JP2002202539A - 熱光学スイッチ及びその製造方法 - Google Patents

熱光学スイッチ及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002202539A
JP2002202539A JP2000398796A JP2000398796A JP2002202539A JP 2002202539 A JP2002202539 A JP 2002202539A JP 2000398796 A JP2000398796 A JP 2000398796A JP 2000398796 A JP2000398796 A JP 2000398796A JP 2002202539 A JP2002202539 A JP 2002202539A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
core
thermo
optical
organic material
optical switch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000398796A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Okubo
博行 大久保
Seiichi Kashimura
誠一 樫村
Hiroaki Okano
広明 岡野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Cable Ltd filed Critical Hitachi Cable Ltd
Priority to JP2000398796A priority Critical patent/JP2002202539A/ja
Publication of JP2002202539A publication Critical patent/JP2002202539A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Integrated Circuits (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝搬光の位相をシフトさせる際の光損失を低
減できる熱光学スイッチ及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 基板101上にコア102とこのコア1
02より屈折率の低いクラッド103とからなる2本の
アーム光導波路121,122及び2つの方向性結合器
110,110を有するマッハツェンダー型光回路を形
成し、上記アーム光導波路121,122の少なくとも
一方に薄膜ヒータ105を形成した熱光学スイッチ及び
その製造方法において、上記マッハツェンダー型光回路
を形成した後、上記薄膜ヒータ105が形成される光導
波路121のコア102の周囲のクラッド103を除去
して溝を形成し、この溝内に有機材料104を充填した
後、この有機材料104上に上記薄膜ヒータ105を形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信で用いられ
る光スイッチの一つであるマッハツェンダー型の熱光学
スイッチ及びその製造方法に係り、特に一部構成材料と
して熱光学効果を有する有機材料を用いた熱光学スイッ
チ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光を使った通信システムの普及に伴い、
より低損失で信頼性の高い光部品の開発が進められてい
る。
【0003】特に石英系材料を用いた導波路型の光部品
は、その低損失性に加え、複雑な回路を平面基板上に一
括して形成できる可能性があることから最も注目を集め
ている。
【0004】光部品の中でも、光システムを構成する際
に必須となる光部品である光スイッチについては、現在
までいろいろなタイプが提案されている。その中でも、
熱光学スイッチは、従来より活発に研究されている。
【0005】熱光学スイッチの一例としては、特開20
00−29079号公報にて、光導波路の一部に有機材
料を用いたマッハツェンダー型の熱光学スイッチが提案
されている。
【0006】図14に、この熱光学光スイッチの平面図
を示す。
【0007】図14に示すように、従来の熱光学スイッ
チは、基板701上でコア702とこのコア702を覆
うように形成されコアよりも屈折率の低いクラッド70
3とからなる2本の光導波路を2箇所で近接させてなる
2つの方向性結合器710,710と、この方向性結合
器710,710を連結する2本のアーム導波路部72
0,720と、このアーム導波路部720,720に熱
光学効果を与えて伝搬光の位相をシフトする薄膜ヒータ
705とを有している。
【0008】さらに、このマッハツェンダー型の熱光学
スイッチにおいて少なくとも熱光学効果を与えるべきア
ーム導波路部720の途中に、図15に示すように、そ
のアーム導波路部を分断する溝が配置され、この溝に熱
光学効果を与えるべきアーム導波路部の熱光学定数(屈
折率の温度係数)より大きい熱光学定数を持つ有機材料
704が充填されている。そして、図16に示すよう
に、この有機材料704上に上述した薄膜ヒータ705
が形成されており、この薄膜ヒータ705の両端に、電
圧を印加するための薄膜ヒータ用電極706が形成され
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
熱光学スイッチでは、図15に示したように、アーム導
波路部のコアを分断させるため、その分断する溝内に有
機材料704を充填しても、溝幅が50μmを越えてし
まうとその分断部分を透過する際の光損失が5〜10d
Bと大きなものとなっていた。
【0010】そこで、本発明の目的は、伝搬光の位相を
シフトさせる際の光損失を低減できる熱光学スイッチ及
びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明は、基板上に形成された2本の入力導
波路、両入力導波路に接続された入力側方向性結合器、
一端がこの入力側方向性結合器にそれぞれ接続された2
本のアーム導波路、両アーム導波路の他端に接続された
出力側方向性結合器及びこの出力側方向性結合器に接続
された2本の出力導波路を有すると共に、コア及びこの
コアを覆いかつこのコアよりも屈折率の低いクラッドか
らなる光回路と、上記アーム導波路の少なくとも一方に
熱を供給する薄膜ヒータとを有するマッハツェンダー型
の熱光学スイッチにおいて、上記薄膜ヒータからの熱が
供給されるアーム導波路のコアの周囲が有機材料で覆わ
れているものである。
【0012】請求項2の発明は、上記薄膜ヒータからの
熱が供給されるアーム導波路のコアの周囲が、伝搬する
信号光の波長とほぼ等しい厚さのクラッド膜で覆われ、
このクラッド膜の周囲が有機材料で覆われているもので
ある。
【0013】請求項3の発明は、上記有機材料は、室温
時の屈折率が上記コアの屈折率よりも低く、かつクラッ
ドの屈折率とほぼ等しいものである。
【0014】請求項4の発明は、上記薄膜ヒータは、上
記アーム導波路の長手方向に2箇所以上配置されている
ものである。
【0015】請求項5の発明は、上記有機材料の熱光学
定数は上記光導波路のコア及びクラッドの熱光学定数よ
りも大きいものである。
【0016】請求項6の発明は、基板上にコアとこのコ
アより屈折率の低いクラッドとからなる2本のアーム導
波路及び2つの方向性結合器を有するマッハツェンダー
型光回路を形成し、上記アーム導波路の少なくとも一方
に薄膜ヒータを形成する熱光学スイッチの製造方法にお
いて、上記マッハツェンダー型光回路を形成した後、上
記薄膜ヒータが形成されるアーム導波路のコアの周囲の
クラッドを除去して溝を形成し、この溝内に有機材料を
充填した後、この有機材料上に上記薄膜ヒータを形成す
る方法である。
【0017】請求項7の発明は、上記溝を形成する際に
上記コアの周囲に、伝搬する信号光の波長とほぼ等しい
厚さのクラッド膜を残す方法である。
【0018】請求項8の発明は、上記溝をドライエッチ
ング法で形成する方法である。
【0019】上記請求項1の構成によれば、コアが分断
されていないので、溝部における伝搬光の損失を1dB
以下に低減できる。
【0020】上記請求項2の構成によれば、コア・クラ
ッド膜界面での散乱光による光損失を低減することがで
きる。
【0021】上記請求項3の構成によれば、従来懸念さ
れていた屈折率の違いによる光損失をほぼ無くすことが
できる。具体的には、有機材料の室温の屈折率として
1.4580〜1.4590の範囲にあるものから選ば
れる。
【0022】上記請求項4の構成によれば、有機材料で
覆われた光導波路の温度を効果的に上昇させることが可
能になる。
【0023】上記請求項5の構成によれば、薄膜ヒータ
の近傍の光導波路の温度上昇が100℃未満と小さくて
も、効果的に光スイッチングを行わせることが可能にな
る。
【0024】上記請求項6の構成によれば、コアを分断
することなく安定にスイッチングが行える熱光学スイッ
チが形成される。
【0025】上記請求項7の構成によれば、散乱損失の
原因となる微少な気泡やパーティクルが発生することな
くコアの周囲が有機材料で覆われる。
【0026】上記請求項8の構成によれば、溝部をミク
ロンオーダーで自在に加工できる。
【0027】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好適一実施の形態
を添付図面に基づいて詳述する。
【0028】図1に本発明の好適実施の形態である熱光
学光スイッチの平面図を示す。
【0029】図1に示すように、熱光学スイッチは、石
英基板101上に形成されたSiO 2 −GeO2 コア1
02と、このコア102を覆うように形成されコア10
2よりも屈折率の低いSiO2 クラッド103とからな
る光導波路によって形成された光回路に、コア102に
熱を供給する薄膜ヒータ105と、この薄膜ヒータ10
5の近傍の光導波路のコア102の周囲を覆うように有
機材料104とが形成されて主に構成されている。
【0030】光回路は、並列配置された2本の光導波路
121,122と、両光導波路121,122を並列接
続するように両光導波路121,122の両端に形成さ
れた2つの方向性結合器110,110とを有するマッ
ハツェンダパターンに形成されており、図2に示すよう
に一方の光導波路121上に有機材料104が設けら
れ、その有機材料104上に薄膜ヒータ105が形成さ
れている。
【0031】これら構成部材をさらに詳しく説明する。
【0032】マッハツェンダパターンの光回路は、2本
の入力導波路部123,124と、図3に示すように2
本の光導波路が近接して形成された入力側及び出力側方
向性結合器110,110と、上述した2本のアーム導
波路部121,122と、図4に示すように方向性結合
器の光導波路よりも広い間隔で形成された2本の出力導
波路部125,126とが順次連結して構成されてい
る。
【0033】また、図5に示すように、薄膜ヒータ10
5は、TaNからなり、アーム導波路部121に熱光学
効果を与えて伝搬光の位相をシフトする目的で、一方の
アーム導波路部121の上方に形成されていると共に、
この薄膜ヒータ105に電圧を印加すべく、薄膜ヒータ
105の両端に金膜からなる薄膜ヒータ用電極106が
形成されている。
【0034】さらに、有機材料104は、室温時の屈折
率がコア102の屈折率よりも小さく、かつクラッド1
03とほぼ同等となるものとして、紫外線硬化樹脂が用
いられている。
【0035】次に、本発明にかかる熱光学スイッチの製
造方法を図6(a)から図6(k)を用いて説明する。
【0036】まず、図6(a)に示すように、石英基板
301上に、コア膜302をプラズマCVD法により形
成する。プラズマCVD法は、原料ガスを2つの電極板
間に送り込み、その電極板間で原料ガスをプラズマ分解
させ、反応性の高いイオンあるいはラジカルにし、基板
上でそれらイオン及びラジカルを反応させて膜形成させ
る方法である。コア膜302の組成は、SiO2 −Ge
2 とし、屈折率は1.4700、膜厚は6μmとし
た。
【0037】そして、図6(b)に示すように、スパッ
タリング法により、コア膜302上にマスク材となるW
Si膜303を0.6μm形成する。このWSi膜30
3上に、フォトリソグラフィを行い、図6(c)に示す
ように、レジストパターン304をマッハツェンダ回路
状に形成する。そして、図6(d)に示すように、この
レジストパターン304をマスクとしてWSi膜303
をドライエッチング法によりパターニングしてWSi膜
305のマスクを形成し、このWSi膜305をマスク
としてSiO2 −GeO2 コア膜302をドライエッチ
ング法によりパターニングして、図6(e)に示すよう
に、コアリッジ306を形成する。
【0038】さらに、このコアリッジ306を熱処理
し、膜組成と屈折率を安定化させた後、図6(f)に示
すように、このコアリッジ306上にプラズマCVD法
によりクラッド307を形成する。クラッド307は特
にドーピングを行わないので、組成はSiO2 である。
また、屈折率は1.4650、膜厚は20μmとした。
そして、このクラッド307についても熱処理を施し、
屈折率を1.4582付近に安定化させ、光回路が完成
される。
【0039】次に、溝形成工程に入る。
【0040】まず、マスク材となるWSi膜を、スパッ
タリング法によりクラッド膜上に1.0μm形成する。
このWSi膜上にフォトリソグラフィを行い、レジスト
パターンを溝パターン状に形成する。
【0041】そして、このレジストパターンをマスクと
してWSi膜をドライエッチング法によりパターニング
し、パターニングされたWSi膜をマスクとして、図6
(g)に示すように、同じくドライエッチング法により
SiO2 クラッド307をパターニングして、溝308
を形成する。
【0042】この溝308はコアリッジ306上部が剥
き出しとなるまでエッチングされる。好ましくはコアリ
ッジ306の上方だけでなく、コアリッジ306の側方
もまたクラッド307を除去し、コアリッジ306の側
面も剥き出しとなるように形成した方が良い。この時の
エッチング時間はクラッド膜厚30μmをエッチングす
るのに等しい時間とする。例えば、SiO2 膜のエッチ
ングレートが0.05μm/minである場合には、エ
ッチング時間を600minに設定する。
【0043】このように、溝308はドライエッチング
法により形成されるので、ミクロンオーダーで自在に加
工できる。
【0044】そして、図6(h)に示すように、溝30
8にスピンコート法により有機材料309として紫外線
硬化樹脂を塗布する。
【0045】紫外線硬化樹脂を用いた理由は、紫外線照
射して硬化させた後の屈折率がほぼ1.4585に制御
することができるためである。具体的にはスポイトで溝
が形成された光回路基板上に液体の有機材料309を滴
下し、スピンナーでその基板を回転させることにより均
一に塗布し、その後、紫外線を照射して樹脂を硬化させ
る。
【0046】次に、薄膜ヒータ及び電極形成工程に入
る。
【0047】薄膜ヒータ310を形成するに際しては、
フォトリソグラフィ及びリフトオフ法を用いる。
【0048】図6(i)に示すように、図6(h)に示
したクラッド307及び有機材料309上にレジスト膜
を形成し、フォトリソグラフィによりこのレジスト膜を
エッチングしてネガレジスト311でTaNパターンを
形成した後、クラッド膜熱処理後の光回路基板全面に、
スパッタリング法あるいは蒸着法によりTaN膜310
を蒸着する。
【0049】その後、この光回路基板をアセトン洗浄す
ることにより、ネガレジスト311上のTaN膜310
が除去され、図6(j)に示すように、薄膜ヒータ31
2が形成される。
【0050】最後に、そのパターニングされたTaN膜
の組成安定化のために熱処理を行った後、図6(k)に
示すように、同様にフォトリソグラフィ及びリフトオフ
法を用いて薄膜ヒータ用電極313の電極パターンが形
成されて、熱光学スイッチが製造される。
【0051】以上説明したように、本発明によれは、ア
ーム導波路部121,122のコア102を分断するこ
となくコア102の周囲に有機材料104が設けられる
ので、伝搬光の損失を1dB以下に低減できると共に、
光導波路の温度を効果的に上昇させることができるの
で、安定にスイッチングできる熱光学スイッチを製造で
きる。
【0052】さらに、有機材料104の室温時の屈折率
が、コア102の屈折率よりも小さく、かつクラッド1
03の屈折率とほぼ等しいので、従来懸念されていた屈
折率の違いによる光損失をほぼ無くすことができる。
【0053】次に、本発明の他の実施の形態を説明す
る。
【0054】図7に本発明の他の実施の形態である熱光
学スイッチの平面図を示す。
【0055】図7に示すように、この熱光学スイッチ
は、本実施の形態と同様に、石英基板201上に形成さ
れたSiO2 −GeO2 コア202と、このコア202
を覆うように形成されコア202よりも屈折率の低いS
iO2 クラッド203とからなる光導波路によって形成
された光回路に、コア202に熱を供給する薄膜ヒータ
205と、この薄膜ヒータ205の近傍の光導波路のコ
ア202の周囲を覆うように有機材料204とが形成さ
れて主に構成されている。
【0056】さらに、光回路は、並列配置された2本の
光導波路221,222と、両光導波路221,222
を並列接続するように両光導波路221,222の両端
に形成された2つの方向性結合器210,210とを有
するマッハツェンダパターンに形成されている。
【0057】この熱光学スイッチにあっては、図8に示
すように、一方の光導波路221のコア202の上面及
び側面に所定の厚さtのクラッド膜207が形成されて
おり、さらにそれらコア202とクラッド膜の周囲に有
機材料204が設けられ、その有機材料204上に薄膜
ヒータ205が形成されている。
【0058】すなわち、実際にコア202上にポリマ
(有機材料204)を塗布するに際しては、コアリッジ
表面には微少な凹凸が形成されているので、この凹凸に
より微少な気泡が生成されたり、ポリマのパーティクル
あるいはクラッド材質のパーティクルが生じたりして、
これが散乱損失の原因となる。このため、コア202の
表面での散乱損失が生じないように、コア202上にク
ラッド膜207を残してエッチングし、クラッド膜20
7の平滑な面の上に有機材料204が設けられている。
【0059】このクラッド膜207は、厚さtが光導波
路を伝搬する信号光の波長とほぼ等しい厚さに形成され
ており、本実施の形態の場合、通信で使われる光の波長
が1〜2μm程度であることから、同じく1〜2μmの
厚さに形成されている。
【0060】これら構成部材をさらに詳しく説明する。
【0061】マッハツェンダパターンの光回路は、2本
の入力導波路部223,224と、図9に示すように2
本の光導波路が近接して形成された入力側及び出力側方
向性結合器210,210と、上述した2本のアーム導
波路部221,222と、図10に示すように方向性結
合器の光導波路よりも広い間隔で形成された2本の出力
導波路部225,226とが順次連結して構成されてい
る。
【0062】また、図10に示すように、薄膜ヒータ2
05は、TaNからなり、アーム導波路部221に熱光
学効果を与えて伝搬光の位相をシフトする目的で、一方
のアーム導波路部221の上方に形成されていると共
に、この薄膜ヒータ205に電圧を印加すべく、薄膜ヒ
ータ205の両端に金膜からなる薄膜ヒータ用電極20
6が形成されている。
【0063】さらに、有機材料204は、室温時の屈折
率がコア202の屈折率よりも小さく、かつクラッド2
03とほぼ同等となるものとして、紫外線硬化樹脂が用
いられている。
【0064】次に、図7に示した熱光学スイッチの製造
方法を図12(a)から図12(k)を用いて説明す
る。
【0065】まず、図12(a)に示すように、石英基
板401上に、コア膜402をプラズマCVD法により
形成する。プラズマCVD法は、原料ガスを2つの電極
板間に送り込み、その電極板間で原料ガスをプラズマ分
解させ、反応性の高いイオンあるいはラジカルにし、基
板上でそれらイオン及びラジカルを反応させて膜形成さ
せる方法である。コア膜402の組成は、SiO2 −G
eO2 とし、屈折率は1.4700、膜厚は6μmとし
た。
【0066】そして、図12(b)に示すように、スパ
ッタリング法により、コア膜402上にマスク材となる
WSi膜403を0.6μm形成する。このWSi膜4
03上に、フォトリソグラフィを行い、図12(c)に
示すように、レジストパターン404をマッハツェンダ
回路状に形成する。そして、図12(d)に示すよう
に、このレジストパターン404をマスクとしてWSi
膜403をドライエッチング法によりパターニングして
WSi膜405のマスクを形成し、このWSi膜405
をマスクとしてSiO2 −GeO2 コア膜402をドラ
イエッチング法によりパターニングして、図12(e)
に示すように、コアリッジ406を形成する。
【0067】さらに、このコアリッジ406を熱処理
し、膜組成と屈折率を安定化させた後、図12(f)に
示すように、このコアリッジ406上にプラズマCVD
法によりクラッド407を形成する。クラッド407は
特にドーピングを行わないので、組成はSiO2 であ
る。また、屈折率は1.4650、膜厚は20μmとし
た。そして、このクラッド407についても熱処理を施
し、屈折率を1.4582付近に安定化させ、光回路が
完成される。
【0068】次に、溝形成工程に入る。
【0069】まず、マスク材となるWSi膜を、スパッ
タリング法によりクラッド膜上に1.0μm形成する。
このWSi膜上にフォトリソグラフィを行い、レジスト
パターンを溝パターン状に形成する。
【0070】そして、このレジストパターンをマスクと
してWSi膜をドライエッチング法によりパターニング
し、パターニングされたWSi膜をマスクとして、図1
2(g)に示すように、同じくドライエッチング法によ
りクラッド407をパターニングして、溝409を形成
する。
【0071】この溝409はコアリッジ406上部にク
ラッド膜408が厚さ1μm残るまでエッチングされ
る。好ましくはコアリッジ406の上方だけでなく、コ
アリッジ406の側方のクラッド407を除去し、コア
リッジ406の側面も厚さ1μmのクラッド膜408を
形成した方が良い。この時のエッチング時間はクラッド
膜厚29μmをエッチングするのに等しい時間とする。
例えば、SiO2 膜のエッチングレートが0.05μm
/minである場合には、エッチング時間を580mi
nに設定する。エッチング時間をこのように設定する理
由は、それよりも長いとコアリッジ406をエッチング
してしまい、それよりも短いとコアリッジ406上のク
ラッド膜408が厚く残ってしまうことになるためであ
る。
【0072】このように、溝409はドライエッチング
法により形成されるので、ミクロンオーダーで自在に加
工できる。
【0073】そして、図12(h)に示すように、溝4
09にスピンコート法により有機材料410として紫外
線硬化樹脂を塗布する。
【0074】紫外線硬化樹脂を用いた理由は、紫外線照
射して硬化させた後の屈折率がほぼ1.4585に制御
することができるためである。具体的にはスポイトで溝
が形成された光回路基板上に液体の有機材料410を滴
下し、スピンナーでその基板を回転させることにより均
一に塗布し、その後、紫外線を照射して樹脂を硬化させ
る。
【0075】次に、薄膜ヒータ及び電極形成工程に入
る。
【0076】薄膜ヒータ413を形成するに際しては、
フォトリソグラフィ及びリフトオフ法を用いる。
【0077】図12(i)に示すように、図12(h)
に示したクラッド407及び有機材料410上にレジス
ト膜を形成し、フォトリソグラフィによりこのレジスト
膜をエッチングしてネガレジスト411でTaNパター
ンを形成した後、クラッド膜熱処理後の光回路基板全面
に、スパッタリング法あるいは蒸着法によりTaN膜4
12を蒸着する。
【0078】その後、この光回路基板をアセトン洗浄す
ることにより、ネガレジスト4112上のTaN膜41
2が除去され、図12(j)に示すように、薄膜ヒータ
413が形成される。
【0079】最後に、そのパターニングされたTaN膜
の組成安定化のために熱処理を行った後、図12(k)
に示すように、同様にフォトリソグラフィ及びリフトオ
フ法を用いて薄膜ヒータ用電極414の電極パターンが
形成されて、熱光学スイッチが製造される。
【0080】以上説明したように、アーム導波路部22
1,222のコア202を分断することなくコア202
の周囲に有機材料204が設けられるので、伝搬光の損
失を1dB以下に低減できると共に、光導波路の温度を
効果的に上昇させることができるので、安定にスイッチ
ングできる熱光学スイッチを製造できる。
【0081】さらに、コア202の周囲に形成されるク
ラッド膜207の厚さtが伝搬光の波長と同程度の厚さ
なので、コア・クラッド膜207界面での散乱光による
光損失を低減でき、その上に塗布されるポリマ(有機材
料204)とコア202との相互作用が十分効果的に起
こり得る。すなわち、クラッド膜207を伝搬光の波長
と同程度の厚さに形成することが、光損失の低減のため
と熱光学効果を十分に引き起こすためには最善である。
【0082】さらに、有機材料204の室温時の屈折率
が、コア202の屈折率よりも小さく、かつクラッド2
03の屈折率とほぼ等しいので、従来懸念されていた屈
折率の違いによる光損失をほぼ無くすことができる。
【0083】また、図13に本発明の他の実施の形態で
ある熱光学スイッチの平面図を示す。
【0084】図13に示すように、この熱光学スイッチ
は、基本的な構成は上述した図1の実施の形態と同様
に、石英基板501上に形成されたSiO2 −GeO2
コア502と、このコア502を覆うように形成されコ
ア502よりも屈折率の低いSiO2 クラッド503と
からなる光導波路によって形成された光回路に、コア5
02に熱を供給する薄膜ヒータ505と、この薄膜ヒー
タ505の近傍の光導波路のコア502の周囲を覆うよ
うに有機材料504とが形成されて主に構成されてい
る。
【0085】この熱光学スイッチにあっては、薄膜ヒー
タ505、薄膜ヒータ用電極506及び有機材料504
が、一方のアーム導波路部の長手方向に2箇所形成され
ている。
【0086】このように構成することにより、有機材料
504が充填されたアーム導波路部の温度を効果的に上
昇させることが可能になる。
【0087】また、変形例として、光回路上に形成する
薄膜ヒータ505を、アーム導波路部の上部2箇所以上
に配置することにより、さらに効果的にアーム導波路部
の温度を効果的に上昇させることができる。
【0088】また、有機材料の熱光学定数が、有機材料
が充填されないアーム導波路部のコア及びクラッドの熱
光学定数よりも大きい有機材料を選ぶこともできる。こ
れによって、アーム導波路部の温度上昇が100℃未満
と小さくても、効果的に光スイッチングを行わせること
が可能になる。
【0089】また、薄膜ヒータのTaN以外の適用可能
な組成としては、TaSi2 のような原料もあり、薄膜
ヒータ用電極の材料も、金膜に限定されないことは言う
までもない。
【0090】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば以下
のような顕著な効果が発揮できる。 (1)コアを分断しないので溝部における透過光の損失
を1dB以下に低減することができる。 (2)従来懸念されていた屈折率の違いによる光損失を
0.1dB以下にまで低減することができる。 (3)有機材料が充填されたアーム導波路部の温度を効
果的に上昇させることができる。 (4)アーム導波路部の温度上昇が100℃未満と小さ
くても、効果的に光スイッチングを行わせることが可能
になる。 (5)溝部をミクロンオーダーで自在に加工できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す熱光学スイッチの
平面図である。
【図2】図1の熱光学スイッチのA−A線断面図であ
る。
【図3】図1の熱光学スイッチのB−B線断面図であ
る。
【図4】図1の熱光学スイッチのC−C線端面図であ
る。
【図5】図1の熱光学スイッチのD−D線端面図であ
る。
【図6】図1の熱光学スイッチの製造方法を説明するた
めの説明図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を示す熱光学スイッチ
の平面図である。
【図8】図7の熱光学スイッチのA−A線断面図であ
る。
【図9】図7の熱光学スイッチのB−B線断面図であ
る。
【図10】図7の熱光学スイッチのC−C線断面図であ
る。
【図11】図7の熱光学スイッチのD−D線断面図であ
る。
【図12】図7の熱光学スイッチの製造方法を説明する
ための説明図である。
【図13】本発明の他の実施の形態を示す熱光学スイッ
チの平面図である。
【図14】従来の熱光学スイッチの平面図である。
【図15】図14の熱光学スイッチのE−E線断面図で
ある。
【図16】図14の熱光学スイッチのF−F線端面図で
ある。
【符号の説明】
101 石英基板 102 コア 103 クラッド 104 有機材料 105 薄膜ヒータ 110 方向性結合器 121,122 光導波路(アーム導波路部)
フロントページの続き (72)発明者 岡野 広明 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社オプトロシステム研究所内 Fターム(参考) 2H047 KA05 KB04 NA01 PA22 PA24 QA04 RA08 TA36 TA37 2K002 AA02 AB04 BA13 CA15 CA25 DA07 FA17 FA30 GA07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された2本の入力導波路、
    両入力導波路に接続された入力側方向性結合器、一端が
    該入力側方向性結合器にそれぞれ接続された2本のアー
    ム導波路、両アーム導波路の他端に接続された出力側方
    向性結合器及び該出力側方向性結合器に接続された2本
    の出力導波路を有すると共に、コア及び該コアを覆いか
    つ該コアよりも屈折率の低いクラッドからなる光回路
    と、上記アーム導波路の少なくとも一方に熱を供給する
    薄膜ヒータとを有するマッハツェンダー型の熱光学スイ
    ッチにおいて、上記薄膜ヒータからの熱が供給されるア
    ーム導波路のコアの周囲が有機材料で覆われていること
    を特徴とする熱光学スイッチ。
  2. 【請求項2】 上記薄膜ヒータからの熱が供給されるア
    ーム導波路のコアの周囲が、伝搬する信号光の波長とほ
    ぼ等しい厚さのクラッド膜で覆われ、該クラッド膜の周
    囲が有機材料で覆われている請求項1に記載の熱光学ス
    イッチ。
  3. 【請求項3】 上記有機材料は、室温時の屈折率が上記
    コアの屈折率よりも低く、かつクラッドの屈折率とほぼ
    等しい請求項1又は2に記載の熱光学スイッチ。
  4. 【請求項4】 上記薄膜ヒータは、上記アーム導波路の
    長手方向に2箇所以上配置されている請求項1から3の
    いずれかに記載の熱光学スイッチ。
  5. 【請求項5】 上記有機材料の熱光学定数は上記光導波
    路のコア及びクラッドの熱光学定数よりも大きい請求項
    1から4のいずれかに記載の熱光学スイッチ。
  6. 【請求項6】 基板上にコアと該コアより屈折率の低い
    クラッドとからなる2本のアーム導波路及び2つの方向
    性結合器を有するマッハツェンダー型光回路を形成し、
    上記アーム導波路の少なくとも一方に薄膜ヒータを形成
    する熱光学スイッチの製造方法において、上記マッハツ
    ェンダー型光回路を形成した後、上記薄膜ヒータが形成
    されるアーム導波路のコアの周囲のクラッドを除去して
    溝を形成し、該溝内に有機材料を充填した後、該有機材
    料上に上記薄膜ヒータを形成することを特徴とする熱光
    学スイッチの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記溝を形成する際に上記コアの周囲
    に、伝搬する信号光の波長とほぼ等しい厚さのクラッド
    膜を残す請求項6に記載の熱光学スイッチの製造方法。
  8. 【請求項8】 上記溝をドライエッチング法で形成する
    請求項6又は7に記載の熱光学スイッチの製造方法。
JP2000398796A 2000-12-27 2000-12-27 熱光学スイッチ及びその製造方法 Pending JP2002202539A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000398796A JP2002202539A (ja) 2000-12-27 2000-12-27 熱光学スイッチ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000398796A JP2002202539A (ja) 2000-12-27 2000-12-27 熱光学スイッチ及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002202539A true JP2002202539A (ja) 2002-07-19

Family

ID=18863690

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000398796A Pending JP2002202539A (ja) 2000-12-27 2000-12-27 熱光学スイッチ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002202539A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005345852A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Hitachi Cable Ltd 導波路型可変光減衰器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005345852A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Hitachi Cable Ltd 導波路型可変光減衰器
JP4534607B2 (ja) * 2004-06-04 2010-09-01 日立電線株式会社 導波路型可変光減衰器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6535672B1 (en) Active optical MMI waveguide device
US20030031445A1 (en) Method and system for reducing dn/dt birefringence in a thermo-optic PLC device
JP2002323633A (ja) 光導波路装置及びその製造方法
JP3159433B2 (ja) 低損失光能動素子の製造方法
JP4638749B2 (ja) 熱光学位相変調器及びその製造方法
US8380023B2 (en) Waveguide-type optical circuit
US6732550B2 (en) Method for performing a deep trench etch for a planar lightwave circuit
JP3719644B2 (ja) 導波型光回路
JP2002202539A (ja) 熱光学スイッチ及びその製造方法
JP3742030B2 (ja) 平面光導波回路デバイスの製造方法
KR100396678B1 (ko) 열광학 스위치
JPH10123341A (ja) 光導波路およびその製造方法
US6709882B2 (en) Planar lightwave circuit active device metallization process
JP5053301B2 (ja) 導波路型光回路
JP5019649B2 (ja) 導波路型光回路
KR100429225B1 (ko) 열광학 스위치
JP3220003B2 (ja) 偏光分離素子
JP2008158411A (ja) 導波路型光スイッチ及びアレイ導波路型光スイッチ
WO1993019389A1 (en) Waveguide type optical part
JP2002221631A (ja) 干渉計光回路製造方法
KR100281736B1 (ko) 와이-분기형 광도파로 편광 분리기의 구조 및 제작방법
JP2004077859A (ja) 光導波回路の製造方法
JP2001159718A (ja) アレイ導波路型波長合分波回路
JPH0943442A (ja) 光回路とその製造方法
JP2003005232A (ja) 光デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060404

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060602

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070320

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071009