材の製造コストや生産効率等から好
ましくは1300〜2000℃の還元雰囲気下で製造されるもの
である。還元雰囲気下で製造されることにより、成分の
一部(特に、材料に含まれる金属成分、例えばFe)が還
元性物質となる。製造温度が1000℃未満では、重金属溶
出低減材の製造に時間がかかり生産効率が低下するので
好ましくない。製造時の雰囲気が酸化雰囲気では、後述
する還元性物質を含有することが困難であり、重金属
(特に、Cr6+)の溶出低減効果が低下するので好ましく
ない。本発明の重金属溶出低減材の製造に使用する製造
装置は、1000℃以上での加熱が可能で、かつ、還元雰囲
気にすることができる製造装置(加熱装置)であれば、
特に限定するものではなく、例えば、キルン、電気炉、
反射炉、キュポラ等が挙げられる。還元雰囲気にする方
法としては、例えば、コークス等の可燃物を後述する原
料とともに製造装置(加熱装置)に投入する、鉄やアル
ミニウム等の金属成分を後述する原料とともに製造装置
(加熱装置)に投入する、COやH2等の還元性のガスを流
す等の方法が挙げられる。
上、重金属溶出低減材の製造コストや生産効率等から好
ましくは1300〜2000℃の還元雰囲気下で製造されるもの
である。還元雰囲気下で製造されることにより、成分の
一部(特に、材料に含まれる金属成分、例えばFe)が還
元性物質となる。製造温度が1000℃未満では、重金属溶
出低減材の製造に時間がかかり生産効率が低下するので
好ましくない。製造時の雰囲気が酸化雰囲気では、後述
する還元性物質を含有することが困難であり、重金属
(特に、Cr6+)の溶出低減効果が低下するので好ましく
ない。本発明の重金属溶出低減材の製造に使用する製造
装置は、1000℃以上での加熱が可能で、かつ、還元雰囲
気にすることができる製造装置(加熱装置)であれば、
特に限定するものではなく、例えば、キルン、電気炉、
反射炉、キュポラ等が挙げられる。還元雰囲気にする方
法としては、例えば、コークス等の可燃物を後述する原
料とともに製造装置(加熱装置)に投入する、鉄やアル
ミニウム等の金属成分を後述する原料とともに製造装置
(加熱装置)に投入する、COやH2等の還元性のガスを流
す等の方法が挙げられる。
【0009】本発明の重金属溶出低減材は、還元性物質
を含有するものである。該還元性物質としては、シリコ
ン、アルミニウム、及び1〜2価の低価数の金属酸化物か
ら選ばれる1種類以上のものとすることができる。1〜2
価の低価数の金属酸化物としては、例えば、Fe、V等の
金属が挙げられ、これらの酸化物が利用できる。Feの酸
化物は入手が容易であるため、本発明で用いる還元性物
質として好ましい。重金属溶出低減材中に還元性物質が
含まれていないと、重金属(特に、Cr6+)の溶出低減効
果が低下するので好ましくない。また、還元性物質とし
て、硫黄および/または硫化物硫黄を含むものを用いる
こともできる。単体の硫黄および硫化物硫黄が還元効果
を発揮するが、他の化学形態の硫黄(酸化物など)が並
存していても差し支えない。
を含有するものである。該還元性物質としては、シリコ
ン、アルミニウム、及び1〜2価の低価数の金属酸化物か
ら選ばれる1種類以上のものとすることができる。1〜2
価の低価数の金属酸化物としては、例えば、Fe、V等の
金属が挙げられ、これらの酸化物が利用できる。Feの酸
化物は入手が容易であるため、本発明で用いる還元性物
質として好ましい。重金属溶出低減材中に還元性物質が
含まれていないと、重金属(特に、Cr6+)の溶出低減効
果が低下するので好ましくない。また、還元性物質とし
て、硫黄および/または硫化物硫黄を含むものを用いる
こともできる。単体の硫黄および硫化物硫黄が還元効果
を発揮するが、他の化学形態の硫黄(酸化物など)が並
存していても差し支えない。
【0010】重金属溶出低減材中の還元性物質の含有
量、例えば、以下に示す方法によって測定することがで
きる。 (1)重金属溶出低減材中の全鉄量に対する還元状態の鉄
(Fe、FeO)の割合を求める方法 試料1gをビーカーに入れ、少量の蒸留水と10mlのHCl
と10mlのHClO4を加えて、時計皿をかぶせて加熱し、白
煙を生じてから約10分間加熱を続けたあと、室温まで冷
却する。 温水50mlと6規定のHCl5mlを加えて再度加熱し可溶性
塩類を溶解させた後に濾過して沈殿物を取り除く。濾液
を25%酢酸アンモニウム緩衝液とアンモニア水(1+1)に
よりpH=3に調整した後、2%サリチル酸水溶液を2ml添加
し、0.01mol/lのEDTA標準溶液で滴定しFe2O3量を求め、
試料中の全鉄量(F1)を求める。 窒素雰囲気中で、試料1gに臭素−メチルアルコール50
mlを加えて10分間攪拌した後、濾過し、残さをメチルア
ルコールで洗浄する。続いて、残さを濾紙ごと三角フラ
スコに入れ、窒素と置換した状態で6規定のHClを20ml加
えて加熱溶解し、室温まで冷却したものに、更に水100m
lと、H2SO4:HPO4:水=3:3:14(重量比)の混酸水溶液30m
l、及び、ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム0.5ml
を加えて、1/40規定の重クロム酸カリウムで滴定し、Fe
Oの含有量を求め、FeOとして含有されるFe量(F2)を
算出する。また、濾液と洗浄液を300mlのビーカーに入
れ、6規定のHClを20ml加えて、約1時間濃縮し、さらに1
0mlのHClO4を加えて乾固し、6規定のHClを10mlと温水50
mlを加えて、濾過し、200mlのメスフラスコで定容し、
2.483Åで原子吸光分析で測定し、Fe量(F3)を求め
る。 前記F1〜F3から、全鉄量に対する還元状態の鉄
(Fe、FeO)の割合を求める。
量、例えば、以下に示す方法によって測定することがで
きる。 (1)重金属溶出低減材中の全鉄量に対する還元状態の鉄
(Fe、FeO)の割合を求める方法 試料1gをビーカーに入れ、少量の蒸留水と10mlのHCl
と10mlのHClO4を加えて、時計皿をかぶせて加熱し、白
煙を生じてから約10分間加熱を続けたあと、室温まで冷
却する。 温水50mlと6規定のHCl5mlを加えて再度加熱し可溶性
塩類を溶解させた後に濾過して沈殿物を取り除く。濾液
を25%酢酸アンモニウム緩衝液とアンモニア水(1+1)に
よりpH=3に調整した後、2%サリチル酸水溶液を2ml添加
し、0.01mol/lのEDTA標準溶液で滴定しFe2O3量を求め、
試料中の全鉄量(F1)を求める。 窒素雰囲気中で、試料1gに臭素−メチルアルコール50
mlを加えて10分間攪拌した後、濾過し、残さをメチルア
ルコールで洗浄する。続いて、残さを濾紙ごと三角フラ
スコに入れ、窒素と置換した状態で6規定のHClを20ml加
えて加熱溶解し、室温まで冷却したものに、更に水100m
lと、H2SO4:HPO4:水=3:3:14(重量比)の混酸水溶液30m
l、及び、ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム0.5ml
を加えて、1/40規定の重クロム酸カリウムで滴定し、Fe
Oの含有量を求め、FeOとして含有されるFe量(F2)を
算出する。また、濾液と洗浄液を300mlのビーカーに入
れ、6規定のHClを20ml加えて、約1時間濃縮し、さらに1
0mlのHClO4を加えて乾固し、6規定のHClを10mlと温水50
mlを加えて、濾過し、200mlのメスフラスコで定容し、
2.483Åで原子吸光分析で測定し、Fe量(F3)を求め
る。 前記F1〜F3から、全鉄量に対する還元状態の鉄
(Fe、FeO)の割合を求める。
【0011】(2)重金属溶出低減材中の硫黄の状態を測
定する方法 蛍光X線分析または硫黄分析計により、試料中の全硫
黄量(S1)を測定する。 「JIS R 9101(せっこうの化学分析法)」等の公知の方
法で、三酸化硫黄及びニ酸化硫黄として含有される硫黄
量(S2)を測定する。 (S1−S2)より、還元状態の硫黄量を算出する。
定する方法 蛍光X線分析または硫黄分析計により、試料中の全硫
黄量(S1)を測定する。 「JIS R 9101(せっこうの化学分析法)」等の公知の方
法で、三酸化硫黄及びニ酸化硫黄として含有される硫黄
量(S2)を測定する。 (S1−S2)より、還元状態の硫黄量を算出する。
【0012】(3)硫化物硫黄の定量 JIS R 5202 ポルトランドセメントの化学分析方法に
記載の硫化物硫黄の定量方法により評価する。
記載の硫化物硫黄の定量方法により評価する。
【0013】次に、本発明の重金属溶出低減材の製造方
法について説明する。本発明の重金属溶出低減材の製造
方法としては、CaO原料、Al2O3原料、SiO2原料等をCa
O、Al2O3及びSiO2の3成分換算で、CaO量が0〜70質量
%、Al2O3量が0〜80質量%、SiO2量が0〜99質量%とな
るように製造装置(加熱装置)に投入し、1000℃以上の
還元雰囲気下で加熱(焼成、溶融等)して製造する方法
が挙げられる。前記CaO原料としては、生石灰、消石
灰、石灰石等の工業原料が、Al2O3原料としては、ボー
キサイト、ばん土頁岩、水酸化アルミニウム、アルミナ
等の工業原料が、SiO2原料としては、珪石、珪砂、長
石、火山ガラス等の天然原料や工業原料が挙げられる。
また、本発明においては、前記天然原料や工業原料以外
に、石炭灰、高炉スラグ、転炉スラグ、製鋼スラグ、廃
棄物溶融スラグ、シリカフューム、廃コンクリート、廃
アスベスト、廃ロックウール等のリサイクル資源や産業
廃棄物も原料として使用することができる。前記各種原
料は、製造装置(加熱装置)に投入する前に混合してお
いても良いし、個別に製造装置(加熱装置)に投入して
も良い。また、原料は、粉体状のものを使用しても良い
し、粒状または塊状のものを使用しても良い。なお、前
記した各種原料には、Fe2O3、TiO2、MgO等の不純物が含
まれている。本発明の重金属溶出低減材は、これらの不
純物を合計で30質量%以下、好ましくは15質量%以下含
有することは差し支えない。また、本発明の重金属溶出
低減材は、結晶質、非晶質のいずれであってもよい。
法について説明する。本発明の重金属溶出低減材の製造
方法としては、CaO原料、Al2O3原料、SiO2原料等をCa
O、Al2O3及びSiO2の3成分換算で、CaO量が0〜70質量
%、Al2O3量が0〜80質量%、SiO2量が0〜99質量%とな
るように製造装置(加熱装置)に投入し、1000℃以上の
還元雰囲気下で加熱(焼成、溶融等)して製造する方法
が挙げられる。前記CaO原料としては、生石灰、消石
灰、石灰石等の工業原料が、Al2O3原料としては、ボー
キサイト、ばん土頁岩、水酸化アルミニウム、アルミナ
等の工業原料が、SiO2原料としては、珪石、珪砂、長
石、火山ガラス等の天然原料や工業原料が挙げられる。
また、本発明においては、前記天然原料や工業原料以外
に、石炭灰、高炉スラグ、転炉スラグ、製鋼スラグ、廃
棄物溶融スラグ、シリカフューム、廃コンクリート、廃
アスベスト、廃ロックウール等のリサイクル資源や産業
廃棄物も原料として使用することができる。前記各種原
料は、製造装置(加熱装置)に投入する前に混合してお
いても良いし、個別に製造装置(加熱装置)に投入して
も良い。また、原料は、粉体状のものを使用しても良い
し、粒状または塊状のものを使用しても良い。なお、前
記した各種原料には、Fe2O3、TiO2、MgO等の不純物が含
まれている。本発明の重金属溶出低減材は、これらの不
純物を合計で30質量%以下、好ましくは15質量%以下含
有することは差し支えない。また、本発明の重金属溶出
低減材は、結晶質、非晶質のいずれであってもよい。
【0014】本発明の重金属溶出低減材は、ブレーン比
表面積で、2000cm2/g以上に粉砕して使用することが好
ましい。より好ましいブレーン比表面積は3000〜10000c
m2/gである。粉砕は、慣用の粉砕装置で行えば良い。
表面積で、2000cm2/g以上に粉砕して使用することが好
ましい。より好ましいブレーン比表面積は3000〜10000c
m2/gである。粉砕は、慣用の粉砕装置で行えば良い。
【0015】本発明の重金属溶出低減材の使用にあたっ
ては、有害な重金属を含有する廃棄物、汚泥、土壌等
に、本発明の重金属溶出低減材を水とともに加えて混練
(混合)すればよい。また、セメント等の水硬性材料を
併用することは差し支えない。本発明の重金属溶出低減
材は、有害な重金属を含有する廃棄物、汚泥、土壌等か
らの重金属の溶出を低減する効果を有するものである。
また、本発明の重金属溶出低減材は、セメント等の水硬
性材料からの重金属の溶出を低減する効果も有するもの
である。
ては、有害な重金属を含有する廃棄物、汚泥、土壌等
に、本発明の重金属溶出低減材を水とともに加えて混練
(混合)すればよい。また、セメント等の水硬性材料を
併用することは差し支えない。本発明の重金属溶出低減
材は、有害な重金属を含有する廃棄物、汚泥、土壌等か
らの重金属の溶出を低減する効果を有するものである。
また、本発明の重金属溶出低減材は、セメント等の水硬
性材料からの重金属の溶出を低減する効果も有するもの
である。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。 (1)重金属溶出低減材の調製 CaO原料として生石灰、Al2O3原料としてばん土頁岩、Si
O2原料として珪石を使用し、該原料とコークスを加熱装
置に投入し、1600℃の還元雰囲気下で溶融し、重金属溶
出低減材(試料1、2)を調製した。該重金属溶出低減
材は、ボールミルでブレーン比表面積5000cm2/gに粉砕
した。調製した重金属溶出低減材の化学分析値を表1に
示す。なお、試料3は、1600℃の酸化雰囲気下で溶融し
たものである。
O2原料として珪石を使用し、該原料とコークスを加熱装
置に投入し、1600℃の還元雰囲気下で溶融し、重金属溶
出低減材(試料1、2)を調製した。該重金属溶出低減
材は、ボールミルでブレーン比表面積5000cm2/gに粉砕
した。調製した重金属溶出低減材の化学分析値を表1に
示す。なお、試料3は、1600℃の酸化雰囲気下で溶融し
たものである。
【0017】
【表1】
【0018】(2)重金属溶出低減材の調製 特級試薬のCaCO3、Al2O、SiO2、CaSO4を表2の割合で混
合し、1600℃の還元雰囲気下で溶融して重金属溶出低減
材(試料4〜6)を調整した。該金属溶出低減材は、デ
ィスクミルでブレーン比表面積5000cm2/gに粉砕した。
調整した重金属溶出低減材の化学分析値を表3に示す。
試料の分析値は蛍光X線分析による。また硫化物硫黄
(S2-)はJIS R 5202 ポルトランドセメントの化学
分析方法にて定量した。
合し、1600℃の還元雰囲気下で溶融して重金属溶出低減
材(試料4〜6)を調整した。該金属溶出低減材は、デ
ィスクミルでブレーン比表面積5000cm2/gに粉砕した。
調整した重金属溶出低減材の化学分析値を表3に示す。
試料の分析値は蛍光X線分析による。また硫化物硫黄
(S2-)はJIS R 5202 ポルトランドセメントの化学
分析方法にて定量した。
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】実施例1〜5、比較例1 (3)溶出試験1;重金属に汚染された土壌(砂質土、特
性は表4に示す)に対する重金属溶出低減効果の測定 表5に示す配合で、表4の重金属に汚染された土壌、重
金属溶出低減材及び水を混合し、該混合物をφ3cm×6cm
に成形し、該成形体を180℃で3時間水熱養生して、供試
体を調製した。前記供試体を粉砕し、環境庁告知13号
「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」に準じて、
重金属の溶出量を測定した。結果を表5に併記する。
性は表4に示す)に対する重金属溶出低減効果の測定 表5に示す配合で、表4の重金属に汚染された土壌、重
金属溶出低減材及び水を混合し、該混合物をφ3cm×6cm
に成形し、該成形体を180℃で3時間水熱養生して、供試
体を調製した。前記供試体を粉砕し、環境庁告知13号
「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」に準じて、
重金属の溶出量を測定した。結果を表5に併記する。
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】
【0024】実施例6〜10、比較例2〜4 (4)溶出試験2;Cr6+を含有する水硬性材料に対する重
金属溶出低減効果の測定 Cr6+含有量が35ppmである普通ポルトランドセメントク
リンカを電気炉にて調製し、該クリンカに、クリンカ質
量の3.5%の石膏を加えて、Cr6+を含有する水硬性材料
を試製した。表6に示す配合で、前記試製水硬性材料及
び重金属溶出低減材を混合し、該混合物をφ5cm×10cm
に成形し、室温で7日間、気中養生して、供試体を調製
した。前記供試体を粉砕し、環境庁告知13号「産業廃棄
物に含まれる金属等の検定方法」に準じて、重金属の溶
出量を測定した。また、比較として高炉スラグ(新日鐵
(株)製「エスメント」)を用いた場合についても測定
を行った。結果を表6に併記する。
金属溶出低減効果の測定 Cr6+含有量が35ppmである普通ポルトランドセメントク
リンカを電気炉にて調製し、該クリンカに、クリンカ質
量の3.5%の石膏を加えて、Cr6+を含有する水硬性材料
を試製した。表6に示す配合で、前記試製水硬性材料及
び重金属溶出低減材を混合し、該混合物をφ5cm×10cm
に成形し、室温で7日間、気中養生して、供試体を調製
した。前記供試体を粉砕し、環境庁告知13号「産業廃棄
物に含まれる金属等の検定方法」に準じて、重金属の溶
出量を測定した。また、比較として高炉スラグ(新日鐵
(株)製「エスメント」)を用いた場合についても測定
を行った。結果を表6に併記する。
【0025】
【表6】
【0026】
【発明の効果】以上詳記したように、本発明の重金属溶
出低減材は、有害な重金属を含有する廃棄物、汚泥、土
壌等からの重金属の溶出を低減する効果を有するもので
ある。また、本発明の重金属溶出低減材は、セメント等
の水硬性材料からの重金属の溶出を低減する効果も有す
るものである。
出低減材は、有害な重金属を含有する廃棄物、汚泥、土
壌等からの重金属の溶出を低減する効果を有するもので
ある。また、本発明の重金属溶出低減材は、セメント等
の水硬性材料からの重金属の溶出を低減する効果も有す
るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D004 AA02 AA41 AA46 AB03 CA15 CC03 CC11 DA03 DA11 4D059 AA13 BJ00 DA04 DA12 DA19 DA22 DA34 DA70
Claims (4)
- 【請求項1】 1000℃以上の還元雰囲気下で製造され、
化学成分としてCaO、Al2O3、SiO2のうちの2成分以上を
主成分とし、かつ、還元性物質を含有することを特徴と
する重金属溶出低減材。 - 【請求項2】 還元性物質がシリコン、アルミニウム、
及び1〜2価の低価数の金属酸化物から選ばれる1種以上
であることを特徴とする請求項1に記載の重金属低減
材。 - 【請求項3】 還元性物質が硫黄および/または硫化物
硫黄を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の
重金属低減材。 - 【請求項4】 化学成分が、CaO、Al2O3及びSiO2の3成
分換算で、CaO量が0〜70質量%、Al2O3量が0〜80質量
%、SiO2量が0〜99質量%である請求項1〜3のいずれ
かに記載の重金属溶出低減材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001308215A JP2002205032A (ja) | 2000-11-09 | 2001-10-04 | 重金属溶出低減材 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000342264 | 2000-11-09 | ||
JP2000-342264 | 2000-11-09 | ||
JP2001308215A JP2002205032A (ja) | 2000-11-09 | 2001-10-04 | 重金属溶出低減材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002205032A true JP2002205032A (ja) | 2002-07-23 |
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ID=26603675
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001308215A Pending JP2002205032A (ja) | 2000-11-09 | 2001-10-04 | 重金属溶出低減材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002205032A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005279413A (ja) * | 2004-03-29 | 2005-10-13 | Kanazawa Univ | 有害元素の溶出抑制剤、それを用いて有害元素の溶出抑制処理が施されたフライアッシュ |
JP2007331976A (ja) * | 2006-06-15 | 2007-12-27 | Taiheiyo Cement Corp | セメント添加材及びセメント組成物 |
JP2010195975A (ja) * | 2009-02-26 | 2010-09-09 | Ube Ind Ltd | セメント系固化材及びその製造方法、並びに土壌の固化処理方法 |
KR102091378B1 (ko) * | 2019-04-20 | 2020-03-19 | 이인상 | 하이드로늄이온 용존수 제조방법 |
-
2001
- 2001-10-04 JP JP2001308215A patent/JP2002205032A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2022530849A (ja) * | 2019-04-20 | 2022-07-04 | サン リ、イン | ヒドロニウムイオン溶存水の製造方法 |
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